JP2021042357A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐衝撃性、伸び、及び柔軟性に優れた樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリフェニレンスルフィド樹脂と、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する変性共役ジエン系重合体と、を、含有し、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂の連続相(A)と、前記連続相(A)中に分散された分散相であって、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂及び前記変性共役ジエン系重合体を含む分散相(B)と、を有する、樹脂組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリフェニレンスルフィド樹脂と、変性共役ジエン系重合体とを含有する樹脂組成物に関する。
共役ジエン系(共)重合体は、1,2−結合の割合、共重合した際のブロック割合、ブロックの配置、水素化の程度等を調整することによって種々の性質を示すが、さらなる性能を付与することを目的として、他素材との間に分子間力を生じ得る親和性基又は化学結合を形成し得る反応性基を有する共役ジエン系(共)重合体(以下、変性共役ジエン系重合体と記載する)が提案されている。
例えば、特許文献1には、ブロック共重合体末端にアミノ基含有化合物を反応させて製造したアミノ基変性共役ジエン系重合体が提案されている。
変性共役ジエン系重合体は、変性基による反応や水素結合等の分子間力により、極性樹脂との相容性に優れているため、極性樹脂の改質に広く使用されている。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、「PPS」と記載する場合がある。)は、極性樹脂の一つであり、例えば、特許文献2には、変性ブロック共重合体によるポリフェニレンスルフィド樹脂の改質に関する技術が提案されている。
特開2004−59817号公報 特開2014−210848号公報
近年、電気自動車の普及に伴い、車載部材の軽量化や電装化が進む中で、耐熱性、耐薬品性、難燃性、機械強度、寸法安定性、電気絶縁性、誘電特性に優れているPPSは、車載部材や電気・電子機器部材用の材料としての利用を中心に需要が高まっている。
一方で、自動車の安全性の観点から、硬くて脆いPPSは、耐衝撃性、伸び、柔軟性といった靭性を向上させる必要があることが課題となっている。
PPSの靭性改良に関しては、PPSよりも靭性に優れた変性ブロック共重合体を配合した組成物を得る技術が提案されているが(例えば、特許文献2参照)、当該組成物では、未だ十分な靭性が得られていない、という問題点を有している。
そこで、本発明においては、上記従来技術の問題点に鑑みて、耐衝撃性、伸び、及び柔軟性に優れる、PPSを含有する樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ポリフェニレンスルフィド樹脂と、当該ポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する変性共役ジエン系重合体とを含有し、所定の相構造を有する樹脂組成物により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
ポリフェニレンスルフィド樹脂と、
前記ポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する変性共役ジエン系重合体と、
を、含有し、
前記ポリフェニレンスルフィド樹脂の連続相(A)と、前記連続相(A)中に分散された分散相であって、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂及び前記変性共役ジエン系重合体を含む分散相(B)と、を有する、樹脂組成物。
〔2〕
前記分散相(B)は、
前記変性共役ジエン系重合体を含む連続相(B1)と、
前記連続相(B1)に分散したポリフェニレンスルフィド樹脂を含む微分散相(B2)と、を有する、前記〔1〕に記載の樹脂組成物。
〔3〕
前記ポリフェニレンスルフィド樹脂を含む微分散相(B2)の、前記分散相(B)における面積比率が、30%以上である、前記〔2〕に記載の樹脂組成物。
〔4〕
前記樹脂組成物が、非多孔質部材用の樹脂組成物である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の樹脂組成物。
〔5〕
前記ポリフェニレンスルフィド樹脂と、前記変性共役ジエン系重合体との合計量を100質量部としたとき、
前記ポリフェニレンスルフィド樹脂が10質量部以上95質量部以下であり、
前記変性共役ジエン系重合体が5質量部以上90質量部以下である、
前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の樹脂組成物。
〔6〕
前記変性共役ジエン系重合体が、下記(a)〜(c)の重合体ブッロクからなる群より選ばれる2種以上の重合体ブロックを有する、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の樹脂組成物。
(a)ビニル芳香族単量体単位が80質量%以上であるビニル芳香族重合体ブロック
(b)共役ジエン単量体単位が80質量%以上である共役ジエン重合体ブロック
(c)共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロック
〔7〕
前記変性共役ジエン系重合体における、ビニル芳香族単量体単位の含有量が、5質量%以上90質量%以下である、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の樹脂組成物。
〔8〕
前記変性共役ジエン系重合体における、前記(a)ビニル芳香族単量体単位が80質量%以上であるビニル芳香族重合体ブロックの含有量が、10質量%以上90質量%である、前記〔6〕又は〔7〕に記載の樹脂組成物。
〔9〕
前記変性共役ジエン系重合体の、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対するビニル結合量が5〜80mol%である、前記〔1〕乃至〔8〕のいずれか一に記載の樹脂組成物。
〔10〕
前記(b)共役ジエン重合体ブロックの共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対するビニル結合量が5〜80mol%である、前記〔6〕乃至〔9〕のいずれか一に記載の樹脂組成物。
〔11〕
前記変性共役ジエン系重合体の、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対する水素添加率が20〜100mol%である、前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載の樹脂組成物。
〔12〕
前記変性共役ジエン系重合体における、ビニル芳香族単量体単位の含有量が、10質量%以上40質量%以下であり、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対する水素添加率が50〜80mol%である、前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載の樹脂組成物。
〔13〕
前記変性共役ジエン系重合体の前記親和性基又は反応性基が、0.3mоl/鎖以上である、前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載の樹脂組成物。
〔14〕
前記親和性基又は反応性基が、
アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、及びカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基である、
前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載の樹脂組成物。
〔15〕
充填剤を、さらに含有する、前記〔1〕乃至〔14〕のいずれか一に記載の樹脂組成物。
本発明によれば、耐衝撃性、伸び、及び柔軟性に優れた樹脂組成物を提供することができる。
実施例1、2、及び比較例2〜6の、樹脂組成物の相構造の概略図を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
〔樹脂組成物〕
本実施形態の樹脂組成物は、ポリフェニレンスルフィド樹脂と、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する変性共役ジエン系重合体とを含有し、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂の連続相(A)と、前記連続相(A)中に分散された分散相であって、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂及び前記変性共役ジエン系重合体を含む分散相(B)と、を有する。
なお、本明細書中、「重合体」とは、単一種類の単量体単位よりなる重合体、及び複数種類の単量体単位を有する共重合体のいずれの場合も含むものとする。
(ポリフェニレンスルフィド樹脂)
本実施形態の樹脂組成物は、ポリフェニレンスルフィド樹脂を含有する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂とは、ポリフェニレンスルフィド樹脂と称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いてもよく、耐熱性の観点から、その構成単位として、p−フェニレンスルフィド単位を70モル%以上含有しているものが好ましく、90モル%以上含有しているものがより好ましい。
また、他の構成単位としては、例えば、o−フェニレンスルフィド単位、m−フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、ジフェニレンスルフィド単位、置換基含有フェニレンスルフィド単位、分岐構造含有フェニレンスルフィド単位、等を含有していてもよい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂は直鎖状であってもよく、架橋又は分岐構造であってもよい。
また、ポリフェニレンスルフィド樹脂は、ポリマー構造中にチオール基やカルボキシル基等の官能基を末端や主鎖に有していてもよい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、一般的に知られている製造方法として、重合溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させる製造方法が挙げられる。
(変性共役ジエン系重合体)
本実施形態の樹脂組成物は、ポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する変性共役ジエン系重合体を含有する。
当該親和性基によりポリフェニレンスルフィド樹脂に対して分子間力を生じ得、反応性基により化学結合を形成し得る。
かかる親和性基又は反応性基を有する変性共役ジエン系重合体を含有することにより、本実施形態の樹脂組成物の靭性や耐衝撃性を向上させることができる。
前記分子間力には、イオン間相互作用、水素結合、双極子相互作用、ファンデルワールス力のいずれも含み、変性共役ジエン系重合体、及びポリフェニレンスルフィド樹脂のポリマー構造によって判断することができる。
変性共役ジエン系重合体を構成する共役ジエン化合物は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。
ジオレフィンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及びファルネセンが挙げられる。これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、好ましくは、1,3−ブタジエン及びイソプレンが挙げられる。
変性共役ジエン系重合体は、1種の共役ジエン化合物単位で構成されていてもよいし、2種以上の共役ジエン化合物単位から構成されていてもよい。
変性共役ジエン系重合体を構成する、ポリフェニレンスルフィド樹脂との間に分子間力を生じ得る親和性基又は化学結合を形成し得る反応性基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、カルボキシル基、チオカルボキシル酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、ウレタン基、ウレア基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシシラン基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基等からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基が挙げられる。
