JP4674647B2 - 通信装置、および信号処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、通信装置、および信号処理方法に関する。特に、例えばICカードなどにおいて実行される近接通信に利用可能な通信装置、および信号処理方法に関する。
近年、近接通信機能を持つICカードや携帯電話等の携帯端末が多く利用されている。例えばソニーの開発したICカードであるFeliCa(登録商標)が知られている。近接通信の通信規格としては、例えばソニーとPhilips社の開発した短距離無線通信規格であるNFC(Near Field Communication)規格がある。
近接通信では、例えば13.56MHzのキャリア周波数が用いられ、送受信間距離を密着(0)から10数cmの範囲とした通信が行われる。この通信の概略について図1と図2を参照して説明する。この距離では送信・受信のアンテナをコイルとする磁気結合と考えてよい。一対のトランスである。
図1は、リーダライタ10から例えばICカードなどのトランスポンダ20に対するデータ送信処理を示す図である。図2はトランスポンダ20からリーダライタ10に対するデータ送信処理を示す図である。
図1を参照して、リーダライタ10から例えばICカードなどのトランスポンダ20に対するデータ送信処理について説明する。図1(a)に示すようにリーダライタ10は、212kbpsの送信情報(信号S1b)を13.56MHzのキャリア信号(信号S1a)に載せた変調信号(信号S1c)を送信アンプからコイルを介してトランスポンダ20に送信している。トランスポンダ20はコイルを介して受信信号(信号S1d)を受信する。
図1(b)には、
キャリア信号波形(信号S1a)
送信情報波形(信号S1b)
送信信号波形(信号S1c)
受信信号波形(信号S1d)
これら信号S1a〜S1dの信号波形を示している。
なお、変調方式としてはASK変調(振幅偏移変調:Amplitude Shift Keying)方式を採用している。
図2を参照して、ICカードなどのトランスポンダ20からリーダライタ10に対するデータ送信処理について説明する。図2(a)に示すようにリーダライタ10は、13.56MHzのキャリア信号(信号S2a)を送信アンプからコイルを介してトランスポンダ20に送信する。トランスポンダ20は、212kbpsの送信情報(信号S2b)を変調して生成した送信信号(信号S2c)をリーダライタ10に送信する。リーダライタ10はコイルを介して受信信号(信号S2d)を受信する。
図2(b)には、
キャリア信号波形(信号S2a)
送信情報波形(信号S2b)
送信信号波形(信号S2c)
受信信号波形(信号S2d)
これら信号S2a〜S2dの信号波形を示している。
図1、図2に示すリーダライタ10とトランスポンダ20との間では、送受信間距離を密着(0)から10数cmの範囲とした通信が行われる。この距離では送信・受信のアンテナをコイルとする磁気結合と考えてよい。一対のトランスである。
このトランスの特徴は、各々のコイルを高いQでキャリア周波数に共振させていることである。より遠くまで伝送できるようにキャリア近傍を共振で増幅するものである。しかし共振した2つのコイルが近づき相互干渉すると、伝送信号の周波数特性は図3のように共振の山が2つに別れ、キャリア周波数は2つの山の谷間になる。
図3には、コイルによって構成されるアンテナ間の距離=0.5〜100mmの各々の場合においてデータ送受信を行った場合の周波数と受信アンテナレベルとの対応関係、すなわち伝送信号の周波数特性を示した図である。例えばアンテナ間距離が50mm、100mmでは13.56MHzのキャリア周波数近傍にピークを持つ1つの山のみが出現しているが、アンテナ間距離が30mm、6mm、0.5mmでは、共振の山が2つに別れている。これは、共振した2つのコイルが近づいて相互干渉したものである。結果として、13.56MHzのキャリア周波数は2つの山の谷間になる。
これは、2つのコイルの共振周波数が、コイル間の距離によって変化することに起因する。図4、図5を参照してこの原理について説明する。図4(a)は、図1、図2に示すリーダライタ10とトランスポンダ20の各々のコイルに相当する2つのコイルa,bを示している。ここで、矢印のポイントPから右のインピーダンスZ0(s)は、以下の式(式1)によって示される。
・・・(式1)
上記式においてkは結合係数、G(s)はs(共振周波数)の3次関数である。
上記式(式1)から算出されるsの根として示される共振周波数ω01,ω02は、次のようになる。
上記式から理解されるように、結合係数kの値によって共振周波数ω01,ω02は異なることになる。上記共振周波数ω01,ω02が結合係数kの値によってどのように変化するかを示したのが、図5である。図5は、結合係数k=0.01〜0.5とした場合の周波数と受信信号レベルの対応関係を示している。
キャリア周波数(13.56MHz)近傍の周波数特性は、検波された(ベースバンドに戻された)信号の周波数特性に反映する。すなわち、ベースバンド信号の周波数特性は、キャリア周波数をDCとしたキャリア周波数近傍の周波数特性と一致する。図5の特性の系を通過したキャリアをデコードしたベースバンドの信号周波数特性を図6に示す。
図6は、ベースバンドの周波数特性であり、結合係数k=0.01〜0.5の複数の場合の周波数と受信強度の相対レベル(Linear)の対応関係を示している。図5に示すキャリア周波数13.56MHzのレベルが図6のDC(周波数=0Hz)レベルに相当する。図5の(13.56+X)MHzと(13.56−X)MHzの受信側観測レベルの平均が図6に示す周波数=X(MHz)の相対レベルに相当することになる。
図6において、周波数=0.625MHz〜1.25MHzの区間の周波数特性について、異なる結合係数kを持つ場合で比較してみる。
結合係数k=0.2の周波数特性は、周波数=0.625MHz〜1.25MHzの区間においては図に示す二重点線ラインaに示すように「高域上がり」、すなわち、周波数が高くなるにつれて受信強度の相対レベルが高くなる傾向にある。
一方、結合係数k=0.1の周波数特性は、周波数=0.625MHz〜1.25MHzの区間においては図に示す二重点線ラインbに示すように「高域下がり」、すなわち、周波数が高くなるにつれて受信強度の相対レベルが低くなる傾向にある。
図3と図5の特性(ピーク周波数)の一致点に従って通信距離を推測すると、
図5に示す結合係数k=0.2の周波数特性は、ほぼアンテナ間距離=14mm、
図5に示す結合係数k=0.1の周波数特性は、ほぼアンテナ間距離=20mm、
このような対応であると推測される。距離がこの程度違っただけで受信強度や、共振周波数が大きく変化するのが、この通信方式の特徴である。
結合係数kが小さい、すなわち通信距離が長い場合は、急峻に高域が減衰する特性となっている。しかし結合係数kが上昇、すなわち通信距離が短くなると、高域にピークを持つ特性になってくる。
しかし、このような周波数特性の変化は、従来は大きな問題にはなっていなかった。これは、従来のシステムでは利用されている伝送レートがさほど高くなかったということが理由である。例えば、先に説明したFeliCa(登録商標)やNFC(Near Field Communication)規格では伝送レートが212kbpsのマンチェスタ・コードを採用している。すなわち、最高繰り返し波形の周波数が212kHzである。
図6を見ると、通信距離が遠く離れたとき、212kHzがDCに対し1/2程度のレベルに落ちているが、ほとんどの距離では平坦に近い特性となっている。それゆえチャネル(伝送路)の周波数特性によって大きく歪むことはなく、受信側において受信信号の[1/0]判定には差し支えない。
しかし、伝送レートを速くすると、ベースバンド信号スペクトルはその速くなった倍率分だけ広がり、受信信号の検波時にその分広い周波数を必要とする。そのため、チャネルの周波数特性の影響は大きくなり、それによりデータのエラー率が上昇(悪化)することになる。
図7を参照して従来の通信装置における受信信号の検出回路の一般的な構成と、検出回路における検出信号について説明する。図7(a)は、従来の通信装置における受信信号の検出回路の構成を示している。これらは、例えば図1に示すICカード等のトランスポンダ20の検出回路21、あるいは図2に示すリーダライタ10の検出回路11の構成に相当する。図7(b)は、図7(a)に示す検出回路の各ポイントにおける信号波形を示している。
検出回路は、図7(a)に示すように、増幅器31、検波器32、ハイパスフィルタ(HPF)33、コンパレータ34を有する。アンテナとしてのコイルを介して入力する受信信号は、図7(b)に示す[信号S3a]のような入力波形となる。
この入力波形[信号S3a]は、増幅器31において、十分な振幅を持つように適切な倍率で増幅または減衰される。増幅器31は、図7(b)に示すような[信号S3b]を出力する。なお、増幅器31は、減衰器またはオートゲインコントローラ(AGC)などによって構成される場合もある。
増幅器31の出力[信号S3b]は検波器32に入力され、増幅された信号の振幅情報を抽出する検波処理が行われる。この結果として検波器32は図7(b)に示すような[信号S3c]を出力する。
検波器32の検波信号[信号S3c]は、ハイパスフィルタ(HPF)33に入力される。ハイパスフィルタ(HPF)33は、検波信号[信号S3c]に対して、波形の中点電位をゼロレベルに設定する直流成分の除去を行ない、DCオフセットの除去された検波波形を生成する。図7(b)に示す[信号S3d]である。
ハイパスフィルタ(HPF)33の出力、すなわち、DCオフセットの除去された検波波形[信号S3d]は、コンパレータ34に入力される。コンパレータ34は、ゼロレベルを閾値として、[1/0]の2値信号を生成して出力する。すなわち、図7(b)に示す[信号S3e]を受信情報波形として生成して出力する。
従来の近接通信における受信信号検出回路は、この図7に示すような構成を有し、これらの構成による信号処理によって、受信信号である[信号S3a]から受信情報としての2値信号[信号S3]を生成していた。
しかし、この構成では、伝送レートが212kbps程度の低い伝送レートであれば問題なく処理が可能となるが、伝送レートが高くなると信号がチャネル(伝送路)の周波数特性によって大きく歪む場合があり、検波波形からのDCオフセット除去による[1/0]判定が正確に実行できなくなる場合がある。
本発明は、例えば上述の問題点に鑑みてなされたものであり、伝送レートが高くなっても、エラー率を低減させて正確なデータ受信を可能とした通信装置、および信号処理方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の側面は、
無線通信による受信信号から受信情報の検出処理を実行する信号検出部を有し、
前記信号検出部は、
キャリア信号に受信情報が重畳された受信信号を入力し、該受信信号の包絡線変化を解析して受信情報を含む検波信号を生成する検波部と、
前記検波信号に対する補正処理を実行し補正検波信号を出力する等化処理部と、
