WO2014163154A1

WO2014163154A1 - 歯列矯正用のインプラント治具

Info

Publication number: WO2014163154A1
Application number: PCT/JP2014/059874
Authority: WO
Inventors: 康寛斉宮; 岡田　典久; 淳一河野
Original assignee: オカダ医材株式会社
Priority date: 2013-04-04
Filing date: 2014-04-03
Publication date: 2014-10-09
Also published as: JP2014200430A

Abstract

本発明は、プレート形状をなす歯列矯正用のインプラント治具（Ａ１、Ａ２）であって、プレート部分と、前記プレート部分の一端に設けられ、口腔内の顎骨等の骨にねじ込まれる複数のスクリューの取付孔（２ａ，２ｂ，２ｃ）と、前記プレート部分の他端に設けられ、歯列矯正に用いる上部構造体（２０、２３）を着脱自在に取り付ける取付部（３）と、前記プレート部分の前記取付孔と前記取付部との間に設けられ、前記プレート部分を任意の方向に向けて屈曲させるための切欠部（４ａ、４ｂ、４ｃ）と、を備える。

Description

歯列矯正用のインプラント治具

　本発明は、例えば、口腔内の顎骨等の骨にねじ止めされるベースプレートを用いた歯列矯正用のインプラント治具に関する。本願は、２０１３年４月４日に日本に出願された特願２０１３－０７８６００号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　従来、歯列矯正では、矯正の対象でない特定の歯を固定源とし、その固定源の歯と矯正の対象である特定の歯との間で張力を働かせ、矯正の対象である特定の歯を移動させる。しかし、この歯列矯正の方法は、矯正の対象でない特定の歯にも引張力が働くために、その特定の歯も移動する可能性がある。そこで、特許文献１では、口腔内の顎骨等の骨にねじ止めされるインプラントボディを備える歯列矯正インプラントが提案されている。この特許文献１に示される歯列矯正は、口蓋骨にねじ込められるインプラントボディの先端部にワイヤーが設けられ、そのワイヤーの端部が矯正の対象である歯に固定されることにより、行われる。

　上記特許文献１の歯列矯正では、矯正の対象でない特定の歯に引張力が加わらないので、その特定の歯が移動しない。また、インプラントボディの口蓋骨への取り付けをねじ込みで行うので、切開手術を行う必要がない。しかし、この特許文献１の歯列矯正では、インプラントボディのねじ込みが不十分であったり、インプラントボディにねじが緩む方向の力が作用したときに、ねじ込み力が弱まる。このような場合、口蓋骨に対するインプラントボディの取り付けにおいて安定性が損なわれる。
　そこで、特許文献２では、一対のスクリューを用いる歯列矯正用のインプラント構造が提案されている。

　上記特許文献２の歯列矯正では、所定の間隔を保って口腔内の顎骨等の骨にねじ込まれる２本のスクリューを用いてベースプレートを固定する。その固定されたベースプレートに上部構造がねじ止めされ、その上部構造体を介して歯が矯正される。

日本国特開２００４－５７７２９号公報日本国特許第４６８０２０９号公報

　しかしながら、従来の上記スクリューを用いる歯列矯正用のインプラント治具では、一対のスクリューを用いてベースプレートが口蓋骨に固定されるので、一度ねじ込まれたスクリューが緩むことがなく、優れた安定性を備える歯列矯正用のインプラント治具を実現することができる。しかしながら、ベースプレートが上部構造体を支持するためだけに使用されるために、上部構造体が複雑化しやすく、部品点数が多くなる。

　本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、部品点数の増加を抑えることができるうえ、構造が簡素化され、使い勝手に優れた歯列矯正用のインプラント治具を提供することを目的とする。

　上記目的を達成するため、本発明に係る歯列矯正用のインプラント治具は、プレート形状をなすとともに、一端に口腔内の顎骨等の骨にねじ込まれる複数のスクリューの取付孔が設けられ、他端に歯列矯正に用いる上部構造体を着脱自在に取り付ける取付部が設けられ、取付孔と取付部との間には、プレート部分を任意の方向に向けて屈曲させるための切欠部が形成されている。

