JP2021181561A - 変性共役ジエン系重合体、変性共役ジエン系重合体組成物、多層体、多層体の製造方法、及び成形体 - Google Patents

変性共役ジエン系重合体、変性共役ジエン系重合体組成物、多層体、多層体の製造方法、及び成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】極性樹脂に対する熱融着による接着性を有し、溶融時に流動性に優れ、かつ優れた柔軟性を有する変性共役ジエン系重合体等を提供する。【解決手段】共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックを有し、かつ下記条件を満たす、変性共役ジエン系重合体。(a)前記共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中、水素添加前のビニル結合量が共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して60mol%以上である。(b)前記共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中の共役ジエン単量体単位の少なくとも一部が水素添加されている。(c)ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量が40質量%以下である。(d)変性基を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、変性共役ジエン系重合体、変性共役ジエン系重合体組成物、多層体、多層体の製造方法、及び成形体に関するものである。
共役ジエン系(共)重合体は、1,2結合のような側鎖を有するモノマー単位の割合、他のモノマーと共重合した際のミクロ構造(ブロックコポリマーのブロック部の割合、及びブロック部の配置、並びにランダムコポリマーの構造等)、及び水素化の程度等によって種々の性質を示すことが知られている。近年、さらなる性能を付与することを目的として、他の素材との間に分子間力を生じ得る親和性基、又は他の素材と化学結合を形成し得る反応性基等の変性基を有する共役ジエン系(共)重合体(以下、「変性共役ジエン系重合体」という。)が提案されている。
例えば、特許文献1には、共役ジエン系ブロック共重合体に酸無水物を反応させることにより製造される酸無水物変性共役ジエン系重合体が開示されている。
変性共役ジエン系重合体は、変性基において、極性樹脂と反応し、及び/又は、水素結合等の分子間力が生じるため、極性樹脂との接着性に優れている。そのため、極性樹脂に対する接着性付与剤として変性共役ジエン系重合体をポリオレフィン等と配合した、変性共役ジエン系重合体組成物が広く使用されている。
例えば、ポリアミド樹脂は、極性樹脂の1つである。特許文献2には、変性ブロック共重合体を含む変性共役ジエン系重合体樹脂組成物を用いたポリアミド樹脂の接着に関する技術が開示されている。
このような変性共役ジエン系重合体樹脂組成物と極性樹脂とが接着した成形品は、自動車部品、電動工具、玩具、電気・電子機器部品、医療器具、建材・配管部材、生活・化粧用品、工業部品、各種ホース、各種筐体、各種モジュールケース、各種パワーコントロールユニット部品、及び医療器具等の各種用途に有用である。また、柔軟な変性共役ジエン系重合体樹脂組成物を用いて成形体の表層を形成することで、成形品に柔軟な触感を付与することができる。
特開1988−254119号公報 特表2007−527461号公報
極性樹脂の種類、ポリマー構造の種類、及びフィラーの有無によらず、広く極性樹脂に対して熱融し、優れた接着性を示す変性共役ジエン系重合体組成物の開発が望まれている。また、成形方法が射出成形(インサート成形)、二色成形、共押出、及び多層ブロー成形等のいずれであるかによらず、極性樹脂に熱融着し、優れた接着性を示す変性共役ジエン系重合体組成物の開発が望まれている。
また、変性共役ジエン系重合体組成物には、優れた接着性のみならず、成形品の複雑化や薄肉化に対応できるように溶融時に高い流動性を有すること、及び人体に触れる成形品としたときに良好な触感を得るために高い柔軟性を有することが求められてきている。しかしながら、特許文献2を始めとした従来の変性共役ジエン系重合体組成物では、未だ十分な流動性や柔軟性が得られていない。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みて、極性樹脂に対する熱融着による接着性を有し、溶融時に流動性に優れ、かつ優れた柔軟性を有する変性共役ジエン系重合体、及び変性共役ジエン系重合体組成物、並びに、それらを含む多層体、多層体の製造方法、及び成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、変性基を有し、特定のポリマー構造を有する変性共役ジエン系重合体が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックを有し、かつ下記条件(a)、(b)、(c)及び(d)を満たす、変性共役ジエン系重合体。
(a)前記共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中、水素添加前のビニル結合量が共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して60mol%以上である。
(b)前記共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中の共役ジエン単量体単位の少なくとも一部が水素添加されている。
(c)前記変性共役ジエン系重合体中のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量が、前記変性共役ジエン系重合体の総量に対して、40質量%以下である。
(d)前記変性共役ジエン系重合体が変性基を有する。
[2]
前記水素添加前のビニル結合量が共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して65mol%以上である、[1]に記載の変性共役ジエン系重合体。
[3]
前記共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中におけるブチレン量及び/又はプロピレン量が、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して60mol%以上である、[1]又は[2]に記載の変性共役ジエン系重合体。
[4]
前記変性基を側鎖に有する、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の変性共役ジエン系重合体。
[5]
前記変性共役ジエン系重合体中の前記ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量が、前記変性共役ジエン系重合体の総量に対して、20質量%以下である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の変性共役ジエン系重合体。
[6]
前記変性基は、酸無水物基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、及びイオン性基からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の変性共役ジエン系重合体。
[7]
[1]〜[6]のいずれか1つに記載の変性共役ジエン系重合体(A)と、ポリオレフィン(B)とを含む、変性共役ジエン系重合体組成物。
[8]
前記ポリオレフィン(B)は、ポリプロピレンである、[7]に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
[9]
重量平均分子量が15万以上の共役ジエン系重合体(C)を更に含む、[7]又は[8]に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
[10]
前記共役ジエン系重合体(C)として、共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とのランダム共重合体ブロックを有する共役ジエン系重合体を少なくとも含む、[9]に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
[11]
前記変性共役ジエン系重合体(A)の含有量が5質量%以上80質量%以下である、[7]〜[10]のいずれか1つに記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
[12]
前記変性共役ジエン系重合体(A)の重量平均分子量が10万以上である、[7]〜[11]のいずれか1つに記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
[13]
軟化剤を更に含む、[7]〜[12]のいずれか1つに記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
[14]
230℃、2.16kgにおけるメルトフローレートが10g/10min以上である、[7]〜[13]のいずれか1つに記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
[15]
フィラーを更に含む、[7]〜[14]のいずれか1つに記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
[16]
極性樹脂を含む層と、その層上に積層されている[7]〜[15]のいずれか1つに記載の変性共役ジエン系重合体組成物を含む層と、を備える多層体。
[17]
前記変性共役ジエン系重合体組成物を含む層が、前記極性樹脂を含む層に熱融着されている、[16]に記載の多層体。
[18]
前記極性樹脂は、ABS、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリフェニレンスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種である、[16]又は[17]に記載の多層体。
[19]
[16]〜[18]のいずれか1つに記載の多層体の製造方法であって、
前記多層体が、射出成形法、インサート成形法、押出成形法、及び圧縮成形法からなる群より選択される少なくとも1つの方法により成形される、製造方法。
[20]
[16]〜[18]のいずれか1つに記載の多層体を含む成形体であって、
前記多層体が、工具のグリップ、電線被覆部材、コネクター筐体、ハンディー電子機器のグリップ、歯ブラシのグリップ、シェーバーのグリップ、カトラリーのグリップ、筆記具のグリップ、ロボットハンドのグリップ部、及び自動車内装部材のグリップ部から選択される少なくとも1種を構成する、成形体。
本発明によれば、極性樹脂に対する熱融着による接着性を有し、溶融時に流動性に優れ、かつ優れた柔軟性を有する変性共役ジエン系重合体、及び変性共役ジエン系重合体組成物、並びにそれらを含む多層体、多層体の製造方法、及び成形体を提供することができる。
本発明の成形体の一態様を示す模式図である。 本発明の成形体の別の一態様を示す模式図である。 本発明の成形体の更に別の一態様を示す模式図である。 本発明の成形体のなおも更に別の一態様を示す模式図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。
以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
なお、本明細書中、「重合体」とは、単一種類の単量体単位よりなる重合体、及び複数種類の単量体単位を有する共重合体のいずれの場合を含むものとする。
また、本明細書中、特に断りがある場合、又は「共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体」というように並列に記載されているなどの明確に区別されている場合を除き、「共役ジエン系重合体」は、変性されていない共役ジエン系重合体及び変性共役ジエン系重合体を包含するものである。なお、「共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体」というように並列に記載されている場合において、「共役ジエン系重合体」とは、変性されていない共役ジエン系重合体を意味する。
(変性共役ジエン系重合体(A))
本実施形態の変性共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックを有し、かつ下記条件(a)、(b)、(c)及び(d)を満たす。
(a)共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中、水素添加前のビニル結合量が共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して60mol%以上である。
(b)共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中の共役ジエン単量体単位の少なくとも一部が水素添加されている。
(c)変性共役ジエン系重合体中のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量が、変性共役ジエン系重合体の総量に対して、40質量%以下である。
(d)変性共役ジエン系重合体が変性基を有する。
変性共役ジエン系重合体を構成する共役ジエン単量体は、一対の共役二重結合を有するジオレフィンである。
そのようなジオレフィンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−シクロペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、及びファルネセンが挙げられる。これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましく、熱安定性の観点から1,3−ブタジエンがより好ましい。
変性共役ジエン系重合体(A)に含まれる共役ジエン単量体単位は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックとは、当該共役ジエン単量体単位の含有量が、当該重合体ブロック全体に対して70質量%を超える重合体ブロックを意味する。変性共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との接着性を一層向上させる観点から、上述した共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックに含まれる共役ジエン単量体単位の含有量は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは95質量%以上である。なお、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックにおける共役ジエン単量体単位の含有量は、100質量%以下であってもよく、99質量%以下であってもよい。
変性共役ジエン系重合体が有する変性基は、極性樹脂に対する親和性基又は反応性基であれば特に限定されないが、例えば、酸無水物基、ヒドロキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸エステル基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、ウレタン基、ウレア基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシシラン基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基、及びイオン性基等が挙げられる。変性共役ジエン系重合体は、上記のような変性基を1種単独で、又は2種以上を組み合わせて有するものである。イオン性基としては、例えば、スルホン酸基、スルホンイミド基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基、カルボン酸基、及びアンモニウム基又はそれらの塩が挙げられる。
そのなかでも、極性樹脂との反応性を一層向上させる観点から、変性共役ジエン系重合体が有する変性基としては、酸無水物基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、及びイオン性基が好ましい。
