JP2007154042A - 硬化性ポリオルガノシロキサン組成物および半導体装置 - Google Patents

硬化性ポリオルガノシロキサン組成物および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 貯蔵安定性と硬化性とを備えた硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を提供する。
【解決手段】 ケイ素原子に結合した少なくとも2つのアルケニル基を有するアルケニル基含有ポリシロキサンと、ケイ素原子に結合した少なくとも2つのヒドロキシル基を有し、前記アルケニル基含有ポリシロキサンと付加反応するヒドロ基含有ポリシロキサンと、前記付加反応を促進する白金触媒と、以下に示す群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する遅延剤とを含有することを特徴とする。
【化1】
Figure 2007154042

【選択図】 なし

Description

本発明は、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、およびこれを用いた半導体装置に関する。
Si−H含有ポリシロキサン類とアルケニル基含有ポリシロキサン類との付加反応は、ハイドロシリル化反応と呼ばれ、シリコーン化合物の合成方法として広く使用されている。ハイドロシリル化反応を促進する触媒は数多く報告されており、H2PtCl6、PtCl2、およびPtCl4などの塩化白金化合物類が一般的である。また、クロロ白金酸を重炭酸ナトリウムのエタノール溶液の存在下でテトラビニルシクロテトラシロキサンと反応させて得られた白金錯体、いわゆる(Karstedt)触媒も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
白金化合物触媒は均一系であるので、反応液中に溶解している。このため、反応液の貯蔵中にも、ハイドロシリル化反応が徐々に進行して、ゲル化あるいは硬化してしまう。
意図しない反応を抑制するために、ハイドロシリル化反応による一液性タイプの樹脂組成物には反応抑制剤が添加される。この反応抑制剤の作用によって保存状態時の白金触媒の活性を抑え、硬化が求められる際には加熱して、触媒活性を高めることにより反応を開始する。反応抑制剤は、白金金属との間で錯体を形成することによって触媒の活性を抑制しているものの、その配位能力は小さく、反応を抑制する効果は充分ではない。場合によっては、触媒の活性を抑制するために組成物を冷蔵保存するなどの処置が必要とされ、硬化性が損なわれてしまう。このように、保存性と硬化性とをバランスよく満足する触媒は、未だ得られていないのが現状である。
米国特許第3775452号
本発明は、貯蔵安定性と硬化性とを備えた硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、およびかかる組成物の硬化物で半導体素子が封止された半導体装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかる硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、ケイ素原子に結合した少なくとも2つのアルケニル基を有するアルケニル基含有ポリシロキサンと、
ケイ素原子に結合した少なくとも2つのヒドロ基を有し、前記アルケニル基含有ポリシロキサンと付加反応するヒドロ基含有ポリシロキサンと、
前記付加反応を促進する白金触媒と、
以下に示す群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する遅延剤と
を含有することを特徴とする。
Figure 2007154042
(上記化学式中、Vは窒素原子と共に5または6員環の芳香族カチオンあるいは縮合多環炭化水素カチオンを形成する原子団を表わす。Wは窒素原子またはリン原子を表わす。Rxは、置換または無置換の炭素数1〜18のアルキル基、あるいは置換または無置換の炭素数2〜18のアルケニル基であり、前記アルキル基または前記アルケニル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよい。Rxは、夫々独立または同一であってもよい。Yは、N(CN)2またはC(CN)3である。)
本発明の一態様にかかる半導体装置は、この半導体素子を封止する樹脂層とを具備し、前記樹脂層は前述の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させてなる硬化物からなることを特徴とする。
本発明によれば、貯蔵安定性と硬化性とを備えた硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、およびかかる組成物の硬化物で半導体素子が封止された半導体装置が提供される。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明の実施形態にかかる硬化性ポリオルガノシロキサン組成物においては、少なくとも2つのアルケニル基を有するアルケニル基含有ポリシロキサンが含有される。このアルケニル基含有ポリシロキサンは、ケイ素原子に直結したアルケニル基を有する化合物であり、シロキサン骨格は直鎖状、分岐状、あるいは環状のいずれでもよい。また、こうした骨格を含むポリシロキサンの混合物によって、アルケニル基含有ポリシロキサンを構成することもできる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、1−ブテニル、および1−ヘキセニルなどが挙げられる。容易に合成できることから、ビニル基がアルケニル基として好ましい。
