JP6519531B2 - 付加硬化性シリコーン樹脂組成物及び光半導体装置用ダイアタッチ材 - Google Patents

付加硬化性シリコーン樹脂組成物及び光半導体装置用ダイアタッチ材 Download PDF

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本発明は、付加硬化性シリコーン樹脂組成物に関し、特に、透明性及びリフレクタ部材で成型されたLED基板上の銀リードフレームとの接着性に優れ、光半導体装置用ダイアタッチ材として好適なに付加硬化性シリコーン樹脂組成物に関する。
発光ダイオード(LED)は、電球や蛍光灯などの従来の発光装置と比較して、消費電力が少なく、また長寿命であるといった利点から近年急速に普及している。光半導体装置を作製する場合、先ずLED基板上の所定位置にダイアタッチ材と呼ばれるLEDチップ基板への固定化を目的とする硬化性の樹脂組成物が塗布される。ダイアタッチ材の塗布方法は、シリンジに充填された樹脂を、シリンジ先端に取り付けたニードルから圧力をかけて吐出し基板上へ転写するディスペンス法と、樹脂皿上に薄膜状態で広げた樹脂に転写ピンを押し付けた後、基板上へ樹脂の付着したピンを押し付け転写するスタンピング法の2つの方法が一般的である。そして、塗布した樹脂組成物の上部に、底部の多くがサファイアで形成されるLEDチップを配置するダイボンド工程が行われ、その後、上記樹脂組成物を硬化される工程を経て、多くが金により形成されるLEDチップの電極パッド部と、基板上の多くは銀により形成される導電性のリードフレーム部位とを金ワイヤにて接合するワイヤボンディング工程が行われるものである。ワイヤボンディング工程では、キャピラリー先端部に形成される金ボールを、超音波をかけながら電極パッド部に押しつけるが、この際、LEDチップが基板上に十分に固定化されていない場合、押し付け時に超音波が周囲へと拡散してしまい、金ワイヤが十分な強度で接合できないといった問題が発生する。また、後工程を経てLED装置を作製した後、点灯動作中にLEDチップが基板から浮いてしまうと、発熱体であるLEDチップから基板への放熱が十分に行えず、動作不良を引き起こすおそれがある。このため、ダイアタッチ材にはLEDチップを基板に十分に固定化するために、高強度且つ高接着性の硬化物を付与できる硬化性の樹脂組成物が用いられる。
また、照明用途に多く使用される高出力青色LED装置には、ダイアタッチ材として耐熱性及び耐光性の付与といった観点から、メチルシリコーン系等の付加硬化性シリコーン樹脂組成物が多く用いられている。しかし、このような従来の加硬化性シリコーン樹脂組成物は、従来のエポキシ樹脂と比較すると、樹脂の極性等の理由により、基板との接着性に劣る。特に、ダイアタッチ材の被着体であるLEDチップ底部のサファイアと銀リードフレーム部位とでは、後者との接着性が悪いという傾向が大きい。通常、LEDパッケージには、リフレクタと呼ばれる白色樹脂がリードフレームにモールド成型されるものであるが、ポリフタルアミド等の熱可塑性樹脂を用いる場合と比較して、成型金型との接着性がより一層高いエポキシモールディングコンパウンド(以下、「EMC」という)をリフレクタ部材に用いる場合には、離形性を向上させるために、ワックスが所定量添加される。EMCにて成型されたLEDパッケージは、酸や塩基による化学エッチング工程或いは、ブラスト洗浄による物理エッチング工程等を経るものであるが、モールド工程でリードフレームに滲み出したワックス成分が十分にエッチング工程で除去されていない場合には、リードフレーム部位とダイアタッチ材との接着性が悪化してしまう。
例えば、付加硬化性シリコーン樹脂組成物の接着性を向上させるために、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング材をシリコーン樹脂組成物中に添加する方法が知られている。このようなシランカップリング材は、硬化時に樹脂中に組み込まれづらいことや分子量が小さいことなどから揮発しやすく、樹脂硬化物と基板との接着性が安定しないことが知られている。
国際公開第2015/5247号(特許文献1)には、上記のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを、ジメチルジメトキシシランやメチルビニルジメトキシシラン等と共に、塩基性条件下で加水分解縮合させることにより、エポキシ基を有するポリマー型の接着助剤を得ている。このような接着助剤は、分子量が大きく、また、ビニル基を含有するために、付加硬化性シリコーン樹脂組成物中に添加した場合には、付加反応によって硬化時組み込まれるため、揮発性は低い。
しかしながら、上記接着助剤では、極性の低いメチルシリコーン系の付加硬化性シリコーン樹脂組成物との相溶性を良好に保つために、γ−グリシドキシプロピル基などの極性の高い活性部位であるエポキシ基の含有量を多くすることができず、結果として基板との接着性を良好なレベルで発現させるためには接着助剤を多く添加しなくてはならないという欠点がある。
国際公開第2015/72092号(特許文献2)には、熱伝導性フィラーを含有するシリコーン樹脂に、溶剤として高沸点の炭化水素系溶剤を使用することにより、スタンピング転写性、及び加熱硬化後の基板との接着力に優れるシリコーン樹脂組成物を与えることが記載されている。しかし、上記技術文献には、接着力評価において被着体である基板の銀リードフレーム部位との試験後の樹脂残り量など、基板との密着性に関しての記述はない。
このように、従来の付加硬化性シリコーン樹脂組成物では、特に光半導体装置用ダイアタッチ材として使用した場合に、リフレクタ部材で成型されたLED基板上の銀リードフレーム部位との接着性が不十分であるという問題があった。
国際公開第2015/5247号 国際公開第2015/72092号
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、透明性及びリフレクタ部材で成型されたLED基板上の銀リードフレームとの接着性に優れる付加硬化性シリコーン樹脂組成物、及び該組成物からなる光半導体装置用ダイアタッチ材を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、下記(A)〜(C)成分を含有する付加硬化性シリコーン樹脂組成物を、光半導体装置用ダイアタッチ材として使用した場合、透明性及びリフレクタ部材で成型されたLED基板上の銀リードフレームとの接着性に優れることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は、下記の付加硬化性シリコーン樹脂組成物及び光半導体装置用ダイアタッチ材を提供する。
〔1〕(A)下記(A−1)〜(A−4)からなるシリコーン樹脂組成物主剤と、
(A−1)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する直鎖状オルガノポリシロキサン、
(A−2)下記平均組成式(1)で表され、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する分岐状オルガノポリシロキサン、
(R4 3-t5 tSiO1/2a(R6 2SiO2/2b(R6SiO3/2c(SiO4/2d
(1)
(式中、R4は独立に炭素数2〜8のアルケニル基であり、R5は独立に炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R6はそれぞれ独立にR4又はR5である。a、b、c、dは、0.01≦a≦0.6、0≦b、0≦c、0.1≦d≦0.9であり、ただしa+b+c+d=1を満たし、tは0≦t<3である。)
(A−3)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する直鎖状又は分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(A−4)付加反応触媒