　本発明では、プレート部分の取付孔と前記取付部との間に形成されている切欠部の設けられている部分を中心にしてプレート部分を任意の方向に向けて屈曲させることができる。そのため、取付部に取り付けられる上部構造体の所望の姿勢に合わせて、取付部の位置や向きを適宜変えることが可能となる。そのため、インプラント治具を口腔内の顎骨等の骨に固定した後に、上部構造体の形状や用途に合わせて取付部の位置を調整することができる。例えばインプラント治具の固定位置が所定の位置とずれた場合であっても、取付部の位置を容易に変更することができる。そのため、インプラント治具を上部構造体に合わせて高い精度で位置決めして固定する必要がなく、大まかな位置に固定すれば済む。したがって、これらの作業が簡単になり、作業効率を向上させることで手間と時間を低減することが可能なる。

　また、プレート部分における切欠部の形成位置、向き、形成箇所の数を変えることで、インプラント治具を所望の形状に屈曲させることができる。
　また、従来のように部品点数を増やさずに、上部構造体を所定の姿勢に位置決めすることができるので、複雑な構造にならずにコストの低減を図ることができる。

　また、本発明に係る歯列矯正用のインプラント治具では、プレート部分が長尺状であり、その長手方向の一端に取付孔が設けられ、長手方向の他端に取付部が設けられていることが好ましい。

　これにより、プレート部分が長尺状の簡単な形状であることから、歯列矯正用のインプラント治具の製造及び加工が容易となる。そのため、顎骨等の骨に固定する際の取り扱いも容易になる。

　また、本発明に係る歯列矯正用のインプラント治具では、切欠部は、プレート部分の表面及び裏面の少なくとも一方に、屈曲させる方向に直交する方向全体にわたって肉薄に形成されていることが好ましい。

　これにより、切欠部によって薄肉に形成された箇所が屈曲部となり、プレート部分を表面及び裏面の少なくとも一方に向けて屈曲させることができる。

　また、本発明に係る歯列矯正用のインプラント治具では、切欠部は、プレート部分の所定箇所の幅寸法を小さくして形成されていてもよい。

　これにより、プレート部分の幅寸法が小さく形成されている箇所を中心にしてプレート部分を屈曲させることができる。

　本発明の歯列矯正用のインプラント治具によれば、切欠部を利用してプレート部分を屈曲させることができるので、部品点数を増加させることなく所望の形状に容易に形成することができる。
また、本発明の歯列矯正用のインプラント治具によれば、切欠部が設けられている位置でプレート部分を確実かつ容易に屈曲させることができるので、使い勝手に優れ、施術が容易になる。

本発明の第１実施形態による歯列矯正用のインプラント構造の分解図である。図１に示すインプラント構造におけるベースプレートの平面図である。図２に示すＸ－Ｘ線断面図である。ベースプレートの斜視図である。ベースプレートを屈曲させた状態の斜視図である。ベースプレートを屈曲させた状態の側面図である。ベースプレートに補助プレートを取り付けた状態の斜視図である。ベースプレートに補助プレートを取り付けた状態を示し、ベースプレートの表面側から見た上面図である。ベースプレートに補助プレートを取り付けた状態を示し、ベースプレートの長手方向の一端側から見た正面図である。ベースプレートに補助プレートを取り付けた状態を示す右側面図である。第２実施形態による歯列矯正用のインプラント治具の斜視図である。図１１に示すインプラント治具の上面図である。

　以下、本発明の実施形態による歯列矯正用のインプラント治具について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、この実施形態により限定されるものではなく、下記の実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、又は実質的に同一ものも含まれる。

（第１実施形態）
　第１実施形態による歯列矯正用のベースプレート１（インプラント治具）は、歯列矯正に用いられるインプラント構造Ａ１に含まれている。図１に示すように、インプラント構造Ａ１は、前記ベースプレート１、スクリュー１０ａ，１０ｂ、補助プレート２０（上部構造体）、及びビス３０を備えている。