前記等化処理部の生成した補正検波信号を入力して受信情報検出を行う検出部を有する通信装置にある。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記等化処理部は、前記検波信号に含まれる歪み補正処理を実行する構成であり、前記受信信号に対して無線通信路において発生した歪みを補正する処理を行う構成である。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記等化処理部は、前記受信信号に対して無線通信路において発生する歪みと逆特性のフィルタを適用して信号を元に戻す処理を行う構成である。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記通信装置は、さらに、前記検波部の生成する検波信号に対するデジタル変換処理を実行してデジタル信号を生成するアナログデジタルコンバータを有し、前記等化処理部は、前記デジタル信号を入力して、デジタル信号処理により補正デジタル信号を生成して前記検出部に出力する構成である。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記等化処理部は、前記等化処理部に対する入力信号の歪に応じて異なる等化処理を実行する適応等化処理(アダプティブイコライザ)構成を有する。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記通信装置は、さらに、前記受信信号の特性に応じた最適な等化処理特性を解析し、該解析結果に応じた等化処理を前記等化処理部において実行させる構成を有する。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記等化処理部は、異なる等化特性に従った処理を実行する複数の等化処理部によって構成され、前記複数の等化処理部の出力から前記受信信号の特性に応じた最適な等化処理結果を選択して、前記検出部に入力する選択部を有する構成である。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記通信装置は、さらに、前記複数の等化処理部の出力である複数の等化処理結果に含まれるヘッダの解析を実行するヘッダ検出部と、前記ヘッダ検出部の解析結果に応じて、前記検出部に入力する等化処理部の出力を選択する信号選択部を有し、前記ヘッダ検出部は、ヘッダ内の同期(SYNC)情報の検出、またはエラー率検出の少なくともいずれかの検出処理を実行し、前記信号選択部は、前記ヘッダ検出部の検出結果に応じて、前記複数の等化処理部から、最適な等化処理結果を出力した1つの等化処理部を選択し、該選択結果に応じて前記検出部に入力する等化処理結果の選択を行う構成である。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記通信装置は、さらに、データ送信装置側において測定された送信アンテナ部の電圧を示す送信アンテナレベル情報を受信信号から抽出し、抽出したアンテナレベル情報を前記等化処理部に出力するレベル情報検出部を有し、前記等化処理部は、前記アンテナレベル情報に応じた最適等化特性を判定し、最適等化特性に従った等化処理結果を出力する構成を有する。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記等化処理部は、前記アンテナレベル情報に応じて推定される伝送路周波数特性のほぼ逆の周波数特性を最適等化特性として判定する処理を行う構成を有する。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記等化処理部は、複数の異なる等化特性に従った等化処理を実行する複数の等化部と、前記アンテナレベル情報を入力し、前記複数の等化部の等化結果から1つの等化結果を選択出力する選択部を有し、前記選択部は、前記アンテナレベル情報に応じて推定される伝送路周波数特性のほぼ逆の周波数特性による等化処理を実行した等化部の等化結果を選択出力する構成を有する。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記通信装置は、さらに、前記検波部の生成する検波信号に対するデジタル変換処理を実行してデジタル信号を生成するアナログデジタルコンバータを有し、前記等化処理部は、前記デジタル信号を入力して、フィルタ係数を適用したフィルタリング処理により補正デジタル信号を生成して前記検出部に出力するフィルタ部と、前記フィルタ部に対して予め設定された複数のフィルタ係数セットから、前記アンテナレベル情報に応じて推定される伝送路周波数特性のほぼ逆の周波数特性による等化処理を実行するためのフィルタ係数セットを選択して前記フィルタ部に出力するフィルタ係数選択部を有する構成である。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記フィルタ部は、FIR(Finite Impulse Response )フィルタである。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記受信信号は、ASK変調(振幅偏移変調:Amplitude Shift Keying)方式によって変調された信号である。
さらに、本発明の第2の側面は、
無線通信によるデータ送信を行うアンテナ部と、
前記アンテナ部の電圧を測定するレベル計測部と、
前記レベル計測部の計測電圧値を示すアンテナレベル情報を送信データに格納するパケット生成部を有し、
前記パケット生成部の生成したアンテナレベル情報を格納したパケットを前記アンテナ部を介して出力する通信装置にある。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記パケット生成部は、パケット構成データに適用する予め規定されたデータ変換ルールと異なる信号列からなる特異信号パターン領域をパケット内に設定し、該特異信号パターン領域にアンテナレベルに応じて異なる信号パターンを設定したパケットを生成する構成を有する。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記パケット生成部は、前記特異信号パターン領域に、アンテナレベルに応じて異なる周波数を持つ単一周波数信号列を設定したパケットを生成する構成を有する。
さらに、本発明の通信装置の一実施態様において、前記パケット生成部は、前記パケット内に設定される単一信号繰り返し領域に、該単一信号と異なる低周波レート信号領域を設定し、該低周波レート信号領域をアンテナレベルに応じて異なる信号パターンに設定したパケットを生成する構成を有する。
さらに、本発明の第3の側面は、
通信装置において受信情報の検出を行う信号処理方法であり、
信号検出部が、無線通信による受信信号から受信情報の検出処理を実行する信号検出ステップを有し、
前記信号検出ステップは、
検波部が、キャリア信号に受信情報が重畳された受信信号を入力し、該受信信号の包絡線変化を解析して受信情報を含む検波信号を生成する検波ステップと、
等化処理部が、前記検波信号に対する補正処理を実行し補正検波信号を出力する等化処理ステップと、
検出部が、前記等化処理ステップにおいて生成された補正検波信号を入力して受信情報検出を行う検出ステップを含む信号処理方法にある。
さらに、本発明の第4の側面は、
通信装置においてデータ送信を行う信号処理方法であり、
レベル計測部が、データ送信を行うアンテナ部の電圧を測定するレベル計測ステップと、
パケット生成部が、前記レベル計測部の計測電圧値を示すアンテナレベル情報を格納したパケットを生成するパケット生成ステップと、
前記アンテナ部が、前記パケット生成部の生成したアンテナレベル情報を格納したパケットを出力するステップと、
を有する信号処理方法にある。
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
本発明の一実施例構成によれば、無線通信による受信信号から受信情報の検出処理を実行する構成において、検波部がキャリア信号に重畳された受信情報を入力して受信情報を含む検波信号を生成し、等化処理部がこの検波信号に含まれる歪み、すなわち無線通信路において発生した歪みを補正する。等化処理部において補正された信号を例えばコンパレータなどによって構成される検出部に入力して受信情報を取得する。本構成により、通信路において発生する歪みが等化処理部において補正され、補正信号から受信情報の取得を行う構成としたので例えば伝送レートの高い通信などにおいても正確な情報伝送が可能となる。
近接通信を行う通信装置の一般的な構成、および通信処理における送受信信号の処理例について説明する図である。 近接通信を行う通信装置の一般的な構成、および通信処理における送受信信号の処理例について説明する図である。 共振した2つのコイルが近づき相互干渉と、伝送信号の周波数特性について説明する図である。 2つのコイルの共振周波数がコイル間の距離によって変化すること、13.56MHzのキャリア周波数が2つの山の谷間になることの原理について説明する図である。 2つのコイルの共振周波数がコイル間の距離によって変化すること、13.56MHzのキャリア周波数が2つの山の谷間になることの原理について説明する図である。 図5の特性の系を通過したキャリアをデコードしたベースバンドの信号周波数特性について説明する図である。 従来の通信装置における受信信号の検出回路の一般的な構成と、検出回路における検出信号について説明する図である。 本発明の一実施例に係る通信装置の構成例について説明する図である。 本発明の通信装置における検出回路の一実施例に係る回路構成について説明する図である。 図9に示す検出回路300の各構成部間で伝達される信号の遷移について説明する図である。 本発明の通信装置における検出回路の第2実施例に係る回路構成について説明する図である。 本発明の通信装置における検出回路の第3実施例に係る回路構成について説明する図である。 本発明の通信装置における検出回路の第4実施例に係る回路構成について説明する図である。 本発明の通信装置における検出回路の第5実施例に係る回路構成について説明する図である。 本発明の通信装置における検出回路の第5実施例における3つの等化回路の処理特性について説明する図である。 本発明の通信装置における検出回路の第6実施例に係る回路構成について説明する図である。 本発明の通信装置において送受信されるパケット構成について説明する図である。 本発明の通信装置における検出回路の第6実施例(図16)における信号の伝送シーケンスについて説明する図である。 本発明の通信装置の構成例について説明する図である。 送受信部のアンテナ間の伝送周波数特性について説明する図である。 ベースバンド信号(検波後の信号)の周波数特性について説明する図である。 送信アンテナレベル(電圧)と送受信部のアンテナ間距離との対応について説明する図である。 データ送信側の通信装置の構成例を示す図である。 データ受信側の通信装置の構成例を示す図である。 パケットに対するアンテナレベル情報の格納例について説明する図である。 アンテナレベル情報格納パケットの送信処理のタイミングについて説明する図である。 具体的なアンテナレベル情報の格納例について説明する図である。 具体的なアンテナレベル情報の格納例について説明する図である。 アンテナレベル情報の格納領域の周波数について説明する図である。 アンテナレベル情報を受信して等化処理を行う受信装置側の構成と処理の具体例について説明する図である。 アンテナレベル情報の区分例について説明する図である。 デジタルフィルタを適用した等化部を持つ通信装置の構成例を示す図である。 デジタルフィルタを適用した等化部の構成例について説明する図である。
以下、図面を参照しながら本発明の通信装置、および信号処理方法の詳細について説明する。本発明の通信装置は高い伝送レートでの通信においてもエラー率を低減させてデータ受信を行うことを可能とする。以下、本発明の実施例について以下の各項目に従って、順次説明する。
A.受信装置の検出回路において等化処理を行う実施例
A1.検出回路の実施例(実施例1)
A2.検出回路の実施例(実施例2)
A3.検出回路の実施例(実施例3)
A4.検出回路の実施例(実施例4)
A5.検出回路の実施例(実施例5)
A6.検出回路の実施例(実施例6)
B.送信装置からの信号レベル情報に基づく最適等化処理を行う実施例
B1.送信信号に応じた最適な等化器周波数特性についての説明
B2.信号レベル情報に基づく等化処理の最適化を行う実施例(実施例7)
[A.受信装置の検出回路において等化処理を行う実施例]
まず、受信装置の検出回路において等化処理を行う実施例について説明する。以下で説明する構成は、具体的には、周波数特性を補正するための回路、例えばフィルタ回路としての等化器やイコライザを設けて、受信信号の補正を行って信号検出を行う構成である。
図8を参照して本発明の一実施例に係る通信装置の構成例について説明する。図8に示す図は、先に図1、図2を参照して説明したと同様の近接通信を行う通信装置の組み合わせ例を示す図である。すなわちリーダライタ100と、ICカードなどのトランスポンダ200の各通信装置を示している。リーダライタ100、トランスポンダ200のいずれも本発明に係る通信装置の利用例である。
リーダライタ100からトランスポンダ200に対するデータ送信処理、またはトランスポンダ200からリーダライタ100に対するデータ送信処理が実行される。データ送受信処理における処理の流れは図1、図2を参照して説明したと同様である。
すなわち、リーダライタ100から例えばICカードなどのトランスポンダ200に対するデータ送信処理では、リーダライタ100は、送信情報101をキャリア信号102に載せた変調信号を変調器103において生成して、送信アンプ104からコイル105を介してトランスポンダ200に送信する。トランスポンダ200はコイル202を介して受信した信号を検出回路210において検出する。なお、変調方式としては例えばASK変調(振幅偏移変調:Amplitude Shift Keying)方式を採用している。
