JP4677671B2 - 遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法 - Google Patents

遷移金属化合物、オレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有する遷移金属化合物、この遷移金属化合物と活性化助触媒からなる触媒をオレフィン存在下で用いることを特徴とするポリオレフィンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、オレフィン重合用触媒として、シクロペンタジエニル環を配位子として有する錯体とアルミノキサンを組み合わせたメタロセン触媒が、高い活性、狭い分子量分布、構造制御が可能等の理由で注目されている。例えば、特開平58−19309号公報などがある。
【0003】
また、最近、2座配位型のジイミンキレート型ニッケル錯体を触媒成分として用いることで、これまでのメタロセン触媒で製造できるポリオレフィンとは構造の異なる、数多くの分岐の入った構造を有するポリオレフィンを製造できることが報告されている。例えば、WO96/23010号などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、工業的に価値のあるポリオレフィンを効率よく製造することが可能なオレフィン重合用触媒を提供すること、ならびにそれを用いたポリオレフィンの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を達成するため、鋭意検討の結果、特定の構造を有する遷移金属化合物をオレフィン重合用触媒の構成成分として用い、これに特定の活性化助触媒を組み合わせることで、工業的に価値のあるポリオレフィンを効率よく製造できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、一般式(1)で示されるシリルイミノ構造を有する周期表第3族〜11族の遷移金属化合物を提供するものである。また、本発明は、(A)一般式(1)で示されるシリルイミノ構造を有する周期表第3族〜11族の遷移金属化合物、(B)活性化助触媒、必要に応じて(C)有機金属化合物を構成成分とするオレフィン重合用触媒、さらに、(D)周期表第3族〜11族遷移金属化合物と一般式(16)で示されるシリルイミノ構造を有する化合物との反応生成物、(B)活性化助触媒、必要に応じて(C)有機金属化合物を構成成分とするオレフィン重合用触媒、前記オレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合を行うことを特徴とするオレフィンの重合方法を提供するものである。
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。ただし、説明の中で具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0008】
本発明のオレフィン重合用触媒の構成成分として用いられるシリルイミノ構造を有する周期表第3族〜11族の遷移金属化合物(シリルイミノ構造とは、イミノ基の炭素原子がケイ素置換基を有する構造である。)は、一般式(1)に示すような構造を有することを特徴とする。
【0009】
【化6】
Figure 0004677671
一般式(1)中、R1およびR2は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基、置換シリル基もしくは周期表第15族,16族の原子を含む置換基を示す。具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ベンジル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基などの炭化水素基、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などの置換シリル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジメチルホスフィノ基、2−ジメチルアミノフェニル基、2−ジメチルホスフィノフェニル基などの周期表第15族の原子を含む置換基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基、チオメチル基、2−メトキシフェニル基、2−チオメチルフェニルなどの周期表第16族の原子を含む置換基を挙げることができる。好ましくは、t−ブチル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基などの炭化水素基、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等を挙げることができる。R3〜R8は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基、置換シリル基もしくは周期表第15族,16族の原子を含む置換基を示す。メチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ベンジル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基などの炭化水素基、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などの置換シリル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジメチルホスフィノ基、2−ジメチルアミノフェニル基、2−ジメチルホスフィノフェニル基などの周期表第15族の原子を含む置換基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基、チオメチル基、2−メトキシフェニル基、2−チオメチルフェニルなどの周期表第16族の原子を含む置換基を挙げることができる。Xは水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、置換シリル基もしくは周期表第15族,16族の原子を含む置換基、またはハロゲン原子を示す。aは0〜5の整数を示し、aが2以上の場合、Xは互いに同じでも異なっていてもよい。メチル基、エチル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ベンジル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基などの炭化水素基、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などの置換シリル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジメチルホスフィノ基、2−ジメチルアミノフェニル基、2−ジメチルホスフィノフェニル基などの周期表第15族の原子を含む置換基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、フェノキシ基、チオメチル基、2−メトキシフェニル基、2−チオメチルフェニルなどの周期表第16族の原子を含む置換基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子などのハロゲン原子を挙げることができる。Lは周期表第14族,15族,16族の原子を配位原子とする配位結合性化合物を示す。bは0〜5の整数を示し、bが2以上の場合、Lは互いに同じでも異なっていてもよい。具体的には、t−ブチルイソシアニド、2,6−ジメチルフェニルイソシアニド、1,5−シクロオクタジエンなどの周期表第14族の原子を配位原子とする配位結合性化合物、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリメチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスフィンオキサイドなどの周期表第15族の原子を配位原子とする配位結合性化合物、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフィドなどの周期表第16族の原子を配位原子とする配位結合性化合物等を挙げることができる。また、XとLは架橋されていてもよい。具体的には、以下に示すものが挙げられる。
【0010】
【化7】
Figure 0004677671
Yは炭素数1〜20の炭化水素基もしくは周期表第14族,15族,16族の原子を含む置換基を示す。nは0または1の整数を示す。nが0の場合は、一般式(1)のシリルイミノ基の炭素原子が直接結合していることを示す。nが1の場合、Yは下記一般式(2)で表すことができる。
【0011】
【化8】
Figure 0004677671