　図１～図４に示すように、ベースプレート１は、チタンやチタン合金等の人体に害にならない金属製からなり、その全体形状は、所定の肉厚を有する長尺状（帯状体）を備えている。長手方向におけるベースプレート１のほぼ半分にあたる部分には、複数（図示の例では３個）の取付孔２ａ，２ｂ，２ｃが、長手方向に所定の間隔を保って設けられている。ここで、ベースプレート１において、口腔内の顎骨に固定した状態で、その顎骨に対向する側の面を裏面といい、その反対の面を表面とする。

　これら取付孔２ａ，２ｂ，２ｃが設けられている箇所は、取付孔２ａ，２ｂ，２ｃが設けられていない箇所よりも幅広に形成されていて、所定径の孔が設けられている。また、これら取付孔２ａ，２ｂ，２ｃには、後述するように、皿ビスからなるスクリュー１０ａ，１０ｂが挿入される。そのため、取付孔２ａ，２ｂ，２ｃの断面は、周知の皿ビス用の取付孔と同様に、皿ビスの頭部に対応した形状に形成されている。

　なお、このベースプレート１の実寸法は、製品型式によって相違するが、例えば、板厚が１ｍｍ、長さが３５ｍｍ、取付孔２ａ，２ｂ，２ｃの穴径が２．２ｍｍ、取付孔２ａ，２ｂ，２ｃ及び後述の取付部３の箇所を除いた箇所の幅が２ｍｍとされる。

　ベースプレート１の長手方向において、取付孔２ａ，２ｂ，２ｃが設けられている側と反対側の端部には、後述する補助プレート２０を取り付ける取付部３がベースプレート１と一体的に設けられている。この取付部３は、スクリュー１０ａ，１０ｂが挿入されるベースプレート１の表面、すなわち、図１におけるベースプレート１の上面から、ベースプレート１の外方に向けて少し突出して肉厚に形成されている。この突出している取付部３の外周面は、等間隔に複数（図示の例では８個）の突起を有する星形に形成されている。その星形の中心には、ベースプレート１を貫通する貫通孔が設けられており、その内周面に雌ねじ３ａが設けられている。この雌ねじ３ａは、ビス３０の雄ねじ３０ａが螺合できるように決められている。

　ベースプレート１の表面には、取付孔２ａ，２ｂ，２ｃと取付部３との間で、かつ、最も取付部３の近くに位置する取付孔２ｃの近傍には、第１切欠部４ａが設けられている。この第１切欠部４ａは、ベースプレート１の幅方向全体にわたって延在し、ベースプレート１の板厚を薄くするようにベースプレート１の表面からこのベースプレート１の内方に向けて凹んでいる。つまり、第１切欠部４ａは、プレート部分の表面に、ベースプレート１を屈曲させる方向（図１の矢印（ｘ１））と直交する方向全体にわたって延在し、プレート部分が肉薄になるように形成されている。
　この場合、取付孔２ａ，２ｂ，２ｃを備えるベープレート１の一方の部分を取付孔２ａ，２ｂ，２ｃを介して固定して取付部３を備えるベースプレート１の他方の部分に図１の矢印（ｘ１）方向で力を加えることで、つまり、取付部３を備えるベースプレート１の他方の部分に裏面から表面に向けて力を加えることで、取付部３を備えるベースプレート１の他方の部分を、第１切欠部４ａを中心にして裏面から表面に向かう方向で、屈曲させることができる（図５、図６及び図７参照）。

