JP4674988B2 - オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い可撓性と低い溶融粘度を両立でき、塗料、接着剤、成型材料、複合材料、積層板、封止材等として有用なエポキシ樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりエポキシ樹脂、特に、ビスフェノール型エポキシ樹脂は、耐熱性、耐薬品性、密着性等のバランスが優れることから、例えば、塗料、接着剤、成型材料、複合材料、積層板、封止材等の材料として広い分野で使用されている。
しかしながら、近年、従来樹脂素材と比較して、著しく高性能、高信頼性の樹脂素材が求められ、各種変性手法による従来樹脂の変性が行われている。特に、エポキシ樹脂をイソシアネート化合物で変性したオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂は、高いガラス転移温度と可撓性とを両立できる樹脂として注目され、特開昭59−135265号公報、特開昭61−181820号公報、特開平5−222160号公報等数多くの検討がなされてきた。
しかし、従来検討されてきたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂との反応性が高く、製造時の重合安定性に優れた、芳香族イソシアネートに代表される環構造を有するイソシアネートをイソシアネート成分としているため、可撓性が充分でなく、例えば、自動車下塗り塗料等の用途においては、一層の可撓性向上による、高い塗膜の耐衝撃性が求められている。
【0003】
オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の可撓性を向上する手段として、例えば、特開平6−329755号公報等に、ソフトセグメントを有する2官能活性水素化合物とジイソシアネートより製造されたイソシアネート末端ポリウレタンを用いてオキサゾリドン環を形成する方法等が開示されている。しかし、これらの方法で可撓性を向上した場合、エポキシ樹脂の分子量が増加し、溶融粘度が高くなり、硬化反応時のフロー性が低下すると言う課題を有している。
一方、脂肪族ジイソシアネートをイソシアネート成分とするオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂としては、特開平4−222875号公報、特開昭62−500730号公報に、その製造例が開示されている。しかし、これら公報には、高い可撓性と低い溶融粘度を両立できる脂肪族ジイソシアネートによる変性量に関しては、何ら開示および示唆されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、可撓性が高く、低い溶融粘度を有するエポキシ樹脂、および、硬化反応時のフロー性に優れ、表面性と耐衝撃性が良好な硬化物を与える硬化性組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、エポキシ樹脂中の特定比率のエポキシ基が、脂肪族ジイソシアネート中のイソシアネート基と反応したオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂が、上記課題を解決できることを見いだし本発明に至った。即ち、本発明は、下記の通りである。
1)(a)エポキシ樹脂と(b)イソシアネート化合物より得られるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂であって、(b)イソシアネート化合物が脂肪族ジイソシアネートであり、(b)イソシアネート化合物の使用量は、そのイソシアネート基が、(a)エポキシ樹脂中のエポキシ基に対して30〜47当量%となる量であり、これによって(a)エポキシ樹脂中のエポキシ基の20〜45当量%がオキサゾリドン環を形成していることを特徴とするオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂。
2)(b)イソシアネート化合物がヘキサメチレンジイソシアネートである上記1)記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂。
3)オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂のエポキシ当量が230〜430g/当量である、上記1)又は2)記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂。
【0006】
4)(a)エポキシ樹脂がグリシジルエーテル類である、上記1)〜3)のいずれかに記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂。
5)(a)エポキシ樹脂のエポキシ当量が160〜220g/当量である、上記1)〜4)のいずれかに記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂。
6)(a)エポキシ樹脂中のアルコール性水酸基の一部または全部が、(b)イソシアネート化合物中のイソシアネート基との反応によりウレタン結合となっている、上記1)〜5)のいずれかに記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂。
7)上記1)〜6)のいずれかに記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂のエポキシ基の一部または全部を(c)変性剤で変性したオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂。
8)上記1)〜6)のいずれかに記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、および/または上記7)記載のオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂と、(d)硬化剤を含有する硬化性組成物。
【0007】
以下本発明を更に詳しく述べる。
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂は、(a)エポキシ樹脂と(b)イソシアネート化合物との反応により得られる。
