JP5191264B2 - スチレン系樹脂及びポリ乳酸系樹脂を含有する樹脂組成物 - Google Patents

スチレン系樹脂及びポリ乳酸系樹脂を含有する樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP5191264B2
JP5191264B2 JP2008103963A JP2008103963A JP5191264B2 JP 5191264 B2 JP5191264 B2 JP 5191264B2 JP 2008103963 A JP2008103963 A JP 2008103963A JP 2008103963 A JP2008103963 A JP 2008103963A JP 5191264 B2 JP5191264 B2 JP 5191264B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
styrene
block copolymer
meth
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008103963A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009256403A (ja
Inventor
良 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
PS Japan Corp
Original Assignee
PS Japan Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by PS Japan Corp filed Critical PS Japan Corp
Priority to JP2008103963A priority Critical patent/JP5191264B2/ja
Publication of JP2009256403A publication Critical patent/JP2009256403A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5191264B2 publication Critical patent/JP5191264B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymerization Catalysts (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Description

本発明は、ポリ乳酸系樹脂を含有するスチレン系樹脂組成物及びこの組成物から得られる成形体に関する。
近年、石油資源枯渇の問題や炭酸ガス排出増加に伴う地球温暖化といった環境問題の観点より、石油を原料としない非石油系樹脂が注目されている。
こうした中で、植物由来原料をモノマーとした樹脂が開発されてきており、既にとうもろこしや芋類等から得た澱粉を糖化して、さらに乳酸菌により乳酸とし、ついで乳酸を環化させてラクチドとし、これを開環重合することによりポリ乳酸が生産されるようになった。
このようにして得られた植物由来原料の樹脂中の炭素は、大気中の炭酸ガスを光合成して固定化されたものであるため、たとえ焼却廃棄しても炭酸ガス総量を増加させることのない、いわゆる「カーボンニュートラル」な材料と言える。すなわち、循環型で環境維持可能な材料である。
このような植物由来の環境維持可能な材料を石油系樹脂に配合して使用することにより、石油系樹脂の使用量を削減することが可能であり、種々の検討が行われている(特許文献1参照)。
特開2005−48067号公報
ところで、石油系樹脂の代表格であるスチレン系樹脂は、成形が容易であること、軽量であること等を生かして発泡体、シート、筐体等数多くの産業分野の成形体に用いられている。このため、その使用量を制限することが求められている。
そこで、本発明の目的は、スチレン系樹脂の使用量を低減させながら、スチレン系樹脂の本来の成形性や機械的特性を維持し、実用的な剛性と衝撃強度と優れた流動性とを兼ね備えた樹脂組成物を提供することにある。
本発明者はこの課題達成のため、鋭意検討した結果、スチレン系樹脂、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からリビングラジカル重合により製造されるブロック共重合体、及びポリ乳酸系樹脂からなる樹脂組成物が様々な成形方法に対応できる流動性、優れた機械的物性、とりわけ耐衝撃性に秀でていることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
(1)スチレン系樹脂(A)93〜5重量%、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からリビングラジカル重合により製造されるブロック共重合体(B)2〜30重量%、及びポリ乳酸系樹脂(C)5〜93重量%からなる樹脂組成物であって、ブロック共重合体(B)は、[スチレン系単量体の重量]/[(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重量]が15/85〜85/15、数平均分子量が30000〜80000の共重合体である、樹脂組成物。
(2)ブロック共重合体(B)は、スチレン系単量体から形成されるaセグメントと(メタ)アクリル酸エステル系単量体から形成されるbセグメントを有する、a−b型ブロック共重合体である、(1)記載の樹脂組成物。
(3)bセグメントを形成する(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、炭素数1〜4のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体である、(2)記載の樹脂組成物。