　また、ベースプレート１の裏面には、取付孔２ａ，２ｂ，２ｃと取付部３との間で、かつ、取付部３の近傍には、第２切欠部４ｂが設けられている。この第２切欠部４ｂは、ベースプレート１の幅方向全体にわたって延在し、ベースプレート１の板厚を薄くするようにベースプレート１の裏面からこのベースプレート１の内方に向けて凹んでいる。つまり、第２切欠部４ｂは、プレート部分の裏面に、ベースプレート１を屈曲させる方向（図１の矢印（ｘ２））と直交する方向全体にわたって延在し、プレート部分が肉薄になるように形成されている。
　この場合、取付孔２ａ，２ｂ，２ｃを備えるベープレート１の一方の部分をその取付孔２ａ，２ｂ，２ｃを介して固定して取付部３を備えるベースプレート１の他方の部分に図１の矢印（ｘ２）方向で力を加えることで、つまり、取付部３を備えるベースプレート１の他方の部分に表面から裏面に向けて力を加えることで、ベースプレート１を、第２切欠部４ｂを中心にして表面から裏面に向かう方向で、屈曲させることができる。

　さらに、ベースプレート１の側面には、第１切欠部４ａと第２切欠部４ｂとの間で、かつ、第１切欠部４ａの近傍には、一対の第３切欠部４ｃが設けられている。この一対の第３切欠部４ｃは、ベースプレート１の板厚方向全体にわたって延在し、ベースプレート１の幅寸法が小さくなるように互いにベースプレート１の側面からベースプレート１の内方に向けて凹んでいる。つまり、一対の第３切欠部４ｃは、互いにベースプレート１の幅方向で対向する位置に設けられており、それら第３切欠部４ｃ同士の間に、ベースプレート１の幅寸法を狭くした狭小部４ｄが形成されている。

　この場合、取付孔２ａ，２ｂ，２ｃを備えるベープレート１の一方の部分をその取付孔２ａ，２ｂ，２ｃを介して固定して取付部３を備えるベースプレート１の他方の部分に図２の矢印（ｘ３）方向で力を加えることで、ベースプレート１を、第３切欠部４ｃを中心にして取付部３を備えるベースプレート１の他方の部分を時計方向（図２の矢印（ｘ３）方向）に屈曲させることができる。また、取付孔２ａ，２ｂ，２ｃを備えるベープレート１の一方の部分をその取付孔２ａ，２ｂ，２ｃを介して固定して取付部３を備えるベースプレート１の他方の部分に図２の矢印（ｘ４）方向で力を加えることで、ベースプレート１を、第３切欠部４ｃを中心にして取付部３を備えるベースプレート１の他方の部分を反時計方向（図２の矢印（ｘ４）方向）に屈曲させることができる。
すなわち、ベースプレート１は、表面を上にして見た上面視で、狭小部４ｄを中心にして右方向又は左方向に屈曲自在となっている。

　図１に示すように、スクリュー１０ａ，１０ｂは同一構成であるので、ここではスクリュー１０ａを例に説明する。
　スクリュー１０ａは、チタン又はチタン合金製等の人体に害にならない金属製からなるとともに、ねじ立ての必要のないタッピングネジで形成されている。このスクリュー１０ａの頭部は、皿ビス状に形成され、ベースプレート１の取付孔２ａ，２ｂ，２ｃに嵌合できるように形成されている。また、スクリュー径は、取付孔２ａ，２ｂ，２ｃに挿入できる寸法に決められている。さらに、スクリュー長さは、口腔内の顎骨等の骨内に所定深さ入り込むことができる寸法に決められている。

　図１、図７、及び図８に示すように、補助プレート２０は、ＳＵＳ（ステンレス）等の人体に害にならない金属製又は合成樹脂製の板材からなり、所定の肉厚を有する長尺状（帯状体）の全体形状を備えていて、その長手方向の一端には基部２１が設けられている。その基部２１には、図１に示すように、ベースプレート１に設けられている取付部３の星形を形成している突起に対応した形状の内周面を備える挿入孔２１ａが設けられている。すなわち、この挿入孔２１ａは、取付部３と嵌合可能に形成されている。

　この場合、補助プレート２０の挿入孔２１ａがベースプレート１の取付部３に挿入されたときは、そり挿入時の角度を保つことができる。図２に示すように、取付部３は、突起数が８個の星形に形成されている。そのため、４５度の角度でベースプレート１に対する取付部３の取り付け角度を変えることができる。