ここで、Qはケイ素原子、炭素原子、酸素原子などの周期表第14族,15族,16族の原子を示す。R9は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基、置換シリル基もしくは周期表第14族,15族,16族の原子を含む置換基を示す。xは0〜2の整数を示す。また、nが1の場合、Yは下記一般式(3)の構造をとることも可能である。
【0012】
【化9】
Figure 0004677671
ここで、Qはケイ素原子、炭素原子、酸素原子などの周期表第14族,15族,16族の原子を示す。R9は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基、置換シリル基もしくは周期表第14族,15族,16族の原子を含む置換基を示す。xは0〜2の整数を示す。Tはケイ素原子、炭素原子、酸素原子などの周期表第14族,15族,16族の原子を示す。R10は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基、置換シリル基もしくは周期表第14族,15族,16族の原子を含む置換基を示す。また、R10は互いに結合していてもよい。yは0〜2の整数を示す。
【0013】
Yで表される具体的な化合物としては、以下に示すものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。メチレン基、イソプロピリデン基、ジフェニルメチレン基、ジメチルシリル基、メチルフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、ジメチルゲルミル基、メチルフェニルゲルミル基、ジフェニルゲルミル基、ジエトキシシリル基、ビス(ジメチルアミノ)シリル基、メチルビニルシリル基、ビス(2−メトキシフェニル)シリル基、ビス(2−ジメチルアミノフェニル)シリル基、フェニル−2−ピリジルフェニルシリル基や以下の基である。
【0014】
【化10】
Figure 0004677671
なお、上記具体例中、Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示す。
【0015】
Mは周期表第3族〜11族の遷移金属原子を示す。具体的には、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金等が挙げられる。好ましくはニッケル、パラジウムが挙げられる。
【0016】
【化11】
Figure 0004677671
上記一般式(1)で表される化合物は、一般式(16)で表されるシリルイミン構造を有する化合物(J.Am.Chem.Soc.1991,113,8899−8908記載の方法等により合成することができる)と、周期表第3族〜11族の遷移金属化合物との反応により合成できる。例えば、以下に示す方法により合成できるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0017】
【化12】
Figure 0004677671
一般式(16)で表されるシリルイミン構造を有する化合物は、以下に示すものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
【化13】
Figure 0004677671
【化14】
Figure 0004677671
【化15】
Figure 0004677671
【化16】
Figure 0004677671
【化17】
Figure 0004677671
また、一般式(1)で表される遷移金属化合物(A)の具体的な例としては、以下に示すものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
【化18】
Figure 0004677671
【化19】
Figure 0004677671
【化20】
Figure 0004677671
【化21】
Figure 0004677671
【化22】
Figure 0004677671
なお、上記具体例中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、i−Prはイソプロピル基を示し、n−Buはn−ブチル基を示し、i−Buはi−ブチル基を示し、t−Buはt−ブチル基を示し、Bzはベンジル基を示し、Phはフェニル基を示す。
【0020】
本発明で用いられる原料の周期表第3族〜11族の遷移金属化合物は、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金等を中心元素として有するものが挙げられる。好ましくはニッケル、パラジウムを中心金属として有するものが挙げられる。具体的な遷移金属化合物の例としては、四塩化チタン、四塩化ジルコニウム、四塩化ハフニウム、塩化鉄(III)、塩化鉄(II)、塩化ニッケル(II)、塩化パラジウム(II)、塩化白金(II)、臭化鉄(III)、臭化鉄(II)、臭化ニッケル(II)、臭化パラジウム(II)、臭化白金(II)等の金属塩、ジブロモ(1,2−ジメトキシエタン)ニッケル(II)、ジブロモ(1,2−ジメトキシエタン)パラジウム(II)あるいは周期表第3族〜11族の遷移金属を中心金属とするアセチルアセトナート錯体、アセテート錯体、シクロオクタジエニル錯体、ベンゼン錯体、アリール錯体等を挙げることができる。
【0021】
一般式(1)で表される遷移金属化合物を用いてオレフィンの重合を行う際、予め合成、単離したものを用いることも可能であるし、また、系中で原料を反応させた後、単離、精製をすることなく、そのまま用いることも可能である。
【0022】
本発明において、(B)活性化助触媒とは、上記一般式(1)で示される周期表第3族〜11族の遷移金属化合物(A)と作用もしくは反応することにより、オレフィンを重合することが可能な重合活性種を形成し得る化合物を示している。活性化助触媒は、重合活性種を形成した後、生成した重合活性種に対して弱く配位または相互作用するものの、該活性種と直接反応しない化合物を提供する化合物である。
【0023】
活性化助触媒(B)は、炭化水素溶媒に溶解させて用いる種類と、懸濁させて用いる種類に分類できる。本発明においては、そのどちらも使用できる。
【0024】
本発明で用いられる炭化水素溶媒に溶解させて用いる活性化助触媒(B)としては、近年、均一系オレフィン重合触媒系の助触媒成分として多く用いられているアルキルアルミノキサン、非配位性のアニオンを有するイオン化イオン性化合物、特開平8−198908号に記載されているカルボン酸化合物、特開平8−198909号に記載されているフェノール化合物、特開平9−110918号に記載されているジカルボン酸化合物が挙げられる。
【0025】
本発明で用いられる活性化助触媒(B)がアルミノキサンである場合、その構造は下記一般式(4)および/または(5)
【0026】
【化23】
Figure 0004677671
(式中、R11は各々同一でも異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基などの炭素数1〜20の炭化水素基である。また、qは2〜60の整数である。)
で表される化合物であることが望ましい。なお、アルミノキサンには少量の有機金属化合物が含まれていてもよい。
【0027】
本発明で用いられる活性化助触媒(B)が非配位性のアニオンを有するイオン化イオン性化合物である場合、その構造は下記一般式(6)で表されるプロトン酸、一般式(7)で表されるイオン化イオン性化合物、一般式(8)で表されるルイス酸または一般式(9)で表されるルイス酸性化合物のいずれかの構造を有する化合物であることが望ましい。
【0028】
[HL1][B(Ar)4] (6)
[AL2 m][B(Ar)4] (7)
[D][B(Ar)4] (8)
B(Ar)3 (9)
(ここで、Hはプロトンであり、Bはホウ素原子またはアルミニウム原子である。L1はルイス塩基、L2はルイス塩基またはシクロペンタジエニル基である。Aはリチウム、鉄または銀から選ばれる金属の陽イオンであり、Dはカルボニウムカチオンまたはトロピリウムカチオンである。Arは炭素数6〜20のハロゲン置換アリール基である。mは0〜2の整数である。)
一般式(6)で表されるプロトン酸の具体例として、ジエチルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラメチレンオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ヒドロニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリN−ブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジエチルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、ジメチルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、テトラメチレンオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、ヒドロニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トリn−ブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
