JP4099986B2 - 遷移金属化合物、配位性化合物、オレフィン重合用触媒及びそれを用いたポリオレフィンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遷移金属化合物、配位性化合物、遷移金属化合物を用いたオレフィン重合用触媒及びオレフィンの重合方法に関するものである。詳しくは、アザフェロセン又はフェロセン構造を有する遷移金属化合物、その原料となる配位性化合物、及びその遷移金属化合物をオレフィン重合用触媒の構成成分として用いることにより、ポリオレフィンを効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シクロペンタジエニル誘導体を配位子として有する周期表4族の遷移金属化合物とアルミノキサンを組み合わせて用いた均一系オレフィン重合用触媒は高い活性を有しており、ポリオレフィンの製造に有用であることが知られている(特開昭58−19309号公報など)。さらに、このようなシクロペンタジエニル基を有する有機金属錯体を触媒の構成成分としてオレフィン重合に用いると、得られるポリオレフィンは分子量分布が狭く、組成分布の均一な重合体であることが知られている。
【0003】
ところで、近年、より優れた均一系オレフィン重合用触媒を開発するために、シクロペンタジエニル環以外のヘテロ原子を配位子として用いた遷移金属化合物を均一系オレフィン重合用触媒の構成成分とする検討が活発に行われている。例えば、窒素原子を配位子に有する遷移金属化合物を用いたオレフィン重合用触媒に関して、特開平8−176217号公報、特開平8−245713号公報に、ジアルキルアミン配位子がチタン原子に結合したチタンアミド化合物を構成成分とするオレフィン重合用触媒が開示されている。さらに、特開平10−298216号公報には、架橋型の芳香族アミン化合物を配位子に有する遷移金属アミド化合物を触媒構成成分とするオレフィン重合用触媒が開示されている。
【0004】
窒素原子を配位子に有する遷移金属錯体をオレフィン重合に用いた検討は、学術的な観点からも多く行われており、例えば、D.H.McConvilleらは、J.Am.Chem.Soc.,118巻,10008頁(1996年).中で、[ArN(CH2)3NAr]TiMe2で示されるジアミド錯体とB(C6F5)3からなる触媒系を用いて、1−ヘキセンのリビング重合を行っている。また、R.R.Schrockらは、J.Am.Chem.Soc.,119巻,3830頁(1997年).にて三座のジアミン錯体[(t−BuN−ortho−C6H4)2O]ZrMe2とB(C6F5)3からなる触媒系を用いて、1−ヘキセンのリビング重合を行っている。さらに、Organometallics,15巻,562頁(1996年).やOrganometallics,17巻,308頁(1998年).には[Mes2BNCH2CH2NBMes2]2-などのビス(ボリルアミド)構造を有する配位子を用いて4族遷移金属化合物の合成を行い、該遷移金属化合物がエチレン重合活性を有することが示されている。
【0005】
また、最近、2座配位型のジイミンキレート型ニッケル錯体を触媒成分として用いることで、これまでのメタロセン触媒で製造できるポリオレフィンとは構造の異なる、数多くの分岐の入った構造を有するポリオレフィンを製造できることが報告されている。例えば、WO96/23010号などがある。さらに、特定の構造を有するアルドイミン4族遷移金属錯体をオレフィン重合用触媒の構成成分として用いると、きわめて高い重合活性が発現することが開示・報告されている(例えば、EP874005(1998)、J.Am.Chem.Soc.,123巻、6847頁(2001年))。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、新規なアザフェロセン又はフェロセン構造を有する遷移金属化合物、ポリオレフィンを効率よく製造することが可能なオレフィン重合用触媒としての用途、及びそれを用いたポリオレフィンの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を達成するため、鋭意検討の結果、アザフェロセン又はフェロセン構造を有する遷移金属化合物を見出し、それ単独で、あるいは活性化助触媒を組み合わせることで、ポリオレフィンを効率よく製造できることを見出し、本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は、アザフェロセン又はフェロセン構造を有する遷移金属化合物、その原料となる配位性化合物、及びその遷移金属化合物を構成成分とするオレフィン重合用触媒を提供するものであり、さらに、前記オレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合を行うことを特徴とするポリオレフィンの製造方法を提供するものである。
【0008】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明の遷移金属化合物は、下記一般式(1)で表される。即ち、
【0010】
【化7】
(ここで、Mは周期表3族〜12族より選ばれる遷移金属原子であり、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素オキシ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するアミノ基、炭素数1〜20の有機基を有するスルホネート基、又はB,Al,P,Sbより選ばれる元素を含む非配位性アニオンを示し、qが2以上の時、Xは互いに同じでも異なっていてもよい。Aは炭素原子、窒素原子、又はリン原子を示す。R1は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、フェロセニル基、又は置換フェロセニル基を示し、R2は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子,ケイ素原子,窒素原子,酸素原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、フェロセニル基、又は置換フェロセニル基を示し、R1とR2が環を形成することもできる。Qは水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するアミノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するホスフィノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するオキシ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するチオ基、窒素原子,リン原子,酸素原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、酸素、又は硫黄を示し、Qに配位性原子を含む場合、Mに配位結合することができる。R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、窒素原子,酸素原子,ハロゲン原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Qと隣接する一つのR3が環を形成することもできる。mが2以上の時、R3は互いに同じでも異なっていてもよく、また隣接するR3同士が結合して環を形成することもできる。R4は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するホスフィノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するオキシ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するチオ基、又は窒素原子,リン原子,酸素原子,ハロゲン原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基を示し、nが2以上の時、R4は互いに同じでも異なっていてもよく、また隣接するR4同士が結合して環を形成することもできる。R3とR4が結合を有することもできる。Lは配位結合性化合物であり、π電子、エーテル、ニトリル、アミン、ホスフィンを示し、Xとの結合を有することもできる。mは1〜3の整数を示し、nは1〜5の整数を示す。pは0又は1の整数を示し、QとMの結合は、Qが酸素又は硫黄の時、シグマ結合を示す。pが0で、Aが窒素原子又はリン原子の場合、AはMに配位結合することができる。qは1〜3の整数を示し、rは0〜3の整数を示す。)で表される遷移金属化合物である。
【0011】
一般式(1)中、Mは周期表3族〜12族より選ばれる遷移金属原子を示す。好ましくは周期表8族〜12族より選ばれる遷移金属原子であり、より好ましくはNi、Pd、Fe、Cuである。
【0012】
Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素オキシ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するアミノ基、炭素数1〜20の有機基を有するスルホネート基、又はB,Al,P,Sbより選ばれる元素を含む非配位性アニオンを示し、好ましくはハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の有機基を有するスルホネート基、又はB,Al,P,Sbより選ばれる元素を含む非配位性アニオンである。qは1〜3の整数を示し、qが2以上の時、Xは互いに同じでも異なっていてもよい。Xのハロゲン原子の具体例は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子、臭素原子である。炭素数1〜20の炭化水素基の具体例は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ベンジル基、アリル基、フェニル基、o−トリル基等であり、炭素数1〜20の炭化水素オキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、フェノキシ基等を挙げることができる。炭素数1〜20の炭化水素基を有するアミノ基の例は、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジベンジルアミノ基などのジアルキルアミノ基やジアリールアミノ基等であり、炭素数1〜20の有機基を有するスルホネート基の例は、トリフルオロメタンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基等であり、B,Al,P,Sbより選ばれる元素を含む非配位性アニオンの具体例としては、テトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ボレートアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネートアニオン、SbF6アニオン、PF6アニオンを挙げることができる。
【0013】
一般式(1)中のR1は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、フェロセニル基、又は置換フェロセニル基を示し、好ましくは水素、炭素数1〜20の炭化水素基である。炭素数1〜20の炭化水素基の具体例として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ベンジル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基、フェニル基である。ハロゲン原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基の具体例として、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ジフルオロメチル基等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチル基である。置換フェロセニル基の具体例としては、メチルフェロセニル基、ジメチルフェロセニル基、tert−ブチルフェロセニル基等が挙げられる。
