JP2008189744A - 無機フィラー強化スチレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
スチレン系樹脂に特定の無機フィラーを配合することにより、剛性と耐衝撃性に優れるとともに、スチレン系樹脂本来の成形性を損なわない樹脂組成物を開発し、筐体、発泡体等の材料として実用化すること。
【解決手段】
スチレン系樹脂(A)95〜50重量%、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(B)1〜20重量%および無機フィラー(C)4〜49重量%からなる樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
特許文献1には、合成樹脂にタルク粉末と炭酸カルシウム粉末とを乾式で高速撹拌によって均一に混合粉砕して得たフィラーを添加することにより、曲げ弾性率を向上させ、かつアイゾット衝撃値の低下を極力抑制することにより、剛性と耐衝撃性のバランスに優れることが開示されている。ただし、当該フィラーを添加することにより、耐衝撃性は少なからず低下するので、剛性と耐衝撃性のバランスは不十分である。また、同文献に記載されている合成樹脂はブロックポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ナイロン6など結晶性樹脂のみであり、スチレン系樹脂の言及はまったくない。
通常の未強化の樹脂の曲げ弾性率(2000〜3000MPa)よりも高い弾性率を有し、かつ通常の樹脂の耐衝撃性よりも向上した樹脂組成物が、高剛性薄肉化に有用な材料であり、強く望まれている。
(1)ポリスチレン及び/又はゴム変性ポリスチレン(A)95〜50重量%、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(B)1〜20重量%および無機フィラー(C)4〜49重量%からなる樹脂組成物。
(2)共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(B)が末端に官能基を含有する変性水添ブロック重合体であることを特徴とする(1)に記載の樹脂組成物。
(3)無機フィラー(C)がタルクおよび炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1個の成分であることを特徴とする請求項1および2に記載の樹脂組成物。
(4)無機フィラー(C)が平均粒子径0.05〜5μmである炭酸カルシウムと平均粒子径0.5〜20μmであるタルクとを乾式で高速撹拌によって均一に混合粉砕して生成する複合フィラーであることを特徴とする(1),(2)および(4)に記載の樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)に記載の樹脂組成物からなる成形体。
ゴム変性ポリスチレン(A)の流動性は、ISO1133に従って測定したメルトフローレイトが1〜10g/10minの範囲にあることが好ましい。ゴム変性ポリスチレンの流動性が上記範囲を下回ると、本発明の樹脂組成物の成形性、特に射出成形での金型充填性が低下して好ましくない。一方、ゴム変性ポリスチレン(A)の流動性が上記範囲を上回ると、本発明の樹脂組成物の成形性、特に押出成形、真空成形、ブロー成形での厚み均一性が低下し、さらには樹脂組成物の耐衝撃性が低下して好ましくない。
共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とのブロック共重合および得られたブロック共重合体の水添は公知の方法を用いることができる。
本発明に用いる共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(B)におけるビニル芳香族化合物の含有量は好ましくは10重量%以上、70重量%未満、更に好ましくは20重量%以上、60重量%未満である。ビニル芳香族化合物の含有量が10重量%未満では本発明の樹脂組成物の剛性が大幅に低下し、一方ビニル芳香族化合物の含有量が70重量%を越えた場合、耐衝撃性が大幅に低下し、いずれも好ましくない。
本発明に用いる共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(B)の共役ジエン化合物に基づく二重結合の水添率は75〜100%が好ましく、更に好ましくは80〜100%である。水添率が75%よりも低いと本発明の樹脂組成物の剛性が大幅に低下して好ましくない。
本発明に用いる共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(B)の重量平均分子量は3〜100万が好ましい。更に好ましくは5〜80万である。
重量平均分子量が3万未満では本発明の樹脂組成物の耐衝撃性が劣り、重量平均分子量が100万を越えると本発明の樹脂組成物の成形加工性が劣るため好ましくない。
なお、フィラーの粒子径はレーザー回折・散乱法により測定する。レーザー回折・散乱法により測定した粒度分布より平均粒子径を求めることができる。
本発明の樹脂組成物は射出成形、シート押出成形、真空成形、異型押出成形、ブロー成形といった方法で成形されて樹脂製品となる。
<スチレン系樹脂(A)>
(A)−1;ポリスチレン「685」<PSジャパン(株)製>
基礎物性を(表−1)に示す。
<ゴム変性ポリスチレン(A)−2>
(A)−2;ゴム変性ポリスチレン、ゴム含量8.6重量%
基礎物性を(表−1)に示す。
<共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(B)>
(B)−1;タフテックP−2000<旭化成ケミカルズ(株)製>
水添ブロック共重合体、スチレン成分含有量67重量%
(B)−2;タフテックH1041<旭化成ケミカルズ(株)製>
水添ブロック共重合体、スチレン成分含有量30重量%
(B)−3;タフテックMP10<旭化成ケミカルズ(株)製>
変性水添ブロック共重合体(末端イミノ基変性)
(B)−4;試作品AK−1<旭化成ケミカルズ(株)製>
変性水添ブロック共重合体(末端カルボキシル基変性)
<無機フィラー(C)>
(C)−1;ハイブリッドフィラーAHT8020C<三共精粉(株)製>
