JP4681134B2 - 周波数変換装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝送路にて伝送される信号を、所定区間において所定帯域に周波数変換する周波数変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、外部の双方向CATVシステムからの引込線を建造物内に引き込み、建造物内の伝送線を介して、加入者側の端末装置(例えばケーブルモデム)から入力された上り信号を、引込線から外部の双方向CATVシステムの伝送線上に送出する棟内CATVシステムにおいては、建造物内の各部で発生した雑音が伝送線に混入することがあり、この雑音の内、上り信号と同じ周波数成分のものは、流合雑音として、上り信号と一緒に外部のCATVシステムに出力されてしまうという問題があった。
【0003】
そこで、従来は、加入者側の端末装置から伝送線に入力された数十MHzの上り信号(入力信号)を、アップコンバータにて数百MHzのアップコンバート用ローカル信号と混合することによって、流合雑音の影響を受けない(流合雑音の周波数帯域よりも数百MHz高い)周波数帯域の棟内上り信号(中間信号)に周波数変換し、建造物内の伝送線から外部の双方向CATVシステムの引込線に伝送する直前で、棟内上り信号を、ダウンコンバータにて数百MHzのダウンコンバート用ローカル信号と混合することにより、双方向CATVシステムにて伝送可能な周波数帯域の上り信号(出力信号)に周波数変換する周波数変換装置を設置することで、外部の双方向CATVシステムへ出力される流合雑音を低減している。
【0004】
ところが、従来の棟内CATVシステムを実際に構築すると、ダウンコンバータにて周波数変換した後の上り信号の質が、端末装置から入力された上り信号に比べて大幅に低下することがある。これは、アップコンバータ及びダウンコンバータにて上り信号と混合されるアップコンバート用ローカル信号及びダウンコンバート用ローカル信号に、正規の周波数を中心として上下の周波数方向に広がりを持つ雑音(以下、「位相雑音」という。)が含まれており、アップコンバータ及びダウンコンバータにて周波数変換される際に、上り信号に位相雑音が付加されてしまうからである。この位相雑音は、ローカル信号を生成する際、具体的には、発振器が発生した所定周波数の基準信号を用いてローカル信号をPLL制御する際に生じるものであり、PLL制御の精度が低い程位相雑音は大きくなる。
【0005】
又、CATVシステムのセンタ装置から端末装置へ伝送される下り信号の内、伝送線の伝送可能周波数帯域よりも周波数が高いBS−IF信号(入力信号)は、まず、センタ装置に設置されたダウンコンバータにて伝送線の伝送可能周波数帯域の信号(中間信号)に周波数変換されてから伝送され、端末装置の直前に設置されたアップコンバータにて元のBS−IF信号(出力信号)に戻される。このため、上り信号と同様に、アップコンバータ及びダウンコンバータにて周波数変換される際に、BS−IF信号に位相雑音が付加されてしまう。
【0006】
この様にして伝送信号に付加されてしまう位相雑音を低減するため、従来は、PLL制御の精度を高め、アップコンバート用ローカル信号及びダウンコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音を低減することによって、最終的に上り信号やBS−IF信号に現れる位相雑音を低減していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、PLL制御の精度は、主としてPLL制御にかかる回路素子の精度に応じて決まるので、PLL制御の精度を高めるためには、高精度で高価な回路素子を用いる必要がある。このため、PLL制御の精度を高める程、周波数変換装置及びCATVシステム全体のコストは増加することになる。
【0008】
又、PLL制御の精度を高めても、位相雑音の低減には限界があり、アップコンバート用ローカル信号及びダウンコンバート用ローカル信号から位相雑音を完全に除去することは不可能である。
そこで、本発明は、伝送路を伝送されてくる入力信号を所定区間の前で中間信号に周波数変換し、周波数変換後の中間信号を所定区間の後で更に出力信号に周波数変換する周波数変換装置及び周波数変換を用いて信号の送受信を行う通信システムにおいて、高価な回路素子を用いることなく、出力信号に付加される位相雑音を低減することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段、及び発明の効果】
この様な目的を達成するため、本発明にかかる周波数変換装置は、請求項1に記載されている様に、入力された信号とアップコンバート用ローカル信号生成手段が生成した所定周波数のアップコンバート用ローカル信号とを混合することにより、入力された信号を周波数の高い信号に周波数変換して出力するアップコンバータと、入力された信号とダウンコンバート用ローカル信号生成手段が生成した所定周波数のダウンコンバート用ローカル信号とを混合することにより、入力された信号を周波数の低い信号に周波数変換して出力するダウンコンバータと、を伝送路上に備え、該伝送路の第1区間を伝送されてくる入力信号を、前記アップコンバータ及び前記ダウンコンバータの何れか一方にて前記入力信号とは周波数の異なる中間信号に周波数変換し、前記伝送路の第2区間については前記中間信号を伝送し、前記伝送路の第2区間を伝送されてくる前記中間信号を、前記アップコンバータ及び前記ダウンコンバータの何れか他方にて前記中間信号とは周波数の異なる出力信号に周波数変換し、前記伝送路の第3区間については前記出力信号を伝送する周波数変換装置であって、前記アップコンバート用ローカル信号生成手段及び前記ダウンコンバート用ローカル信号生成手段の何れか一方は、ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分を調整するための位相雑音調整手段を備え、前記アップコンバート用ローカル信号生成手段及び前記ダウンコンバート用ローカル信号生成手段は、前記位相雑音調整手段により、前記アップコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分と前記ダウンコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とを略一致させることにより、位相雑音の周波数成分が略同一である前記アップコンバート用ローカル信号及び前記ダウンコンバート用ローカル信号を生成する様に構成されており、前記アップコンバータ及び前記ダウンコンバータは、前記入力信号を前記中間信号に周波数変換する際、前記ローカル信号の周波数に前記入力信号の周波数を加えた値に相当する周波数の信号を前記中間信号とする場合には、前記中間信号を前記出力信号に周波数変換する際、前記中間信号の周波数から前記ローカル信号の周波数を減じた値に相当する周波数の信号を前記出力信号とし、前記入力信号を前記中間信号に周波数変換する際、前記ローカル信号の周波数から前記入力信号の周波数を減じた値に相当する周波数の信号を前記中間信号とする場合には、前記中間信号を前記出力信号に周波数変換する際、前記ローカル信号の周波数から前記中間信号の周波数を減じた値に相当する周波数の信号を前記出力信号とする様に構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明にかかる周波数変換装置では、伝送路の第1区間を伝送されてくる入力信号は、アップコンバータ及びダウンコンバータの何れか一方にて、入力信号とは周波数の異なる中間信号に周波数変換されて、伝送路の第2区間を伝送される。そして、伝送路の第2区間を伝送されてくる中間信号は、アップコンバータ及びダウンコンバータの何れか他方にて、中間信号とは周波数の異なる出力信号に周波数変換されて、伝送路の第3区間を伝送される。
【0011】
ところが、前述した様に、アップコンバート用ローカル信号及びダウンコンバート用ローカル信号には位相雑音が含まれているので、アップコンバータ及びダウンコンバータにおいて単純に周波数変換した場合には、入力信号から中間信号に周波数変換される際及び中間信号から出力信号に周波数変換される際に、アップコンバート用ローカル信号及びダウンコンバート用ローカル信号の位相雑音が付加されてしまい、出力信号に非常に大きな位相雑音が現れることがある。