一般式(7)で表されるイオン化イオン性化合物としては、具体的にはリチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート等のリチウム塩、またはそのエーテル錯体、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート等のフェロセニウム塩、シルバーテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、シルバーテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート等の銀塩等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
一般式(8)で表されるルイス酸としては、具体的にはトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
一般式(9)で表されるルイス酸性化合物の具体的な例として、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフェニルフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(パーフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アルミニウム等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明において、炭化水素溶媒に懸濁させて用いる活性化助触媒(B)としては、特開平5−301917号、特開平7−224106号、特開平10−139807号、特開平10−204114号、特開平10−231312号、特開平10−231313号、特開平10−182715号、特開平11−1509号等に記載されている粘土化合物、特願平10−56585号に記載されている電子移動を伴うトポタクティックな還元反応生成物、特開平8−48713号に記載されているスルフォン酸塩化合物、特開平8−157518号に記載されているアルミナ化合物、特開平8−291202号に記載されている無機酸化物、イオン交換樹脂等に一般式(6)、(7)、(8)が化学的に固定化されてなる固体成分を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本発明で用いられる活性化助触媒(B)が粘土化合物である場合、その粘土化合物はカチオン交換能を有するものが用いられる。また、本発明において用いられる粘土化合物は、予め、酸、アルカリによる処理、塩類処理および有機化合物、無機化合物処理による複合体生成などの化学処理を行うことが好ましい。
【0034】
粘土化合物としては、天然に存在するカオリナイト、ディッカイト、ハロイサイト等のカオリン鉱物;モンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、サポナイト、テニオライト、ソーコナイト等のスメクタイト族;白雲母、パラゴナイト、イライト等の雲母族;バーミキュライト族;マーガライト、クリントナイト等の脆雲母族;ドンバサイト、クッケアイト、クリノクロア等の縁泥石族;セピオライト・パリゴルスカイトなどや人工合成された粘土化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
化学処理に用いられる酸としては塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等のブレンステッド酸が例示され、アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムが好ましく用いられる。塩類処理において用いられる化合物としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化アンモニウム等のイオン性ハロゲン化物;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウム等の硫酸塩;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム等のリン酸塩などの無機塩、および酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、シュウ酸カリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等の有機酸塩などを挙げることができる。
【0036】
粘土化合物の有機複合体生成に用いられる有機化合物としては、オニウム塩やトリチルクロライド、トロピリウムブロマイド等の炭素カチオンを生成するような化合物、フェロセニウム塩等の金属錯体カチオンを生成する錯体化合物が例示される。無機複合体生成に用いられる無機化合物としては、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化クロム等の水酸化物陽イオンを生成する金属水酸化物等を挙げることができる。
【0037】
本発明において用いられる粘土化合物のうち特に好ましくは、粘土化合物中に存在する交換性カチオンである金属イオンを特定の有機カチオン成分と交換した粘土化合物−有機イオン複合体である変性粘土化合物である。この変性粘土化合物に導入される有機カチオンとして、具体的にはメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、デシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、ジアミルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、デシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、ジアミルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、N,N−ジメチルデシルアンモニウム、N,N−ジメチルトリデシルアンモニウム、N,N−ジメチルテトラデシルアンモニウム、N,N−ジメチルペンタデシルアンモニウム、N,N−ジメチルヘキサデシルアンモニウム、N,N−ジメチルヘプタデシルアンモニウム、N,N−ジメチルオクタデシルアンモニウム、N,N−ジメチルノナデシルアンモニウム、N,N−ジメチルイコサアンモニウム、N,N−ジメチルヘンイコサアンモニウム、N,N−ジメチルドコサアンモニウム等の脂肪族アンモニウムカチオン、アニリニウム、N−メチルアニリニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、N−エチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、ベンジルアンモニウム、トルイジニウム、ジベンジルアンモニウム、トリベンジルアンモニウム、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウム等の芳香族アンモニウムカチオン等のアンモニウムイオン、あるいはジメチルオキソニウム、ジエチルオキソニウム等のオキソニウムイオンなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
本発明で用いられる活性化助触媒(B)が電子移動を伴うトポタクティックな還元反応生成物である場合、その反応生成物は一般式(10)
r+ (k/r)(L3h[Q]k- (10)
(式中、[Q]はホスト化合物であり、kは還元量であり、Er+はr価のゲストカチオンであり、L3はルイス塩基であり、hはルイス塩基量である。)
で表される化合物を例示することができる。
【0039】
ここで、[Q]としては、3次元構造を有するホスト化合物、2次元構造を有するホスト化合物、1次元構造を有するホスト化合物および分子性固体であるホスト化合物を例示することができる。
【0040】
3次元構造を有するホスト化合物としては、八硫化六モリブデン、八セレン化六モリブデン、四硫化三モリブデン、四硫化三チタン、八セレン化六チタン、四硫化三ニオブ、八硫化六バナジウム、八硫化五バナジウム、五酸化二バナジウム、三酸化タングステン、二酸化チタン、二酸化バナジウム、二酸化クロム、二酸化マンガン、二酸化タングステン、二酸化ルテニウム、二酸化オスミウム、二酸化イリジウムを例示することができる。