【0014】
一般式(1)中のR2は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子,ケイ素原子,窒素原子,酸素原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、フェロセニル基、又は置換フェロセニル基を示し、好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子,ケイ素原子,窒素原子,酸素原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基である。R2の炭素数1〜20の炭化水素基の具体例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ベンジル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、メシチル基、2−ビフェニル基、ナフチル基、アダマンチル基等であり、好ましくは2−メチルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、2−ビフェニル基である。ハロゲン原子,ケイ素原子,窒素原子,酸素原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基の具体例は、2−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−(トリクロロメチル)フェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、2−(トリメチルシリル)フェニル基、2,6−ジ(トリメチルシリル)フェニル基、2−(ジメチルアミノメチル)フェニル基、2−(ジフェニルアミノメチル)フェニル基、2−(メトキシメチル)フェニル基、2−(フェノキシメチル)フェニル基、2−(メチルチオメチル)フェニル基、2−(フェニルチオメチル)フェニル基、2−ピリジル基、2−キノリル基等であり、好ましくは2−(トリフルオロメチル)フェニル基、2−(トリクロロメチル)フェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、2−(トリメチルシリル)フェニル基、2−(ジフェニルアミノメチル)フェニル基、2−(メトキシメチル)フェニル基である。置換フェロセニル基の具体例としては、メチルフェロセニル基、ジメチルフェロセニル基、tert−ブチルフェロセニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル(Cp*)基を有するフェロセニル基等を挙げることができる。
【0015】
一般式(1)中のQは水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するアミノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するホスフィノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するオキシ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するチオ基、窒素原子,リン原子,酸素原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、酸素、又は硫黄を示し、好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基を有するアミノ基、窒素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基である。Qに配位性原子を含む場合、遷移金属原子Mに配位結合することができる。Qの炭素数1〜20の炭化水素基の具体例は、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、フェニル基等であり、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。炭素数1〜20の炭化水素基を有するアミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、隣接したR3と結合したピリジル基若しくは置換ピリジル基等を挙げることができ、好ましくは隣接したR3と結合したピリジル基若しくは置換ピリジル基である。炭素数1〜20の炭化水素基を有するホスフィノ基の例は、ジメチルホスフィノ基、ジ(シクロヘキシル)ホスフィノ基、ジ(tert−ブチル)ホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基等及びビス(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノ基、ビス(ピロリジニル)ホスフィノ基、1−(N,N−ジメチル−2,5−ジアザ−1−ホスフィノシクロペンチル)基、1−(N,N−ジフェニル−2,5−ジアザ−1−ホスフィノシクロペンチル)基等のアザホスフィンであり、炭素数1〜20の炭化水素基を有するオキシ基の具体例は、メチルオキシ基、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、ベンジルオキシ基等であり、炭素数1〜20の炭化水素基を有するチオ基の具体例としては、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基等を挙げることができる。窒素原子,リン原子,酸素原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基の具体例としては、N−フェニルイミノメチル基、N−(2−トリル)イミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジフェニルアミノメチル基、フェニルアミノメチル基、ジフェニルホスフィノメチル基、ジシクロヘキシルホスフィノメチル基、ジ(tert−ブチルホスフィノ)メチル基、メトキシメチル基、(1−メトキシメチル)エチル基、フェノキシメチル基、(2−メチルフェノキシ)メチル基、メチルチオメチル基、フェニルチオメチル基等であり、好ましくはN−フェニルイミノメチル基、N−(2−トリル)イミノメチル基を好適に挙げることができる。なお、Qが酸素又は硫黄である場合、Qは遷移金属原子Mにシグマ結合することができる。pは0又は1の整数を示し、0であることが好ましい。
【0016】
一般式(1)中のR3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、窒素原子,酸素原子,ハロゲン原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基を示し、好ましくは水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基である。炭素数1〜20の炭化水素基の具体例は、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等であり、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。窒素原子,酸素原子,ハロゲン原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基の具体例としては、クロロメチル基、メトキシメチル基、ジメチルアミノメチル基、ホルミル基、N−(2−メチルフェニル)イミノメチル基、N−(2−イソプロピルフェニル)イミノメチル基、メチルチオメチル基、フェニルチオメチル基等である。なお、Qと隣接する一つのR3が結合し、環を形成することもできる。この環の具体例は、例えばピリジン環である。mは1〜3の整数であり、mが2以上の時、それぞれ互いに同じでも異なっていてもよく、また隣接するR3同士が結合して環を形成することもできる。
【0017】
一般式(1)中の(R4)nのnは1〜5の整数を示し、nが2以上の時、それぞれ互いに同じでも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するホスフィノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するオキシ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するチオ基、又は窒素原子,リン原子,酸素原子,ハロゲン原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基を示し、好ましくは水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、窒素原子,酸素原子,若しくはハロゲン原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基である。R4の炭素数1〜20の炭化水素基の具体例は、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基、2−メチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基等であり、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。炭素数1〜20の炭化水素基を有するホスフィノ基の例は、ジメチルホスフィノ基、ジ(シクロヘキシル)ホスフィノ基、ジ(tert−ブチル)ホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基等であり、炭素数1〜20の炭化水素基を有するオキシ基の具体例は、メチルオキシ基、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、ベンジルオキシ基等であり、炭素数1〜20の炭化水素基を有するチオ基の具体例としては、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−メチルフェニルチオ基等を挙げることができる。窒素原子,リン原子,酸素原子,ハロゲン原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基の具体例としては、N−(tert)−ブチルイミノメチル基、N−(フェニル)イミノメチル基、N−(2−トリル)イミノメチル基、3−(ジメチルアミノメチル)フェニル基、ジメチルアミノメチル基、1−(ジメチルアミノ)エチル基、ジフェニルアミノメチル基、フェニルメチルアミノメチル基、ジフェニルホスフィノメチル基、ジシクロヘキシルホスフィノメチル基、ジ(tert−ブチルホスフィノ)メチル基、4−メトキシフェニル基、3−(メトキシメチル)フェニル基、メトキシメチル基、1−(メトキシメチル)エチル基、フェノキシメチル基、(2−メチルフェノキシ)メチル基、4−フルオロフェニル基、3−(トリフルオロメチル)フェニル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、メチルチオメチル基、フェニルチオメチル基等を好適に挙げることができる。