本発明に使用される(a)エポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルエーテル類、グリシジルエステル類、グリシジルアミン類、線状脂肪族エポキシド類、脂環式エポキシド類等が挙げられる。
【0008】
グリシジルエーテル類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA等のビスフェノール類をグリシジル化したビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のその他の2価フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等のトリスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、1,1,2,2,−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のテトラキスフェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のノボラック類をグリシジル化したノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0009】
グリシジルエステル類としては、例えば、ヘキサヒドロフタル酸やダイマー酸のジグリシジルエステル等が挙げられる。
グリシジルアミン類としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、メタキシレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、アミノフェノールをグリシジル化した化合物等が挙げられる。
線状脂肪族エポキシド類としては、例えば、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、例えば、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等が挙げられる。
更に、(a)エポキシ樹脂としては、トリグリシジルイソシアヌレートも使用できる。
【0010】
これら(a)エポキシ樹脂は単独で使用しても併用しても良い。好ましい(a)エポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル類であり、より好ましくは、ビスフェノール型エポキシ樹脂、更に好ましくは、ビスフェノールAのグリシジルエーテルである。
(a)エポキシ樹脂のエポキシ当量は260g/当量以下が好ましく、より好ましくは160〜220g/当量である。更に好ましくは、170〜200g/当量である。(a)エポキシ樹脂のエポキシ当量が大きなりすぎると、得られるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の溶融粘度が高くなり、硬化時のフロー性が低下する。
(a)エポキシ樹脂のアルコール性水酸基は1.0当量/kg以下が好ましく、より好ましくは、0.05〜0.7当量/kg、更に好ましくは、0.1〜0.5当量/kgである。(a)エポキシ樹脂のアルコール性水酸基が多くなりすぎると、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の製造時、重合安定性が低下する。
【0011】
本発明で使用される(b)イソシアネート化合物は、脂肪族ジイソシアネートである。脂肪族ジイソシアネートは、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと称す)、オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4(または2,4,4)−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン(以下TMDIと称す)、リジンジイソシアネート等の分子内に環構造を有さないジイソシアネート、および、これら分子内に環構造を有さないジイソシアネートのイソシアネート基の一部を変性した変性脂肪族ジイソシアネートである。変性脂肪族ジイソシアネートとしては、モノオール、および/またはジオール等で変性したウレタン変性ジイソシアネート、モノオール等で変性したアロハネート変性ジイソシアネート等があげられる。モノオールとしては、例えば、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール、ブチルセロソルブ、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これら変性に用いられるモノオール、ジオールは併用しても構わない。
これら脂肪族ジイソシアネートは、併用しても構わない。
【0012】
脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数が4〜18(更に好ましくは5〜14、一層好ましくは6〜12)の分子内に環構造を有さないジイソシアネート、およびそれを変性した変性ジイソシアネートが好ましい。炭素数が少ない物は安全性において特別の配慮が必要となり、炭素数が多い物は、エポキシ樹脂との相溶性が低下する傾向にあり、反応時相溶化剤等が必要となる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、経済的観点から、HDI、TMDIが特に好ましい。HDIが最も好ましい。
脂肪族ジイソシアネートは直接用いる事もできるし、例えば、アルコール類、フェノール類、オキシム類、ラクタム類等のブロック剤でイソシアネート基を一時的に保護して、用いる事もできる。ブロック剤で保護する場合は、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を得るための反応条件において、活性なイソシアネート基が再生しうるブロック剤を用いる必要がある。
【0013】
脂肪族ジイソシアネートと共に、他のイソシアネート化合物を併用する事もできる。他のイソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。
他のイソシアネート化合物の使用量は、脂肪族ジイソシアネートに対して、100当量%以下が好ましく、より好ましくは60当量%以下、更に好ましくは40当量%以下、一層好ましくは20当量%以下である。
【0014】
