JP4680209B2 - 歯列矯正用のインプラント構造 - Google Patents

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Description

本発明は、口腔内の骨に埋め込まれて固定源を形成し、歯を移動させる矯正を行うための歯列矯正用のインプラント構造に関する。
従来、歯列の矯正では、特定の歯を固定して、固定された歯と移動させる歯を接続して、矯正する歯を引っ張って動かす矯正方法がある。この場合、互いの歯で引っ張り合うため、固定した歯も移動する歯の方向に移動してしまうということがあった。そこで、例えば円筒形状のネジ部を形成したネジ式のインプラントを顎部の骨に埋め込み、これを固定源とし、このインプラントにプレートやワイヤーなどをろう着などの固定手段によって固定し、そのプレートやワイヤーなどの端部を歯に固定することで歯列矯正治療が行われている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1は、インプラントボディの頭部に溝を設けたアンカーヘッドを固定させるとともに、このアンカーヘッドを上下方向に貫通するねじ孔が設けられているインプラント構造であり、インプラントボディを顎部の骨に埋め込んで固定し、溝に一端を歯に固定させたワイヤーを係止し、ねじ孔にねじを螺合させることで、そのねじの先端部でワイヤーを固定するものである。
そして、一般的な歯列矯正用インプラントとして、ねじによって構成されるものや3点固定式の構造が多く使用されている。ねじ式のインプラントは、上述した特許文献1のようにインプラントボディに雄ねじを形成させたボルト形状をなし、粘膜下の骨にねじ部をねじ込んでアンカーを形成するものである。一方、3点固定式のインプラントは、インプラントの先端部に軸線方向に直交する方向に張出してなる突出部(支持部)を有する構造をなし、切開手術を行って突出部を骨に埋め込むことで強固に固定することを可能にしたものである。
特開2004−57729号公報
しかしながら、従来のインプラントでは以下のような問題があった。
ねじ式のインプラントは、切開手術の必要がなく、ねじを回転させることで簡単に固定することができるが、ねじ込みの状態が不十分であったり、歯列矯正の際に、ねじが緩む方向に力が作用するとねじが緩んで安定性が悪くなって固定源として使用できなくなるといった問題があった。また、3点固定式のインプラントでは、ねじ式のインプラントに比べて抜け難い構造ではあるが、突出部を埋め込む際に切開手術を施す必要があり、埋め込み作業に時間がかかるうえ、その切開部から感染しやすいといった問題があった。
このようなことから、切開手術が不要で、且つ容易に埋め込むことができ、しかも強固に固定できるインプラントが求められている。
さらに、従来のインプラントの構造では、プレートやワイヤーなどの上部構造体がインプラントに直接、ろう着などによって固定されているため、異なる形状の上部構造体に交換して矯正するような場合には、一度埋め込んだインプラントを抜き取って、新たなインプラントを埋め込まなければならず、容易に上部構造体を変えることができないといった欠点があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、切開手術が不要で、且つ容易に埋め込むことができ、しかも緩みがなく強固に固定できる歯列矯正用のインプラント構造を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、インプラントを抜き出すことなく、上部構造体を着脱できるようにした歯列矯正用のインプラント構造を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る歯列矯正用のインプラント構造は、口腔内の骨に埋め込ませて使用するための歯列矯正用のインプラント構造であって、挿通穴を有するとともに口腔内に配置される上部構造体と、頭部雄ねじ部と、軸線方向に垂直な断面形状が角形をなす係合角状部と、係合角状部より大きい外形をなす係止部材と、外周部に雄ねじを形成させて口腔内の骨に埋め込まれる埋込みねじ部とがこの順で頭部から先端部に向けて軸線方向に形成された一対のスクリューと、係合角状部に係合する複数の係合穴を形成させ、上方に向けて突出するとともに挿通穴挿通させる突出雄ねじ部を有するベースプレートと、頭部雄ねじ部に螺合する第1螺合部材と、突出雄ねじ部に螺合する第2螺合部材とを備え、一対のスクリューを口腔内の骨に埋め込み、係合角状部にベースプレートの係合穴を係合させた状態で頭部雄ねじ部に第1螺合部材を螺合させるとともに、突出雄ねじ部に上部構造体の挿通穴を挿通させ、その突出雄ねじ部に第2螺合部材を螺合させる構成とされたことを特徴としている。