一方、ICカードなどのトランスポンダ200からリーダライタ100に対するデータ送信処理では以下の処理が行われる。リーダライタ100は、キャリア信号102をコイル105を介してトランスポンダ200に送信する。トランスポンダ200は、送信情報201を変調して生成した送信信号をコイル202を介してリーダライタ100に送信する。リーダライタ100はコイル105を介して受信した信号を検出回路110において検出する。
このように、基本的なデータ送受信処理のシーケンスは、図1、図2を参照して説明したと同様である。先に図1、図2を参照して説明した処理では、送信情報の伝送レートは212kbpsとした。本発明では、さらに高速の伝送レートの高速通信を許容する。高い伝送レートの通信データの解析を行うために検出回路の構成を変更している。図8に示すリーダライタ100の検出回路110、またはトランスポンダ200の検出回路210である。
[A1.検出回路の実施例(実施例1)]
本発明の通信装置における検出回路の一実施例に係る回路構成を図9に示す。図9に示す検出回路300は、無線通信による受信信号から受信情報の検出処理を実行する信号検出部として機能する。
すなわち、検出回路300はアンテナとして機能するコイルを介して受信する受信信号であるキャリア信号に重畳された送信情報を抽出して受信情報を構成するビット(1/0)列を抽出する処理を行う。図9に示す検出回路300は、図8に示すリーダライタ100の検出回路110、またはトランスポンダ200の検出回路210に対応する。
検出回路300は、図9に示すように、増幅器301、検波器302、ハイパスフィルタ(HPF)303、受信信号に含まれる歪み補正処理を行う等化回路(EQ)304、コンパレータ305を有する。このように、本発明の通信装置における検出回路300は、検波信号に含まれる信号から歪みを取り除いて補正を行う等化回路(EQ)304を備えている。この等化回路(EQ)304によって、チャネル(伝送路)で受けた歪みが除去され、コンパレータ305における受信信号の解析処理によるビット列抽出を正確に行うことが可能となる。
図10を参照して図9に示す検出回路300の各構成部間で伝達される信号の遷移について説明する。図10(a)は、図9に示す検出回路300の構成を示している。図10(b)は、図10(a)に示す検出回路300の各ポイントにおける信号波形を示している。
アンテナとしてのコイルを介して入力する受信信号は、図10(b)に示す[信号S5a]のような入力波形となる。この入力波形[信号S5a]は、増幅器301において、十分な振幅を持つように適切な倍率で増幅または減衰される。増幅器301は、図10(b)に示すような[信号S5b]を出力する。なお、増幅器301は、減衰器またはオートゲインコントローラ(AGC)などによって構成される場合もある。
増幅器301の出力[信号S5b]は検波器302に入力され、増幅された信号の振幅情報を抽出する検波処理が行われる。検波器302はキャリア信号に重畳された受信情報を入力してキャリア信号の包絡線変化を解析して受信情報を含む検波信号を生成する。この結果として検波器302は図10(b)に示すような[信号S5c]を出力する。
検波器302の検波信号[信号S5c]は、ハイパスフィルタ(HPF)303に入力される。ハイパスフィルタ(HPF)303は、検波信号[信号S5c]に対して、波形の中点電位をゼロレベルに設定する直流成分の除去を行ない、DCオフセットの除去された検波波形を生成する。図10(b)に示す[信号S5d]である。
ハイパスフィルタ(HPF)303の出力、すなわち、DCオフセットの除去された検波波形[信号S5d]は、等化回路(EQ)304に入力される。等化回路(EQ)304は、チャネル(伝送路)で受けた歪みの除去を行う。等化回路(EQ)304はチャネル(伝送路)で受けた歪みに対して逆特性のフィルタを適用して信号を元に戻す処理を行う。例えばハイパスフィルタ(HPF)、ローパスフィルタ、レベルシフタなどによって構成される。等化回路(EQ)304は、ハイパスフィルタ(HPF)303から入力するDCオフセットの除去された検波波形[信号S5d]に含まれる歪みを補正する。すなわち、検波信号に対する補正処理を実行し補正検波信号を出力する。
その後、等化回路(EQ)304によって歪み補正された信号がコンパレータ305に入力される。コンパレータ305は等化回路(EQ)304の生成した補正検波信号を入力して受信情報検出を行う検出部として機能する。コンパレータ305は、ゼロレベルを閾値として、[1/0]の2値信号を生成して出力する。すなわち、図10(b)に示す[信号S5e]を受信情報波形として生成して出力する。
本発明の構成では、このように、等化回路(EQ)304を設け、等化回路(EQ)304において、チャネル(伝送路)で受けた歪みが除去され、コンパレータ305における受信信号の解析処理によるビット列抽出を正確に行うことが可能となる。
[A2.検出回路の実施例(実施例2)]
図9、図10を参照して説明した検出回路300の構成は、アナログ信号の処理回路として構成した例である。検波器302をアナログ信号処理回路として構成し、コンパレータ305もアナログコンパレータとして1/0判定を行っている。
しかし、検波器とハイパスフィルタによる処理信号をデジタル信号に変換して、処理を行うことも可能である。デジタル信号に変換して検出部において信号抽出を行う構成とした、本発明の実施例2の検出回路構成について、図11を参照して説明する。
図11に示す検出回路320は、増幅器321、検波器322、ハイパスフィルタ(HPF)323、オートゲインコントローラ(AGC)324、アナログデジタルコンバータ(ADC)325、等化回路(EQ)326、検出部327を有する。
この実施例2の検出回路320において、増幅器321、検波器322、ハイパスフィルタ(HPF)323は、実施例1と同様の構成である。すなわち、アンテナとしてのコイルを介して入力する受信信号は増幅器321に入力され、増幅器321において十分な振幅を持つように適切な倍率で増幅または減衰される。なお、増幅器321は、減衰器またはオートゲインコントローラ(AGC)などによって構成される場合もある。
増幅器321の出力は検波器322に入力され、増幅された信号の振幅情報を抽出する検波処理が行われる。すなわち、検波器322はキャリア信号に重畳された受信情報を入力してキャリア信号の包絡線変化を解析して受信情報を含む検波信号を生成する。検波器322の検波信号は、ハイパスフィルタ(HPF)323に入力される。ハイパスフィルタ(HPF)323は、検波信号に対して、波形の中点電位をゼロレベルに設定する直流成分の除去を行ない、DCオフセットの除去された検波波形を生成する。
ハイパスフィルタ(HPF)323の出力、すなわち、DCオフセットの除去された検波波形は、オートゲインコントローラ(AGC)324においてゲイン制御がなされ、その後、アナログデジタルコンバータ(ADC)325に入力され、デジタル信号に変換される。
その後、このデジタル信号が等化回路(EQ)326に入力される。等化回路(EQ)326は、デジタル信号処理回路として構成される。実行する処理の目的は実施例1における等化回路(EQ)と同様であり、チャネル(伝送路)で受けた歪みの除去を行う。すなわち、検波信号に対する補正処理を実行し補正検波信号を出力する。
ただし、入力信号はデジタル信号であり、デジタル情報に含まれる歪みの除去を行う。すなわちデジタル信号処理による信号補正処理を行うことになる。
その後、等化回路(EQ)326によって歪み補正されたデジタル信号が検出部327に入力される。検出部327は、等化回路(EQ)326の生成したデジタル信号としての補正検波信号を入力して受信情報検出を行う。検出部327は、補正されたデジタル信号に基づいて、[1/0]の2値信号を受信情報として出力する。
本構成においても、実施例1と同様、等化回路(EQ)326において、チャネル(伝送路)で受けた歪みが除去されるので、検出部327はエラー発生率を抑えた正確な受信信号解析を行うことができる。
[A3.検出回路の実施例(実施例3)]
図11を参照して説明した検出回路の構成は、等化回路(EQ)326においてデジタル信号処理を行う構成例であるが、デジタル信号処理を行う場合は、適応等化(Adaptive Equalizer)回路が使用できる。これは入力信号の歪み方に応じて等化特性を自動的に最適にするものである。
先に図6を参照して説明したように距離で特性が大きく変化するチャネル(伝送路)を利用した通信を行う構成では、伝送レートが上がり広い帯域が必要になってくると特定の決まった処理を行う等化回路(EQ)では対応しきれない場合がある。そこで受信データに応じて最適な補正処理を行う適応等化を行う構成とすることが好ましい。このような受信データに応じて異なる補正処理を行う適応等化を行う等化回路(EQ)を持つ検出回路340の構成例を図12に示す。
図12に示す検出回路340は、増幅器341、検波器342、ハイパスフィルタ(HPF)343、オートゲインコントローラ(AGC)344、アナログデジタルコンバータ(ADC)345、PLL346、適応等化回路(アダプティブEQ)347、検出部348を有する。
この実施例3の検出回路340において、増幅器341、検波器342、ハイパスフィルタ(HPF)343は、実施例1と同様の構成である。すなわち、アンテナとしてのコイルを介して入力する受信信号は増幅器341に入力され、増幅器341において十分な振幅を持つように適切な倍率で増幅または減衰される。なお、増幅器341は、減衰器またはオートゲインコントローラ(AGC)などによって構成される場合もある。
増幅器341の出力は検波器342に入力され、増幅された信号の振幅情報を抽出する検波処理が行われる。すなわち、検波器342はキャリア信号に重畳された受信情報を入力してキャリア信号の包絡線変化を解析して受信情報を含む検波信号を生成する。検波器342の検波信号は、ハイパスフィルタ(HPF)343に入力される。ハイパスフィルタ(HPF)343は、検波信号に対して、波形の中点電位をゼロレベルに設定する直流成分の除去を行ない、DCオフセットの除去された検波波形を生成する。
ハイパスフィルタ(HPF)343の出力、すなわち、DCオフセットの除去された検波波形は、オートゲインコントローラ(AGC)344においてゲイン制御がなされ、その後、アナログデジタルコンバータ(ADC)345に入力され、デジタル信号に変換される。
その後、このデジタル信号がPLL346に入力され、PLL346ではデータレートのクロックに従ったPLL処理を行い、その結果を適応(アダプティブ)等化回路(EQ)347に入力する。適応(アダプティブ)等化回路(EQ)347は、PLL処理結果を入力してデジタル信号処理による信号補正処理を行う。適応(アダプティブ)等化回路(EQ)347は例えばFIR(Finite Impulse Response )フィルタで構成される。これは、適応等化器出力の本来あるべき検出電圧から外れた誤差電圧から、FIRフィルタの各タップ係数の誤差を検出して、自動的に誤差電圧が最小になるよう補正するものである。この適応等化により、大きく等化特性が変化する系においても、一つの回路で対応できるようになる。
その後、適応(アダプティブ)等化回路(EQ)347において補正されたデジタル信号が検出部348に入力される。検出部328は、適応(アダプティブ)等化回路(EQ)347の生成したデジタル信号としての補正検波信号を入力して受信情報検出を行う。検出部348は、補正されたデジタル信号に基づいて、[1/0]の2値信号を受信情報として出力する。
本構成においても、実施例1,2と同様、適応(アダプティブ)等化回路(EQ)347において、チャネル(伝送路)で受けた歪みが除去されるので、検出部348はエラー発生率を抑えた正確な受信信号解析を行うことができる。特に本実施例では、例えばFIR(Finite Impulse Response )フィルタで構成される適応(アダプティブ)等化回路(EQ)347による信号補正を行う構成としたので、入力信号の歪み方に応じて等化特性を自動的に最適にした処理がなされ、チャネル(伝送路)状態によって発生する様々なタイプの歪みを的確に補正することが可能となり、様々な受信信号に対して正確な信号検出が実現される。
[A4.検出回路の実施例(実施例4)]
アナログ信号に対する等化処理を行う場合、適応等化機能の実現は難しくなるが、アナログの固定等化特性で済む場合もある。例えば、トランスポンダ(ICカードなど)をリーダライタの上に置くといった使い方を限定したシステムであれば、等化処理は必要でも要求される等化特性が大幅に変化することがない。このような場合はアナログ固定特性フィルタで十分対応できる。また、他の情報、例えばキャリア信号のレベルや、その他チャネルの周波数特性を測定する回路を備えて、この測定結果に応じて等化器の特性を変更する設定としてもよい。
このようなアナログ信号に対応する最適な等化処理を実行させる検出回路構成について、図13を参照して説明する。