前記官能基のうち、ポリフェニレンスルフィドとの反応性の観点から、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ウレタン基、イソシアネート基が好ましい。
さらに、官能基の耐加水分解性の観点から、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基が好ましく、特に、エポキシ基とアミノ基は、ポリフェニレンスルフィド樹脂の末端に存在するチオール基やカルボキシル基との反応性に優れているためポリフェニレンスルフィド樹脂と変性共役ジエン系重合体との相溶性を高め、かつ成分間の界面を強化するため、耐衝撃性、伸び、柔軟性の向上に寄与する。
アミノ基は、1級、2級、3級のいずれでもよいが、反応性の観点で、1級及び2級が好ましい。
また、ポリフェニレンスルフィド樹脂との間に分子間力を生じ得る親和性基又は化学結合を形成し得る反応性基には該当しない官能基は、その他の化合物と反応してポリフェニレンスルフィド樹脂との間に分子間力を生じ得る親和性基又は化学結合を形成し得る反応性基とすることができる。
前記その他の化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カルボジイミド化合物、ジフェニルリン酸アジド等のアミド縮合剤や、アルコキシシラン化合物、アミノ化合物、ヒドロキシ化合物、イソシアナート化合物、エポキシ化合物等が挙げられる。
カルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アミノ化合物としては、例えば、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノへプタン、ジアミノオクタン等が挙げられる。
ヒドロキシ化合物としては、例えば、ジヒドロキシブタン、ジヒドロキシペンタン、ジヒドロキシヘキサン、ジヒドロキシへプタン、ジヒドロキシオクタン等が挙げられる。
イソシアナート化合物としては、例えば、ヘキサンメチレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナート等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
これら化合物は、ポリフェニレンスルフィド樹脂との間に分子間力を生じ得る親和性基又は化学結合を形成し得る反応性基を有する変性共役ジエン共重合体にも用いることができる。
上述した、変性共役ジエン系重合体が有する、ポリフェニレンスルフィド樹脂との間に分子間力を生じ得る親和性基、又は化学結合を形成し得る反応性基の量は、特に限定されないが、ポリフェニレンスルフィド樹脂との相溶性の観点から、好ましくは0.3mоl/鎖以上である。より好ましくは0.5mоl/鎖以上であり、さらに好ましくは、0.6mоl/鎖以上である。
0.3mоl/鎖以上であれば、前記親和性基又は反応性基を有する重合体鎖が、親和性基又は反応性基を有さない重合体鎖とポリフェニレンスルフィド樹脂との相溶化剤として働く。
また、親和性基又は反応性基は、過剰であると本実施形態の樹脂組成物のゲル化等を引き起こすおそれがあるため、30mоl/鎖以下が好ましい。
なお、ここでいう「鎖」とはポリマー一分子のことを指し、ポリマー構造が化学結合により分岐しているものも一分子鎖として数える。
変性共役ジエン系重合体の、前記親和性基又は反応性基の量は、変性共役ジエン系重合体の製造工程中、これらを形成するための化合物との反応条件、例えば化合物添加量、反応温度、反応時間等を調整することにより、上記数値範囲に制御できる。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体は、下記(a)〜(c)の重合体ブロックからなる群より選ばれる2種以上の重合体ブロックを有することが好ましい。
(a)ビニル芳香族単量体単位が80質量%以上であるビニル芳香族重合体ブロック
(b)共役ジエン単量体単位が80質量%以上である共役ジエン重合体ブロック
(c)共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロック
前記(a)ビニル芳香族単量体単位が80質量%以上であるビニル芳香族重合体ブロックに含まれるビニル芳香族化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。
これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが挙げられ、より好ましくはスチレンである。
前記(a)ビニル芳香族重合体ブロックは、1種のビニル芳香族単量体単位で構成されていてもよいし、2種以上のビニル芳香族単量体単位から構成されていてもよい。
本実施形態の樹脂組成物の成形体の強度の観点から、(a)ビニル芳香族重合体ブロックに含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量は、80質量%以上であるものとし、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。
前記(b)共役ジエン単量体単位量が80質量%以上である共役ジエン重合体ブロックに含まれる共役ジエン化合物としては、以下に限定されるものではないが、1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。ジオレフィンとしては、以下に限定されるものではなく、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及びファルネセンが挙げられる。
これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、好ましくは、1,3−ブタジエン及びイソプレンが挙げられる。(b)共役ジエン単量体単位が80質量%以上である共役ジエン重合体ブロックは、1種の共役ジエン単量体単位で構成されていてもよいし、2種以上の共役ジエン単量体単位から構成されていてもよい。
本実施形態の樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、(b)共役ジエン重合体ブロックに含まれる共役ジエン単量体単位の含有量は、80質量%以上であるものとし、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。
前記(c)共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックに含まれるビニル芳香族化合物及び共役ジエン化合物は、前記(a)ビニル芳香族重合体ブロック、及び(b)共役ジエン重合体ブロックに用いることができる化合物であればよい。
(c)ランダム共重合体ブロックにおけるビニル芳香族単量体単位の分布状態に関しては特に限定は無く、(c)ランダム共重合体ブロック中のビニル芳香族単量体単位は均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。また、ビニル芳香族単量体単位が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよく、ビニル芳香族単量体含有量が異なるセグメントが複数個存在していてもよい。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体においては、前記共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物の他、共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体と共重合可能な他の単量体を用いることもできる。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体の構造に関しては特に限定されるものではないが、例えば、下記式で表されるような構造を有するものが挙げられる。
なお、下記式において、変性基の記載は省略した。
b、c、(b)m−X、(c)m−X、
(b−c)n、c−(b−c)n、b−(c−b)n、(b−c)m−X、(c−b)m−X、[(b−c)nm−X、[(c−b)nm−X、[c−(b−c)nm−X、[b−(c−b)nm−X、[(b−c)n−b]m−X、[(c−b)n−c]m−X、
(a−b)n、b−(a−b)n、a−(b−a)n、(a−b)m−X、(b−a)m−X、[(a−b)nm−X、[(b−a)nm−X、[b−(a−b)nm−X、[a−(b−a)nm−X、[(a−b)n−a]m−X、[(b−a)n−b]m−X、
(a−c)n、c−(a−c)n、a−(c−a)n、(a−c)m−X、(c−a)m−X、[(a−c)nm−X、[(c−a)nm−X、[c−(a−c)nm−X、[a−(c−a)nm−X、[(a−c)n−a]m−X、[(c−a)n−c]m−X、
c−(b−a)n、c−(a−b)n
c−(a−b−a)n、c−(b−a−b)n
a−c−(b−a)n、a−c−(a−b)n
a−c−(b−a)n−b、[(a−b−c)nm−X、
[a−(b−c)nm−X、[(a−b)n−c]m−X、
[(a−b−a)n−c]m−X、
[(b−a−b)n−c]m−X、[(c−b−a)nm−X、
[c−(b−a)n]m−X、[c−(a−b−a)nm−X、[c−(b−a−b)nm−X
a−(b−c)n、a−(c−b)n
a−(c−b−c)n、a−(b−c−b)n
c−a−(b−c)n、c−a−(c−b)n
c−a−(b−c)n−b、[(c−b−a)nm−X、
[c−(b−a)nm−X、[(c−b)n−a]m−X、
[(c−b−c)n−a]m−X、
[(b−c−b)n−a]m−X、[(a−b−c)nm−X、
[a−(b−c)nm−X、[a−(c−b−c)nm−X、[a−(b−c−b)nm−X
b−(a−c)n、b−(c−a)n
b−(c−a−c)n、b−(a−c−a)n
c−b−(a−c)n、c−b−(c−a)n
c−b−(a−c)n−a、[(c−a−b)nm−X、
[c−(a−b)nm−X、[(c−a)n−b]m−X、
[(c−a−c)n−b]m−X、
[(b−c−b)n−b]m−X、[(b−a−c)nm−X、
[b−(a−c)nm−X、[b−(c−a−c)nm−X、[b−(a−c−a)nm−X
なお、上記各一般式において、aは、前記(a)ビニル芳香族単量体単位が80質量%以上であるビニル芳香族重合体ブロック、bは、前記(b)共役ジエン単量体単位が80質量%以上である共役ジエン重合体ブロック、cは、前記(c)共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックを示す。
nは1以上の整数であり、好ましくは1〜5の整数である。
mは2以上の整数であり、好ましくは2〜11の整数である。
Xはカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を示す。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体は、基本的な構造が、特に、b、a−b、a−b−a、a−b−a−bの構造式で表される重合体であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)(以下、「Mw」ともいう。)は、本実施形態の樹脂組成物の、機械強度、耐衝撃性、耐摩耗性、相容性、成形性の観点から、0.5万〜60万であることが好ましく、3万〜40万であることがより好ましく、5万〜30万であることがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定で得られるクロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)に基づいて求めた重量平均分子量(Mw)である。
変性前の共役ジエン系重合体の分子量分布も、同様にGPCによる測定から求めることができ、分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率である。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体のGPCで測定される単一ピークの分子量分布は、5.0以下であることが好ましく、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.0以下であり、さらにより好ましくは2.5以下である。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体においては、当該重合体中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、0質量%以上が好ましく、ポリフェニレンスルフィド樹脂との相溶性の観点から、より好ましくは5質量%以上90質量%以下である。