本発明では、埋め込んだ一対のスクリューの係合角状部にベースプレートの係合穴を係合させることでベースプレートを配置させ、両スクリューの頭部雄ねじ部に第1螺合部材を螺合させるとともに、ベースプレートの突出雄ねじ部に上部構造体の挿通穴を挿通させ、その突出雄ねじ部に第2螺合部材を螺合させることで、上部構造体を口腔内に固定させることができる。一対のスクリューは、これらの係合角状部が角形状をなしてベースプレートの係合穴を係合させていることから、ベースプレートに対して回転が規制されることになり、緩むことがなくなって強固に固定されることになる。そして、上部構造体は、第2螺合部材を取り外すことでベースプレートから着脱することができることから、例えば歯を異なった方向から引っ張って動かしたい場合に、異なった形状をなす上部構造体に交換して歯列矯正を行うことができる。また、スクリューの埋込みねじ部の上部に係止部材を設けることで、スクリューの頭部が粘膜内に沈み込むことを防ぐことができる。
また、本発明に係る歯列矯正用のインプラント構造では、ベースプレートの複数の係合穴は、少なくとも一つが係合角状部の断面形状と同形状をなし、他の係合角状部が一対のスクリューのそれぞれの中心を通る軸線方向に長い長穴をなしていることが好ましい。
本発明では、一方のスクリューの係合角状部を長穴でないベースプレートの係合穴に係合させ、他方のスクリューの係合角状部を長穴をなす係合穴の範囲内で係合させることができる。そのため、例えば一対のスクリュー間の距離が一定でない状態や互いに平行でない状態であっても、長穴の範囲内で一対のスクリューにベースプレートを配置させることができることから、高精度なスクリューの埋め込み作業が不要となり、作業の簡略化が図れる。
本発明の歯列矯正用のインプラント構造によれば、一対のスクリューの係合角状部にベースプレートの係合穴を係合させることでスクリューの回転を規制させることができ、スクリューが抜け出して緩むことがなくなり、口腔内の骨に対してスクリューを強固に固定させることができる。そして、埋め込まれたスクリューがぐらつくことがないので、頭部雄ねじ部に螺合する第1螺合部材が緩むことを防ぐことができる。しかも、切開手術が不要なインプラント構造であり、回転によるねじ込みだけでスクリューを容易に埋め込むことができる。
また、本インプラント構造では、一度埋め込んだスクリューを抜き出すことなく、上部構造体のみを交換することができる。したがって、歯の引張り方向を変えるなど歯列矯正の方法によって好適な上部構造体に交換し、矯正する歯に対して様々な方向に歯を動かすことが可能となり、好適で、且つ確実な治療を行うことができる。
以下、本発明の歯列矯正用のインプラント構造の第一の実施の形態について、図1乃至図4に基づいて説明する。
図1は本発明の第一の実施の形態によるインプラント構造を示す斜視図、図2は図1に示すインプラント構造の分解斜視図、図3はインプラント構造を示す図であって、(a)はその平面図、(b)はその側面図、図4はスクリューの側面図である。
図1に示すように、本第一の実施の形態による歯列矯正用のインプラント構造は、口腔内の顎部の骨にスクリュー2を埋め込んで固定させ、このスクリュー2の頭部に上部構造体10を固定させて口腔内に配置させ、さらに上部構造体10に図示しない矯正用ブラケットなどをろう着により固着し、それに矯正用ワイヤー、エラスティックス、スプリングなどを介して所定の歯に接続することで歯を所定の方向に移動させるために使用するものである。
次に、本第一の実施の形態の歯列矯正用のインプラント構造1の構成について説明する。
図1乃至図3に示すように、インプラント構造1は、口腔内で顎部の骨に埋め込まれて使用される一対のスクリュー2A、2B(2)と、各スクリュー2の頭部に固定されるとともに上部構造体10を支持するベースプレート3と、各スクリュー2の頭部雄ねじ部21(後述)に螺合する第1ナット4(第1螺合部材)と、ベースプレート3の突出雄ねじ部31(後述)に螺合する第2ナット5(第2螺合部材)と、ベースプレート3上に着脱可能に設けられる上部構造体10とを備えている。そして、一対のスクリュー2A、2Bは、互いに所定の距離をもって離れて略平行に配置されている。
ここで、このインプラント構造1においては、スクリュー2の軸線方向で先端側を「下側」、「下方」とし、その反対側(基端側)を「上側」、「上方」として以下説明する。