図13に示す検出回路400は、増幅器401、検波器402、ハイパスフィルタ(HPF)403、等化回路(EQ)404、コンパレータ405を有する。
この実施例4の検出回路400は、先に図9、図10を参照して説明したと同様のアナログ信号処理回路である。増幅器401、検波器402、ハイパスフィルタ(HPF)403は、実施例1と同様の構成である。すなわち、アンテナとしてのコイルを介して入力する受信信号は増幅器401に入力され、増幅器401において十分な振幅を持つように適切な倍率で増幅または減衰される。なお、増幅器401は、減衰器またはオートゲインコントローラ(AGC)などによって構成される場合もある。
増幅器401の出力は検波器402に入力され、増幅された信号の振幅情報を抽出する検波処理が行われる。すなわち、検波器402はキャリア信号に重畳された受信情報を入力してキャリア信号の包絡線変化を解析して受信情報を含む検波信号を生成する。検波器402の検波信号は、ハイパスフィルタ(HPF)403に入力される。ハイパスフィルタ(HPF)403は、検波信号に対して、波形の中点電位をゼロレベルに設定する直流成分の除去を行ない、DCオフセットの除去された検波波形を生成する。
ハイパスフィルタ(HPF)403の出力、すなわち、DCオフセットの除去された検波波形は、等化回路(EQ)404に入力される。等化回路(EQ)404は、さらに、特性切り替え信号411を入力して等化処理特性を入力信号の特性に応じて変更する。
特性切り替え信号411は、図示しない受信信号検証回路において生成される。受信信号検証回路は、受信信号のレベルや、その他チャネルの周波数特性を測定する回路であり、この回路の測定結果に応じて最適な等化処理を実行させる特性切り替え信号411を等化回路(EQ)404に出力する。
等化回路(EQ)404は、特性切り替え信号411に応じて等化処理特性を変更して、ハイパスフィルタ(HPF)403の出力、すなわち、DCオフセットの除去された検波波形に対する補正処理を行う。
その後、等化回路(EQ)404において歪み補正された信号がコンパレータ405に入力される。コンパレータ405は、ゼロレベルを閾値として、[1/0]の2値信号を生成して出力する。
本構成においても、他の実施例と同様、等化回路(EQ)404において、チャネル(伝送路)で受けた歪みが除去されるので、エラー発生率を抑えた正確な受信信号解析を行うことができる。特に本実施例では、受信信号の特性を解析し、その解析結果によって、等化回路(EQ)404の実行する処理を変更する設定としている。すなわち、入力信号の歪み方に応じた最適な処理が実行される。従ってチャネル(伝送路)状態によって発生する様々なタイプの歪みを的確に補正することが可能となり、様々な受信信号に対して正確な信号検出が実現される。
[A5.検出回路の実施例(実施例5)]
固定的な等化処理を実行する等化回路(EQ)を複数設けて、それぞれの等化回路(EQ)に対して、ハイパスフィルタ(HPF)403の出力を並列に入力して処理を並列に実行させて、その複数の処理結果から、最適な処理結果を選択する構成としてもよい。このような構成を持つ検出回路構成を図14に示す。
図14に示す検出回路450は、増幅器451、検波器452、ハイパスフィルタ(HPF)453、等化回路a(EQa)461、等化回路b(EQb)462、等化回路c(EQc)463、さらにコンパレータ465を有する。
この実施例5の検出回路450は、先に図13を参照して説明したと同様のアナログ信号処理回路である。等化回路を3種類の異なる歪み補正処理を行う3種類の等化回路によって構成している点が異なる点である。
等化回路a(EQa)461、等化回路b(EQb)462、等化回路c(EQc)463には、ハイパスフィルタ(HPF)453からの出力が並列に入力される。ハイパスフィルタ(HPF)453は、検波信号に対して、波形の中点電位をゼロレベルに設定する直流成分の除去を行ない、DCオフセットの除去された検波波形を生成する。
等化回路a(EQa)461、等化回路b(EQb)462、等化回路c(EQc)463の各々は、このハイパスフィルタ(HPF)453の出力に対して異なる歪み補正処理を行う。この処理結果は、並列に出力されるが、コンパレータ465には、これらの複数の出力から選択された1つの出力のみが入力されることになる。
すなわち、特性切り替え信号471に応じて、出力選択部(スイッチ)が制御され、複数の等化回路の処理結果から選択された1つの出力のみがコンテパレータ465に入力される。性切り替え信号471は、図示しない受信信号検証回路において生成される。受信信号検証回路は、受信信号のレベルや、その他チャネルの周波数特性を測定する回路であり、この回路の測定結果に応じて最適な等化処理を実行したと判断される等化回路の処理結果をコンパレータ465に入力するように入力選択を行う。
このようにして選択された1つの等化回路(EQ)の出力信号がコンパレータ465に入力される。コンパレータ465は、ゼロレベルを閾値として、[1/0]の2値信号を生成して出力する。
本構成においても、他の実施例と同様、等化回路(EQ)において、チャネル(伝送路)で受けた歪みが除去されるので、エラー発生率を抑えた正確な受信信号解析を行うことができる。特に本実施例では、受信信号の特性を解析し、その解析結果によって、複数の等化回路(EQ)の処理結果を選択する設定としている。すなわち、入力信号の歪み方に応じた最適な処理が選択される。従ってチャネル(伝送路)状態によって発生する様々なタイプの歪みを的確に補正することが可能となり、様々な受信信号に対して正確な信号検出が実現される。
図14に示す構成では、等化回路を3つ構成している。すなわち、等化回路a(EQa)461、等化回路b(EQb)462、等化回路c(EQc)463である。これらはそれぞれ異なる等化処理を行う。具体的な3種類の等化処理の設定例について、図15を参照して説明する。
図15(a)は、先に図6を参照して説明したと同様の図である。ベースバンドの周波数特性であり、結合係数k=0.01〜0.5の複数の場合の周波数と受信強度の相対レベル(Linear)の対応関係を示している。このように、距離に応じて(結合係数kに応じて)周波数特性は大きく変化する。それを3通りに分類することを考える。
最短波長繰り返し周波数(1クロックおきに変化するので1Tと呼ぶ)と、その2倍の長さの周波数(2クロックおきに変化するので2Tと呼ぶ)と、DCの周波数に着目する。
例えば、1Tが1.25MHz、2Tが0.625MHzの伝送系を考えた場合、DC、2T、1Tの振幅の大小関係で次の3通りに分けられる。この3通りが図15(b)に示す(b1)〜(b3)である。
(b1)A(DC)>A(2T)>A(1T)
(b2)A(DC)<A(2T)>A(1T)
(b3)A(DC)<A(2T)<A(1T)
図(b1)〜(b3)に各々点線で示すのが、各アンテナ間距離(異なる結合係数k)に対応する周波数と受信レベルとの対応関係である。
これを補正する、つまり等化する周波数特性は逆の振幅特性を持たせればよい。従って、図15(b)に示す(b1)〜(b3)に対応する補正特性(等化処理特性)は、以下の通りとなる。
(b1)A(DC)<A(2T)<A(1T)
(b2)A(DC)>A(2T)<A(1T)
(b3)A(DC)>A(2T)>A(1T)
図15(b)の(b1)〜(b3)に各々実線で示すラインが補正特性(等化処理特性)となる。
図14に示す3つの等化回路である等化回路a(EQa)461、等化回路b(EQb)462、等化回路c(EQc)463の各々を、図15(b)に示す(b1)〜(b3)の実線で示す等化特性に従った処理を行う等化回路に設定する。さらに入力信号の特性解析を行い、入力信号が(b1)〜(b3)の点線パターンのいずれに最も類似するかを判定し、最も類似すると判定されるものを選択する。選択結果として(b1)〜(b3)から選択された1つのパターンに対応する等化特性((b1)〜(b3)の実線)に従った処理を行っている等化回路の出力をコンパレータに対する入力として選択する。
このような処理を行うことで、入力信号に応じた最適な等化処理結果、すなわち歪み補正結果が選択されたコンパレータ465に入力されることになり、コンパレータ465において正確な信号検出がなされることになる。
[A6.検出回路の実施例(実施例6)]
次に、上述の実施例5と同様、固定的な等化処理を実行する等化回路(EQ)を複数設けて、それぞれの等化回路(EQ)において異なる処理を実行させた結果から最適な処理結果を選択する処理例について図16を参照して説明する。
図16に示す検出回路500は、増幅器501、検波器502、ハイパスフィルタ(HPF)503、等化回路a(EQa)511、等化回路b(EQb)512、等化回路c(EQc)513、検出部a〜c,521〜523、遅延処理部a〜c,531〜533、ヘッダ検出部540、信号選択部550、コンパレータ560を有する。
この実施例6の検出回路500は、先に図13、図14を参照して説明したと同様のアナログ信号処理回路である。図14を参照して説明した実施例5と同様、等化回路を3種類の異なる歪み補正処理を行う3種類の等化回路によって構成している。
等化回路a(EQa)511、等化回路b(EQb)512、等化回路c(EQc)513には、ハイパスフィルタ(HPF)503からの出力が並列に入力される。ハイパスフィルタ(HPF)503は、検波信号に対して、波形の中点電位をゼロレベルに設定する直流成分の除去を行ない、DCオフセットの除去された検波波形を生成する。
等化回路a(EQa)511、等化回路b(EQb)512、等化回路c(EQc)513の各々は、ハイパスフィルタ(HPF)503の出力に対して異なる歪み補正処理を行う。
この処理結果は、それぞれ検出部a〜c,521〜523に入力される。検出部a〜c,521〜523は例えば等化処理結果の信号波形のセンター電位から上か下かで[1/0]の判定を行うコンパレータなどが用いられる。
検出部a〜c,521〜523の出力はヘッダ検出部540に入力される。通信装置間で送受信されるデータは、図17に示す構成を持つデータである。図17に示すように、パケットは、プリアンブル部(または無信号部)と、ヘッダと、データとによって構成される。
ヘッダは、ビット同期を取るための同期(SYNC)信号、パケット長データであるレングス(Length)、レングスに対するエラー検出信号(パリティ(Parity))などによって構成される。このヘッダは、パケット全体の検出のために重要な部分である。
図16に示す検出回路500に構成されたヘッダ検出部540は、受信側において予め既知であるSYNCパターン信号をヘッダから検出する。ヘッダ検出部540は、SYNCパターン専用の比較回路が構成されており、データが1クロック更新されるごとに、ヘッダの構成データを所定単位ずらして、既知のSYNCパターンと一致する部分があるか否かを判定する。一致すれば、そこがパケットの先頭だと判断できる。
一致する部分が発見されれば、データ転送時の歪みがないまたは少ないと判定される。一致する部分が見つからない場合は、データ転送時の歪みが大きい信号であると判定することができる。このような判定を3種類の等化回路における処理結果に対して実行することで、最適な歪み補正によって正確な送信情報の抽出に成功した等化回路を選択することが可能となる。
なお、ヘッダにエラー検出機能としてのパリティ部が設定されている場合は、ヘッダ検出部540はSYNC検出に加え、さらにヘッダのパリティ部のデータを利用してエラーの有無も検出する。最もエラーが少ないパケットが最適な等化処理結果であると判定することができる。
信号選択部550は、ヘッダ検出部540において実行された3つの等化回路の処理結果に対するSYNC情報の検出結果、エラー検出結果、少なくともいずれかを入力し、SYNC情報の検出に成功した等化回路の出力、あるいは検出エラーが最も少ない等化回路の出力、これらのいずれかの出力を行った等化回路を最適な等化処理を行った等化回路として選択する。すなわち信号選択部550の選択結果によって、出力選択部(スイッチ)が制御され、選択された等化回路の出力をコンパレータ560に入力する。
遅延処理部531〜533は、ヘッダ検出部540と、信号選択部550の処理時間を考慮して設定された遅延部である。これらの遅延処理部531〜533は、ヘッダ検出部540と、信号選択部550の処理時間に相当する時間、検出部521〜523からの出力を待機させた後、出力を行う。
図18に図16に示す検出回路における各構成部の信号入出力タイミングを説明するタイミングチャートを示す。図18の左から右に時間tが経過する。出力パケットは、図17を用いて説明したように、プリアンブル、ヘッダ、データ部から構成される。