ビニル芳香族単量体量について鋭意検討した結果、本実施形態の樹脂組成物よりなる成形体に応力がかかったときに、分散相(B)に応力が集中し、微小クレーズが発生するというメカニズムにおいて、分散相(B)により応力を集中させ、靭性、耐衝撃性、及び柔軟性をより向上させる観点から、ビニル芳香族単量体量は5質量%以上50質量%以下がさらに好ましく、さらにより好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
変性共役ジエン系重合体のビニル芳香族単量体の含有量は、後述する実施例に記載する方法により測定できる。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体においては、前記(a)ビニル芳香族単量体単位が80質量%以上であるビニル芳香族重合体ブロックの含有量は、0質量%以上が好ましく、ポリフェニレンスルフィド樹脂との相溶性の観点から、より好ましくは10質量%以上90質量%以下であり、靭性と耐衝撃性の観点からさらに好ましくは11質量%以上60質量%以下であり、さらにより好ましくは、12質量%以上45質量%以下である。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体においては、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して、ビニル結合量は、好ましくは0mol%以上である。
ビニル結合量について鋭意検討した結果、本実施形態の樹脂組成物よりなる成形体に応力がかかったときに、分散相(B)に応力が集中し、微小クレーズが発生するというメカニズムにおいて、分散相(B)により応力を集中させ、靭性、耐衝撃性、及び柔軟性をより向上させる観点から、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して、ビニル結合量は、5mоl%以上80mоl%以下がより好ましく、さらに好ましくは8mоl%以上65mоl%以下であり、さらにより好ましくは10mol%以上50mol%以下である。
「ビニル結合量」とは、水素化前の重合体に組み込まれている共役ジエン化合物に起因する1,4−結合(シス及びトランス)と1,2−結合(但し、3,4−結合で重合体に組み込まれている場合には1,2−結合と3,4−結合の合計量をいう)の合計量に対する、1,2−結合量(mol%)をいう。
変性共役ジエン系重合体のビニル結合量は、核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて測定することができ、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
前記ビニル結合量は、ルイス塩基、例えばエーテル、アミン等の化合物をビニル結合量調整剤(以下、ビニル化剤と表記)として使用することにより、上記数値範囲に制御することができる。
また、本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体が、前記(b)共役ジエン単量体単位が80質量%以上である共役ジエン重合体ブロックを有する場合において、当該(b)共役ジエン重合体ブロックにおける共役ジエン化合物単位の合計100mоl%に対するビニル結合量は、当該ビニル結合量の耐衝撃性、靭性、及び柔軟性への影響の観点から、好ましくは5mоl%以上80mоl%以下であり、より好ましくは8mоl%以上65mоl%以下であり、さらに好ましくは10mol%以上50mol%以下である。
(b)共役ジエン重合体ブロックにおける共役ジエン化合物単位の合計100mоl%に対するビニル結合量は、核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて測定することができる。
前記ビニル結合量は、ルイス塩基、例えばエーテル、アミン等の化合物をビニル結合量調整剤(以下、ビニル化剤と表記)として使用することにより、上記数値範囲に制御することができる。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体において、重合後の共役ジエン化合物の残存二重結合の水素添加率は、熱的に不安定な1,2−結合部(但し、3,4−結合で重合体に組み込まれている場合には1,2−結合部と3,4−結合部をいう)を水素化することで耐熱性が向上することから、好ましくは、20〜100mоl%であり、より好ましくは40〜100mоl%である。
水素添加率について、鋭意検討した結果、本実施形態の樹脂組成物よりなる成形体に応力がかかったときに、分散相(B)に応力が集中し、微小クレーズが発生するというメカニズムにおいて、分散相(B)により応力を集中させ、靭性、耐衝撃性、及び柔軟性をより向上させる観点から、水素添加率は50mol%以上80mol%以下がさらに好ましく、さらにより好ましくは60mоl%以上80mol%以下である。
変性共役ジエン系重合体の水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて測定することができ、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
また、水素添加率は、例えば、水素添加時の水素量を調整することによって上記数値範囲に制御することができる。
(ポリフェニレンスルフィド樹脂と、変性共役ジエン系重合体との比率)
本実施形態の樹脂組成物は、ポリフェニレンスルフィド樹脂と、変性共役ジエン系重合体との合計量を100質量部としたとき、各々任意の比率で配合してよいが、本実施形態の樹脂組成物の耐熱性の観点から、好ましくは、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂が10質量部以上95質量部以下、前記変性共役ジエン系重合体が5質量部以上90質量部以下であり、強度の観点から、より好ましくは、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂が50質量部以上95質量部以下、前記変性共役ジエン系重合体が5質量部以上50質量部以下であり、強度と耐衝撃性、及び伸びのバランスの観点から、さらに好ましくは、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂が70質量部以上90質量部以下、前記変性共役ジエン系重合体が10質量部以上30質量部以下である。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリフェニレンスルフィド樹脂の連続相(A)と、当該連続相(A)中に分散された分散相であって、ポリフェニレンスルフィド樹脂及び変性共役ジエン系重合体を含む分散相(B)と、を有する。
ポリフェニレンスルフィド樹脂が連続相(A)となることで、本実施形態の樹脂組成物の耐熱性や剛性が得られる。
また、分散相(B)が存在することで、樹脂組成物よりなる成形体に応力がかかったときに、分散相(B)に応力が集中し、微小クレーズが発生することで耐衝撃性や伸びの向上に寄与する。
さらに、前記分散相(B)が、ポリフェニレンスルフィド樹脂及び変性共役ジエン系重合体を含むものであることにより、分散相の体積が、変性共役ジエン系重合体のみからなる場合よりも大きくなり、本実施形態の樹脂組成物の耐衝撃性の向上に寄与する。
分散相(B)の大きさは特に限定されないが、耐衝撃性の観点から、分散相(B)の数平均粒子径が50μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下であり、金型からの剥離性や成形品の良外観の観点から20μm以下が好ましい。
樹脂組成物を構成する分散相(B)は、図1に示すように、変性共役ジエン系重合体を含む連続相(B1)と、当該(B1)に分散したポリフェニレンスルフィド樹脂を含む微分散相(B2)と、を有してもよい。
このとき、微分散相(B2)の大きさは特に限定されないが、当該微分散相(B2)が複数個ある場合を想定すると、耐衝撃性の観点から、単一の微分散相(B2)の数平均粒子径は0.2μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.15μm以下であり、微分散相(B2)の最近接粒子間距離の平均値が0.5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3μm以下である。
微分散相(B2)が連続相(B1)内に多数含まれる方がより効率的に外部から加えられたエネルギーを吸収することができる。
この分散形態は、ゴムがポリスチレン樹脂中に分散した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)と同様に、樹脂組成物よりなる成形体に応力がかかったときに、より効率的に分散相(B)に応力が集中し、微小クレーズが発生することで耐衝撃性、伸び、及び柔軟性の向上に寄与する。
さらに、耐衝撃性、伸び、及び柔軟性の観点から、微分散相(B2)が分散相(B)に占める割合は高い方が好ましく、後述する実施例に記載の方法で測定した分散相(B)中の微分散相(B2)の面積比率が30%以上であることが好ましい。
微小クレーズは連続相(A)に延びる一方で分散相(B)内部にも侵入することから、微分散相(B2)を分散相(B)内に多く含むことにより、より効率的に外部から加えられたエネルギーを吸収することができる。
(添加剤)
本実施形態の樹脂組成物は、成形品の強度(剛性)を高める観点から、各種の添加剤、例えば、充填剤をさらに含むことが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、充填剤としては、繊維状充填剤が好ましい。
繊維状充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、セルロースナノファイバー、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、セピオライト、ゾノトライト、酸化亜鉛ウィスカー等の繊維状の無機充填剤が挙げられる。
これらの中でも、成形品の強度(剛性)や耐熱性を高めやすいことから、ガラス繊維、炭素繊維、セルロースナノファイバー及びワラストナイトが好ましい。
繊維状充填剤は、ポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する化合物で表面処理されていてもよい。
繊維状充填剤は、1種のみ含まれてもよいし、2種以上が含まれてもよい。
また、その他の添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、オイル、フィラー、熱安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、酸化防止剤、耐候剤、光安定剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、気泡防止剤、ウェルド強度改良剤、天然油、合成油、ワックス等の添加剤が挙げられる。また、他のエラストマーや熱可塑性樹脂も任意の割合で添加剤として使用してもよい。
これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、ポリフェニレンスルフィド樹脂と変性共役ジエン系重合体の親和性又は反応性を向上させる助剤を、本実施形態の樹脂組成物に添加してもよい。特に、エポキシ基、アミノ基、及びイソシアネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するアルコキシシラン化合物が好ましい。
(変性共役ジエン系重合体の製造方法)
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体は、以下に限定されないが、例えば、有機溶媒中で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として、共役ジエン化合物を単独で、あるいは共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物を用いて重合を行い、単独重合体あるいはブロック共重合体を得た後、変性反応を行うことにより製造することができる。
変性共役ジエン系重合体は、水素化したものであってもよく、水素化反応及び変性反応は、この順序に限らず逆であってもよい。
重合の態様としては、バッチ重合であっても連続重合であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。
耐衝撃性や靭性に影響を及ぼす樹脂組成物中の分散相のサイズを一定にするという観点からは、分子量分布が狭くなるバッチ重合方法が好ましい。