(B)接着助剤として下記平均組成式(2)で表され、重量平均分子量が、1,000以上6,000以下である直鎖状又は分岐状オルガノポリシロキサンと、
(R1 2SiO2/2p(R23SiO2/2q(R1SiO3/2r(R3SiO3/2s
(2)
(式中、R1は独立に炭素数2〜8のアルケニル基あるいは炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2は独立に炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R3はγ−グリシドキシプロピル基であり、1分子中少なくとも2個はアルケニル基であり、p、r、sは0又は正の数であり、qは正の数であり、0.01≦(p+r)/(q+s)≦0.3を満たす。)
(C)炭化水素系溶剤
とを含有するものであり、上記(B)成分の配合量が上記(A)〜(C)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部であり、上記(C)成分の配合量が(A)〜(C)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部であることを特徴とする付加硬化性シリコーン樹脂組成物。
〔2〕(A−1)成分と(A−2)成分との重量割合が20:80〜80:20である〔1〕記載の付加硬化性シリコーン樹脂組成物。
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕記載の付加硬化性シリコーン樹脂組成物からなる光半導体装置用ダイアタッチ材。
なお、本発明の付加硬化性シリコーン樹脂組成物が上記の効果が発現する理由としては、加熱硬化時に、極性が低く表面張力が低いシリコーン樹脂組成物主剤と、極性が高く表面張力が大きいγ−グリシドキシプロピル基を豊富に含む接着助剤成分とを、十分に相溶させる炭化水素系溶剤が空気界面方向に揮発するため、炭化水素系溶剤と相溶性の高いシリコーン樹脂組成物主剤を、空気界面方向に、基板である銀リードフレーム方向に接着助剤成分をより一層偏在させることで、接着助剤の活性部位であるγ−グリシドキシプロピル基と基板の銀表面の活性部位とを効率的に接触させることができるものと考えられる。また、LED基板上の銀リードフレーム上に、リフレクタ部材由来のワックス成分が残存付着している場合には、本発明の付加硬化性シリコーン樹脂組成物に含有する溶剤成分が硬化時に銀表面のワックス分を溶解させ、銀表面の活性部位を多くし、樹脂との接着性をより一層向上させることができることも考えられる。
本発明の付加硬化性シリコーン樹脂組成物は、透明性及びリフレクタ部材で成型されたLED基板上の銀リードフレームとの接着性に優れるため、該付加硬化性シリコーン樹脂組成物は、半導体装置用ダイアタッチ材として極めて有用である。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の付加硬化性シリコーン樹脂組成物は、(A)成分として下記(A−1)〜(A−4)からなるシリコーン樹脂組成物主剤を含有する。
(A−1)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する直鎖状オルガノポリシロキサン、
(A−2)下記平均組成式(1)で表され、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する分岐状オルガノポリシロキサン、
(R4 3-t5 tSiO1/2a(R6 2SiO2/2b(R6SiO3/2c(SiO4/2d
(1)
(式中、R4は独立に炭素数2〜8のアルケニル基であり、R5は独立に炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R6はそれぞれ独立にR4又はR5であり、分子中少なくとも2個はR6である。a、b、c、dは、0.01≦a≦0.6、0≦b、0≦c、0.1≦d≦0.9であり、ただしa+b+c+d=1を満たし、tは0≦t<3である。)
(A−3)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する直鎖状又は分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(A−4)付加反応触媒
更に、本発明の付加硬化性シリコーン樹脂組成物は、上記(A)成分に加えて、下記(B)及び(C)成分、
(B)接着助剤として下記平均組成式(2)で表される直鎖状あるいは分岐状オルガノポリシロキサン
(R1 2SiO2/2p(R23SiO2/2q(R1SiO3/2r(R3SiO3/2s
(2)
(式中、R1は独立に炭素数2〜8のアルケニル基あるいは炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2は独立に炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R3はγ−グリシドキシプロピル基であり、1分子中少なくとも2個はアルケニル基であり、p、r、sは0又は正の数であり、qは正の数であり、0.01≦(p+r)/(q+s)≦0.3を満たす)
(C)炭化水素系溶剤
を含有するものであり、上記(B)成分の配合量が上記(A)〜(C)成分の合計100部に対して0.1〜10質量部であり、上記(C)成分の配合量が(A)〜(C)成分の合計100部に対して0.1〜10質量部である。
<(A−1)直鎖状オルガノポリシロキサン>
(A−1)成分は、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する直鎖状オルガノポリシロキサンである。(A−1)成分として、特に、ケイ素原子に結合するアルケニル基を分子鎖両末端にのみ有する直鎖状オルガノポリシロキサンであることが好ましく、特に下記一般式(3)で表されるものが好適である。
Figure 0006519531

(式中、R7は独立に炭素数2〜8のアルケニル基又は炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、R8は独立に炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基である。kは0又は正の整数であり、直鎖状オルガノポリシロキサンの25℃の粘度を10〜1,000,000mPa・sとする数である。)
上記式(3)中、R7の炭素数2〜8、特に2〜6のアルケニル基として、具体的には、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基などが例示され、また、炭素数1〜12、特に1〜10の脂肪族不飽和結合を含まない非置換もしくは置換の一価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基等が例示できる。上記R7のアルケニル基としては、特にビニル基が好ましく、また脂肪族不飽和結合を含まない非置換もしくは置換の一価炭化水素基としては、得られる付加硬化性シリコーン樹脂組成物より作製されるシリコーン硬化物の、高温条件下や波長450nmの青色光下に長時間放置した際の耐変色性を考慮すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などのアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
また、R8の炭素数1〜12、特に1〜10の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基としては、上述したR7の脂肪族不飽和結合を含まない非置換もしくは置換の一価炭化水素基として例示したものと同様の基が例示でき、これらの中でも特にメチル基が上記と同様の理由により好ましい。
上記式(3)で表されるようなアルケニル基を両末端にのみ含有する直鎖状オルガノポリシロキサンは、アルケニル基を側鎖に有するオルガノポリシロキサンと比較して、樹脂硬化物が伸びに優れるため、クラックなどを発生し難いという利点がある。