さらに、そのなかでも、各種成形品の主となる構造体の材料として使用されるポリアミド樹脂(以下、単に「ポリアミド」ともいう。)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、単に「ポリフェニレンスルフィド」ともいう。)、及びポリエステル樹脂(以下、単に「ポリエステル」ともいう。)との反応性を一層向上させる観点から、変性基は、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、及びヒドロキシル基がより好ましい。また、高生産性及び入手が容易である観点から、変性基は、酸無水物基又はカルボキシル基が更に好ましく、その中でも酸無水物基(特に、無水マレイン酸基及び無水コハク酸基が好ましく、無水コハク酸基がより好ましい。)が特に好ましい。
なお、無水マレイン酸基及び無水コハク酸基とは、無水マレイン酸及び無水コハク酸のそれぞれのC−H結合から水素原子1つを取り除いて得られる基を意味する。
ポリアミド樹脂は電動工具などのグリップ部を有する成形体や、強度や耐熱性を必要とする成形体の一部として広く用いられる一方で、従来の変性共役ジエン系重合体との接着性に乏しい。上記変性基の中でも酸無水物基は、ポリアミド樹脂のアミノ基、カルボキシル基、及びアミド基との反応性に優れている。したがって、ポリアミド樹脂と接着するために用いられる変性共役ジエン系重合体は、酸無水物基を含むことが好ましい。その中でも、ポリアミド樹脂と接着するのに用いられる変性共役ジエン系重合体は、高生産性及び入手が容易である観点から無水マレイン酸基又は無水コハク酸基を含むことが好ましい。無水マレイン酸基及び無水コハク酸基は、ポリアミド樹脂と変性共役ジエン系重合体組成物中の変性共役ジエン系重合体との界面に化学結合を形成することで、両者を強固に接着させることができる。
ポリフェニレンスルフィド樹脂と接着するのに用いられる変性共役ジエン系重合体が有する変性基としては、酸無水物基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、及びイオン性基が特に好ましい。上記変性基は、ポリフェニレンスルフィドのポリマー鎖末端であるカルボン酸との反応性が一層高いものである。
ポリエステル樹脂は主鎖にエステル構造を有し末端に水酸基又はカルボキシル基を有する。そのため、ポリエステル樹脂と接着するのに用いられる変性共役ジエン系重合体が有する変性基としては、酸無水物基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、及びイオン性基が好ましい。
ポリカーボネート樹脂(以下、単に「ポリカーボネート」ともいう。)は主鎖に炭酸エステルを有し、末端にヒドロキシル基を有する。そのため、ポリカーボネート樹脂と接着するのに用いられる変性共役ジエン系重合体組成物中の変性共役ジエン系重合体が有する変性基としては、酸無水物基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、及びイオン性基が好ましい。
アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂(以下、単に「ABS」ともいう。)はニトリル基を有する。そのため、ABS樹脂と接着するのに用いられる変性共役ジエン系重合体組成物中の変性共役ジエン系重合体が有する変性基としては、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基、及びヒドロキシル基が好ましい。
(メタ)アクリル樹脂は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、及びポリメタクリル酸エステルの総称であり、カルボキシル基及び/又はエステル基を有する。そのため、(メタ)アクリル樹脂と接着するのに用いられる変性共役ジエン系重合体組成物中の変性共役ジエン系重合体が有する変性基としては、酸無水物基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、及びイオン性基が好ましい。
ポリアセタール樹脂(以下、単に「ポリアセタール」ともいう。)はエーテル構造を有する。そのため、ポリアセタール樹脂と接着するのに用いられる変性共役ジエン系重合体組成物中の変性共役ジエン系重合体が有する変性基としては、酸無水物基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、及びイオン性基が好ましい。
なお、工具や電子機器の筐体、シェーバーには、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリカーボネート樹脂が主に用いられる。コネクター筐体には、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリフェニレンスルフィド樹脂が主に用いられる。電線部材にはポリアミド樹脂、及びポリエステル樹脂が主に用いられる。歯ブラシ及びカトラリーには、ポリアセタール樹脂が主に用いられる。筆記具には、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、及びポリエステル樹脂が主に用いられる。ロボットハンドには、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリカーボネート樹脂が主に用いられる。自動車内装部材には、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂が主に用いられる。耐熱性を必要とする自動車部材やパワーモジュールには、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、及びポリエステル樹脂が主に用いられる。柔軟性及び耐薬品性を必要とする自動車部材には、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、及びポリエステル樹脂が主に用いられる。
なお、筆記具とは、インク及び黒鉛のような着色物を対象物に転写することで該対象物上に直接筆記をするペンのような筆記具だけでなく、タブレット端末のような電子端末の一部分をなぞることにより対応する文字ないし図形を電子端末の画面上に表示させるために用いるタッチペン及びスタイラスペンのような筆記具を含むものである。
変性共役ジエン系重合体が、極性樹脂との間に分子間力を生じ得る親和性基に該当しない官能基、又は化学結合を形成し得る反応性基に該当しない官能基を有している場合、その官能基及び極性樹脂のいずれとも相互作用し得るその他の化合物を、変性共役ジエン系重合体の官能基と反応させることにより、変性共役ジエン系重合体の極性樹脂との接着性を一層向上させることができる。すなわち、変性共役ジエン系重合体の有する官能基が、当該その他の化合物と分子間力又は化学結合により相互作用し、当該官能基と相互作用している当該その他の化合物が、極性樹脂と分子間力又は化学結合により更に相互作用することで、間接的に変性共役ジエン系重合体と極性樹脂とが相互作用することができる。
そのようなその他の化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カルボジイミド化合物、ジフェニルリン酸アジド等のアミド縮合剤や、アルコキシシラン化合物、アミノ化合物、ヒドロキシ化合物、イソシアナート化合物、及びエポキシ化合物が挙げられる。その他の化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
カルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドが挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。
アミン化合物としては、例えば、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノへプタン、及びジアミノオクタンが挙げられる。
ヒドロキシ化合物としては、例えば、ジヒドロキシブタン、ジヒドロキシペンタン、ジヒドロキシヘキサン、ジヒドロキシへプタン、及びジヒドロキシオクタンが挙げられる。
イソシアナート化合物としては、例えば、ヘキサンメチレンジイソシアナート、1,4−フェニレンジイソシアナート、及びジシクロヘキシルメタン4,4’−ジイソシアナートが挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、及び1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルが挙げられる。
これらの化合物は、極性樹脂との間に分子間力を生じ得る親和性基又は化学結合を形成し得る反応性基を有する変性共役ジエン系重合体にも用いることができる。
上述した、変性共役ジエン系重合体が有する変性基の含有量は、特に限定されないが、極性樹脂との接着性を一層向上させる観点から、好ましくは0.5個/鎖以上である。同様の観点から、より好ましくは2.0個/鎖以上であり、さらに好ましくは、4.0個/鎖以上である。
変性基の含有量が0.5個/鎖以上であることにより、変性基は、極性樹脂とより十分に相互作用することができ、熱融着性が一層向上する。
また、変性基の含有量は、変性共役ジエン系重合体組成物のゲル化等の問題を一層防止する観点から、30個/鎖以下が好ましい。ここでいう「鎖」とは変性共役ジエン系重合体のようなポリマー中の1つの分子鎖のことを指し、ポリマー構造が化学結合により分岐しているものは、その分岐鎖1つを一分子鎖として数える。
共役ジエン系重合体を変性剤と反応させて変性共役ジエン系重合体を得る場合、重合体と反応させる変性剤の質量を調整することにより、変性基の含有量を制御してもよい。例えば変性剤が酸無水物(例えばマレイン酸無水物)であるとき、共役ジエン系重合体と反応した(付加した)酸無水物の質量が、変性共役ジエン系重合体100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であってもよく、好ましくは0.2質量部以上10質量部以下であり、より好ましくは0.3質量部以上5.0質量部以下であり、更に好ましくは0.3質量部以上2.0質量部以下であり、更により好ましくは0.3質量部以上1.3質量部以下であり、特に好ましくは0.7質量部以上1.3質量部以下である。
共役ジエン系重合体において変性基が導入される位置は特に限定されず、例えば、変性基は、共役ジエン系重合体の末端に結合していてもよく、共役ジエン系重合体の主鎖のうち末端部分以外の部分に結合していてもよく、特に共役ジエン系重合体の側鎖にブロック、ランダム又はテーパー状に結合していてもよい。変性共役ジエン系重合体およびその組成物が極性樹脂を含む層と接着する際に、変性共役ジエン系重合体が物理架橋ブロックを形成してアンカー効果により接着強度を向上させる観点から、共役ジエン系重合体の側鎖に変性基が配置されていることが好ましく、ランダムに側鎖に配置されていることがより好ましい。また、変性共役ジエン系重合体のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックによる物理架橋を阻害せずに接着強度を向上させる観点から、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックの一部(特に側鎖)に変性基が配置されることがさらに好ましい。接着性向上を目的として変性基数を増やすという観点からも、変性基は側鎖に位置する方が好ましい。
変性基が結合している位置を調べる方法としては、二次元核磁気共鳴装置(NMR)を用いて変性基と重合体ブロックの空間的な距離をみることで変性基が存在する位置を解析する方法が挙げられる。具体的には、二次元NMRを測定し、変性基が、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック、及びビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックのどちらと相互作用しているかを観測することにより判断することができる。また、変性基が共役ジエン重合体ブロックの側鎖に位置する場合、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックの残存二重結合を適当な方法で分解し、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法等で変性基を検出する方法が挙げられる。いずれの方法においても、末端変性を有するサンプルと側鎖変性を有するサンプルをレファレンスとして製造して分析し、解析したい変性共役ジエン系重合体と比較することで、変性基がいずれの場所に配置されているかを正確に調べることができる。
変性共役ジエン系重合体組成物中の変性共役ジエン系重合体と、極性樹脂との接着性を一層向上させる観点から、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中、水素添加前のビニル結合量は、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して、60mol%以上である。同様の観点及び変性共役ジエン系重合体組成物の流動性を向上させる観点から、そのビニル結合量は、好ましくは65mol%以上であり、より好ましくは70mol%以上である。特に、変性共役ジエン系重合体組成物がポリオレフィンを含む場合であって、該ポリオレフィンが、ポリプロピレン、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体、及びプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体等のような側鎖にアルキル基を有するものである場合は、水素添加前のビニル結合量が60mol%以上であることにより、変性共役ジエン系重合体とポリオレフィンとの相容性が向上し、変性共役ジエン系重合体組成物の接着性や流動性が一層向上すると推察される。なお、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中において、水素添加前のビニル結合量の上限は特に限定されず、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して、100mol%以下であってもよく、90mol%以下であってもよく、85mol%以下であってもよく、80mol%以下であってもよい。
「水素添加前のビニル結合量」とは、水素添加(「水添」又は「水素化」ともいう。)をする前の変性共役ジエン系重合体における、1,4−結合(シス及びトランスを含む。)により重合体に組み込まれた共役ジエン単量体部分(以下、「1,4−結合部分」という。)及び1,2−結合により重合体に組み込まれた共役ジエン単量体部分(以下、「1,2−結合部分」という。)の合計量に対する、1,2−結合部分の量の割合(mol比)をいう。すなわち、共役ジエン単量体のうち、1,2−付加をした単量体の割合を意味する。ただし、共役ジエン単量体単位が3,4−結合で重合体に組み込まれている場合には、1,4−結合部分、1,2−結合部分、及び3,4−結合により重合体に組み込まれた共役ジエン単量体部分(以下、「1,3−結合部分」という。)の合計量に対する、1,2−結合部分、及び3,4−結合部分の合計量の割合(mol比)をいう。
変性共役ジエン系重合体の水素添加前のビニル結合量は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いた方法及び赤外分光光度計を用いた方法(ハンプトン法)等の方法を用いて測定することができ、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
なお、水素添加後の変性共役ジエン系重合体を試料としてプロトン核磁気共鳴(1H−NMR)法により水素添加前のビニル結合量を推定することもできる。その方法について、ビニル芳香族単量体単位がスチレンであり、共役ジエン単量体単位が1,3−ブタジエンである共役ジエン系重合体を例に挙げて具体的に説明する。
測定機器としてECS400(JEOL製製品名)、溶媒として重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mLとして、以下の条件で測定する。
(測定条件)
観測周波数 :400MHz
化学シフト基準:クロロホルム(7.26ppm)
パルスディレイ:3秒
スキャン回数 :256回
パルス幅 :45°
測定温度 :26℃
水素添加前のビニル結合量は、得られるNMRスペクトルにおける化学シフトが10.0ppm〜0.0ppmの範囲のシグナルの面積値を用いて求めることができる。より詳細には下記式(1)〜(6)により求めることができる。
Figure 2021181561
ただし、上記式(1)〜(5)中の記号X1、X2、X3、X4、X5、X6、及びX7は以下のように定義される。