図2に示すように、上部構造体10は、全体が左右対称の薄板状をなし、中央に配置されていてインプラント構造1に固定される位置をなす支持部10aと、この支持部10aから連結部10d、10dを介して水平方向で両側に羽状に延ばされた本体プレート10b、10cとを有している。そして、支持部10aには、後述するベースプレート3の突出雄ねじ部31に挿通可能とされる挿通穴10eが形成されている。なお、上部構造体10は、例えばろう着可能なステンレスなどの材料から構成されている。
図4に示すように、スクリュー2は、例えばチタン、チタン合金などの材料からなり、頭部雄ねじ部21、軸線方向に垂直な断面形状が角形をなす係合六角部22(係合角状部)、および係合六角部22より大きい外形をなす係止リング23(係止部材)、外周部に雄ねじを形成させて口腔内の骨に埋め込まれる埋込み雄ねじ部24がこの順で頭部から先端部に向けて軸線方向に形成されている。
係合六角部22は、後述するベースプレート3の第1係合穴32、或いは第2係合穴33を係合させるものである。そして、係合六角部22には、スクリュー2の軸線方向に対して直交する方向に貫通孔22aが設けられている。この貫通孔22aに例えば移動させる歯に固定させたゴムや針金などの一端を挿通させて固定し、そのゴムや針金などの他端を歯に固定してその歯を引っ張ることができる。
図2及び図4に示すように、係止リング23は、リング状をなし、スクリュー2の周方向全周にわたって設けられ、平面視の外形が埋込み雄ねじ部24及び係合六角部22の外形より大きい形状をなしている。そのため、係止リング23は、その下面23aが口内粘膜(図3(b)に示す二点鎖線H)上に接触した状態で配置され、上面23bでベースプレート3を支持する構成となっている。
埋込み雄ねじ部24は、下端に尖形を有する円筒状の本体部に軸線方向全体にわたって螺旋状の条部を形成させたものである。スクリュー2は、埋込み雄ねじ部24を回転させることにより顎部の骨に食い込ませることで固定され、埋込み雄ねじ部24が顎部に埋め込まれた状態で係止リング23から上方の部分(頭部雄ねじ部21、係合六角部22)が口内に突出することになる。
図2に示すように、ベースプレート3は、平面視略長方形の平坦状をなし、例えばステンレス(チタン)などの材料から形成されている。具体的なベースプレート3の構成は、略中央上面に上方に向けて突出するとともに周面に雄ねじを形成させた突出雄ねじ部31と、突出雄ねじ部31を挟んだ両側に形成されて一対のスクリュー2A、2Bのそれぞれの係合六角部22、22に対応して係合する第1係合穴32、第2係合穴33とからなる。
突出雄ねじ部31は、上述した上部構造体10の挿通穴10eを挿通可能に形成されている。そして、突出雄ねじ部31における基端部の周囲は、上部構造体10を固定させるための座面3aをなしている。また、ベースプレート3には、座面3aを挟んだ両側の位置にベースプレート3の短手方向に延びるガイド部34、34が形成されている。このガイド部34、34は、突出雄ねじ部31に取り付けた上部構造体10が突出雄ねじ部31を中心に回転することを規制させるものである。
第1係合穴32は、平面視で内周形状がスクリュー2の係合六角部22と同じ断面形状の六角形状をなし、係合六角部22に係合可能に形成されている。
第2係合穴33は、六角形状でベースプレート3の長手方向(一対のスクリュー2A、2Bのそれぞれの中心を通る軸線方向)に平行に延びる辺が長い形状の長穴をなしている。すなわち、一対のスクリュー2A、2B間の距離が一定でない場合や、互いに平行な状態で埋め込みできない場合であっても、一方のスクリュー2を第1係合穴32に係合させ、他方のスクリュー2を長穴の範囲内において第2係合穴33に係合させて、ベースプレート3を取り付けることが可能な構造となっている。例えば、一対のスクリュー2A、2Bの最小間隔を7.8mmとし、長穴をなす第2係合穴33内におけるスクリュー2の移動量を1.6mmの範囲とするとき、一対のスクリュー2A、2Bの埋め込み間隔は7.8mm〜9.4mmとなり、この範囲内であれば、互いのスクリュー2A、2B間の距離に関係なく埋め込むことができる。
ここで、図2に示す第1ナット4は、符号2Aのスクリューに対応するものを符号4Aとし、同じく符号2Bに対応するものを符号4Bとする。
第1ナット4A、4Bは、スクリュー2にベースプレート3を配置させた状態で、ベースプレート3より上方に突出した状態の頭部雄ねじ部21に螺合される。一方、第2ナット5は、ベースプレート3の突出雄ねじ部31に上部構造体10の挿通穴10eを挿通させた状態で、上部構造体10より上方に突出した突出雄ねじ部31に螺合される。