【0018】
一般式(1)中のLは、π電子、エーテル、ニトリル、アミン、ホスフィンの配位結合性化合物であり、具体的にはエチレン、プロピレン、スチレン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルジフェニルアミン、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等である。rは0〜3の整数を示す。
【0019】
一般式(1)中のXとLは結合を有することができ、その場合の具体的な例としては、π−アリル基、1−メチル−π−アリル基、2−メチル−π−アリル基、1−フェニル−π−アリル基等を挙げることができる。
【0020】
本発明の一般式(1)で示されるアザフェロセン又はフェロセン構造を有する遷移金属化合物の好ましい形態としては、一般式(2)〜(4)で示すことができる。
【0021】
【化8】
【化9】
【化10】
本発明の一般式(4)中のR5は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するアミノ基を示す。炭素数1〜20の炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェニル基、2−メチルフェニル基等であり、炭素数1〜20の炭化水素基を有するアミノ基の具体例は、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N−ピペラジニル基、N−ピペリジニル基、N−ピロリジニル基、ジフェニルアミノ基等である。本発明の一般式(4)中のmは1又は2の整数である。
【0022】
本発明のアザフェロセン又はフェロセン配位子を有する遷移金属化合物の具体的な例として、次のような遷移金属錯体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、本発明のアザフェロセン又はフェロセン配位子を有する遷移金属化合物で、(アザ)フェロセン環に面不斉を有する場合及び置換基R2に不斉炭素を有する場合は、ラセミ体及び光学活性体のいずれかであることもできる。
【0023】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
本発明の一般式(1)で示されるアザフェロセン又はフェロセン構造を有する遷移金属化合物の合成方法として、対応するアザフェロセン又はフェロセン構造を有する配位性化合物を合成した後、その配位性化合物を用いて錯体を合成する方法が挙げられる。対応するアザフェロセン構造を有する配位性化合物は、以下の一般式(5)で示すことができる。
【0024】
【化19】
(ここで、Aは炭素原子、窒素原子、又はリン原子を示す。R1は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、フェロセニル基、又は置換フェロセニル基を示し、R2は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子,ケイ素原子,窒素原子,酸素原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、フェロセニル基、又は置換フェロセニル基を示し、R1とR2が環を形成することもできる。Qは水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するアミノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するホスフィノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するオキシ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するチオ基、窒素原子,リン原子,酸素原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、水酸基、又はチオール基を示す。R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、窒素原子,酸素原子,ハロゲン原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20炭化水素基を示し、Qと隣接する一つのR3が環を形成することもできる。mが2以上の時、R3は互いに同じでも異なっていてもよく、また隣接するR3同士が結合して環を形成することもできる。R4は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するホスフィノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するオキシ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するチオ基、又は窒素原子,リン原子,酸素原子,ハロゲン原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基を示し、nが2以上の時、R4は互いに同じでも異なっていてもよく、また隣接するR4同士が結合して環を形成することもできる。R3とR4が結合を有することもできる。mは1〜3の整数を示し、nは1〜5の整数を示す。pは0又は1の整数を示す。)
本発明の一般式(5)で示される配位性化合物の置換基R1〜R4は、遷移金属化合物である一般式(1)〜(3)中の置換基R1〜R4と同一である。
【0025】
本発明の一般式(5)で示される配位性化合物の具体的な例として、次のような化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
【化20】
【化21】
本発明の一般式(5)で示される配位性化合物の内、Aが窒素原子であるものは、以下の一般式(6)で示されるアザフェロセン化合物を原料として合成することができる。
【0027】
一般式(6)は、即ち
【0028】
【化22】
(ここで、R3は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、窒素原子,酸素原子,ハロゲン原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20炭化水素基を示す。mが2以上の時、R3は互いに同じでも異なっていてもよく、また隣接するR3同士が結合して環を形成することもできる。R4は炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリル基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するホスフィノ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するオキシ基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するチオ基、又は窒素原子,リン原子,酸素原子,ハロゲン原子若しくは硫黄原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基を示し、nが2以上の時、R4は互いに同じでも異なっていてもよく、また隣接するR4同士が結合して環を形成することもできる。R3とR4が結合を有することもできる。mは1〜3の整数を示し、nは1〜5の整数を示す。但し、R4はすべて同時にメチル基であることはない。)
で表される一般式(5)で示される配位性化合物の前駆化合物である。
【0029】
一般式(6)で示される前駆化合物の具体的な例として、次のような化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
【化23】
本発明の一般式(6)で示されるアザフェロセン化合物は、例えば、G.C.Fuらによって開示されている方法(J.Org.Chem.,61巻,7230頁(1996年))あるいはK.K.Joshiらによって開示されている方法(J.Orgonomet.Chem.,I,471頁(1964年))に従って合成することができる。
【0031】
本発明の一般式(5)で示される配位性化合物は、一般式(6)で示されるアザフェロセン化合物を原料として合成することができるが、
例えば、一般式(6)で示されるアザフェロセン化合物をn−ブチルリチウム等のリチオ化剤でリチオ化し、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゾニトリル、又はアセトニトリル等と反応させることにより、ホルミル基あるいはアセチル基等のカルボニル基を導入することができる。アザフェロセンのリチオ化の方法としては、例えば、V.N.Setkinaらによって開示されている方法(J.Orgonomet.Chem.,251巻,C41頁(1983年))を用いることができる。なお、このリチオ化の時に、(−)−スパルテインのようなキラルジアミンを存在させると一方の鏡像体が過剰に存在する、即ち光学活性なアザフェロセン体を合成することができる。あるいは、酸塩化物と塩化アルミニウムを用いるフリーデルクラフツアシル化によっても、カルボニル基を導入することができる。さらに、芳香族アミン又は脂肪族アミンとの脱水縮合反応によりイミノ化し、一般式(5)の配位性化合物を合成することができる。イミノ化反応の条件としては、例えば、酢酸を触媒としてエタノール中で実施する方法、p−トルエンスルホン酸を触媒としてトルエン中で実施する方法を挙げることができる。
【0032】
本発明の一般式(4)で示される遷移金属化合物の原料となる配位性化合物は、ピリンジン環を有するフェロセン誘導体から合成することができる。ピリンジン環を有するフェロセン誘導体は、例えばG.C.Fuらによって開示されている方法(J.Am.Chem.Soc.,123巻,353頁(2001年))に従って合成することができる。それによって得られたピリンジン環を有するフェロセンをn−ブチルリチウム等のリチオ化剤でリチオ化し、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゾニトリル、又はアセトニトリル等と反応させることにより、ホルミル基あるいはアセチル基等のカルボニル基を導入することができる。あるいは、酸塩化物と塩化アルミニウムを用いるフリーデルクラフツアシル化によっても、カルボニル体とすることができる。さらに、芳香族アミン又は脂肪族アミンとの脱水縮合反応によりイミノ化し、一般式(5)の配位性化合物を合成することができる。イミノ化反応の条件としては、例えば、酢酸を触媒としてエタノール中で実施する方法、p−トルエンスルホン酸を触媒としてトルエン中で実施する方法を挙げることができる。
【0033】
一方、本発明の一般式(5)で示される配位性化合物の内、Aが炭素原子であるものは、フェロセン誘導体から合成することができる。上下のCp環に置換基を有するフェロセン化合物を合成する方法として、例えば、J.Organomet.Chem.、1991年、412巻、381頁及びOrganometallics、1999年、18巻、1267頁に記載されているように、上下のCp環にホルミル基を導入し、アミンとの脱水縮合によりイミノ基を導入する方法を挙げることができる。また、同一のCp環に置換基を有するフェロセン化合物を合成する方法としては、例えば、Bull.Chem.Soc.Jpn.、1980年、53巻、1138頁及びJ.Org.Chem.、1997年、62巻、6733頁に記載されているように、各種のヘテロ原子を有する置換基を導入する方法を挙げることができる。さらに、これらの方法を組み合わせることにより、上下及び同一のCp環に多様な置換基を容易に導入することが可能である。また、J.Organomet.Chem.、2000年、598巻、365頁に記載されているように、置換シクロペンタジエニルアルカリ金属の特異的な反応を利用して、非対称なフェロセン構造を構築することもできる。
