JP2010235715A - 耐薬品性に優れるスチレン系樹脂組成物 - Google Patents

耐薬品性に優れるスチレン系樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】耐薬品性、耐油性、剛性、耐熱性、及び寸法安定性に優れるポリスチレン系樹脂組成物、すなわち、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系共重合体、及びスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体を所定の重量比で含む樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポリスチレン系樹脂(A)、スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)、及びスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)を含む樹脂組成物であって、該ポリスチレン系樹脂(A)と該スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)の合計を100重量部とした場合、該ポリスチレン系樹脂(A)は50〜97重量部で含まれ、該スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)は50〜3重量部で含まれ、そして該ブロック共重合体(C)は、0.1〜40重量部で含まれることを特徴とする前記樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐薬品性、耐油性、耐衝撃性、及び剛性に優れるポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系共重合体、及びスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体を含む樹脂組成物に関する。
ポリスチレン系樹脂は成形加工が容易であること、軽量であること、剛性が高い等、良好な物性バランスを有する安価な汎用樹脂として、食品包装材料や家電製品、工業部品、家庭用品などに広く使用されている。特に食品包装用途において、熱成形、真空成形等により、押出しシートや押出し発泡シートから各種の食品容器が製造されている。このようにして製造された容器は、多種の食品と接触するため、該食品容器を構成するポリスチレン系樹脂に亀裂が生じたり、破断したりすることがある。また、食品用途以外として、例えば洗面化粧台に使用するポリスチレン系樹脂には、クレンジングオイル等の化粧品に対する耐薬品性が要求されている。
そこで、これまで、ポリスチレン系樹脂の耐薬品性や耐油性を改善するために種々の検討がなされてきた。例えば、耐薬品性に優れる他の樹脂をポリスチレン系樹脂に配合する方法がある。他の樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂(以下、特許文献1〜3参照)やシンジオタクチックポリスチレン(以下、特許文献4参照)が挙げられる。
しかしながら、ポリスチレン系樹脂とオレフィン系樹脂からなる樹脂組成物では、両樹脂の相溶性が悪く、単純ブレンド品では、機械的強度が低下し、層状剥離も発生して、実用に耐えるものではない。そこで、相溶性を向上させるため、スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムやその水素添加重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体やその水素添加重合体、又はエチレン−オクテン共重合体等をさらに添加しているが、十分に満足できるものではない。すなわち、ポリスチレン系樹脂とオレフィン系樹脂からなる樹脂組成物においては、耐薬品性や耐油性を向上させるために、相当量のオレフィン系樹脂を混練する必要があるため、ポリスチレン系樹脂の特徴である剛性、耐熱性、及び寸法安定性がかえって損なわれてしまうという問題がある。
一方、ポリスチレン系樹脂にシンジオタクチックポリスチレンを配合する場合には、相溶性は比較的良好であるが、成形性や寸法安定性に劣る。また、成形時には結晶性であるシンジオタクチックポリスチレンを溶融・結晶化させる必要があるため、、該樹脂組成物を、融点約250℃以上である約270℃以上に溶融し、そして金型温度を100℃程度に設定しなければならない。通常のポリスチレン(アタクチック)系樹脂は、220℃程度で溶融され、金型温度50℃以下でも十分に成形できることを考えると、ポリスチレン系樹脂にシンジオタクチックポリスチレンを配合した樹脂組成物は、熱劣化する可能性がある。また、ポリスチレン系樹脂の成形する場合の金型は、通常水加熱型であり、100℃の金型温度の設定は困難である場合が多い。加えて、ポリスチレン系樹脂にシンジオタクチックポリスチレンを配合した樹脂組成物の剛性は高いものの、耐衝撃性や靭性は劣るという問題もある。
特開平5−186660号公報 特開平6−192493号公報 特開2000−186177号公報 特開平8−92385号公報