【0012】
そこで、本発明にかかる周波数変換装置では、アップコンバート用ローカル信号生成手段及びダウンコンバート用ローカル信号生成手段の何れか一方は、ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分を調整するための位相雑音調整手段を備えており、アップコンバート用ローカル信号生成手段及びダウンコンバート用ローカル信号生成手段は、前記位相雑音調整手段により、前記アップコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分と前記ダウンコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とを略一致させることにより、位相雑音の周波数成分が略同一であるアップコンバート用ローカル信号及びダウンコンバート用ローカル信号を生成する。
【0013】
そして、入力信号を中間信号に周波数変換する際、ローカル信号の周波数に入力信号の周波数を加えた値に相当する周波数の信号を中間信号とし、中間信号を出力信号に周波数変換する際、中間信号の周波数からローカル信号の周波数を減じた値に相当する周波数の信号を出力信号とする。
【0014】
ここで、アップコンバート用ローカル信号の位相雑音とダウンコンバート用ローカル信号の位相雑音とは略同一であれば良く、厳密に同一である必要はない。例えば、ローカル信号の周波数が数十乃至数百MHzである場合には、ローカル信号の周波数の上下3kHzにおける位相雑音のレベル差が3乃至5dB程度であれば、略同一とみなすことができる。
【0015】
本発明の発明者による実験の結果、この様に構成されている周波数変換装置によれば、入力信号とローカル信号とを混合して入力信号の周波数にローカル信号の周波数を加えた値に相当する周波数の中間信号を生成すると、中間信号にはローカル信号の位相雑音が付加されてしまうのであるが、中間信号とローカル信号とを混合して中間信号の周波数からローカル信号の周波数を減じた値に相当する周波数の出力信号を生成すると、入力信号を中間信号に周波数変換する際に信号に加えた位相雑音と略同一の位相雑音を、中間信号を出力信号に周波数変換する際に信号から減じることになり、2回の周波数変換において信号に付加される位相雑音が相殺され、出力信号には位相雑音が殆ど現れないことが判明した。
【0016】
又、本発明の発明者による実験の結果、入力信号を中間信号に周波数変換する際、ローカル信号の周波数から入力信号の周波数を減じた値に相当する周波数の信号を中間信号とし、中間信号を出力信号に周波数変換する際、ローカル信号の周波数から中間信号の周波数を減じた値に相当する周波数の信号を出力信号としても、同様に、出力信号には位相雑音が殆ど現れないことが判明した。
【0017】
この様に、アップコンバート用ローカル信号生成手段及びダウンコンバート用ローカル信号生成手段において生成されるローカル信号の位相雑音の周波数成分が略同一であれば、位相雑音のレベルがある程度高くても、出力信号に位相雑音が殆ど現れない様にすることができるので、高価な回路素子を用いることなく、出力信号に付加される位相雑音を低減することができる。
【0018】
又、本発明にかかる周波数変換装置においては、アップコンバート用ローカル信号の位相雑音の周波数分布とダウンコンバート用ローカル信号の位相雑音の周波数分布とが略同一であれば、アップコンバート用ローカル信号自体のレベルとダウンコンバート用ローカル信号自体のレベルとを同一にする必要はない。例えば、アップコンバータ又はダウンコンバータで用いるローカル信号のレベルが10dBmである場合に、他方で用いるローカル信号のレベルが0dBm程度であったとしても、出力上り信号には位相雑音が殆ど現れない。但し、極端にレベルが低い場合には周波数変換自体に悪影響を及ぼすことがあるので、可能であれば、請求項2に記載されている様に、前記アップコンバート用ローカル信号のレベルと前記ダウンコンバート用ローカル信号のレベルとが略同一であることが好ましい。アップコンバート用ローカル信号のレベルとダウンコンバート用ローカル信号のレベルとが略同一であれば、アップコンバート用ローカル信号を生成する発振器及びダウンコンバート用ローカル信号を生成する発振器の回路構成等を共通化することができる。
【0019】
又、本発明にかかる周波数変換装置においては、アップコンバート用ローカル信号の位相雑音の周波数分布とダウンコンバート用ローカル信号の位相雑音の周波数分布とが略同一であれば、アップコンバート用ローカル信号の周波数とダウンコンバート用ローカル信号の周波数とを同一にする必要はない。例えば、10MHzの入力上り信号を70MHzのアップコンバート用ローカル信号で周波数変換して80MHzの棟内上り信号を生成し、60MHzのダウンコンバート用ローカル信号で周波数変換して20MHzの出力上り信号を生成しても、出力上り信号には位相雑音が殆ど現れない。但し、請求項3に記載されている様に、前記アップコンバート用ローカル信号の周波数と前記ダウンコンバート用ローカル信号の周波数とが同一であれば、入力上り信号と同一周波数の出力上り信号を得ることができるので、入力上り信号と同一周波数の出力上り信号を得る必要があれば、両ローカル信号の周波数は同一であることが好ましい。
【0020】
なお、前記位相雑音調整手段は、具体的には、請求項4に記載されている様に、前記アップコンバート用ローカル信号生成手段又は前記ダウンコンバート用ローカル信号生成手段を構成する回路素子の特性値を変化させることによってローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分を調整する様に構成されていると良い。より具体的には、請求項5乃至8に記載されている様に、位相雑音調整手段は、前記アップコンバート用ローカル信号生成手段又は前記ダウンコンバート用ローカル信号生成手段を構成する抵抗素子の電気抵抗値や容量素子の静電容量値や誘導素子の誘導係数値や誘導素子のQ値(quality−factorの値)を変化させることによって、ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分を調整する様に構成されていると良い。
【0021】
本発明にかかる周波数変換装置がこの様に構成されている場合には、アップコンバート用ローカル信号生成手段及び前記ダウンコンバート用ローカル信号生成手段の何れか一方が生成したローカル信号に含まれる任意の位相雑音に合わせて、アップコンバート用ローカル信号生成手段及び前記ダウンコンバート用ローカル信号生成手段の何れか他方が、位相雑音調整手段によってローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分を調整することによって、アップコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とダウンコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とを一致させる。従って、アップコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とダウンコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とを容易に一致させることができ、その結果、出力信号に位相雑音が現れない様にすることができる。例えば、任意の位相雑音を含むローカル信号を生成する市販の発振器をアップコンバート用ローカル信号生成手段として採用した場合、位相雑音調整手段を有する発振器をダウンコンバート用ローカル信号生成手段として採用すれば、仮に市販の発振器の精度が低く、生成するローカル信号に大きな位相雑音が含まれていたとしても、アップコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とダウンコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とを一致させることによって、出力信号に位相雑音が現れない様にすることができる。