　補助プレート２０の基部２１の長手方向の反対側には、例えば矯正用ブラケットやワイヤーが電気ろう着等によって固着されたり、その矯正用ブラケットを介してワイヤーやエラスティックス等が接続される。したがって、この補助プレート２０の形状及び寸法は、矯正される歯によって適宜選択される。

　図１に示すように、ビス３０は、ベースプレート１に設けられている取付部３の雌ねじ３ａに螺合されるように形成されるとともに、その頭部は補助プレート２０の挿入孔２１ａよりも十分に大きく形成されている（図７、図８参照）。このビス３０は、ベースプレート１の取付部３に所定の角度を保って補助プレート２０の挿入孔２１ａが挿入された後に、その補助プレート２０の挿入孔２１ａに挿入されるとともに、ベースプレート１に設けられている取付部３の雌ねじ３ａに螺合される。

　この場合、ビス３０が雌ねじ３ａに螺合されることにより、補助プレート２０がベースプレート１から逸脱するのを防止することができる。また、ビス３０を雌ねじ３ａから外すことにより、補助プレート２０をベースプレート１から外すことができる。このように、補助プレート２０は、ベースプレート１に対して着脱自在に設けることができる。

　上記構成からなるインプラント治具１Ａは、ベースプレート１は必要に応じて第１切欠部４ａ、第２切欠部４ｂ、第３切欠部４ｃを利用して屈曲される。図５～図１０は、第１切欠部４ａ及び第２切欠部４ｂを利用して屈曲された例を示している。すなわち、ベースプレート１は、図示の例では、第１切欠部４ａを利用して図１の矢印（ｘ１）方向へ９０度屈曲されるとともに、第２切欠部４ｂを利用して図１の矢印（ｘ２）方向へ９０度屈曲されている。なお、これら図５～図１０においても、必要に応じて第３切欠部４ｃを利用して図２の矢印（ｘ３）方向へ、又は矢印（ｘ４）方向へ所定角度で屈曲させることができる。ここで、第１切欠部４ａ、第２切欠部４ｂ、第３切欠部４ｃを利用したベースプレート１の屈曲角度を図示の例で９０度としているが、この屈曲角度に限定されることはない。例えば、９０度を屈曲角度の限界として０～９０度の範囲の適宜な角度に屈曲させて使用することができる。

　ベースプレート１は、図１に示すように、スクリュー１０ａ，１０ｂを用いて口腔内の顎骨等の骨の所定箇所にねじ止めされ、そのねじ止めされたベースプレート１の取付部３に補助プレート２０がビス３０を用いて固定される。そして、その補助プレート２０を用いて歯列の矯正が行われる（図７及び図８参照）。

　なお、上述の例では、ベースプレート１は、一方のスクリュー１０ａを取付孔２ｃに挿入させ他方のスクリュー１０ｂを取付孔２ａに挿入させて骨に取り付けられているが、これに限定されることはない。例えば、必要に応じて３つの取付孔２ａ、２ｂ、２ｃのうちの他の２つ、例えば取付孔２ａ，２ｂ又は取付孔２ｂ，２ｃを利用してベースプレート１を骨に取り付けてもよい。また、上述の例では、２本のスクリュー１０ａ、１０ｂを使用しているが、これに限定されることはない。例えば、スクリューの数は、１本でもよく、又は３本でもよい。すなわち。３本のスクリューを使用し、３つの取付孔２ａ、２ｂ、２ｃの全てを使用してもかまわない。

　次に、上述したベースプレート１の作用について、図面に基づいて説明する。
　図１に示すように、第１実施形態のベースプレート１では、プレート部分の長手方向の中央寄りの取付孔２ｃと取付部３との間に形成されている第１切欠部４ａ、第２切欠部４ｂ、及び第３切欠部４ｃのそれぞれを中心にして当該プレート部分を任意の方向に向けて屈曲させることができる。そのため、取付部３に取り付けられる補助プレート２０の所望の姿勢に合わせて、取付部３の位置や向きを適宜変えることが可能となる。