【0034】
該アザフェロセン又はフェロセン配位子を有する本発明の一般式(1)で示される遷移金属化合物を合成する方法として、既存の錯体合成反応で用いる方法をそのまま用いることが可能である。例えば、WO96/23010号及びJ.Am.Chem.Soc.、1999年、121巻、8728頁に記載されている方法を用いることができる。なお、該アザフェロセン又はフェロセン配位子を有する遷移金属化合物は、常法により単離した後、重合触媒に供することもできるし、単離することなく、in−situで調製し、そのまま重合触媒として供することもできる。
【0035】
本発明におけるオレフィン重合用触媒の構成成分の一つである活性化助触媒(B)とは、該遷移金属化合物、又は該遷移金属化合物と有機金属化合物との反応生成物と作用若しくは反応することにより、オレフィンを重合することが可能な重合活性種を形成させる役割を持つ化合物を示している。活性化助触媒は、重合活性種を形成した後、生成した重合活性種に対して弱く配位又は相互作用するものの、該活性種と直接反応しない化合物を提供する化合物である。活性化助触媒の例として、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド等のハロゲン化アルキルアルミニウム、1,3−ジクロロ−1,3−ジエチルアルミノキサン、1,3−ジクロロ−1,3−ジイソプロピルアルミノキサン等のハロゲン化アルキルアルミノキサン、近年、均一系オレフィン重合用触媒系の助触媒成分として多く用いられているアルキルアルミノキサンや、非配位性のアニオンを有するイオン化イオン性化合物、さらに、変性粘土化合物などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
例えば、活性化助触媒(B)がアルキルアルミノキサンである場合、その構造は下記一般式(7)及び/又は(8)
【0037】
【化24】
(式中、R6は各々同一でも異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜20の炭化水素基である。また、sは2〜60の整数である。)
で表される化合物であることが望ましい。なお、アルキルアルミノキサンには少量の有機金属化合物が含まれていてもよい。
【0038】
活性化助触媒(B)が非配位性のアニオンを有するイオン化イオン性化合物である場合、その構造は下記一般式(9)で表されるプロトン酸、一般式(10)で表されるイオン化イオン性化合物、一般式(11)で表されるルイス酸、一般式(12)で表されるルイス酸性化合物、AgSbF6又はAgPF6のいずれかの構造を有する化合物であることが望ましい。
【0039】
[HL1][B(Ar)4] (9)
[AL2 u][B(Ar)4] (10)
[D][B(Ar)4] (11)
B(Ar)3 (12)
(ここで、Hはプロトンであり、Bはホウ素原子又はアルミニウム原子である。L1はルイス塩基、L2はルイス塩基又はシクロペンタジエニル基である。Aはリチウム、鉄又は銀から選ばれる金属の陽イオンであり、Dはカルボニウムカチオン又はトロピリウムカチオンである。Arは炭素数6〜20のハロゲン置換アリール基である。uは0〜2の整数である。)
一般式(9)で表されるプロトン酸の具体例としては、ジエチルオキソニウムテトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ボレート、ジエチルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラメチレンオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ヒドロニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリN−ブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジエチルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、ジメチルオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、テトラメチレンオキソニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、ヒドロニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トリn−ブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
一般式(10)で表されるイオン化イオン性化合物としては、具体的にはナトリウムテトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート等のリチウム塩、又はそのエーテル錯体、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート等のフェロセニウム塩、シルバーテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、シルバーテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート等の銀塩等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
一般式(11)で表されるルイス酸としては、具体的にはトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
一般式(12)で表されるルイス酸性化合物の具体的な例としては、トリス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフェニルフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(パーフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)アルミニウム等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本発明のオレフィン重合用触媒の構成成分である活性化助触媒(B)が変性粘土化合物である場合、用いる粘土化合物はカチオン交換能を有するものが好ましい。また、本発明において用いられる粘土化合物は、酸,アルカリによる処理、塩類処理及び有機化合物,無機化合物処理による複合体生成などの化学処理を行うことが好ましい。
【0044】
粘土化合物としては、天然に存在するカオリナイト、ディッカイト、ハロイサイト等のカオリン鉱物、モンモリロナイト、ヘクトライト、バイデライト、サポナイト、テニオライト、ソーコナイト等のスメクタイト族、白雲母、パラゴナイト、イライト等の雲母族、バーミキュライト族、マーガライト、クリントナイト等の脆雲母族、ドンバサイト、クッケアイト、クリノクロア等の縁泥石族、セピオライト・パリゴルスカイトなどや、人工合成された粘土化合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0045】
化学処理に用いられる酸としては塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等のブレンステッド酸が例示され、アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムが好ましく用いられる。塩類処理において用いられる化合物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化鉄、塩化アンモニウム等のイオン性ハロゲン化物;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アルミニウム、硫酸アンモニウム等の硫酸塩;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム等のリン酸塩などの無機塩及び酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、シュウ酸カリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム等の有機酸塩などを挙げることができる。
【0046】
粘土化合物の有機複合体生成に用いられる有機化合物としては、オニウム塩や、トリチルクロライド、トロピリウムブロマイド等の炭素カチオンを生成するような化合物、フェロセニウム塩等の金属錯体カチオンを生成する錯体化合物が例示される。無機複合体生成に用いられる無機化合物としては、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコニウム、水酸化クロム等の水酸化物陽イオンを生成する金属水酸化物等を挙げることができる。
【0047】
本発明において用いられる変性粘土化合物のうち特に好ましくは、粘土化合物中に存在する交換性カチオンである金属イオンを、特定の有機カチオン成分と交換した粘土化合物−有機イオン複合体である変性粘土化合物である。この変性粘土化合物に導入される有機カチオンとして、具体的にはブチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、デシルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、ジアミルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、N,N−ジメチルデシルアンモニウム等の脂肪族アンモニウムカチオン、アニリニウム、N−メチルアニリニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、N−エチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、ベンジルアンモニウム、トルイジニウム、ジベンジルアンモニウム、トリベンジルアンモニウム、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウム等の芳香族アンモニウムカチオン等のアンモニウムイオン、あるいはジメチルオキソニウム、ジエチルオキソニウム等のオキソニウムイオンなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
本発明のオレフィン重合用触媒の構成成分である活性化助触媒(B)が電子移動を伴うトポタクティックな還元反応生成物である場合、その反応生成物は一般式(13)
Er+(k/r)(L3)h[G]k- (13)
(式中、[G]はホスト化合物であり、kは還元量であり、Er+はn価のゲストカチオンであり、L3はルイス塩基であり、hはルイス塩基量である。)
で表される化合物を例示することができる。
【0049】
ここで、[G]としては、3次元構造を有するホスト化合物、2次元構造を有するホスト化合物、1次元構造を有するホスト化合物及び分子性固体であるホスト化合物を例示することができる。
【0050】
3次元構造を有するホスト化合物としては、八硫化六モリブデン、五酸化二バナジウム、三酸化タングステン、二酸化チタン、二酸化バナジウム、二酸化クロム、二酸化マンガン、二酸化タングステン、二酸化ルテニウム、二酸化オスミウム、二酸化イリジウムを例示することができる。
【0051】