1:7.26ppmを中心とし、7.26ppm〜7.25ppm区間及び7.27ppm〜7.26ppm区間の各区間で、最もシグナル強度の小さい位置同士を結んだ線とNMRスペクトルとで囲まれた範囲の面積値
2:8.0ppm及び6.0ppmのシグナル位置同士を結んだ線とNMRスペクトルとで囲まれた範囲の面積値
3:6.0ppm及び4.0ppmのシグナル位置同士を結んだ線とNMRスペクトルとで囲まれた面積値のうち、5.2ppm〜4.9ppmの間で最もシグナル強度の小さい位置の化学シフトから4.0ppmの範囲の面積値
4:6.0ppm及び4.0ppmのシグナル位置同士を結んだ線とNMRスペクトルとで囲まれた面積値のうち、5.2ppm〜4.9ppmの間で最もシグナル強度の小さい位置の化学シフトから6.0ppmの範囲の面積値
5:4.0ppm及び0.3ppmのシグナル位置同士を結んだ線とNMRスペクトルとで囲まれた面積値のうち、1.05ppm〜0.85ppmの間にあるNMRスペクトルの谷の中で最もシグナル強度の小さい位置の化学シフトから0.3ppmの範囲の面積値(ただし、1.05ppm〜0.85ppmの間に谷が存在しない場合は、4.0ppm及び0.3ppmのシグナル位置同士を結んだ線とNMRスペクトルとで囲まれた面積値のうち、1.05ppm〜0.85ppmの間で最もシグナル強度の小さい位置の化学シフトから0.3ppmの範囲の面積値とする。)
6:4.0ppm及び0.3ppmのシグナル位置同士を結んだ線とNMRスペクトルとで囲まれた範囲の面積値
7:1.50ppmを中心とし1.49ppm〜1.50ppm区間及び1.50ppm〜1.51ppm区間の各区間で、最もシグナル強度の小さい位置同士を結んだ線とNMRスペクトルとで囲まれた範囲の面積値(ただし、当該最もシグナル強度の小さい位置同士を結んだ線がNMRスペクトルより上部に存在する場合は、0とする。)
また、式(5)及び(6)中の(1)〜(5)は、それぞれ上記式(1)〜(5)から得られる値である。
また、上記ビニル結合量は、変性共役ジエン系重合体の製造時において、ルイス塩基、例えばエーテル又はアミン等の化合物をビニル結合量調整剤(以下、「ビニル化剤」という。)として添加することにより、上記数値範囲内に制御することができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体において、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中の共役ジエン単量体単位は少なくとも一部が水素添加されている。変性共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との接着性を一層向上させる観点から、その水素添加率は、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して、50mol%以上であると好ましい。変性共役ジエン系重合体とポリオレフィン系樹脂との相容性を一層向上させる観点からより好ましくは80mol%以上であり、更に好ましくは85mol%以上である。熱安定性を向上させる観点から、その水素添加率は、更により好ましくは90mol%以上、特に好ましくは95mol%以上である。変性共役ジエン系重合体の水素添加率の上限は特に限定されず、その水素添加率は、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して、100mol%以下であってもよく、99mol%以下であってもよい。
変性共役ジエン系重合体の水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて測定することができ、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
また、水素添加率は、例えば、水素添加時の水素の供給量を調整することによって上記数値範囲内に制御することができる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体において、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中のブチレン量及び/又はプロピレン量は、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して、好ましくは50mol%以上100mol%以下であり、より好ましくは60mol%以上99mоl%以下であり、更に好ましくは65mol%以上98mоl%以下である。なお、共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中において、ブチレン量及び/又はプロピレン量は、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して、90mol%以下であってもよく、80mol%以下であってもよい。
ブチレン量及び/又はプロピレン量は、核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて測定することができ、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
ここで、「ブチレン量及び/又はプロピレン量」とは、水素添加後の変性共役ジエン系重合体における、共役ジエン単量体単位に由来する部分のうち、1,2−結合により重合体に組み込まれた共役ジエン単量体部分であって不飽和結合を含まない(すなわち、水素添加された)部分の割合(mol比)を意味する。具体的には、1,4−結合部分(シス及びトランスを含む。)及び1,2−結合部分の合計量100mol%に対する、1,2−結合部分のうち不飽和結合を含まない部分の量の割合(mol比)をいう。ただし、共役ジエン単量体単位が3,4−結合で重合体に組み込まれている場合には、1,4−結合部分、1,2−結合部分、及び3,4−結合部分の合計量100mol%に対する、1,2−結合部分、及び3,4−結合部分のうち不飽和結合を含まない部分の合計量の割合(mol比)をいう。
ブチレン量及び/又はプロピレン量は水素添加前のビニル結合量および水素添加率により制御することができる。例えば、ビニル結合量が60mol%、かつ水素添加率が100%のとき、ブチレン量及び/又はプロピレン量は60mol%となる。ビニル結合量が75mol%のとき、水素添加率が80%であれば、ブチレン量及び/又はプロピレン量が60mol%となり、水素添加率が100%であれば、ブチレン量及び/又はプロピレン量は75mol%となる。
なお、「ブチレン量」との語が「ブチレン量及び/又はプロピレン量」としてではなく単独で用いられる場合、1,3−ブタジエンに由来する部分のうち、1,2−結合により重合体に組み込まれ、かつ不飽和結合を含まない(すなわち、水素添加された)部分の割合(mol比)を意味する。
変性共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との接着性を一層向上させる観点から、本実施形態の変性共役ジエン系重合体において、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量は、変性共役ジエン系重合体の総量に対して、40質量%以下である。同様の観点、及び柔軟性を一層向上させる観点から、その含有量は、より好ましくは3質量%以上30質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以上25質量%以下である。また、変性共役ジエン系重合体組成物の流動性及び変形のしにくさ(機械特性)を一層向上させる観点から、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量は、更により好ましくは10質量%以上20質量%以下である。
なお、変性共役ジエン系重合体におけるビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量は、水素添加前の共役ジエン系重合体を四酸化オスミウム触媒の下、t−ブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,Polym.Sci., 1,429(1946)に記載の方法)(以下、「四酸化オスミウム分解法」という。)から求められる当該水素添加前の共役ジエン系重合体におけるビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの質量を用いて、算出することができる。なお、四酸化オスミウム分解法では、平均重合度が約30以上のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックを検出することができる。
また、変性共役ジエン系重合体におけるビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量は、水素添加後の共役ジエン系重合体を用いても、Y.Tanaka,et al.,RUBBER CHEMISTRY and TECHNOLOGY, 54,685(1981)に記載の方法で、核磁気共鳴装置(NMR)により測定することができる。この方法を以下、NMR法という。
NMR法を、ビニル芳香族単量体単位がスチレンであり、共役ジエン単量体単位が1,3−ブタジエンである共役ジエン系重合体を例に挙げて具体的に説明する。
水素添加後の共役ジエン系重合体30mgを重水素化クロロホルム1gに溶解した試料を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)を測定する。得られる測定結果において、化学シフトが6.9ppm〜6.3ppmである範囲における積分値の全積分値に対する比率を求めることにより、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロック(この場合、ポリスチレンブロックである。)の含有量(以下、「Ns値」という。)を、求めることができる。より詳細には下記式(7)〜(10)により求めることができる。
Figure 2021181561
ここで、四酸化オスミウム分解法により測定される水素添加前の共役ジエン系重合体におけるビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量(Os値)と、NMR法により測定される水素添加後の共役ジエン系重合体におけるビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量(Ns値)との間には下記式(11)が成立することが知られている。
Figure 2021181561
なお、詳細には、変性共役ジエン系重合体におけるビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量は、実施例に記載の方法により測定すればよい。
ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックとは、当該ビニル芳香族単量体単位の含有量が、当該重合体ブロック全体に対して70質量%を超える重合体ブロックを意味する。変性共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との接着性を一層向上させる観点から、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックのビニル芳香族単量体単位の含有量は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは95質量%以上である。なお、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックのビニル芳香族単量体単位の含有量は、100質量%以下であってもよく、99質量%以下であってもよい。
変性共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との接着性を一層向上させる観点から、本実施形態の変性共役ジエン系重合体において、ビニル芳香族単量体単位の含有量は、変性共役ジエン系重合体の総量に対して、40質量%以下であることが好ましい。同様の観点、及び柔軟性を一層向上させる観点から、その含有量は、より好ましくは3質量%以上30質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以上25質量%以下である。また、変性共役ジエン系重合体組成物の流動性及び変形のしにくさ(機械特性)を一層向上させる観点から、ビニル芳香族単量体単位の含有量は、更により好ましくは10質量%以上20質量%以下である。
なお、変性共役ジエン系重合体におけるビニル芳香族単量体単位の含有量は、紫外分光光度計を用いた方法やプロトン核磁気共鳴(1H−NMR)法により測定できる。詳細は、実施例に記載の方法により測定すればよい。
ビニル芳香族単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、及びN,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。
これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、及び4−メチルスチレンであり、より好ましくはスチレンである。
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックは、1種のビニル芳香族単量体で構成されていてもよいし、2種以上から構成されていてもよい。同様に、本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、上記のビニル芳香族単量体を1種単独で、又は2種以上を組み合わせて含んでいてよい。
本実施形態の樹脂組成物に用いる変性共役ジエン系重合体は、更に共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位との共重合体ブロックを有してもよい。かかる共重合体ブロックは、交互共重合体ブロックであってよく、ランダム共重合体ブロックであってもよい。
共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックに含まれ得るビニル芳香族単量体及び共役ジエン単量体としては、上述したビニル芳香族重合体を主体とするブロック、及び共役ジエン単量体単位を主体とするブロックに含まれ得るものとして例示したものが挙げられる。
ランダム共重合体ブロックにおけるビニル芳香族単量体単位の分布状態としては特に限定はなく、ビニル芳香族単量体単位は均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。また、ビニル芳香族単量体単位が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよく、ビニル芳香族単量体単位の含有量が異なるセグメントが複数個存在していてもよい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体において、共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体の他、共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体と共重合可能な他の単量体を用いることもできる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の構造としては特に限定されるものではないが、例えば、下記式で表されるような構造を一部に有するか、下記式で表されるような構造であるものが挙げられる。
なお、下記式において、変性基の記載は省略している場合もある。
b、c、(b)m−X、(c)m−X、(b−c)n、c−(b−c)n、b−(c−b)n、(b−c)m−X、(c−b)m−X、[(b−c)nm−X、[(c−b)nm−X、[c−(b−c)nm−X、[b−(c−b)nm−X、[(b−c)n−b]m−X、[(c−b)n−c]m−X、
(a−b)n、b−(a−b)n、a−(b−a)n、(a−b)m−X、(b−a)m−X、[(a−b)nm−X、[(b−a)nm−X、[b−(a−b)nm−X、[a−(b−a)nm−X、[(a−b)n−a]m−X、[(b−a)n−b]m−X、
(a−c)n、c−(a−c)n、a−(c−a)n、(a−c)m−X、(c−a)m−X、[(a−c)nm−X、[(c−a)nm−X、[c−(a−c)nm−X、[a−(c−a)nm−X、[(a−c)n−a]m−X、[(c−a)n−c]m−X、
c−(b−a)n、c−(a−b)n
c−(a−b−a)n、c−(b−a−b)n
a−c−(b−a)n、a−c−(a−b)n
a−c−(b−a)n−b、[(a−b−c)nm−X、
[a−(b−c)nm−X、[(a−b)n−c]m−X、