【0026】
又、本発明にかかる周波数変換装置は、請求項9に記載されている様に、第1区間及び第3区間は有線伝送路、第2区間は無線伝送路となる前記伝送路上に設置されても良い。
本発明にかかる周波数変換装置がこの様に構成された前記伝送路上に設置されている場合は、第2区間における無線伝送路での周波数通過帯域を、前記中間信号に付加している位相雑音の周波数分布より広くすることにより、位相雑音を欠落させることなく前記中間信号を伝送できる。
【0027】
そして前述と同様に、前記入力信号を前記中間信号へ周波数変換する際に用いたローカル信号と位相雑音の周波数成分が略同一のローカル信号を用いて前記中間信号を前記出力信号へ周波数変換することにより、前記出力信号に付加される位相雑音を低減することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した実施例を図面に基づいて説明する。
[第1実施例]
まず、本実施例における棟内CATVシステムの全体構成について説明する。
【0031】
図1は、棟内CATVシステムの全体構成を説明するためのブロック図であり、図2は、棟内CATVシステムの周波数変換装置(ダウンコンバータ及びアップコンバータ)の構成を説明するためのブロック図であり、図3は、アップコンバート用ローカル信号発振器の構成を説明するためのブロック図である。
【0032】
図1に示す様に、本実施例の棟内CATVシステムは、ヘッドエンド1,分岐増幅器2,延長増幅器3,タップオフ4等によって構成される外部の双方向CATVシステムのタップオフ4から分岐された引込線5を、保安器6を介して集合住宅等の建造物10内に引き込み、建造物10内の伝送線11、及び、この伝送線11上に設けられた双方向増幅器12,2分配器13,4分配器14等を介して、引込線5から入力された外部の双方向CATVシステムの下り信号(周波数:70乃至602MHz)を、建造物10内の多数の加入者側の端末端子15まで伝送すると共に、この端末端子15から入力された上り信号(棟内上り信号)を、引込線5まで伝送するものである。
【0033】
そして、伝送線11を介して伝送されてくる下り信号が端末端子15を介してテレビ受信機16に受信されると、テレビ受信機16は、下り信号を復調し、音声及び映像を出力する。
又、本実施例の棟内CATVシステムにおいては、端末端子15にケーブルモデム18を介してパーソナルコンピュータ17が接続されており、パーソナルコンピュータ17からヘッドエンド1へ各種データを送信することにより、有料番組の視聴予約やテレビショッピング等を行うことができる様に構成されている。具体的には、パーソナルコンピュータ17において生成された各種データは、ケーブルモデム18において、外部の双方向CATVシステムで伝送可能な周波数帯域(本実施例では10乃至55MHz)の入力上り信号に変換され、端末端子15に入力される。
【0034】
ところが、前述した様に10乃至55MHzの信号は、建造物10内において発生する種々の雑音の影響を受け易いので、端末端子15とケーブルモデム18との間に、アップコンバータ19を設置し、パーソナルコンピュータ17からケーブルモデム18を介して送信される上り信号(入力上り信号)を、アップコンバータ19において、下り信号より高い周波数帯域(本実施例では655乃至770MHz)の棟内上り信号に変換してから、端末端子15に入力する様に構成されている。
【0035】
そして、アップコンバータ19に対応して、棟内CATVシステムの伝送線11と外部の双方向CATVシステムの引込線5との接続部分には、端末端子15から伝送線11を介して伝送されてくる棟内上り信号を、外部の双方向CATVシステムで使用可能な周波数の上り信号(出力上り信号)に変換するダウンコンバータ20が設置されている。
【0036】
アップコンバータ19は、図2(a)に示す様に、下り信号通過回路19aと、上り信号周波数変換回路19bと、上流側端子T1と、下流側端子T2と、を備える。
下り信号通過回路19aは、棟内上り信号阻止用のローパスフィルタ(以下「LPF」という。)101と、単方向増幅器102と、上り信号阻止用のハイパスフィルタ(以下「HPF」という。)103と、によって構成されており、上り信号周波数変換回路19bは、下り信号阻止用のLPF104と、ミキサ105と、アップコンバート用ローカル信号発振器106と、所定周波数帯域の信号だけを通過させるバンドパスフィルタ(以下、「BPF」という。)107と、単方向増幅器108と、下り信号阻止用のHPF109と、によって構成されている。
【0037】
アップコンバート用ローカル信号発振器106は、645MHzのアップコンバート用ローカル信号を生成するためのものである。
そして、LPF101の通過可能周波数帯域は602MHz以下、HPF103の通過可能周波数帯域は70MHz以上、LPF104の通過可能周波数帯域は55MHz以下、BPF107の通過可能周波数帯域は655乃至770MHz、HPF109の通過可能周波数帯域は655MHz以上となっている。
【0038】
又、単方向増幅器102は、LPF101,HPF103等における下り信号の通過損失を補償するためのものであり、単方向増幅器108は、LPF104,BPF107,HPF109等における上り信号及び棟内上り信号の通過損失を補償するためのものである。
【0039】
そして、上流側端子T1から入力される70乃至602MHzの下り信号は、LPF101,単方向増幅器102,HPF103を介して下流側端子T2から出力される。一方、下流側端子T2から入力される10乃至55MHzの上り信号は、LPF104を介してミキサ105に入力され、ミキサ105は、アップコンバート用ローカル信号発振器106から入力される645MHzのアップコンバート用ローカル信号を用いて、入力上り信号を655乃至770MHzの棟内上り信号に周波数変換する。そして、棟内上り信号は、BPF107,単方向増幅器108,HPF109を介して上流側端子T1から出力される。
【0040】
ダウンコンバータ20は、図2(b)に示す様に、下り信号通過回路20aと、上り信号周波数変換回路20bと、上流側端子T3と、下流側端子T4と、を備える。
下り信号通過回路20aは、上り信号阻止用のHPF201と、単方向増幅器202と、棟内上り信号阻止用のLPF203と、によって構成されており、上り信号周波数変換回路20bは、下り信号阻止用のHPF204と、ミキサ205と、ダウンコンバート用ローカル信号発振器206と、BPF207と、単方向増幅器208と、下り信号阻止用のLPF209と、によって構成されている。
【0041】
ダウンコンバート用ローカル信号発振器206は、645MHzのダウンコンバート用ローカル信号を生成するためのものである。
そして、HPF201の通過可能周波数帯域は70MHz以上、LPF203の通過可能周波数帯域は602MHz以下、HPF204の通過可能周波数帯域は655MHz以上、BPF207の通過可能周波数帯域は10乃至55MHz、LPF209の通過可能周波数帯域は55MHz以下となっている。
【0042】
又、単方向増幅器202は、HPF201,LPF203等における下り信号の通過損失を補償するためのものであり、単方向増幅器208は、HPF204,BPF207,LPF209等における上り信号及び棟内上り信号の通過損失を補償するためのものである。
【0043】
そして、上流側端子T3から入力される70乃至602MHzの下り信号は、HPF201,単方向増幅器202,LPF203を介して下流側端子T4から出力される。一方、下流側端子T4から入力される655乃至770MHzの棟内上り信号は、HPF204を介してミキサ205に入力され、ミキサ205は、ダウンコンバート用ローカル信号発振器206から入力される645MHzのダウンコンバート用ローカル信号を用いて、棟内上り信号を10乃至55MHzの出力上り信号に周波数変換する。そして、出力上り信号は、BPF207,単方向増幅器208,LPF209を介して上流側端子T3から出力される。
【0044】