図18に示す信号Sa〜Seは、図16に示すSa〜Seに対応する。
信号Saは、ハイパスフィルタ(HPF)503の出力に対応する。
信号Sb1〜Sb3は、検出部a〜c,521〜523の出力に対応する。
信号Sc1〜Sc3は、ヘッダ検出部540の出力に対応する。
信号Sd1〜Sd3は、遅延処理部531〜533の出力に対応する。
信号Seは、コンパレータ560の入力に対応する。
時間t1〜t3が遅延処理部531〜533における遅延処理時間である。時間t2〜t3が、ヘッダ検出部540と信号選択部550の処理時間に相当する。この判定処理の完了時間[t3]に併せて、遅延処理部531〜533からの出力が実行される。
信号選択部550は、ヘッダ検出部540において実行された3つの等化処理結果のヘッダに対する評価結果に応じて、最適な等化処理を行った等化回路を選択して選択結果に応じて、選択された等化回路の出力をコンパレータ560に入力するように制御する。図18に示す例では、信号Sc2に対応するヘッダの評価が高く、そのヘッダを出力した等化回路、例えば図16に示す等化回路b(EQb)512の出力をコンパレータ560に出力する。
このようにして選択された1つの等化回路(EQ)の出力信号がコンパレータ560に入力される。コンパレータ560は、ゼロレベルを閾値として、[1/0]の2値信号を生成して出力する。
本構成においても、他の実施例と同様、等化回路(EQ)において、チャネル(伝送路)で受けた歪みが除去されるので、エラー発生率を抑えた正確な受信信号解析を行うことができる。特に本実施例では、受信信号に含まれるヘッダを解析し、SYNCパターンの検出、あるいはエラー率、少なくともいずれかの解析を行う。
この解析結果によって、複数の等化回路(EQ)の処理結果から最適な処理結果を選択する設定としている。この処理によって、実際に最適な等化処理を実行した結果を選択することができる。従ってチャネル(伝送路)状態によって発生する様々なタイプの歪みを的確に補正することが可能となり、様々な受信信号に対して正確な信号検出が実現される。
[B.送信装置からの信号レベル情報に基づく最適等化処理を行う実施例]
次に、送信装置からの信号レベル情報に基づいて最適な等化処理を行う実施例について説明する。[A.受信装置の検出回路において等化処理を行う実施例]において説明したように、受信装置の検出回路に等化回路(EQ)を設け、等化処理を実行することでチャネル(伝送路)で受けた歪みが除去され、受信ビット列の抽出精度を高めることが可能となる。
例えば、前述の[A5.検出回路の実施例5]と、[A6.検出回路の実施例6]は、図14、図16に示すように、異なる等化特性を持つ複数の等化回路(EQ)を設定して、各等化回路(EQ)において異なる歪み補正処理を行う構成例である。このように、異なる等化特性を持つ複数の等化回路(EQ)を利用することで、様々な歪みパターンを有する信号に対する最適な補正(等化)が可能となる。
先に図15(a)を参照して説明したように、ベースバンドの周波数特性は結合係数kに応じて、具体的には例えば送受信部のアンテナ間距離に応じて異なる。これらの特性は、大きく分類すると図15(b1)〜(b3)の点線パターンのように分類される。すなわち、
(b1)単調減少特性(右肩下がり)
(b2)中域突出特性(山型)
(b3)単調増加特性(右肩上がり)
これら3パターンに分類できる。
これら3パターンの異なる周波数特性を持つ信号の補正、すなわち等化処理に適用する等化器周波数特性は、これらの3パターンの各々に応じた逆の振幅特性とすることが好ましい。すなわち、図15(b)の(b1)〜(b3)に各々実線で示すラインが各パターンに対応する最適な等化器周波数特性となる。
前述の、[A5.検出回路の実施例5]の構成は、図14を参照して説明したように、図15(b)の(b1)〜(b3)の各々に実線で示す等化器周波数特性を持つ3つの等化回路を設定した構成である。すなわち、図14に示す等化回路a(EQa)461、等化回路b(EQb)462、等化回路c(EQc)463の各々は、例えば図15(b)の(b1)〜(b3)の実線で示す等化器周波数特性による等化処理を行う。
このように、図14を参照して説明した実施例5の構成は、入力信号の特性解析を行い、入力信号が図15(b1)〜(b3)の点線パターンのいずれに最も類似するかを判定し、最も類似すると判定されるものを選択し、その逆特性を持つ等化器周波数特性、すなわち、図15(b1)〜(b3)の実線に従った等化器周波数特性での等化処理の出力をコンパレータに対する入力として選択する構成である。
また、[A6.検出回路の実施例6]の構成は、図16を参照して説明したように、[A5.検出回路の実施例5]と同様、3つの異なる等化処理を行う等化回路a(EQa)511、等化回路b(EQb)512、等化回路c(EQc)513を設定した構成である。実施例6では、これらの3つの等化回路の等化処理結果を全て検証して、最も信号検出精度が高い信号を最終的な出力として選択する構成である。
上述した[A5.検出回路の実施例5]、[A6.検出回路の実施例6]において説明した実施例では、データ送信側では特別な処理を行うことなく、受信側のみにおいて最適な等化結果を得るための処理を行う構成例である。これに対して、以下において説明する実施例は、信号を送信する送信側の装置が、送信する信号のレベルを計測し、計測情報を受信側の装置に送信する。受信側の装置は、この信号レベル情報を用いて最適な等化処理を実行する実施例である。
[B1.送信信号に応じた最適な等化器周波数特性についての説明]
本実施例の説明の前に、図19〜図21を参照して送信側からの送信信号に応じた最適な等化器周波数特性について説明する。
図19は、先に図8を参照して説明したリーダライタとトランスポンダの構成の一部を抽出して示した図である。一方を送信部610、他方を受信部630として示し、送信部610には送信処理に必要な構成、受信部630には受信処理に必要な構成を簡略化して示している。受信部630には、前述した各実施例で説明したEQ(等化部)637が設けられている。
送信部610は、送信情報601をキャリア信号に重畳させて、送信アンテナ611を介して送信する。送信信号は空間伝送路620を介して受信部の受信アンテナ631によって受信される。受信アンテナ631の受信信号は、検出回路635内の検波器636に入力される。検波器636は、キャリア信号に重畳された受信情報を入力してキャリア信号の包絡線変化を解析して受信情報を含む検波信号を生成する。この結果として検波器636は図に示す検波器出力602を出力する。この検波器出力602は、図に示すように、伝送路全体の周波数特性で波形が歪んだ信号となる。
このまま、コンパレータ等において信号を検出すると検出エラーの発生する可能性が高くなる。これを防止するため、先の実施例において説明したようにEQ(等化部)637において歪み補正処理としての等化処理を行う。等化処理の結果として、図に示す補正された等化器出力603が得られる。EQ(等化部)637では伝送周波数特性の逆特性の周波数特性を持つ信号を利用した等化処理を行うことで最適な補正が可能となる。
図19の上部に示す(a)伝送路周波数特性には、送信部610の送信情報出力〜受信部630の検波器636までの伝送路周波数特性の一例を示している。この周波数特性は、送受信部のアンテナ間距離などに応じて変化するものとなる。
また、(b)等化器周波数特性に示す実線は、等化器の補正処理に適用する信号の周波数特性であり、点線は、(a)の伝送路周波数特性である。このように伝送路周波数特性の逆パターンの周波数特性を持つ信号により最適な等化処理が可能となる。
図19に示す信号伝送区間(1)と、信号伝送区間(2)の周波数特性を図20、図21に示す。すなわち、
(1)アンテナ間の伝送周波数特性(図20)
(2)ベースバンド信号(検波後の信号)の周波数特性(図21)
これらの各周波数特性図である。
図20に示す(1)アンテナ間の伝送周波数特性のグラフは、横軸に周波数、縦軸に受信信号レベルを設定したグラフである。先に、図5を参照して説明した周波数特性図と同様の図である。ただし、図5では結合係数kに対応する特性として示しているが、図20では、送受信部のアンテナ間距離に対応する特性として示している。図20には、アンテナ間距離=3mm〜50mmとした場合の周波数と受信信号レベルの対応関係を示している。
図21は、周波数と受信強度の相対レベル(Linear)の対応関係を示したグラフである。先に、図6を参照して説明した周波数特性図と同様の図である。ただし、図6では結合係数kに対応する特性として示しているが、図21では、送受信部のアンテナ間距離に対応する特性として示している。図21には、アンテナ間距離=3mm〜50mmとした場合の周波数と受信信号レベルの対応関係を示している。
図20に示すキャリア周波数13.56MHzのレベルが図21のDC(周波数=0Hz)レベルに相当する。図20の(13.56+X)MHzと(13.56−X)MHzの受信側観測レベルの平均が図21に示す周波数=X(MHz)の相対レベルに相当することになる。
図20、図21から理解されるように、送受信部のアンテナ間距離がわずかに違っただけで受信強度や、共振周波数が大きく変化する。送受信部のアンテナ間距離が離れており通信距離が長い場合は、急峻に高域が減衰する特性となる。しかし送受信部のアンテナ間距離が近づき通信距離が短くなると、高域にピークを持つ特性になってくる。図19に示す受信部630のEQ(等化部)637に対する入力信号の周波数特性は、図21に示す周波数特性のいずれかに対応することになり、これらは、図21に示すように送受信部のアンテナ間距離に応じて大きく異なっている。
結果として、受信部630のEQ(等化部)637は、最適な補正を行うためには、等化処理に適用する等化器周波数特性を、送受信部のアンテナ間距離に応じて変更することが必要となる。例えば先に図15を参照して説明した図15(b1)〜(b3)の実線で示す3パターンの信号のいずれを適用するかを決定しなければならない。以下に説明する実施例は、この決定に適用するための情報を送信側から提供するものである。
図21を参照して説明したように、送信信号のベースバンド信号(検波後の信号)の周波数特性はアンテナ間距離に応じて異なっている。従って、アンテナ間の距離を何らかの手段で知ることができれば、最適な等化特性を決定することができる。
この処理のために、本実施例では、図19に示す送信部610の送信アンテナレベル(アンテナ電圧:Va)を測定して、測定したアンテナレベル情報を受信部630に提供する。
送信アンテナレベル(電圧)は、送受信部のアンテナ間距離に応じて変化する。送信アンテナレベル(電圧)と送受信部のアンテナ間距離との対応について図22を参照して説明する。図22は、横軸に送受信部のアンテナ間距離、縦軸に送信側の送信アンテナレベル(電圧(相対値))を示したグラフである。送信アンテナレベルは、図19に示す送信アンテナ611のアンテナ電圧:Vaに対応する。
図22に示すように、送受信部のアンテナ間距離が小さくなると送信側アンテナのキャリアレベルは単調に減少し、送信アンテナレベル(アンテナ電圧:Va)も単調に減少していく。そのため、送信側のアンテナ電圧を計測していれば、そのレベル減少により受信側のアンテナが近づいたことを知ることができる。そのレベルが大きく減少するほど、アンテナ間距離が近いと判定できるのである。
図22に示すように、送受信部のアンテナ間距離が小さくなるとその影響を受け周波数特性が変化し、送信側アンテナの電圧レベルは小さくなり、送受信部のアンテナ間距離が大きくなると送信側アンテナの電圧レベルは大きくなる。そこで、この送信アンテナ電圧情報を送信側で計測し、計測した電圧情報を受信側に提供する。受信側では、この情報に応じておおよそのアンテナ間距離を推定することができる。アンテナ間距離と伝送路周波数特性は図21の関係にあり、推定されたアンテナ間距離に基づいて伝送路周波数特性も予測可能となる。受信部は、予測された伝送路周波数特性の逆特性を持つ等化器周波数特性を選択して等化処理を行う。このような等化処理を行うことで、最適な等化処理(補正)が可能となり、正確な信号検出が実現される。
[B2.信号レベル情報に基づく等化処理の最適化を行う実施例(実施例7)]
図23に、本実施例におけるデータ送信側の通信装置700の構成例を示す。通信装置700は、例えば先に図8を参照して説明したリーダライタ100やトランスポンダ200であり、これらの装置のデータ送信処理構成のみを示している。
図23に示す通信装置700は、送信情報701をキャリア信号702に載せた変調信号を変調器703において生成して、送信アンプ704から送信アンテナ705を介してデータを送信する。この構成は、先に図8を参照して説明したリーダライタ100の構成と同じである。本実施例の通信装置700は、レベル計測部710、パケット生成部711を有する。