(4)ブロック共重合体(B)がテルル化合物を重合開始剤としてリビングラジカル重合により製造される共重合体である、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれか一つに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
上記樹脂組成物及び成形体は、スチレン系樹脂の本来の成形性や機械的特性を維持し、実用的な剛性と衝撃強度と優れた流動性とを兼ね備えている。また、スチレン系樹脂の含有量を5重量%まで低減できることから、石油系樹脂の使用量を減らすことができ、ひいては石油使用量及び炭酸ガス排気量の削減が可能になる。したがって、環境負荷が低減する。
本発明により、植物由来の樹脂をスチレン系樹脂に配合することにより環境負荷を低減することができ、また、スチレン系樹脂の本来の成形性を失わずに、実用的な剛性と優れた衝撃強度を兼ね備えた樹脂組成物及び成形体を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は、スチレン系樹脂(A)、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からリビングラジカル重合により製造されるブロック共重合体(B)及びポリ乳酸系樹脂(C)からなる。
本発明で用いられるスチレン系樹脂(A)とは、スチレン及びその誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種のスチレン系単量体の単独重合体若しくは共重合体、又はこれらの変性物(ゴム変性物等)である。スチレン系樹脂(A)としては、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、スチレンと他のビニル系単量体を共重合したスチレン系樹脂、等が挙げられる。
ポリスチレンとはスチレンの単独重合体であり、一般的に入手できるものを適宜選択して用いることができる。一般的に入手できるポリスチレンは、スチレンの重合度、分子量分布、可塑剤や滑剤の量が調整され、流動性の異なるものが提供されている。本発明で使用されるポリスチレンの流動性はISO1133に従って測定したメルトフローレイトが1〜10g/10minの範囲にあることが好ましい。ポリスチレンの流動性が上記範囲を下回ると、本発明の樹脂組成物の成形性、特に射出成形での金型充填性が低下して好ましくない。一方、ポリスチレンの流動性が上記範囲を上回ると、本発明の樹脂組成物の成形性、特に押出成形、真空成形、ブロー成形での厚み均一性が低下して好ましくない。
ゴム変性ポリスチレンとはスチレン単独の重合体からなる連続相にゴム状重合体がグラフト重合して粒子分散してなる成形材料であり、一般的に入手できるものを適宜選択して用いることができる。ゴム変性ポリスチレンに用いるゴムとしては、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−イソプレン共重合体、天然ゴム、エチレン−プロピレン共重合体などを挙げることができる。特に、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体が好ましい。
ゴム変性ポリスチレンの流動性は、ISO1133に従って測定したメルトフローレイトが1〜10g/10minの範囲にあることが好ましい。ゴム変性ポリスチレンの流動性が上記範囲を下回ると、本発明の樹脂組成物の成形性、特に射出成形での金型充填性が低下して好ましくない。一方、ゴム変性ポリスチレンの流動性が上記範囲を上回ると、本発明の樹脂組成物の成形性、特に押出成形、真空成形、ブロー成形での厚み均一性が低下したり、耐衝撃性が低下して好ましくない。
スチレンと他のビニル系単量体を共重合したスチレン系樹脂としては、スチレンと(メタ)アクリル酸の共重合体、スチレンと無水マレイン酸の共重合体、等が挙げられる。
ブロック共重合体(B)はリビングラジカル重合により製造される。ここで、リビングラジカル重合とは、重合が終了した状態でも成長末端の活性が失活しないラジカル重合を意味する。リビングラジカル重合により製造されるブロック共重合体は従来のポリメリックペルオキシド等を用いる通常のラジカル重合品に比べて分子構造の精密制御が可能であり、具体的には分子量分布が狭くブロック性の高い重合体を製造することができる。
スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)のリビングラジカル重合には、開始剤を用いる。リビングラジカル重合の開始剤としては下記に示すテルル化合物(1)が好ましい。

式中、Rは、C1〜C8のアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。R及びRは、水素原子又はC1〜C8のアルキル基を示す。Rは、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アシル基、オキシカルボニル基又はシアノ基を示す。
テルル化合物(1)としては、例えば、(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−クロロ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼンが挙げられる。この中でも、原料が比較的容易に入手できることから、(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、が好ましい。
上記(1)に加えて下記に示すテルル化合物(2)を併用して用いると、収率が高く分子量分布がさらに狭いブロックポリマーが得られ、さらに好ましい。