[(a−b−a)n−c]m−X、
[(b−a−b)n−c]m−X、[(c−b−a)nm−X、
[c−(b−a)n]m−X、[c−(a−b−a)nm−X、[c−(b−a−b)nm−X、
a−(b−c)n、a−(c−b)n
a−(c−b−c)n、a−(b−c−b)n
c−a−(b−c)n、c−a−(c−b)n
c−a−(b−c)n−b、[(c−b−a)nm−X、
[c−(b−a)nm−X、[(c−b)n−a]m−X、
[(c−b−c)n−a]m−X、
[(b−c−b)n−a]m−X、[(a−b−c)nm−X、
[a−(b−c)nm−X、[a−(c−b−c)nm−X、[a−(b−c−b)nm−X、
b−(a−c)n、b−(c−a)n
b−(c−a−c)n、b−(a−c−a)n
c−b−(a−c)n、c−b−(c−a)n
c−b−(a−c)n−a、[(c−a−b)nm−X、
[c−(a−b)nm−X、[(c−a)n−b]m−X、
[(c−a−c)n−b]m−X、
[(b−c−b)n−b]m−X、[(b−a−c)nm−X、
[b−(a−c)nm−X、[b−(c−a−c)nm−X、[b−(a−c−a)nm−X、
(b1−b2n−a、
a−(b1−b2n−a、
(b1−b2−b)n−a、
(b1−b2−a)n
(b1−b2−a)n−b、
(b1−b2−a−b)n
(b1−b2−a)m−X、
(b1−b2−a−b)m−X。
なお、上記各式において、aはビニル芳香族単量体単位を主体とするビニル芳香族重合体ブロック、bは共役ジエン単量体単位を主体とする共役ジエン重合体ブロック、b1及びb2は共役ジエン単量体単位を主体とする共役ジエン重合体ブロック(ただし、b1におけるビニル結合量がb2におけるビニル結合量より少ない。)、cは共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とのランダム共重合体ブロックを示す。nは1以上の整数であり、好ましくは1〜5の整数である。mは2以上の整数であり、好ましくは2〜11の整数である。Xはカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を示す。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は、柔軟性を向上させる観点から、b、b1又はb2ブロックを有する構造を主に含むことが好ましい。機械強度を向上させる観点からは、aブロックを有する構造が好ましく、a−b、a−b−a、a−b−a−b、b1−b2−a、a−b1−b2−a、b1−b2−a−b、及びb1−b2−b−aのうちの少なくとも1種の構造式で表される重合体であることがより好ましい。低べたつき性を向上させる観点から、aブロックを分子鎖内に2以上有する構造であると好ましく、b1ブロックが結晶性を有していても好ましく、a−b−a、a−b−a−b、b1−b2−a、a−b1−b2−a、b1−b2−a−b、及びb1−b2−b−aのうちの少なくとも1種の構造式で表される重合体であることがより好ましい。
また、変性共役ジエン系重合体のアンカー効果によって変性共役ジエン系重合体及びその組成物と極性樹脂を含む層との接着強度を向上させる観点からは、変性共役ジエン系重合体がaブロック及び/又は結晶性を有するb1ブロックを分子鎖内に少なくとも計2つ以上有する構造であることが好ましい。分子鎖内に物理架橋ブロックを2つ以上有することで、接着に関与する変性共役ジエン系重合体が変性共役ジエン系重合体の層又はその組成物の層から引き抜かれにくくなり、接着強度向上に寄与する傾向にある。
変性共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との接着性、及び変性共役ジエン系重合体組成物の流動性を一層向上させる観点から、変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)(以下、単に「Mw」ともいう。)は、8万以上60万以下であることが好ましく、10万以上40万以下であることがより好ましく、12万以上30万以下であることが更に好ましい。
変性共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定で得られるクロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線に基づいて求めた重量平均分子量(Mw)である。なお、検量線は、標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成すればよい。
変性前の共役ジエン系重合体の分子量分布も、同様にGPCによる測定から求めることができ、分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)(以下、単に「Mn」ともいう。)の比率(Mw/Mn)から求めることができる。
変性共役ジエン系重合体のGPCで測定される単一ピークの分子量分布(Mw/Mn)は、5.0以下であることが好ましく、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下、更により好ましくは2.5以下である。分子量分布は、上記の範囲内において、1.0以上2.0以下、又は1.1以上1.5以下であってもよい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物において、上述したビニル結合量、水素添加率、共役ジエン単量体単位又はビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量、変性基の含有量、ブチレン量及び/又はプロピレン量、並びに、分子量等の各パラメータや、共役ジエン単量体、ビニル芳香族単量体、及び変性基等の具体的な種類について、それぞれで説明する例示や好適な態様を任意に選択して組み合わせることができる。
また、本明細書中、任意のパラメータの数値範囲は、その例示、又は好ましい範囲等として記載されている上限値及び下限値を任意に組み合わせて得られる数値範囲とすることができる。
〔変性共役ジエン系重合体組成物〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、少なくとも、上記本実施形態の変性共役ジエン系重合体である変性共役ジエン系重合体(A)とポリオレフィン(B)とを含む。このように、変性共役ジエン系重合体組成物は、ポリオレフィン(B)を有することで、溶融時の流動性が向上し、また極性樹脂に対する接着性が向上する。また、変性共役ジエン系重合体(A)が水素添加されているため、変性共役ジエン系重合体(A)はポリオレフィン(B)との相容性に優れている。その結果、変性共役ジエン系重合体組成物は、機械強度、柔軟性、及び極性樹脂との接着性に優れている。変性共役ジエン系重合体(A)とポリオレフィン(B)との相容性を制御することで、変性共役ジエン系重合体組成物の機械強度、柔軟性、及び極性樹脂との接着性のバランスを向上させることができる。
(ポリオレフィン(B))
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、ポリオレフィンを含有する。
ポリオレフィンとは、ポリオレフィンと称される範疇に属するものであればいかなるものを用いてもよいが、変性共役ジエン系重合体組成物の機械強度を向上させる観点から、ポリプロピレン系樹脂、及びポリエチレン系樹脂が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、及びブロックポリプロピレンが挙げられる。
ここで、ランダムポリプロピレンにおける「ランダム」とは、プロピレンとプロピレン以外のモノマーを共重合したもので、プロピレン以外のモノマーがプロピレン連鎖中にランダムに取り込まれ、実質的にプロピレン以外のモノマーが連鎖しないものをいう。
ランダムポリプロピレンとしては、プロピレン単位の含有量が99質量%未満であれば特に限定されない。
ランダムポリプロピレンとしては、例えば、プロピレンと炭素数2〜20のα−オレフィン(ただしプロピレンを除く。)とのランダム共重合体が挙げられる。
プロピレンと炭素数2〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体におけるα−オレフィンとしては、以下に限定されないが、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンが挙げられる。α−オレフィンは、好ましくは、炭素数2〜8のα−オレフィン(ただしプロピレンを除く。)であり、例えば、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、及び4−メチル−1−ペンテンが挙げられる。これらのα−オレフィンは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、及びブロックポリプロピレンも、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、及びエチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体におけるα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン−1、イソブテン、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、及びオクテン−1が挙げられる。この場合、共重合体中のα−オレフィンの割合は30質量%以下であることが好ましい。
変性共役ジエン系重合体組成物の成形加工性を一層向上させる観点から、ポリオレフィン(B)としては、ポリプロピレン系樹脂が好ましい。変性共役ジエン系重合体との相容性を一層向上させる観点から、ポリオレフィン(B)は、より好ましくは、ホモポリプロピレン及びランダムポリプロピレンからなる群より選ばれる1種以上を含み、あるいは、ホモポリプロピレン及び/又はランダムポリプロピレンからなる。
ポリオレフィン(B)は、変性基を有していてもよく、例えば、酸無水物基、ヒドロキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸エステル基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、ウレタン基、ウレア基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシシラン基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基、及びイオン性基等の官能基を有していてもよい。ポリオレフィン(B)は、変性基を有していなくてもよい。
(共役ジエン系重合体(C))
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、接着性向上の観点から、上記の変性共役ジエン系重合体(A)とは別に、重量平均分子量が15万以上の共役ジエン系重合体(C)を含むことが好ましい。
共役ジエン系重合体(C)は、下記(i)〜(iii)の重合体ブロックからなる群より選ばれる2種以上の重合体ブロックを有することが好ましい。
(i)ビニル芳香族単量体単位が80質量%以上であるビニル芳香族重合体ブロック
(ii)共役ジエン単量体単位が80質量%以上である共役ジエン重合体ブロック
(iii)共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とのランダム共重合体ブロック
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、共役ジエン系重合体(C)として、上記(iii)の重合体ブロックを有する共役ジエン系重合体を少なくとも含むことが好ましい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、共役ジエン系重合体(C)として、上記(iii)の重合体ブロックを有する共役ジエン系重合体と、上記(i)の重合体ブロックを有する共役ジエン系重合体及び/又は上記(ii)の重合体ブロックを有する共役ジエン系重合体とを含んでいてもよい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、共役ジエン系重合体(C)として、上記(i)の重合体ブロック及び/又は上記(ii)の重合体ブロックを有する共役ジエン系重合体を含むことも好ましい。この場合、変性共役ジエン系重合体組成物は、上記(i)の重合体ブロック及び上記(ii)の重合体ブロックを有する共役ジエン系重合体を含んでいてもよく、上記(i)の重合体ブロック又は上記(ii)の重合体ブロックを有する共役ジエン系重合体を含んでいてもよい。
破断伸び、圧縮永久歪、及び/又は低温靭性を一層向上させるためには、上記(i)の重合体ブロックと上記(ii)の重合体ブロックをもつ共役ジエン系重合体(C)(さらに水素添加された、SEBSと呼ばれる共役ジエンブロックの一部が水素添加された重合体であってもよい。)を含むことが好ましく、極性樹脂との接着性、極性樹脂との剥離界面の剥離痕、制振性、及び/又は耐摩耗性を一層向上させるためには、上記(i)の重合体ブロックと上記(iii)の重合体ブロックをもつ共役ジエン系重合体(C)を含むことが好ましい。
(i)ビニル芳香族単量体単位が80質量%以上であるビニル芳香族重合体ブロックに含まれるビニル芳香族単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、及びN,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等のビニル芳香族化合物が挙げられる。
これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、ビニル芳香族単量体としては、好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、及び4−メチルスチレンであり、より好ましくはスチレンである。
(i)ビニル芳香族単量体が80質量%以上であるビニル芳香族重合体ブロックは、1種のビニル芳香族単量体単位から構成されていてもよいし、2種以上のビニル芳香族単量体単位から構成されていてもよい。
変性共役ジエン系重合体組成物を成形体としたときの強度を向上させる観点から、(i)ビニル芳香族重合体ブロックに含まれるビニル芳香族単量体単位の含有量は、80質量%以上であり、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。
(ii)共役ジエン単量体単位量が80質量%以上である共役ジエン重合体ブロックに含まれる共役ジエン単量体としては、以下に限定されるものではないが、1対の共役二重結合を有するジオレフィンが挙げられる。そのようなジオレフィンとしては、以下に限定されるものではなく、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及びファルネセンが挙げられる。これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、共役ジエン単量体としては、好ましくは、1,3−ブタジエン及びイソプレンが挙げられる。熱安定性の観点から、その中でも、共役ジエン単量体として、1,3−ブタジエンがより好ましい。
(ii)共役ジエン単量体単位が80質量%以上である共役ジエン重合体ブロックは、1種の共役ジエン単量体単位から構成されていてもよいし、2種以上の共役ジエン単量体単位から構成されていてもよい。
変性共役ジエン系重合体組成物の耐衝撃性向上の観点から、(ii)共役ジエン重合体ブロックに含まれる共役ジエン単量体単位の含有量は、80質量%以上であり、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。
(iii)共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とのランダム共重合体ブロックに含まれるビニル芳香族単量体及び共役ジエン単量体としては、(i)ビニル芳香族重合体ブロック、及び(ii)共役ジエン重合体ブロックに含まれ得るものとして例示したものが挙げられる。
(iii)共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とのランダム共重合体ブロックに含まれるビニル芳香族単量体の含有量は、ランダム共重合体ブロックの総質量に対して、30質量%以上80質量%未満であることが好ましい。
ビニル芳香族単量体単位の含有量が30質量%以上であると、変性共役ジエン系重合体組成物は、耐摩耗性、耐傷付き性に優れ、さらに極性樹脂との表面エネルギー差が小さくなり接着性が向上する傾向にある。ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%以下であると、変性共役ジエン系重合体組成物は、柔軟性及び反発性に優れる傾向にある。
