JP4667641B2 - 導電性エラストマー組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、OA機器のハウジング、電線被覆材等に使用される導電性エラストマーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等の熱可塑性エラストマーに、カーボンブラック等の導電性フィラーが添加された導電性エラストマーが提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記導電性エラストマーにおいては、カーボンブラックのSEBSに対する分散性が悪く、充分な導電性を付与するために多量のカーボンブラックを添加する必要があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、SEBS100重量部に対し、カーボンブラックが50重量部〜500重量部の範囲で分散されている導電性エラストマー組成物であって、該導電性エラストマー組成物には無水マレイン酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(無水マレイン酸変性SEBS)がスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体100重量部に対して1重量部以上、50重量部以下の範囲で添加されている導電性エラストマー組成物を提供するものである。
【0005】
該カーボンブラックは、ケッチェンブラックであることが望ましく、該導電性エラストマー組成物には、ポリプロピレンおよび/または軟化剤が添加されていることが望ましく、該軟化剤は、パラフィン系オイルであることが望ましい。
【0006】
(削除)
【0007】
本発明の導電性エラストマー組成物を以下、詳細に説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
〔熱可塑性エラストマー〕
本発明で使用される熱可塑性エラストマーは、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)である。
【0009】
〔導電性フィラー〕
本発明で使用されるカーボンブラックは、通常、導電性フィラーとして使用されているカーボンブラックであり、例えばケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ローラーブラック、ディスクブラック等のカーボンブラックが例示される。
【0010】
本発明において使用されるカーボンブラックとしては、特にケッチェンブラックが望ましく、該ケッチェンブラックの望ましい平均粒径は30μm以下である。
【0011】
該カーボンブラックの、SEBS100重量部に対する添加量は、50重量部〜500重量部の範囲である。
【0012】
〔分散改質剤〕
本発明の導電性エラストマーにおいて、導電性フィラーとして添加されるカーボンブラックの分散性を向上せしめるために添加される分散改質剤として、無水マレイン酸変性SEBSが使用される。
無水マレイン酸変性SEBSのSEBSに対する添加量は、SEBS100重量部に対して1重量部以上、50重量部以下の範囲で添加される。
SEBS100重量部に対する無水マレイン酸変性SEBSの添加量が1重量部未満であると、カーボンブラックの分散性が充分でなく導電性エラストマー組成物に充分な導電性を付与することが出来ず、また該添加量が50重量部を超えると導電性エラストマー組成物から成形される成形物の耐熱性が劣化し、かつコスト高となる。
【0013】
〔硬度調節剤〕
本発明の導電性エラストマー組成物では、硬度を調節するためにポリプロピレン(PP)および/または軟化剤が添加される。
【0014】
硬度調節剤として添加されるPPは、導電性エラストマーに硬さを付与するために添加される。
該PPはSEBS100重量部に対して、10重量部以上〜200重量部以下の範囲の添加量で添加される。
【0015】
上記PP以外にSEBSと相溶性の良い合成樹脂、合成ゴムあるいは熱可塑性エラストマーを添加してもよく、該合成樹脂、合成ゴムあるいは熱可塑性エラストマーとしては、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の合成樹脂、アクリルゴム、ブチルゴム、ケイ素ゴム、ウレタンゴム、フッ化物系ゴム、多硫化物系ゴム、グラフトゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレンゴム、ポリブテンゴム、イソブテン−イソプレンゴム、アクリレート−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ピリジン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム(SIR)、アクリロニトリル−クロロプレンゴム(NCR)、スチレン−クロロプレンゴム(SCR)等の合成ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレンターポリマー、スチレン−エチレン共重合体、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)共重合体(α−MeS−B−α−MeS)、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリイソプレン−ポリ(α−メチルスチレン)、ブタジエン−スチレン共重合体(BS)、エチレン−プロピレン−エチリデン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−エチルデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−1,4ヘキサジエン共重合体、エチレン−ブテン−1−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−ブテン−1−ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン−ブテン−1−1,4ヘキサジエン共重合体等の合成ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー等が例示され、これらの一種または二種以上をSEBSと併用しても良い。