(A−1)成分の直鎖状オルガノポリシロキサンは、その粘度が25℃で10〜1,000,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、より好ましくは100〜100,000mPa・sの範囲内である。25℃における粘度が上記の範囲よりも低いと、付加硬化性シリコーン樹脂組成物より得られる硬化物の強度が低くなる場合があり、25℃における粘度が上記の範囲よりも高いと、作業性が低下する場合がある。また、(A−1)成分が2種類以上の混合物である場合には、その混合物の粘度が25℃で10〜1,000,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。なお、本発明において、粘度はJIS K 7117−1:1999に記載の方法で、25℃において回転粘度計により測定した値である。
(A−1)成分としては、具体的には、以下のものが例示できる。
Figure 0006519531
Figure 0006519531
Figure 0006519531
(式中、kは上記と同じである。)
<(A−2)分岐状オルガノポリシロキサン>
(A−2)成分は、下記平均組成式(1)で表され、1分子中に少なくとも2個、好ましくは5〜50個のアルケニル基を有する分岐状オルガノポリシロキサンである。
(R4 3-t5 tSiO1/2a(R6 2SiO2/2b(R6SiO3/2c(SiO4/2d
(1)
(式中、R4は独立に炭素数2〜8のアルケニル基であり、R5は独立に炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R6はそれぞれ独立にR4又はR5であり、分子中少なくとも2個はR4である。a、b、c、dは、0.01≦a≦0.6、0≦b、0≦c、0.1≦d≦0.9であり、ただしa+b+c+d=1を満たし、tは0≦t<3であり、好ましくは1≦t<3である。)
上記式(1)中、R4の炭素数2〜8、特に2〜6のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基などが例示され、好ましくはビニル基、アリル基であり、好ましくはビニル基である。
また、R5の炭素数1〜12、特に1〜10の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基等が例示できる。上記R5としては、得られる付加硬化性シリコーン樹脂組成物より作製されるシリコーン硬化物の、高温条件下や波長450nmの青色光下に長時間放置した際の耐変色性を考慮すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などのアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
6は、R4又はR5であり、R6はD単位(上記式中のR6 2SiO2/2で示される構造単位)及びT単位(上記式中のR6SiO3/2で示される構造単位)の置換基であり、R6がアルケニル基の場合、M単位(上記式中のR4 3-t5 tSiO1/2で示される構造単位)中に存在するアルケニル基よりも反応性に劣り所定の硬化条件で十分に硬化させることが難しいため、アルケニル基はM単位のみに有することが好ましい。そのため、(A−2)成分はM単位中にアルケニル基を含み、かつ、D単位及びT単位中にアルケニル基を含まない(即ち、R6はR5である)ことが好ましい。よって、R6は上記R5と同様に、付加硬化性シリコーン樹脂組成物により得られるシリコーン樹脂硬化物の耐変色性を考慮すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などのアルキル基がより好ましく、特にメチル基が好ましい。
このように、M単位にのみアルケニル基を有する分岐状オルガノポリシロキサンは、アルケニル基をD単位あるいはT単位に有するオルガノポリシロキサンと比較して、硬化性に優れ所定の硬化条件で十分な強度で硬化させることができる。
また、上記式(1)中のR4 3-t5 tSiO1/2単位の上記含有率は、シロキサン単位の合計a+b+c+d=1に対して0.01≦a≦0.6の範囲にあり、好ましくは0.1≦a≦0.4の範囲である。また、R6 2SiO2/2単位の上記含有率bは、シロキサン単位の合計a+b+c+d=1に対して0≦bであり、好ましくは0≦b≦0.4の範囲である。更に、R6SiO3/2単位の上記含有率cは、シロキサン単位の合計a+b+c+d=1に対して0≦cであり、好ましくは0≦c≦0.4の範囲である。また、SiO4/2単位の上記含有率dは、シロキサン単位の合計a+b+c+d=1に対して0.1≦d≦0.9の範囲にあり、好ましくは0.3≦d≦0.6の範囲である。
(A−2)成分は、上述したように1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する分岐状オルガノポリシロキサンであり、構成単位がR4 3-t5 tSiO1/2単位、R6 2SiO2/2単位、R6SiO3/2単位及びSiO4/2単位から選ばれる単位を有するものである。構成単位がR4 3-t5 tSiO1/2単位、R6SiO3/2単位及びSiO4/2単位からなるものである場合が好ましく、特には構成単位がR4 3-t5 tSiO1/2単位及びSiO4/2単位からなるものであることが好ましい。上記のような構成単位であれば、付加硬化反応が進行しやすく、得られるシリコーン硬化物の強度が高くなる。
上記(A−2)成分は、各単位源となる化合物を上記範囲内の含有率で混合し、公知の方法、例えば酸存在下で共加水分解縮合を行うことによって容易に合成することができる。
ここで、上記R4 3-t5 tSiO1/2単位源は、下記構造式で表されるトリオルガノクロロシラン、トリオルガノアルコキシシラン、ヘキサオルガノジシロキサン等の有機ケイ素化合物が例示できるが、使用できるR4 3-t5 tSiO1/2単位源はこれに限定されない(なお、Meはメチル基、Etはエチル基を表す)。
Figure 0006519531
Figure 0006519531
Figure 0006519531
Figure 0006519531
上記R6 2SiO2/2単位源としては、例えば、ジオルガノジクロロシラン、ジオルガノジアルコキシシラン等が例示できるが、使用できるR6 2SiO2/2単位源はこれに限定されない。
また、上記R6SiO3/2単位源としては、例えば、オルガノトリクロロシラン、オルガノトリアルコキシシラン等が例示できるが、使用できるR6SiO3/2単位源はこれに限定されない。
更に、上記SiO4/2単位源としては、例えば、四塩化ケイ素、テトラアルコキシシラン、ポリアルキルシリケート等が例示できるが、使用できるSiO4/2単位源はこれに限定されない。
上記(A−1)成分と(A−2)成分との配合割合は、(A−1):(A−2)の質量割合で20:80〜80:20であることが好ましく、30:70〜70:30であることがより好ましい。(A−1)成分の質量割合が多すぎると、得られるシリコーン硬化物の強度が低下するおそれがある。また、(A−1)成分の質量割合が少なすぎると、シリコーン樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、作業性が低下するおそれがある。
<(A−3)オルガノハイドロジェンポリシロキサン>
本発明の(A−3)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する直鎖状又は分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、直鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記一般式(4)で表されるものが好適である。
Figure 0006519531