本発明は、耐薬品性、耐油性、剛性、耐熱性、及び寸法安定性に優れるポリスチレン系樹脂組成物、すなわち、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル系共重合体、及びスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体を所定の重量比で含む樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記の問題点を解決するため鋭意検討した結果、ポリスチレン系樹脂に、スチレン−アクリロニトリル系共重合体、及びスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体を所定の重量比で配合することにより、前記課題を解決し、耐薬品性、耐油性、剛性、耐熱性、及び耐衝撃性に優れるポリスチレン系樹脂組成物を提供でいることを、予想外に見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記のとおりである。
[1]ポリスチレン系樹脂(A)、スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)、及びスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)を含む樹脂組成物であって、該ポリスチレン系樹脂(A)と該スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)の合計を100重量部とした場合、該ポリスチレン系樹脂(A)は50〜97重量部で含まれ、該スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)は50〜3重量部で含まれ、そして該ブロック共重合体(C)は、0.1〜40重量部で含まれることを特徴とする前記樹脂組成物。
[2]前記ブロック共重合体(C)は、リビングラジカル重合により製造されたa−b型ブロック共重合体であり、aセグメントがスチレン系単量体から形成され、bセグメントが炭素数1〜4のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体から形成され、aセグメントとbセグメントとの割合が重量比で15/85〜85/15であり、そして該ブロック共重合体の数平均分子量が30,000〜80,000である、前記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記[1]又は[2]に記載の樹脂組成物から形成された成形体。
本発明により、ポリスチレン系樹脂の本来の特性である成形性、剛性、耐衝撃性等を損なうことなく、耐薬品性や耐油性が向上されたポリスチレン系樹脂組成物を提供することができる。
耐薬品性試験(カンチレバー方式)に使用した試験片を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いるポリスチレン系樹脂(A)は、スチレンを主成分とした重合体である。
ポリスチレン系樹脂(A)としては、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、スチレンと他のビニル系単量体を共重合したスチレン系樹脂等が挙げられる。
ポリスチレンとは、スチレンの単独重合体であり、一般的に入手できるものを適宜選択して用いることができる。一般的に入手できるポリスチレンは、スチレンの重合度、分子量分布、可塑剤や滑剤の量が調整され、流動性の異なるものが提供されている。本発明で使用するポリスチレンの流動性は、ISO1133に従って測定したメルトフローレイトが1〜30g/10minの範囲内にあることが好ましい。ポリスチレンの流動性が上記範囲の下限未満であると、本発明の樹脂組成物の成形性、特に射出成形での金型充填性が低下するため好ましくない。一方、ポリスチレンの流動性が上記範囲の上限を超えると、本発明の樹脂組成物の成形性、特に押出成形、真空成形、ブロー成形での厚み均一性が低下するため好ましくない。
ゴム変性ポリスチレンとは、スチレン単独の重合体からなる連続相にゴム状重合体がグラフト重合して粒子分散してなる成形材料であり、一般的に入手できるものを適宜選択して用いることができる。ゴム変性ポリスチレンに用いるゴムとしては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体、天然ゴム、エチレン−プロピレン共重合体などが挙げられる。特に、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。
ゴム変性ポリスチレンの流動性は、ISO1133に従って測定したメルトフローレイトが1〜30g/10minの範囲にあることが好ましい。ゴム変性ポリスチレンの流動性が上記範囲の下限未満であると、本発明の樹脂組成物の成形性、特に射出成形での金型充填性が低下するため好ましくない。一方、ゴム変性ポリスチレンの流動性が上記範囲の上限を超えると、本発明の樹脂組成物の成形性、特に押出成形、真空成形、ブロー成形での厚み均一性が低下したり、耐衝撃性が低下したりするため好ましくない。
スチレンと他のビニル系単量体を共重合したスチレン系樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体、スチレンと無水マレイン酸の共重合体等が挙げられる。