この様に、上り信号は、建造物10内において発生する種々の雑音の周波数よりも遙かに高い周波数の棟内上り信号に周波数変換されて伝送されるので、建造物10内において発生する種々の雑音の影響を受け難い。
しかし、アップコンバート用ローカル信号発振器106が発生するアップコンバート用ローカル信号及びダウンコンバート用ローカル信号発振器206が発生するダウンコンバート用ローカル信号には、通常、位相雑音が含まれているので、アップコンバータ19及びダウンコンバータ20において単純に周波数変換した場合には、入力上り信号から棟内上り信号に周波数変換される際にアップコンバート用ローカル信号の位相雑音が重畳され、更に、棟内上り信号から出力上り信号に周波数変換される際にもダウンコンバート用ローカル信号の位相雑音が重畳されてしまうことがあり、出力上り信号の品質が大幅に低下することがある。
【0045】
そこで、本実施例の周波数変換装置では、アップコンバート用ローカル信号発振器106及びダウンコンバート用ローカル信号発振器206において、位相雑音の周波数成分が略同一であるアップコンバート用ローカル信号及びダウンコンバート用ローカル信号を発生させ、アップコンバータ19にて、入力上り信号の周波数(10乃至55MHz)にアップコンバート用ローカル信号の周波数(645MHz)を加えた値に相当する周波数(655乃至770MHz)の棟内上り信号を生成し、ダウンコンバータ20にて、棟内上り信号の周波数(655乃至770MHz)からダウンコンバート用ローカル信号の周波数(645MHz)を減じた値に相当する周波数(10乃至55MHz)の出力上り信号を生成する様に構成されている。
【0046】
具体的には、ダウンコンバート用ローカル信号発振器206は任意の位相雑音を含むローカル信号を生成する市販の発振器であり、アップコンバート用ローカル信号発振器106が、ダウンコンバート用ローカル信号発振器206が生成するローカル信号に含まれる位相雑音と略同一となる様に位相雑音を調整する様に構成されている。
【0047】
アップコンバート用ローカル信号発振器106は、図3に示す様に、基準発振器301と、位相比較器302と、アクティブ・ループフィルタ303と、ローパスフィルタ304と、電圧制御発振器305と、分周器306と、CPU307と、を備える位相同期回路(PLL:phase−locked−loop)であり、基準発振器301が生成する基準信号の位相と、出力端子T5から出力されるべき信号、即ちアップコンバート用ローカル信号の位相とを比較し、比較結果を電圧に変換し、電圧制御発振器が生成する信号、即ちアップコンバート用ローカル信号の位相を制御して、基準信号の位相とアップコンバート用ローカル信号の位相とを同期させる周知のものである。
【0048】
基準発振器301は、所謂温度補償型水晶発振器であり、10MHzの基準信号を生成する様に構成されており、基準発振器301と位相比較器302とは、1000pFのコンデンサC1を介して接続されている。
アクティブループフィルタ303は、4.7kΩの抵抗器R1と、3kΩの抵抗器R2と、10kΩの抵抗器R3と、10kΩの抵抗器R4と、オペアンプOA1と、オペアンプOA2と、可変コンデンサCFと、を備える。そして、位相比較器302側から順に、抵抗器R1,オペアンプOA1,抵抗器R3,オペアンプOA2が直列に接続され、直列接続された3kΩの抵抗器R2及び可変コンデンサCFがオペアンプOA1と並列に接続され、抵抗器R4がオペアンプOA2と並列に接続されて構成されている。
【0049】
ローパスフィルタ304は、1kΩの抵抗器R5と、1000pFのコンデンサC2と、を備える。そして、アクティブループフィルタ303と電圧制御発振器305との間に抵抗器R5が直列に接続され、抵抗器R5の電圧制御発振器305側がコンデンサC2を介して接地されて構成されている。
【0050】
電圧制御発振器305は、1kΩの抵抗器R6と、5.6kΩの抵抗器R7と、4.7kΩの抵抗器R8と、可変抵抗器REと、47pFのコンデンサC3と、1000pFのコンデンサC4と、10pFのコンデンサC5と、10pFのコンデンサC6と、1000pFのコンデンサC7と、可変コンデンサCPと、空芯のコイルLと、可変容量ダイオードVCDと、トランジスタTRと、高周波増幅器A3と、を備える。そして、ローパスフィルタ304の抵抗器R5と直列に、抵抗器R6,コイルL,コンデンサC3,トランジスタTR(ベース端子)が直列に接続され、抵抗器6とコイルLとの接続点は、並列接続される可変コンデンサCP及び可変容量ダイオードVCDを介して接地されている。トランジスタTRのコレクタ端子は直流電源VCCに接続され、コンデンサC4を介して接地されている。又、トランジスタTRのコレクタ端子は、抵抗器R7を介してベース端子と接続されており、ベース端子は、抵抗器R8を介して接地されている。又、トランジスタTRのベース端子は、直列接続されるコンデンサC5及びコンデンサC6を介して接地されており、エミッタ端子は、コンデンサC5とコンデンサC6との接続点に接続されている。又、トランジスタTRのエミッタ端子は、可変抵抗器REを介して接地されている。又、トランジスタTRのエミッタ端子は、コンデンサC7,高周波増幅器A3を介して出力端子T5に接続されている。
【0051】
分周器306は、1000pFのコンデンサC8を介して、電圧制御発振器305の高周波増幅器A3及び出力端子T5と接続されると共に、CPU307と接続されている。
そして、ダウンコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分に合わせて、アクティブループフィルタ303の可変コンデンサCFの静電容量値,電圧制御発振器305の可変コンデンサCPの静電容量値,可変抵抗器REの抵抗値を変化させることによって、アップコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とダウンコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とを略同一にする。
【0052】
具体的には、可変コンデンサCFの静電容量値,可変コンデンサCPの静電容量値,可変抵抗器REの抵抗値と、アップコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とは、次の様な関係にある。
第1に、可変抵抗器REの電気抵抗値を小さくすると、アップコンバート用ローカル信号の周波数の近傍帯域を除いて、全体的に位相雑音が大きくなり、逆に、可変抵抗器REの電気抵抗値を大きくすると、アップコンバート用ローカル信号の周波数の近傍を除いて、全体的に位相雑音が小さくなる。第2に、可変コンデンサCPの静電容量値を大きくすると、アップコンバート用ローカル信号の周波数の近傍帯域では位相雑音が大きく、アップコンバート用ローカル信号の周波数から所定値以上離れた帯域では位相雑音が小さくなり、逆に、可変コンデンサCPの静電容量値を小さくすると、アップコンバート用ローカル信号の周波数の近傍帯域では位相雑音が小さく、アップコンバート用ローカル信号の周波数から所定値以上離れた帯域では位相雑音が大きくなる。第3に、可変コンデンサCFの静電容量値を大きくすると、アップコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音のカットオフ周波数がアップコンバート用ローカル信号の周波数に近付き、逆に、可変コンデンサCFの静電容量値を小さくすると、アップコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音のカットオフ周波数がアップコンバート用ローカル信号の周波数から遠ざかる。
【0053】
従って、可変コンデンサCFの静電容量値,可変コンデンサCPの静電容量値,可変抵抗器REの抵抗値を適宜調整すれば、アップコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とダウンコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とを略同一にすることができる。
【0054】
尚、本実施例において、入力上り信号が前述の入力信号に相当し、棟内上り信号が前述の中間信号に相当し、出力上り信号が前述の出力信号に相当する。