少なくとも2つのアルケニル基がケイ素原子に結合していれば、ほかの置換基がケイ素原子に結合していてもよい。具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、およびドデシルなどのアルキル基;フェニル、トリル基、キシリル基、およびナフチル基などのアリール基;ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、およびフェネチル基などのアラルキル基などが例示される。LED発光装置用の封止樹脂として用いる場合には、合成しやすく、しかも硬化後に良好な光透過性を保つという点から、アルキル基が好ましく、特にメチル基が最も好ましい。
また、上述した置換基には、ハロゲン原子、Si原子、O原子、N原子、またはS原子等のヘテロ原子が含有されていてもよい。
アルケニル基含有ポリシロキサンは、ハイドロシリル化反応のベースポリマーとなるもので、ケイ素原子に結合する全有機基のうち、0.05モル%以上50モル%以下がアルケニル基であることが好ましい。アルケニル基のモル数が0.05モル%未満の場合には、硬化が不十分になるおそれがある。一方、50モル%を超えて過剰にアルケニル基が存在すると、未反応のアルケニル基による光透過性の低下が懸念される。
アルケニル基含有ポリシロキサンの粘度は特に制限されないが、25℃において20mPa・s以上であることが好ましい。良好な機械的性質のゴム状弾性体が求められる場合には、500mPa・s以上であることがより好ましく、1,000〜1,000,000mPa・sが特に好ましい。硬化前は流動性の観点から、200,000mPa・s以下のものが望ましい。
本発明の実施形態にかかる硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に配合され得るアルケニル基含有ポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(a−1)で表わされる直鎖状ポリオルガノアルケニルシロキサンが挙げられる。
Figure 2007154042
上記一般式(a−1)中、pは、0〜10,000の整数であるである。R1の少なくとも2つはアルケニル基であり、残りは同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜18の1価の炭化水素基である。アルケニル基としては、すでに説明したように、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、および1−ヘキセニル基などが挙げられる。容易に合成できることから、ビニル基が好ましい。一方、R1として導入され得る1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アリール基、およびアラルキル基が挙げられる。こうした炭化水素基における少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、Si原子、O原子、N原子、またはS原子等のヘテロ原子等によって置換されていてもよい。合成しやすく、しかも硬化後に良好な光透過性を保つという点を考慮すると、メチル基が好ましい。直鎖状ポリオルガノアルケニルシロキサンの具体例を以下に示す。
Figure 2007154042
上記式中、pは1〜10,000の整数であり、qは1〜10,000の整数である。
LED発光装置の封止用以外の用途であれば、直鎖ポリオルガノアルケニルシロキサンとして、以下のような化合物を用いることができる。
Figure 2007154042
上記式中、pは1〜10,000の整数であり、qは1〜10,000の整数である。
こうした直鎖ポリオルガノアルケニルシロキサンにおいては、分子中にフェニル基が含まれている。フェニル基が含まれることによって、ポリオルガノアルケニルシロキサンは、紫外領域に吸収を有するという性質を示す。LED発光装置、特にパワーLED発光装置の場合には、紫外領域における光透過性が求められることから、フェニル基を含むポリオルガノアルケニルシロキサンの使用は好ましくない。しかしながら、例えば接着剤やコーティング剤といった用途であれば、フェニル基を含むポリオルガノアルケニルシロキサンを問題なく用いることができる。
あるいは、下記一般式(a−2)で表わされる環状のポリオルガノアルケニルシロキサンを、本発明の実施形態におけるアルケニル基含有ポリシロキサンとして用いてもよい。
Figure 2007154042
上記一般式(a−2)中、nは2から8の整数である。R1の少なくとも2つはアルケニル基であり、残りは同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜18の1価の炭化水素基である。R1として導入され得る1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アリール基、およびアラルキル基が挙げられる。こうした炭化水素基における少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、Si原子、O原子、N原子、またはS原子等のヘテロ原子等により置換されていてもよい。特に、メチル基が好ましい。環状ポリオルガノアルケニルシロキサンの具体例を以下に示す。
Figure 2007154042
すでに説明したように、LED用以外の用途であれば、フェニル基を含む環状ポリオルガノアルケニルシロキサンを用いてもよい。具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
Figure 2007154042
またさらに、下記一般式(a−3)で表わされるオルガノシロキサンを、アルケニル基含有ポリシロキサンとして用いてもよい。
Figure 2007154042