本発明で用いるスチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)とは、モノビニル芳香族単量体及び不飽和ニトリル単量体を重合させてなる樹脂組成物である。モノビニル芳香族単量体とは、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレンなどが挙げられ、これらの1種又はまたは2種以上が用いられる。中でも、スチレンが最も好ましい。不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられ、アクリロニトリルが好適に用いられる。最も一般的にはスチレンとアクリロニトリルとの共重合体(以下、AS樹脂ともいう)である。AS樹脂は、水性懸濁重合、乳化重合、溶液重合又は塊状重合のいずれの方法によっても製造することができ、工業的に生産され、広く利用されている。スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)中のアクリロニトリル系単位の共重合割合は、3〜50重量%、好ましくは5〜40重量%である。3重量%未満では本発明の樹脂組成物の耐薬品性や耐油性の向上がなく、50重量%を超えるとポリスチレン系樹脂(A)との相溶性が大幅に低下することにより、本発明の樹脂組成物の耐衝撃性や機械的強度が低下してしまうため、好ましくない。また、スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)の重量平均分子量は、1万〜50万であり、好ましくは3万〜30万である。平均分子量が1万未満では、本発明の樹脂組成物の耐衝撃性や機械的強度が劣り、50万を超えると、本発明の樹脂組成物の流動性が低下し成形加工性が悪化するため、好ましくない。
本発明で用いるスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)は、a−b型ブロック共重合体であり、aセグメントがスチレン系単量体から形成され、そしてbセグメントが炭素数1〜4のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体から形成される。当該a−b型ブロック共重合体は、ラジカル重合、リビングラジカル重合、リビングアニオン重合等によって製造することができる。中でも、リビングラジカル重合で製造することが最も好ましい。
リビングラジカル重合により製造されるブロック共重合体は、従来のポリメリックペルオキシド等を用いる通常のラジカル重合品に比べて、分子構造の精密な制御が可能であり、具体的には分子量分布が狭くブロック性の高い重合体を製造することができる。
リビングラジカル重合の開始剤としては、下記に示すテルル化合物(1):
Figure 2010235715
{式中、R1、はC1〜C8のアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基であり、R2及びR3は、水素原子又はC1〜C8のアルキル基であり、そしてR4は、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アシル基、オキシカルボニル基又はシアノ基である。}が好ましい。
上記テルル化合物(1)に加え、下記に示すテルル化合物(2):
(R1Te)2 (2)
{式中、R1は、C1〜C8のアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基である。}を併用することは、収率が高く分子量分布がさらに狭いブロックポリマーが得られるため、好ましい。
上記テルル化合物(1)、及びテルル化合物(2)の合成方法、及びこれらをを重合開始剤として使用するスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体の重合方法は、再公表特許2004−14848および再公表特許2004−14962等に開示されている。
炭素数1〜4のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチル、エステル(メタ)アクリル酸イソプロピルエステル、アクリル酸ブチルエステルが挙げられ、中で最も入手しやすい単量体は、メタアクリル酸メチルエステルである。
aセグメントであるスチレン系単量体とbセグメントである(メタ)アクリル酸エステル系単量体の割合は、重量比で15/85〜85/15であり、好ましくは20/80〜80/20である。スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重量比が上記範囲外であると、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)を配合することに因るシャルピー衝撃強さやデュポン衝撃強さ等の耐衝撃性の向上幅が小さくなる場合やむしろ低下する場合があるため、好ましくない。
本発明で用いるスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)の数平均分子量は、30,000〜80,000であり、好ましくは35,000〜75,000である。数平均分子量が上記範囲外であると、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)を配合することに因るシャルピー衝撃強さやデュポン衝撃強さ等の耐衝撃性や耐薬品性の向上がみられない場合やむしろ低下する場合があるため、好ましくない。
ポリスチレン系樹脂(A)とスチレン−アクリロニトリル共重合体(B)の合計を100重量部とすると、ポリスチレン系樹脂(A)は、50〜97重量部、好ましくは55〜95重量部であり、スチレン−アクリロニトリル共重合体(B)は、50〜3重量部、好ましくは45〜5重量部である。ポリスチレン系樹脂(A)が97重量部を超える、すなわちスチレン−アクリロニトリル共重合体(B)が3重量部未満では、樹脂組成物の耐薬品性や耐油性の向上効果が発現されない。一方、ポリスチレン系樹脂(A)が50重量%未満では、ポリスチレン系樹脂の特性である流動性や耐衝撃性が発現しないため、好ましくない。