式中、Rは、C1〜C8のアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。
テルル化合物(2)としては、例えば、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジイソプロピルジテルリド、ジフェニルジテルリドが挙げられる。この中でも、原料が比較的容易に入手できることから、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリドが好ましい。
上記(1)、(2)に示す化合物の合成方法、及び(1)、(2)を重合開始剤としたスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体の重合方法については、再公表特許2004−14848及び再公表特許2004−14962等に開示されている。
スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)はスチレン系樹脂(A)とポリ乳酸系樹脂(C)とを相溶化させるために配合されるものである。その結果、樹脂組成物のシャルピー衝撃、デュポン衝撃等に代表される耐衝撃性が大幅に向上する。スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体以外を用いた場合、耐衝撃性の向上幅が小さいか、あるいは混練、成形時にポリ乳酸系樹脂(C)を分解させてしまうことがあり、好ましくない。
本発明で用いられるスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)は、a−b型ブロック共重合体であることが好ましく、aセグメントがスチレン系単量体から形成されることが好ましく、bセグメントが炭素数1〜4のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体から形成されることが好ましい。
スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tertブチルスチレンが挙げられる。この中でも、原料が容易に入手できることから、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
炭素数1〜4のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸イソプロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステルが挙げられ、中で最も入手しやすい単量体は(メタ)アクリル酸メチルエステルである。
aセグメントであるスチレン系単量体とbセグメントである(メタ)アクリル酸エステル系単量体との割合が重量比で([スチレン系単量体の重量]/[(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重量]を意味する)15/85〜85/15であり、好ましくは20/80〜80/20である。スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重量比が15/85〜85/15の範囲外では、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)を配合することによるシャルピー衝撃強さやデュポン衝撃強さ等の耐衝撃性の向上幅が小さい、あるいはむしろ低下する場合もあるので好ましくない。
ブロック共重合体(B)(ブロックポリマー)の数平均分子量は30000〜80000であり、好ましくは35000〜75000である。数平均分子量が30000〜80000の範囲外では、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)を配合することによるシャルピー衝撃強さやデュポン衝撃強さ等の耐衝撃性の向上が認められない、あるいはむしろ低下する場合もあるので好ましくない。なお、ブロック共重合体(B)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定可能である。
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂(C)としては、とうもろこしやイモ類等から得た澱粉を糖化して、更に乳酸菌により乳酸を得、次に、乳酸を環化反応させてラクチドとし、これを開環重合すると言う方法で得られたポリ乳酸を用いることが出来る。また、石油からラクチドを合成しこれを開環重合して得たポリ乳酸でも、あるいは石油から乳酸を得、これを直接脱水縮合して得たポリ乳酸を用いてもよい。
また、ポリ乳酸系樹脂(C)を構成するL−乳酸及びD−乳酸の比率に関しては、特に限定されることなく用いることが出来る。しかし、ポリ乳酸系樹脂を結晶化させる事により耐熱性を高める必要がある場合には、L−乳酸とD−乳酸の比率(L−乳酸の重量:D−乳酸の重量)が、100:0〜90:10、好ましくはL−乳酸とD−乳酸の比率が100:0〜95:5であるポリ乳酸系樹脂を用いる。
更に、ポリ乳酸系樹脂(C)には、主たる構成モノマーであるD−乳酸及びL−乳酸以外に他の成分が共重合されていても良い。他の共重合成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸等を挙げることができる。このような共重合成分は、全単量体成分中、通常0〜30モル%の含有量とするのが好ましく、さらに0〜10モル%であることがより好ましい。
ポリ乳酸系樹脂(C)の分子量や分子量分布は、実質的に成形加工が可能であれば特に限定されないが、重量平均分子量としては好ましくは10,000以上、400,000以下、より好ましくは40,000以上、300,000以下である。なお、ポリ乳酸系樹脂(C)の数平均分子量は、GPCにより測定可能である。