次に、上述したインプラント構造1を使用した取り付け方法と、インプラント構造1の作用について図面に基づいて説明する。
図2に示すように、先ず、歯列矯正を行うべき患者の口腔内の顎の骨(例えば、上顎の口蓋骨の中央部など)に対してインプラント構造1のアンカー位置(すなわちスクリュー2A、2Bの埋め込み位置)を決定する。そして、専用のドライバ(図示省略)などを使用し、二本のスクリュー2A、2Bを所定間隔をもって平行となるように回転させながらスクリュー2の軸線方向に埋め込む。
なお、図3(b)に示すように、埋め込むスクリュー2A、2Bは、係止リング23の下面23a(図4参照)が粘膜の表面(二点鎖線H)に接触する位置で下方へのねじ込みを終了させる。このとき、係止リング23が前記粘膜の表面Hに当接した状態となっているので、スクリュー2A、2Bが粘膜内に沈み込むことを防ぐことができる。
次いで、埋め込んだ一方のスクリュー2Aの係合六角部22を長穴でないベースプレート3の第1係合穴32に係合させ、他方のスクリュー2Bの係合六角部22を長穴をなす第2係合穴33の範囲内で係合させる。そのため、例えば一対のスクリュー2A、2B間の距離が一定でない状態や互いに平行でない状態であっても、長穴の範囲内で一対のスクリュー2A、2Bにベースプレート3を配置させることができることから、高精度なスクリューの埋め込み作業が不要となり、作業の簡略化が図れるようになっている。
そして、第1ナット4A、4Bを頭部雄ねじ部21に螺合させることでベースプレート3を固定する。なお、例えば埋め込んだ一対のスクリュー2A、2Bが平行でなく僅かに傾いた状態であっても、ベースプレート3がステンレス製などであることから、そのベースプレート3を適宜に湾曲させ、その係合穴32、33の位置を係合六角部22、22に合わせて調整することができる。
続いて、上部構造体10の挿通穴10eを突出雄ねじ部31に挿通させてから、第2ナット5をその突出雄ねじ部31に螺合させて上部構造体10を固定する。このとき、ベースプレート3に固定される上部構造体10は、ガイド部34、34(図3(a)参照)によって突出雄ねじ部31を中心とした軸周りの回転が規制されることになる。そして、固定された上部構造体10は、ベースプレート3の両側方に本体プレート10b、10cが張り出した状態で配置される。
このように埋め込まれた一対のスクリュー2A、2Bは、これらの係合六角部22、22が角形状をなしてベースプレート3の第1係合穴32や第2係合穴33を係合させていることから、ベースプレート3に対して回転が規制されることになり、緩むことがなくなって強固に固定されることになる。
そして、上部構造体10は、第2ナット5を取り外すことでベースプレート3から着脱することができることから、例えば歯を異なった方向から引っ張って動かしたい場合に、異なった形状をなす上部構造体に交換して歯列矯正を行うことができる。
上述した本第一の実施の形態による歯列矯正用のインプラント構造では、一対のスクリュー2A、2Bの係合六角部22にベースプレート3の第1係合穴32と第2係合穴33を係合させることでスクリュー2A、2Bの回転が規制されることから、スクリュー2A、2Bが抜け出して緩むことがなくなり、口腔内の骨に対してスクリュー2A、2Bを強固に固定させることができる。そして、埋め込まれたスクリュー2A、2Bがぐらつくことがないので、頭部雄ねじ部21に螺合する第1ナット4A、4Bが緩むことを防ぐことができる。しかも、切開手術が不要なインプラント構造であり、回転によるねじ込みだけでスクリュー2A、2Bを容易に埋め込むことができる。
また、本インプラント構造1では、一度埋め込んだスクリュー2A、2Bを抜き出すことなく、上部構造体のみを交換することができる。したがって、歯の引張り方向を変えるなど歯列矯正の方法によって好適な上部構造体に交換し、矯正する歯に対して様々な方向に歯を動かすことが可能となり、好適で、且つ確実な治療を行うことができる。
次に、本発明の第二の実施の形態および他の変形例について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第一の実施の形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第一の実施の形態と異なる構成について説明する。
図5は本発明の第二の実施の形態による上部構造体を取り付けたインプラント構造の概要を示す斜視図、図6は図5に示すインプラント構造の分解斜視図、図7は図5に示すインプラント構造の平面図、図8は図6に示すインプラント構造のベースプレートの平面図である。