2次元構造を有するホスト化合物としては、二硫化チタン、二硫化ジルコニウム、二硫化ハフニウム、二硫化バナジウム、二硫化ニオブ、二硫化タンタル、二硫化クロム、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、二硫化レニウム、二硫化白金、二硫化スズ、二硫化鉛、三硫化リンマグネシウム、三硫化リンマンガン、タンタルスルフィドカーバイド、三酸化モリブデン、五酸化バナジウムゲル、グラファイト、ポリアセンを例示することができる。
【0052】
1次元構造を有するホスト化合物としては、三硫化チタン、三セレン化ニオブを例示することができる。
【0053】
分子性固体であるホスト化合物としては、テトラシアノキノジメタン、テトラチオフルバレンを例示することができる。
【0054】
さらに、[G]としては、上記ホスト化合物を複数混合して用いることもできる。
【0055】
kは特に限定はないが、高い触媒活性でオレフィン重合体を製造することを目的に、好ましくは0<k≦3の範囲を用いることができる。さらに好ましくは0<k≦2の範囲を用いることができる。
【0056】
L3としては、Er+に配位可能なルイス塩基又はシクロペンタジエニル基を用いることができ、ルイス塩基としては、水、アミン化合物、窒素を含む複素環化合物、エチルエーテル若しくはn−ブチルエーテル等のエーテル類、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド若しくはN−メチルアセトアミド等のアミド類、メチルアルコール若しくはエチルアルコール等のアルコール類、1,2−ブタンジオール若しくは1,3−ブタンジオール等のジオール類を例示することができるが、これらに限定されるものではない。これら2種以上を混合して用いることもできる。
【0057】
hは0≦h≦10の範囲を用いることができる。
【0058】
Er+としては、周期表1〜14族の原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含むカチオンを用いることができ、rは0<r≦10の範囲を用いることができるが、高い触媒活性でオレフィン重合体を製造することを目的に、好ましくは、一般式(14)又は(15)
R7 2R8NH+ (14)
(式中、R7 2R8Nはアミン化合物であり、R7は各々独立して水素原子又は炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基であり、R8は水素原子、炭素数1〜30の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜50の芳香族炭化水素基である。)
(R9)+ (15)
(式中、(R9)+は炭素数1〜50のカルボニウムカチオン又はトロピリウムカチオンである。)
で表されるカチオンからなる群より選ばれる少なくとも1種のカチオンを用いることができる。
【0059】
R7 2R8Nで表されるアミン化合物としては、メチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、アリルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、N,N−ジメチルオクタデシルアミン、N,N−ジオクタデシルメチルアミン、トリヘキシルアミン、トリイソオクチルアミン、トリドデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等の脂肪族アミン、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−アリルアニリン、o−トルイジン、p−トルイジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチル−o−トルイジン、N−メチル−m−トルイジン、N−エチル−o−トルイジン等の芳香族アミンを例示することができる。
【0060】
一般式(15)で表されるカチオンとしては、トリフェニルメチルカチオン、トロピリウムカチオンを例示することができる。
【0061】
本発明における触媒は、通常の重合方法、すなわちスラリー重合、気相重合、高圧重合、溶液重合、塊状重合のいずれにも使用できる。本発明において重合とは、単独重合のみならず共重合も意味し、これら重合により得られるポリオレフィンは、単独重合体のみならず共重合体も含む意味で用いられる。
【0062】
本発明のオレフィン重合用触媒においては、遷移金属化合物及び活性化助触媒と共に有機金属化合物を共存させることができる。該有機金属化合物は、重合系中に存在する触媒毒となる成分を不活性化する役割を持つと同時に、遷移金属化合物のアルキル体を形成させることが可能な化合物が好ましく、具体的にはメチルリチウム、n−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム化合物、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、イソプロピルマグネシウムクロライド、ベンジルマグネシウムクロライド、メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムブロマイド、イソプロピルマグネシウムブロマイド、ベンジルマグネシウムブロマイドなどのグリニャール試薬、ジメチルマグネシウムなどのジアルキルマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などのジアルキル亜鉛、トリメチルボラン、トリエチルボランなどのアルキルボラン、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのアルキルアルミニウム、メチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、tert−ブチルアルミノキサンなどのアルキルアルミノキサンなどを挙げることができる。
【0063】
本発明において重合に供されるオレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン、スチレン及びスチレン誘導体、ブタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の共役及び非共役ジエン、シクロブテン、シクロヘキセン等の環状オレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ(2,2,1)−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸などのα,β−不飽和カルボン酸、及びこれらのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの金属塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニルなどのビニルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジル等の不飽和グリシジルエステル、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン、アクリトニトリル、メタアクリロニトリル、1−フェニルアクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリルが挙げられ、さらにエチレンとプロピレン、エチレンと1−ブテン、エチレンと1−ヘキセン、エチレンと1−オクテン、エチレンと酢酸ビニル、エチレンとアクリル酸メチル、エチレンとメタクリル酸メチル、エチレンとプロピレンとスチレン、エチレンと1−ヘキセンとスチレン、エチレンとプロピレンとエチリデンノルボルネンのように2種以上の成分を混合して重合することもできる。
【0064】
本発明におけるオレフィンの重合は、気相でも液相でも行うことができ、液相で行う場合、用いる溶媒は一般に用いられている有機溶媒であればいずれでもよく、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2,2,2−トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロピルアルコール等が挙げられ、プロピレン、1−ブテン、1−オクテン、1−ヘキセンなどのオレフィンそれ自身を溶媒として用いることもできる。
【0065】
本発明の方法を用いてポリオレフィンを製造する上で、重合温度、重合時間、重合圧力、モノマー濃度などの重合条件について特に制限はないが、重合温度は−100〜300℃、重合時間は10秒〜20時間、重合圧力は常圧〜3000kg/cm2Gの範囲で行うことが好ましい。また、重合時に水素などを用いて分子量の調節を行うことも可能である。重合はバッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法でも行うことが可能であり、重合条件を変えて2段以上に分けて行うことも可能である。また、重合終了後に得られるポリオレフィンは、従来既知の方法により重合溶媒から分離回収され、乾燥して得ることができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明のアザフェロセン又はフェロセン構造を有する遷移金属化合物は、合成が容易で、しかも各種の多様な置換基を有することができる。さらに、重合用触媒として、オレフィン重合に対して極めて有効であり、本触媒をオレフィン重合用触媒として用いることで、ポリオレフィンを効率よく製造することが可能である。さらに、本発明のアザフェロセン又はフェロセン構造を有する遷移金属化合物は、オレフィン重合用触媒以外にもポリカーボネートの合成用触媒や不斉合成用の触媒、例えば不斉シクロプロパン化用の触媒としても有効であると考えられる。
【0067】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
【0068】
遷移金属化合物の合成は、シュレンクテクニック若しくはドライボックスを用いて行い、すべての操作をアルゴン又は窒素雰囲気下で行った。遷移金属化合物の調製に用いた溶媒は、全て公知の方法で脱酸素、脱水を行ったものを用いた。重合反応は2lオートクレーブを用い、エチレンガスを連続的に供給しながら所定の時間、所定の温度で行った。重合に用いた溶媒は、公知の方法にて脱酸素、脱水を行ったものを用いた。エチレンガスは重合グレードをそのまま用いた。
【0069】
実施例1
錯体A−1の合成:
[配位性化合物の合成]
J.Org.Chem.,1997年,62巻,6733頁に記載されている方法に従い、1,2−ジホルミルフェロセンを合成した。
【0070】
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、1,2−ジホルミルフェロセン(625mg,2.58mmol)を加え、エタノール8mlに溶解させた。アニリン(493mg,5.29mmol)を加え、室温で終夜攪拌を行った。反応終了後、減圧下で溶媒を留去した後、得られた固体残渣にシクロヘキサン(20ml)を加え、再結晶化を行った。析出した結晶をろ過し、減圧乾燥し、濃赤色固体(620mg,1.58mmol)を得た。収率61%。
【0071】
1H−NMR(400MHz、C6D6)δ=3.99(s、5H)、4.25(t、J=2.6Hz、1H)、5.02(d、J=2.6Hz、2H)、7.02−7.28(m、10H)、8.91(s、2H)
MS m/z 392(M+)
[錯体A−1の合成]
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、(1,5−シクロオクタジエン)PdMeCl(143mg,0.539mmol)及び上記で得られた配位子(219mg,0.558mmol)を加えた。トルエン(6ml)を加え、室温で20時間攪拌した。得られた反応溶液を減圧濃縮し、トルエン(2ml)で洗浄した。残渣を減圧乾燥し、錯体A−1の赤色固体(254mg,0.497mmol)を得た。収率89%。