上記一般式(a−3)中、R1の少なくとも2つはアルケニル基であり、残りは同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜18の1価の炭化水素基である。R1として導入され得る1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アリール基、およびアラルキル基が例示される。こうした炭化水素基における少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、Si原子、O原子、N原子、またはS原子等のヘテロ原子等により置換されていてもよい。特に、メチル基であることが好ましい。具体例を以下に示す。
Figure 2007154042
一般式(a−3)を参照して説明したように、R1の少なくとも2個はアルケニル基であり、残りは、例えばメチル基とすることができる。具体的には、下記化学式で表わされる化合物である。
Figure 2007154042
LED発光装置用以外の用途に使用する場合には、下記化学式に示す化合物を用いることができる。
Figure 2007154042
上述したようなアルケニル基含有ポリシロキサンは、後述するヒドロ基含有ポリシロキサンと付加反応してハイドロシリル化されることにより、ゴム弾性体またはゲル状物が生成される。
本発明の実施形態にかかる組成物に含有されるヒドロ基含有ポリシロキサンは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有することが必要である。このヒドロ基含有ポリシロキサンは、ケイ素原子に直結したヒドロ基を有する化合物であり、シロキサン骨格は直鎖状、分岐状、あるいは環状のいずれでもよい。また、こうした骨格を含むポリシロキサンの混合物によってヒドロ基含有ポリシロキサンを構成することもできる。
少なくとも2つのヒドロ基がケイ素原子に結合していれば、ほかの置換基がケイ素原子に結合してもよい。具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、およびオクタデシルなどの炭素数1〜18のアルキル基;フェニル、トリル基、キシリル基、およびナフチル基などのアリール基;ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、およびフェネチル基などのアラルキル基などが例示される。LED発光装置用の封止樹脂に用いる場合には、合成が容易な点から、メチル基が最も好ましい。
また、上述した置換基には、ハロゲン原子、Si原子、O原子、N原子、またはS原子等のヘテロ原子が含有されていてもよい。
本発明の実施形態にかかる組成物に配合され得るヒドロ基含有ポリシロキサンとしては、例えば、下記一般式(b−1)で表わされる直鎖ポリオルガノハイドロジェンシロキサンが挙げられる。
Figure 2007154042
上記一般式(b−1)中、rは0〜10,000の整数である。R2の少なくとも2つはヒドロ基であり、残りは同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜18の1価の炭化水素基である。R2として導入され得る1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アリール基、およびアラルキル基が挙げられる。特に、メチル基であることが好ましい。直鎖ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの具体例を以下に示す。
Figure 2007154042
上記式中、rは0〜10,000の整数であり、sは0〜10,000の整数である。
LED発光装置用以外の用途であれば、直鎖ポリオルガノハイドロジェンシロキサンとして以下に示す化合物を用いることができる。
Figure 2007154042
上記式中、rは0〜10,000の整数であり、sは0〜10,000の整数である。
あるいは、下記一般式(b−2)で表わされる環状のポリオルガノハイドロジェンシロキサンを、本発明の実施形態におけるヒドロ基含有ポリシロキサンとして用いることもできる。
Figure 2007154042
上記一般式(b−2)中、nは2から8の整数である。R2の少なくとも2つはヒドロ基であり、残りは同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜18の1価の炭化水素基である。R2として導入され得る1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アリール基、およびアラルキル基が挙げられる。こうした炭化水素基における少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、Si原子、O原子、N原子、またはS原子等のヘテロ原子等により置換されていてもよい。特に、メチル基であることが好ましい。環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの具体例を以下に示す。
Figure 2007154042
LED発光装置用以外の用途であれば、環状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンとして、以下のような化合物を用いることができる。
Figure 2007154042
またさらに、下記一般式(b−3)で表わされるオルガノヒドロシロキサンを、本発明の実施形態におけるヒドロ基含有ポリシロキサンとして用いてもよい。
Figure 2007154042
上記一般式(b−3)中、R2の少なくとも2つはヒドロ基であり、残りは同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜18の1価の炭化水素基である。R2として導入され得る1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アリール基、およびアラルキル基が例示される。こうした炭化水素基における少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、Si原子、O原子、N原子、またはS原子等のヘテロ原子等により置換されていてもよい。特に、メチル基であることが好ましい。具体例を以下に示す。