ランダム共重合体ブロック中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、より好ましくは40質量%以上75質量%以下であり、さらに好ましくは45質量%以上70質量%以下である。
ランダム共重合体ブロック中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、ランダム共重合体ブロックを重合する前後のポリマーを抜き出して、紫外分光光度計によるビニル芳香族単量体単位の含有量の定量と、「四酸化オスミウム分解法」によるビニル芳香族重合体ブロック成分の定量を行い、その測定値から算出することができる。
ランダム共重合体ブロック中のビニル芳香族単量体単位の含有量は、重合工程におけるビニル芳香族単量体の添加量、添加するタイミングを調整することにより、上記数値範囲内に制御することができる。
(iii)ランダム共重合体ブロックにおけるビニル芳香族単量体単位の分布状態は特に限定されず、ビニル芳香族単量体単位は均一に分布していてもよく、又はテーパー状に分布していてもよい。また、ビニル芳香族単量体単位が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよく、ビニル芳香族単量体単位の含有量が異なるセグメントが複数個存在していてもよい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物が(iii)共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とのランダム共重合体ブロックを含む共役ジエン系重合体(C)を含む場合、ランダム共重合体ブロックに含まれる共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体との組成比を調整することにより、軟化剤との相容性をコントロールすることができるため好ましい。そのような態様によれば、常用時(低温状態)にオイルブリードを起こさず、かつ、成形加工時(高温状態)の流動性に優れる変性共役ジエン系重合体組成物を提供することができる傾向にある。
共役ジエン系重合体(C)においては、共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体の他、共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体と共重合可能な他の単量体を用いることもできる。
共役ジエン系重合体(C)の構造としては特に限定されるものではないが、例えば、下記式で表されるような構造を一部に有するか、下記式で表されるような構造であるものが挙げられる。
なお、下記式において、変性基の記載は省略している場合もある。
b、c、(b)m−X、(c)m−X、(b−c)n、c−(b−c)n、b−(c−b)n、(b−c)m−X、(c−b)m−X、[(b−c)nm−X、[(c−b)nm−X、[c−(b−c)nm−X、[b−(c−b)nm−X、[(b−c)n−b]m−X、[(c−b)n−c]m−X、
(a−b)n、b−(a−b)n、a−(b−a)n、(a−b)m−X、(b−a)m−X、[(a−b)nm−X、[(b−a)nm−X、[b−(a−b)nm−X、[a−(b−a)nm−X、[(a−b)n−a]m−X、[(b−a)n−b]m−X、
(a−c)n、c−(a−c)n、a−(c−a)n、(a−c)m−X、(c−a)m−X、[(a−c)nm−X、[(c−a)nm−X、[c−(a−c)nm−X、[a−(c−a)nm−X、[(a−c)n−a]m−X、[(c−a)n−c]m−X、
c−(b−a)n、c−(a−b)n
c−(a−b−a)n、c−(b−a−b)n
a−c−(b−a)n、a−c−(a−b)n
a−c−(b−a)n−b、[(a−b−c)nm−X、
[a−(b−c)nm−X、[(a−b)n−c]m−X、
[(a−b−a)n−c]m−X、
[(b−a−b)n−c]m−X、[(c−b−a)nm−X、
[c−(b−a)n]m−X、[c−(a−b−a)nm−X、[c−(b−a−b)nm−X、
a−(b−c)n、a−(c−b)n
a−(c−b−c)n、a−(b−c−b)n
c−a−(b−c)n、c−a−(c−b)n
c−a−(b−c)n−b、[(c−b−a)nm−X、
[c−(b−a)nm−X、[(c−b)n−a]m−X、
[(c−b−c)n−a]m−X、
[(b−c−b)n−a]m−X、[(a−b−c)nm−X、
[a−(b−c)nm−X、[a−(c−b−c)nm−X、[a−(b−c−b)nm−X、
b−(a−c)n、b−(c−a)n
b−(c−a−c)n、b−(a−c−a)n
c−b−(a−c)n、c−b−(c−a)n
c−b−(a−c)n−a、[(c−a−b)nm−X、
[c−(a−b)nm−X、[(c−a)n−b]m−X、
[(c−a−c)n−b]m−X、
[(b−c−b)n−b]m−X、[(b−a−c)nm−X、
[b−(a−c)nm−X、[b−(c−a−c)nm−X、[b−(a−c−a)nm−X、
(b1−b2n−a、
a−(b1−b2n−a、
(b1−b2−b)n−a、
(b1−b2−a)n
(b1−b2−a)n−b、
(b1−b2−a−b)n
(b1−b2−a)m−X、
(b1−b2−a−b)m−X。
なお、上記各一般式において、aはビニル芳香族単量体単位が80質量%以上であるビニル芳香族重合体ブロック、bは共役ジエン単量体単位が80質量%以上である共役ジエン重合体ブロック、b1及びb2は共役ジエン単量体単位が80質量%以上である共役ジエン重合体ブロック(ただし、b1におけるビニル結合量がb2におけるビニル結合量より少ない。)、cは共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とのランダム共重合体ブロックを示す。nは1以上の整数であり、好ましくは1〜5の整数である。mは2以上の整数であり、好ましくは2〜11の整数である。Xはカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を示す。
共役ジエン系重合体(C)は、柔軟性向上の観点から、b、b1又はb2ブロックを有する構造を主に含むことが好ましい。機械強度を向上させる観点からは、aブロックを有する構造が好ましく、a−b、a−b−a、a−b−a−b、(a−b)m−X、b1−b2−a、a−(b1−b2n−a、b1−b2−a−b、及びb1−b2−b−aのうちの少なくとも1種の構造式で表される重合体であることが好ましい。低べたつき性を向上させる観点からは、aブロックを分子鎖内に2以上有する構造であると好ましく、b1ブロックが結晶性を有していても好ましく、a−b−a、a−b−a−b、(a−b)m−X、b1−b2−a、a−b1−b2−a、b1−b2−a−b、及びb1−b2−b−aのうちの少なくとも1種の構造式で表される重合体であることがより好ましい。また、耐摩耗性、耐傷つき性、及び柔軟性のバランスを良好にする観点からは、cブロックを有する構造が好ましく、(a−c)m−X、[a−(b−c)nm−X、[a−(c−b−c)nm−X、及び[a−(b−c−b)nm−Xのうちの少なくとも1種の構造式で表される重合体であることが好ましい。
ところで、変性共役ジエン系重合体組成物を含む層と極性樹脂を含む層とが積層されている多層体又はその多層体を含む成形体において、変性共役ジエン系重合体組成物を含む層と極性樹脂を含む層との間の接着強度の判断指標として、上記の2つの層を剥離させたときに極性樹脂を含む層側の剥離面に変性共役ジエン系重合体組成物の剥離痕が残っているかどうかを確認することがある。すなわち、上記の2つの層の接着強度の程度を調べるために、上記の2つの層を貼り合わせた後で接着層(変性共役ジエン系重合体組成物を含む層)を基材(極性樹脂を含む層)から剥がし、剥離痕が残るかどうかというテストが利用される場合がある。共役ジエン系重合体(C)がcブロックを有する場合、特に、(a−c)m−X、[a−(b−c)nm−X、[a−(c−b−c)nm−X、及び[a−(b−c−b)nm−Xのうちの少なくとも1種の構造式で表される重合体である場合は、剥離痕が残りやすい傾向にあり、すなわち、変性共役ジエン系重合体組成物を含む層と極性樹脂を含む層との接着強度が高い傾向にある。
一方、多層体又はその多層体を含む成形体において、各層を分離して再利用する場合等は、上記の試験において剥離痕が残らない変性共役ジエン系重合体組成物を用いることが好ましく、そのような場合、共役ジエン系重合体(C)を、cブロックを有しない構成とすることが考えられる。
共役ジエン系重合体(C)の重量平均分子量(Mw)は、機械強度、及び耐摩耗性向上の観点から、15万以上100万以下であることが好ましく、20万以上80万以下であることがより好ましく、25万以上50万以下であることが更に好ましい。共役ジエン系重合体(C)の重量平均分子量(Mw)が100万以下であると、変性共役ジエン系重合体組成物の流動性が一層向上する。共役ジエン系重合体(C)の重量平均分子量は、40万以下、35万以下、又は30万以下であってもよい。
共役ジエン系重合体(C)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定で得られるクロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線に基づいて求めた重量平均分子量(Mw)である。なお、検量線は、標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成すればよい。
共役ジエン系重合体(C)を変性した場合の分子量分布も、同様にGPCによる測定から求めることができ、分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率(Mw/Mn)から求めることができる。
共役ジエン系重合体(C)のGPCで測定される単一ピークの分子量分布(Mw/Mn)は、5.0以下であることが好ましく、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下、更により好ましくは2.5以下である。分子量分布は、上記の範囲内において、1.0以上2.0以下、又は1.1以上1.5以下であってもよい。
共役ジエン系重合体(C)において、(i)ビニル芳香族重合体ブロック中のビニル芳香族単量体単位は、80質量%以上であり、変性共役ジエン系重合体組成物の機械強度及び柔軟性向上の観点から、より好ましくは90質量%以上であり、更に好ましくは、95質量%以上である。
共役ジエン系重合体(C)において、変性共役ジエン系重合体組成物の流動性及び柔軟性向上の観点から、水素添加前のビニル結合量は、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して、0mol%を超えることが好ましく、より好ましくは10mоl%以上90mol%以下であり、更に好ましくは15mоl%以上85mol%以下であり、更により好ましくは、18mоl%以上80mol%以下である。共役ジエン系重合体(C)のビニル結合量は、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して、60mol%以下、50mol%以下、40mol%以下、又は30mol%以下であってもよい。
共役ジエン系重合体(C)において、残存二重結合の水素添加率は、0mоl%以上100mоl%以下である。熱的に不安定な1,2−結合部分(ただし、3,4−結合でも重合体に組み込まれている場合には、1,2−結合部分及び3,4−結合部分)を水素化することで耐熱性を向上させる観点から、共役ジエン系重合体(C)における水素添加率は、好ましくは、20mоl%以上100mоl%以下であり、より好ましくは40mоl%以上100mоl%以下であり、更に好ましくは60mоl%以上100mоl%以下であり、更により好ましくは80mоl%以上100mоl%以下である。極性樹脂に接着させる際には高温で成形をすることが多く、共役ジエン系重合体(C)における水素添加率が上記の範囲である変性共役ジエン系重合体組成物は、耐熱性が向上するため好ましい。
共役ジエン系重合体(C)は変性されていてもよい。共役ジエン系重合体(C)が変性されている場合、その変性基の好ましい態様は、上述した変性共役ジエン系重合体(A)の好ましい態様と同様であり、より好ましくは、その変性基は変性共役ジエン系重合体(A)と同一の変性基である。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物において、接着性向上及びべたつき抑制の観点から、変性共役ジエン系重合体(A)の含有量は、変性共役ジエン系重合体組成物のフィラーを除く成分の総量に対して、5質量%以上80質量%以下が好ましい。その含有量は、より好ましくは10質量%以上70質量%以下、更に好ましくは15質量%以上60質量%以下、更により好ましくは20質量%以上50質量%以下、更に一層好ましくは23質量%以上45質量%以下、特に好ましくは25質量%以上40質量%以下である。変性共役ジエン系重合体(A)の含有量は、上記の範囲内において、30質量%以下であってもよい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物において、強度及び流動性を向上させる観点から、共役ジエン系重合体(C)の含有量は、変性共役ジエン系重合体組成物のフィラーを除く成分の総量に対して、0質量%以上50質量%以下が好ましい。その含有量は、より好ましくは5質量%以上40質量%以下、更に好ましくは10質量%以上30質量%以下、更により好ましくは15質量%以上25質量%以下である。共役ジエン系重合体(C)の含有量は、上記の範囲内において、20質量%以上であってもよい。
ポリオレフィン(B)の含有量は、後述の〔変性共役ジエン系重合体組成物の製造方法〕に記載のように、変性共役ジエン系重合体(A)の含有量との比を考慮して決めることができる。ポリオレフィン(B)の含有量は、変性共役ジエン系重合体組成物のフィラーを除く成分の総量に対して、例えば3質量%以上30質量%以下、5質量%以上25質量%以下、又は10質量%以上20質量%以下である。ポリオレフィン(B)の含有量は、上記の範囲内において、15質量%以下であってもよい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、柔軟性向上の観点から軟化剤を含むことが好ましい。
軟化剤としては、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、芳香族系オイル、パラフィンワックス、流動パラフィン、ホワイトミネラルオイル、及び植物系軟化剤が挙げられる。
これらの中でも、変性共役ジエン系重合体組成物及びその成形体の低温特性及び耐ブリード性向上等の観点から、パラフィン系オイル、流動パラフィン、及びホワイトミネラルオイルがより好ましい。
変性共役ジエン系重合体組成物における軟化剤の40℃における動粘度は、好ましくは500mm2/秒以下である。軟化剤の40℃における動粘度の下限値は特に限定されないが、10mm2/秒であることが好ましい。軟化剤の40℃における動粘度が500mm2/秒以下であると、変性共役ジエン系重合体組成物の流動性がより向上し、成形加工性がより向上する傾向にある。軟化剤の動粘度は、ガラス製毛管式粘度計を用いて試験する方法等によって測定することができる。
変性共役ジエン系重合体組成物において、軟化剤の配合量は、変性共役ジエン系重合体(A)及び共役ジエン系重合体(C)の合計量100質量部に対して0質量部以上200質量部以下であることが好ましい。柔軟性向上の観点及びオイルブリード抑制の観点から、軟化剤の配合量は、より好ましくは5質量部以上170質量部以下、更に好ましくは30質量部以上150質量部以下、更により好ましくは40質量部以上140質量部以下、特に好ましくは50質量部以上130質量部以下である。軟化剤の配合量は、上記の範囲内において、100質量部以下、又は90質量部以下であってもよい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物の流動性は特に限定されないが、成形性の観点から230℃、2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)が、10g/10min以上であることが好ましい。より好ましくは接着性の向上の観点から、15g/10min以上であり、成形品の外観をよくするという観点から、20g/10min以上であり、成形品の薄肉化という観点から、25g/10min以上又は30g/10min以上であり、成形温度の低温下という観点から50g/10min以上であり、更に好ましくは100g/10min以上である。メルトフローレートの上限値は特に限定されず、例えば300g/10min、200g/10min、又は150g/10minであってよい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、組成物のコストダウン、並びに難燃性及び接着性向上の観点からフィラーを含むことが好ましい。フィラーとしては、以下に限定されるものではなく、例えば、タルク、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸亜鉛、ウォラスナイト、ゼオライト、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、クレー、酸化チタン、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、ハイドロタルサイト、硫酸バリウム、チタンブラック、並びにファーネスブラック、サーマルブラック、及びアセチレンブラックのようなカーボンブラックが挙げられる。