なお、パケット生成部は、先に図8を参照して説明したリーダライタ100にも存在するが図8では省略している。図8を参照して説明したリーダライタ100のパケット生成部は、先に図17を参照して説明したような送信情報をデータとして格納した構成を持つパケットを生成する。
本実施例におけるパケット生成部711は、送信情報を格納したパケットを生成するのみならず、レベル計測部710の計測した送信アンテナ705のアンテナレベル(アンテナ電圧:Va)情報を格納したパケットを生成する。このアンテナレベル(アンテナ電圧:Va)情報を格納したパケットが受信側に送信される。
なお、アンテナレベル情報は、本来の送信データの送信がなされる前に受信側に提供されることが必要であり、通常の送信情報とは異なるパケット生成処理が行われる。アンテナレベル情報のパケットに対する具体的な格納処理例については後述する。
次に、図24を参照して、本実施例におけるデータ受信側の通信装置750の構成例を示す。通信装置750は、例えば先に図8を参照して説明したリーダライタ100やトランスポンダ200であり、これらの装置のデータ受信処理構成のみを示している。
通信装置750は、アンテナ751を介して受信した信号を検波器752において検波する。検波器752は、キャリア信号に重畳された受信情報を入力してキャリア信号の包絡線変化を解析して受信情報を含む検波信号を生成する。検波器752の出力は、EQ(等化部)753に入力され等化処理がなされてコンパレータなどの検出部754において受信信号の検出がなされる。この流れは、先に説明した各実施例と同様である。
本実施例の通信装置750はさらにレベル情報検出部755を有する。レベル情報検出部755は、検波器752の出力を入力し、送信側から送信されたパケットに含まれるアンテナレベル情報を検出し、検出結果をEQ(等化部)753に提供する。
EQ(等化部)753は、レベル情報検出部755から入力するアンテナレベル情報に基づいてEQ(等化部)753において実行する等化処理に適用する等化器周波数特性を決定する。すなわち、アンテナレベル情報に応じてアンテナ間距離を推定し(図22参照)、アンテナ間距離から伝送路周波数特性を推定し(図21参照)、推定された伝送路周波数特性の逆特性を持つ等化器周波数特性による等化処理を実行する。このような等化処理を行うことで、最適な等化処理(補正)が可能となり、正確な信号検出が実現される。
なお、データ受信を行う通信装置750は、正規の送信情報に対して最適な等化器周波数特性による等化処理を実行するためには、正規の送信情報の等化処理の開始前に、アンテナレベル情報を取得して最適な等化特性を決定することが必要である。
正規の通信情報の等化処理以前にアンテナレベル情報を取得するためのアンテナレベル情報のパケット格納例について図25を参照して説明する。
図25には、3種類のアンテナレベル情報のパケット格納例を示している。パケットは、先に図17を参照して説明したようにプリアンブル部(または無信号部)と、ヘッダと、データとによって構成される。
プリアンブル部は、通常、単一波長の繰り返しといった単純なパターンによって構成され、パケットの受信が始まったことの認識や、受信回路のクロック同期を取るために使用される。ヘッダは、ビット同期を取るための同期(SYNC)信号、パケット長データであるレングス(Length)、レングスに対するエラー検出信号(パリティ(Parity))などによって構成される。ヘッダは、パケット全体の検出のために重要な部分である。その後のデータ部に送信情報が格納される。少なくともヘッダとデータ部は正確な信号検出が要請される領域であり、最適な等化処理が行われることが好ましいデータ部分である。
従って、このヘッダとデータ部に先行したパケット領域にアンテナレベル情報を埋め込むことが望ましい。図25(a),(b)には、このような条件を満たすアンテナレベル情報格納例として、以下の2つの例を示している。
(a)プリアンブル信号領域にアンテナレベル情報を格納する例
(b)ヘッダ情報の前にアンテナレベル情報を格納する領域を設定した例
データ送信を実行する送信側の通信装置は、(a)、(b)のいずれかの設定によってアンテナレベル情報をパケットに格納する。
あるいは通常の送信データを格納したデータパケットと異なる専用のアンテナレベル情報通知パケットを利用する構成としてもよい。この場合は、通常の送信データを格納したデータパケットの送信前に、アンテナレベル情報通知パケットを送信する。この場合は、図25(c)のようにパケット構成中のいずれかの領域にアンテナレベル情報を格納すればよい。
図23に示す通信装置700のパケット生成部711は、レベル計測部710が計測したアンテナレベル情報に対応する情報を格納したパケットを、図25(a)〜(c)のいずれかの態様で生成する。
アンテナレベル情報を格納したパケットは送信側の装置から、受信側の装置に送信される。なお、このようなアンテナレベル情報格納パケットの送信タイミングは、例えば図26に示すような2つのパターンのいずれかとすることが可能である。
(1)通信開始時の先行パケットにのみアンテナレベル情報を格納する
(2)全パケットにアンテナレベル情報を格納する
このような態様のいずれかとすることができる。
図26(1)に示す通信開始時の先行パケットにのみアンテナレベル情報を格納する例は、通信開始時の先行パケットにのみアンテナレベル情報を格納し、送信側装置が受信側装置からアンテナレベル情報格納パケットに対する受信確認を受け取った後は、アンテナレベル情報を格納することなく通常のデータパケットを送信する例である。
図26(2)の全パケットにアンテナレベル情報を格納する例は、通常のデータを格納したパケットのすべてにアンテナレベル情報を格納して送る例である。
送信側の装置は、これらのいずれかの態様でパケットを生成して送信する。
なお、送信側から送信されたアンテナレベル情報を格納したパケットは、図24に示す受信側の通信装置750のアンテナ751、検波器752を介してレベル情報検出部755に入力されてアンテナレベル情報が取得される。レベル情報検出部755は等化処理がなされていない受信データからアンテナレベル情報を抽出しなければならない。従って、アンテナレベル情報は、歪み補正がなされる以前の通信データから取得できるような態様で埋め込みを行うことが好ましい。
具体的なアンテナレベル情報の格納例について、図27、図28を参照して説明する。図27は、通常のエンコード態様と異なる態様の信号領域を設定して、この通常エンコード領域と異なるデータ領域をアンテナレベル信号格納領域とする例である。
例えば、通信データのエンコード処理としてマンチェスタ・コードを用いている場合について説明する。マンチェスタ・コードは信号(0,1)を特定のパターンに設定して読み取るエンコード方式である。例えば、図27(a)に示すように(0,1)信号が設定される。パケットのプリアンブル〜データ領域にはこのマンチェスタ・コードに従ってデータが記録されることになる。
この通常の変換ルール(マンチェスタ・コード)と異なるパターンを持つ領域を設定する。例えば図27(b1)〜(b4)のような信号パターンである。
図27(b1)〜(b4)に示す信号パターンは、単純な単一周波数の繰り返しパターンで、アンテナレベルに応じてその周波数を変える方法である。単一周波数なら、チャネルの周波数特性がどうであれ、基本波の周波数は動かないから、必ずその周波数の繰り返し波形となるので、正しい検出が期待できる。
これらのパターン(b1)〜(b4)をそれぞれ、異なるアンテナレベル情報に対応付ける。例えば図23に示す通信装置700のレベル計測部710において計測したアンテナレベル(電圧:Va)をLow〜Highの範囲でn段階(アンテナレベル=1〜n)に区切り、アンテナレベル=1〜nに応じて図に示す信号パターンを対応付ける。図27に示す例は、n=4、すなわち、レベル計測部710において計測したアンテナレベル(電圧:Va)を4段階に区分した例である。
(b1)アンテナレベル=1
(b2)アンテナレベル=2
(b3)アンテナレベル=3
(b4)アンテナレベル=4
図24に示す受信側の通信装置750のレベル情報検出部755は、通常のエンコードデータ(マンチェスタ・コード)と異なる特異信号パターン領域を検出し、その特異信号パターンが図27に示す(b1)〜(b4)のいずれのパターンであるかを判定する。この判定処理により、アンテナレベルがLow〜Highの4区分のいずれにあるかを判別することができる。
図27に示す(b1)〜(b4)の信号パターンは、それぞれが異なる単一周波数の繰り返しパターンであり、レベル情報検出部755は、図27に示す(b1)〜(b4)のいずれの周波数パターンであるかを検出すればよい。伝送路(チャネル)の周波数特性がどのような状態であっても、基本波の周波数の変動はなく、必ずその周波数の繰り返し波形となるので、正しい検出が期待できる。
図27に示すように、アンテナレベル情報を示す信号パターンの周期はマンチェスタ・コードの周期より長く設定されている。すなわち、歪み補正がなされない状態でも、比較的、読み取り易い信号パターンとして設定されている。レベル情報検出部755は、等化処理(歪み補正)の未処理信号からアンテナレベル情報を取得しなければならないが、図27に示すような信号パターンとすることで、誤りのないアンテナレベル情報の読み取りが可能となる。
図28は、図27に示す例とは異なるアンテナレベル情報の格納例を示している。図28に示す例は、プリアンブル領域にアンテナレベル情報を格納する例である。
図28に示す例は、信号ビットのエンコード(変換)態様は、アンテナレベル情報(00),(01),(10),(11)についても、他のデータ領域と同様のエンコードを行うが、アンテナレベル情報設定部を他のデータ領域と異なるレートに設定した例である。
すなわち、アンテナレベル情報も通常情報と同じルールで変調するがそのレートを遅くする。つまりアンテナレベル情報だけは波形の変化の間隔が長くなり情報の伝送レートが落ちる。伝送レートが落ちると、使用する周波数帯域がレートに反比例して狭くなるため、周波数特性が変化しても狭い帯域の間での変化は少なくなり、波形歪が少なくなるので、正しい検出ができる。この点については後段で図29を参照して説明する。
パケットのプリアンブル領域は、通常、単一波長の繰り返しといった単純なパターンであり、パケットの受信が始まったことを認識するためや、受信回路のクロック同期を取るために使用される領域である。通常、全てのパケットにおいて共通の特定パターンに設定される。
例えば、あるフォーマットに従ったパケットのプリアンブルは情報ビット=0の連続をマンチェスタ・コードにした設定になっている。図28(c)に示すパターンである。ビット0は、図28(c)に示すように、情報ビットの前半がLowレベルで後半がHighレベルの設定である。
この定常パターンからなるプリアンブル領域に、定常パターンと異なる特異信号パターンを挿入し、この特異信号パターンをアンテナレベル信号とする。例えば図28(d1)〜(d4)のような信号パターンである。図28(d1)〜(d4)に示す信号パターンは、周期(レート)がマンチェスタ・コードのプリアンブル部の定常パターンとは異なる設定である。図28(d1)〜(d4)の各信号パターンのほぼ中央部に他の信号部より長い周期の信号パターンが形成されている。この領域は、周囲のデータの周期の4倍の周期(レート)に設定されている。
これらのパターン(d1)〜(d4)は、それぞれ2ビット情報(00)、(01)、(10)、(11)を示し、4種類の異なるアンテナレベルを示す信号パターンとして設定されている。
例えば図23に示す通信装置700のレベル計測部710において計測したアンテナレベル(電圧:Va)をLow〜Highの範囲でn段階(アンテナレベル=1〜n)に区切り、アンテナレベル=1〜nに応じて図に示す信号パターンを対応付ける。図28に示す例は、n=4、すなわち、レベル計測部710において計測したアンテナレベル(電圧:Va)を4段階に区分した例である。
(d1)アンテナレベル=1
(d2)アンテナレベル=2
(d3)アンテナレベル=3
(d4)アンテナレベル=4
図24に示す受信側の通信装置750のレベル情報検出部755は、プリアンブル領域からレートの異なる特異信号領域を検出し、その特異信号パターンが図28に示す(d1)〜(d4)のいずれのパターンであるかを判定する。この判定処理により、アンテナレベルがLow〜Highの4区分のいずれにあるかを判別することができる。