【0072】
1H−NMR(400MHz、CD2Cl2)δ=0.14(s、3H)、4.39(s、5H)、5.12(brs、1H)、5.22(brs、2H)、7.10−7.55(m、6H)、7.65−7.83(m、4H)、8.56(s、1H)、8.59(s、1H)
MS m/z 549(M+)
【0073】
【化25】
実施例2
錯体A−2の合成:
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、実施例1で得られた錯体A−1(204mg,0.371mmol)及びAgSbF6(129mg,0.375mmol)を加えた。−50℃に冷却し、アセトニトリル(0.15ml)及びジクロロメタン(6ml)からなる溶液を滴下した。4時間かけて−10℃まで昇温した後、得られたスラリー溶液をろ過し、さらにジクロロメタンで抽出した。合わせたジクロロメタン溶液を減圧濃縮した。固体残渣をジクロロメタン(4ml)に溶解させた後、ペンタン(9ml)を滴下した。上澄みを除去し、得られた残渣を減圧乾燥し、錯体A−2の濃赤色固体(291mg,0.368mmol)を得た。収率99%。
【0074】
1H−NMR(400MHz、CD2Cl2)δ=0.33(s、3H)、1.95(s、3H)、4.47(s、5H)、5.28(brs、1H)、5.37(brs、1H)、5.45(brs、1H)、7.42−7.75(m、10H)、8.60(s、1H)、8.73(s、1H)
MS m/z 790(M+)
【0075】
【化26】
実施例3
錯体A−3の合成:
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、実施例1で得られた錯体A−1(90mg,0.163mmol)及びナトリウムテトラキス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ボレート(165mg,0.187mmol)を加えた。−50℃に冷却し、アセトニトリル(0.09ml)及びジクロロメタン(5ml)からなる溶液を滴下した。4時間かけて−10℃まで昇温した後、得られたスラリー溶液をろ過し、さらにジクロロメタンで抽出し、合わせたジクロロメタン溶液を減圧濃縮した。残渣をジエチルエーテル(3ml)に溶解後、ペンタン(4ml)を添加した。上澄みを除去し、得られた残渣を減圧乾燥し、錯体A−3の濃赤色固体(135mg,0.095mmol)を得た。収率58%。
【0076】
1H−NMR(400MHz、CD2Cl2)δ=0.34(s、3H)、1.90(s、3H)、4.47(s、5H)、5.25(s、1H)、5.49(s、1H)、5.64(s、1H)、7.40−7.67(m、10H)、7.58(s、4H)、7.73(s、8H)、8.58(s、1H)、8.69(s、1H)
MS m/z 1418(M+)
【0077】
【化27】
実施例4
錯体A−4の合成:
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、(ジメトキシエタン)NiBr2(115mg,0.373mmol)及びジクロロメタン(3ml)を加えた。この懸濁溶液に実施例1で合成した配位子(153mg,0.390mmol)とジクロロメタン(5ml)からなる溶液を添加した。室温で3時間攪拌後、ろ過し、ジクロロメタンで抽出し、合わせたジクロロメタン溶液を減圧濃縮した。残渣をシクロヘキサン(40ml)で洗浄し、減圧乾燥し、錯体A−4の濃赤色固体(213mg,0.348mmol)を得た。収率93%。
【0078】
MS m/z 610(M+)
【0079】
【化28】
実施例5
錯体B−1の合成:
[配位性化合物の合成]
J.Organomet.Chem.,1991年,412巻,381頁に記載されている方法に従い、1,1’−ジホルミルフェロセンを合成した。
【0080】
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、1,1’−ジホルミルフェロセン(1.04g,4.30mmol)、モレキュラーシーブス4A(5g)、トルエン8ml及びtert−ブチルアミン(1.26g、17.2mmol)を加えた。室温で15時間攪拌後、揮発分を減圧留去した。ジエチルエーテル(20ml)で抽出し、減圧濃縮、乾燥し、茶色固体(1.35g,3.83mmol)を得た。収率89%。
【0081】
1H−NMR(400MHz、C6D6)δ=1.30(s、18H)、4.12(t、J=2.2Hz、4H)、4.64(t、J=2.2Hz、4H)、8.05(s、2H)
MS m/z 352(M+)
[錯体B−1の合成]
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、(1,5−シクロオクタジエン)PdMeCl(120mg,0.452mmol)及び上記で得られた配位子(156mg,0.443mmol)を加えた。トルエン(2.5ml)を加え、室温で7時間攪拌した。得られたスラリー溶液をろ過し、トルエン(3ml)で洗浄した。残渣を減圧乾燥し、錯体B−1のレンガ色固体(135mg,0.265mmol)を得た。収率60%。
【0082】
1H−NMR(400MHz、CD2Cl2)δ=0.55(s、3H)、1.72(s、18H)、4.55(brs、4H)、4.82(brs、2H)、6.02(brs、2H)、8.15(s、1H)、8,70(brs、1H)
【0083】
【化29】
実施例6
錯体B−2の合成:
[配位性化合物の合成]
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、1,1’−ジホルミルフェロセン(1.00g,4.13mmol)、エタノール25ml、2,6−ジメチルアニリン(1.26g,10.4mmol)及び酢酸(10mg)を加えた。加熱還流下で8時間攪拌後、揮発分を減圧留去した。ジエチルエーテル(90ml)で抽出し、減圧濃縮した。得られた固体をヘキサン/トルエン(5/1)から再結晶化し、ろ過乾燥後、橙色固体(0.90g,2.00mmol)を得た。収率49%。
【0084】
1H−NMR(400MHz、C6D6)δ=2.20(s、12H)、4.23(t、J=2.2Hz、4H)、4.70(t、J=2.2Hz、4H)、6.96(t、J=7.8Hz、2H)、7.05(d、J=7.8Hz、4H)、7.70(s、2H)
MS m/z 448(M+)
[錯体B−2の合成]
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、(ジメトキシエタン)NiBr2(148mg,0.479mmol)及びジクロロメタン(3ml)を加えた。この懸濁溶液に上記で合成した配位子(222mg,0.495mmol)とジクロロメタン(5ml)からなる溶液を添加した。室温で48時間攪拌後、ろ過し、ジクロロメタンで抽出し、合わせたジクロロメタン溶液を減圧濃縮した。残渣をトルエン(20ml)で洗浄し、減圧乾燥し、錯体B−2の濃赤色固体(142mg,0.213mmol)を得た。収率45%。
【0085】
MS m/z 667(M+)
【0086】
【化30】
実施例7
[錯体溶液の調製]
100mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、実施例4で合成した錯体A−4(59mg,0.097mmol)及びトルエン(40ml)を加え、30分間攪拌した。
【0087】
[エチレン重合]
2lのオートクレーブに、トルエン(500ml)及びメチルアルミノキサン(東ソー・アクゾ(株)製 PMAO,3.5ml、アルミニウム原子換算で10mmol)を充填した。オートクレーブ内の温度を40℃とし、10kg/cm2Gのエチレンで加圧した。上記で得られた錯体溶液を圧入し、10kg/cm2Gの圧になるようにエチレンを連続的に供給しながら40℃で1時間重合を行った。得られた反応液を定法に従って処理し、液状の重合物12.8gを得た。
【0088】
実施例8
[エチレン重合]
100mlのガラス製オートクレーブに、トルエン(50ml)及び実施例4で合成した錯体A−4(33.4mg,0.055mmol)を加え、10kg/cm2Gのエチレンで加圧した。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(東ソー・アクゾ(株)製 2.9重量%アイソパール−E溶液、4ml、0.16mmol)及びトリメチルアルミニウム(20重量%トルエン溶液,0.07ml、0.17mmol)を加え、10kg/cm2Gのエチレン圧下、室温で2時間重合を行った。得られた反応液を定法に従って処理し、液状の重合物1.1gを得た。
【0089】
実施例9
[錯体溶液の調製]
100mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、実施例4で合成した錯体A−4(69mg,0.11mmol)及びトルエン(50ml)を加え、30分間攪拌した。
【0090】
[エチレン/アクリル酸メチル共重合]
2lのオートクレーブに、トルエン(450ml)及びメチルアルミノキサン(東ソー・アクゾ(株)製 PMAO,4.0ml、アルミニウム原子換算で12.8mmol)を充填した。10kg/cm2Gのエチレンで加圧した。上記で得られた錯体溶液を圧入し、5分間攪拌後、アクリル酸メチル(5ml、56mmol)、トルエン(40ml)及びメチルアルミノキサン(0.5ml)から成る溶液を圧入した。10kg/cm2Gの圧になるようにエチレンを連続的に供給しながら室温で24時間重合を行った。得られた反応液を0.1N塩酸(350ml)でクエンチし、分相し、有機相を水洗した。得られた有機相を減圧濃縮し、得られた粘性物をヘキサン抽出し、さらに減圧濃縮した。粘性液体1.82gを得た。1H−NMR(CDCl3)より、アクリル酸メチル単位が19重量%含まれていた。GPCより、Mw=1.0×103、Mw/Mn=1.8であった。
【0091】
実施例10
錯体A−4を67mg用い、アクリル酸メチルを15ml用いた以外は実施例9と同じ操作を繰り返した。粘性液体1.25gを得た。1H−NMR(CDCl3)より、アクリル酸メチル単位が50重量%含まれていた。GPCより、Mw=1.0×103、Mw/Mn=1.9であった。
【0092】
実施例11
錯体B−2を59mg(0.088mmol)及びメチルアルミノキサン3.1ml(東ソー・アクゾ(株)製、アルミニウム原子換算で8.8mmol)を用いた以外は実施例7と同じ操作を繰り返した。固体44mgを得た。融点は124.4℃であった。
【0093】
実施例12
錯体C−1の合成:
[配位性化合物の合成]
J.Org.Chem.,1996年,61巻,7230頁に記載されている方法に従い、1’,2’,3’,4’,5’−ペンタメチルアザフェロセンを合成した。
【0094】
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、1’,2’,3’,4’,5’−ペンタメチルアザフェロセン(404mg,1.57mmol)を加え、ジエチルエーテル7mlに溶解させた。(−)−スパルテイン(740mg,3.10mmol)を加え、氷冷下n−BuLi(1.59Mヘキサン溶液、2ml、3.2mmol)を滴下した。氷冷下1時間攪拌し、N,N−ジメチルホルムアミド(240mg,3.3mmol)を加えた。20分後、水を加えてクエンチし、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/酢酸エチル)により精製した。濃赤色液体(350mg,1.22mmol)を得た。収率78%。