本発明の樹脂組成物の各成分の配合量は、スチレン系樹脂(A)、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)及びポリ乳酸系樹脂(C)の合計を100重量%として、スチレン系樹脂(A)93〜5重量%、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)2〜30重量%及びポリ乳酸系樹脂(C)5〜93重量%である。好ましくは、スチレン系樹脂(A)85〜10重量%、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)3〜25重量%及びポリ乳酸系樹脂(C)10〜85重量%である。
スチレン系樹脂(A)が93重量%を超えると、ポリ乳酸系樹脂(C)の配合量が少ないため、流動性向上等の効果が発現されず好ましくない。一方スチレン系樹脂(A)が5重量%未満あるいはポリ乳酸系樹脂(C)が93重量%を超える場合、スチレン系樹脂の耐熱性や耐衝撃性の特性が全く発揮されず好ましくない。ポリ乳酸系樹脂(C)が5重量%未満であると、流動性向上の効果も発現されず、またスチレン系樹脂の削減の効果もほとんどなく、好ましくない。
(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)が2重量%未満では樹脂組成物の耐衝撃性の向上はほとんどなく好ましくない。一方、(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)が30重量%を超えても更なる耐衝撃性の向上はなく、スチレン系樹脂(A)がゴム変性ポリスチレンの場合には、耐衝撃性が低下し、好ましくない。
スチレン系樹脂(A)、(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)及びポリ乳酸系樹脂(C)を配合、溶融、混練、造粒する方法は特に限定されず、樹脂組成物の製造で常用されている方法を用いることができる。例えば、ドラムタンブラー、ヘンシェルミキサー等で配合した上記成分をバンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー等を用いて溶融、混練し、ロータリーカッター、ファンカッター等で造粒することによって樹脂組成物を得ることができる。溶融、混練における樹脂温度は180〜240℃が好ましい。目標とする樹脂温度にするためには、押出機等のシリンダ温度は樹脂温度よりも10〜20℃低い温度に設定すべきである。樹脂温度が180℃未満ではスチレン系樹脂(A)及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)の流動性が低く、ポリ乳酸系樹脂(C)との混合が不十分となり好ましくない。一方、樹脂温度が240℃を超えると、ポリ乳酸系樹脂(C)の熱分解が起こり好ましくない。
本発明の樹脂組成物に、さらなる耐衝撃性の向上等を目的として、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなるブロック共重合体あるいは共役ジエンとビニル芳香族炭化水素からなる水添ブロック共重合体を添加してもよい。
また、本発明の樹脂組成物には、本来の性質を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂を添加してもよい。他の熱可塑性樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、等が挙げられる。
さらに、本発明の樹脂組成物には、酸化防止剤、滑剤、難燃剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤といった添加剤を添加することができる。
本発明の樹脂組成物は射出成形、シート押出成形、真空成形、異型押出成形、ブロー成形といった方法で成形されて樹脂製品となる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<スチレン系樹脂(A)−1>
(A)−1;PSジャパン株式会社製 ゴム変性ポリスチレン「H8117」
基礎物性を(表−1)に示した。
<スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)−1>
テルル化合物を重合開始剤としてリビングラジカル重合にて製造したブロック共重合体である。製造方法はたとえば、再公表特許2004−14962に開示されている。
製造方法
所定量のメタクリル酸メチルを(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼンとジメチルジテルリドを重合開始剤として反応させた後、所定量のスチレンを加えてさらに重合反応を行なうことによりメタクリル酸メチルとスチレンのブロック共重合体が得られる。ブロック共重合体中のスチレンとメタクリル酸メチルの各単量体の比率(組成比)は、添加するメタクリル酸メチル及びスチレンの重量比によって調節できる。また、ブロック共重合体の数平均分子量は重合開始剤の量によって制御可能である。
同定方法
ブロックポリマー中のスチレンとメタクリル酸メチルの各単量体の比率は、H−NMRにて確認した。
ブロックポリマーの数平均分子量はGPCを用いて求めた。
なお、GPCは東ソー株式会社製の型式「HLC−8220」を使用した。溶媒にTHFを、カラムは「TSKgel Hタイプ」をそれぞれ用いて、ポリスチレン換算にてブロックポリマーの数平均分子量を求めた。
上記方法により、組成比:スチレン/メタクリル酸メチル=9/1、7/3、5/5、
3/7、1/9について、ブロックポリマーを製造した。この中で、スチレン/メタクリル酸メチル=5/5、3/7については、異なる数平均分子量のブロックポリマーも製造した。
<スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)−2>
(B)−2;日油株式会社製 「モディパー MS10B」