【0041】
2次元構造を有するホスト化合物としては、二硫化チタン、二硫化ジルコニウム、二硫化ハフニウム、二硫化バナジウム、二硫化ニオブ、二硫化タンタル、二硫化クロム、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、二硫化レニウム、二硫化白金、二硫化スズ、二硫化鉛、二セレン化チタン、二セレン化ジルコニウム、二セレン化ハフニウム、二セレン化バナジウム、二セレン化ニオブ、二セレン化タンタル、二セレン化クロム、二セレン化モリブデン、二セレン化タングステン、二セレン化レニウム、二セレン化白金、二セレン化スズ、二セレン化鉛、二テルル化チタン、二テルル化ジルコニウム、二テルル化ハフニウム、二テルル化バナジウム、二テルル化ニオブ、二テルル化タンタル、二テルル化クロム、二テルル化モリブデン、二テルル化タングステン、二テルル化レニウム、二テルル化白金、二テルル化スズ、二テルル化鉛、三硫化リンマグネシウム、三硫化リンカルシウム、三硫化リンバナジウム、三硫化リンマンガン、三硫化リン鉄、三硫化リンコバルト、三硫化リンニッケル、三硫化リンパラジウム、三硫化リン亜鉛、三硫化リンカドミウム、三硫化リン水銀、三硫化リンスズ、三セレン化リンマグネシウム、三セレン化リンカルシウム、三セレン化リンバナジウム、三セレン化リンマンガン、三セレン化リン鉄、三セレン化リンコバルト、三セレン化リンニッケル、三セレン化リンパラジウム、三セレン化リン亜鉛、三セレン化リンカドミウム、三セレン化リン水銀、三セレン化リンスズ、四硫化リンクロム、タンタルスルフィドカーバイド、三酸化モリブデン、五十二酸化十八モリブデン、五酸化バナジウムゲル、オキシ塩化鉄、オキシ塩化チタン、オキシ塩化バナジウム、オキシ塩化クロム、オキシ塩化アルミニウム、オキシ塩化ビスマス、α−窒化塩化ジルコニウム、β−窒化塩化ジルコニウム、α−窒化臭化ジルコニウム、β−窒化臭化ジルコニウム、窒化ヨウ化ジルコニウム、窒化塩化チタン、窒化臭化チタン、窒化ヨウ化チタン、グラファイト、ポリアセンを例示することができる。
【0042】
1次元構造を有するホスト化合物としては、三硫化チタン、三セレン化ニオブ、二硫化鉄カリウム、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(トリフェニレン)、ポリアズレン、ポリフルオレン、ポリナフタレン、ポリアントラセン、ポリフラン、ポリカルバゾール、テトラチオフルバレン置換ポリスチレン、フェロセン置換ポリエチレン、カルバゾール置換ポリエチレン、ポリオキシフェナジンを例示することができる。
【0043】
分子性固体であるホスト化合物としては、テトラシアノキノジメタン、テトラチオフルバレンを例示することができる。
【0044】
さらに、[Q]は上記ホスト化合物を複数混合して用いることもできる。
【0045】
kは特に限定はないが、高い触媒活性でオレフィン重合体を製造することを目的に、好ましくは0<k≦3の範囲を用いることができる。さらに好ましくは0<k≦2の範囲を用いることができる。
【0046】
3としては、Er+に配位可能なルイス塩基またはシクロペンタジエニル基を用いることができ、ルイス塩基としては、水、アミン化合物、窒素を含む複素環化合物、エチルエーテル、n−ブチルエーテル等のエーテル類、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド等のアミド類、メチルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等のジオール類を例示することができるが、これらに限定されるものではない。これら2種以上を混合して用いることもできる。
【0047】
hは0≦h≦10の範囲を用いることができる。
【0048】
r+としては、周期表1族〜14族の原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含むカチオンを用いることができ、rは0<r≦10の範囲を用いることができるが、高い触媒活性でオレフィン重合体を製造することを目的に、好ましくは、一般式(11)、(12)、(13)または(14)
12 213NH+ (11)
(式中、R12 213Nはアミン化合物であり、R12は各々独立して水素原子または炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基であり、R13は水素原子、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基または炭素数6〜50の芳香族炭化水素基である。)
TH+ (12)
(式中、Tは窒素を含む複素環化合物であり、Hは水素原子である。)
(R14+ (13)
(式中、(R14+は炭素数1〜50のカルボニウムカチオンまたはトロピリウムカチオンである。)
p+ (14)
(式中、Gは周期表第1族〜14族の原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子であり、Gp+はp価のカチオンである。)
で表されるカチオンからなる群より選ばれる少なくとも1種のカチオンを用いることができる。
【0049】
12 213Nで表されるアミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、アリルアミン、シクロペンチルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルオクタデシルアミン、N,N−ジオクタデシルメチルアミン、N,N−ジオレイルメチルアミン、トリヘキシルアミン、トリイソオクチルアミン、トリオクチルアミン、トリイソデシルアミン、トリドデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン等の脂肪族アミン、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−アリルアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチル−o−トルイジン、N−メチル−m−トルイジン、N−メチル−p−トルイジン、N−エチル−o−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン等の芳香族アミンを例示することができる。
【0050】
Tで表される窒素を含む複素環化合物としては、ピロール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピコリン、コリジン、インドール、インダゾール、キノリン、プリン、プテリジン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、インドリン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンを例示することができる。
【0051】
一般式(13)で表されるカチオンとしては、トリフェニルメチルカチオン、トロピリウムカチオンを例示することができる。
【0052】
一般式(14)で表されるカチオンとしては、水素原子、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子、セシウム原子、ベリリウム原子、マグネシウム原子、カルシウム原子、ストロンチウム原子、バリウム原子、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、ニオブ原子、タンタル原子、クロム原子、鉄原子、ニッケル原子、銅原子、銀原子、亜鉛原子、アルミニウム原子、スズ原子のカチオンを例示することができる。
【0053】
本発明のオレフィン重合用触媒の構成成分であり、遷移金属化合物および活性化助触媒と共に用いられる(C)有機金属化合物とは、具体的にはメチルリチウム、n−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム化合物、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、イソプロピルマグネシウムクロライド、ベンジルマグネシウムクロライド、メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムブロマイド、イソプロピルマグネシウムブロマイド、ベンジルマグネシウムブロマイドなどのグリニャール試薬、ジメチルマグネシウムなどのジアルキルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などのジアルキル亜鉛、トリメチルボラン、トリエチルボランなどのアルキルボラン、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。好ましい有機金属化合物としては、下記一般式(15)で表される有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