(b)イソシアネート化合物の使用量は、そのイソシアネート基が、(a)エポキシ樹脂中のエポキシ基に対して、20〜60当量%となる量で用いるのが好ましい。より好ましくは25〜50当量%、更に好ましくは30〜47当量%、一層好ましくは30〜45当量%である。(b)イソシアネート化合物中のイソシアネート基は、エポキシ基と反応してオキサゾリドン環を形成する他に、エポキシ樹脂中のアルコール性水酸基とのウレタン結合の形成や、イソシアネート基の環化3量化によるイソシアヌレート環の形成に使用される。
【0015】
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の製造は、通常、触媒の存在下に行われる。
触媒としては、例えば、ブトキシリチウム、メトキシナトリウム等の金属アルコラート、塩化リチウム、塩化アルミニウム等のルイス酸およびルイス酸とトリフェニルホスフィンオキサイド等のルイス塩基との混合物、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリブチルアンモニウム等のクロライド、ブロマイド、ヨーダイド、アセテート等の4級アンモニウム塩、トリエチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の3級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類等が挙げられる。
2種以上の触媒を併用しても構わない。触媒としては、4級アンモニウム塩および3級アミンが特に好ましい。
触媒の使用量は、通常、(a)エポキシ樹脂に対して、5ppm〜2wt%の範囲で使用される。好ましくは20ppm〜0.5wt%である。
触媒は、適当な溶剤に希釈して用いる事もできる。
【0016】
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の製造は、無溶剤で行うこともできるし、適当な溶剤の存在下に行うこともできる。溶剤を使用する場合は、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、トルエン、メチルセロソルブアセテート、テトラヒドロフラン等の活性水素を含まない溶剤が好ましい。
反応温度は、通常、80℃〜220℃である。好ましくは100℃〜200℃、更に好ましくは120℃〜190℃である。反応温度が低すぎると、触媒の活性が低く、イソシアヌレート環の生成等の副反応が起こる。また、反応温度が高すぎても、触媒の活性低下が起こり、やはり副反応が進行する。
【0017】
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の製造は、(a)エポキシ樹脂を所定の温度に昇温し、乾燥空気や窒素の吹き込みにより樹脂中の水分を極力除去した後、(b)イソシアネート化合物および触媒を投入するのが好ましい。(b)イソシアネート化合物および触媒の投入は、同時に一括して行ってもよいが、それぞれ別々に、または同時に、数回に分けて、あるいは連続的に投入するのが好ましい。連続的に投入する場合、その投入時間は、1〜10時間が好ましく、より好ましくは、2〜5時間である。投入時間が短い場合、イソシアヌレート環の生成量が多くなる場合がある。
【0018】
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂は、(a)エポキシ樹脂中のエポキシ基の20〜45当量%(好ましくは22〜42当量%、更に好ましくは25〜40当量%)が、(b)イソシアネート化合物中のイソシアネート基と反応してオキサゾリドン環を形成している。20当量%未満では、可撓性の向上効果が小さく、高い耐衝撃性を有する硬化物が得られない。一方、45当量%を越えると、得られるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の溶融粘度が高くなり、硬化時のフロー性が低下する。
この(a)エポキシ樹脂中のエポキシ基のうち、オキサゾリドン環形成に関与するものの割合は、例えば、実施例の項で後述する化学的手法によりOxd化率を測定する方法や、赤外分光法、核磁気共鳴分光法等の機器分析的手法を用いて定量する方法により知ることができる。
【0019】
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂は、(a)エポキシ樹脂中のアルコール性水酸基の一部または全部と、(b)イソシアネート化合物中のイソシアネート基との反応により得られるウレタン結合を含有する事ができる。ウレタン結合量は、0.9当量/kg以下が好ましく、より好ましくは、0.01〜0.7当量/kg、更に好ましくは、0.05〜0.6当量/kg、一層好ましくは、0.1〜0.5当量/kgである。ウレタン結合量が少ないと、可撓性の向上効果が小さく、ウレタン結合量が多いと、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の溶融粘度が高くなる。
【0020】
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂は、(b)イソシアネート化合物中のイソシアネート基が環化3量化したイソシアヌレート環を含有する事ができる。イソシアヌレート環の含有量は、オキサゾリドン環の含有量の40当量%以下が好ましく、より好ましくは30当量%以下、更に好ましくは20当量%以下一層好ましくは10当量%以下である。イソシアヌレート環が多すぎると、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を製造する時に重合安定性が低下したり、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の溶融粘度が高くなる。
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂は、実質的にイソシアネート基を含有しないのが好ましい。
【0021】
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂のエポキシ当量は、230〜430g/当量が好ましい。より好ましくは、260〜410g/当量、更に好ましくは、270〜390g/当量である。エポキシ当量が大きいと、溶融粘度が高くなる。一方、エポキシ当量が小さいと、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を用いた組成物を硬化した場合、その硬化物は架橋密度が高くなり、耐衝撃性が低下する。