重合温度は、一般に0〜180℃であり、20〜160℃が好ましく、30〜150℃がより好ましい。
重合時間は目的とする重合体によって異なるが、通常は48時間以内であり、0.1〜10時間が好ましい。分子量分布が狭く、高い強度を有する共役ジエン系重合体を得る観点からは、0.5〜5時間がより好ましい。
重合系の雰囲気は、窒素及び溶媒を液相に維持するために十分な圧力の範囲であればよく、特に限定されるものではない。
重合系内に、重合開始剤及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が存在しないことが好ましい。
有機溶媒としては、以下に限定されないが、例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロへプタン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
重合開始剤である有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好ましい。
有機リチウム化合物としては、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物が挙げられる。
有機リチウム化合物としては、以下に限定されないが、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルリチウム、イソプロペニルジリチウム、及びリチウムピペリジド等が挙げられる。
リチウムピペリジドのように、Nを含む有機リチウム化合物を重合開始剤とする場合、NHxにおいて、X=0である原子団を有する変性共役ジエン系重合体が得られる。
これらの重合開始剤は1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、重合活性の観点からn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、リチウムピペリジドが好ましい。
重合開始剤である有機アルカリ金属化合物の使用量は、目的とする変性共役ジエン系重合体の分子量によるが、一般的には0.01〜1.5phm(単量体100質量部当たりに対する質量部)の範囲であることが好ましく、0.02〜0.3phmの範囲であることがより好ましく、0.05〜0.2phmの範囲であることがさらに好ましい。
変性共役ジエン系重合体のビニル結合量は、ルイス塩基、例えばエーテル、アミン等の化合物を、ビニル結合量調整剤(以下、ビニル化剤と表記)として使用することにより制御することができる。
また、目的とするビニル結合量に応じて、ビニル化剤の使用量を調整することができる。
ビニル化剤としては、以下に限定されないが、例えば、エーテル化合物、第3級アミン系化合物等が挙げられる。
エーテル化合物としては、直鎖状エーテル化合物及び環状エーテル化合物等が挙げられる。
直鎖状エーテル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類が挙げられる。
また、環状エーテル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2,5−ジメチルオキソラン、2,2,5,5−テトラメチルオキソラン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、フルフリルアルコールのアルキルエーテル等が挙げられる。
第3級アミン系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N',N",N"−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N'−ジオクチル−p−フェニレンジアミン、ピリジン、テトラメチルプロパンジアミン、ビス[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]エーテル等が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第3級アミン系化合物としては、アミンを2個有する化合物が好ましい。さらに、それらの中でも、分子内で対称性を示す構造を有するものがより好ましく、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミンやビス[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]エーテルや1,2−ジピペリジノエタンがさらに好ましい。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体の製造工程においては、上述したビニル化剤、有機リチウム化合物、及びアルカリ金属アルコキシドの共存下、共役ジエン化合物を単独で、あるいは共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物を用いて重合を行ってもよい。
ここで、アルカリ金属アルコキシドとは、一般式MOR(式中、Mはアルカリ金属、Rはアルキル基である)で表される化合物である。
アルカリ金属アルコキシドを重合工程で併存させることにより、ビニル結合量、分子量分布、重合速度、ブロック率等を制御する効果が得られる。
アルカリ金属アルコキシドのアルカリ金属としては、高いビニル結合量、狭い分子量分布、高い重合速度、及び高いブロック率の観点から、ナトリウム又はカリウムであることが好ましい。
アルカリ金属アルコキシドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭素数2〜12のアルキル基を有するナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、カリウムアルコキシドであり、より好ましくは、炭素数3〜6のアルキル基を有するナトリウムアルコキシドやカリウムアルコキシドであり、さらに好ましくは、ナトリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ペントキシド、カリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ペントキシドが好適なものとして挙げられる。
これらの中でも、ナトリウムアルコキシドであるナトリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ペントキシドがさらにより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体は、水素化されてもよく、共役ジエン化合物を含む重合体ブロックは水添物であってもよい。
当該水素化の方法は特に限定されないが、例えば、上記重合工程で得られた共役ジエン系重合体に対し、水素化触媒の存在下に、水素を供給し、水素添加することにより、共役ジエン化合物単位の二重結合残基が水素添加された、水素化共役ジエン系重合体を得ることができる。
水素添加率は、例えば、水素添加時の触媒量によって制御することができ、水素添加速度は、例えば、水素添加時の触媒量、水素フィード量、圧力及び温度等によって制御することができる。水添反応工程は、水添前のブロック共重合体の生成反応停止後のタイミングで実施することが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体は、ポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する。
当該親和性基又は反応性基の変性共役ジエン系重合体への導入方法は、特に限定されるものでなく、前記親和性基又は反応性基となる所定の各官能基を有する重合開始剤によって導入する方法や、各官能基を有する不飽和単量体を重合させることにより、共役ジエン系重合体を得る方法;リビング末端に官能基を形成もしくは含有する変性剤を付加反応する方法等が挙げられる。
共役ジエン系重合体において、各官能基が導入される位置についても特に限定されず、例えば、共役ジエン系重合体の末端であってもよく、主鎖の一部にブロックまたはランダム及びテーパーに配置されていてもよい。
前記「各官能基を有する重合開始剤」としては、以下に限定されるものではないが、例えば、3−リチオ−1−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]アミノプロパン、2−リチオ−1−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]アミノエタン、3−リチオ−2,2−ジメチル−1−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]アミノプロパン、2,2,5,5−テトラメチル−1−(3−リチオプロピル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、2,2,5,5−テトラメチル−1−(3−リチオ−2,2−ジメチル−プロピル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、2,2,5,5−テトラメチル−1−(2−リチオエチル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、3−リチオ−1−[N−(tert−ブチル−ジメチルシリル)−N−トリメチルシリル]アミノプロパン、3−リチオ−1−(N−メチル−N−トリメチルシリル)アミノプロパン、3−リチオ−1−(N−チル−N−トリメチルシリル)アミノプロパン、及びリチウムピペリジド等が挙げられる。
前記「各官能基を有する不飽和単量体」としては、以下に限定されるものではないが、例えば、p−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]スチレン、p−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]スチレン、p−{2−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン、m−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]スチレン、p−(N−メチル−N−トリメチルシリルアミノ)スチレン、及びp−(N−メチル−N−トリメチルシリルアミノメチル)スチレン等が挙げられる。
前記「官能基を形成もしくは含有する変性剤」としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ε−カプロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
これら変性剤で一次変性した一次変性共役ジエン系重合体と、官能基を有する原子団とを反応させて二次変性共役ジエン系重合体としてもよい。
親和性基又は反応性基の変性共役ジエン系重合体への他の導入方法としては、例えば、共役ジエン系重合体に、有機リチウム化合物等の有機アルカリ金属化合物を反応(メタレーション反応)させ、有機アルカリ金属が付加した重合体に官能基を有する変性剤を付加反応させる方法等が挙げられる。
親和性基又は反応性基の変性共役ジエン系重合体への他の導入方法としては、例えば、未変性の共役ジエン系重合体に、官能基を有する原子団をグラフトする方法等が挙げられる。
共役ジエン系重合体に直接グラフトする製造方法や、一次変性共役ジエン系重合体と官能基を有する原子団を反応させて導入する二次変性でもよい。
官能基を有する原子団としては、以下に限定されるものではないが、例えば、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体を含む分子単位が挙げられ、例えば、マレイン酸、ハロゲン化マレイン酸、イタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ〔2,2,1〕−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等やこれらジカルボン酸の無水物、及びびアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等やこれらモノカルボン酸のエステル、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジルが挙げられ、好ましくは無水物であり、これらの中でも、反応性の観点から、無水マレイン酸がより好ましい。
α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体を含有する分子単位の付加量としては、変性共役ジエン系重合体100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.1〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