また、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)は、ポリスチレン系樹脂(A)とスチレン−アクリロニトリル共重合体(B)の合計100重量部に対して、0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜25重量部である。0.1重量部未満では樹脂組成物の耐衝撃性の向上は認められず、一方、40重量%を超えると樹脂組成物の耐油性や耐薬品性が低下して好ましくない。
本発明の樹脂組成物の成分であるポリスチレン系樹脂(A)、スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)、及びスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)に対して、さらなる耐油性、耐薬品性、耐衝撃性等の改良を目的として、スチレン系ブロック共重合体ゴム(D)を添加してもよい。スチレン系ブロック共重合体ゴム(D)の添加量は、ポリスチレン系樹脂(A)、スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)、及びスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)の合計100重量部に対して、1〜40重量部であることが好ましい。スチレン系ブロック共重合体ゴム(D)とは、スチレン系単量体から構成される重合体ブロック1個以上と、共役ジエン系単量体から構成される重合体ブロック1個以上からなるブロック共重合体であり、このブロック共重合体は一部又は全部が水素添加されていてもよい。最も一般的なものは、1,3−ブタジエンとスチレンからなるブロック共重合体でありSBSといわれ、これを水素添加したものはSEBSといわれる。
ポリスチレン系樹脂(A)、スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)、及びスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)を配合、溶融、混練、造粒する方法は、特に限定されず、樹脂組成物の製造で常用されている方法を用いることができる。例えば、ドラムタンブラー、ヘンシェルミキサー等で配合した上記各成分をバンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー等を用いて溶融、混練し、ロータリーカッター、ファンカッター等で造粒することによって樹脂組成物を得ることができる。
本発明の樹脂組成物には、酸化防止剤、滑剤、難燃剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの添加剤をさらに添加することができる。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、シート押出成形、真空成形、異型押出成形、ブロー成形などの方法で成形されて樹脂製品となる。
以下の実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<ポリスチレン系樹脂(A)−1>
(A)−1;PSジャパン株式会社製 ゴム変性ポリスチレン「H8672」
基礎物性を以下の表1に示す。
Figure 2010235715
<スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)−1>
スチレン、アクリロニトリル、エチルベンゼン、及び過酸化物である重合開始剤を各々適正量用いて製造した。スチレン単位80重量%、アクリロニトリル単位20重量%の組成であり、メルトフローレイトは30g/10min(ISO1133準拠 220℃、10kg荷重)であった。
<スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)−1>
テルル化合物を重合開始剤としてリビングラジカル重合にて製造した。製造方法は、例えば、再公表特許2004−14962に開示されている。組成比:スチレン/メタクリル酸メチル=6/4(重量比)で、数平均分子量は約7万であった。
<スチレン系ブロック共重合体ゴム(D)>
(D)−1;タフプレン125<旭化成ケミカルズ(株)製>
スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン/ブタジエン=40/60(重量比)。
(D)−2;タフテックH1041<旭化成ケミカルズ(株)製>
スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加品、スチレン成分含有量30重量%。
<樹脂組成物の製造>
ポリスチレン系樹脂(A)、スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)、及びスチレン系ブロック共重合体ゴム(D)を、以下の表−2の上段に示すとおりに計量した。
計量した原料をドラムタンブラーで配合し、二軸押出機(ナカタニ機械(株)製 型式AS30)でシリンダー設定温度200℃、スクリュー回転数80rpmにて溶融混練し、溶融ストランドとして抜き出した。溶融ストランドを水冷し、ロータリーカッターでストランドをカッティングして、ペレット状の樹脂組成物を得た。