【0054】
(R153Al (15)
(式中、R15は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、アミド基、アルコキシ基、炭化水素基を示し、そのうち少なくとも1つは炭化水素基である。)
特に好ましい化合物として、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムを挙げることができる。
【0055】
本発明における(A)成分、(B)成分および(C)成分の比に制限はないが、(B)成分が一般式(4)および/または(5)で表される化合物である場合、(A)成分と(B)成分の金属原子当たりのモル比は(A成分):(B成分)=100:1〜1:1000000の範囲にあり、特に1:1〜1:100000の範囲であることが好ましく、(A)成分と(C)成分の金属原子当たりのモル比が(A成分):(C成分)=100:1〜1:100000にあり、特に1:1〜1:10000の範囲であることが好ましい。(B)成分が一般式(6)、(7)、(8)または(9)で表される化合物である場合、(A)成分と(B)成分の金属原子当たりのモル比は(A成分):(B成分)=10:1〜1:1000の範囲にあり、特に3:1〜1:100の範囲であることが好ましく、(A)成分と(C)成分の金属原子当たりのモル比が(A成分):(C成分)=100:1〜1:100000にあり、特に1:1〜1:10000の範囲であることが好ましい。(B)成分が変性粘土化合物である場合、(A)成分と(B)成分の重量比は(A成分):(B成分)=10:1〜1:10000の範囲にあり、特に3:1〜1:10000の範囲であることが好ましく、(A)成分と(C)成分の金属原子当たりのモル比が(A成分):(C成分)=100:1〜1:100000にあり、特に1:1〜1:10000の範囲であることが好ましい。
【0056】
(A)成分、(B)成分および(C)成分からなるオレフィン重合用触媒を調製する方法に関して制限はなく、調製の方法として、各成分に関して不活性な溶媒中あるいは重合を行うモノマーを溶媒として用い、混合する方法などを挙げることができる。また、これらの成分を反応させる順番に関しても制限はなく、この処理を行う温度、処理時間も制限はない。また、各成分を2種以上用いてオレフィン重合用触媒を調製することも可能である。
【0057】
本発明においては、(A)周期表第3族〜11族の遷移金属化合物および(B)活性化助触媒からなるオレフィン重合用触媒を微粒子固体に担持して用いることもできる。この際に用いられる微粒子固体は無機担体あるいは有機担体であり、具体的にはSiO2、Al23、ZrO、B23、CaO、ZnO、MgCl2、CaCl2およびこれらを組み合わせたもの、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリスチレンなどのポリオレフィン、およびこれらのポリオレフィンとポリメタクリル酸エチル、ポリエステル、ポリイミドなどの極性ポリマーとの混合物、あるいは共重合組成を有しているものなどが挙げられる。微粒子固体の形状に制限はないが、粒子径が5〜200μm、細孔径が20〜100オングストロームであることが好ましい。
【0058】
本発明における触媒は、通常の重合方法、すなわちスラリー重合、気相重合、高圧重合、溶液重合、塊状重合のいずれにも使用できる。本発明において重合とは単独重合のみならず共重合も意味し、これら重合により得られるポリオレフィンは、単独重合体のみならず共重合体も含む意味で用いられる。
【0059】
本発明におけるオレフィンの重合は、気相でも液相でも行うことができ、特に気相にて行う場合には、粒子形状の整ったポリオレフィンを効率よく安定的に生産することができる。また、重合を液相で行う場合、用いる溶媒は、一般に用いられている有機溶媒であればいずれでもよく、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、1−ヘキセンなどのオレフィンそれ自身を溶媒として用いることもできる。
【0060】
本発明において重合に供されるオレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン、スチレン、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、シクロペンタジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の共役および非共役ジエン、シクロブテン等の環状オレフィンなどが挙げられ、また、エチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと1−オクテン、エチレンとプロピレンとスチレン、エチレンと1−ヘキセンとスチレン、エチレンとプロピレンとエチリデンノルボルネンのように2種以上の成分を混合して重合することもできる。
【0061】
さらに、上記オレフィンを重合する際に、極性基を有するモノマーを用いることで、オレフィンと極性モノマーとの共重合を行うことも可能である。極性基を有するモノマーの好ましい例としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などのα,β−不飽和カルボン酸、およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステルなどの不飽和グリシジルなどを挙げることができ、さらに好ましい例としては、アクリル酸エステルや酢酸ビニルを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0062】
本発明の方法を用いてポリオレフィンを製造する上で、重合温度、重合時間、重合圧力、モノマー濃度などの重合条件について特に制限はないが、重合温度は−100〜300℃、重合時間は10秒〜20時間、重合圧力は常圧〜3000kg/cm2Gの範囲で行うことが好ましい。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて2段以上に分けて行うことも可能である。また、重合終了後に得られるポリオレフィンは、従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。反応はすべて不活性ガス雰囲気下で行い、反応に用いた溶媒は、すべて予め公知の方法により精製、乾燥または脱酸素を行った。
【0064】
遷移金属化合物の同定は、1H−NMRあるいは13C−NMR(日本電子社製GPX−400型 NMR測定装置)、X線結晶解析(Enraf−Nonius FR590、Kα線λ=1.54184オングストローム)を用いて行った。
【0065】
重合反応は、2lオートクレーブを用い、エチレンガスを連続的に供給しながら、所定の時間と温度で行った。重合に用いた溶媒は、市販の脱水トルエン溶媒(関東化学)をさらなる精製をすることなしに用いたか、モレキュラーシーブスで脱水したトルエンを用いた。エチレンガスは重合グレードを用い、さらなる精製を行うことなしに用いた。
【0066】
DSCは、SEIKO SC−5000を用いて測定を行った。
【0067】
実施例1
2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアニドの合成
窒素雰囲気下、500mlのシュレンク管に、2,6−ジイソプロピルアニリン 94.0g、蟻酸55.2gおよびトルエン170mlを加え、3時間加熱環流を行った。この反応物をトルエンから再結晶し、白色の固体としてN−2,6−ジイソプロピルフェニルホルムアミドを得た。ここで得られたN−2,6−ジイソプロピルフェニルホルムアミド 41.1gをカリウム(t−ブトキサイド) 58.4gを溶解させたt−ブタノール 323mlの溶液にゆっくり加え、均一になるように攪拌し、溶解させた。ここで得られた均一の溶液を10℃に冷却し、30分かけてオキシ塩化リン18.4gを滴下した。滴下終了後、反応溶液を室温に戻し、1時間反応させることで反応を完結させた。この反応溶液を氷冷した1lの1wt%炭酸ナトリウム塩溶液に注ぎ、合計180mlの石油エーテルで有機成分を抽出した。ここで得られた有機層を10gの水酸化ナトリウムで乾燥した後、減圧蒸留し、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアニドを無色溶液として21.1g得た。
【0068】
1H−NMR(C66)δ=6.87(t,1H,p−H(Ph)),6.72(d,2H,m−H(Ph),3.43(sept,2H,H(i−Pr)),1.09(d,12H,Me(i−Pr)).