Figure 2007154042
一般式(b−3)について説明したように、R2の少なくとも2つはヒドロ基であり、残りは、メチル基とすることができる。具体的には、下記化学式で表わされる化合物である。
Figure 2007154042
LED発光装置用以外の用途に使用する場合には、下記化学式に示す化合物を用いることができる。
Figure 2007154042
本発明の実施形態にかかる組成物においては、ヒドロ基含有ポリシロキサンは、次のような割合で配合することが好ましい。すなわち、アルケニル基含有ポリシロキサン中のアルケニル基1個に対し、ヒドロ基含有ポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子が0.1〜10個となるような量である。アルケニル基1個に対する水素原子が0.1個未満の場合には、ヒドロシリル化反応による架橋密度が低くなりすぎるため、所望の物理的性質を得ることが困難となる。一方、アルケニル基1個に対する水素原子が10個を超えると硬化時に発泡しやすく、硬化物の外観が損なわれる。さらに、硬化物の物理的な性質が著しく低下するために好ましくない。
本発明の実施形態にかかる硬化性ポリオルガノシロキサン組成物おいては、上述したようなアルケニル基含有ポリシロキサンとヒドロ基含有ポリシロキサンとをヒドロシリル化反応によって架橋するための触媒として、白金触媒が含有される。白金触媒は、通常、白金原子の有機金属錯体からなるものであり、ヒドロシリル化触媒としては従来公知の適宜の白金触媒を使用することができる。それらの例としては、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金とケトンとの錯体、白金とビニルシロキサンなどの錯体が挙げられる。例えば、アシビーの米国特許第3159601号に記載されている白金炭化水素錯体、ラモローの同第3220970号に記載されている白金アルコラート錯体、カーステットの同第3516946号に記載されている白金−オレフィン錯体、スパイアーの示す触媒(アドバンスドオーガニックケミストリ−、17巻、407ページ、1979年に記載)である。
白金触媒の配合量は特に規定されないが、通常、組成物全体の重量に対して0.1〜500ppm程度の割合で配合されれば、効果が得られる。
上述したアルケニル基含有ポリシロキサン、ヒドロ基含有ポリシロキサン、および白金触媒に加えて、本発明の実施形態にかかる硬化性ポリオルガノシロキサン組成物には、以下に示す群から選択される特定の化合物が配合される。この化合物は、アルケニル基含有ポリシロキサンとヒドロ基含有ポリシロキサンとのヒドロシリル化反応を遅延させる遅延剤として作用する。こうした遅延剤を配合することによって、優れた硬化性を損なうことなく優れた保存安定性を付与することができる。
Figure 2007154042
上記化学式中、Vは窒素原子と共に5または6員環の芳香族カチオンあるいは縮合多環炭化水素カチオンを形成する原子団を表わす。Vは炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上の原子により構成されることが好ましい。
Wは窒素原子又はリン原子を表わす。
Rxは、置換または無置換の炭素数が1〜18のアルキル基、あるいは置換または無置換の炭素数が2〜18のアルケニル基であり、前記アルキル基または前記アルケニル基は、直鎖状、分岐状、または環式であってもよい。Rxは、夫々独立であっても同一であってもよい。Rxのうち2つ以上が互いに連結して、W(窒素原子またはリン原子)を含む非芳香環を形成していても良い。この非芳香環はさらに硫黄原子を含んでいてもよい。
Yは、N(CN)2またはC(CN)3である。
遅延剤として用いられる化合物の具体例を、以下に示す。
Figure 2007154042
なお、こうした化合物の一部がシリコーン樹脂に結合していてもよい。この場合には、遅延剤のシリコーン樹脂に対する溶解性の点で有利である。具体的には、以下に示す化合物が挙げられる。
Figure 2007154042
上記化学式中、Vは窒素原子と共に5または6員環の芳香族カチオンあるいは縮合多環炭化水素カチオンを形成する原子団を表わす。Vは炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上の原子により構成されるのが好ましい。Wは窒素原子またはリン原子を表わす。
Zは炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる1種以上の原子により構成される非芳香環を形成する。
Rxは、置換または無置換の炭素数1〜18のアルキル基、あるいは置換または無置換の炭素数2〜18のアルケニル基であり、前記アルキル基またはアルケニル基は、直鎖状、分岐状、または環状であってもよい。Rxは、それぞれ独立であっても同一であってもよく、Rxのうち2つ以上が互いに連結して、WあるいはSを含む非芳香環を形成していてもよい。
Rは、アルケニル基、炭素数1〜18の1価の炭化水素基である。アルケニル基としては、すでに説明したように、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、および1−ヘキセニル基などが挙げられる。容易に合成できることから、ビニル基が好ましい。一方、Rとして導入され得る1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アリール基、およびアラルキル基が挙げられる。こうした炭化水素基における少なくとも1つの水素原子は、ハロゲン原子、Si原子、O原子、N原子、またはS原子等のヘテロ原子等によって置換されていてもよい。合成しやすく、しかも硬化後に良好な光透過性を保つという点を考慮すると、メチル基が好ましい。
Yは、N(CN)2またはC(CN)3である。