なお、図28に示すアンテナレベル情報の設定領域は、他の定常信号より周期が長く設定されている。すなわち低周波数に設定されている。これは、先に説明した図27の信号格納例と同様であり、このような低周波数の設定とすることで等化処理を施すことなく信号の読み取りが容易となる。
図29を参照して、この理由について説明する。図29に示す図は、先に図21を参照して説明したと同様のベースバンド信号(検波後の信号)の周波数特性を示す図である。アンテナ間距離に応じて特性が異なることについては先に説明した通りである。
通常のデータ送信において利用される最短波長繰り返し周波数を1.25MHzとすると、この通常データ送信で利用される利用帯域は、0〜1.25MHzの帯域Aとなる。この帯域では、いずれのアンテナ間距離でも、信号のレベル変化が大きくなり、補正、すなわち等化処理を行わないと正確な信号検出は困難である。
しかし、例えば図28に示すアンテナレベル情報の埋め込み領域は、先に説明したように、プリアンブル部の定常データの4倍の周期(レート)である。プリアンブル部の定常データが1.25MHzに対応すると、この4倍の周期(レート)に対応する周波数領域は、図29に示す帯域Bの領域となる。この帯域Bの領域では、いずれのアンテナ間距離でも、信号のレベル変化が小さくなり、補正、すなわち等化処理を行わなくても正確な信号検出は比較的容易となる。
図24に示す受信側の通信装置750のレベル情報検出部755は、等化処理の実行されない信号からアンテナレベル情報を検出することが必要となるが、このように比較的安定した周波数領域の信号を検出すればよいため、正確なアンテナレベル情報の読み取りが可能となる。
なお、図27、図28に示す例では、いずれもアンテナレベルを4段階に区分して設定する例として説明したが、4段階に限らず、任意のn段階(nは2以上の整数)の信号を設定することが可能である。例えば、図28に示す例では2ビットの設定で4パターンの信号を格納したが、3ビット信号を設定すれば8段階、さらに多くのビットを設定すればさらに多種類の区分情報の設定が可能となる。
次に、図30〜図33を参照して、アンテナレベル情報を受信して等化処理を行う受信装置側の構成と処理の具体例について説明する。データ受信側の基本構成は、先に図24を参照して説明した通りである。図24に示す通信装置750はレベル情報検出部755において、検波器752の出力を入力して送信側から送信されたパケットに含まれるアンテナレベル情報を検出し、検出結果をEQ(等化部)753に提供する。EQ(等化部)753は、レベル情報検出部755から入力するアンテナレベル情報に基づいてEQ(等化部)753において実行する等化処理に適用する等化器周波数特性を決定する。以下では、この等化処理の具体的構成および処理例について説明する。
図30は、等化部753の具体的な一構成例を示す図である。等化部753は、フィルタ回路771、選択部772を有する。フィルタ回路771には、3つの異なる等化処理を行う等化回路(EQa)〜(EQc)を有する。これらは、先の実施例5において、図14を参照して説明した3種類の等化回路と同様であり、異なる歪み補正処理を行う。
すなわち、フィルタ回路771内の3つの等化回路(EQa)〜(EQc)は、先に、図15(b)を参照して説明した図15(b1)〜(b3)に対応する補正特性(等化処理特性)に従った等化処理を実行する。
先に図21を参照して説明したように、ベースバンド周波数特性は距離によって大きく複雑に変化する。しかし、これらの周波数特性は、大きく3通りに分類することができる。この3つの分類は、図21に示す周波数(1T,2T,DC)を用いて以下のように示すことができる。なお、
1T=最短波長繰り返し周波数(1クロックおきに変化するので1Tと呼ぶ)
2T=1Tの2倍の長さの周波数(2クロックおきに変化するので2Tと呼ぶ)
DC=周波数0に相当、
である。例えば、1Tが1.25MHz、2Tが0.625MHz、DC=0MHzの伝送系を考えた場合、ベースバンド周波数特性はDC、2T、1Tの振幅の大小関係で次の3通りに分けられる。この3通りが図15(b)に示す(b1)〜(b3)である。
(b1)DC>2T>1T=単調減少特性(右肩下がり)
(b2)DC<2T>1T=中域突出特性(山型)
(b3)DC<2T<1T=単調増加特性(右肩上がり)
図15(b1)〜(b3)に各々点線で示すのが、各アンテナ間距離(異なる結合係数k)に対応する周波数と受信レベルとの対応関係である。
図21を参照すれば理解されるように、(b1)〜(b3)の各周波数特性とアンテナ間距離との対応はほぼ以下のようになる。
(b1)単調減少特性(右肩下がり)
DC>2T>1T=アンテナ間距離:50mm、40mm、30mm
(b2)中域突出特性(山型)
DC<2T>1T=アンテナ間距離:20mm
(b3)単調増加特性(右肩上がり)
DC<2T<1T=アンテナ間距離:10mm、3mm
これらのアンテナ間距離に応じた周波数特性を持つ3パターンの信号に対する等化処理は、3パターンそれぞれの逆特性を持つ等化器周波数特性を適用すればよい。これは先に図15(b1)〜(b3)を参照して説明した図15(b1)〜(b3)に示す実線の周波数特性に対応する。
すなわち、
(b1)アンテナ間距離:50mm、40mm、30mmの場合は、
等化器周波数特性=DC<2T<1T
(b2)アンテナ間距離:20mmの場合は、
等化器周波数特性=DC>2T<1T
(b3)アンテナ間距離:10mm、3mmの場合は、
等化器周波数特性=DC>2T>1T
このような等化器周波数特性を適用した等化処理を行えばよい。
図30に示すフィルタ回路771内の3つの等化回路(EQa)〜(EQc)の各々は、それぞれ、上記(b1)〜(b3)の等化器周波数特性による等化処理を実行し、等化処理結果を選択部772に出力する。すなわち、
(1)等化回路(EQa)は、
(b1)等化器周波数特性=DC<2T<1Tによる等化処理を実行する。
これは、アンテナ間距離:50mm、40mm、30mmに適応した等化処理である。
(2)等化回路(EQb)は、
(b2)等化器周波数特性=DC>2T<1Tによる等化処理を実行する。
=アンテナ間距離:20mmに適応した等化処理である。
(3)等化回路(EQc)は、
(b1)等化器周波数特性=DC>2T>1Tによる等化処理を実行する。
=アンテナ間距離:10mm、3mmに適応した等化処理である。
これらの3態様での等化処理を実行して、それぞれの等化結果を選択部772に出力する。
選択部772は、レベル情報検出部755から入力するアンテナレベル情報に基づいて、3つの等化回路(EQa)〜(EQc)からの入力の1つを選択して出力する。
具体的には、レベル情報検出部755は、例えば先に図27、図28を参照して説明したように、Low〜Highをnのn段階のアンテナレベル情報を入力するが、選択部772は、これらを3つのレベルに再分割する。例えば、図31に示すように、
High(高)、
Middle(中)、
Low(低)、
これらの3つのレベルに再分割する。
図31に示すグラフは、先に図22を参照して説明したグラフと同様のグラフであり、横軸に送受信部のアンテナ間距離、縦軸に送信側の送信アンテナレベル(電圧(相対値))を示したグラフである。High(高)、Middle(中)、Low(低)の核領域を送信アンテナレベル(電圧(相対値))に応じて以下のように区分する。
High(高)=0.75以上、
Middle(中)=0.3〜0.75、
Low(低)、=0.3以下、
選択部772は、このような設定に基づいて、以下のような選択処理を行う。
(ケース1)
レベル情報検出部755から入力するアンテナレベル情報が、
High(高)=0.75以上の場合、
このアンテナレベルは、
アンテナ間距離:50mm、40mm、30mmに相当する。
従って、
等化回路(EQa)=等化器周波数特性=DC<2T<1Tによる等化処理結果を選択する。
(ケース2)
レベル情報検出部755から入力するアンテナレベル情報が、
Middle(中)=0.3〜0.75の場合、
このアンテナレベルは、
アンテナ間距離:20mmに相当する。
従って、
等化回路(EQb)=等化器周波数特性=DC<2T>1Tによる等化処理結果を選択する。
(ケース3)
レベル情報検出部755から入力するアンテナレベル情報が、
Low(低)=0.3以下の場合、
このアンテナレベルは、
アンテナ間距離:10mm、3mmに相当する。
従って、
等化回路(EQc)=等化器周波数特性=DC>2T>1Tによる等化処理結果を選択する。
図30に示す等化部753は、このようなアンテナレベルに応じた等化結果の選択処理を実行する。結果として、送受信部のアンテナ間距離に応じた伝送路の周波数特性のほぼ逆特性による最適な等化処理がなされた結果が、等化部753において生成され、後段の検出部754に出力され、精度の高い信号検出が実現される。
次に、図32にデジタルフィルタを適用し、デジタル信号による等化処理を行う等化部を持つ通信装置の構成例を示す。図32に示す通信装置780は、受信アンテナ781の受信信号を検波器782に入力し、検波器782で生成した検波信号をレベル情報検出部783と、アナログデジタルコンバータ(ADC)784に入力する。
レベル情報検出部783の処理は、図24を参照して説明したレベル情報検出部と同様であり、検波器782の出力を入力し、送信側から送信されたパケットに含まれるアンテナレベル情報を検出し、検出結果を等化部785に提供する。
アナログデジタルコンバータ(ADC)784は、検波信号に対するアナログデジタル変換処理を実行して、検波信号のデジタル信号を生成して等化部785に入力する。
等化部785は、デジタルフィルタによる等化処理を実行する。等化部785は、例えばFIR(Finite Impulse Response )フィルタを利用した構成で実現される。
本実施例における等化部785の詳細構成例を図33に示す。図33に示すように、等化部785は、FIRフィルタ部800と、フィルタ係数選択部830を有する。FIRフィルタ部800は、検波信号のデジタル信号を1ビット単位で入力し、1クロック遅延させて出力する遅延素子801〜804と、各遅延素子801〜804の出力とフィルタ係数861を乗算する乗算器811〜814と、乗算器出力を加算する加算器821を有する。この構成は従来型のFIRフィルタと同様の構成である。
フィルタ係数選択部830は、乗算器811〜814に供給されるフィルタ係数861をレベル情報検出部783から入力するアンテナレベル情報に応じて決定する。
第1〜第3補正特性対応フィルタ係数入力部831〜833には、図30を参照して説明したフィルタ回路771の3つの等化回路(EQa)〜(EQc)の各々と同様の等化処理を行うためのフィルタ係数が順次入力される。これらのフィルタ係数は予め通信装置内のメモリに格納されている。
具体的には、第1〜第3補正特性対応フィルタ係数入力部831〜833には、先に図15(b1)〜(b3)を参照して説明した3種類の等化処理を実行するためのフィルタ係数がメモリから取り出されて順次入力される。
すなわち、
第1補正特性対応フィルタ係数入力部831には、
アンテナ間距離:50mm、40mm、30mmの場合に適応した等化器周波数特性=DC<2T<1Tによる補正(等化)を実行するフィルタ係数が入力される。
第2補正特性対応フィルタ係数入力部832には、
アンテナ間距離:20mmの場合に適応した等化器周波数特性=DC>2T<1Tによる補正(等化)を実行するフィルタ係数が入力される。
第3補正特性対応フィルタ係数入力部833には、
アンテナ間距離:10mm、3mmの場合に適応した等化器周波数特性=DC>2T>1Tによる補正(等化)を実行するフィルタ係数が入力される。
第1〜第3補正特性対応フィルタ係数入力部831〜833に入力されたフィルタ係数はセレクタ851〜854に出力される。セレクタ851〜854は、信号選択部841の出力する選択信号に応じて、第1〜第3補正特性対応フィルタ係数入力部831〜833に設定されたフィルタ係数のいずれか1つをFIRフィルタ部800の乗算器811〜814に出力する。
信号選択部841は、レベル情報検出部783から入力するアンテナレベル情報に応じて選択信号を出力する。
具体的には、レベル情報検出部783は、例えば先に図27、図28を参照して説明したように、n段階のアンテナレベル情報を入力するが、選択部772は、n段階のアンテナレベル情報を、等化部785において利用するフィルタ係数セット数(本例では3セット)に応じたレベル数に再分割する。例えば、図31に示すように、
High(高)、
Middle(中)、
Low(低)、
これらの3つのレベルに再分割する。
先に、図31を参照して説明したと同様、
High(高)=0.75以上、
Middle(中)=0.3〜0.75、
Low(低)、=0.3以下、
上記設定とした場合について説明する。
