JP4680274B2 - 高硬度シリコーンゴムを与える組成物およびそれを封止材として用いた半導体装置 - Google Patents
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(A)一分子中に2個以上の脂肪族不飽和基を有する本質的に直鎖状のオルガノポリシロキサン:100質量部
(B)R1 3SiO1/2単位と、R1SiO3/2単位およびSiO2単位の少なくとも1種の単位と、さらに場合により存在してもよいR1 2SiO単位とから成り(式中、R1は独立に置換又は非置換の炭素原子数1〜10の一価炭化水素基を示す。)、一分子中に2個以上の脂肪族不飽和基を有する、オルガノポリシロキサン樹脂:50〜300質量部
(C)一分子中に3個以上の脂肪族不飽和基を有する環状オルガノポリシロキサン:(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して5〜30質量部、
(D)一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を平均2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が(A)成分、(B)成分および(C)成分中の脂肪族不飽和基の合計1モル当たり0.8〜5モルとなる量、および、
(E)白金族金属系触媒:有効量
を含有する、25℃での粘度が10,000mPa・s以下の付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
また、本発明は、半導体チップと、上記の組成物を硬化させてなるタイプA硬度が85以上であり、前記半導体チップを被覆または封止する硬化物とを有する半導体装置を提供する。
(A)成分の脂肪族不飽和基含有オルガノポリシロキサンは、本組成物の硬化後においてゴム弾性を与えるための必須成分となるものである。そのため、本質的に直鎖状であり、好ましくは直鎖状である。「本質的に直鎖状である」とは、本成分中の全てのシロキサン単位が主に2官能性のD単位(即ち、式:R2 2SiO単位で表される)で構成されるが、3モル%以下(0〜3モル%)、好ましくは2モル%以下(0〜2モル%)で分岐を形成する3官能のT単位(即ち、式:R2SiO3/2で表される単位)および4官能のQ単位(式:SiO4/2単位で表される単位)の少なくとも1種のシロキサン単位を含有してもよいことを意味する。好ましくは両末端のみが一官能性のM単位(式:R2 3SiO1/2で表される単位)で構成され、その他のシロキサン単位がすべてD単位からなる直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。ここで、R2は置換もしくは非置換の炭素原子数1〜10の一価炭化水素基である。
(上記式中、R3は炭素原子数2〜6の脂肪族不飽和基、R4は置換または非置換の脂肪族不飽和結合を含まない炭素原子数1〜10の一価の炭化水素基、aは0〜3の整数、nは30〜2000の整数、そしてmは0〜60の整数を示す。但し、a=0の場合は、mは2以上である。)
(B)成分の脂肪族不飽和基を有するオルガノポリシロキサン樹脂は、本発明の中で高硬度を実現するための必須成分である。この(B)成分のオルガノポリシロキサン樹脂は予め三次元架橋されており、本質的に、R1 3SiO1/2単位と、R1SiO3/2単位およびSiO2単位から選ばれる少なくとも1種の単位とからなるが、さらに場合によりR1 2SiO単位が存在してもよい。即ち、R1 3SiO1/2単位と、R1SiO3/2単位およびSiO2単位から選ばれる少なすぎると1種の単位とを必須に含有するものである。好ましくは、R1 3SiO1/2単位とSiO2単位とからなる。ここで、R1は、独立に、置換または非置換の炭素原子数1〜10の一価炭化水素基である。
(B)成分のオルガノポリシロキサン樹脂は一分子中に2個以上の、好ましくは3個以上の脂肪族不飽和基を有する。全R1の1〜50モル%、特に5〜30モル%が脂肪族不飽和基、特にアルケニル基であることが好ましい。
R1 nSiO[(4-n)/2] (2)
(式中、R1は前記の通りであり、nは1≦n<2を満たす数であり、好ましくは1.0〜1.8、より好ましくは1.05〜1.7、更に好ましくは1.1〜1.5の範囲の数である。)
で表される平均組成を有することでより具体的に示される。
(C)成分の脂肪族不飽和基含有環状オルガノポリシロキサンは、硬化物の高硬度化を実現しつつ、組成物の粘度を低下させる事を可能にする成分である。本成分は、通常、3〜20個、好ましくは3〜10個、より好ましくは3〜8個程度のジオルガノシロキサン単位(D単位)の繰り返しからなる環状構造を有するオルガノポリシロキサンに3個以上、好ましくは4個以上の脂肪族不飽和基、特にアルケニル基を有することを特徴とする。