これらのフィラーは1種のみを単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、フィラーとして、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、及びクレーが好ましく、タルク、及び炭酸カルシウムがより好ましい。
変性共役ジエン系重合体組成物において、フィラーの含有量は、変性共役ジエン系重合体組成物全体に対して、好ましくは0質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは0質量%以上40質量%以下である。変性共役ジエン系重合体組成物がフィラーを含む場合、変性共役ジエン系重合体組成物の引張弾性率及び100%モジュラス等のような機械特性が一層向上する傾向にある。フィラーの含有量は、上記の範囲内において、35質量%以下又は30質量%以下であってもよい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は上述した成分以外の添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、オイル、フィラー、熱安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、酸化防止剤、耐候剤、光安定剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、分散剤、銅害防止剤、中和剤、気泡防止剤、ウェルド強度改良剤、天然油、合成油、及びワックス等の添加剤が挙げられる。また、他のエラストマーや熱可塑性樹脂も任意の割合で添加剤として使用してもよい。
これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物において、各成分の例示や好ましい態様は任意に組み合わせることができ、各成分の含有量も特に言及する場合を除いて、それぞれを独立に選択することができる。
〔多層体〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物は、極性樹脂と共に多層体を形成することができる。本実施形態の多層体は、極性樹脂を含む層と、その層上に積層されている上述した変性共役ジエン系重合体組成物を含む層とを備える。
極性樹脂としては、特に制限はないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ABS、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルのようなポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルのようなポリメタクリル酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、及びポリウレタンが挙げられる。極性樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
これらの中でも、極性樹脂として、多層体の機械強度、耐熱性、及び耐薬品性向上の観点から、ABS、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリフェニレンスルフィドが好ましい。変性共役ジエン系重合体組成物との接着性向上の観点から、極性樹脂は、ABS、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリカーボネート、及びポリフェニレンスルフィドがより好ましく、耐摩耗性の観点からポリアミドが更に好ましい。
ポリアミドは原料となるジアミン及び二塩基酸の炭素原子数、又はラクタムモノマーの炭素原子数で識別される。ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミドMXD6(ジアミンがメタキシレンジアミンである。)、ポリアミド46、ポリアミド6T(Tは、二塩基酸がテレフタル酸であることを示す。)、ポリアミド9T、ポリアミド10T、ポリアミド11T、ポリアミド6I、ポリアミド6/66(/はポリアミド6とポリアミド66との共重合体であることを示す。以下同様。)、ポリアミド6/6T、ポリアミド66/6T、ポリアミド66/6I、ポリアミド66/6I/6、ポリアミド6T/6I、ナイロン6T/11、ポリアミド6T/12、ポリアミド66/6T/6I、ポリアミド6T/5T、ポリアミド6T/M5T、ポリアミドナイロン5T/10T、ポリアミド10T/612、ポリアミド10T/66、及びこれらのブレンドが挙げられる。典型的なポリアミドとしては、ポリアミド6及びポリアミド66が挙げられる。これらのポリアミドの重量平均分子量は好ましくは5千以上20万以下であり、耐熱性及び成形性向上の観点から、より好ましくは1万以上15万以下、更に好ましくは2万以上10万以下である。
ポリフェニレンスルフィドは、ポリフェニレンスルフィドと称される範疇に属するものであればいかなるものを用いてもよい。多層体の耐熱性向上の観点から、その構成単位として、p−フェニレンスルフィド単位を70モル%以上含有しているものが好ましく、90モル%以上含んでいるものがより好ましい。
また、他の構成単位としては、例えば、o−フェニレンスルフィド単位、m−フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、ジフェニレンスルフィド単位、置換基含有フェニレンスルフィド単位、及び分岐構造含有フェニレンスルフィド単位を含んでいてもよい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂は直鎖状であってもよく、架橋又は分岐構造であってもよい。
また、ポリフェニレンスルフィド樹脂は、ポリマー構造中にチオール基やカルボキシル基等の官能基を末端及び/又は主鎖に有していてもよい。
ポリフェニレンスルフィド樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、一般的に知られている製造方法として、重合溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物とを反応させる製造方法が挙げられる。
極性樹脂を含む層は、極性樹脂に加えて、充填剤を含んでいてもよい。
極性樹脂を含む層における充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、ガラス球、ガラス中空球、炭素繊維、セルロースナノファイバー、ワラストナイト、チタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、セピオライト、ゾノトライト、酸化亜鉛ウィスカー等のような繊維状の無機充填剤、タルク、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸亜鉛、ウォラスナイト、ゼオライト、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、クレー、酸化チタン、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、ハイドロタルサイト、硫酸バリウム、チタンブラック、並びにファーネスブラック、サーマルブラック、及びアセチレンブラック等のようなカーボンブラック等が挙げられる。
これらの中でも、多層体の強度、剛性、及び耐熱性を高めやすいことから、繊維状充填剤が好ましく、ガラス繊維、炭素繊維、セルロースナノファイバー、及びワラストナイトがより好ましい。
繊維状充填剤は、極性樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する化合物で表面処理されていてもよい。
繊維状充填剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本実施形態の多層体は、変性共役ジエン系重合体組成物を含む層及び極性樹脂を含む層をそれぞれ1層以上ずつ含んでいれば、積層の層数に特に限定はないが、柔軟で良好な質感を付与する観点から、好ましくは変性共役ジエン系重合体組成物を含む層を最外層として1層又は2層以上含むことが好ましい。
多層体の層形成方法は特に限定はないが、従来公知の方法、例えば、押出成形、射出成形(インサート成形)、二色射出成形、サンドイッチ成形、中空成形、圧縮成形、真空成形、回転成形、パウダースラッシュ成形、発泡成形、積層成形、カレンダー成形、及びブロー成形を用いることができる。本実施形態の多層体において、変性共役ジエン系重合体組成物を含む層が、極性樹脂を含む層に熱融着されていると好ましい。多層体の製造方法の詳細は後述する。
〔成形体〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との多層体は、成形体とすることができる。すなわち、本実施形態の成形体は、変性共役ジエン系重合体組成物を含む層と極性樹脂を含む層とを備える多層体を含むものである。
本実施形態の成形体は、自動車部品、工具、玩具、電気・電子機器部品、医療器具、建材・配管部材、カトラリー、生活・化粧用品、工業部品、各種ホース、各種筐体、各種モジュールケース、各種パワーコントロールユニット部品、筆記具、ロボットハンド、及び医療器具等の各種用途に応じた形状とすることができる。
これらの中でも持ち手を有するもの及び人が触れてグリップ力や良触感を必要とするものが好ましい。そのような成形体としては、工具、電線、コネクター、ハンディー電子機器、歯ブラシ、シェーバー、並びにボールペン、タッチペン、及びスタイラスペンのようなペン、並びにフォーク、ナイフ、及びスプーンのようなカトラリー、並びにグリップ部を有する自動車内装部材が挙げられ、中でも使用時の振動で人体にかかる負荷の大きい電動工具が好ましい。
本実施形態の効果を有効かつ確実に奏する観点から、本実施形態の成形体は、変性共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との多層体が、グリップ部を構成することが好ましい。より具体的には、その多層体が、工具のグリップ、電線被覆部材、コネクター筐体、ハンディー電子機器のグリップ、歯ブラシのグリップ、シェーバーのグリップ、カトラリーのグリップ、筆記具のグリップ、ロボットハンドのグリップ部、及び自動車内装部材のグリップ部から選択される少なくとも1種を構成することが好ましい。なお、「ロボットハンドのグリップ部」とは、ロボットハンドにおける、ロボットハンドが掴もうとする対象物を掴むために対象物と接触する部分を意味する。
図1は、本実施形態の成形体の一態様である電動ドリル10を示す。電動ドリル10は、極性樹脂を含む電動ドリル筐体11と、電動ドリルのグリップ部12とを備える。電動ドリルのグリップ部12が、変性共役ジエン系重合体組成物を含むことにより、電動ドリル10の使用時にかかる使用者の体への負担を軽減することができる。
図2は、本実施形態の成形体の一態様であるカトラリー20を示す。カトラリー20は、極性樹脂を含むカトラリーの本体21と、カトラリーのグリップ部22とを備える。カトラリーのグリップ部22が、変性共役ジエン系重合体組成物を含むことにより、カトラリー20の操作が容易となる。
図3は、本実施形態の成形体の一態様である携帯電話筐体30を示す。携帯電話筐体30は、極性樹脂を含む携帯電話筐体の本体31と、携帯電話筐体のグリップ部32とを備える。携帯電話筐体のグリップ部32が、変性共役ジエン系重合体組成物を含むことにより、携帯電話筐体30は使用者に良触感を与える。
図4は、本実施形態の成形体の一態様である工具の1種であるカッター40を示す。工具(カッター)40は、極性樹脂を含むカッター筐体41と、カッターのグリップ部42とを備える。カッターのグリップ部42が、変性共役ジエン系重合体組成物を含むことにより、カッター40の使用の際の安全性が向上する。
〔変性共役ジエン系重合体の製造方法〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体の製造方法は、以下に限定されないが、例えば、下記のような重合工程と、変性工程と、水素添加工程を有するものであってもよい。
重合工程とは、特に限定されないが、例えば、有機溶媒中で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として、共役ジエン化合物を単独で、あるいは共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とを重合させることにより、単独重合体、ランダム共重合体、及び/又はブロック共重合体を得る工程である。
水素添加工程とは、特に限定されないが、例えば、重合工程により得られた共役ジエン系重合体に水素添加する工程である。
変性工程とは、特に限定されないが、例えば、水素添加工程により水素添加された共役ジエン系重合体と変性剤とを反応させることにより、変性反応を行い、変性共役ジエン系重合体を得る工程である。あるいは、水素添加される前の共役ジエン系重合体と変性剤とを反応させる工程であってもよい。
なお、水素添加工程と変性工程との順序は、特に限定されない。すなわち、重合工程、水素添加工程、変性工程の順であってもよく、重合工程、変性工程、水素添加工程の順であってもよい。上述した変性共役ジエン系重合体を一層容易に得ることができる観点からは、重合工程、水素添加工程、変性工程の順であることが好ましい。
また、変性工程は、後述するように重合工程と並行してもよい。
(重合工程)
重合工程とは、例えば、有機溶媒中で有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として、共役ジエン化合物を単独で、あるいは共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物を重合させることにより、単独重合体、ランダム共重合体、及び/又はブロック共重合体を得る工程である。
重合の態様としては、バッチ重合であってもよく、連続重合であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。耐衝撃性及び靭性に影響を及ぼす変性共役ジエン系重合体組成物中の分散相のサイズを一定にするという観点からは、分子量分布が狭くなるバッチ重合方法を用いることが好ましい。
重合工程における反応温度は、0℃以上180℃以下であってもよい。一層容易に本実施形態の変性共役ジエン系重合体を得ることができる観点から、反応温度は、20℃以上160℃以下が好ましく、30℃以上150℃以下がより好ましい。
重合工程における反応時間は目的とする重合体によって異なるが、48時間以内であってもよい。一層容易に本実施形態の変性共役ジエン系重合体を得ることができる観点から、反応時間は、0.1時間以上10時間以内が好ましい。分子量分布が狭く、高い強度を有する変性共役ジエン系重合体を得る観点から、反応時間は、0.5時間以上5時間以内がより好ましい。
重合工程における重合系の雰囲気は、窒素及び溶媒を液相に維持するために十分な圧力の範囲であればよく、特に限定されるものではない。
重合系内には、重合開始剤及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、及び炭酸ガスが存在しないことが好ましい。
有機溶媒としては、以下に限定されないが、例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、及びn−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロへプタン、及びメチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素類;並びにベンゼン、キシレン、トルエン、及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。