(式中、R9は独立に水素原子または炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、全R9中少なくとも2個は水素原子である。lは0又は正の整数であり、直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃の粘度を10〜1,000,000mPa・sとする数である。)
上記式(4)中、R9の炭素数1〜12、特に1〜10の脂肪族不飽和結合を含まない非置換もしくは置換の一価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基等が例示できる。上記R9の脂肪族不飽和結合を含まない非置換もしくは置換の一価炭化水素基としては、得られる付加硬化性シリコーン樹脂組成物より作製されるシリコーン硬化物の、高温条件下や波長450nmの青色光下に長時間放置した際の耐変色性を考慮すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などのアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
(A−3)成分の直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、その粘度が25℃で10〜1,000,000mPa・sの範囲内であることが好ましく、より好ましくは100〜100,000mPa・sの範囲内である。25℃における粘度が上記の範囲よりも低いと、付加硬化性シリコーン樹脂組成物より得られる硬化物の強度が低くなる場合がある。また、25℃における粘度が上記の範囲よりも高いと、作業性が低下する場合がある。更に、(A−3)成分の直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンが2種類以上の混合物である場合には、その混合物の粘度が25℃で10〜1,000,000mPa・sの範囲内であることが好ましい。
なお、本成分の粘度はJIS K 7117−1:1999に記載の方法で、25℃において回転粘度計により測定した値である。
(A−3)成分の直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、具体的には、以下のものが例示できる。
Figure 0006519531
Figure 0006519531
Figure 0006519531
(式中、lは上記と同じであり、m及びnは正の整数であり、m+n=lを満たす。)
(A−3)成分の分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(5)で表されるものが好適である。
(R10 3SiO1/2e(SiO4/2f (5)
(式中、R10は独立に水素原子または炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、全R10中少なくとも2個は水素原子であり、e、fは、0.01≦e≦0.6、好ましくは0.1≦e≦0.5、0.4≦f≦0.99、好ましくは0.5≦f≦0.9であり、ただしe+f=1を満たす。)
上記式(5)中、R10の炭素数1〜12、特に1〜10の脂肪族不飽和結合を含まない非置換もしくは置換の一価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基等が例示できる。上記R10の脂肪族不飽和結合を含まない非置換もしくは置換の一価炭化水素基としては、得られる付加硬化性シリコーン樹脂組成物より作製されるシリコーン硬化物の、高温条件下や波長450nmの青色光下に長時間放置した際の耐変色性を考慮すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などのアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
また、上記式(5)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のR10 3SiO1/2単位(M単位)の含有率eは、上記式(5)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを構成するシロキサン単位の合計e+f=1に対して、好ましくは0.01≦e≦0.6の範囲であり、より好ましくは0.1≦e≦0.5の範囲である。M単位の含有率eが上記範囲より低い場合、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量が大きくなり、作業性が低下するおそれがある。逆に、上記含有率eが上記範囲より高い場合、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量が小さくなり、得られる樹脂硬化物の強度が低下するおそれがある。
上記(A−3)成分の分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、上記(A−2)成分と同様に、各単位源となる化合物を上記範囲内の含有率で混合し、例えば、酸存在下で共加水分解縮合を行うことによって容易に合成することができる。
ここで、上記R10 3SiO1/2単位源は、下記構造式で表されるトリオルガノクロロシラン、トリオルガノアルコキシシラン及びヘキサオルガノジシロキサン等の有機ケイ素化合物が例示できるが、使用できるR10 3SiO1/2単位源については、これらの物質に限定されない。
Figure 0006519531

Figure 0006519531
(なお、上記式中、Meはメチル基、Etはエチル基を表す)。
Figure 0006519531
更に、上記SiO4/2単位源としては、例えば、四塩化ケイ素、テトラアルコキシシラン、或いは下記構造式で表されるテトラメトキシシラン及び/又はテトラエトキシシランの部分加水分解縮合物が例示できる。また、使用できるSiO4/2単位源については、これらに限定されるものではない。
Figure 0006519531
(A−3)成分の配合量については、特に制限はないが、上記〔(A−1)成分+(A−2)成分〕中のケイ素原子に結合したアルケニル基の合計1モルに対して、上記(A−3)成分中のケイ素原子に結合した水素原子の合計が0.5〜3.0モルとなる量とすることが好適である。特に、上記の配合量が0.8〜2.0モルの範囲内である場合、シリコーン樹脂組成物の付加硬化反応が円滑に進行し、該シリコーン樹脂組成物からシリコーン硬化物を容易に得ることができるため好適である。逆に、上記の配合量が上記範囲外である場合、シリコーン樹脂組成物の付加硬化反応が進行しづらくなり、また、シリコーン硬化物の経時変化が生じ易くなるおそれがある。
<(A−4)付加反応触媒>
(A−4)成分の付加反応触媒は、本発明の組成物の付加硬化反応を進行させるために配合されるものであり、白金系、パラジウム系、ロジウム系のものがあるが、コスト等の見地から白金、白金黒、塩化白金酸等の白金系のもの、例えば、H2PtCl6・mH2O,K2PtCl6,KHPtCl6・mH2O,K2PtCl4,K2PtCl4・mH2O,PtO2・mH2O(mは、正の整数)等や、これらと、オレフィン等の炭化水素、アルコール又はビニル基含有オルガノポリシロキサンとの錯体等を例示することができ、これらは単独でも、2種以上の組み合わせでも使用することができる。
付加反応触媒の配合量は、(A−1)〜(A−3)成分の合計量100質量部に対して、白金族金属の質量単位で0.1〜1,000ppmの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5〜200ppmの範囲である。付加反応触媒の配合量が上記の範囲より低い場合、シリコーン樹脂組成物の付加硬化反応が円滑に進行しなくなるおそれがある。逆に、付加反応触媒の配合量が上記範囲より高くなる場合、シリコーン硬化物に着色が生じ易くなるおそれがある。
<(B)接着助剤>
本発明の(B)成分である接着助剤は、下記平均組成式(2)で表される直鎖状又は分岐状オルガノポリシロキサンである。
(R1 2SiO2/2p(R23SiO2/2q(R1SiO3/2r(R3SiO3/2s