図5及び図6に示すように、第二の実施の形態のインプラント構造1は、第一の実施の形態のベースプレート3(図1参照)に代えて、第1係合穴62、62、…を複数設けるとともに、上部構造体11を載せる位置(座面6a)が長手方向の一端に設けられたベースプレート6を用いた構造であり、例えば口腔内の骨の任意の位置に固定させて使用される。
図6及び図7に示すように、ベースプレート6には、1つの本体プレート11bを有する上部構造体11が固定されている。具体的に上部構造体11は、第一の実施の形態における略中央に支持部10aを設けた上部構造体10(図2参照)に代えて、一端に挿通穴11dを形成させた支持部11aを有し、この支持部11aに連結部11cを介して平板状の本体プレート11bが固定されている。本体プレート11bは、ステンレスなどの材料からなり、連結部11cで曲げてその角度を自在に変えることができる構成となっている。なお、スクリュー2A、2Bおよび第1ナット4、第2ナット5の構成は、第一の実施の形態と同様であるので説明は省略する。
ベースプレート6は、平面視略長方形の平坦状をなし、その一端に上方に突出した突出雄ねじ部61と、突出雄ねじ部61側の位置に設けられた長穴の第2係合穴63と、第2係合穴63を挟んで突出雄ねじ部61側と反対側の位置に長手方向に等間隔で配置される複数(本第二の実施の形態では4つ)の第1係合穴62、62、…とを有している。
そして、上部構造体11の本体プレート11bを外方に向けた状態で、挿通穴11dをベースプレート6の突出雄ねじ部61に挿通させてから、その突出雄ねじ部61に第2ナット5を螺合させ、上部構造体11をベースプレート6に対してインプラント構造1に固定させる構成となっている。
第二の実施の形態では、第一の実施の形態と同様にスクリュー2A、2Bの一方がベースプレート6の複数の第1係合穴62のいずれか1つに係合され、スクリュー2の他方が第2係合穴63に係合されることになる。
図8に示すように、本第二の実施の形態では、例えば、第2係合穴63の長手方向の寸法D1を5.6mm、第1係合穴62の長さ寸法D2を2.4mm、隣り合う第1係合穴62、62同士の間及び第1係合穴62と第2係合穴63との間の間隔D3(係合穴間寸法)を0.4mmとされる。具体的に第2係合穴63の長さ寸法D1は、2つの第1係合穴62、62の長さ寸法と係合穴間寸法とを合わせた寸法(D2+D2+D3)、すなわち5.2mm以上となっている。このとき、一対のスクリュー2A、2B同士の埋め込み可能な間隔は、最小寸法(隣り合う第1係合穴62、62の中心間距離)で2.8mmとなり、最大寸法で14.4mmとなる。すなわち、埋め込まれる一対のスクリュー2A、2Bの埋め込み間隔が2.8mm〜14.4mmの範囲内となっていれば、その両スクリュー2A、2Bにベースプレート6を取り付けることができる。
このように、本第二の実施の形態では、第一の実施の形態と同様にスクリュー2A、2Bの回転が規制されることから、スクリュー2A、2Bの安定性を向上させることができ強固に固定させることができる。そして、上部構造体11の着脱も、第一の実施の形態と同様に、第2ナット5を取り外すだけで、他の形状の上部構造体に交換することができる。
次に、図9(a)〜(c)を参照して第一の実施の形態の変形例(第1乃至第3変形例)を説明する。
図9(a)〜(c)は第一の実施の形態の他の形態を示す図であって、図1に対応する斜視図である。
図9(a)〜(c)に示す第1乃至第3変形例は、第一の実施の形態と同様のインプラント構造1、すなわち第1係合穴32及び第2係合穴33を有するベースプレート3(図2参照)を使用し、それぞれ異なる上部構造体12、13、14を取り付けた形態を示している。
図9(a)に示すように、第1変形例の上部構造体12は、中央に位置する支持部12aから両側に連結部12d、12dを介して本体プレート12b、12cを設けたものである。本上部構造体12は、本体プレート12b、12cがステンレスなどの材料からなり、連結部12d、12dを任意に湾曲させてその角度を自在に変えることができる構成となっている。
図9(b)に示すように、第2変形例の上部構造体13は、中央に位置する支持部13aから両側に向けて断面が円形をなす円形ワイヤー13b、13bを固定させたものである。
図9(c)に示すように、第3変形例の上部構造体14は、中央に位置する支持部14aから両側に向けて断面が角型をなす角型ワイヤー14b、14bを固定させたものである。
次に、図10(a)、(b)を参照して第二の実施の形態の変形例(第4及び第5変形例)を説明する。