13C−NMR(CDCl3)δ=168.5,145.0,129.3,123.2,82.6,29.8,22.6.
オクタメチルトリシランの合成
窒素雰囲気下、500mlのシュレンク管に、金属リチウム粉末8.0gとテトラヒドロフラン50mlを取り、激しく攪拌した。ここにジメチルジクロロシラン36.6g、クロロトリメチルシラン44.6gを滴下し、一晩攪拌を行った。ここで得られた反応混合物を海砂で濾過し、無色のオイルを得た。このオイルを減圧蒸留し、18mmHgで70℃である留分を採取することで、目的のオクタメチルトリシラン7.8gを得た。
【0069】
1H−NMR(CDCl3)δ=0.06,0.08.
2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタンの合成
窒素雰囲気下、100mlのシュレンク管に、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアニド 4.1g、オクタメチルトリシラン0.9g、酢酸パラジウム(II)0.1g、トルエン2mlを加えて、110℃で2日間攪拌した。得られた鮮黄色のオイルを無水エタノールから再結晶し、目的の2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタンを鮮黄色の固体として1.54g得た。
【0070】
1H−NMR(C66,70℃)δ=7.05(m,6H,Ph),2.96(br,2H,H(i−Pr)),1.21(br,24H,Me(i−Pr)),0.24(s,6H,SiMe2),−0.11(br,18H,SiMe3).
ジブロモ(2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン)ニッケル(II)の合成
窒素雰囲気下、50mlのシュレンク管に、2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン 0.49g(0.84mmol)、ジブロモ(1,2−ジメトキシエタン)ニッケル(II) 0.26g(0.84mmol)およびトルエン25mlを加え、12時間加熱環流を行った。溶媒を留去し、ジエチルエーテル洗浄を行うことにより、目的物を黒褐色粉末として得た(収量0.17g,0.20mmol,収率24%)。
【0071】
1H−NMR:ブロードなシグナルを示すことから、常磁性化合物であると考えられる。
【0072】
触媒の調製
窒素雰囲気下、50mlのシュレンク管に、ジブロモ(2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン)ニッケル(II)を77.4mg(0.1mmol)分取した。これを乾燥したトルエン(9.3ml)で希釈し、メチルアルミノオキサンのトルエン溶液(東ソーファインケム(株)製 pMAO,2.85mol/lトルエン溶液)0.7ml(2.0mmol)を加え、1時間攪拌した。
【0073】
重合評価
窒素雰囲気下、2.2lのステンレス製オートクレーブに、乾燥トルエン497.2ml、メチルアルミノオキサンのトルエン溶液(東ソーファインケム(株)製 pMAO,2.85mol/lトルエン溶液)2.8mlを導入し、40℃で攪拌した。次に、オートクレーブにエチレンを導入し、エチレン分圧が1.0MPaとなるように設定し、前記触媒を加え、重合を開始した。重合温度を40℃に保持し、240分間重合を行い、未反応のエチレンを脱圧除去し、重合を停止した。オートクレーブの内容物を回収した結果、ポリエチレン10.23gが得られた。得られたポリマーのTmは観測されなかった。
【0074】
実施例2
2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタンの合成
実施例1の2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアニドの合成における2,6−ジイソプロピルアニリンの代わりに2,6−ジメチルアニリンを用いた以外は、実施例1と同様の方法で2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタンの合成を行った。
【0075】
1H−NMR(C66,70℃)δ=6.89(d,4H,Ph),6.82(t,2H,Ph),2.02(s,12H,Me),−0.07(br,24H,Si−Me).
ジブロモ(2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン)ニッケル(II)の合成
窒素雰囲気下、300mlのシュレンク管に、2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン 2.56g(5.4mmol)、ジブロモ(1,2−ジメトキシエタン)ニッケル(II) 1.64g(5.4mmol)およびトルエン80mlを加え、6時間加熱環流を行った。溶媒を留去し、ジエチルエーテル洗浄を行うことにより、目的物を黒褐色粉末として得た(収量1.62g,2.4mmol,収率43%)。
【0076】
1H−NMR:ブロードなシグナルを示すことから、常磁性化合物であると考えられる。
【0077】
触媒の調製
窒素雰囲気下、50mlのシュレンク管に、ジブロモ(2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン)ニッケル(II)を68.5mg(0.1mmol)分取した。これを乾燥したトルエン(9.3ml)で希釈し、メチルアルミノオキサンのトルエン溶液(東ソーファインケム(株)製 pMAO,2.85mol/lトルエン溶液)0.7ml(2.0mmol)を加え、1時間攪拌した。
【0078】
重合評価
窒素雰囲気下、2.2lのステンレス製オートクレーブに、乾燥トルエン497.2mlおよびメチルアルミノオキサンのトルエン溶液(東ソーファインケム(株)製 pMAO,2.85mol/lトルエン溶液)2.8mlを導入し、40℃で攪拌した。次に、オートクレーブにエチレンを導入し、エチレン分圧が1.0MPaとなるように設定し、前記触媒を加え、重合を開始した。重合温度を40℃に保持し、90分間重合を行い、未反応のエチレンを脱圧除去し、重合を停止した。オートクレーブの内容物を回収した結果、ポリエチレン15.11gが確認された。得られたポリマーの物性は、Tm=125.4℃であった。
【0079】
実施例3
2,2,6,6−テトラメチル−4,4−ジフェニル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタンの合成
実施例1の2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタンの合成における2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアニドの代わりに2,6−ジメチルフェニルイソシアニドを、オクタメチルトリシランの代わりに1,1,1,3,3,3−ヘキサメチル−2,2−ジフェニルトリシランを用いた以外は、実施例1と同様の方法で2,2,6,6−テトラメチル−4,4−ジフェニル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタンの合成を行った。
【0080】
1H−NMR(C66)δ=8.00(br,4H,Ph),7.22(m,6H,Ph),6.90(d,4H,Ph),6.83(t,2H,Ph),2.16(s,12H,2,6−Me),−0.21(s,18H,SiMe3).