窒素原子、リン原子およびイオウ原子からなる群から選択される少なくとも1種の元素(以下、元素Aと称する)を含有する上記一般式で表される化合物について、以下に詳細に説明する。
上記一般式においては、元素Aを含有する基が1分子当りに1つ以上含まれていればよい。1分子中に2つ以上の元素A含有基が含まれる場合、それらの基は必ずしも同一である必要はない。1分子当りの元素A含有基の数は、1以上1,000,000以下であることが好ましい。元素A含有基が分子中に1,000,000を越えると、合成が困難になる。
元素A含有化合物の形態は特に限定されず、例えば、モノマー、オリゴマー、あるいはポリマー等とすることができる。こうした化合物としては、例えば、窒素原子、リン原子および硫黄原子からなる群から選択される少なくとも1種の元素Aを含む置換基を、主鎖または側鎖に有するものが挙げられる。重合体においては、化合物中における元素A含有置換基の位置は、目的とする重合体が得られる限り特に限定されない。重合体の分子量が大きすぎる場合には、シリコーン樹脂に溶解しなくなるおそれがある。こうした不都合を避けるために、重合体の分子量は100,000程度にとどめることが望まれる。
元素A含有化合物の主鎖の骨格は、特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、あるいはポリシロキサン等とすることができる。なお、シリコーン樹脂に対する溶解性を考慮すると、ポリシロキサンが好ましい。
元素A含有置換基としては、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、および含窒素複素環化合物から導かれる基からなる群から選択される少なくとも1種の基が挙げられる。元素A含有化合物は、1分子中に存在する置換基を同一種類としてもよいが、1分子中に互いに異なる2種以上の置換基を有していてもよい。特に、3級アミノ基、窒素複素環化合物が好ましい。これらの基は、ハロゲン含有化合物に対する反応性が大きく、オニウム塩を形成しやすいためである。
1級アミノ基、2級アミノ基、および3級アミノ基が包含される3級窒素としては、例えば、アミノ基、N−メチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−プロピルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N−ブチルアミノ基、およびN,N−ジブチルアミノ基等を挙げることができる。
含窒素複素環置換基としては、例えば、ピロイル基、イミダゾイル基、ピラゾイル基、イソチアゾイル基、イソオキサゾイル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドイル基、インドイル基、イソアゾイル基、プリニル基、クイノリジニル基、イソクイノイル基、クイノイル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニジル基、キノアキサゾリニル基、シノイニル基、フェリジニル基、カルバゾール基、カルボリニル基、フェナンチリジニル基、アクチリニル基、ペリミジル基、フェナンシロィニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フィラザニル基、フェノキサジニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラリゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルフォリニル基、1−メチルイミダゾイル基、1−エチルイミダゾイル基、および1−プロピルイミダゾイル基等を挙げることができる。また、置換基として、前述した種類のなかから選ばれる1種以上の含窒素複素環置換基から構成されるスピロ環体、前述した種類の中から選ばれる2種以上の含窒素複素環置換基の集合体(ヘテロ環集合体)などを用いてもよい。
Nを含有する化合物としては、例えば、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、ピリジン、4−メチルピリジン、2,2−ビピリジル、4,4−ビピリジル、ピペリジン、ピラジン、ポリビニルイミダゾール、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリベンズイミダゾール、ビピリジン、ターピリジル、ポリビニルピロール、1,3,5−トリス(3−ジメチルアミノ)プロピルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリス−2アミノエチルアミン、ポリジアリルメチルアミン、ポリアリルジメチルアミン、ポリジメチルアリルアミン、ポリアリルアミン、およびポリジメチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。こうした化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
Pを含有する化合物としては、例えば、フォスフィン基を有するモノマー、オリゴマー、およびポリマー等を挙げることができる。具体的には、トリフェニルホスフィン、ポリビニルフェニルジフェニルホスフィン、1,2−フェニレンビスホスフィン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、および1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン等が挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
Sを含有する化合物としては、例えば、チオエーテル構造を含むものを挙げることができる。具体的には、ビス(メチルチオ)メタン、1,1−ビス(メチルチオ)−2−ニトロエチレン、ジエチルスルフィド、ポリビニルフェニルフェニルチオエーテル、およびエチル(ビスエチルチオ)アセテート等が挙げられる。これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記一般式で示した遅延剤は元素A含有化合物とハロゲン含有化合物より形成される。ハロゲン含有化合物としては、有機ハロゲン化物が好ましい。