続いて、本実施例の周波数変換装置の効果について説明する。
本実施例の周波数変換装置では、アップコンバータ19にて、入力上り信号とアップコンバート用ローカル信号とを混合して入力上り信号の周波数にアップコンバート用ローカル信号の周波数を加えた値に相当する周波数の棟内上り信号を生成する際に、棟内上り信号にはアップコンバート用ローカル信号の位相雑音が付加されてしまうのであるが、ダウンコンバータ20にて、棟内上り信号とダウンコンバート用ローカル信号とを混合して棟内上り信号の周波数からダウンコンバート用ローカル信号の周波数を減じた値に相当する周波数の出力上り信号を生成すると、入力上り信号を棟内上り信号に周波数変換する際に信号に加えた位相雑音と略同一の位相雑音を、棟内上り信号を出力上り信号に周波数変換する際に信号から減じることになり、2回の周波数変換において信号に付加される位相雑音が相殺され、出力上り信号には位相雑音が殆ど現れない。即ち、アップコンバート用ローカル信号の位相雑音の周波数成分とダウンコンバート用ローカル信号の位相雑音の周波数成分とが略同一であれば、位相雑音のレベルがある程度高くても、出力信号に位相雑音が殆ど現れない様にすることができるので、高価な回路素子を用いることなく、出力信号に付加される位相雑音を低減することができる。
【0055】
続いて、本実施例の棟内CATVシステムの性能評価のために行った実験の結果について説明する。
図4は、入力上り信号の波形(図(a)),ローカル信号(アップコンバート用ローカル信号及びダウンコンバート用ローカル信号)の波形(図(b)),棟内上り信号の波形(図(c)),出力上り信号の波形(図(d))を表す説明図である。
【0056】
アップコンバータ19の下流側端子T2から図4(a)に示す様な波形の10MHzの入力上り信号を入力し、アップコンバート用ローカル信号発振器106からミキサ105へ図4(b)に示す様な波形の645MHzのアップコンバート用ローカル信号を入力すると、上流側端子T1において、図4(c)に示す様な波形の655MHzの棟内上り信号が検出される。入力上り信号を棟内上り信号に周波数変換する際にローカル信号の位相雑音が重畳されるので、棟内上り信号の波形は、入力上り信号の波形に比べて鈍くなっている。具体的には、信号の周波数の上下3kHzにおける位相雑音のレベルが、入力上り信号は−96.6dBcであり、棟内上り信号は、−73.3dBcである。
【0057】
そして、棟内上り信号は、伝送線11を介してダウンコンバータ20の下流側端子T4に入力され、ダウンコンバート用ローカル信号発振器206からミキサ205へ図4(b)に示す様な波形の645MHzのダウンコンバート用ローカル信号を入力すると、上流側端子T3において、図4(d)に示す様な波形の10MHzの出力上り信号が検出される。棟内上り信号を出力上り信号に周波数変換する際にローカル信号の位相雑音が除去されるので、出力上り信号の波形は、棟内上り信号の波形に比べて鋭くなっている(入力上り信号の波形に近くなっている)。具体的には、信号の周波数の上下3kHzにおける位相雑音のレベルが、出力上り信号は−96.3dBcであり、入力上り信号の−96.6dBcと略同一である。又、ミキサ205からは、棟内上り信号の周波数(655MHz)とダウンコンバート用ローカル信号の周波数(645MHz)との和に相当する周波数(1300MHz)の信号も出力されるのであるが、この信号の波形は、棟内上り信号の波形よりも更に鈍くなっている(図示省略)。具体的には、信号の周波数の上下3kHzにおける位相雑音のレベルが、1300MHzの信号は−64.4dBcであり、出力上り信号の−96.4dBcに比べて遙かに高くなっている。即ち、信号の品質が低下している。又、アップコンバート用ローカル信号発振器106からミキサ105及びダウンコンバート用ローカル信号発振器206からミキサ205までの伝送線の長さを変更することによって、ミキサ105及び205に入力されるローカル信号の位相を種々変化させたてみたが、位相雑音の除去効果には影響を与えなかった。
【0058】
尚、アップコンバート用ローカル信号の位相雑音とダウンコンバート用ローカル信号の位相雑音とは略同一であれば良く、厳密に同一である必要はない。アップコンバート用ローカル信号の周波数の上下3kHzにおける位相雑音のレベルが−73.0dBcである場合に、ダウンコンバート用ローカル信号の周波数の上下3kHzにおける位相雑音のレベルが−73.0dBcであれば、即ち、両ローカル信号の位相雑音のレベル差が0であれば、図4に示す様に、棟内上り信号から出力上り信号に周波数変換する際に、位相雑音を約23dB低減することができ、最適であるが、両ローカル信号の位相雑音のレベル差が3dBであっても位相雑音を約9dB低減することができ、レベル差が5dBであっても位相雑音を約7dB低減することができるので、両ローカル信号の位相雑音のレベル差が3乃至5dB程度であれば、十分に効果が得られる。図5は、アップコンバート用ローカル信号の周波数の上下3kHzにおける位相雑音のレベルが−73.0dBcである場合の、ダウンコンバータ用ローカル信号の位相雑音とアップコンバータ用ローカル信号の位相雑音とのレベル差(dB)と、出力上り信号の周波数の上下3kHzにおける位相雑音のレベル(dBc)と、の関係を表す説明図である。
【0059】
尚、本実施例では、建造物10内の端末端子15とケーブルモデム18との間にアップコンバータ19が設置されているが、ヘッドエンド1にダウンコンバータが設置され、建造物10内にアップコンバータが設置されており、ヘッドエンド1に備えられるダウンコンバータにて、周波数が非常に高い第1BS−IF信号を、建造物10の外部の双方向CATVシステムで伝送可能な周波数帯域の第2BS−IF信号に周波数変換して送出し、建造物10内に備えられるアップコンバータにて、第3BS−IF信号に周波数変換する(元の第1BS−IF信号に戻す)様に構成されていても良い。この様に構成されている場合にも、第1BS−IF信号を第2BS−IF信号に周波数変換する際、第2BS−IF信号の周波数からダウンコンバート用ローカル信号の周波数を減じた値に相当する周波数の信号を第2BS−IF信号とし、第2BS−IF信号を元の第1BS−IF信号に周波数変換する際、第2BS−IF信号の周波数にアップコンバート用ローカル信号の周波数を加えた値に相当する周波数の信号を第3BS−IF信号とすれば、本実施例の出力上り信号と同様に、第3BS−IF信号には位相雑音が殆ど現れない。
【0060】
又、本実施例では、入力上り信号を棟内上り信号に周波数変換する際、アップコンバート用ローカル信号の周波数に入力上り信号の周波数を加えた値に相当する周波数の信号を棟内上り信号とし、棟内上り信号を出力上り信号に周波数変換する際、棟内上り信号の周波数からダウンコンバート用ローカル信号の周波数を減じた値に相当する周波数の信号を出力上り信号とする様に構成されているが、入力上り信号を棟内上り信号に周波数変換する際、アップコンバート用ローカル信号の周波数から入力上り信号の周波数を減じた値に相当する周波数の信号を棟内上り信号とし、棟内上り信号を出力上り信号に周波数変換する際、ダウンコンバート用ローカル信号の周波数から棟内上り信号の周波数を減じた値に相当する周波数の信号を出力上り信号としても良い。
【0061】
又、本実施例では、アップコンバート用ローカル信号の周波数及びダウンコンバート用ローカル信号の周波数は共に645MHzであるが、両ローカル信号の位相雑音の周波数分布が略同一であれば、両ローカル信号の周波数は特に限定されず、例えば数十MHzであっても良いし、数1000MHzであっても良い。更に、両ローカル信号の位相雑音の周波数分布が略同一であれば、両ローカル信号の周波数が異なっていても同一の効果が得られる。但し、この場合には、入力上り信号の周波数と出力上り信号の周波数とは一致しない。
【0062】