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の軟化点は40℃〜100℃が好ましい。より好ましくは45℃〜90℃である。軟化点が低すぎると、ブロッキングを防ぐために、低温で貯蔵する必要がある。また、軟化点が高すぎる場合は、作業性が悪くなる。
【0022】
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の溶融粘度は、フロー性を向上させるために、低い方が好ましい。具体的には、125℃における溶融粘度が、8000mPa・s以下が好ましい。より好ましくは、6000mPa・s以下、更に好ましくは、4000mPa・s以下、一層好ましくは3000mPa・s以下である。
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の加水分解性塩素量は、特に制限されないが、例えば電気・電子用途で使用する場合は、500ppm以下が好ましい。より好ましくは100ppm以下である。
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂は、エポキシ基の一部または全部を、(c)変性剤で変性し、オキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂とする事ができる。
【0023】
本発明で使用される(c)変性剤としては、エポキシ基と反応する官能基を有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、キシレノール、t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類、n−ブタノール、ブチルセロソルブ、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルエタノールアミン酢酸塩、アミノエチルエタノールアミンのジメチルケチミン等のアミン類、酢酸、乳酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、安息香酸、ジメタノールプロピオン酸等のカルボン酸類、ジエチルジスルフィド・酢酸混合物等のスルフィド類、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプタン類等が挙げられる。これら(c)変性剤は、併用する事もできる。
【0024】
また、例えば、アミン類で変性した後、酢酸等を用いて、アミノ基をアンモニウム塩に変換する等の、イオン性基への変換を行う事もできる。
(c)変性剤による変性量は、特に制限はないが、変性により得られたオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂の硬化形態により、選択するのがよい。
オキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂の硬化形態が、エポキシ基を用いた硬化の場合、変性量が多くなると架橋密度の低下が起こるため、変性量はエポキシ基に対して、50当量%以下が好ましい。より好ましくは、1〜40当量%である。
オキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂の硬化形態が、変性により組み込まれた架橋性基や、変性により生成した2級水酸基を利用する場合は、変性量が少ないと架橋密度が上がらないため、変性量はエポキシ基に対して、50当量%以上が好ましい。より好ましくは、60〜100当量%である。
【0025】
本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、および/またはそれを変性したオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂は、(d)硬化剤と混合して、硬化性組成物とする事ができる。
本発明で使用される(d)硬化剤は、本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、および/またはそれを変性したオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂の硬化形態により、選択される。
【0026】
硬化形態がエポキシ基を用いた硬化の場合、(d)硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、トリエチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミン、ダイマー酸変性エチレンジアミン、N−エチルアミノピペラジン等の脂肪族アミン類、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェノルスルホン、4,4’−ジアミノジフェノルメタン、4,4’−ジアミノジフェノルエーテル等の芳香族アミン類、メルカプトプロピオン酸エステル、エポキシ樹脂の末端メルカプト化合物等のメルカプタン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールAD、テトラメチルビスフェノールS、テトラブロモビスフェノールA、テトラクロロビスフェノールA、テトラフルオロビスフェノールA、ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールAノボラック、臭素化フェノールノボラック、臭素化ビスフェノールAノボラック等のフェノール樹脂類、ポリアゼライン酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物類、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジン類、ジメチルベンジルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等の第3級アミン類、ジシアンジアミド等が挙げられる。
【0027】
硬化形態が、エポキシ基の変性により組み込まれた架橋性基や、変性により生成した2級水酸基を用いた硬化の場合は、例えば、メラミン樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物等が用いられる。
メラミン樹脂としては、ヘキサメトキシメチロールメラミン、メチル・ブチル化メラミン、ブチル化メラミン等が例示される。