極性樹脂組成物の相容性の観点から、0.1質量部以上であることが好ましい。一方、変性ブロック共重合体の流動性の観点から20質量部以下であることが好ましい。
グラフト付加の方法としては、ラジカル開始剤と共役ジエン系重合体、及びα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物を含んだ溶液中でこれらを反応させる製造方法;あるいはラジカル開始剤と共役ジエン系重合体、及びα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物を加熱溶融下で反応させる製造方法;あるいはラジカル開始剤を含まずに共役ジエン系重合体、及びα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物を加熱溶融下で反応させる製造方法;あるいは共役ジエン系重合体とα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物のどちらにも反応し結合形成する化合物と共役ジエン系重合体、及びα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物を、これらを含んだ溶液あるいは加熱溶融下で反応させる製造方法等が挙げられる。
特に好ましくは、ラジカル開始剤と共役ジエン系重合体、及びα,β−不飽和カルボン酸基又はその誘導体基を含有する化合物を加熱溶融下で反応させる製造方法である。
反応させる方法としては、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いて、各成分を溶融混練する方法が挙げられる。好ましくは、コストと生産安定性の観点から単軸あるいは二軸あるいは多軸スクリュー押出機を用いる方法であり、より好ましくは二軸スクリュー押出機を用いる方法である。
反応工程の際には、ドライブレンドして一括投入してもよく、原料ごとに別フィードであってもよく、また、同一原料を段階的に添加していってもよい。
スクリューの回転数は、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物を均一に付加させる観点から、50〜400rpmであることが好ましく、より好ましくは、100〜350rpmであり、せん断による樹脂の劣化と均一付加の観点から、好ましくは、150〜300rpmである。
混練温度は、共役ジエン系重合体が溶融する温度かつラジカル開始剤からラジカルが発生する温度であり、100℃〜350℃である。付加量の制御や熱による樹脂の劣化を抑制するという観点から、好ましくは、120℃〜300℃であり、より好ましくは、150℃〜250℃である。
ラジカル活性種の酸素による失活を抑制するため、窒素などの不活性ガス化で溶融混練してもよい。
用いるラジカル開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート類が挙げられる。好ましくは混練温度域に1分半減期温度を持つものである。より好ましくは1分半減期温度が150℃〜250℃にあるものであり、例えば、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン,t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル―2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ―(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾネート、n−ブチル−4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、p−メタンハイドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキシドが挙げられる。特に、共役ジエン系重合体との相容性の観点から、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンと2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3がより好ましい。
α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物のラジカル開始剤に対するmоl当量は、好ましくは、300mоl当量以下であり、より好ましくは200mоl当量以下であり、よりこのましくは100mоl当量以下である。
これらの条件の範囲内であれば、共役ジエン系重合体100質量部に対し、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物を0質量部より多く10質量部程度まで付加させることができる。
さらに二次変性する場合の反応方法は特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。例えば、一次変性共役ジエン系重合体と官能基を有する原子団とをドライブレンドした後、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いて、各成分を溶融混練する方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が挙げられる。
本実施形態においては、押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の観点から好ましい。
得られる変性共役ジエン系重合体の形状に特に制限はないが、ペレット状、シート状、ストランド状、チップ状等を挙げることができる。また、溶融混練後、直接成形品とすることもできる。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体をペレット化することにより、変性共役ジエン系重合体のペレットを製造することができる。
ペレット化の方法としては、例えば、一軸又は二軸押出機から変性共役ジエン系重合体をストランド状に押出して、ダイ部前面に設置された回転刃により、水中で切断する方法;一軸又は二軸押出機から変性共役ジエン系重合体をストランド状に押出して、水冷又は空冷した後、ストランドカッターにより切断する方法;オープンロール、バンバリーミキサーにより溶融混合した後、ロールによりシート状に成型し、更に該シートを短冊状にカットした後に、ペレタイザーにより立方状ペレットに切断する方法等が挙げられる。
なお、ペレットの大きさ、形状は特に限定されない。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体は、必要に応じてそのペレットに、ペレットブロッキングの防止を目的としてペレットブロッキング防止剤を配合することができる。
ペレットブロッキング防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビスステアリルアミド、タルク、アモルファスシリカ等が挙げられる。
得られるランダムポリプロピレン組成物及びそれを含むチューブ状成形体、シート状成形体の透明性の観点から、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレン、及びポリプロピレンが好ましい。
ペレットブロッキング防止剤の好ましい量としては、変性共役ジエン系重合体に対して500〜6000ppmである。より好ましい量としては、変性共役ジエン系重合体に対して1000〜5000ppmである。ペレットブロッキング防止剤は、ペレット表面に付着した状態で配合されていることが好ましいが、ペレット内部にある程度含むこともできる。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の樹脂組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。
例えば、ポリフェニレンスルフィド樹脂と、上述した変性共役ジエン系重合体とを、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いて、各成分を溶融混練する方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。
本実施形態においては、押出機による溶融混練法が、生産性及び良混練性の観点から好ましい。特に、2軸以上の多軸スクリューで混錬して十分にせん断エネルギーを与えることにより、ポリフェニレンスルフィド樹脂と変性共役ジエン系重合体は、界面を増やし、分散相(B)が形成される。
混練時の樹脂温度は、ポリフェニレンスルフィド樹脂及び変性共役ジエン系重合体が溶融する温度であればよく、270℃〜450℃が好ましい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂及び変性共役ジエン系重合体の熱による劣化を抑制する観点から、より好ましくは、400℃以下である。
特に、分散相(B)中における、微分散相(B2)の比率を高めるには、ポリフェニレンスルフィド樹脂と変性共役ジエン系重合体との間の分子間力又は化学結合形成により二成分の界面を多くする必要があり、かかる観点から、変性共役ジエン系重合体が有する親和性基又は反応性基の熱による劣化を抑制するために350℃以下とすることが好ましい。
すなわち、分散相(B)中に、変性共役ジエン系重合体を含む連続相(B1)と、当該連続相(B1)に分散したポリフェニレンスルフィド樹脂を含む微分散相(B2)とを形成し、かつ微分散相(B2)の前記分散相(B)における面積比率を制御するためには、混練時の樹脂温度を調整することが有効であり、具体的には、混練時の樹脂温度を290〜350℃に調整することが好ましく、これにより、分散相(B)中における微分散相(B2)の面積比率を30%以上に制御することができる。
変性共役ジエン系重合体の酸化を抑制するため、窒素などの不活性ガス化で溶融混練してもよい。
押出機を用いて本実施形態の樹脂組成物を製造する場合、ポリフェニレンスルフィド樹脂と変性共役ジエン系重合体、及びその他の成分をフィードする位置や順序は特に限定されない。
本実施形態の樹脂組成物における、ポリフェニレンスルフィド樹脂と変性共役ジエン系重合体の組成比率は、特に限定されないが、ポリフェニレンスルフィド樹脂を多く含む方が、分散相(B)を形成しやすい。このような、分散性(B)の形成の容易さの観点からは、好ましくは、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂が50質量部以上95質量部以下、前記変性共役ジエン系重合体が5質量部以上50質量部以下である。さらに微分散相(B2)を形成する観点から、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂が70質量部以上90質量部以下、前記変性共役ジエン系重合体が10質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。
すなわち、分散相(B)中に、変性共役ジエン系重合体を含む連続相(B1)と、当該連続相(B1)に分散したポリフェニレンスルフィド樹脂を含む微分散相(B2)とを形成し、かつ微分散相(B2)の前記分散相(B)における面積比率を制御するためには、上記混練時の樹脂温度と併せて、ポリフェニレンスルフィド樹脂と変性共役ジエン系重合体の組成比率を適切に調整することが有効である。
ポリフェニレンスルフィド樹脂と変性共役ジエン系重合体の相溶化には各成分の粘度比も寄与し、分散相(B)を微分散させるという観点では、ポリフェニレンスルフィド樹脂と変性共役ジエン系重合体との溶融粘度の比が1に近い方が好ましい。
また、ポリフェニレンスルフィド樹脂と変性共役ジエン系重合体との間の分子間力又は化学結合形成の観点から、ポリフェニレンスルフィド樹脂は、チオール基やカルボキシル基を含むものが好ましく、変性共役ジエン系重合体は水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ウレタン基、イソシアネート基を有していることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物の製造工程において、その形状に特に制限はないが、ペレット状、シート状、ストランド状、チップ状等のいずれでもよい。また、溶融混練後、所望の形状の成形品とすることもできる。
本実施形態の樹脂組成物は、従来公知の方法、例えば、押出成形、射出成形、二色射出成形、サンドイッチ成形、中空成形、圧縮成形、真空成形、回転成形、パウダースラッシュ成形、発泡成形、積層成形、カレンダー成形、ブロー成形等によって、実用上有用な成形品に加工することができる。
また、必要に応じて、発泡、粉末、延伸、接着、印刷、塗装、メッキ等の加工をしてもよい。