ポリメリックペルオキシドを用いてラジカル重合にて製造したスチレンとメタクリル酸メチルとのブロック共重合体である。組成比:スチレン/メタクリル酸メチル=9/1である。
<スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体(B)−3>
(B)−3;アルケマ株式会社製 「NANOSTRENGTH A−123」
アニオン重合にて製造したスチレン、1,4−ブタジエン及びメタクリル酸メチルとのブロック共重合体である。組成比:スチレン/1,4−ブタジエン/メタクリル酸メチル=6/1/3である。
<ポリ乳酸系樹脂(C)>
(C)−1;NatureWorks LLC製「4032D」
ISO1133(200℃、5kgf)に従って測定したメルトフローレイトは14.2g/10minであった。L−乳酸の重量:D−乳酸の重量は98.6:1.4(D−乳酸の含有量は1.4重量%)であった。
<樹脂組成物の製造>
スチレン系樹脂(A)、スチレン系単量体(PS)と(メタ)アクリル酸エステル系単量体(PMMA)からなるブロック共重合体(B)及びポリ乳酸系樹脂(C)を(表−2)、(表−3)の上段に示す通り計量した。
計量した原料をドラムタンブラーで配合し、二軸押出機(ナカタニ機械(株)製 型式AS30)でシリンダ設定温度200℃、スクリュー回転数80rpmにて溶融混練し溶融
ストランドとして抜き出した。溶融ストランドを水冷しロータリーカッターでストランド
をカッティングしてペレット状の樹脂組成物を得た。
メルトフローレイト及び機械物性の測定
上記で製造した樹脂組成物のメルトフローレイトをISO1133にしたがって200℃、荷重5kgfで測定した。又、上記で製造した樹脂組成物をISOタイプA試験片に射出成形し、ISO527−1に従って引張強さ、引張破壊歪みを、ISO178に従って曲げ強さ、曲げ弾性率を、ISO179に従ってノッチ付きシャルピー衝撃強さ、ISO306に従ってビカット軟化温度、ISO75−2に従って荷重撓み温度を測定した。
デュポン衝撃試験
JIS K 5400に従い、デュポン衝撃試験を行った。デュポン衝撃試験機を用いて、撃芯の先端直径が3mmのダート(重錘200g)とへこみ(へこみ深さ6mm)を有する受け台の間に厚さ2mmの射出成形板を接触固定し、ダートの上に0.3kg、0.5kg及び1.0kgから選ばれる錘を適当な高さ(最大50cm)から落下させ、成形板の50%に亀裂が発生するエネルギー(錘の重量×落下の高さ)を求めた。単位はkg・cmである。
以上の測定結果を(表−2)、(表−3)の下段に示した。
(表―2)の説明・・・ポリ乳酸30%の系
実施例1〜7では、スチレン/メタクリル酸メチルの組成比が15/85〜85/15であり、かつ数平均分子量が30000〜80000であるブロック共重合体(B)−1を5〜20重量部配合した結果、シャルピー衝撃強さ及びデュポン衝撃強さのいずれも無添加品(比較例1)に比べて大幅に向上した。これに対して、上記範囲外のブロック共重合体(B)−1を添加した場合(比較例2〜7)、シャルピー衝撃強さ及びデュポン衝撃強さの向上幅は無添加品(比較例1)に比べて僅かであった。特にデュポン衝撃強さについては、無添加品よりも低下する場合が認められた。
比較例8,9では、市販されているラジカル重合品(ポリメリックペルオキシド重合開始剤)であるブロック共重合体(B)−2を添加した。無添加品(比較例1)と比べて、シャルピー衝撃強さは向上したが、デュポン衝撃強さは低下し、耐衝撃性の改良は不十分であった。また、同一組成のブロック共重合体(B)−1を添加した場合と比べても、
耐衝撃性が低いことがわかった(比較例2対比較例8)。
比較例10では、市販されているアニオン重合品であるブロック共重合体(B)−3を添加した。二軸押出機での混練中に、ポリ乳酸が分解したため樹脂組成物のメルトフローレイトが大幅に上昇し、無添加品(比較例1)に比べても耐衝撃性は大幅に低下した。
(表―3)の説明・・・ポリ乳酸60%の系
ポリ乳酸が60%でポリ乳酸が主成分となる樹脂組成物においても、ポリ乳酸30%の系と同様な傾向が認められた。
スチレン/メタクリル酸メチルの組成比が15/85〜85/15であり、かつ数平均分子量が30000〜80000であるブロック共重合体(B)−1を5〜20重量部配合した場合(実施例8〜12)、シャルピー衝撃強さ及びデュポン衝撃強さのいずれも無添加品(比較例11)に比べて大幅に向上した。これに対して、上記範囲外のブロック共重合体(B)−1を添加した場合(比較例12〜17)、シャルピー衝撃強さ及びデュポン衝撃強さの向上幅は無添加品(比較例11)に比べて僅かであった。
市販されているラジカル重合品であるブロック共重合体(B)−2を添加した場合(比較例18、19)、無添加品(比較例11)と比べて、デュポン衝撃強さは向上したが、シャルピー衝撃強さはほとんど変わらず、耐衝撃性の改良は不十分であった。また、同一組成のブロック共重合体(B)−1を添加した場合と比べても、耐衝撃性が低かった(比較例12対比較例19)。
以上の結果より、耐衝撃性の向上を目的として、スチレン系樹脂とポリ乳酸からなる樹脂組成物にスチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなるブロック共重合体を配合する場合、テルル化合物を重合開始剤としてリビングラジカル重合により製造されたブロック共重合体が他の市販されているブロック共重合体(ラジカル重合品、アニオン重合品)よりも優れていることがわかる。また、リビングラジカル重合によるブロック共重合体の中でも、上記樹脂組成物の耐衝撃性を大幅に向上させる組成比及び数平均分子量の範囲がある。
本発明の樹脂組成物は、植物由来の材料であるポリ乳酸系樹脂を配合することにより、石油由来のスチレン系樹脂の使用量を減らすことができ、かつスチレン系樹脂の本来の性質を損なうことがなく、さらに流動性が向上した樹脂組成物を与える。本発明の樹脂組成物はスチレン系樹脂の用途である発泡体、シート、筐体等数多くの産業分野の成形体に好ましく用いられる。