又、本実施例では特に限定しなかったが、アップコンバート用ローカル信号の位相雑音の周波数分布とダウンコンバート用ローカル信号の位相雑音の周波数分布とが略同一であれば、アップコンバート用ローカル信号自体のレベルとダウンコンバート用ローカル信号自体のレベルとを同一にする必要はない。例えば、一方のローカル信号のレベルが10dBmである場合に、他方で用いるローカル信号のレベルが0dBm程度であったとしても、実施例と同様に、出力上り信号には位相雑音が殆ど現れない。但し、極端にレベルが低い場合には周波数変換自体に悪影響を及ぼすことがあり、例えば16QAM方式では復調の際にC/N値が30dB以上必要である。このため、実際には、外部のCATVシステムの伝送線の損失分(約20dB)及び建造物10内の伝送線11の損失分(約30dB)を考慮すると、一方のローカル信号のレベルが10dBmである場合に、他方で用いるローカル信号のレベルは最低−13dBm必要である。
【0063】
又、アップコンバート用ローカル信号の位相雑音の周波数分布とダウンコンバート用ローカル信号の位相雑音の周波数分布とが略同一であれば、アップコンバート用ローカル信号の周波数とダウンコンバート用ローカル信号の周波数とを同一にする必要はない。例えば、10乃至55MHzの入力上り信号を810MHzのアップコンバート用ローカル信号で周波数変換して820乃至865MHzの棟内上り信号を生成し、800MHzのダウンコンバート用ローカル信号で周波数変換して20乃至55MHzの出力上り信号を生成しても、本実施例と同様に、出力上り信号には位相雑音が殆ど現れない。
【0064】
又、本実施例の棟内CATVシステムは、1つのアップコンバータ19にて入力上り信号を棟内上り信号に周波数変換し、1つのダウンコンバータ20にて棟内上り信号を出力上り信号に周波数変換する様に構成されているが、アップコンバータ(又はダウンコンバータ)を複数備え、入力上り信号(又は棟内上り信号)を複数回周波数変換して棟内上り信号(又は出力上り信号)を生成する様に構成されていても良い。但し、この場合には、複数のアップコンバータにて用いるアップコンバート用ローカル信号の位相雑音の総和であるアップコンバート総位相雑音の周波数分布と、複数のダウンコンバータにて用いるダウンコンバート用ローカル信号の位相雑音の総和であるダウンコンバート総位相雑音の周波数分布とが略同一である必要がある。即ち、入力上り信号を棟内上り信号に周波数変換する際に加えられる位相雑音の総和と、棟内上り信号を出力上り信号に周波数変換する際に減じられる位相雑音の総和とが等しければ、アップコンバータ又はダウンコンバータが複数であっても、本実施例と同様に、出力上り信号には位相雑音が殆ど現れない。
【0065】
又、本実施例では、アップコンバータ19においてアップコンバート用ローカル信号発振器106がアップコンバート用ローカル信号を発生してミキサ105に入力し、ダウンコンバータ20においてダウンコンバート用ローカル信号発振器206がダウンコンバート用ローカル信号を発生してミキサ205に入力する様に構成されているが、1つの発振器が発生したローカル信号を分配器により分配してミキサ105及びミキサ205に入力する様に構成されていても良い。この様に構成されている場合には、発振器の数を減らすことができるので、棟内CATVシステム全体のコストも減らすことができる。又、1つの発振器が発生したローカル信号を分配してアップコンバート用ローカル信号及びダウンコンバート用ローカル信号として用いれば、両ローカル信号の位相雑音の周波数分布は完全に同一となるので、出力上り信号には位相雑音が殆ど現れない。
【0066】
又、本実施例では、ダウンコンバート用ローカル信号発振器206が市販の発振器であり、アップコンバート用ローカル信号発振器106が図3に示す様に構成されているが、アップコンバート用ローカル信号発振器106が市販の発振器であり、ダウンコンバート用ローカル信号発振器206が図3に示す様に構成されていても良いし、両発振器が図3に示す様に構成されていても良い。
【0067】
又、本実施例では、電圧制御発振器305においては、空芯のコイル(Q値(quality−factorの値)は一定)を採用しているが、導線を巻回したボビンの中にフェライトコアが挿入され、フェライトコアの挿入量の増減に応じてQ値が増減するモールドコイルを採用しても良い。この様に構成されている場合には、コイルのQ値を適宜調整すれば、アップコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分をより詳細に調整することができるので、より正確にアップコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とダウンコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とを同一にすることができる。
【0068】
又、本実施例では、PLL方式の発振器について述べたが、水晶発振器や誘電体発振器等、他の方式の発振器に応用することもでき、同様の効果が得られる。
[第2実施例]
次に、第2実施例について説明する。
【0069】
図6は、本実施例における棟内CATVシステムの全体構成を説明するブロック図であり、図7は、本実施例の棟内CATVシステムにおける周波数変換装置(ダウンコンバータ及びアップコンバータ)の構成を説明するためのブロック図である。
【0070】
本実施例の棟内CATVシステムは、第1実施例と同様に、引込線5から入力された外部の双方向CATVシステムの下り信号(70乃至602MHz)を、建造物10内にある加入者宅10a内の端末端子15まで伝送すると共に、加入者宅10a内のパーソナルコンピュータ17からケーブルモデム18を介して、端末端子15へ入力される入力上り信号(10乃至55MHz)を、端末端子15から引込線5まで伝送するものである。但し、本実施例は、保安器6から端末端子15に至る伝送路の一部に無線伝送路を用いる点で第1実施例とは構成が異なっているため、この構成の相違する部分を中心に説明する。
【0071】
図6に示す様に、本実施例の棟内CATVシステムでは、建造物10内において、一端が、保安器6を介して引込線5に接続された伝送線11aを備えており、この伝送線11aの他端には、伝送線11a上に設けられた双方向増幅器12及び、ダウンコンバータ50を介して、棟内無線通信装置40が接続されている。
【0072】
又、本実施例の棟内CATVシステムでは、建造物10内の加入者宅10a内において、一端が、加入者宅側無線通信装置39に接続された伝送線11bを備えており、この伝送線11bの他端には、伝送線11b上に設けられたアップコンバータ49及び、4分配器14を介して、端末端子15が接続されている。
【0073】
つまり、本実施例の棟内CATVシステムの伝送路は、保安器6から棟内無線通信装置40に至る有線伝送路、棟内無線通信装置40から加入者宅側無線通信装置39に至る無線伝送路、加入者宅側無線通信装置39から端末端子15に至る有線伝送路により構成されている。
【0074】
ここで、棟内無線通信装置40及び加入者宅側無線通信装置39は、互いに双方向無線通信を行うものであり、各加入者宅側無線通信装置39は、棟内無線通信装置40から送信された下り信号を、夫々が受信し、棟内無線通信装置40は、各加入者宅側無線通信装置39から送信された棟内上り信号を全て受信する。
【0075】
加入者宅側無線通信装置39から端末端子15に至る伝送線11b上に設置されたアップコンバータ49は、図7(a)に示す様に、上流側が加入者宅側無線通信装置39に接続されていることを除けば、第1実施例のアップコンバータ19と全く同様に構成されている。
【0076】
即ち、アップコンバータ49は、端末端子15から4分配器14を介して入力された入力上り信号(10乃至55MHz)を、棟内上り信号(655乃至770MHz)へ周波数変換して、加入者宅側無線通信装置39へ伝送すると共に、加入者宅側無線通信装置39から伝送されてくる下り信号(70乃至602MHz)を、周波数変換することなく、4分配器を介して、端末端子15へ伝送するものである。
【0077】
又、保安器6から棟内無線通信装置40に至る伝送線11a上に設置されたダウンコンバータ50は、図7(b)に示す様に、下流側が棟内無線通信装置40に接続されていることを除けば、第1実施例のダウンコンバータ20と全く同様に構成されている。
【0078】