ポリイソシアネート化合物としては、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、HDI、2,2,4(または2,4,4)−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネートおよびこれらジイソシアネートより誘導されるポリイソシアネートが例示される。
【0028】
ジイソシアネートより誘導されるポリイソシアネートとしては、イソシアヌレート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、ウレタン型ポリイソシアネート、アロハネート型ポリイソシアネート等がある。これらのポリイソシアネート化合物は単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
ブロックイソシアネート化合物としては、上記ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネート化合物をブロック剤でブロックした化合物が用いられる。
ブロック剤としては、例えば、アルコール類、フェノール類、オキシム類、ラクタム類、活性メチレン類等が挙げられる。これらのブロック剤は単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0029】
(d)硬化剤の使用量は、本発明のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂および/またはオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂を含む全量に対して、任意に選択できるが、通常、0.1〜90重量%である。好ましくは0.1〜50重量%である。
(d)硬化剤は単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明の硬化性組成物は、他のエポキシ樹脂および/または他のエポキシ樹脂を変性した変性エポキシ樹脂を併用する事ができる。
【0030】
本発明の硬化性組成物は、必要に応じ、溶剤を含むことができる。溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ミネラルスピリット、ナフサ等の炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、メタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等のアルコール類、水などの群から目的および用途に応じて適宜選択して使用することが出来る。これらの溶剤は単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
本発明の硬化性組成物は、必要に応じ、硬化促進剤を含む事ができる。硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール類、第3級アミン類、ホスフィン類、アミノトリアゾール類、錫系、亜鉛系等の金属触媒類等が用いられる。これらの硬化促進剤は単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0031】
本発明の硬化性組成物では、以下に示すような当該技術分野で常用される顔料、充填剤、添加剤等が使用できる。例えば、キナクリドン系、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料、酸化チタン、金属箔状顔料、防錆顔料等の無機顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、カーボンブラック、タルク、クレー等の充填剤、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系、ヒドラジド系等の酸化防止剤、シラン系、チタン系等のカップリング剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、顔料分散剤、ハジキ防止剤、消泡剤等の添加剤等が挙げられる。また必要に応じて、ガラス繊維、ガラス布、炭素繊維等の強化材を含有する事ができる。
この様にして得られたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂および/またはオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂を1成分とする硬化性組成物は、優れた耐衝撃性と良好なフロー性を併せ持ち、粉体塗料、電着塗料、PCM塗料等の塗料、接着剤、シーリング材、成型材料、複合材料、積層板、封止材等の材料として好適に使用される。
【0032】
本発明を実施例および比較例に基づき、更に詳しく説明するが本発明の技術範囲およびその実施態様はこれらに限定されるものではない。実施例及び比較例中の「部」または「%」は特記しない限り重量基準である。
以下に述べる手法により、本実施例および比較例に係る樹脂およびその硬化物の物性評価試験を行った。
(1)エポキシ当量
1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量(g)であり、JIS K−7236に準拠して求めた。
(2)軟化点
JIS K−7234(環球法)に準拠した。
(3)粘度
コーンプレート型粘度計(ICI型;Research Eqipment[London].LTD社製)を用い125℃で測定した。8000(mPa・s)以下を合格とした。
【0033】
(4)Oxd化率
オキサゾリドン環を形成したエポキシ基の、元のエポキシ基に対する当量%であり、本実施例のオキサゾリドン環形成反応においては、エポキシ基がオキサゾリドン環を形成する反応以外には、実質的に使用されないので、使用した(a)エポキシ樹脂のエポキシ当量(Ep1と称す)と重量(Wt1と称す)、得られたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂のエポキシ当量(Ep2と称す)と重量(Wt2と称す)を用い、下記式により求めた。
Oxd化率=100−(Wt2÷Ep2)÷(Wt1÷Ep1)×100
(5)In/Oxd比
オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂に含まれる、イソシアヌレート環由来カルボニル基のオキサゾリドン環由来カルボニル基に対する当量比であり、フーリエ変換型赤外分光光度計(FT−IR4200:島津製作所製)により測定した赤外吸収スペクトルの、イソシアヌレート環由来カルボニル基の伸縮振動ピーク(1690cm−1付近)とオキサゾリドン環由来カルボニル基の伸縮振動ピーク(1750cm−1付近)の高さ比を基に算出し、In/Oxd比が0.1未満をA、0.1〜0.2をB、0.2〜0.3をC、0.3〜0.4をD、0.4以上をEで表した。
【0034】
(6)ウレタン結合量
オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂に含まれる、(a)エポキシ樹脂中のアルコール性水酸基と(b)イソシアネート化合物との反応により得られるウレタン結合の量であり、(a)エポキシ樹脂中のアルコール性水酸基と、得られたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂中のアルコール性水酸基の量を、それぞれ、JIS K0070(ピリジン−塩化アセチル法)に準じて求め、その差より、ウレタン結合量を算出した。尚、本法のアルコール性水酸基の定量においては、エポキシ基1個はアルコール性水酸基2個と等価となることを考慮した。ウレタン結合量が0.05当量/Kg未満をA、0.05〜0.1当量/KgをB、0.1〜0.5当量/KgをC、0.5〜0.7当量/KgをD、0.7当量/Kg以上をEで表した。
【0035】
(7)耐衝撃性
JIS K−5400(デュポン式)に準拠し、重り質量1Kg、撃心半径1/4インチで行った。
評価は、衝撃による塗膜の変形・はがれができない最高の重り高さで表した。
(8)表面性
硬化後の塗膜の表面性を目視観察し、表面性が優れている物を◎、良い物を○、悪い物を×で表した。
【0036】
【実施例1】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189)100部を入れたセパラブルフラスコに、撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付け、フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下150℃に昇温し、150℃到達後30分間撹拌を続けた。反応温度を150℃に維持したまま、HDI15.6部とテトラブチルアンモニウムクロライド(和光純薬;Practical Grade)0.05部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を150℃に保ったまま2時間撹拌を続け、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を得た。得られたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の特性値を表1に示す。
【0037】
【実施例2】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189)100部を入れたセパラブルフラスコに、撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付け、フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下170℃に昇温し、170℃到達後30分間撹拌を続けた。反応温度を170℃に維持したまま、HDI20部を2時間かけて滴下した。また、HDIの滴下開始と同時に1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7を0.2部添加した。HDI滴下終了後、反応温度を170℃に保ったまま4時間撹拌を続け、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を得た。得られたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の特性値を表1に示す。
【実施例3〜6】
表1で示した配合、合成条件で、実施例1と同様にして、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を得た。得られたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の特性値を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【比較例1】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189)100部を入れたセパラブルフラスコに、撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付け、フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下175℃に昇温し、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.04部を添加、175℃で30分間撹拌を続けた。その後、反応温度を175℃に維持したまま、コロネートT−80(日本ポリウレタン社製:2,4−トリレンジイソシアネート約80%、2,6−トリレンジイソシアネート約20%)16.1部を2時間かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を175℃に保ったまま4時間撹拌を続け、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を得た。得られたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の特性値を表2に示す。
【比較例2、3】
表2で示した配合、合成条件で、実施例1と同様にして、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を得た。得られたオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の特性値を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
【実施例7】
実施例1で得たオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂100部にメチルエチルケトン43部を入れ、均一になるまで撹拌混合した。それに10%のジシアンジアミド溶液(溶剤:エチレングリコールモノメチルエーテル)42部と50%の2−エチル−4−イミダゾール溶液(溶剤:メタノール)2部を添加し、均一になるまで撹拌混合し、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を1成分とする硬化性組成物を得た。