(D)成分のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)、(B)および(C)成分を化学的に架橋させる架橋成分である。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一分子中にケイ素原子に結合した水素原子(Si-H基)を平均2個以上有し、平均3個以上有することが好ましい。更に好ましくは、その分子を構成する全てのケイ素原子中の70モル%以上、好ましくは80モル%以上のケイ素原子に水素原子が結合している。これらのケイ素原子に結合した水素原子以外のケイ素原子に結合した一価の基または原子は、すべて脂肪族不飽和結合を含有しない置換もしくは非置換の炭素原子数1〜6の炭化水素基であり、その例は(A)成分の説明においてR2に関して非置換または置換の炭素原子数1〜10の一価炭化水素基の例として挙げたものの内、アルケニル基およびシクロアルケニル基以外の非置換または置換の炭素原子数1〜6の一価炭化水素基を例示することができるが、好ましくはメチル基、フェニル基である。
(E)成分である白金族金属系触媒は、(A)、(B)および(C)成分の不飽和基と(D)成分のSi-H基をヒドロシリル化反応を起させて架橋させるためのものである。このような白金族金属系触媒としては、周知のヒドロシリル化反応用触媒が使用できる。その具体例としては、例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O(上式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0または6である。)等の塩化白金、塩化白金酸および塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(米国特許第3,220,972号明細書参照);塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス(米国特許第3,159,601号明細書、同第3,159,662号明細書、同第3,775,452号明細書参照);白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸または塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、特にビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックス等が挙げられる。通常、塩化白金酸もしくはその誘導体が使用される。好ましくは相溶性の観点およびクロル不純物の観点から、塩化白金酸をシリコーン変性したものが挙げられる。
そこで、本発明の組成物の典型例として、(A)〜(E)成分と、反応制御剤、接着助剤、チクソ性制御剤、補強材としてのヒュームドシリカ、光散乱剤、補強材としての結晶性シリカ、蛍光体、粘度調整剤としての石油系溶剤、シリコーン系無官能オイル、銀、金などの導電性付与性金属粉、着色のための顔料および染料からなる群から選ばれる少なくとも一種の成分からなる組成物を挙げることができる。これら任意成分の適切な配合量は当業者には自明である。
接着助剤は、本組成物に接着性を付与するための成分である。接着信頼性は半導体装置の被覆や封止には重要な性能であり、この様な用途では接着助剤は必須となる。その場合の添加量は、(A)〜(D)成分の合計量100質量部に対して通常0.5〜20質量部であるのが好ましく、3〜10質量部がより好ましい。一方、成形品を作成する組成物においては、金型への密着性を向上させるこの様な添加剤はかえって組成物の作業性を低下させるため、添加の必要が無い。
本発明の組成物は、所要の成分を配合することより調製することができる。
該組成物の効果条件は特に制限されないが、硬化温度は100〜150℃が好ましく、およそ30〜180分加熱すればよい。
本発明の組成物は公知の様々な用途において保護膜形成に有用である。特に、透明性に優れるなどのため、半導体装置において支持構造体上に搭載された半導体チップの被覆または封止、レンズの形成に有用である。また、未硬化状態で低粘度であるので微小な隙間に挿入することができそのような箇所のシール材として有用である。
本発明の組成物で被覆または封止される半導体チップとしては、例えば、IC,LSI,発光ダイオード、受光素子等が挙げられる。半導体チップは支持構造上に装着されたものだが、支持構造体は何ら制限されず、例えば、パッケージ、パッケージレスのCOB(chip on board)タイプの支持基板、例えばガラス繊維強化エポキシ樹脂基板(ガラスエポキシ基板)、ポリイミド系樹脂基板、金属製基板等、セラミック類等を挙げることができる。
以下の様な手順にて(A)成分と(B)成分を混合して3種のベースコンパウンド(ベース1〜3という。)を調製した。ベース1とベース2は(A)成分と(B)成分との比率が本発明の条件を満たすが、ベース3は満たさない例である。
(B)成分として、Me3SiO1/2単位、ViMe2SiO1/2単位、およびSiO4/2単位で構成され、SiO4/2に対してMe3SiO1/2およびViMe2SiO1/2の合計のモル比が0.8であるオルガノポリシロキサン樹脂であって、ビニル基含有量が0.074モル/100gであるオルガノポリシロキサン樹脂の50質量%トルエン溶液と、(A)成分として、両末端がビニル基で封鎖された25℃における粘度が5000mPa sである直鎖状のジメチルポリシロキサンを、固形分換算にて(即ち、(A)成分:(B)成分として)50対50の質量比で混合した。得られた混合物から120℃で10mmHg以下の減圧下でトルエンを除去して、室温で一見して流動性を示すが粘ちょうな液体を得た。