(2)
(式中、R1は独立に炭素数2〜8のアルケニル基あるいは炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2は独立に炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R3はγ−グリシドキシプロピル基であり、1分子中少なくとも2個はアルケニル基であり、p、r、sは0又は正の数であり、qは正の数であり、0.01≦(p+r)/(q+s)≦0.3を満たす。)
上記式(2)中、R1の炭素数2〜8、特に2〜6のアルケニル基として、具体的には、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基などが例示され、好ましくはビニル基、アリル基であり、好ましくはビニル基である。
また、R1及びR2の炭素数1〜12、特に1〜10の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基等が例示できる。上記R1としては、得られる付加硬化性シリコーン樹脂組成物より作製されるシリコーン硬化物の、高温条件下や波長450nmの青色光下に長時間放置した際の耐変色性を考慮すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などのアルキル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
3はγ−グリシドキシプロピル基であり、このようなグリシジル型のエポキシ基は、脂環式型のエポキシ基と比較して保存安定性に優れ、極性が高いことから本発明の接着助剤(B)成分の活性部位として好適に用いられる。
また、上記式(2)中のR1 2SiO2/2単位及びR1SiO3/2の合計p+rの、R23SiO2/2単位及びR3SiO3/2単位の合計q+sに対する割合は、0.01≦(p+r)/(q+s)≦0.3の範囲であり、好ましくは0.05≦(p+r)/(q+s)≦0.2の範囲である。(p+r)/(q+s)が上記範囲より低い場合、(B)成分が硬化物中に組み込まれづらくなり、基板との接着性が低下するおそれがある。逆に、(p+r)/(q+s)が上記範囲より低い高い場合、(A)成分である付加硬化性シリコーン樹脂成分との極性差が低くなり、熱硬化時の基板への偏在化が効率的に行えなくなるおそれがある。この場合、(B)成分のエポキシ当量は、150〜200g/mol、特に160〜190g/molとすることが好ましい。
また、(B)成分の配合量は、上記(A)〜(C)成分の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜5質量部である。(B)成分の配合量が上記範囲より少ない場合、基板との接着性が低下するおそれがある。また、(B)成分の配合量が上記範囲より多い場合、得られる付加硬化性シリコーン樹脂組成物が濁るおそれがある。
(B)成分の重量平均分子量は、1,000以上6,000以下であり、特に1,500以上5,000以下の範囲であることが好ましい。(B)成分の重量平均分子量が上記範囲より低い場合、(A)成分である付加硬化性シリコーン樹脂成分との相溶性が高くなり、加熱硬化時の基板への偏在化が効率的に行えなくなるおそれがある。逆に、(B)成分の重量平均分子量が上記範囲より高い場合、得られる付加硬化性シリコーン樹脂組成物が濁るおそれがある。なお、上記の重量平均分子量とは、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量を指すこととする。
[測定条件]
・展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
・流量:0.6mL/min
・検出器:示差屈折率検出器(RI)
・カラム:TSK Guardcolomn SuperH−L
・TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
・TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
・TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
・カラム温度:40℃
・試料注入量:20μL(濃度0.5重量%のTHF溶液)
(B)成分は、各単位源となる化合物を上記範囲内の含有率で混合し、公知の方法、例えば塩基存在下で共加水分解縮合を行うことによって容易に合成することができる。
ここで、上記R1 2SiO2/2単位源(R1は上記と同じ)は、下記構造で表されるジオルガノアルコキシシラン等の有機ケイ素化合物が例示できるが、使用できるR1 2SiO2/2単位源は、これらに限定されるものではない。
Figure 0006519531
Figure 0006519531

Figure 0006519531
(なお、上記式中、Meはメチル基、Etはエチル基を表す。)
上記R23SiO2/2単位源(R2、R3は上記と同じ)は、下記構造で表されるジオルガノアルコキシシラン等の有機ケイ素化合物が例示できるが、使用できるR23SiO2/2単位源はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006519531
Figure 0006519531
上記R1SiO3/2単位源は、下記構造で表されるジオルガノアルコキシシラン等の有機ケイ素化合物が例示できるが、使用できるR1SiO3/2単位源はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006519531

Figure 0006519531

(なお、上記式中、Meはメチル基、Etはエチル基を表す。)
上記R3SiO3/2単位源は、下記構造で表されるジオルガノアルコキシシラン等の有機ケイ素化合物が例示できるが、使用できるR3SiO3/2単位源はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006519531
Figure 0006519531
(なお、上記式中、Meはメチル基、Etはエチル基を表す。)
<(C)炭化水素系溶剤>
(C)成分の炭化水素系溶剤は、(A)成分であるシリコーン樹脂成分と、(B)成分である接着助剤成分とを十分に相溶させる溶剤であり、その配合量は、(A)〜(C)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部であり、好ましくは1〜5質量部配合である。(C)成分の配合量が上記の範囲より少ない場合、加熱硬化時に溶剤揮発による接着助剤成分の基板方向への偏在化を十分に行えないおそれがある。逆に、上記配合量が上記の範囲より多い場合、加熱硬化時に一部の溶剤が残存し、得られる樹脂硬化物の強度が低下するおそれがある。また、LED基板上の銀リードフレーム上にリフレクタ部材由来のワックス成分が残存付着している場合には、(C)成分は、硬化時に銀表面のワックス分を溶解させ、銀表面の活性部位を多くし、樹脂との接着性をより一層向上させる役割を果たす。
また、(C)成分の常圧下(1013hPa)での沸点は、好ましくは200℃以上350℃未満であり、より好ましくは220℃以上330℃以下の範囲である。(C)成分の沸点が上記の範囲より低い場合、基板上に塗布された樹脂へのLEDチップのダイボンド工程において、作業性が低下するおそれがあり、或いは、溶剤揮発による増粘からチップの底部に十分な範囲で樹脂が広がらなくなるおそれがある。逆に、(C)成分の上記沸点が上記の範囲より高い場合、加熱硬化時に一部の溶剤が残存し、得られる樹脂硬化物の強度が低下するおそれがある。