信号選択部841は、以下のような選択処理を行う。
(ケース1)
レベル情報検出部783から入力するアンテナレベル情報が、
High(高)=0.75以上の場合、
このアンテナレベルは、
アンテナ間距離:50mm、40mm、30mmに相当する。
従って、
等化器周波数特性=DC<2T<1Tによる等化処理が実行されるように、第1補正特性対応フィルタ係数入力部831に設定されたフィルタ係数を選択する選択信号を出力する。
(ケース2)
レベル情報検出部783から入力するアンテナレベル情報が、
Middle(中)=0.3〜0.75の場合、
このアンテナレベルは、
アンテナ間距離:20mmに相当する。
従って、
等化回路(EQb)=等化器周波数特性=DC<2T>1Tによる等化処理が実行されるように、第2補正特性対応フィルタ係数入力部832に設定されたフィルタ係数を選択する選択信号を出力する。
(ケース3)
レベル情報検出部783から入力するアンテナレベル情報が、
Low(低)=0.3以下の場合、
このアンテナレベルは、
アンテナ間距離:10mm、3mmに相当する。
従って、
等化回路(EQc)=等化器周波数特性=DC>2T>1Tによる等化処理が実行されるように、第3補正特性対応フィルタ係数入力部833に設定されたフィルタ係数を選択する選択信号を出力する。
FIRフィルタ部800は、このように、アンテナレベルに応じて設定されるフィルタ係数を適用したフィルタリング処理を行う。結果として、送受信部のアンテナ間距離に応じた伝送路の周波数特性のほぼ逆特性による最適な等化処理がなされる。このようにして等化部785において生成された等化結果は、後段の検出部786に出力され、精度の高い信号検出が実現される。
本構成では、先に説明した図30に示す構成と異なり、ハードウェアとしてフィルタを複数持つ必要がなく、フィルタ係数を格納するレジスタと信号選択部の増加で済むというメリットがある。またメモリに格納するフィルタ係数のセットについては、上述した3種類のみならず、4種類以上など任意のnセットを予め準備しメモリに格納しておく設定としてもよい。このように多種類のフィルタ係数を選択的に利用可能とすることで、様々な特性に対応した最適な補正処理が可能となる。
以上、特定の実施例を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。
以上、説明したように、本発明の一実施例構成によれば、無線通信による受信信号から受信情報の検出処理を実行する構成において、検波部がキャリア信号に重畳された受信情報を入力して受信情報を含む検波信号を生成し、等化処理部がこの検波信号に含まれる歪み、すなわち無線通信路において発生した歪みを補正する。等化処理部において補正された信号を例えばコンパレータなどによって構成される検出部に入力して受信情報を取得する。本構成により、通信路において発生する歪みが等化処理部において補正され、補正信号から受信情報の取得を行う構成としたので例えば伝送レートの高い通信などにおいても正確な情報伝送が可能となる。
具体的には、伝送レートが上がり広帯域を必要とする系や、高いQでのアンテナ共振をもつ狭帯域のチャネルでも、正確な受信情報の検出、復号が可能となる。また、適応等化処理を採用することで、通信距離で大幅に変わるチャネルの周波数特性にも対応可能となり、アンテナの共振周波数やQのばらつきによるチャネル周波数特性の変化にも対応できる。
10 リーダライタ
11 検出回路
20 トランスポンダ
21 検出回路
31 増幅器
32 検波器
33 ハイパスフィルタ(HPF)
34 コンパレータ
100 リーダライタ
101 送信情報
102 キャリア信号
103 変調器
104 送信アンプ
105 コイル
110 検出回路
200 トランスポンダ
201 送信情報
210 検出回路
300 検出回路
301 増幅器
302 検波器
303 ハイパスフィルタ(HPF)
304 等化回路(EQ)
305 コンパレータ
320 検出回路
321 増幅器
322 検波器
323 ハイパスフィルタ(HPF)
324 オートゲインコントローラ(AGC)
325 アナログデジタルコンバータ(ADC)
326 等化回路(EQ)
327 検出部
340 検出回路
341 増幅器
342 検波器
343 ハイパスフィルタ(HPF)
344 オートゲインコントローラ(AGC)
345 アナログデジタルコンバータ(ADC)
346 PLL
347 等化回路(EQ)
348 検出部
400 検出回路
401 増幅器
402 検波器
403 ハイパスフィルタ(HPF)
404 等化回路(EQ)
405 コンパレータ
411 特性切り替え信号
450 検出回路
451 増幅器
452 検波器
453 ハイパスフィルタ(HPF)
461〜463 等化回路(EQ)
465 コンパレータ
471 特性切り替え信号
500 検出回路
501 増幅器
502 検波器
503 ハイパスフィルタ(HPF)
511〜513 等化回路(EQ)
521〜523 検出部
531〜533 遅延処理部
540 ヘッダ検出部
550 信号選択部
560 コンパレータ
610 送信部
611 送信アンテナ
620 空間伝送路
630 受信部
631 受信アンテナ
635 検出回路
636 検波器
637 等化部
700 通信装置
701 送信情報
702 キャリア信号
703 変調器
704 送信アンプ
705 送信アンテナ
710 レベル計測部
711 パケット生成部
750 通信装置
751 受信アンテナ
752 検波器
753 等化部
754 検出部
755 レベル情報検出部
771 フィルタ回路
772 選択部
781 受信アンテナ
782 検波器
783 レベル情報検出部
784 ADC
785 等化部
786 検出部
800 FIRフィルタ部
801〜804 遅延素子
811〜814 乗算器
821 加算器
830 フィルタ係数選択部
831〜833 補正特性フィルタ係数入力部
851〜854 セレクタ

Claims (16)

  1. 無線通信による受信信号から受信情報の検出処理を実行する信号検出部を有し、
    前記信号検出部は、
    キャリア信号に受信情報が重畳された受信信号を入力し、該受信信号の包絡線変化を解析して受信情報を含む検波信号を生成する検波部と、
    前記検波信号に対する補正処理を実行し補正検波信号を出力する等化処理部と、
    前記等化処理部の生成した補正検波信号を入力して受信情報検出を行う検出部と、
    データ送信装置側において測定された送信アンテナ部の電圧を示す送信アンテナレベル情報を受信信号から抽出し、抽出したアンテナレベル情報を前記等化処理部に出力するレベル情報検出部を有し、
    前記等化処理部は、
    前記アンテナレベル情報に応じた最適等化特性を判定し、最適等化特性に従った等化処理結果を出力する受信装置。
  2. 前記等化処理部は、前記検波信号に含まれる歪み補正処理を実行する構成であり、前記受信信号に対して無線通信路において発生した歪みを補正する処理を行う構成である請求項1に記載の受信装置。
  3. 前記等化処理部は、
    前記受信信号に対して無線通信路において発生する歪みと逆特性のフィルタを適用して信号を元に戻す処理を行う構成である請求項2に記載の受信装置。
  4. 前記受信装置は、さらに、
    前記検波部の生成する検波信号に対するデジタル変換処理を実行してデジタル信号を生成するアナログデジタルコンバータを有し、
    前記等化処理部は、前記デジタル信号を入力して、デジタル信号処理により補正デジタル信号を生成して前記検出部に出力する構成である請求項1に記載の受信装置。
  5. 前記等化処理部は、
    前記等化処理部に対する入力信号の歪に応じて異なる等化処理を実行する適応等化処理(アダプティブイコライザ)構成を有する請求項4に記載の受信装置。
  6. 前記等化処理部は、
    前記アンテナレベル情報に応じて推定される伝送路周波数特性のほぼ逆の周波数特性を最適等化特性と判定する処理を行う請求項に記載の受信装置。
  7. 前記等化処理部は、
    複数の異なる等化特性に従った等化処理を実行する複数の等化部と、
    前記アンテナレベル情報を入力し、前記複数の等化部の等化結果から1つの等化結果を選択出力する選択部を有し、
    前記選択部は、
    前記アンテナレベル情報に応じて推定される伝送路周波数特性のほぼ逆の周波数特性による等化処理を実行した等化部の等化結果を選択出力する請求項に記載の受信装置。
  8. 前記受信装置は、さらに、
    前記検波部の生成する検波信号に対するデジタル変換処理を実行してデジタル信号を生成するアナログデジタルコンバータを有し、
    前記等化処理部は、
    前記デジタル信号を入力して、フィルタ係数を適用したフィルタリング処理により補正デジタル信号を生成して前記検出部に出力するフィルタ部と、
    前記フィルタ部に対して予め設定された複数のフィルタ係数セットから、前記アンテナレベル情報に応じて推定される伝送路周波数特性のほぼ逆の周波数特性による等化処理を実行するためのフィルタ係数セットを選択して前記フィルタ部に出力するフィルタ係数選択部を有する構成である請求項に記載の受信装置。
  9. 前記フィルタ部は、FIR(Finite Impulse Response )フィルタである請求項に記載の受信装置。
  10. 前記受信信号は、ASK変調(振幅偏移変調:Amplitude Shift Keying)方式によって変調された信号である請求項1〜いずれかに記載の受信装置。
  11. 無線通信によるデータ送信を行うアンテナ部と、
    前記アンテナ部の電圧を測定するレベル計測部と、
    前記レベル計測部の計測電圧値を示すアンテナレベル情報を送信データに格納するパケット生成部を有し、
    前記パケット生成部の生成したアンテナレベル情報を格納したパケットを前記アンテナ部を介して出力し、受信装置に前記アンテナレベル情報に応じた最適等化特性を判定させて最適等化特性に応じた等化結果を出力させることを可能とした送信装置。
  12. 前記パケット生成部は、
    パケット構成データに適用する予め規定されたデータ変換ルールと異なる信号列からなる特異信号パターン領域をパケット内に設定し、該特異信号パターン領域にアンテナレベルに応じて異なる信号パターンを設定したパケットを生成する請求項11に記載の送信装置。
  13. 前記パケット生成部は、
    前記特異信号パターン領域に、アンテナレベルに応じて異なる周波数を持つ単一周波数信号列を設定したパケットを生成する請求項12に記載の送信装置。
  14. 前記パケット生成部は、
    前記パケット内に設定される単一信号繰り返し領域に、該単一信号と異なる低周波レート信号領域を設定し、該低周波レート信号領域をアンテナレベルに応じて異なる信号パターンに設定したパケットを生成する請求項11に記載の送信装置。
  15. 通信装置において受信情報の検出を行う受信信号処理方法であり、
    信号検出部が、無線通信による受信信号から受信情報の検出処理を実行する信号検出ステップを有し、
    前記信号検出ステップは、
    検波部が、キャリア信号に受信情報が重畳された受信信号を入力し、該受信信号の包絡線変化を解析して受信情報を含む検波信号を生成する検波ステップと、
    等化処理部が、前記検波信号に対する補正処理を実行し補正検波信号を出力する等化処理ステップと、
    検出部が、前記等化処理ステップにおいて生成された補正検波信号を入力して受信情報検出を行う検出ステップと、
    レベル情報検出部が、データ送信装置側において測定された送信アンテナ部の電圧を示す送信アンテナレベル情報を受信信号から抽出し、抽出したアンテナレベル情報を前記等化処理部に出力するレベル情報検出ステップを有し、
    前記等化処理ステップは、
    前記アンテナレベル情報に応じた最適等化特性を判定し、最適等化特性に従った等化処理結果を出力するステップである受信信号処理方法。
  16. 通信装置においてデータ送信を行う送信信号処理方法であり、
    レベル計測部が、データ送信を行うアンテナ部の電圧を測定するレベル計測ステップと、
    パケット生成部が、前記レベル計測部の計測電圧値を示すアンテナレベル情報を格納したパケットを生成するパケット生成ステップと、
    前記アンテナ部が、前記パケット生成部の生成したアンテナレベル情報を格納したパケットを出力するステップを有し、受信装置に前記アンテナレベル情報に応じた最適等化特性を判定させて最適等化特性に応じた等化結果を出力させることを可能とした送信信号処理方法。
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