ハロゲン含有化合物は、1分子当りのハロゲン原子数が1以上あればよい。1分子中に異なるハロゲン原子を存在させ、ハロゲン原子数の総量を2以上としてもよいが、1分子中に1種類のハロゲン原子を2つ以上存在させてもよい。1分子当りのハロゲン原子数は、2以上1,000,000以下であることがより好ましい。
1分子当りのハロゲン原子数が2以上であるハロゲン含有化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。ジブロモメタン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、ジブロモブタン、ジブロモペンタン、ジブロモヘキサン、ジブロモヘプタン、ジブロモオクタン、ジブロモノナン、ジブロモデカン、ジブロモウンデカン、ジブロモドデカン、ジブロモトリデカン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、ジクロロブタン、ジクロロペンタン、ジクロロヘキサン、ジクロロヘプタン、ジクロロオクタン、ジクロロノナン、ジクロロデカン、ジクロロウンデカン、ジクロロドデカン、ジクロロトリデカン、ジヨードメタン、ジヨードエタン、ジヨードプロパン、ジヨードブタン、ジヨードペンタン、ジヨードヘキサン、ジヨードヘプタン、ジヨードオクタン、ジヨードノナン、ジヨードデカン、ジヨードウンデカン、ジヨードドデカン、ジヨードトリデカン、1,2,4,5−テトラキスブロモメチルベンゼン、エピクロロヒドリンオリゴマー、エピブロモヒドリンオリゴマー、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス(3,3−ジブロモ−2−ブロモプロピル)イソシアヌル酸、1,2,3−トリブロモプロパン、ジヨードバーフルオロエタン、ジヨードパーフルオロプロパン、ジヨードパーフルオロヘキサン、ポリエピクロルヒドリン、ポリエピクロルヒドリンとポリエチレンエーテルとの共重合体、ポリエピブロモヒドリンおよびポリ塩化ビニルなどの多官能ハロゲン化物などである。こうしたハロゲン化物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記一般式で表される遅延剤のアニオンは、N(CN)2、C(CN)3である。具体的には、ナトリウムジシアノアミド、銀ジシアノアミドなどのジシアノアミド金属塩、トリアイアノメタニドを有する金属塩を用いたオニウム塩類のアニオン交換による方法を用いることができる。アニオン交換による合成方法は、例えば、グリーン・ケミストリー誌(Green Chemistry)、2002年、第4号、444〜448頁に記載されている。
遅延剤の配合量は、白金触媒1モルに対して0.01〜20モル程度とすることが好ましい。0.01モル未満の場合には、充分な効果を得ることができない。一方、20モルを越えて過剰に配合したところで、その効果が顕著に高められるわけではない。優れた硬化性と保存安定性を十分に確保するためには、遅延剤の配合量は、白金触媒1モルに対して0.5〜5モルが好ましい。遅延剤は、そのままの状態で組成物に添加することができる。あるいは、トルエン、2−プロパノール、テトラヒドロフランなどの有機溶媒に希釈して添加してもよい。
遅延剤は単独で用いて、ハイドロシリル化を遅延する効果が得られるが、アセチレンアルコールと併用した場合には、その効果をさらに高めることができる。アセチレンアルコールとしては、例えば、3−メチル−1−ブチン−3−オール、1−エチニル−1−ヘキサノール等が挙げられる。アセチレンアルコールの配合量は、白金触媒1モルに対して0.01〜20モルの範囲が好ましい。硬化性、安定性および硬化後の物理的特性などをよりいっそう高めるためには、0.5〜5がより好ましい。
本発明の実施形態にかかる硬化性オルガノシロキサン組成物には、透明性に粘度に悪影響を与えない範囲で各種の添加剤を配合することができる。そのような添加剤としては、例えば、シリコーン系やフッ素系の消泡剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、煙霧質シリカ、シリカエアロゾル、沈殿シリカ、粉砕シリカ、けいそう土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、およびカーボンブラックなどの無機充填剤が例示される。また、必要により適当な顔料、染料、接着助剤、防カビ剤、耐熱性向上剤、難燃剤または酸化防止剤を添加することができる。
本発明の実施形態における遅延剤は少量の添加で、常温における白金触媒の作用を効果的に抑制し、かつ加熱による硬化反応を阻害しない。このような遅延剤を用いることにより、本発明の実施形態にかかる硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、室温で長期間保存することができ、加熱硬化に際しては急速に硬化する。そのため、本発明の実施形態にかかる硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を使用すれば、作業性が高められ、取り扱いが可能な作業時間を延長することができる。
以下、具体例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず、次の5種類のポリシロキサンを用意した。
ポリシロキサンA:分子鎖両末端トリメチル基封鎖メチルビニルポリシロキサン−CO−ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合ビニル基の含有量=5モル%)、粘度:1000cSt、GELEST社製、製品名:VDT−431