(C)成分の炭化水素系溶剤としては、市販品を用いることができ、その市販品としては、具体的には、TOTAL社「Hydroseal G232H」(沸点238〜261℃)、「Hydroseal G240H」(沸点:255〜282℃)、「Hydroseal G250H」(沸点258〜326℃)、「Hydroseal G270H」(沸点258〜287℃)、「Hydroseal G3H」(沸点277〜321℃)、「Hydroseal G400H」(沸点305〜347℃)が例示でき、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<その他の成分>
また、本発明の付加硬化性シリコーン樹脂組成物には、上述した(A)〜(C)成分以外にも、必要に応じて、各種の公知の添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。
<無機充填材>
本発明の付加硬化性シリコーン樹脂組成物には、得られる硬化物の強度を向上させる目的や、チキソ性を付与しダイアタッチ材の転写作業性を向上させる目的で無機充填材を配合することができる。無機充填材としては、例えば、ヒュームドシリカ、ヒュームド二酸化チタン等が例示できる。特に、得られる硬化物の透明性の観点から、無機充填材としては、ヒュームドシリカを用いることが好ましい。
無機充填材を配合する場合、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは20質量部以下であり、より好ましくは1〜10質量部の範囲とすることができる。特に、無機充填材としてヒュームドシリカを用いる場合には、付加硬化性シリコーン樹脂との馴染み性といった観点より、シリカ表面が疎水性基で処理されていることが好適である。疎水性基としては、具体的には、トリメチルシリル基やジメチルシリル基などのシロキサン系が挙げられる。上記シロキサン系の官能基で表面処理されたヒュームドシリカとしては、市販品として、日本アエロジル社のトリメチルシリル基で表面処理されたR812(比表面積230〜290m2/g)及びRX300(比表面積180〜220m2/g)、ジメチルシリル基で表面処理されたR976(比表面積225〜275m2/g)、R976S(比表面積215〜265m2/g)が挙げられる。本発明の付加硬化系シリコーン樹脂組成物においては、(C)成分として、γ−グリシドキシプロピル基を含有するオルガノポリシロキサンを接着助剤に用いるものであり、このような極性の高いエポキシ基は、ヒュームドシリカ表面の未処理のヒドロキシ基との相互作用が強いため、表面処理度が低いヒュームドシリカを添加すると貯蔵安定性が悪くなるおそれがあり、或いは、溶剤揮発時の基板方向への偏在化が効率的に行えなくなる等の不具合が生じるおそれがある。このため、ヒュームドシリカとしては、十分に表面処理がされているもの、つまり、比表面積が好ましくは150m2/g以上250m2/g以下であり、より好ましく170m2/g以上230m2/g以下であるものを用いることができる。本発明の所望の効果を発揮するという点では、比表面積が小さいヒュームドシリカが好適に用いられる。
<硬化抑制剤>
本発明の付加硬化性シリコーン樹脂組成物には、硬化速度を調整する等の目的で硬化抑制剤を配合することができる。硬化抑制剤としては、例えば、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンやヘキサビニルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンのようなビニル基含有オルガノポリシロキサン、エチニルシクロヘキサノールや3−メチル−1−ブチン−3−オールのようなアセチレンアルコール類及びそのシラン変性物やシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート及びこれらの混合物からなる群から選ばれる化合物等が挙げられる。硬化抑制剤を配合する場合は、(A)成分の合計100質量部に対して、、好ましくは0.001〜1.0質量部、より好ましくは0.005〜0.5質量部添加することができる。
本発明の付加硬化性シリコーン樹脂組成物は、用途に応じて、基板上に塗布した後、硬化させることができ、好ましくは温度60〜200℃、より好ましくは温度100〜175℃の範囲で加熱硬化が好ましい。加熱温度が上記の範囲より低い場合、溶剤の揮発性が悪いことにより接着助剤の基板方向への偏在化が十分行えず、基板と樹脂硬化物との接着強度が低下するおそれがある。また、加熱温度が上記範囲より高い場合、急激な溶剤の揮発による気泡の発生や樹脂の劣化が進行してしまうおそれがあり好ましくない。なお、上記加熱硬化時間は1〜4時間で良く、またステップ硬化の方式をとっても良い。
本発明の付加硬化性シリコーン樹脂組成物は、上述した接着助剤及び特定の溶剤を併用することにより、加熱硬化時に樹脂と基板との接着性を高めることができ、このため電気電子部品用途に好適に用いることができ、具体的には、光半導体装置用ダイアタッチ材として好適に使用することができる。
以下、合成例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、部とは「質量部」のことであり、Meは「メチル基」、Viは「ビニル基」、Epは「γ−グリシドキシプロピル基」をそれぞれ示す。
[合成例1]
−接着助剤(b−1)−
ViMeSi(OMe)2で示されるオルガノジアルコキシシラン0.7mol、γ−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン9.3molのイソプロピルアルコール溶液中に、25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を滴下し、加熱操作を行うことなく12時間撹拌した。50%リン酸二水素ナトリウム水溶液を添加して1時間撹拌した後、トルエンを加えて希釈し、有機層が中性になるまで水洗を行った。有機層を脱水後、120℃減圧下にて溶剤をストリップ操作にて留去し、接着助剤(b−1)を無色透明のオイル状物質として得た。得られた(b−1)の構成するシロキサン単位は、ViMeSiO2/2単位が5モル%、EpMeSiO2/2単位が95モル%で示され、GPC測定による重量平均分子量Mwは1,800、エポキシ当量は175g/molであった。
[合成例2]
−接着助剤(b−2)−
ViMeSi(OMe)2で示されるオルガノジアルコキシシラン0.6mol、Me2Si(OMe)2で示されるオルガノジアルコキシシラン1.0mol、γ−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン8.4molのイソプロピルアルコール溶液中に、25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を滴下し、加熱操作を行うことなく12時間撹拌した。50%リン酸二水素ナトリウム水溶液を添加して1時間撹拌した後、トルエンを加えて希釈し、有機層が中性になるまで水洗を行った。有機層を脱水後、120℃減圧下にて溶剤をストリップ操作にて留去し、接着助剤(b−2)を無色透明のオイル状物質として得た。得られた(b−2)の構成するシロキサン単位は、ViMeSiO2/2単位が5モル%、Me2SiO2/2単位が10モル%、EpCH3SiO2/2単位が85モル%で示され、GPC測定による重量平均分子量Mwは1,600、エポキシ当量は183g/molであった。
[合成例3]
−接着助剤(b−3)−
ViSi(OMe)3で示されるオルガノトリアルコキシシラン0.8mol、γ−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン1.0mol、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン8.2molのイソプロピルアルコール溶液中に、25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を滴下し、加熱操作を行うことなく12時間撹拌した。50%リン酸二水素ナトリウム水溶液を添加して1時間撹拌した後、トルエンを加えて希釈し、有機層が中性になるまで水洗を行った。有機層を脱水後、120℃減圧下にて溶剤をストリップ操作にて留去し、接着助剤(b−3)を無色透明のオイル状物質として得た。得られた(b−3)の構成するシロキサン単位は、ViSiO3/2単位が6モル%、EpCH3SiO2/2単位が12モル%、EpSiO3/2単位が82モル%で示され、GPC測定による重量平均分子量Mwは2,800、エポキシ当量は172g/molであった。
