JP2008183016A - 歯列矯正用のインプラント構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インプラント構造1は、挿通穴10eを有する上部構造体10と、頭部雄ねじ部21と、係合六角部22と、係止リング23と、埋込みねじ部24とが形成された一対のスクリュー2と、係合六角部22に係合する第1係合穴32及び第2係合穴33を形成させた突出雄ねじ部31を有するベースプレート3とを備えている。両スクリュー2を骨に埋め込み、係合六角部22に第1係合穴32を係合させて頭部雄ねじ部21に第1ナット4を螺合させ、突出雄ねじ部31に挿通穴10eを挿通させ、突出雄ねじ部31に第2ナット5を螺合させている。
【選択図】図2
Description
特許文献1は、インプラントボディの頭部に溝を設けたアンカーヘッドを固定させるとともに、このアンカーヘッドを上下方向に貫通するねじ孔が設けられているインプラント構造であり、インプラントボディを顎部の骨に埋め込んで固定し、溝に一端を歯に固定させたワイヤーを係止し、ねじ孔にねじを螺合させることで、そのねじの先端部でワイヤーを固定するものである。
ねじ式のインプラントは、切開手術の必要がなく、ねじを回転させることで簡単に固定することができるが、ねじ込みの状態が不十分であったり、歯列矯正の際に、ねじが緩む方向に力が作用するとねじが緩んで安定性が悪くなって固定源として使用できなくなるといった問題があった。また、3点固定式のインプラントでは、ねじ式のインプラントに比べて抜け難い構造ではあるが、突出部を埋め込む際に切開手術を施す必要があり、埋め込み作業に時間がかかるうえ、その切開部から感染しやすいといった問題があった。
このようなことから、切開手術が不要で、且つ容易に埋め込むことができ、しかも強固に固定できるインプラントが求められている。
また、本発明の他の目的は、インプラントを抜き出すことなく、上部構造体を着脱できるようにした歯列矯正用のインプラント構造を提供することである。
本発明では、埋め込んだ一対のスクリューの係合角状部にベースプレートの係合穴を係合させることでベースプレートを配置させ、両スクリューの頭部雄ねじ部に第1螺合部材を螺合させるとともに、ベースプレートの突出雄ねじ部に上部構造体の挿通穴を挿通させ、その突出雄ねじ部に第2螺合部材を螺合させることで、上部構造体を口腔内に固定させることができる。一対のスクリューは、これらの係合角状部が角形状をなしてベースプレートの係合穴を係合させていることから、ベースプレートに対して回転が規制されることになり、緩むことがなくなって強固に固定されることになる。そして、上部構造体は、第2螺合部材を取り外すことでベースプレートから着脱することができることから、例えば歯を異なった方向から引っ張って動かしたい場合に、異なった形状をなす上部構造体に交換して歯列矯正を行うことができる。また、スクリューの埋込みねじ部の上部に係止部材を設けることで、スクリューの頭部が粘膜内に沈み込むことを防ぐことができる。
本発明では、一方のスクリューの係合角状部を長穴でないベースプレートの係合穴に係合させ、他方のスクリューの係合角状部を長穴をなす係合穴の範囲内で係合させることができる。そのため、例えば一対のスクリュー間の距離が一定でない状態や互いに平行でない状態であっても、長穴の範囲内で一対のスクリューにベースプレートを配置させることができることから、高精度なスクリューの埋め込み作業が不要となり、作業の簡略化が図れる。
また、本インプラント構造では、一度埋め込んだスクリューを抜き出すことなく、上部構造体のみを交換することができる。したがって、歯の引張り方向を変えるなど歯列矯正の方法によって好適な上部構造体に交換し、矯正する歯に対して様々な方向に歯を動かすことが可能となり、好適で、且つ確実な治療を行うことができる。
図1は本発明の第一の実施の形態によるインプラント構造を示す斜視図、図2は図1に示すインプラント構造の分解斜視図、図3はインプラント構造を示す図であって、(a)はその平面図、(b)はその側面図、図4はスクリューの側面図である。