かかる成形方法により、シート、フィルム、各種形状の射出成形品、中空成形品、圧空成型品、真空成形品、押出成形品、発泡成形品、不織布や繊維状の成形品、合成皮革等多種多様の成形品として活用でき、これらの成形品は、自動車内外装材、建築材料、玩具、家電部品、医療器具、工業部品、各種ホース、各種筐体、各種モジュールケース、各種パワーコントロールユニット部品、その他雑貨等に利用することができる。
本実施形態の樹脂組成物の用途は、耐衝撃性と靭性を安定して発現する観点から、非多孔質部材に用いることが好ましい。ここでいう多孔質とは材料を貫通した穴のことを指し、発泡により生じる気泡は多孔質ではない。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態は、以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例における、変性共役ジエン系重合体の構造、及び樹脂組成物の物性の測定、評価方法を以下に示す。
〔変性共役ジエン系重合体の構造、及び樹脂組成物の物性の測定及び評価〕
((1)変性共役ジエン系重合体における各重合体ブロックの含有量)
水素添加前の変性共役ジエン系重合体の、重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマー溶液を、内部標準としてn−プロビルベンゼン0.50mLと、約20mLのトルエンとを密封した100mLのボトルに、約20mL注入して、サンプルを作製した。
アピエゾングリースを担持させたバックドカラムを装着したガスクロマトグラフィー(島津製作所製:GC−14B)でこのサンプルを測定し、事前に得ていたブタジエンモノマーとスチレンモノマーの検量線からポリマー溶液中の残留モノマー量を求め、ブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの重合率が100%であることを確認し、下記式より、各重合体ブロックの含有量を計算した。
なお、ブタジエンの重合率は90℃一定で測定し、スチレンの重合率は90℃(10分ホールド)〜150℃昇温(10℃/分)の条件にて測定を行った。
各ブロックの含有量=〔(各ステップでフィードしたモノマー合計量)/(全モノマー量)〕×100質量%
((2)変性共役ジエン系重合体の水素化前のビニル結合量)
変性共役ジエン系重合体のビニル結合量は、水素化前の変性共役ジエン重合体の重合過程のステップ毎、共役ジエン単量体を含む重合体ブロックの重合途中にサンプリングしたポリマーを用いて、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)法により測定した。
測定機器はECS400(JEOL製)、溶媒は重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mLとし、観測周波数は400MHzとし、化学シフト基準にテトラメチルシランを用い、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°、及び測定温度26℃で測定を行った。
ビニル結合量は、1,4−結合及び1,2−結合に帰属されるシグナルの積分値から各結合様式の1Hあたりの積分値を算出した後、1,4−結合と1,2−結合との比率から算出した。
((3)変性共役ジエン系重合体の共役ジエン化合物単位に基づく不飽和結合の水素添加率)
変性共役ジエン系重合体の水素添加率は、水素化後の変性共役ジエン系重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)により測定した。
測定条件及び測定データの処理方法は、上記(2)と同様とした。
水素添加率は、4.5〜5.5ppmの残存二重結合に由来するシグナル及び水素化された共役ジエンに由来するシグナルの積分値を算出し、その比率を算出した。
((4)変性共役ジエン系重合体の、共役ジエン化合物単位の合計100mol%に対する、ブチレン量及び/又はプロピレン量)
変性共役ジエン系重合体の、共役ジエン化合物単位の合計100mоl%に対する、ブチレン量及び/又はプロピレン量は、水素化後の変性共役ジエン系重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)により測定した。
測定条件及び測定データの処理方法は上記(2)及び(3)と同様とした。
水素添加後の変性共役ジエン系重合体中の、共役ジエン化合物単位の合計量に由来するシグナル、及び、ブチレン量及び/又はプロピレン量に由来する積分値を算出し、その比率を算出した。
ブチレン比率の算出には、スペクトルの0〜2.0ppmにおけるブチレン(水素化された1,2−結合)に帰属されるシグナルの積分値を使用した。
((5)変性共役ジエン系重合体の、ビニル芳香族単量体単位の含有量(以下、「スチレン含有量」とも表記する。))
ビニル芳香族単量体単位の含有量は、変性共役ジエン系重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)法により測定した。
測定機器はECS400(JEOL製)、溶媒に重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mL、観測周波数は400MHz、化学シフト基準にテトラメチルシランを用い、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°、及び測定温度26℃で行った。
スチレン含有量は、スペクトルの6.2〜7.5ppmにおける総スチレン芳香族シグナルの積算値を用いて算出した。
また、水素化前の変性共役ジエン系重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマー毎にビニル芳香族単量体単位の含有量を算出することでもスチレン含有量を確認した。
((6)変性共役ジエン系重合体の、重量平均分子量及び分子量分布)
変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量及び分子量分布を、GPC〔装置:HLC8220(東ソー製)、カラム:TSKgelSUPER−HZM−N(4.6mm×30cm)〕で測定した。
溶媒にはテトラヒドロフランを用いて行った。
重量平均分子量は、クロマトグラムのピークの分子量から、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた。
なお、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から重量平均分子量を求めた。
分子量分布は、得られた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比から算出した。
((7)酸無水物変性共役ジエン系重合体の、酸無水物付加量)
水素化後の酸無水物変性共役ジエン系重合体をトルエンに溶解し、ファクターが1±0.05であるナトリウムメトキシドのメタノール溶液で滴定し、酸無水物付加量を算出した。
((8)アミン末端変性共役ジエン系重合体の変性率)
シリカゲルを充填材としたGPCカラムに、変性した成分が吸着する特性を応用し、変性共役ジエン系重合体と低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液について、上記(6)で測定したクロマトグラム中の標準ポリスチレンに対する変性共役ジエン系重合体の割合と、シリカ系カラムGPC〔装置:LC−10(島津製作所製)、カラム:Zorbax(デュポン社製)〕で測定したクロマトグラム中の標準ポリスチレンに対する変性共役ジエン系重合体の割合を比較し、それらの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し、この割合を変性率とした。
下記式により算出した。
Figure 2021042357
a:ポリスチレン系ゲル(PLgel)で測定した全重合体の面積(%)
b:ポリスチレン系ゲル(PLgel)で測定した低分子量内部標準PSの面積(%)
c:シリカ系カラム(Zorbax)で測定した全重合体の面積(%)
d:シリカ系カラム(Zorbax)で測定した低分子量内部標準PSの面積(%)
((8)引張破断強度(Tb)、引張破断伸び(Eb))
樹脂組成物の引張破断強度(Tb)、引張破断伸び(Eb)を、ISO527に従い、引張試験機〔装置:TG−5kN(ミネベアミツミ製)〕で測定した。
試験片は射出成型機で成形したISO−527−2−1Aダンベルを用い、引張試験速度を50mm/分で測定した。
各組成につき3個以上の試験片について試験を行い、その平均値を物性値とした。
変性共役ジエン系重合体を含有する樹脂組成物の機械物性から、次の基準で引張破断伸び(Eb)を評価した。
<樹脂組成物のEbの評価>
○:樹脂組成物のEbが10%以上
△:樹脂組成物のEbが7%以上10%未満
×:樹脂組成物のEbが7%未満
((9)曲げ弾性率)
樹脂組成物の曲げ弾性率を、ISO178に従い、引張試験機〔装置:TG−5kN(ミネベアミツミ製)〕で測定し、評価した。試験速度を2mm/分で測定した。各組成につき3個以上の試験片について試験を行い、その平均値を物性値とした。
樹脂組成物の機械物性から、次の基準で柔軟性を評価した。
<柔軟性の評価>
○:樹脂組成物の曲げ弾性率が2000MPa未満
△:樹脂組成物の曲げ弾性率が2000MPa以上3000MPa未満
×:樹脂組成物の曲げ弾性率が3000MPa以上
((10)シャルピー衝撃値)
樹脂組成物のシャルピー衝撃値を、ISO179に従い、シャルピー衝撃試験機で23℃、及び−30℃下で測定した。
後述する実施例及び比較例の各組成につき3個以上のノッチ付き試験片について試験を行い、その平均値を物性値とした。
樹脂組成物のシャルピー衝撃値から、次の基準で耐衝撃性を評価した。
<耐衝撃性の評価>
○:樹脂組成物のシャルピー衝撃値が7kJ/m2以上
△:樹脂組成物のシャルピー衝撃値が4kJ/m2以上7kJ/m2未満
×:樹脂組成物のシャルピー衝撃値が4kJ/m2未満
〔樹脂組成物の相構造〕
樹脂組成物における相構造は、クライオミクロトームを用いて無染色にて厚さ約100nmの成形体断面の超薄切片を作製し、更に、四酸化ルテニウムで処理を施した試験片を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した。
特に、分散相(B)及び微分散相(B2)は、この方法において5000倍以上(通常50,000倍以下)に拡大した画像で観察した。
観察結果から、相構造を特定すると、実施例1、2、及び比較例2〜6の相構造は、図1の相構造をとったことが確認された。
表1中、ポリフェニレンスルフィド樹脂及び変性共役ジエン系重合体を含む分散相(B)を有するものを「〇」、当該分散相(B)を有さないものを「×」として示した。なお、比較例1においては、分散相中に変性共役ジエン系重合体のみを含むため「×」とした。
また、分散相(B)に占める微分散相(B2)の割合は、次の手順で算出した。
樹脂組成物のISOダンベルをMD方向に対して垂直にクライオミクロトームを用いて切削し、得られた断面をOsコーターで導電処理した。続いて断面を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズSU8220)を用いて、加速電圧を1.5kV及び観察モードを低角反射電子像として観察した。特に、分散相(B)及び微分散相(B2)は、この方法において1500倍以上(通常50,000倍以下)に拡大した画像で観察した。続いて、得られた画像を、画像解析ソフト(ImageJ)を使用して取得した反射電子像を二値化し、二値化データをもとに、分散相(B)に占める微分散相(B2)の面積比率を算出し、これを分散相(B)に占める微分散相(B2)の割合とした。
〔変性共役ジエン系重合体の製造〕
以下の材料を用いて、変性共役ジエン系重合体を製造した。
無水マレイン酸(扶桑化学工業(株)製)
ラジカル開始剤:パーヘキサ25B(日油(株)製)
変性剤:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(全て東京化成工業(株)製)
(水添触媒の調製)
変性共役ジエン系重合体の水添反応に用いる水添触媒を、下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に、乾燥及び精製したシクロヘキサン1Lを入れ、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ、水添触媒を得た。
[製造例1]
(アミン変性共役ジエン系重合体(a−1)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。反応基に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを、全モノマー100質量部に対して0.13質量部と、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.3モルとを添加した。