[合成例4]
−接着助剤(b−4)−
γ−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン1.0molのイソプロピルアルコール溶液中に、25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を滴下し、加熱操作を行うことなく12時間撹拌した。50%リン酸二水素ナトリウム水溶液を添加して1時間撹拌した後、トルエンを加えて希釈し、有機層が中性になるまで水洗を行った。有機層を脱水後、120℃減圧下にて溶剤をストリップ操作にて留去し、接着助剤(b−4)を無色透明のオイル状物質として得た。得られた(b−4)の構成するシロキサン単位は、EpMeSiO2/2単位が100モル%で示され、GPC測定による重量平均分子量Mwは1,850、エポキシ当量は172g/molであった。
[合成例5]
−接着助剤(b−5)−
ViMeSi(OMe)2で示されるオルガノジアルコキシシラン0.7mol、γ−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン9.3molのイソプロピルアルコール溶液中に、25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を滴下し、加熱操作を行うことなく1時間撹拌した。50%リン酸二水素ナトリウム水溶液を添加して1時間撹拌した後、トルエンを加えて希釈し、有機層が中性になるまで水洗を行った。有機層を脱水後、120℃減圧下にて溶剤をストリップ操作にて留去し、接着助剤(b−5)を無色透明のオイル状物質として得た。得られた(b−5)の構成するシロキサン単位は、ViMeSiO2/2単位が5モル%、EpMeSiO2/2単位が95モル%で示され、GPC測定による重量平均分子量Mwは950、エポキシ当量は181g/molであった。
[合成例6]
−接着助剤(b−6)−
ViSi(OMe)3で示されるオルガノトリアルコキシシラン0.8mol、γ−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン1.0mol、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン8.2molのイソプロピルアルコール溶液中に、25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を滴下し、60℃のオイルバスで加熱しながら12時間撹拌した。50%リン酸二水素ナトリウム水溶液を添加して1時間撹拌した後、トルエンを加えて希釈し、有機層が中性になるまで水洗を行った。有機層を脱水後、120℃減圧下にて溶剤をストリップ操作にて留去し、接着助剤(b−3)を無色透明のオイル状物質として得た。得られた(b−3)の構成するシロキサン単位は、ViSiO3/2単位が5モル%、EpCH3SiO2/2単位が11モル%、EpSiO3/2単位が84モル%で示され、GPC測定による重量平均分子量Mwは6,300、エポキシ当量は168g/molであった。
[合成例7]
−接着助剤(b−7)−
ViMeSi(OMe)2で示されるオルガノジアルコキシシラン0.6mol、Me2Si(OMe)2で示されるオルガノジアルコキシシラン2.7mol、γ−グリシドキシプロピル(メチル)ジメトキシシラン6.8molのイソプロピルアルコール溶液中に、25%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を滴下し、加熱操作を行うことなく12時間撹拌した。50%リン酸二水素ナトリウム水溶液を添加して1時間撹拌した後、トルエンを加えて希釈し、有機層が中性になるまで水洗を行った。有機層を脱水後、120℃減圧下にて溶剤をストリップ操作にて留去し、接着助剤(b−7)を無色透明のオイル状物質として得た。得られた(b−7)の構成するシロキサン単位は、ViMeSiO2/2単位が5モル%、Me2SiO2/2単位が25モル%、EpCH3SiO2/2単位が70モル%で示され、GPC測定による重量平均分子量Mwは1,550、エポキシ当量は210g/molであった。
[実施例1]
(A−1)下記式(6)
Figure 0006519531

で示される直鎖状ポリオルガノシロキサン30部に、(A−2)SiO4/2単位60モル%、Me3SiO1/2単位36モル%及びVi3SiO1/2単位4モル%からなる分岐状オルガノポリシロキサン70部に、(A−3)SiO4/2単位60モル%、H(Me)2SiO1/2単位16モル%及びMe3SiO1/2単位34モル%からなる分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(b−1)を該SiH基量が上記(A−1)成分及び(A−2)成分中のビニル基の合計量に対して、1.2倍モルとなる量、及び(A−4)塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金元素含有率:2質量%)0.05部、(B)合成例1で調製した接着助剤(b−1)を(A)〜(C)の合計100部に対して1.5部、(C)Hydroseal G250H(TOTAL社製、沸点:258〜326℃)を(A)〜(C)の合計100部に対して3部となるよう配合し、よく撹拌して付加硬化性シリコーン樹脂組成物を調製した。
[実施例2]
(A−1)下記式(7)
Figure 0006519531

で示される直鎖状ポリオルガノシロキサン30部に、(A−2)SiO4/2単位60モル%、Me3SiO1/2単位32モル%及びViMe2SiO1/2単位8モル%からなる分岐状オルガノポリシロキサン70部に、(A−3)下記式(8)
Figure 0006519531

で示される直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサン(b−1)を該SiH基量が上記(A−1)成分及び(A−2)成分中のビニル基の合計量に対して、1.2倍モル(H/Vi=1.2)となる量、及び(A−4)塩化白金酸のオクチルアルコール変性溶液(白金元素含有率:2質量%)0.05部、(B)合成例1で調製した接着助剤(b−1)を(A)〜(C)の合計100部に対して1.5部、(C)Hydroseal G250H(TOTAL社製、沸点:258〜326℃)を(A)〜(C)の合計100部に対して3部となるよう配合し、よく撹拌して付加硬化性シリコーン樹脂組成物を調製した。
[実施例3]
実施例1で用いた(B)成分を(b−1)から合成例2で調製した(b−2)に変更した以外は、実施例1と同じ組成にて付加硬化性シリコーン樹脂組成物を調製した。
[実施例4]
実施例1で用いた(B)成分を(b−1)から合成例3で調製した(b−3)に変更した以外は、実施例1と同じ組成にて付加硬化性シリコーン樹脂組成物を調製した。
[比較例1]
実施例1で用いた(B)成分である(b−1)を除いた以外は、実施例1と同じ組成にて付加硬化性シリコーン樹脂組成物を調製した。
[比較例2]
実施例2で用いた(B)成分である(b−1)を除いた以外は、実施例2と同じ組成にて付加硬化性シリコーン樹脂組成物を調製した。
[比較例3]
実施例1で用いた(C)成分である「Hydroseal G250H」を除いた以外は、実施例1と同じ組成にて付加硬化性シリコーン樹脂組成物を調製した。
[比較例4]
実施例2で用いた(C)成分である「Hydroseal G250H」を除いた以外は、実施例2と同じ組成にて付加硬化性シリコーン樹脂組成物を調製した。
[比較例5]
実施例1で用いた(B)成分である(b−1)を合成例4で調製した(b−4)に変更した以外は、実施例1と同じ組成にて付加硬化性シリコーン樹脂組成物を調製した。