図1乃至図3に示すように、インプラント構造1は、口腔内で顎部の骨に埋め込まれて使用される一対のスクリュー2A、2B(2)と、各スクリュー2の頭部に固定されるとともに上部構造体10を支持するベースプレート3と、各スクリュー2の頭部雄ねじ部21(後述)に螺合する第1ナット4(第1螺合部材)と、ベースプレート3の突出雄ねじ部31(後述)に螺合する第2ナット5(第2螺合部材)と、ベースプレート3上に着脱可能に設けられる上部構造体10とを備えている。そして、一対のスクリュー2A、2Bは、互いに所定の距離をもって離れて略平行に配置されている。
ここで、このインプラント構造1においては、スクリュー2の軸線方向で先端側を「下側」、「下方」とし、その反対側(基端側)を「上側」、「上方」として以下説明する。
第2係合穴33は、六角形状でベースプレート3の長手方向(一対のスクリュー2A、2Bのそれぞれの中心を通る軸線方向)に平行に延びる辺が長い形状の長穴をなしている。すなわち、一対のスクリュー2A、2B間の距離が一定でない場合や、互いに平行な状態で埋め込みできない場合であっても、一方のスクリュー2を第1係合穴32に係合させ、他方のスクリュー2を長穴の範囲内において第2係合穴33に係合させて、ベースプレート3を取り付けることが可能な構造となっている。例えば、一対のスクリュー2A、2Bの最小間隔を7.8mmとし、長穴をなす第2係合穴33内におけるスクリュー2の移動量を1.6mmの範囲とするとき、一対のスクリュー2A、2Bの埋め込み間隔は7.8mm〜9.4mmとなり、この範囲内であれば、互いのスクリュー2A、2B間の距離に関係なく埋め込むことができる。
第1ナット4A、4Bは、スクリュー2にベースプレート3を配置させた状態で、ベースプレート3より上方に突出した状態の頭部雄ねじ部21に螺合される。一方、第2ナット5は、ベースプレート3の突出雄ねじ部31に上部構造体10の挿通穴10eを挿通させた状態で、上部構造体10より上方に突出した突出雄ねじ部31に螺合される。
図2に示すように、先ず、歯列矯正を行うべき患者の口腔内の顎の骨(例えば、上顎の口蓋骨の中央部など)に対してインプラント構造1のアンカー位置(すなわちスクリュー2A、2Bの埋め込み位置)を決定する。そして、専用のドライバ(図示省略)などを使用し、二本のスクリュー2A、2Bを所定間隔をもって平行となるように回転させながらスクリュー2の軸線方向に埋め込む。
なお、図3(b)に示すように、埋め込むスクリュー2A、2Bは、係止リング23の下面23a(図4参照)が粘膜の表面(二点鎖線H)に接触する位置で下方へのねじ込みを終了させる。このとき、係止リング23が前記粘膜の表面Hに当接した状態となっているので、スクリュー2A、2Bが粘膜内に沈み込むことを防ぐことができる。
そして、上部構造体10は、第2ナット5を取り外すことでベースプレート3から着脱することができることから、例えば歯を異なった方向から引っ張って動かしたい場合に、異なった形状をなす上部構造体に交換して歯列矯正を行うことができる。
また、本インプラント構造1では、一度埋め込んだスクリュー2A、2Bを抜き出すことなく、上部構造体のみを交換することができる。したがって、歯の引張り方向を変えるなど歯列矯正の方法によって好適な上部構造体に交換し、矯正する歯に対して様々な方向に歯を動かすことが可能となり、好適で、且つ確実な治療を行うことができる。
図5は本発明の第二の実施の形態による上部構造体を取り付けたインプラント構造の概要を示す斜視図、図6は図5に示すインプラント構造の分解斜視図、図7は図5に示すインプラント構造の平面図、図8は図6に示すインプラント構造のベースプレートの平面図である。
図6及び図7に示すように、ベースプレート6には、1つの本体プレート11bを有する上部構造体11が固定されている。具体的に上部構造体11は、第一の実施の形態における略中央に支持部10aを設けた上部構造体10(図2参照)に代えて、一端に挿通穴11dを形成させた支持部11aを有し、この支持部11aに連結部11cを介して平板状の本体プレート11bが固定されている。本体プレート11bは、ステンレスなどの材料からなり、連結部11cで曲げてその角度を自在に変えることができる構成となっている。なお、スクリュー2A、2Bおよび第1ナット4、第2ナット5の構成は、第一の実施の形態と同様であるので説明は省略する。
そして、上部構造体11の本体プレート11bを外方に向けた状態で、挿通穴11dをベースプレート6の突出雄ねじ部61に挿通させてから、その突出雄ねじ部61に第2ナット5を螺合させ、上部構造体11をベースプレート6に対してインプラント構造1に固定させる構成となっている。