図10(a)、(b)は第二の実施の形態の他の形態を示す図であって、図1に対応する斜視図である。
図10(a)、(b)に示す第4及び第5変形例は、第二の実施の形態と同様のインプラント構造1、すなわち複数の第1係合穴62、62、…及び第2係合穴63を有するベースプレート6(図6参照)を使用し、それぞれ異なる上部構造体15、16を取り付けた形態を示している。
図10(a)に示すように、第4変形例の上部構造体15は、一端に位置する支持部15aから外方に向けて断面が円形をなす円形ワイヤー15bを固定させたものである。
図10(b)に示すように、第5変形例の上部構造体16は、一端に位置する支持部16aから外方に向けて断面が角型をなす角型ワイヤー16bを固定させたものである。
以上、本発明による歯列矯正用のインプラント構造の第一の実施の形態、第二の実施の形態、及び各変形例(第1乃至第5変形例)について説明したが、本発明は上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施の形態では、係合六角部22としているが、平面視で六角形状であることに限定されることはない。要は、例えば平面視角形であればよいのであって、三角形、四角形、八角形などの形状であってもかまわない。
また、上部構造体10〜16、ベースプレート3の形状、長さ、種類などは実施の形態や各変形例に限定されるものではない。
さらに、第二の実施の形態、第4及び第5変形例では第1係合穴62の数量を4つとしているが、この数量にとくに限定されることはなく、第一の実施の形態の第1係合穴32ように1つであってもよく、また3つ或いは5つ以上設けてもかまわない
本発明の第一の実施の形態によるインプラント構造を示す斜視図である。 図1に示すインプラント構造の分解斜視図である。 インプラント構造を示す図であって、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。 スクリューの側面図である。 本発明の第二の実施の形態による上部構造体を取り付けたインプラント構造の概要を示す斜視図である。 図5に示すインプラント構造の分解斜視図である。 図5に示すインプラント構造の平面図である。 図6に示すインプラント構造のベースプレートの平面図である。 (a)〜(c)は第一の実施の形態の他の形態を示す図であって、図1に対応する斜視図である。 (a)、(b)は第二の実施の形態の他の形態を示す図であって、図1に対応する斜視図である。
符号の説明
1 インプラント構造
2、2A、2B スクリュー
21 頭部雄ねじ部
22 係合六角部(係合角状部)
23 係止リング(係止部材)
24 埋込み雄ねじ部
3、6 ベースプレート
31、61 突出雄ねじ部
32、62 第1係合穴
33、63 第2係合穴
4、4A、4B 第1ナット(第1螺合部材)
5 第2ナット(第2螺合部材)
10、11、12、13、14、15、16 上部構造体
10e、11d 挿通穴

Claims (2)

  1. 口腔内の骨に埋め込ませて使用するための歯列矯正用のインプラント構造であって、
    挿通穴を有するとともに前記口腔内に配置される上部構造体と、
    頭部雄ねじ部と、軸線方向に垂直な断面形状が角形をなす係合角状部と、前記係合角状部より大きい外形をなす係止部材と、外周部に雄ねじを形成させて前記口腔内の骨に埋め込まれる埋込みねじ部とがこの順で頭部から先端部に向けて軸線方向に形成された一対のスクリューと、
    前記係合角状部に係合する複数の係合穴を形成させ、上方に向けて突出するとともに前記挿通穴挿通させる突出雄ねじ部を有するベースプレートと、
    前記頭部雄ねじ部に螺合する第1螺合部材と、
    前記突出雄ねじ部に螺合する第2螺合部材と、
    を備え、
    前記一対のスクリューを口腔内の骨に埋め込み、前記係合角状部にベースプレートの係合穴を係合させた状態で前記頭部雄ねじ部に前記第1螺合部材を螺合させるとともに、前記突出雄ねじ部に前記上部構造体の挿通穴を挿通させ、その突出雄ねじ部に前記第2螺合部材を螺合させる構成とされたことを特徴とする歯列矯正用のインプラント構造。
  2. 前記ベースプレートの複数の係合穴は、少なくとも一つが前記係合角状部の前記断面形状と同形状をなし、他の係合角状部が前記一対のスクリューのそれぞれの中心を通る軸線方向に長い長穴をなしていることを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正用のインプラント構造。
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