　そのため、ベースプレート１をスクリュー１０ａ、１０ｂを使用して口腔内の顎骨等の骨に固定した後に、補助プレート２０の形状や用途に合わせて取付部３の位置を調整することができる。例えば、ベースプレート１の固定位置が所定の位置とずれた場合であっても、取付部３の位置を容易に変更することができる。そのため、ベースプレート１を補助プレート２０に合わせて高い精度で位置決めして固定する必要がなく、大まかな位置に固定すれば済む。したがって、これらの作業が簡単になることにより、作業効率を向上させることができ、手間と時間を低減することが可能なる。

　また、プレート部分における第１切欠部４ａ、第２切欠部４ｂ、第３切欠部４ｃの形成位置、向き、形成箇所の数を変えることで、ベースプレート１を所望の形状に屈曲させることができる。
　さらに、従来のように部品点数を増やさずに、補助プレート２０を所定の姿勢に位置決めすることができるので、複雑な構造にならずにコストの低減を図ることができる。

　また、ベースプレート１のプレート部分が長尺状の簡単な形状であることから、ベースプレート１の製造及び加工が容易となるうえ、顎骨等の骨に固定する際の取り扱いも容易になる。

　上述のように第１実施形態による歯列矯正用のインプラント治具では、プレート部分を第１切欠部４ａ、第２切欠部４ｂ及び第３切欠部４ｃを利用して屈曲させることができる。これにより、部品点数を増加させることなく所望の形状に容易に形成することができる。
　また、第１実施形態では、プレート部分を第１切欠部４ａ、第２切欠部４ｂ、及び第３切欠部４ｃを介して確実かつ容易に屈曲させることができる。これにより、使い勝手に優れ、施術が容易になる。

　次に、本発明の歯列矯正用のインプラント治具による他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第１実施形態と同一又は同様な部材及び部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第１実施形態と異なる構成について説明する。

（第２実施形態）
　次に、図１１及び図１２を用いて、第２実施形態によるインプラント構造Ａ２について説明する。
　本第２実施形態のインプラント構造Ａ２が上述した第１実施形態のインプラント構造Ａ１と異なる点は、インプラント構造として用いられる上部構造体として帯状体の補助プレート２０であるのに対して、インプラント構造Ａ２では線状体からなる矯正用線材２３（上部構造体）が用いられている点である。

　この矯正用線材２３は、その基部２３ａがベースプレート１の取付部３にビス３０を用いて取り付けられていることにより、ベースプレート１と接続されている。この基部２３ａには、第１実施形態に採用している補助プレート２０に設けられている挿入孔２１ａと、同じ形状の挿入孔が設けられている。この矯正用線材２３は、基部２３ａを中心にして１８０度方向、すなわち一直線に伸びる所定太さ及び長さを備える線状体からなり、ＳＵＳ（ステンレス）等の金属から製造されている。

　上記構成からなるインプラント治具Ａ２においても、ベースプレート１はインプラント治具１Ａと同一であるので、インプラント治具１Ａと同一の効果を得ることができる。

　以上、本発明による歯列矯正用のインプラント治具の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
　例えば、上記の実施形態では、インプラント治具として一方向に延びる長尺状のベースプレート１を用いているが、このような形状に限定されることはない。例えば、平面視で十字形状、Ｙ字形状、Ｔ字形状など使用条件に応じた任意の形状のベースプレートを用いることが可能である。

　また、上記の実施形態では、ベースプレート１には３個の取付孔２ａ、２ｂ、２ｃを設けたが、このような取付孔の数に限定されることはない。例えば、取付孔の数を２個又は４個以上としてもよい。
また、上記の実施形態では、ベースプレート１を骨に固定するために２本のスクリュー１０ａ，１０ｂを使用したが、このようなスクリューの数に限定されることはない。例えば、スクリューの数は、３本以上でもよい。
　また、取付孔２ａ、２ｂ、２ｃの形状についても、上記の実施形態に限定されない。取付孔２ａ、２ｂ、２ｃの形状は、スクリューの形状等に合わせて任意に設定することができる。そのため、上記の実施形態では、皿ビス状の頭部を有するスクリューを採用しているが、これを頭部形状が略半球状のものにしてもよい。