(B)成分としてベース1で使用したものと同じオルガノポリシロキサン樹脂を使用し、(A)成分としては、両末端がビニル基で封鎖された25℃における粘度が5000mPa sであり直鎖状のオルガノポリシロキサンであって、側鎖置換基の5モル%がフェニル基で残りがすべてメチル基であるものを使用した以外は、ベース1の場合と同様にして(A)成分と(B)成分との混合物を得た。該混合物は室温で一見して流動性を示すが粘ちょうな液体を得た。
(A)成分および(B)成分としてベース1の調製に使用したものを用い、(A)成分対(B)成分とを75対25の質量比で混合した以外は、ベース1の調製と同様にして(A)成分と(B)成分との混合物を調製した。この混合物は、室温で一見したのでは流動性を認められないほど高粘度である生ゴム状の液体を得た。
・(C)成分:
テトラメチルテトラビニルテトラシクロシロキサン
・(D)成分:
平均式がMe3SiO[Si(Me)(H)O]mSiMe3で示される25℃において粘度4.6mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン(なお、mはこのような粘度となる数である。)。
・(E)成分:
塩化白金酸から誘導したテトラメチルビニルジシロキサンを配位子として有する白金触媒を白金原子として1質量%含有するトルエン溶液を使用した。
・(F)成分:
エチニルシクロヘキサノール
・(G)成分:
・・(G-1)下記式で表されるエポキシ基含有環状シロキサン:
・・(G-4)3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM-403(信越化学製))
・・(G-5)アリルコハク酸無水物
・・(G-6)トリアリルイソシアヌレート
Claims (9)
- (A)一分子中に2個以上の、アルケニル基及びシクロアルケニル基から選ばれる脂肪族不飽和基を有し、25℃にて50mPa・s〜150,000mPa・sの粘度を有する本質的に直鎖状のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)R1 3SiO1/2単位と、R1SiO3/2単位およびSiO2単位の少なくとも1種の単位と、さらに場合により存在してもよいR1 2SiO単位とから成り(式中、R1は独立に置換又は非置換の炭素原子数1〜10の一価炭化水素基を示す。)、一分子中に2個以上の、アルケニル基及びシクロアルケニル基から選ばれる脂肪族不飽和基を有する、オルガノポリシロキサン樹脂:50〜300質量部、
(C)一分子中に3個以上の、アルケニル基及びシクロアルケニル基から選ばれる脂肪族不飽和基を有する環状オルガノポリシロキサン:(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して10〜30質量部、
(D)一分子中にケイ素原子に結合した水素原子を平均2個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:本成分中のケイ素原子に結合した水素原子の量が(A)成分、(B)成分および(C)成分中のアルケニル基及びシクロアルケニル基から選ばれる脂肪族不飽和基の合計1モル当たり0.8〜5モルとなる量、および
(E)白金族金属系触媒:有効量
を含有する、25℃での粘度が10,000mPa・s以下の付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物。 - (C)成分が、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して10〜25質量部の量で含まれる、請求項1に係る組成物。
- 前記(B)成分のオルガノポリシロキサン樹脂が、平均組成式(2):
R1 nSiO[(4-n)/2] (2)
(式中、R1は前記の通りであり、nは1≦n<2を満たす数である。)
で表される請求項1または2に係る組成物。 - 前記(B)成分がR1 3SiO1/2単位(式中、R1は前記のとおり)およびSiO2単位からなるオルガノポリシロキサンである請求項1〜3のいずれか1項に係る組成物。
- (A)成分および(B)成分において、前記脂肪族不飽和基はケイ素に結合したものであり、該脂肪族不飽和基以外のケイ素に結合した置換基はすべてメチル基である請求項1〜4のいずれか1項に係る組成物。
- さらに(F)反応制御剤を含有する請求項1〜5のいずれか1項に係る組成物。
- さらに(G)接着助剤を含有する請求項1〜6のいずれか1項に係る組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に係る組成物を硬化させてなるJIS Type A硬度が85以上であるシリコーンゴム硬化物。
- 半導体チップと、請求項1〜7のいずれか1項に係る組成物を硬化させてなり、JIS K 6253に規定のタイプAデュロメータで測定した硬さが85以上であり、前記半導体チップを封止する硬化物とを有する半導体装置。
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