ジブロモ(2,2,6,6−テトラメチル−4,4−ジフェニル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン)ニッケル(II)の合成
窒素雰囲気下、300mlのシュレンク管に、2,2,6,6−テトラメチル−4,4−ジフェニル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン 2.78g(4.6mmol)、ジブロモ(1,2−ジメトキシエタン)ニッケル(II) 1.41g(4.6mmol)およびトルエン80mlを加え、4時間加熱環流を行った。溶媒を留去し、ジエチルエーテル洗浄を行うことにより、目的物を黒褐色粉末として得た(収量1.38g,1.7mmol,収率37%)。
【0081】
1H−NMR:ブロードなシグナルを示すことから、常磁性化合物であると考えられる。
【0082】
触媒の調製
窒素雰囲気下、50mlのシュレンク管に、ジブロモ(2,2,6,6−テトラメチル−4,4−ジフェニル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン)ニッケル(II)を82.0mg(0.1mmol)分取した。これを乾燥したトルエン(9.3ml)で希釈し、メチルアルミノオキサンのトルエン溶液(東ソーファインケム(株)製 pMAO,2.85mol/lトルエン溶液)0.7ml(2.0mmol)を加え、1時間攪拌した。
【0083】
重合評価
窒素雰囲気下、2.2lのステンレス製オートクレーブに、乾燥トルエン497.2mlおよびメチルアルミノオキサンのトルエン溶液(東ソーファインケム(株)製 pMAO,2.85mol/lトルエン溶液)2.8mlを導入し、40℃で攪拌した。次に、オートクレーブにエチレンを導入し、エチレン分圧が1.0MPaとなるように設定し、前記触媒を加え、重合を開始した。重合温度を40℃に保持し、90分間重合を行い、未反応のエチレンを脱圧除去し、重合を停止した。オートクレーブの内容物を回収した結果、ポリエチレン12.37gが得られた。得られたポリマーの物性は、Tm=129.3℃であった。
【0084】
実施例4
触媒の調製
窒素雰囲気下、50mlのシュレンク管に、ジブロモ(2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン)ニッケル(II)を68.5mg(0.1mmol)分取した。これを乾燥したトルエン(7.7ml)で希釈し、トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(東ソーファインケム(株)製 TIBAL,0.88mol/lトルエン溶液)2.3mlを加え、1時間攪拌した。そこにトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート110.7g(0.12mmol)を乾燥したトルエン(10ml)で希釈したものを加え、さらに1時間攪拌した。
【0085】
重合評価
窒素雰囲気下、2.2lのステンレス製オートクレーブに、乾燥トルエン480mlを導入し、40℃で攪拌した。次に、オートクレーブにエチレンを導入し、エチレン分圧が1.0MPaとなるように設定し、前記触媒を加え、重合を開始した。重合温度を40℃に保持し、180分間重合を行い、未反応のエチレンを脱圧除去し、重合を停止した。オートクレーブの内容物を回収した結果、ポリエチレン0.43gが得られた。得られたポリマーの物性は、Tm=137.4℃であった。
【0086】
実施例5
触媒の調製
窒素雰囲気下、50mlのシュレンク管に、ジブロモ(1,2−ジメトキシエタン)ニッケル(II)を310mg(1mmol)分取した。これを乾燥したトルエン(10ml)で希釈し、3,5−ビス((2,6−ジイソプロピルフェニル)イミノ))2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−2,4,6−トリシラヘプタン 587mg(1mmol)を加え、1時間攪拌した。この反応混合物にメチルアルミノオキサンのトルエン溶液(東ソーファインケム(株)製 M−MAO,1.78mol/lトルエン溶液)5ml(8.9mmol)を加え、10分間攪拌した。
【0087】
重合評価
窒素雰囲気下、2.2lのステンレス製オートクレーブに、乾燥トルエン500mlおよび上述の触媒溶液全量を導入し、室温で攪拌した。次に、オートクレーブにエチレンを導入し、エチレン分圧が0.6MPaとなるように設定し、重合を開始した。重合温度を80℃に保持し、60分間重合を行い、未反応のエチレンを脱圧除去し、重合を停止した。オートクレーブの内容物を回収した結果、ゴム状のポリエチレン9.56gが確認された。得られたポリマーの物性は、Mw=4.0×105、Mw/Mn=2.6、TmおよびTgは観測されなかった。
【0088】
実施例6
ジブロモ(2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン)鉄(II)の合成
窒素雰囲気下、50mlのシュレンク管に、2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン 0.143g、臭化鉄(FeBr2)0.070gおよびTHF30mlを加え、室温で終夜反応を行った。減圧下で溶媒を留去した後、ヘキサンで洗浄したところ、赤桃色の固体0.206gを得た。
【0089】
1H−NMR:ブロードなシグナルを示すことから、常磁性化合物であると考えられる。
【0090】
この固体を塩化メチレン/ヘキサンで再結晶を行ったところ、赤桃色の単結晶を得ることができた。得られた錯体のX線結晶構造解析の結果を図1に示す。
【0091】
実施例7
ジブロモ(2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン)コバルト(II)の合成
窒素雰囲気下、50mlのシュレンク管に、2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン 0.143g、臭化コバルト(CoBr2)0.071gおよび塩化メチレン30mlを加え、室温で反応を行った。1時間後に反応溶液の色が緑色から水色に変化し、さらに反応を続けると水色の固体が析出してきた。溶媒を留去した後、THF30mlを加え、さらに12時間反応を行った後、減圧下で溶媒を留去し、THFおよびヘキサンで洗浄を行うことで、水色の固体0.194gを得た。
【0092】
1H−NMR:ブロードなシグナルを示すことから、常磁性化合物であると考えられる。
【0093】
この固体を塩化メチレン/ヘキサンで再結晶を行ったところ、青色の単結晶を得ることができた。得られた錯体のX線結晶構造解析の結果を図2に示す。
【0094】
比較例1
触媒の調製
窒素雰囲気下、50mlのシュレンク管に、ジブロモ(1,2−ジメトキシエタン)ニッケル(II) 310mg(1mmol)を乾燥したトルエン(30ml)に溶解し、メチルアルミノオキサンのトルエン溶液(東ソーファインケム(株)製 M−MAO,1.78mol/lトルエン溶液)5.6ml(10mmol)を加え、30分間攪拌した。
【0095】
重合評価