[比較例6]
実施例1で用いた(B)成分である(b−1)を合成例5で調製した(b−5)に変更した以外は、実施例1と同じ組成にて付加硬化性シリコーン樹脂組成物を調製した。
[比較例7]
実施例1で用いた(B)成分である(b−1)を合成例6で調製した(b−6)に変更した以外は、実施例1と同じ組成にて付加硬化性シリコーン樹脂組成物を調製した。
[比較例8]
実施例1で用いた(B)成分である(b−1)を合成例7で調製した(b−7)に変更し、(A)〜(C)の合計100部に対して1.8部配合する以外は、実施例1と同じ組成にて付加硬化性シリコーン樹脂組成物を調製した。
[比較例9]
実施例1で用いた(C)成分である「Hydroseal G250H」を(A)〜(C)の合計100部に対して12部配合する以外は、実施例1と同じ組成にて付加硬化性シリコーン樹脂組成物を調製した。
実施例及び比較例の付加硬化性シリコーン樹脂組成物を用いて、該組成物の透明性、接着性を下記に示す試験方法により評価した。各測定結果について、実施例を表1に、比較例を表2に示す。
〈透明性〉
調製した付加硬化性シリコーン樹脂組成物を50mLの透明ビンに入れ、23℃の恒温水槽に30分浸漬した後、透明ビン中の樹脂組成物の透明性を目視により評価した。なお、上記の付加硬化性シリコーン樹脂組成物の透明性は、目視で無色透明であるものを「良(○)」、微濁〜白濁であるものを「不可(×)」として評価した。
〈接着性〉
リードフレーム部が銀めっきであり、リフレクタ部材がEMCであり、成型後に化学エッチングにより洗浄されたSMD型3030パッケージの各キャビティ中央部に樹脂を所定量塗布し、LEDチップ(GeneLite社製:B2424(610μm□))をダイボンドした後、熱風循環式乾燥機を使用して150℃×2時間加熱硬化した。加熱後、取り出したパッケージを25℃まで冷却し、ボンドテスター(ノードソン・アドバンスト・テクノロジー社製「Dage4000」)にてLEDチップと銀めっきとの接着強度を各樹脂について試験数50で測定し、平均接着強度を算出した。測定後、銀めっき表面を顕微鏡にて観察し、銀めっき側との平均樹脂残りが70%以上であるものを「樹脂残り 良(○)」、40%以上70%未満であるものを「可(△)」、40%未満であるものを「不可(×)」として評価した。
Figure 0006519531
Figure 0006519531
表1に示すように、実施例1〜4の付加硬化性シリコーン樹脂組成物は、外観の透明性が高く、またEMC基板での接着強度が高く、更に、銀めっき基板側への接着性も良好であるというものであった。一方、表2に示すように、比較例1〜9の付加硬化性シリコーン樹脂組成物では、いずれも樹脂組成物の透明性、EMC基板での接着強度、銀めっき基板側への接着性が劣るものであった。
比較例1及び比較例2は、実施例1及び実施例2から(B)成分をそれぞれ除いた例であり、その結果、実施例1〜2と比較して、透明性及び接着強度、更には、接着試験後のAgめっき側に樹脂残り面積が劣る。
比較例3及び比較例4は、実施例1及び実施例2から(C)成分をそれぞれ除いた例であり、その結果、実施例1〜2と比較して、透明性及び接着強度、更には接着試験後のAgめっき側に樹脂残り面積が劣る。
比較例5は、実施例1の(B)成分を、アルケニル基を持たない(b−4)に変更した例であり、その結果、硬化物中に組み込まれづらいため、実施例1と比較して、接着強度が劣る。

比較例6は、実施例1の(B)成分を、重量平均分子量Mwが低い(b−5)に変更した例であり、付加硬化性シリコーン樹脂成分との相溶性が高いため、実施例1と比較して接着強度や、その結果、接着試験後のAgめっき側に樹脂残り面積が劣る。
比較例7は、実施例1の(B)成分を、重量平均分子量Mwが高い(b−6)に変更した例であり、付加硬化性シリコーン樹脂成分との相溶性が低いため、樹脂組成物の透明性に劣る。
比較例8は、実施例1の(B)成分を、γ−グリシドキシプロピル基を有するシロキサン単位が少ない(b−7)に変更したもので、実施例1と、(A)〜(C)全体100部において含有されるγ−グリシドキシプロピル基を有するシロキサン単位量が近いにも関わらず、付加硬化性シリコーン樹脂成分との相溶性が高いため、実施例1と比較して接着強度や、接着試験後のAgめっき側に樹脂残り面積が劣る。
比較例9は、実施例1の(C)成分の配合量を多くした例であり、加熱硬化時に溶剤が残存しやすくなるため、実施例1と比較して、接着強度や、接着試験後のAgめっき側に樹脂残り面積が劣る。
上記評価試験の結果、本発明の付加硬化性シリコーン樹脂組成物は、上記特定の接着助剤及び溶剤を併用することにより、透明性に優れ、また、加熱硬化時に樹脂と基板との接着性を高めることができることが分かった。従って、本発明の付加硬化性シリコーン樹脂組成物は、光半導体装置用ダイアタッチ材として使用した際の接着性が高く、光半導体装置用ダイアタッチ材として極めて有用であることが確認された。

Claims (3)

  1. (A)下記(A−1)〜(A−4)からなるシリコーン樹脂組成物主剤と、
    (A−1)1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する直鎖状オルガノポリシロキサン、
    (A−2)下記平均組成式(1)で表され、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する分岐状オルガノポリシロキサン、
    (R4 3-t5 tSiO1/2a(R6 2SiO2/2b(R6SiO3/2c(SiO4/2d
    (1)
    (式中、R4は独立に炭素数2〜8のアルケニル基であり、R5は独立に炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R6はそれぞれ独立にR4又はR5である。a、b、c、dは、0.01≦a≦0.6、0≦b、0≦c、0.1≦d≦0.9であり、ただしa+b+c+d=1を満たし、tは0≦t<3である。)
    (A−3)1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する直鎖状又は分岐状オルガノハイドロジェンポリシロキサン、
    (A−4)付加反応触媒
    (B)接着助剤として下記平均組成式(2)で表され、重量平均分子量が、1,000以上6,000以下である直鎖状又は分岐状オルガノポリシロキサンと、
    (R1 2SiO2/2p(R23SiO2/2q(R1SiO3/2r(R3SiO3/2s
    (2)
    (式中、R1は独立に炭素数2〜8のアルケニル基あるいは炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R2は独立に炭素数1〜12の脂肪族不飽和結合を含まない非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R3はγ−グリシドキシプロピル基であり、1分子中少なくとも2個はアルケニル基であり、p、r、sは0又は正の数であり、qは正の数であり、0.01≦(p+r)/(q+s)≦0.3を満たす。)
    (C)炭化水素系溶剤
    とを含有するものであり、上記(B)成分の配合量が上記(A)〜(C)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部であり、上記(C)成分の配合量が(A)〜(C)成分の合計100質量部に対して0.1〜10質量部であることを特徴とする付加硬化性シリコーン樹脂組成物。
  2. (A−1)成分と(A−2)成分との重量割合が20:80〜80:20である請求項1記載の付加硬化性シリコーン樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2記載の付加硬化性シリコーン樹脂組成物からなる光半導体装置用ダイアタッチ材。
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