Claims (5)

  1. スチレン系樹脂(A)93〜5重量%、
    スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル系単量体からリビングラジカル重合により製造されるブロック共重合体(B)2〜30重量%、及び
    ポリ乳酸系樹脂(C)5〜93重量%からなる樹脂組成物であって、
    ブロック共重合体(B)は、[スチレン系単量体の重量]/[(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重量]が15/85〜85/15、数平均分子量が30000〜80000の共重合体である、樹脂組成物。
  2. ブロック共重合体(B)は、スチレン系単量体から形成されるaセグメントと(メタ)アクリル酸エステル系単量体から形成されるbセグメントを有する、a−b型ブロック共重合体である、請求項1記載の樹脂組成物。
  3. bセグメントを形成する(メタ)アクリル酸エステル系単量体は、炭素数1〜4のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系単量体である、請求項2記載の樹脂組成物。
  4. ブロック共重合体(B)がテルル化合物を重合開始剤としてリビングラジカル重合により製造される共重合体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
JP2008103963A 2008-04-11 2008-04-11 スチレン系樹脂及びポリ乳酸系樹脂を含有する樹脂組成物 Active JP5191264B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008103963A JP5191264B2 (ja) 2008-04-11 2008-04-11 スチレン系樹脂及びポリ乳酸系樹脂を含有する樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008103963A JP5191264B2 (ja) 2008-04-11 2008-04-11 スチレン系樹脂及びポリ乳酸系樹脂を含有する樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009256403A JP2009256403A (ja) 2009-11-05
JP5191264B2 true JP5191264B2 (ja) 2013-05-08