ここで得た硬化性組成物を、エチレングリコールモノメチルエーテルを用いて粘度調整(フォードカップ#4で20秒/20℃)し、冷間圧延鋼板にエアースプレーガンを用いて乾燥膜厚50ミクロンになるように塗装した。その後、170℃で1時間焼付けを行い硬化物を得た。この硬化物の耐衝撃性と表面性の評価を行った。評価結果を表3に示す。
【実施例8〜12】
表3に示した配合量で、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、ジシアンジアミドを用いた以外は実施例7に従い、硬化性組成物を得、塗装、焼付けを行い、得られた硬化物の耐衝撃性と表面性の評価を行った。評価結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
【比較例4〜6】
表4に示した配合量で、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、ジシアンジアミドを用いた以外は実施例7に従い、硬化性組成物を得、塗装、焼付けを行い、得られた硬化物の耐衝撃性と表面性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
表4に示した様に、脂肪族ジイソシアネートの代わりにトリレンジイソシアネートを用いた比較例4では耐衝撃性が不充分であった。また、Oxd化率が20当量%未満のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂を用いた比較例5も耐衝撃性が不充分であった。一方、Oxd化率が45当量%を越えるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂(比較例3)は溶融粘度が高く、それを用いた比較例6では、硬化時のフロー性が低く、表面性が悪かった。
【0044】
【表4】
【0045】
【実施例13】
実施例4で得たオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂100部と、エチレングリコールモノブチルエーテル85部を入れたセパラブルフラスコに、撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付け、フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下100℃に昇温した。これにジエタノールアミン27部を、反応熱による温度上昇を2℃以下に抑えながら、約30分かけて滴下した。滴下終了後1時間100℃で維持し、オキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂を得た。
ここで得たオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂100部(樹脂分60%)にHDIのイソシアヌレート体をメチルエチルケトオキシムでブロックした樹脂分80%のブロックイソシアネート(TPA−B80E;旭化成(株)製)38部とジブチル錫ジラウレート0.3部を均一に混合し、硬化性組成物を得た。
ここで得た硬化性組成物を用い、実施例7と同様にして、塗装、焼付けを行い、得られた硬化物の耐衝撃性と表面性を評価した。得られた結果は耐衝撃性50cm以上、表面性○であった。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、可撓性が高く、低い溶融粘度を有するエポキシ樹脂、および、硬化反応時のフロー性に優れ、表面性と耐衝撃性が良好な硬化物を与える硬化性組成物が得られる。本発明の硬化性組成物は、電着塗料、粉体塗料、PCM塗料、接着剤、シーリング材、成型材料、複合材料、積層板、封止材等として優れた性能を発揮する。
Claims (8)
- (a)エポキシ樹脂と(b)イソシアネート化合物より得られるオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂であって、(b)イソシアネート化合物が脂肪族ジイソシアネートであり、(b)イソシアネート化合物の使用量は、そのイソシアネート基が、(a)エポキシ樹脂中のエポキシ基に対して30〜47当量%となる量であり、これによって(a)エポキシ樹脂中のエポキシ基の20〜45当量%がオキサゾリドン環を形成していることを特徴とするオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂。
- (b)イソシアネート化合物がヘキサメチレンジイソシアネートである請求項1記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂。
- オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂のエポキシ当量が230〜430g/当量である、請求項1又は請求項2記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂。
- (a)エポキシ樹脂がグリシジルエーテル類である、請求項1〜3のいずれかに記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂。
- (a)エポキシ樹脂のエポキシ当量が160〜220g/当量である、請求項1〜4のいずれかに記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂。
- (a)エポキシ樹脂中のアルコール性水酸基の一部または全部が、(b)イソシアネート化合物中のイソシアネート基との反応によりウレタン結合となっている、請求項1〜5のいずれかに記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂のエポキシ基の一部または全部を(c)変性剤で変性したオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂、および/または請求項7記載のオキサゾリドン環含有変性エポキシ樹脂と、(d)硬化剤を含有する硬化性組成物。
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