メルトフローレイト及び機械物性の測定
前記したように製造した樹脂組成物のメルトフローレイトを、ISO1133に従って測定した。また、前記したように製造した樹脂組成物をISOタイプA試験片に射出成形し、ISO527−1に従って引張強さ、及び引張破壊歪みを、そしてISO178に従って曲げ強さ、及び曲げ弾性率を、そしてISO179に従ってシャルピー衝撃強さを測定した。測定結果を以下の表2の下段に示す。
デュポン衝撃試験
JIS K 5400に従い、デュポン衝撃試験を行った。デュポン衝撃試験機を用いて、撃芯の先端Rが3mm、受け台のへこみRが6mmの条件で、厚さ2mmの射出成形板に撃芯を落下させ、成形板に亀裂を発生させるエネルギーを求めた。但し、1kg荷重を高さ50cmから落下させても亀裂を生じさせない場合は、亀裂を発生させるエネルギーを50kg・cm以上(>50)とした。
測定結果を以下の表2の下段に示す。
耐薬品性試験(カンチレバー方式);
薬品:DHC薬用ディープクレンジングオイル<(株)ディーエイチシー製>
カンチレバー方式にて耐薬品性試験を行った。
試験は次のようにして行った。
図1に示す試験片(長さ80mm×幅15mm×厚さ2mm)を射出成形にて作製する。長手方向が樹脂の流れ方向になるようにする。下記試験片よりも大きな平板を射出成形し、そこから下記試験片を切り出してもよい。
片方(A端)の15mm長さの部分を厚さ方向から挟み水平とする。挟んだ端から5mmの位置にガーゼ小片を置き、そこにDHCディープクレンジングオイルを一滴染み込ませる。もう一方(B端)に200gの荷重を吊り下げる。24時間毎に観察し、薬品を塗布した部分から折れた状態又は切断した状態になった時点を日数(day)で表す。
結果を以下の表2の下段に示す。
Figure 2010235715
Figure 2010235715
Figure 2010235715
表2の説明:
ポリスチレン系樹脂(A)にスチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)、及びスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)を配合することにより(実施例1、2)、ポリスチレン系樹脂(A)の単独系(比較例1)に比べて耐薬品性に優れることが分かる。さらに実施例1と2は、ブロック共重合体(C)を配合しない系(比較例4、5)に比べても耐衝撃性や耐薬品性に優れていることが分かる。
ポリスチレン系樹脂(A)にスチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)及びブロック共重合体(C)を配合した場合であっても、スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)の配合量が所定の重量比未満である場合には(比較例2)、耐薬品性の向上はほとんど認められない。一方、スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)の配合量が所定の重量比を超える場合には(比較例3)、耐薬品性は良好であるが耐衝撃性が大幅に低下することが分かる。
ポリスチレン系樹脂(A)にスチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)及びブロック共重合体(C)を加え、さらにスチレン系ブロック共重合体ゴム(D)を配合した系(実施例3〜5)では、デュポン衝撃強さが大幅に改善され、耐薬品性も向上している。実施例3〜5の系は、ブロック共重合体(C)が配合されていない系(比較例6〜8)に比べても、耐衝撃性及び耐薬品性に優れていることが分かる。
本発明の樹脂組成物は、ポリスチレン系樹脂の用途である発泡体、シート、射出成形品など、耐薬品性や耐油性が要求される多くの産業分野に利用されうる。

Claims (3)

  1. ポリスチレン系樹脂(A)、スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)、及びスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(C)を含む樹脂組成物であって、該ポリスチレン系樹脂(A)と該スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)の合計を100重量部とした場合、該ポリスチレン系樹脂(A)は50〜97重量部で含まれ、該スチレン−アクリロニトリル系共重合体(B)は50〜3重量部で含まれ、そして該ブロック共重合体(C)は、0.1〜40重量部で含まれることを特徴とする前記樹脂組成物。
  2. 前記ブロック共重合体(C)は、リビングラジカル重合により製造されたa−b型ブロック共重合体であり、aセグメントがスチレン系単量体から形成され、bセグメントが炭素数1〜4のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体から形成され、aセグメントとbセグメントとの割合が重量比で15/85〜85/15であり、そして該ブロック共重合体の数平均分子量が30,000〜80,000である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の樹脂組成物から形成された成形体。
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