　また、上記の実施形態では、ベースプレート１に取り付けられる上部構造体は、補助プレート２０や矯正用線材２３であるが、これに限定されない。例えば、他の形状の上部構造体を対象とすることも可能である。

　また、上記の実施形態は、ベースプレート１の取付部３を星形としているが、これに限定されない。例えば六角形、八角形等の多角形に形成され、補助プレート２０の基部２１の挿入孔２１ａもこれに対応して多角形に形成することで、補助プレートを多角形の角数に応じた異なる方向に向けて取り付けることができる。
また、上記の実施形態では、ベースプレート１の取付部３の数量は１つであるが、これに限定されない。複数のベースプレート１の取付部３を使用してもかまわない。

　また、上記の実施形態では、ベースプレート１の取付部３に雌ねじ３ａが形成され、この雌ねじ３ａに雄ねじ３０ａを形成したビス３０を螺着しているが、これに限定されない。例えば、雄ねじと雌ねじが逆に形成されていてもよい。つまり、取付部３から雄ねじが突出していて、この雄ねじに雌ねじ部材（上記の実施形態でビス３０に相当する部材）を螺着してもかまわない。

　その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。

本発明の歯列矯正用のインプラント治具によれば、切欠部を利用してプレート部分を屈曲させることができるので、部品点数を増加させることなく所望の形状に容易に形成することができる。また、本発明の歯列矯正用のインプラント治具によれば、切欠部が設けられている位置でプレート部分を確実かつ容易に屈曲させることができるので、使い勝手に優れ、施術が容易になる。

　Ａ１，Ａ２　歯列矯正用のインプラント構造　１　ベースプレート（インプラント治具）　２ａ，２ｂ，２ｃ　取付孔　３　取付部　３ａ　雌ねじ　４ａ　第１切欠部　４ｂ　第２切欠部　４ｃ　第３切欠部　４ｄ　狭小部　１０ａ，１０ｂ　スクリュー　２０　補助プレート（上部構造体）　２１　基部　２１ａ　挿入孔　２３　矯正用線材（上部構造体）　２３ａ　基部　３０　ビス

Claims

　プレート形状をなすとともに、
一端に口腔内の顎骨等の骨にねじ込まれる複数のスクリューの取付孔が設けられ、
他端に歯列矯正に用いる上部構造体を着脱自在に取り付ける取付部が設けられ、
　前記取付孔と前記取付部との間には、プレート部分を任意の方向に向けて屈曲させるための切欠部が形成されている歯列矯正用のインプラント治具。
　前記プレート部分が長尺状であり、その長手方向の一端側に前記取付孔が設けられ、前記長手方向の他端側に前記取付部が設けられている請求項１に記載の歯列矯正用のインプラント治具。
　前記切欠部は、前記プレート部分の表面及び裏面の少なくとも一方に、屈曲させる方向に直交する方向全体にわたって前記プレート部分が肉薄になるように形成されている請求項１記載の歯列矯正用のインプラント治具。
　前記切欠部は、前記プレート部分の所定箇所の幅寸法を小さくして形成されている請求項１に記載の歯列矯正用のインプラント治具。
前記切欠部は、前記プレート部分の表面及び裏面の少なくとも一方に、屈曲させる方向に直交する方向全体にわたって前記プレート部分が肉薄になるように形成されている請求項２記載の歯列矯正用のインプラント治具。
　前記切欠部は、前記プレート部分の所定箇所の幅寸法を小さくして形成されている請求項１に記載の歯列矯正用のインプラント治具。
　前記切欠部は、前記プレート部分の所定箇所の幅寸法を小さくして形成されている請求項２に記載の歯列矯正用のインプラント治具。
　前記切欠部は、前記プレート部分の所定箇所の幅寸法を小さくして形成されている請求項３に記載の歯列矯正用のインプラント治具。
　前記切欠部は、前記プレート部分の所定箇所の幅寸法を小さくして形成されている請求項５に記載の歯列矯正用のインプラント治具。