平均粒径3.4μmと平均粒径80nmの炭酸カルシウムを重量比80/20の割合で乾式で高速撹拌によって複合化した。
(C)−2;ハイブリッドフィラーAHT6040C<三共精粉(株)製>
平均粒径3.4μmと平均粒径80nmの炭酸カルシウムを重量比60/40の割合で乾式で高速撹拌によって複合化した。
(C)−3;炭酸カルシウム カルシーズPL−10<神島化学(株)製>
平均粒径;100nm
(C)−4;タルク マイクロエースP−3<日本タルク(株)製>
平均粒径5.1μm
ポリスチレン及び/又はゴム変性ポリスチレン(A)と複合フィラー(B)あるいは炭酸カルシウム、タルクを(表−2)〜(表−7)の上段に示す通り計量した。
計量した原料をドラムタンブラーで配合し、同方向二軸押出機(WERNER& PFLEIDERER社製ZSK25)でシリンダー設定温度220℃、スクリュー回転数200rpmにて溶融混練し、溶融ストランドとして抜き出した。溶融ストランドを水冷しロータリーカッターでストランドをカッティングしてペレット状の樹脂組成物を得た。
メルトフローレイトおよび機械物性の測定;
上記で製造した樹脂組成物のメルトフローレイトをISO1133にしたがって測定した。又、上記で製造した樹脂組成物をISOタイプA試験片に射出成形し、ISO527−1に従って引張強さ、引張破壊歪みを、ISO178に従って曲げ強さ、曲げ弾性率を、ISO179に従ってシャルピー衝撃強さ、ISO306に従ってビカット軟化温度、ISO75−2に従って荷重撓み温度を測定した。
デュポン衝撃試験;
JIS K 5400に従い、デュポン衝撃試験を行った。デュポン衝撃試験機を用いて、撃芯の先端Rが3mm、受け台のへこみRが6mmの条件で、厚さ2mmの射出成形板に撃芯を落下させ、成形板に亀裂を発生させるエネルギーを求めた。
以上の測定結果を(表−2)〜(表−7)の下段および(図−1)〜(図−12)に示す。
(表−2)には、ポリスチレン(A)−1に無機フィラー(C)−1を配合した系について示した。共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(B)−3を配合している実施例は配合していない比較例に比べて、曲げ弾性率とシャルピー衝撃強さあるいはデュポン衝撃強さとのバランスに優れている。(図−1)には曲げ弾性率とシャルピー衝撃強さの関係をプロットした。比較例1〜3の点を結ぶラインに対し、実施例1〜3はグラフの上側に位置することから、曲げ弾性率とシャルピー衝撃強さのバランスに優れていることがわかる。同様に(図−2)には曲げ弾性率とデュポン衝撃強さの関係をプロットしたが、比較例1〜3に対して実施例は上側に位置し、曲げ弾性率とデュポン衝撃強さとのバランスに優れている。
(表−3)には、ゴム変性ポリスチレン(A)−2に無機フィラー(C)−1を配合した系について示した。(図―3)には曲げ弾性率とシャルピー衝撃強さとの関係を、(図−4)には曲げ弾性率とデュポン衝撃強さとの関係を各々示した。いずれにおいても、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(B)を配合した実施例は配合していない比較例に対してグラフの上側に位置しており、曲げ弾性率と耐衝撃性とのバランスに優れていることが示されている。中でも共役ジエン成分の多い水添ブロック共重合体(B)−2を配合した系(実施例7)、さらには末端変性した水添ブロック共重合体(B)−3および(B)−4を配合しかつ配合量も5重量%以上の系(実施例10〜13)では、デュポン衝撃強さが大幅に向上している。
(表−4)には、ゴム変性ポリスチレン(A)−2に無機フィラー(C)−2を配合した系について示した。(図―5)には曲げ弾性率とシャルピー衝撃強さとの関係を、(図−6)には曲げ弾性率とデュポン衝撃強さとの関係を各々示した。水添ブロック共重合体(B)を配合することにより、曲げ弾性率と衝撃強さとのバランスに優れることがわかる。
(表−5)には、ゴム変性ポリスチレン(A)−2に無機フィラー(C)−3を配合した系について示した。(図―7)には曲げ弾性率とシャルピー衝撃強さとの関係を、(図−8)には曲げ弾性率とデュポン衝撃強さとの関係を各々示した。水添ブロック共重合体(B)を配合することにより、曲げ弾性率と衝撃強さとのバランスに優れる。
(表−6)には、ゴム変性ポリスチレン(A)−2に無機フィラー(C)−4を配合した系について示した。(図―9)には曲げ弾性率とシャルピー衝撃強さとの関係を、(図−10)には曲げ弾性率とデュポン衝撃強さとの関係を各々示した。水添ブロック共重合体(B)を配合することにより、曲げ弾性率と衝撃強さとのバランスに優れる。
(表−7)には、ポリスチレン(A)−1とゴム変性ポリスチレン(A)−2の1:1のベースに無機フィラー(C)−1を配合した系について示した。(図―11)には曲げ弾性率とシャルピー衝撃強さとの関係を、(図−12)には曲げ弾性率とデュポン衝撃強さとの関係を各々示した。水添ブロック共重合体(B)を配合することにより、曲げ弾性率と衝撃強さとのバランスに優れる。
Claims (5)
- ポリスチレン及び/又はゴム変性ポリスチレン(A)95〜50重量%、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(B)1〜20重量%および無機フィラー(C)4〜49重量%からなる樹脂組成物。
- 共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体(B)が末端に官能基を含有する変性水添ブロック重合体であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 無機フィラー(C)がタルクおよび炭酸カルシウムから選ばれる少なくとも1個の成分であることを特徴とする請求項1および2に記載の樹脂組成物。
- 無機フィラー(C)が平均粒子径0.05〜5μmである炭酸カルシウムと平均粒子径0.5〜20μmであるタルクとを乾式で高速撹拌によって均一に混合粉砕して生成する複合フィラーであることを特徴とする請求項1,2および4に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4に記載の樹脂組成物からなる成形体。
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