ポリシロキサンB:直鎖状の分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、ケイ素原子結合ビニル基の含有量=1.0モル%、粘度:100cSt、GELEST社製、製品名:DMS−V21
ポリシロキサンC:分子鎖両末端トリメチル基封鎖メチルヒドロポリシロキサン−CO−ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合全基中のケイ素原子結合水素原子の含有率=1.0モル%)、粘度:6500cSt、GELEST社製、製品名:HMS−013
ポリシロキサンD:分子鎖両末端トリメチル基封鎖メチルヒドロポリシロキサン−CO−ジメチルポリシロキサン(ケイ素原子結合全基中のケイ素原子結合水素原子の含有率=8モル%)、粘度:130cSt、GELEST社製、製品名:HMS−082
ポリシロキサンE:分子鎖両末端トリメチル基封鎖メチルビニルポリシロキサン−CO−ジフェニルポリシロキサン、粘度:500cSt、GELEST社製、製品名:PDV−1625
これらのポリシロキサンの構造は、下記化学式で表わされる。
Figure 2007154042
白金触媒としては、塩化白金酸の2−プロパノール溶液と、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体のキシレン溶液とを用意した。
さらに、以下のような方法により4種類の化合物を合成して、遅延剤として用いた。
まず、1−メチルイミダゾールとヨウ化プロピルとを常法により反応させて、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムのヨウ化物を得た。これを、水中にてジシアノアミド銀と混合してアニオン交換することにより、イオン性液体(1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム−ジシアノアミド)を合成した。こうして得られた1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム−ジシアノアミドを、遅延剤Aとした。
トリエチルアミンとヨウ化プロピルとを常法により反応させて、プロピルトリエチルのヨウ化物を得た。これを、水中にてジシアノアミド銀と混合してアニオン交換することにより、イオン性液体(プロピルトリエチルアンモニウム−ジシアノアミド)を合成した。こうして得られたプロピルトリエチルアンモニウム−ジシアノアミドを、遅延剤Bとした。
1−メチルイミダゾールとヨウ化プロピルとを常法により反応させて、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムのヨウ化物を得た。これを、水中にてトリシアノメタニド銀と混合してアニオン交換することにより、イオン性液体(1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム−トリシアノメタニド)を合成した。こうして得られた1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム−トリシアノメタニドを、遅延剤Cとした。
メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサンポリマー(ヒドロメチルシロキサンを3モル%含有)に、塩化白金酸存在下でアリルブロミドを作用させて、メチル(3−ブロモプロピル)シロキサン−ジメチルシロキサンポリマーを定量的に得た。これに、トリエチルアミンを作用させて、シロキサンポリマー型のオニウム塩を得た。さらに、これをアセトン中にてジシアナミド銀と混合してアニオン交換することにより、ジシアノイミド型のオニウム塩(メチル(3−トリメチルアンモニウムプロピル)シロキサン−ジメチルシロキサンポリマーのジシアノアミド塩)を合成した。こうして得られたメチル(3−トリメチルアンモニウムプロピル)シロキサン−ジメチルシロキサンポリマーのジシアノアミド塩を、遅延剤Dとした。
これらの遅延剤A〜Dの構造を、以下の化学式で示す。
Figure 2007154042
さらに、従来の遅延剤としてアセチレンアルコール(3−メチル−1−ブチン−3−オール)を用意した。
上述の各成分を下記表1に示す処方で配合して、実施例1〜5の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を調製した。
Figure 2007154042
ポリシロキサンAおよびBは、少なくとも2つのアルケニル基を有するアルケニル基含有ポリシロキサンであり、ポリシロキサンCおよびDは、少なくとも2つのヒドロシリル基を有するヒドロ基含有ポリシロキサンである。表1に示したポリシロキサンの配合量は、重量%で表わした。また、白金触媒および遅延剤の配合量は、いずれもシロキサン樹脂に対する重量割合である。
さらに、下記表2に示す処方で各成分を配合して、比較例1〜4の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を調製した。なお、比較例1に配合されたポリシロキサンEは、フェニル基を有するアルケニル基含有ポリシロキサンである。
Figure 2007154042
得られた各組成物について、貯蔵安定性を調べた。具体的には、200mlのガラス製のサンプル瓶に、各組成物をそれぞれ収容し、25℃の恒温水槽中に瓶ごと静置した。組成物の粘度をE型粘度計により測定し、初期粘度の2倍になるまでの時間(日数)で貯蔵安定性を評価した。貯蔵安定性は、3日以上であれば許容範囲内である。