【0095】
1H−NMR(400MHz、C6D6)δ=1.59(s、15H)、3.99(s、1H)、4.63(s、1H)、4.99(s、1H)、10.1(s、1H)
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、上記で合成した2−ホルミルアザフェロセン(341mg、1.19mmol)及びエタノール(7ml)を加えた。o−トルイジン(140mg,1.31mmol)及び酢酸(10mg)を添加した。室温で2日間攪拌した後、反応液を減圧濃縮した。残渣をヘキサンで抽出し、減圧濃縮後、配位性化合物である濃赤色液体(455mg)を得た。
【0096】
1H−NMR(400MHz、C6D6)δ=1.72(s、15H)、2.58(s、3H)、4.07(s、1H)、4.92(s、1H)、5.06(s、1H)、6.90−7.40(m、4H)、8.54(s、1H)
[錯体C−1の合成]
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、(DME)NiBr2(152mg,0.49mmol)及びジクロロメタン(2ml)を加えた。攪拌下、上記の配位性化合物(191mg)のジクロロメタン(6ml)溶液をキャヌラーを用いて加えた。室温で2時間攪拌後、生成したスラリー反応液をろ過し、得られた固体をジクロロメタンで洗浄した。残渣を減圧乾燥し、赤色の固体(210mg,0.35mmol)を得た。収率71%。
【0097】
1H−NMR(400MHz、CD2Cl2)δ=−8.15(s、1H)、−7.70(s、1H)、−1.80(s、1H)、1.48(s、15H)、1.80(s、3H)、16.50(s、1H)、22.85(s、1H)、23.30(s、1H)、34.10(s、2H)
FAB−MASS:m/z 593(M+)、513(M+−Br)、433(M+−2Br)、374(M+−NiBr2)
【0098】
【化31】
実施例13
錯体C−2の合成:
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、塩化鉄(II)(43.8mg,0.35mmol)及びTHF(7ml)を加えた。攪拌下、実施例12で合成した配位性化合物(157mg,0.42mmol)のTHF(10ml)溶液をキャヌラーを用いて加えた。室温で2時間攪拌後、得られた反応液をろ過し、固体をさらにTHFで洗浄した。減圧乾燥し、赤−オレンジ色の固体(124mg,0.25mmol)を得た。収率71%。
【0099】
FAB−MASS:m/z 465(M+−Cl)、429(M+−2Cl)、374(M+−FeCl2)
【0100】
【化32】
実施例14
錯体C−3の合成:
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、塩化銅(II)(45.9mg,0.32mmol)及びTHF(10ml)を加えた。攪拌下、実施例12で合成した配位性化合物(133mg,0.36mmol)のTHF(12ml)溶液をキャヌラーを用いて加えた。室温で2時間攪拌後、得られた黒色均一反応液を冷凍庫で一晩保存した。生成した固体をろ別し、減圧乾燥し、オレンジ色固体(47mg,0.092mmol)を得た。収率28%。
【0101】
FAB−MASS:m/z 473(M+−Cl)、437(M+−2Cl)、374(M+−CuCl2)
【0102】
【化33】
実施例15
錯体C−4の合成:
[前駆化合物の合成]
100mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、塩化鉄(II)(255mg,2.01mmol)及びTHF(10ml)を加えた。一方、50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、ペンタフェニルシクロペンタジエン(785mg,1.75mmol)及びTHF(20ml)を加えた。室温でn−BuLi(1.56Mヘキサン溶液、1.24ml、1.93mmol)を滴下し、5分間攪拌した。この溶液をキャヌラーを用いて、塩化鉄のTHFスラリー液に導入した。さらに、カリウムピロリド(216mg,2.05mmol)とTHF(10ml)からなる溶液をキャヌラーを用いてフィードした。室温で2時間攪拌した後、水(15ml)を加えクエンチした。ジクロロメタン(25ml)を加えて抽出し、有機相を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶媒:ジクロロメタン、酢酸エチル)、オレンジ色の固体である1’,2’,3’,4’,5’−ペンタフェニルアザフェロセン(868mg,1.53mmol)を得た。収率87%。
【0103】
1H−NMR(400MHz、CD2Cl2)δ=4.71(t、J=0.7Hz、2H)、5.44(t、J=0.7Hz、2H)、7.07−7.12(m、10H)、7.14−7.20(m、15H).
[配位性化合物の合成]
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、1’,2’,3’,4’,5’−ペンタフェニルアザフェロセン(985mg,1.73mmol)及びTHF21mlを加えた。−50℃に冷却し、n−BuLi(1.59Mヘキサン溶液、2.35ml、3.74mmol)を滴下した。−50℃で3時間攪拌した後、N,N−ジメチルホルムアミド(284mg,3.89mmol)を加えた。徐々に昇温しながら40分間反応後、水を加えてクエンチした。エーテルで抽出し、有機相を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:ヘキサン/ジクロロメタン、酢酸エチル)により精製した。オレンジ色液体(743mg,1.25mmol)を得た。収率72%。
【0104】
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、上記で合成した2−ホルミルアザフェロセン(92mg,0.15mmol)及びエタノール(4ml)を加えた。o−トルイジン(25mg,0.23mmol)及び酢酸(5mg)を添加した。室温で1日間攪拌した後、反応液を減圧濃縮した。残渣をヘキサンで洗浄し、減圧乾燥後、配位性化合物である赤色固体(76mg,0.11mmol)を得た。収率73%。
【0105】
1H−NMR(400MHz、C6D6)δ=2.31(s、3H)、4.48(s、1H)、5.45(s、1H)、5.55(s、1H)、6.14(d、J=7.0Hz、1H)、6.78−7.06(m、18H)、7.42(d、J=6.2Hz、10H)、8.44(s、1H)
[錯体C−4の合成]
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、(DME)NiBr2(20mg,0.065mmol)及びジクロロメタン(2ml)を加えた。攪拌下、上記の配位性化合物(40mg,0.058mmol)のジクロロメタン(3ml)溶液をキャヌラーを用いて加えた。室温で3時間攪拌後、得られた反応液をろ過し、さらにジクロロメタンで抽出した。合わせたジクロロメタン溶液を減圧濃縮した。残渣をヘキサンで洗浄し、減圧乾燥し、赤茶色の固体(44mg,0.048mmol)を得た。収率84%。
【0106】
FAB−MASS:m/z 823(M+−Br)、743(M+−2Br)、684(M+−NiBr2)
【0107】
【化34】
実施例16
錯体C−5の合成:
[配位性化合物の合成]
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、実施例15で合成した1’,2’,3’,4’,5’−ペンタフェニル−2−ホルミルアザフェロセン(291mg,0.49mmol)及びエタノール(10ml)を加えた。2−イソプロピルアニリン(86mg,0.64mmol)及び酢酸(10mg)を添加した。室温で2日間攪拌した後、反応液を減圧濃縮した。残渣を少量のエタノールで洗浄し、減圧乾燥後、配位性化合物である赤色固体(289mg,0.41mmol)を得た。収率83%。
【0108】
1H−NMR(400MHz、C6D6)δ=1.16(d、J=6.4Hz、3H)、1.31(d、J=6.4Hz、3H)、3.65−3.78(m、1H)、4.46(s、1H)、5.47(s、1H)、5.55(s、1H)、6.01(d、J=7.0Hz、1H)、6.78−7.04(m、18H)、7.40(d、J=6.2Hz、10H)、8.49(s、1H)
[錯体C−5の合成]
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、(DME)NiBr2(56mg,0.18mmol)及びジクロロメタン(2ml)を加えた。攪拌下、上記の配位性化合物(129mg,0.18mmol)のジクロロメタン(6ml)溶液をキャヌラーを用いて加えた。室温で3時間攪拌後、得られた反応液を減圧濃縮し、残渣を少量のジクロロメタンで洗浄した。減圧乾燥し、赤色の固体(160mg,0.17mmol)を得た。収率95%。
【0109】
FAB−MASS:m/z 712(M+−NiBr2)
【0110】
【化35】
実施例17
錯体C−6の合成:
[配位性化合物の合成]
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、実施例15で合成した1’,2’,3’,4’,5’−ペンタフェニル−2−ホルミルアザフェロセン(132mg,0.22mmol)及びエタノール(6ml)を加えた。2−アミノビフェニル(49mg,0.29mmol)及び酢酸(5mg)を添加した。室温で2日間攪拌した後、反応液を減圧濃縮した。残渣を少量のエタノールで洗浄し、減圧乾燥後、配位性化合物である赤色固体(122mg,0.16mmol)を得た。収率74%。
【0111】
1H−NMR(400MHz、C6D6)δ=4.39(s、1H)、5.29(s、1H)、5.51(s、1H)、6.99(d、J=7.6Hz、1H)、6.80−7.10(m、18H)、7.12−7.20(m、3H)、7.36(d、J=7.0Hz、10H)、7.51(d、J=7.0Hz、2H)、8.53(s、1H)
[錯体C−6の合成]
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、(DME)NiBr2(40mg,0.13mmol)及びジクロロメタン(2ml)を加えた。攪拌下、上記の配位性化合物(105mg,0.14mmol)のジクロロメタン(5ml)溶液をキャヌラーを用いて加えた。室温で3時間攪拌後、得られた反応液を減圧濃縮し、残渣をヘキサンで洗浄した。減圧乾燥し、赤色の固体(110mg,0.11mmol)を得た。収率85%。
【0112】
FAB−MASS:m/z 885(M+−Br)、805(M+−2Br)、747(M+−NiBr2)
【0113】
【化36】
実施例18
[前駆化合物の合成]
Chem.Commun.,1998年,1889頁に記載されている方法に従い、1’,2’,3’,4’,5’−ペンタ(p−フルオロフェニル)シクロペンタジエンを合成した。
【0114】
1’,2’,3’,4’,5’−ペンタフェニルシクロペンタジエンの代わりに1’,2’,3’,4’,5’−ペンタ(p−フルオロフェニル)シクロペンタジエンを用いた以外は、実施例15の前駆化合物の合成方法を繰り返した。オレンジ色の固体である1’,2’,3’,4’,5’−ペンタ(p−フルオロフェニル)アザフェロセンを収率47%で得た。
【0115】
1H−NMR(400MHz、C6D6)δ=4.08(d、J=0.8Hz、2H)、5.10(t、J=0.8Hz、2H)、6.58−6.68(m、10H)、7.00−7.10(m、10H).