Family

ID=41384254

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008103963A Active JP5191264B2 (ja) 2008-04-11 2008-04-11 スチレン系樹脂及びポリ乳酸系樹脂を含有する樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5191264B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012131905A (ja) * 2010-12-22 2012-07-12 Unitika Ltd 熱可塑性樹脂組成物、および該熱可塑性樹脂組成物からなる成形体
CN107001677B (zh) * 2014-11-18 2020-01-17 Dic株式会社 苯乙烯系发泡片及使用其的成形体
MY185263A (en) * 2014-12-18 2021-04-30 Dainippon Ink & Chemicals Styrene foam sheet and molded article using same
MY188750A (en) * 2015-04-23 2021-12-28 Dainippon Ink & Chemicals Styrene-based foamed sheet and molded product using the same
JP7333218B2 (ja) 2019-07-04 2023-08-24 Psジャパン株式会社 樹脂組成物および成形体
JP7390854B2 (ja) * 2019-10-23 2023-12-04 Psジャパン株式会社 樹脂組成物、および、成形体

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI313689B (en) * 2002-08-08 2009-08-21 Otsuka Chemical Co Ltd Manufacture method of living radical polymers and the polymers
JP2005239957A (ja) * 2004-02-27 2005-09-08 Hitachi Ltd ポリ乳酸樹脂組成物
JP5140988B2 (ja) * 2005-12-22 2013-02-13 東レ株式会社 樹脂組成物およびそれからなる成形品
JP5046610B2 (ja) * 2006-10-19 2012-10-10 Psジャパン株式会社 スチレン系樹脂とポリ乳酸からなる樹脂組成物
US7977397B2 (en) * 2006-12-14 2011-07-12 Pactiv Corporation Polymer blends of biodegradable or bio-based and synthetic polymers and foams thereof
JP5366167B2 (ja) * 2007-06-15 2013-12-11 Psジャパン株式会社 スチレン系樹脂とポリ乳酸からなる樹脂組成物
JP2009270105A (ja) * 2008-04-11 2009-11-19 Otsuka Chem Co Ltd ポリマーアロイ用相溶化剤およびポリマーアロイ調製用マスターバッチ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009256403A (ja) 2009-11-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5191264B2 (ja) スチレン系樹脂及びポリ乳酸系樹脂を含有する樹脂組成物
US9862817B2 (en) Process to make a composition comprising a monovinylaromatic polymer and a polymer made from renewable resources
WO2014123373A1 (ko) 내충격성 또는 내열성이 우수한 고분자 수지 조성물
JP2008050426A (ja) スチレン系樹脂とポリ乳酸からなる樹脂組成物
JP5366167B2 (ja) スチレン系樹脂とポリ乳酸からなる樹脂組成物
KR960001621B1 (ko) 수지 조성물
JP5046610B2 (ja) スチレン系樹脂とポリ乳酸からなる樹脂組成物
JP5274441B2 (ja) 樹脂組成物及びその成形体
WO2011043187A1 (ja) 眼鏡成形体、その製造方法、及び眼鏡
JP2014051620A (ja) 熱可塑性樹脂組成物、その製造方法、及び成形品
KR102042692B1 (ko) 내약품성이 우수한 고내열 고분자 수지 조성물
CN107108938B (zh) 苯乙烯系发泡片及使用其的成型体
JP2004189805A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP2010222462A (ja) 耐薬品性に優れるスチレン系樹脂組成物及びこれを用いて形成された成形体
JP4942426B2 (ja) スチレン系樹脂とポリ乳酸からなる樹脂組成物
JP2010235715A (ja) 耐薬品性に優れるスチレン系樹脂組成物
JP5718756B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物及び成形品
JP2010222456A (ja) 耐薬品性に優れるスチレン系樹脂組成物及びこれを用いて形成された成形体
JP2021167404A (ja) スチレン系樹脂、ポリ乳酸樹脂、及び、特定のスチレン系共重合体を含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物、及び、その成形品
JP6235301B2 (ja) 樹脂組成物およびそれからなる成形体
JP2015086252A (ja) 樹脂組成物およびそれからなる成形体
JP4925391B2 (ja) 耐熱性スチレン系樹脂組成物
JP2010222448A (ja) 耐薬品性に優れるスチレン系樹脂組成物及びこれを用いて形成された成形体
KR101098126B1 (ko) 충격강도 및 내열성이 우수한 친환경 수지 조성물
JP2008101126A (ja) スチレン系樹脂とポリ乳酸からなる樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110411

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121212

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130129

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5191264

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160208

Year of fee payment: 3