【0016】
本発明において使用される軟化剤はパラフィン系オイルである。
該軟化剤はSEBS100重量部に対して、10重量部〜500重量部の範囲の添加量で添加される。
【0017】
パラフィン系オイルに代えて、ステアリン酸、ヒマシ油、ヤシ油、パーム油等の脂肪油系オイル等を軟化剤として使用してもよい。
【0018】
〔その他の成分〕
本発明においては、更に導電性エラストマー組成物の耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、剛性等を改良するために、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、ケイ藻土、ドロマイト、石膏、タルク、クレー、アスベスト、マイカ、ガラス繊維、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉等の充填剤、難燃剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、発泡剤、染料、顔料等の着色剤等が添加されてもよい。
【0019】
〔導電性エラストマー組成物〕
本発明の導電性エラストマー組成物は、体積固有抵抗率(Ω・cm)が1000Ω・cm以下になるよう調製され、特に100Ω・cm以下になるように調製されることが望ましい。
【0020】
以下、実施例により本発明を説明する。なお本発明は実施例のみに限定されない。
〔実施例〕
SEBS、無水マレイン酸変性SEBS、軟化剤(パラフィン系オイル)、PP、カーボンブラック(ケッチェンブラック)を表1に示す配合条件で導電性エラストマー組成物(実施例1〜実施例4)を調製し、該組成物より成形物を製造した。該成形物の硬度*1、体積固有抵抗率*2(Ω・cm)、および分散性の目視試験*3の結果を表1に示す。
【0021】
硬度*1: JIS K6253 タイプAで実施。体積固有抵抗率*2:SRIS2301で実施。分散性の目視試験*3:各組成物より薄膜を成形し、目視により分散性を判断。
【0022】
〔比較例〕
また比較例として、表1に示すSEBS、無水マレイン酸変性SEBS、軟化剤(パラフィン系オイル)、PP、カーボンブラック(ケッチェンブラック)の配合条件で組成物(比較例)を調製し、該組成物より成形物を製造した。該成形物の硬度、体積固有抵抗率、および分散性の目視試験の結果を表1に示す。
なお硬度および体積固有抵抗率の測定、分散性の目視試験方法は上記実施例と同様である。
【0023】
【表1】
【0024】
無水マレイン酸変性SEBSが添加された実施例1〜実施例4の各組成物は、該無水マレイン酸変性SEBSが添加されていない比較例の組成物と比べ、カーボンブラックの分散性が向上し、所望の導電性を有するものとなった。
また硬度の測定結果より、該組成物より得られる成形品は、OA機器のハウジングや電線被覆材等としての使用に充分な硬度を有している。
【0025】
【発明の効果】
本発明の導電性エラストマー組成物は、SEBS100重量部に対して無水マレイン酸変性SEBSが1〜50重量部の範囲で添加されることで、該導電性エラストマー組成物中のカーボンブラックの分散性が向上、カーボンブラックの添加量を50〜500重量部の範囲に少なくすることが出来る。
従って本発明の導電性エラストマー組成物より得られる成形物は、成形物として充分な機械的強度を有する。

Claims (5)

  1. スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体100重量部に対し、カーボンブラックが50重量部〜500重量部の範囲で分散されている導電性エラストマー組成物であって、該導電性エラストマー組成物には無水マレイン酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体がスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体100重量部に対して1重量部以上、50重量部以下の範囲で添加されていることを特徴とする導電性エラストマー組成物
  2. 該カーボンブラックは、ケッチェンブラックである請求項1に記載の導電性エラストマー組成物
  3. 該導電性エラストマー組成物には、ポリプロピレンおよび/または軟化剤が添加されている請求項1または請求項2に記載の導電性エラストマー組成物
  4. 該軟化剤は、パラフィン系オイルである請求項3に記載の導電性エラストマー組成物
  5. 該無水マレイン酸変性スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体100重量部に対して10重量部以上添加される請求項1〜請求項4に記載の導電性エラストマー組成物
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