実施例19
[前駆化合物の合成]
Chem.Commun.,1998年,1889頁に記載されている方法に従い、1’,2’,3’,4’,5’−ペンタ(p−メトキシフェニル)シクロペンタジエンを合成した。
【0116】
1’,2’,3’,4’,5’−ペンタフェニルシクロペンタジエンの代わりに1’,2’,3’,4’,5’−ペンタ(p−メトキシフェニル)シクロペンタジエンを用いた以外は、実施例15の前駆化合物の合成方法を繰り返した。オレンジ色の固体である1’,2’,3’,4’,5’−ペンタ(p−メトキシフェニル)アザフェロセンを収率72%で得た。
【0117】
1H−NMR(400MHz、C6D6)δ=3.23(s、15H)、4.47(s、2H)、5.48(s、2H)、6.60(d、J=8.8Hz、10H)、7.40(d、J=8.8Hz、10H).
実施例20
[錯体溶液の調製]
100mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、実施例12で合成した錯体C−1(28mg,47μmol)及びトルエン(50ml)を加え、20分間攪拌した。
【0118】
[エチレン重合]
2lのオートクレーブに、トルエン(500ml)及びメチルアルミノキサン(東ソー・アクゾ(株)製 PMAO,1.6ml、アルミニウム原子換算で4.6mmol)を加えた。10kg/cm2Gのエチレンを充填した後、上記で得られた錯体溶液を室温で圧入し、10kg/cm2Gの圧になるようにエチレンを連続的に供給しながら1時間重合を行った。メタノールを圧入して反応をクエンチし、脱圧した。メタノールをさらに投入し、ポリマーを析出させた。ろ過し、ポリマーをメタノールで洗浄した。減圧乾燥し、固体の重合物82.7gを得た(活性:1.7Kg/Ni・mmol・h)。DSCによる融点は77.5℃であり、GPC(1,2,4−トリクロロベンゼン、140℃)測定の結果、Mw=1.0×104、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。
【0119】
実施例21〜24
錯体として表1に示した化合物を用いた以外は実施例20と同じ操作を繰り返した。結果を表1に示した。
【0120】
【表1】
実施例25
[錯体溶液の調製]
100mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、実施例16で合成した錯体C−5(52mg,0.056mmol)及びトルエン(60ml)を加え、20分間攪拌した。
【0121】
[エチレン/アクリル酸メチル共重合]
2lのオートクレーブに、トルエン(450ml)及びメチルアルミノキサン(東ソー・アクゾ(株)製 PMAO,2.0ml、アルミニウム原子換算で5.7mmol)を充填した。1kg/cm2Gのエチレンで加圧した。上記で得られた錯体溶液を圧入し、5分間攪拌後、アクリル酸メチル(5ml、56mmol)、トルエン(40ml)及びメチルアルミノキサン(0.5ml)から成る溶液を圧入した。5kg/cm2Gの圧になるようにエチレンを連続的に供給しながら室温で27時間重合を行った。得られた反応液を0.1N塩酸(350ml)でクエンチし、分相し、有機相を水洗した。得られた有機相をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、ゴム状粘性固体4.0gを得た。1H−NMR(CDCl3)より、アクリル酸メチル単位が7重量%含まれていた。
【0122】
実施例26
錯体C−7の合成:
100mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、実施例16で合成した配位性化合物(152mg,0.21mmol)及び(1,5−シクロオクタジエン)Pd(Me)Cl(55.4mg、0.21mmol)を加えた。ジエチルエーテル(12ml)を加え、室温で3時間攪拌した。上澄みを除き、さらに残渣をジエチルエーテル(6ml)を用いて洗浄した。得られた固体を乾燥し、ピンク色の固体(166mg,0.19mmol)得た。収率92%。
【0123】
1H−NMR(400MHz、CD2Cl2)δ=0.40(s、3H)、0.86(d、J=6.6Hz、3H)、1.26(d、J=6.6Hz、3H)、3.34−3.50(m、1H)、5.29(s、1H)、5.35(s、1H)、5.84(s、1H)、5.90(d、J=8.4Hz、1H)、6.93−7.44(m、28H)、8.23(s、1H)
【0124】
【化37】
実施例27
錯体C−8の合成:
50mlのシュレンクフラスコを窒素置換し、実施例25で合成した遷移金属化合物(71mg,0.082mmol)及びAgSbF6(29mg,0.085mmol)を加えた。−50℃に冷却し、ジエチルエーテル(8ml)を加えた。冷バスを外し、室温で1時間攪拌した。得られた反応液をろ過し、さらに残渣をジクロロメタンとジエチルエーテルの1:1溶液(16ml)で抽出し、先のろ液と合わせた。全体が10mlになるまで減圧濃縮し、ヘキサン(20ml)を添加し、固体を析出させた。上澄みを除き、得られた固体を乾燥し、あずき色の固体(76mg)を得た。収率81%。
【0125】
1H−NMR(400MHz、CD3CN)δ=1.13(t、J=7.0Hz、6H)、1.20(s、1.5H)、1.22(s、1.5H)、2.04−2.30(brs)、3.43(q、J=7.0Hz、4H)、5.72(d、J=1.5Hz、1H)、5.81(d、J=2.5Hz、1H)、6.08(s、1H)、6.26(d、J=7.7Hz、1H)、7.00−7.37(m、28H)、8.80(s、1H)
【0126】
【化38】
Claims (8)
- 下記一般式(2)
- 下記一般式(3)
- Mが周期表8族〜12族より選ばれる遷移金属原子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の遷移金属化合物。
- MがNi,Pd,Fe又はCuより選ばれる遷移金属原子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の遷移金属化合物。
- 下記一般式(5)
- (A)請求項1又は2に記載の遷移金属化合物を構成成分としてなるオレフィン重合用触媒。
- (A)請求項1又は2に記載の遷移金属化合物及び(B)活性化助触媒を構成成分としてなるオレフィン重合用触媒。
- 請求項6又は7に記載のオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うことを特徴とするポリオレフィンの製造方法。
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