即ち、ダウンコンバータ50は、外部の双方向CATVシステムの引込線5から、保安器6及び、双方向増幅器12を介して入力された下り信号(70乃至602MHz)を、周波数変換することなく、棟内無線通信装置40へ伝送すると共に、棟内無線通信装置40から伝送されてくる棟内上り信号(655乃至770MHz)を、外部の双方向CATVシステムで伝送可能な周波数帯域(10乃至55MHz)の出力上り信号へ周波数変換して、双方向増幅器12及び、保安器6を介して、外部の双方向CATVシステムの引込線5へ伝送するものである。
【0079】
上記の周波数変換に関して、入力上り信号を、棟内上り信号へ周波数変換する際に用いるアップコンバータ49内のアップコンバート用ローカル信号発振器406は、第1実施例のアップコンバート用ローカル信号発振器106と同様のものであり、又、棟内上り信号を、出力上り信号へ周波数変換する際に用いるダウンコンバータ50内のダウンコンバート用ローカル信号発振器506は、第1実施例のダウンコンバート用ローカル信号発振器206と同様のものである。
【0080】
つまり、アップコンバート用ローカル信号発振器406及び、ダウンコンバート用ローカル信号発振器506が夫々生成するローカル信号(645MHz)は、位相雑音の周波数分布が略同一となるようにされている。
本実施例の棟内CATVシステムの無線伝送路において、下り信号及び、棟内上り信号の伝送を行う棟内無線通信装置40及び、加入者宅側無線通信装置39は、その周波数通過帯域(9.9乃至55.1MHz)が、少なくとも棟内上り信号に付加している位相雑音の分布より広く設定されている。
【0081】
つまり、アップコンバータ49で棟内上り信号に重畳された位相雑音は、欠落することなくダウンコンバータ50へ入力されるため、第1実施例と同様に、アップコンバート用ローカル信号と位相雑音の分布が略同一のダウンコンバート用ローカル信号を用いて、棟内上り信号を出力上り信号へ周波数変換することにより、位相雑音は相殺され、外部CATVシステムへ質の高い出力上り信号を伝送できる。
【0082】
以上より、本実施例は、第1実施例と同様の効果を得ることができるだけでなく、有線伝送路を築くことが困難な構造をした建造物においても、棟内CATVシステムを構築することができるという効果がある。
又、本実施例は、伝送路の一部に無線伝送路を用いることにより、棟内CATVシステムの配線を簡素化することができ、更に、棟内CATVシステム全体の伝送路に使用するケーブルの量や、ケーブル敷設工事の手間等が削減できる。
【0083】
従って、本実施例は、棟内CATVシステムの構築にかかるコストが低減できるという効果がある。
尚、本実施例では、アップコンバータ49及びダウンコンバータ50は、外部の無線通信装置に接続されているが、アップコンバータ49及びダウンコンバータ50自身が無線通信装置を内蔵しても良い。
【0084】
又、本実施例では、加入者宅10aにおける棟内CATVシステムが、加入者宅側無線通信装置39と、アップコンバータ49と、4分配器14と、端末端子15とが、夫々外部接続されてシステムを構成しているが、加入者宅側無線通信装置39と、アップコンバータ49と、4分配器14と、端末端子15とを、1つのパッケージに組み込んでも良い。
【0085】
又、本実施例では、アップコンバータ49及びダウンコンバータ50の各々が、ローカル信号発振器を備えているが、ダウンコンバータ50のみにローカル信号発振器506を備え、該ローカル信号発振器506が生成するローカル信号を、アップコンバータ49へ無線伝送により分配供給しても良い。
【0086】
この場合、ダウンコンバータ50には、その内部、又は外部に、ローカル信号発振器506にて生成されたローカル信号を送信する無線送信装置を設け、アップコンバータ49には、その内部、又は外部に、無線送信装置から送信されたローカル信号を、受信して、ミキサ406に供給する無線受信装置を設ければ良い。
【0087】
又、建造物10内に多数あるアップコンバータ49の内の何れか1つのみがローカル信号発振器406を備え、該ローカル信号発振器406が生成するローカル信号を、他のアップコンバータ49や、ダウンコンバータ50へ無線伝送により分配供給しても良い。
【0088】
この場合、アップコンバータ49の内、唯一ローカル信号発振器406を備えたものには、その内部、又は、外部に、ローカル信号発振器406にて生成されたローカル信号を送信する無線送信装置を設け、他のアップコンバータ49や、ダウンコンバータ50には、その内部、又は外部に、無線送信装置から送信されたローカル信号を、受信して、ミキサ405又は、ミキサ505に供給する無線受信装置を設ければ良い。
【0089】
又、建造物10内に、ローカル信号発振器を1つ設置し、該ローカル信号発振器が生成するローカル信号を、建造物10内のアップコンバータ49及び、ダウンコンバータ50へ無線伝送により分配供給しても良い。
この場合、建造物10内に設置されたローカル信号発振器には、その内部、又は外部に、該ローカル信号発振器にて生成されたローカル信号を送信する無線送信装置を設け、アップコンバータ49及び、ダウンコンバータ50には夫々、その内部、又は外部に、無線送信装置から送信されたローカル信号を受信して、ミキサ405、又は、ミキサ505に供給する無線受信装置を設ければ良い。
【0090】
又、アップコンバータ用ローカル信号発振器406及び、ダウンコンバート用ローカル信号発振器506が、PLL方式の発振器である場合、建造物10内に、基準信号発振器を1つ設置し、該基準信号発振器が生成する基準信号を、アップコンバータ49及び、ダウンコンバータ50へ無線伝送により分配供給しても良い。
【0091】
この場合、建造物10内に設置された基準信号発振器には、その内部、又は外部に、該基準信号発振器にて生成された基準信号を送信する無線送信装置を設け、アップコンバータ49及び、ダウンコンバータ50には夫々、その内部、又は外部に、無線送信装置から送信された基準信号を、受信して、ローカル信号発振器406のPLL回路又は、ローカル信号発振器506のPLL回路に供給する無線受信装置を設ければ良い。
【0092】
又、建造物10内に多数あるアップコンバータ49の内の何れか1つのみがローカル信号発振器406を備え、該ローカル信号発振器406が生成するローカル信号を、無線伝送により、他のアップコンバータ49のみに分配供給し、そして、ダウンコンバータ50は、アップコンバータ49で生成された棟内上り信号からローカル信号を抽出し、該ローカル信号を用いて、棟内上り信号を出力上り信号へ周波数変換しても良い。
【0093】
この場合、建造物10内に多数あるアップコンバータ49の内の1つのみがローカル信号発振器406を備え、該アップコンバータ49には、その内部、又は外部に、ローカル信号発振器406にて生成されたローカル信号を送信する無線送信装置を設け、他のアップコンバータ49には、その外部、又は内部に、無線送信装置から送信されたローカル信号を、受信して、ミキサ405に供給する無線受信装置を設ければ良い。
【0094】
そして、ダウンコンバータ50には、その内部、又は外部に、棟内無線通信装置40が受信した棟内上り信号を取り込み、該棟内上り信号からローカル信号を抽出し、該ローカル信号をミキサ505に供給するローカル信号抽出回路を設ければ良い。
【0095】
尚、ローカル信号抽出回路については、本願出願人が既に出願している特願平11−350212号において詳述しているので、ここでは説明を省略する。
又、本実施例では、本発明を、棟内CATVシステムに適用した例を示したが、送受信端にて周波数変換を行うものであれば、どのような通信システムに適用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施例の棟内CATVシステムの全体構成を説明するためのブロック図である。
【図2】 第1実施例における棟内CATVシステムの周波数変換装置(ダウンコンバータ及びアップコンバータ)の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】 アップコンバート用ローカル信号発振器の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】 入力上り信号,アップコンバート用ローカル信号(ダウンコンバート用ローカル信号),棟内上り信号,出力上り信号の波形を表す説明図である。