重合開始剤である有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好ましい。
有機リチウム化合物としては、例えば、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、及び有機ポリリチウム化合物が挙げられる。
有機リチウム化合物としては、以下に限定されないが、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルリチウム、イソプロペニルジリチウム、及びリチウムピペリジドが挙げられる。
リチウムピペリジドのように、窒素原子を含む有機リチウム化合物を重合開始剤とする場合、窒素原子を有する変性共役ジエン系重合体が得られる。
これらの重合開始剤は1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、重合活性向上の観点から、重合開始剤は、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、及びリチウムピペリジドが好ましい。
重合開始剤である有機アルカリ金属化合物の使用量は、目的とする変性共役ジエン系重合体の分子量によるが、典型的には0.01phm以上1.5phm以下(ここで、phmは、単量体100質量部当たりに対する質量部を示す。以下同様。)の範囲であることが好ましく、0.02phm以上0.3phm以下の範囲であることがより好ましく、0.03phm以上0.2phm以下の範囲であることが更に好ましい。
変性共役ジエン系重合体のビニル結合量は、ルイス塩基、例えばエーテル、及びアミン等の化合物を、ビニル化剤として添加することにより制御することができる。
また、目的とするビニル結合量に応じて、ビニル化剤の使用量を調整することができる。
ビニル化剤としては、以下に限定されないが、例えば、エーテル化合物、及び第3級アミン系化合物が挙げられる。
エーテル化合物としては、例えば、直鎖状エーテル化合物及び環状エーテル化合物が挙げられる。
直鎖状エーテル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、及びエチレングリコールジブチルエーテルのようなエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類、並びにジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、及びジエチレングリコールジブチルエーテルのようなジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類が挙げられる。
また、環状エーテル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2,5−ジメチルオキソラン、2,2,5,5−テトラメチルオキソラン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、及びフルフリルアルコールのようなアルキルエーテルが挙げられる。
第3級アミン系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’−ジオクチル−p−フェニレンジアミン、ピリジン、テトラメチルプロパンジアミン、及びビス[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]エーテルが挙げられる。
第3級アミン系化合物としては、アミンを2個有する化合物が好ましい。更に、それらの中でも、第3級アミン系化合物として、分子内で対称性を示す構造を有するものがより好ましく、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ビス[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]エーテル、及び1,2−ジピペリジノエタンが更に好ましい。
これらビニル化剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合工程においては、上述したビニル化剤、及び有機リチウム化合物に加えて、アルカリ金属アルコキシドの共存下、共役ジエン単量体を単独で、あるいは共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とを重合してもよい。
ここで、アルカリ金属アルコキシドとは、一般式MOR(式中、Mはアルカリ金属、Rはアルキル基を示す。)で表される化合物である。
重合工程においてアルカリ金属アルコキシドを共存させることにより、ビニル結合量、分子量分布、重合速度、及びブロック率等の制御が容易になる傾向にある。
アルカリ金属アルコキシドのアルカリ金属としては、高いビニル結合量、狭い分子量分布、高い重合反応速度、及び高いブロック率を得ることができる観点から、ナトリウム又はカリウムであることが好ましい。
アルカリ金属アルコキシドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭素数2〜12のアルキル基を有するナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、及びカリウムアルコキシドが挙げられる。アルカリ金属アルコキシドとして好ましくは、炭素数3〜6のアルキル基を有するナトリウムアルコキシド及びカリウムアルコキシドであり、より好ましくは、ナトリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ペントキシド、カリウムt−ブトキシド、及びカリウムt−ペントキシドである。
これらの中でも、ナトリウムt−ブトキシド、及びナトリウムt−ペントキシドが更に好ましい。
(水素添加工程)
水素添加工程とは、共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体に水素添加する工程である。水素添加工程における水素添加方法は特に限定されないが、例えば、上記重合工程で得られた共役ジエン系重合体に対し、水素化触媒の存在下、水素ガスを供給し、水素添加する方法が挙げられる。変性共役ジエン系重合体の製造方法がそのような水素添加工程を有することにより、共役ジエン単量体単位中の二重結合残基が水素添加され、熱的に一層安定な水素化共役ジエン系重合体を得ることができる。
水素添加率は、例えば、水素添加時の触媒量及び水素ガスの供給(以下、「フィード」ともいう。)量等によって制御することができる。また、水素添加速度は、例えば、水素添加時の触媒量、水素ガスの供給量、水素ガスの圧力及び反応温度等によって制御することができる。水素添加工程は、上記重合工程における共役ジエン系重合体の生成反応停止後のタイミングで実施することが好ましい。
水素添加反応終了後、安定剤を添加してもよい。安定剤としては、特に限定されないが、例えば、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられる。
(変性工程)
変性工程とは、変性基を有する共役ジエン系重合体を得る工程であれば特に限定されないが、例えば、共役ジエン系重合体及び/又は水素化共役ジエン系重合体と変性剤とを反応させることにより変性共役ジエン系重合体を得る工程である。これにより、得られる変性共役ジエン系重合体は、変性基を有するものとなる。
変性工程は、上述した重合工程と並行してもよい。そのような変性反応方法としては、特に限定されないが、例えば、重合工程における重合反応において極性樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する重合開始剤を用いる方法;及び、重合工程における重合反応において極性樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する不飽和単量体を用いる方法が挙げられる。また変性反応方法としては、重合工程における重合反応により得られた共役ジエン系重合体のリビング末端に、極性樹脂に対する親和性基又は反応性基を形成若しくは含有する変性剤を付加する方法を用いてもよい。
「極性樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する重合開始剤」としては、以下に限定されるものではないが、例えば、3−リチオ−1−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]アミノプロパン、2−リチオ−1−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]アミノエタン、3−リチオ−2,2−ジメチル−1−[N,N−ビス(トリメチルシリル)]アミノプロパン、2,2,5,5−テトラメチル−1−(3−リチオプロピル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、2,2,5,5−テトラメチル−1−(3−リチオ−2,2−ジメチル−プロピル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、2,2,5,5−テトラメチル−1−(2−リチオエチル)−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンタン、3−リチオ−1−[N−(tert−ブチル−ジメチルシリル)−N−トリメチルシリル]アミノプロパン、3−リチオ−1−(N−メチル−N−トリメチルシリル)アミノプロパン、3−リチオ−1−(N−チル−N−トリメチルシリル)アミノプロパン、及びリチウムピペリジドが挙げられる。
「極性樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する不飽和単量体」としては、以下に限定されるものではないが、例えば、p−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]スチレン、p−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]スチレン、p−{2−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]エチル}スチレン、m−[N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノ]スチレン、p−(N−メチル−N−トリメチルシリルアミノ)スチレン、及びp−(N−メチル−N−トリメチルシリルアミノメチル)スチレンが挙げられる。
「極性樹脂に対する親和性基又は反応性基を形成若しくは含有する変性剤」としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ε−カプロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、及びN−メチルピロリドンが挙げられる。
変性基を導入する他の方法としては、例えば、共役ジエン系重合体に、有機リチウム化合物等の有機アルカリ金属化合物を反応(メタレーション反応)させることで、有機アルカリ金属が付加した重合体を得て、該有機アルカリ金属が付加した重合体に極性樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する変性剤を付加させる方法が挙げられる。
また、変性基を導入する更に他の方法としては、例えば、共役ジエン系重合体に、極性樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する原子団をグラフト付加する方法が挙げられる。
そのような方法は、共役ジエン系重合体に直接グラフト付加する方法であってもよく、一次変性基が導入された共役ジエン系重合体を、更に極性樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する原子団と反応させる(二次変性)方法であってもよい。
「極性樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する原子団」としては、以下に限定されるものではないが、例えば、α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体を含む分子単位が挙げられる。α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、例えば、マレイン酸、ハロゲン化マレイン酸、イタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ〔2,2,1〕−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸等、及びこれらジカルボン酸の無水物;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等、及びこれらモノカルボン酸のエステル(例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸グリシジル、及びメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル等);並びにアルコキシシラン化合物(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルジエトキシエチルシラン、ビニルジプロポキシプロピルシラン、及びビニルジブトキシブチルシラン等)が挙げられる。これらの中でも、好ましくは無水物であり、反応性向上の観点から、無水マレイン酸がより好ましい。
α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体を含有する分子単位の付加量は、変性共役ジエン系重合体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは0.2質量部以上10質量部以下であり、更に好ましくは0.3質量部以上5.0質量部以下であり、更により好ましくは0.3質量部以上2.0質量部以下であり、更に一層好ましくは0.3質量部以上1.3質量部以下であり、特に好ましくは0.7質量部以上1.3質量部以下である。
極性樹脂組成物との相容性向上の観点から、その付加量は、0.1質量部以上であることが好ましい。一方、変性共役ジエン系重合体組成物の流動性向上の観点から、その付加量は、20質量部以下であることが好ましい。また、水素添加前のビニル結合量が高い変性共役ジエン系重合体は、α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体を含有する分子単位の付加量が低くなる傾向にあるが、接着強度向上の観点からは、その付加量は高くてもよい。本実施形態の製造方法において適宜変性方法を調整することによりその付加量を上げてもよい。
グラフト付加の方法としては、例えば、ラジカル開始剤、共役ジエン系重合体、及びα、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物を含む溶液中でこれらを反応させる方法;ラジカル開始剤、共役ジエン系重合体、及びα、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物を加熱溶融下又は加熱未溶融下で反応させる方法;共役ジエン系重合体、及びα、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物を加熱溶融下又は加熱未溶融下で反応させる方法;共役ジエン系重合体及びα、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物のいずれにも反応し結合形成する化合物と、共役ジエン系重合体と、α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物とを含む溶液中でこれらを反応させる方法;共役ジエン系重合体及びα、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物のいずれにも反応し結合形成する化合物と、共役ジエン系重合体と、α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物とを加熱溶融下又は加熱未溶融下で反応させる方法が挙げられる。
好ましくは、ラジカル開始剤、共役ジエン系重合体、及びα、β−不飽和カルボン酸基又はその誘導体基を含有する化合物を加熱溶融下又は加熱未溶融下で反応させる方法であり、より好ましくは又は加熱溶融下で反応させる方法である。