また、各組成物を硬化させて、得られた硬化物の光透過性を調べた。具体的には、各組成物を石英基板上にバーコーダーにより塗布して塗膜を形成した。石英基板ごと所定の温度のホットプレート上に静置し、この塗膜を120℃で1時間、さらに150℃で3時間、熱処理することによりで硬化させて、厚み0.03mmの薄膜からなる硬化物を形成した。得られた硬化物から10cmの距離に低圧水銀灯を配置して、1000時間照射した。その後、分光光度計を用いて、光透過率を測定した。光透過率の測定は、400nmおよび300nmの2種類の波長について行なった。波長400nmの光に対する光透過率は、紫外線で蛍光体を励起した白色LEDの透明性の指標となり、波長300nmの光に対する光透過率も同様である。長期的に光透過性に優れたシリコーン樹脂封止剤を得るためには、いずれの波長に対する光透明性も、85%以上であることが求められる。
得られた結果を、下記表3にまとめる。
Figure 2007154042
上記表3に示されるように、特定の遅延剤が含有された実施例1〜5の組成物は、粘度増加が小さく貯蔵安定性が高い。こうした遅延剤が含有されない比較例の組成物では、所望の貯蔵安定性を確保することができない。
遅延剤を含む実施例および従来の遅延剤を含む比較例において、150℃におけるゲル化時間はいずれの例においても30秒以内であった。すなわち、遅延剤による硬化阻害は観測されなかった。
光透過性に関しては、実施例1〜5の組成物は、400nmおよび300nmのいずれにおいても、優れた透過性を有する。こうした組成物は、LEDデバイスの透明樹脂層の形成に好適に用いることができる。
図1には、本発明の一実施形態にかかる半導体装置の構成を表わす概略図を示す。図示する半導体装置は、LED発光装置であり、凹部を有する基板4と、この凹部内に配置されたダイオードチップ6と、ダイオードチップを覆う透明樹脂層2とを含む。基板4には、内部電極5aおよび外部電極5bが設けられ、ダイオードチップ6の接続端子(図示せず)は、導電ワイヤ3により内部電極5aに接続される。
光は樹脂層を通過して出てくることから、図示するようなLED発光装置1においては、ダイオードチップ6を覆う透明樹脂層2には高い透明性が求められる。本発明の実施形態にかかる硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、上述したように優れた透明性を有するので、透明樹脂層2の形成に好適に用いられる。
しかも、本発明の実施形態にかかる硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、特定の化合物を遅延剤として含有していることに起因して、貯蔵安定性も優れている。このため、作業中におけるシリコーン樹脂の増粘に起因する吐出量の変動が抑えられるといった点でも有利である。
なお、本発明の実施形態にかかる硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させてなる硬化物で半導体素子を封止することによって、種々の半導体装置を製造することができる。例えば、半導体素子としてのフリップチップ実装により半導体素子を封止する場合、本発明の実施形態にかかる硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の硬化物で封止することによって、熱応力の緩和に優れた半導体装置が得られる。
さらに、本発明の実施形態にかかる硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、半導体装置のみならず、種々の用途に適用することができる。例えば、一般工業におけるディッピング剤、型取り用ゴム、成形材料、剥離用コーティング剤、歯科用印象材などの付加反応型シリコーンゴムまたはシリコーンゲルなど、幅広い用途に好適に使用することができ、その利用性は大きい。
本発明の一実施形態にかかる半導体装置の構成を示す模式図。
符号の説明
1…LED発光装置; 2…透明樹脂層; 3…導電ワイヤ; 4…基板
5a…内部電極; 5b…外部電極; 6…ダイオードチップ。

Claims (5)

  1. ケイ素原子に結合した少なくとも2つのアルケニル基を有するアルケニル基含有ポリシロキサンと、
    ケイ素原子に結合した少なくとも2つのヒドロ基を有し、前記アルケニル基含有ポリシロキサンと付加反応するヒドロ基含有ポリシロキサンと、
    前記付加反応を促進する白金触媒と、
    以下に示す群から選択される少なくとも1種の化合物を含有する遅延剤と
    を含有することを特徴とする硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
    Figure 2007154042
    (上記化学式中、Vは窒素原子と共に5または6員環の芳香族カチオンあるいは縮合多環炭化水素カチオンを形成する原子団を表わす。Wは窒素原子またはリン原子を表わす。Rxは、置換または無置換の炭素数1〜18のアルキル基、あるいは置換または無置換の炭素数2〜18のアルケニル基であり、前記アルキル基または前記アルケニル基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよい。Rxは、夫々独立または同一であってもよい。Yは、N(CN)2またはC(CN)3である。)
  2. 前記遅延剤に含有される化合物は、シリコーン樹脂に結合していることを特徴とする請求項1に記載の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  3. アセチレンアルコールをさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  4. 半導体素子と、この半導体素子を封止する樹脂層とを具備し、前記樹脂層は請求項1ないし3のいずれか1項に記載の硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させてなる硬化物からなることを特徴とする樹脂封止型半導体装置。
  5. 前記半導体素子が発光素子であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂封止型半導体装置。
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