【図5】 ダウンコンバータ用ローカル信号の位相雑音とアップコンバータ用ローカル信号の位相雑音とのレベル差(dB)と、出力上り信号の周波数の上下3kHzにおける位相雑音のレベル(dBc)と、の関係を表す説明図である。
【図6】 第2実施例の棟内CATVシステムの全体構成を説明するためのブロック図である。
【図7】 第2実施例における棟内CATVシステムの周波数変換装置(ダウンコンバータ及びアップコンバータ)の構成を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
1…ヘッドエンド 2…分岐増幅器 3…延長増幅器 4…タップオフ 5…引込線 6…保安器 10…建造物 10a…加入者宅 11,11a,11b…伝送線 12…双方向増幅器 13…2分配器 14…4分配器 15…端末端子 16…テレビ受信機 17…パーソナルコンピュータ 18…ケーブルモデム 19…アップコンバータ 19a…下り信号通過回路 19b…上り信号周波数変換回路 101,104…LPF(ローパスフィルタ) 102,108…単方向増幅器 103,109…HPF(ハイパスフィルタ) 105…ミキサ 106…アップコンバート用ローカル信号発振器 107…BPF(バンドパスフィルタ) 20…ダウンコンバータ 20a…下り信号通過回路 20b…上り信号周波数変換回路 201,204…HPF(ハイパスフィルタ) 202,208…単方向増幅器 203,209…LPF(ローパスフィルタ) 205…ミキサ 206…ダウンコンバート用ローカル信号発振器 207…BPF(バンドパスフィルタ) 301…基準発振器 302…位相比較器
303…アクティブループフィルタ 304…ローパスフィルタ 305…電圧制御発振器 306…分周器 307…CPU 39…加入者宅側無線通信装置 40…棟内無線通信装置 49…アップコンバータ 49a…下り信号通過回路 49b…上り信号周波数変換回路 401,404…LPF(ローパスフィルタ) 402,408…単方向増幅器 403,409…HPF(ハイパスフィルタ) 405…ミキサ 406…アップコンバート用ローカル信号発振器 407…BPF(バンドパスフィルタ) 50…ダウンコンバータ 50a…下り信号通過回路 50b…上り信号周波数変換回路 501,504…HPF(ハイパスフィルタ) 502,508…単方向増幅器 503,509…LPF(ローパスフィルタ) 505…ミキサ 506…ダウンコンバート用ローカル信号発振器 507…BPF(バンドパスフィルタ) A3…高周波増幅器 C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8…コンデンサ CF,CP…可変コンデンサ L…コイル OA1,OA2…オペアンプ R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8…抵抗器 RE…可変抵抗器 T1…上流側端子 T2,T6…下流側端子 T3,T7…上流側端子 T4…下流側端子 T5…出力端子 VCC…直流電源 VCD…可変容量ダイオード

Claims (9)

  1. 入力された信号とアップコンバート用ローカル信号生成手段が生成した所定周波数のアップコンバート用ローカル信号とを混合することにより、入力された信号を周波数の高い信号に周波数変換して出力するアップコンバータと、
    入力された信号とダウンコンバート用ローカル信号生成手段が生成した所定周波数のダウンコンバート用ローカル信号とを混合することにより、入力された信号を周波数の低い信号に周波数変換して出力するダウンコンバータと、
    を伝送路上に備え、
    該伝送路の第1区間を伝送されてくる入力信号を、前記アップコンバータ及び前記ダウンコンバータの何れか一方にて前記入力信号とは周波数の異なる中間信号に周波数変換し、前記伝送路の第2区間については前記中間信号を伝送し、
    前記伝送路の第2区間を伝送されてくる前記中間信号を、前記アップコンバータ及び前記ダウンコンバータの何れか他方にて前記中間信号とは周波数の異なる出力信号に周波数変換し、前記伝送路の第3区間については前記出力信号を伝送する周波数変換装置であって、
    前記アップコンバート用ローカル信号生成手段及び前記ダウンコンバート用ローカル信号生成手段の何れか一方は、ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分を調整するための位相雑音調整手段を備え、
    前記アップコンバート用ローカル信号生成手段及び前記ダウンコンバート用ローカル信号生成手段は、前記位相雑音調整手段により、前記アップコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分と前記ダウンコンバート用ローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分とを略一致させることにより、位相雑音の周波数成分が略同一である前記アップコンバート用ローカル信号及び前記ダウンコンバート用ローカル信号を生成する様に構成されており、
    前記アップコンバータ及び前記ダウンコンバータは、
    前記入力信号を前記中間信号に周波数変換する際、前記ローカル信号の周波数に前記入力信号の周波数を加えた値に相当する周波数の信号を前記中間信号とする場合には、前記中間信号を前記出力信号に周波数変換する際、前記中間信号の周波数から前記ローカル信号の周波数を減じた値に相当する周波数の信号を前記出力信号とし、
    前記入力信号を前記中間信号に周波数変換する際、前記ローカル信号の周波数から前記入力信号の周波数を減じた値に相当する周波数の信号を前記中間信号とする場合には、前記中間信号を前記出力信号に周波数変換する際、前記ローカル信号の周波数から前記中間信号の周波数を減じた値に相当する周波数の信号を前記出力信号とする様に構成されていることを特徴とする周波数変換装置。
  2. 前記アップコンバート用ローカル信号のレベルと前記ダウンコンバート用ローカル信号のレベルとが略同一であることを特徴とする請求項1に記載の周波数変換装置。
  3. 前記アップコンバート用ローカル信号の周波数と前記ダウンコンバート用ローカル信号の周波数とが同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載の周波数変換装置。
  4. 前記位相雑音調整手段は、前記アップコンバート用ローカル信号生成手段又は前記ダウンコンバート用ローカル信号生成手段を構成する回路素子の特性値を変化させることによってローカル信号に含まれる位相雑音の周波数成分を調整する様に構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の周波数変換装置。
  5. 前記位相雑音調整手段は、前記回路素子の特性値として抵抗素子の抵抗値を変化させる様に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の周波数変換装置。
  6. 前記位相雑音調整手段は、前記回路素子の特性値として容量素子の静電容量値を変化させる様に構成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の周波数変換装置。
  7. 前記位相雑音調整手段は、前記回路素子の特性値として誘導素子の誘導係数値を変化させる様に構成されていることを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の周波数変換装置。
  8. 前記位相雑音調整手段は、前記回路素子の特性値として誘導素子のQ値(quality−factorの値)を変化させる様に構成されていることを特徴とする請求項4乃至7の何れかに記載の周波数変換装置。
  9. 前記伝送路は、第1区間及び第3区間が有線伝送路、第2区間が無線伝送路からなることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の周波数変換装置。
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