次に、スチレン16質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。次にブタジエン68質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で1.5時間重合した。次にスチレン16質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入して、70℃で45分間重合した。次に、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以下「DMI」とも略記される。)をn−ブチルリチウム1モルに対して等モル添加し、70℃で10分反応させた。
次に、反応終了後にメタノールを添加し、工程1により、変性共役ジエン系重合体を得た。
<工程2>
得られた変性共役ジエン系重合体に、上述した水添触媒を、変性共役ジエン系重合体100質量部当たりにチタン換算濃度100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を1.5時間行った。
水添反応終了後、安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水素化された変性共役ジエン系重合体(a−1)を製造した。
得られた水素化された変性共役ジエン系重合体(a−1)の水素添加率は72mol%、変性率は65%(1重合鎖あたりの変性基の数は0.65個)であった。
得られた変性共役ジエン系重合体(a−1)は、変性基がポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性又は反応性を有しており、スチレン含有量32質量%、ブタジエン部のビニル結合量36mol%、ブチレン量は36mol%、重量平均分子量7.5万、分子量分布1.2であった。
[製造例2]
(無水マレイン酸変性共役ジエン系重合体の製造(a−2))
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置、及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。
反応基に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.12質量部と、TMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.33モル添加した。
次に、ブタジエン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で20分間重合した。
次に、スチレン9.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
次に、ブタジエン76質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で1時間重合した。
次に、スチレン9.5質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入して、70℃で45分間重合した。
次に、反応終了後にメタノールを添加し、共役ジエン系重合体を得た。
<工程2>
得られた共役ジエン系重合体に、上述した水添触媒を、共役ジエン系重合体100質量部当たりにチタン換算濃度100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
水添反応終了後、安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共役ジエン系重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、未変性で水素化された共役ジエン系重合体を製造した。
得られた未変性で水素化された共役ジエン系重合体の水素添加率は99mol%であった。
得られたポリマーは、スチレン含有量19質量%、ブタジエン部のビニル結合量36mol%、ブチレン量は36mol%、重量平均分子量8.3万、分子量分布1.2であった。
<工程3>
次に、ペレット状にした未変性で水素化された共役ジエン系重合体を100質量部と、無水マレイン酸を2.1質量部と、パーヘキサ25Bを0.12質量部とをドライブレンドして、二軸押出機TEX30((株)日本製鋼所製)で、シリンダー設定温度210℃、スクリュー回転数253rpm、吐出量5kg/時間で溶融混練し、無水マレイン酸変性共役ジエン系重合体(a−2)を製造した。
無水マレイン酸の付加量は、重合体100質量部に対し、1.5質量部であった。
酸無水物基は、ポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性基又は反応性基には該当しない。
[製造例3]
(共役ジエン系重合体(a−3)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置、及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。
反応基に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.13質量部と、TMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.3モル添加した。
次に、ブタジエン9質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で20分間重合した。
次に、スチレン16質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
次に、ブタジエン59質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で1時間重合した。
次に、スチレン16質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入して、70℃で45分間重合した。
次に、反応終了後にメタノールを添加し、共役ジエン系重合体を得た。
<工程2>
得られた共役ジエン系重合体に、上述した水添触媒を、共役ジエン系重合体100質量部当たりにチタン換算濃度100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
水添反応終了後、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、未変性で水素化された共役ジエン系重合体(a−3)を製造した。
得られた未変性で水素化された共役ジエン系重合体(a−3)の水素添加率は99mol%であった。
得られたポリマーは、スチレン含有量32質量%、ブタジエン部のビニル結合量36mol%、ブチレン量は36mol%、重量平均分子量7.5万、分子量分布1.2であった。
[製造例4]
(共役ジエン系重合体(a−4)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置、及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。
反応基に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.07質量部と、TMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.44モル添加した。
次に、スチレン9.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。
次に、ブタジエン81質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で1時間重合した。
次に、スチレン9.5質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入して、70℃で45分間重合した。
次に、反応終了後にメタノールを添加し、共役ジエン系重合体を得た。
<工程2>
得られた共役ジエン系重合体に、上述した水添触媒を、共役ジエン系重合体100質量部当たりにチタン換算濃度100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
水添反応終了後、安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共役ジエン系100質量部に対して0.3質量部添加し、未変性で水素化された共役ジエン系重合体(a−4)を製造した。
得られた未変性で水素化された共役ジエン系重合体(a−4)の水素添加率は75mol%であった。
得られたポリマーは、スチレン含有量19質量%、ブタジエン部のビニル結合量42mol%、ブチレン量は42mol%、重量平均分子量9.5万、分子量分布1.2であった。
[製造例5]
(アミン変性共役ジエン系重合体(a−5)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。反応基に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを、全モノマー100質量部に対して0.13質量部と、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.3モルとを添加した。
次に、スチレン22.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。次に、ブタジエン35質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で1.5時間重合した。次に、スチレン22.5質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入して、70℃で45分間重合した。次に、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以下「DMI」とも略記される。)をn−ブチルリチウム1モルに対して等モル添加し、70℃で10分反応させた。
反応終了後にメタノールを添加し、工程1により、変性共役ジエン系重合体を得た。
<工程2>
得られた変性共役ジエン系重合体に、上述した水添触媒を、変性共役ジエン系重合体100質量部当たりにチタン換算濃度100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を0.75時間行った。
水添反応終了後、安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水素化された変性共役ジエン系重合体(a−5)を製造した。
得られた水素化された変性共役ジエン系重合体(a−5)の水素添加率は41mol%、変性率は65%(1重合鎖あたりの変性基の数は0.65個)であった。
得られた変性共役ジエン系重合体(a−5)は、変性基がポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性又は反応性を有しており、スチレン含有量45質量%、ブタジエン部のビニル結合量34mol%、ブチレン量は38mol%、重量平均分子量7.4万、分子量分布1.2であった。
[製造例6]
(アミン変性共役ジエン系重合体(a−6)の製造)
上述した[製造例5]のアミン変性共役ジエン系重合体(a−5)の製造方法における前記<工程2>の水添反応時間を1.0時間とした以外は、前記[製造例5]と同様の操作を行った。
得られた水素化された変性共役ジエン系重合体(a−6)の水素添加率は54mol%、変性率は64%(1重合鎖あたりの変性基の数は0.64個)であった。
得られた変性共役ジエン系重合体(a−6)は、変性基がポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性又は反応性を有しており、スチレン含有量45質量%、ブタジエン部のビニル結合量34mol%、ブチレン量は38mol%、重量平均分子量7.5万、分子量分布1.2であった。
[製造例7]
(アミン変性共役ジエン系重合体(a−7)の製造)
上述した[製造例5]のアミン変性共役ジエン系重合体(a−5)の製造方法における前記<工程2>の水添反応時間を1.25時間とした以外は、前記[製造例5]と同様の操作を行った。
得られた水素化された変性共役ジエン系重合体(a−7)の水素添加率は90mol%、変性率は64%(1重合鎖あたりの変性基の数は0.64個)であった。
得られた変性共役ジエン系重合体(a−7)は、変性基がポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性又は反応性を有しており、スチレン含有量45質量%、ブタジエン部のビニル結合量36mol%、ブチレン量は38mol%、重量平均分子量7.6万、分子量分布1.2であった。
[製造例8]
(アミン変性共役ジエン系重合体(a−8)の製造)