窒素雰囲気下、2.2lのステンレス製オートクレーブに、乾燥トルエン1000mlおよび上述の触媒溶液全量を導入し、室温で攪拌した。次に、オートクレーブにエチレンを導入し、エチレン分圧が0.6MPaとなるように設定し、重合を開始した。重合温度を40℃に保持し、240分間重合を行い、未反応のエチレンを脱圧除去し、重合を停止した。オートクレーブの内容物を回収した結果、ポリマーの生成は確認されなかった。
【0096】
実施例1〜5の結果と比較例1の結果を表1に示す。
【0097】
【表1】
Figure 0004677671
【発明の効果】
本発明の遷移金属化合物を主触媒としたオレフィン重合用触媒は、オレフィン重合に対して極めて有効であり、本触媒をオレフィン重合用触媒として用いることで、工業的に有用なポリオレフィンを効率よく製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例6で得られたジブロモ(2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン)鉄(II)のX線結晶構造解析の結果(ORTEP図)である。
【図2】実施例7で得られたジブロモ(2,2,4,4,6,6−ヘキサメチル−3,5−ビス(2,6−ジメチルフェニルイミノ)−2,4,6−トリシラヘプタン)コバルト(II)のX線結晶構造解析の結果(ORTEP図)である。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0004677671
    (ここで、R1およびR2は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。R3〜R8は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。Xは水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基またはハロゲン原子を示す。aは0〜5の整数を示し、aが2以上の場合、Xは互いに同じでも異なっていてもよい。Lは周期表第14族,15族,16族の原子を配位原子とする配位結合性化合物を示す。bは0〜5の整数を示し、bが2以上の場合、Lは互いに同じでも異なっていてもよい。また、XとLは架橋されていてもよい。Yは炭素数1〜20の炭化水素基もしくはジメチルシリル基、メチルフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、ジメチルゲルミル基、メチルフェニルゲルミル基、ジフェニルゲルミル基、ジエトキシシリル基、ビス(ジメチルアミノ)シリル基、メチルビニルシリル基、ビス(2−メトキシフェニル)シリル基、ビス(2−ジメチルアミノフェニル)シリル基、フェニル−2−ピリジルフェニルシリル基、下記一般式(17)で示される基を示す(式中、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す)。nは0または1の整数を示す。Mは周期表第3族〜11族の遷移金属原子を示す。)で示されるシリルイミノ構造を有する遷移金属化合物。
    Figure 0004677671
  2. 一般式(1)において、nが1であり、Yが下記一般式(2)
    Figure 0004677671
    (Qは周期表第14族,15族,16族の原子を示す。R9は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。xは0〜2の整数を示す。)で示される置換基であることを特徴とする請求項1に記載の遷移金属化合物。
  3. 一般式(1)において、nが1であり、Yが下記一般式(3)
    Figure 0004677671
    (Qは周期表第14族,15族,16族の原子を示す。R9は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。xは0〜2の整数を示す。Tは周期表第14族,15族,16族の原子を示す。R10は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。また、R10は互いに結合していてもよい。yは0〜2の整数を示す。)で示される置換基であることを特徴とする請求項1に記載の遷移金属化合物。
  4. (A)請求項1ないし3に記載の遷移金属化合物および(B)活性化助触媒を構成成分とすることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  5. (A)請求項1ないし3に記載の遷移金属化合物、(B)活性化助触媒および(C)有機金属化合物を構成成分とすることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  6. (D)周期表第3族〜11族の遷移金属化合物と下記一般式(16)
    Figure 0004677671
    (ここで、R1およびR2は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。R3〜R8は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。Yは炭素数1〜20の炭化水素基もしくはジメチルシリル基、メチルフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、ジメチルゲルミル基、メチルフェニルゲルミル基、ジフェニルゲルミル基、ジエトキシシリル基、ビス(ジメチルアミノ)シリル基、メチルビニルシリル基、ビス(2−メトキシフェニル)シリル基、ビス(2−ジメチルアミノフェニル)シリル基、フェニル−2−ピリジルフェニルシリル基、下記一般式(17)で示される基を示す(式中、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す)。nは0または1の整数を示す。)で示されるシリルイミノ構造を有する化合物との反応生成物および(B)活性化助触媒からなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
    Figure 0004677671
  7. (D)周期表第3族〜11族の遷移金属化合物と下記一般式(16)
    Figure 0004677671
    (ここで、R1およびR2は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。R3〜R8は互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜20の炭化水素基を示す。Yは炭素数1〜20の炭化水素基もしくは周期表14族,15族,16族の原子を含む置換基を示す。nは0または1の整数を示す。)で示されるシリルイミノ構造を有する化合物との反応生成物、(B)活性化助触媒および(C)有機金属化合物からなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  8. 請求項4ないし7に記載のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合することを特徴とするオレフィンの重合方法。
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