図8に示すように、本第二の実施の形態では、例えば、第2係合穴63の長手方向の寸法D1を5.6mm、第1係合穴62の長さ寸法D2を2.4mm、隣り合う第1係合穴62、62同士の間及び第1係合穴62と第2係合穴63との間の間隔D3(係合穴間寸法)を0.4mmとされる。具体的に第2係合穴63の長さ寸法D1は、2つの第1係合穴62、62の長さ寸法と係合穴間寸法とを合わせた寸法(D2+D2+D3)、すなわち5.2mm以上となっている。このとき、一対のスクリュー2A、2B同士の埋め込み可能な間隔は、最小寸法(隣り合う第1係合穴62、62の中心間距離)で2.8mmとなり、最大寸法で14.4mmとなる。すなわち、埋め込まれる一対のスクリュー2A、2Bの埋め込み間隔が2.8mm〜14.4mmの範囲内となっていれば、その両スクリュー2A、2Bにベースプレート6を取り付けることができる。
図9(a)〜(c)は第一の実施の形態の他の形態を示す図であって、図1に対応する斜視図である。
図9(a)〜(c)に示す第1乃至第3変形例は、第一の実施の形態と同様のインプラント構造1、すなわち第1係合穴32及び第2係合穴33を有するベースプレート3(図2参照)を使用し、それぞれ異なる上部構造体12、13、14を取り付けた形態を示している。
図10(a)、(b)は第二の実施の形態の他の形態を示す図であって、図1に対応する斜視図である。
図10(a)、(b)に示す第4及び第5変形例は、第二の実施の形態と同様のインプラント構造1、すなわち複数の第1係合穴62、62、…及び第2係合穴63を有するベースプレート6(図6参照)を使用し、それぞれ異なる上部構造体15、16を取り付けた形態を示している。
例えば、本実施の形態では、係合六角部22としているが、平面視で六角形状であることに限定されることはない。要は、例えば平面視角形であればよいのであって、三角形、四角形、八角形などの形状であってもかまわない。
さらに、第二の実施の形態、第4及び第5変形例では第1係合穴62の数量を4つとしているが、この数量にとくに限定されることはなく、第一の実施の形態の第1係合穴32ように1つであってもよく、また3つ或いは5つ以上設けてもかまわない
2、2A、2B スクリュー
21 頭部雄ねじ部
22 係合六角部(係合角状部)
23 係止リング(係止部材)
24 埋込み雄ねじ部
3、6 ベースプレート
31、61 突出雄ねじ部
32、62 第1係合穴
33、63 第2係合穴
4、4A、4B 第1ナット(第1螺合部材)
5 第2ナット(第2螺合部材)
10、11、12、13、14、15、16 上部構造体
10e、11d 挿通穴
Claims (2)
- 口腔内の骨に埋め込ませて使用するための歯列矯正用のインプラント構造であって、
挿通穴を有するとともに前記口腔内に配置される上部構造体と、
頭部雄ねじ部と、軸線方向に垂直な断面形状が角形をなす係合角状部と、前記係合角状部より大きい外形をなす係止部材と、外周部に雄ねじを形成させて前記口腔内の骨に埋め込まれる埋込みねじ部とがこの順で頭部から先端部に向けて軸線方向に形成された一対のスクリューと、
前記係合角状部に係合する複数の係合穴を形成させ、上方に向けて突出するとともに前記挿通穴を挿通させる突出雄ねじ部を有するベースプレートと、
前記頭部雄ねじ部に螺合する第1螺合部材と、
前記突出雄ねじ部に螺合する第2螺合部材と、
を備え、
前記一対のスクリューを口腔内の骨に埋め込み、前記係合角状部にベースプレートの係合穴を係合させた状態で前記頭部雄ねじ部に前記第1螺合部材を螺合させるとともに、前記突出雄ねじ部に前記上部構造体の挿通穴を挿通させ、その突出雄ねじ部に前記第2螺合部材を螺合させる構成とされたことを特徴とする歯列矯正用のインプラント構造。 - 前記ベースプレートの複数の係合穴は、少なくとも一つが前記係合角状部の前記断面形状と同形状をなし、他の係合角状部が前記一対のスクリューのそれぞれの中心を通る軸線方向に長い長穴をなしていることを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正用のインプラント構造。
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