上述した[製造例1]のアミン変性共役ジエン系重合体(a−1)の製造方法における前記<工程2>の水添反応時間を0.75時間とした以外は、前記[製造例1]と同様の操作を行った。
得られた水素化された変性共役ジエン系重合体(a−8)の水素添加率は40mol%、変性率は63%(1重合鎖あたりの変性基の数は0.63個)であった。
得られた変性共役ジエン系重合体(a−8)は、変性基がポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性又は反応性を有しており、スチレン含有量32質量%、ブタジエン部のビニル結合量33mol%、ブチレン量は39mol%、重量平均分子量7.7万、分子量分布1.2であった。
[製造例9]
(アミン変性共役ジエン系重合体(a−9)の製造)
上述した[製造例1]のアミン変性共役ジエン系重合体(a−1)の製造方法における前記<工程2>の水添反応時間を2.0時間とした以外は同様の操作を行った。
得られた水素化された変性共役ジエン系重合体(a−9)の水素添加率は95mol%、変性率は64%(1重合鎖あたりの変性基の数は0.64個)であった。
得られた変性共役ジエン系重合体(a−9)は、変性基がポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性又は反応性を有しており、スチレン含有量32質量%、ブタジエン部のビニル結合量37mol%、ブチレン量は31mol%、重量平均分子量7.5万、分子量分布1.2であった。
[製造例10]
(アミン変性共役ジエン系重合体(a−10)の製造)
上述した[製造例1]のアミン変性共役ジエン系重合体(a−1)の製造方法における前記<工程1>で添加した、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)の添加量を、n−ブチルリチウム1モルに対して1.0モルとし、ブタジエンの重合温度を55℃とした以外は、前記[製造例1]と同様の操作を行った。
得られた水素化された変性共役ジエン系重合体(a−10)の水素添加率は69mol%、変性率は61%(1重合鎖あたりの変性基の数は0.61個)であった。
得られた変性共役ジエン系重合体(a−10)は、変性基がポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性又は反応性を有しており、スチレン含有量32質量%、ブタジエン部のビニル結合量65mol%、ブチレン量は7mol%、重量平均分子量7.2万、分子量分布1.2、水素添加率は69%であった。
[製造例11]
(アミン変性共役ジエン系重合体(a−11)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。反応基に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを、全モノマー100質量部に対して0.13質量部と、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.3モルとを添加した。
次に、スチレン7.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。次にブタジエン85質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で2.0時間重合した。次にスチレン7.5質量部を含むシクロヘキサン溶液を投入して、70℃で45分間重合した。次に、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以下「DMI」とも略記される。)をn−ブチルリチウム1モルに対して等モル添加し、70℃で10分反応させた。
次に、反応終了後にメタノールを添加し、工程1により、変性共役ジエン系重合体を得た。
<工程2>
得られた変性共役ジエン系重合体に、上述した水添触媒を、変性共役ジエン系重合体100質量部当たりにチタン換算濃度100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を1.0時間行った。
水添反応終了後、安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水素化された変性共役ジエン系重合体(a−11)を製造した。
得られた水素化された変性共役ジエン系重合体(a−11)の水素添加率は62mol%、変性率は69%(1重合鎖あたりの変性基の数は0.69個)であった。
得られた変性共役ジエン系重合体(a−11)は、変性基がポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性又は反応性を有しており、スチレン含有量15質量%、ブタジエン部のビニル結合量31mol%、ブチレン量は54mol%、重量平均分子量7.5万、分子量分布1.2であった。
〔ポリフェニレンスルフィド樹脂/共役ジエン系重合体を含有する樹脂組成物の製造〕
下記表1及び表2に記載の、〔実施例1〜9〕、〔比較例1〜6〕の配合量(単位は「質量部」)に基づき、以下の材料を用いて、樹脂組成物を製造し、さらにその試験片を作製した。
変性共役ジエン系重合体:(a−1)、(a−2)、(a−5)〜(a−11)
未変性共役ジエン系重合体:(a−3)、(a−4)
ポリフェニレンスルフィド樹脂:M2888(東レ(株)製)(b)
なお、下記表1及び表2において、ポリフェニレンスルフィド樹脂を「PPS」と表記する。
〔実施例1〜9〕
変性共役ジエン共重合体(a−1)、(a−5)〜(a−11)とPPS(b)をドライブレンドし、二軸押出機ZSK28(Werner and Pfleiderer製)を用いて、シリンダー設定温度300℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量9kg/時間で溶融混練し、樹脂組成物を製造した。
その後、射出成形機を用いて、シリンダー設定温度300℃、金型温度設定120℃で射出成形を行い、試験片(ISO−527−2−1A)を作製した。
曲げ弾性率の測定に用いた試験片は、試験片(ISO−527−2−1A)の両端を切断して作製した。
〔比較例1、2〕
変性共役ジエン共重合体(a−2)を用いた。
その他の条件は、〔実施例1、2〕と同様として、樹脂組成物を製造し、試験片(ISO−527−2−1A)を作製した。
曲げ弾性率測定に用いた試験片は、試験片(ISO−527−2−1A)の両端を切断して作製した。
〔比較例3、4〕
未変性で水素化された共役ジエン共重合体(a−3)を用いた。
その他の条件は、〔実施例1、2〕と同様として、樹脂組成物を製造し、試験片(ISO−527−2−1A)を作製した。
曲げ弾性率測定に用いた試験片は、試験片(ISO−527−2−1A)の両端を切断して作製した。
〔比較例5、6〕
未変性で水素化された共役ジエン共重合体(a−4)を用いた。
その他の条件は、〔実施例1、2〕と同様として、樹脂組成物を製造し、試験片(ISO−527−2−1A)を作製した。
曲げ弾性率測定に用いた試験片は、試験片(ISO−527−2−1A)の両端を切断して作製した。
Figure 2021042357
Figure 2021042357
表1、表2の結果より、実施例1〜9は、耐衝撃性、伸び、及び柔軟性に優れていることが明らかとなった。
本発明の樹脂組成物は、耐衝撃性、伸び、及び柔軟性に優れた特性を有しているため、シート、フィルム、各種形状の射出成形品、中空成形品、圧空成型品、真空成形品、押出成形品、発泡成形品、不織布や繊維状の成形品、合成皮革等多種多様の成形品として活用でき、これらの成形品は、自動車内外装材、建築材料、玩具、家電部品、医療器具、工業部品、各種ホース、各種筐体、各種モジュールケース、各種パワーコントロールユニット部品、その他雑貨等の用途としての産業上の利用可能性を有する。

Claims (15)

  1. ポリフェニレンスルフィド樹脂と、
    前記ポリフェニレンスルフィド樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する変性共役ジエン系重合体と、
    を、含有し、
    前記ポリフェニレンスルフィド樹脂の連続相(A)と、前記連続相(A)中に分散された分散相であって、前記ポリフェニレンスルフィド樹脂及び前記変性共役ジエン系重合体を含む分散相(B)と、を有する、樹脂組成物。
  2. 前記分散相(B)は、
    前記変性共役ジエン系重合体を含む連続相(B1)と、
    前記連続相(B1)に分散したポリフェニレンスルフィド樹脂を含む微分散相(B2)と、を、有する、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリフェニレンスルフィド樹脂を含む微分散相(B2)の、前記分散相(B)における面積比率が、30%以上である、請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記樹脂組成物が、非多孔質部材用の樹脂組成物である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリフェニレンスルフィド樹脂と、前記変性共役ジエン系重合体との合計量を100質量部としたとき、
    前記ポリフェニレンスルフィド樹脂が10質量部以上95質量部以下であり、
    前記変性共役ジエン系重合体が5質量部以上90質量部以下である、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記変性共役ジエン系重合体が、下記(a)〜(c)の重合体ブッロクからなる群より選ばれる2種以上の重合体ブロックを有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
    (a)ビニル芳香族単量体単位が80質量%以上であるビニル芳香族重合体ブロック
    (b)共役ジエン単量体単位が80質量%以上である共役ジエン重合体ブロック
    (c)共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロック
  7. 前記変性共役ジエン系重合体における、ビニル芳香族単量体単位の含有量が、5質量%以上90質量%以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記変性共役ジエン系重合体における、前記(a)ビニル芳香族単量体単位が80質量%以上であるビニル芳香族重合体ブロックの含有量が、10質量%以上90質量%である、請求項6又は7に記載の樹脂組成物。
  9. 前記変性共役ジエン系重合体の、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対するビニル結合量が5〜80mol%である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  10. 前記(b)共役ジエン重合体ブロックの共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対するビニル結合量が5〜80mol%である、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  11. 前記変性共役ジエン系重合体の、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対する水素添加率が20〜100mol%である、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  12. 前記変性共役ジエン系重合体における、ビニル芳香族単量体単位の含有量が、10質量%以上40質量%以下であり、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対する水素添加率が50〜80mol%である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  13. 前記変性共役ジエン系重合体の前記親和性基又は反応性基が、0.3mоl/鎖以上である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  14. 前記親和性基又は反応性基が、
    アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、及びカルボキシル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基である、
    請求項1乃至13のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  15. 充填剤を、さらに含有する、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
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