ラジカル開始剤、共役ジエン系重合体、及びα、β−不飽和カルボン酸基又はその誘導体基を含有する化合物を加熱溶融下で反応させる方法としては、例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、及び多軸スクリュー押出機のような一般的な混和機を用いて、各成分を溶融混練する方法が挙げられる。好ましくは、コストと生産安定性の観点から、単軸、二軸又は多軸スクリュー押出機を用いる方法であり、より好ましくは二軸スクリュー押出機を用いる方法である。
ラジカル開始剤、共役ジエン系重合体、及びα、β−不飽和カルボン酸基又はその誘導体基を含有する化合物は、ドライブレンドして一括投入してもよく、原料ごとに別フィードとしてもよく、同一の原料を複数回に分けて添加してもよい。
スクリューの回転数は、α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物を共役ジエン系重合体中に均一に付加させる観点から、50rpm以上400rpm以下であることが好ましく、より好ましくは、100rpm以上350rpm以下である。また、せん断による樹脂の劣化を抑制し、α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物を共役ジエン系重合体中に均一に付加する観点から、その回転数は、好ましくは、150rpm以上300rpm以下である。
混練温度は、共役ジエン系重合体が溶融する温度かつラジカル開始剤からラジカルが発生する温度であれば特に限定されないが、好ましくは100℃以上350℃以下である。α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物の付加量の制御及び熱による樹脂の劣化を抑制するという観点から、その混練温度は、より好ましくは120℃以上300℃以下であり、更に好ましくは150℃以上250℃以下である。
酸素によるラジカル活性種の失活を抑制するため、窒素などの不活性ガス雰囲気下で溶融混練してもよい。
グラフト付加におけるラジカル開始剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、及びパーオキシジカーボネート類が挙げられる。その中でも、好ましくは、1分半減期温度が混練温度域内にあるラジカル開始剤である。より好ましくは1分半減期温度が150℃以上250℃以下にあるラジカル開始剤であり、そのようなラジカル開始剤として、例えば、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン,t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾネート、n−ブチル−4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、p−メタンハイドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、及び1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキシドが挙げられる。共役ジエン系重合体との相容性向上の観点から、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3がより好ましい。
α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物のmоl当量は、ラジカル開始剤に対して、好ましくは、300mоl当量以下であり、より好ましくは200mоl当量以下であり、よりこのましくは100mоl当量以下である。そのmol当量が上記の範囲内であることにより、共役ジエン系重合体100質量部に対し、α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体基を含有する化合物を0質量部より多く20質量部程度まで一層容易に付加させることができる。
一次変性基が導入された共役ジエン系重合体を、更に極性樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する原子団により二次変性する場合の反応方法は特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。例えば、一次変性共役ジエン系重合体と極性樹脂に対する親和性基又は反応性基を有する原子団とをドライブレンドした後、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、及び多軸スクリュー押出機のような一般的な混和機を用いて各成分を溶融混練する方法、並びに各成分を溶剤に溶解又は分散混合後、その溶剤を加熱除去する方法が挙げられる。
これらの中でも、生産性及び良混練性向上の観点から、押出機による溶融混練法が好ましい。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体は適当な形状に成形してもよく、その形状としては特に制限されないが、ペレット状、クラム状、パウダー状、シート状、ストランド状、及びチップ状が挙げられる。また、溶融混練後、直接成形品の形状に成形してもよい。
ペレット化の方法としては、例えば、一軸又は二軸押出機から変性共役ジエン系重合体をストランド状に押出して、ダイ部前面に設置された回転刃により、水中で切断する方法(アンダーウォーターカット);一軸又は二軸押出機から変性共役ジエン系重合体をストランド状に押出して、水冷又は空冷した後、ストランドカッターにより切断する方法;並びに、オープンロール又はバンバリーミキサーにより変性共役ジエン系重合体を溶融混合した後、ロールによりシート状に成型し、更に該シートを短冊状にカットした後、ペレタイザーにより立方状ペレットに切断する方法が挙げられる。
なお、ペレットの大きさ、形状は特に限定されないが、ペレット同士が接着することを抑制する観点から、ストランドをストランドの長軸に対して垂直に切断して得られる円柱状のペレットよりも、球状に近いペレットの方が、ペレット同士の接着面が小さく抑えられるため好ましい。球状に近いペレットの一般的な製造方法としては、例えば、アンダーウォーターカット及びセンターホットカット等が挙げられる。
変性共役ジエン系重合体のペレットは、ペレットブロッキングの抑制を目的として、ブロッキング防止剤を含んでいてもよい。
ブロッキング防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビスステアリルアミド、タルク、及びアモルファスシリカが挙げられる。
得られる変性共役ジエン系重合体組成物、多層体、及びその多層体を含む成形体の透明性を向上させる観点から、ブロッキング防止剤として、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレンビスステアリルアミドが好ましい。更に、変性共役ジエン系重合体と極性樹脂との熱融着性を向上させる観点から、ブロッキング防止剤としては、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレン及びポリプロピレンが好ましい。
ブロッキング防止剤の好ましい使用量としては、変性共役ジエン系重合体に対して500ppm以上8000ppm以下である。変性共役ジエン系重合体のペレットを長期保管した際にペレットブロッキングを抑制する観点及び変性共役ジエン系重合体のペレットを使用した際にブロッキング防止剤が飛散することを低減する観点から、ブロッキング防止剤の使用量は、より好ましくは、変性共役ジエン系重合体に対して1000ppm以上7000ppm以下である。ブロッキング防止剤は、ペレット表面に付着した状態で配合されていることが好ましいが、ペレット内部に含まれていてもよい。
〔変性共役ジエン系重合体組成物の製造方法〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。
例えば、上述した変性共役ジエン系重合体(A)及びポリオレフィン(B)等の各成分を、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、及び多軸スクリュー押出機のような一般的な混和機を用いて溶融混練する方法、並びに各成分を溶剤に溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法が挙げられる。
生産性、良混練性の観点から、これらの中でも、押出機による溶融混練法が好ましい。特に、2軸以上の多軸スクリューで混錬して十分に混錬することで、変性共役ジエン系重合体(A)とポリオレフィン(B)との相容状態が全体として均一になり、変性共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との接着界面全体に一層一様な接着力が得られる。このため、成形体において、極性樹脂を含む層の表面の全ての部分に変性共役ジエン系重合体組成物を好適に接着することができる。
混練時の最大樹脂温度としては、変性共役ジエン系重合体(A)及びポリオレフィン(B)並びに共役ジエン系重合体(C)が溶融する温度であればよく、120℃以上350℃以下が好ましい。それらの各成分が混錬時のせん断発熱等の熱により劣化することを抑制する観点から、最大樹脂温度は、より好ましくは、180℃以上300℃以下である。
変性共役ジエン系重合体(A)の酸化を抑制するため、窒素などの不活性ガス雰囲気下で溶融混練してもよい。
押出機を用いて変性共役ジエン系重合体組成物を製造する場合、変性共役ジエン系重合体(A)、ポリオレフィン(B)、及びその他の成分をフィードする位置や順序は特に限定されない。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物における、変性共役ジエン系重合体(A)とポリオレフィン(B)との質量組成比は、特に限定されない。極性樹脂に対して熱融着性を有しないポリオレフィンの結晶ドメインによって熱融着性が低下することを、変性共役ジエン系重合体(A)がポリオレフィン(B)と相容することにより抑制する観点から、変性共役ジエン系重合体組成物は、ポリオレフィン(B)よりも変性共役ジエン系重合体(A)を多く含むことが好ましい。変性共役ジエン系重合体組成物において、好ましくは、変性共役ジエン系重合体(A)の含有量がポリオレフィン(B)の含有量の1.2倍以上である。変性共役ジエン系重合体組成物の流動性向上の観点から、より好ましくは、変性共役ジエン系重合体(A)の含有量がポリオレフィン(B)の含有量の1.5倍以上である。変性共役ジエン系重合体組成物の柔軟性向上の観点から、更に好ましくは変性共役ジエン系重合体(A)の含有量がポリオレフィン(B)の含有量の2倍以上である。
また、ポリオレフィン(B)の含有量は、変性共役ジエン系重合体(A)の含有量に対して、好ましくは1/5倍以上であり、より好ましくは1/4倍以上であり、更に好ましくは1/3倍以上であり、特に好ましくは1/2.5倍以上である。変性共役ジエン系重合体組成物において、ポリオレフィン(B)の含有量が上記範囲内にあることにより、変性共役ジエン系重合体組成物の引張弾性率及び100%モジュラス等のような機械特性が一層向上する傾向にある。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物の製造工程において、得られる変性共役ジエン系重合体組成物の形状に特に制限はなく、ペレット状、クラム状、パウダー状、シート状、ストランド状、及びチップ状等のいずれでもよい。また、溶融混練後、所望の形状の成形品とすることもできる。
本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物はペレット化して製造してもよい。
ペレット化の方法としては、例えば、一軸又は二軸押出機から変性共役ジエン系重合体組成物をストランド状に押出して、ダイ部前面に設置された回転刃により、水中で切断する方法(アンダーウォーターカット);一軸又は二軸押出機から変性共役ジエン系重合体組成物をストランド状に押出して、水冷又は空冷した後、ストランドカッターにより切断する方法;並びに、オープンロール又はバンバリーミキサーにより変性共役ジエン系重合体組成物を溶融混合した後、ロールによりシート状に成型し、更に該シートを短冊状にカットした後、ペレタイザーにより立方状ペレットに切断する方法が挙げられる。
なお、ペレットの大きさ、形状は特に限定されないが、ペレット同士が接着することを抑制する観点から、ストランドをストランドの長軸に対して垂直に切断して得られる円柱状のペレットよりも、球状に近いペレットの方が、ペレット同士の接着面が小さく抑えられるので好ましい。球状に近いペレットの一般的な製造方法としては、アンダーウォーターカットが挙げられる。
変性共役ジエン系重合体組成物のペレットは、ペレットブロッキングの抑制を目的として、ブロッキング防止剤を含んでいてもよい。
ブロッキング防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビスステアリルアミド、タルク、及びアモルファスシリカが挙げられる。
得られる変性共役ジエン系重合体組成物、多層体、その多層体を含む成形体の透明性を向上させる観点から、ブロッキング防止剤として、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレンビスステアリルアミドが好ましい。更に、変性共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との熱融着性を向上させる観点から、ブロッキング防止剤として、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレン及びポリプロピレンが好ましい。
ブロッキング防止剤の好ましい使用量としては、変性共役ジエン系重合体組成物に対して500ppm以上8000ppm以下である。変性共役ジエン系重合体組成物のペレットを長期保管した際にペレットブロッキングを抑制する観点及び変性共役ジエン系重合体組成物のペレットを使用した際にブロッキング防止剤が飛散することを低減する観点から、より好ましくは、変性共役ジエン系重合体組成物に対して1000ppm以上7000ppm以下である。ブロッキング防止剤は、ペレット表面に付着した状態で配合されていることが好ましいが、ペレット内部に含まれていてもよい。
〔多層体及び成形体の製造方法〕
本実施形態の変性共役ジエン系重合体及び変性共役ジエン系重合体組成物は、従来公知の方法、例えば、押出成形、射出成形、インサート成形、二色射出成形、サンドイッチ成形、中空成形、圧縮成形、真空成形、回転成形、パウダースラッシュ成形、発泡成形、積層成形、カレンダー成形、及びブロー成形等によって、多層体又は実用上有用な成形体に加工することができる。
また、必要に応じて、発泡、粉末、延伸、接着、印刷、塗装、及びメッキ等の加工をしてもよい。
このような方法により、シート、フィルム、多層体、各種形状の射出成形品、中空成形品、圧空成型品、真空成形品、押出成形品、発泡成形品、不織布や繊維状の成形品、及び合成皮革等のような多種多様の成形体を製造することができる。これらの成形体は、自動車内外装材、建築材料、玩具、家電部品、医療器具、工業部品、各種ホース、各種筐体、各種モジュールケース、各種パワーコントロールユニット部品、及びその他雑貨等に利用することができる。
本実施形態の多層体の製造方法では、多層体は、射出成形法、インサート成形法、押出成形法、及び圧縮成形法からなる群より選択される少なくとも1つの方法により成形される。
より具体的には、本実施形態の多層体の製造方法は、射出成形法、インサート成形法、押出成形法、及び圧縮成形法からなる群より選択される少なくとも1つの方法を用いて、既に成形されている極性樹脂を含む層の上に、変性共役ジエン系重合体組成物を含む層を成形する工程を含む。本実施形態の多層体の製造方法は、かかる工程の前に、極性樹脂を含む層(極性樹脂基材)を任意の方法、好ましくは射出成形法、インサート成形法、押出成形法、及び圧縮成形法からなる群より選択される少なくとも1つの方法により成形する工程を含んでいてもよい。
本実施形態の多層体は、本実施形態の変性共役ジエン系重合体組成物を用いて製造されるため、種々の方法、特に射出成形法、インサート成形法、押出成形法、及び圧縮成形法からなる群より選択される少なくとも1つの方法により、好適に製造することができる。
本実施形態の多層体は、上記の製造方法に限らず、従来公知の方法、例えば、押出成形、射出成形(インサート成形)、二色射出成形、サンドイッチ成形、中空成形、圧縮成形、真空成形、回転成形、パウダースラッシュ成形、発泡成形、積層成形、カレンダー成形、及びブロー成形等を用いて製造することもできる。このような方法を用いて、少なくとも1層の変性共役ジエン系重合体組成物を含む層と少なくとも1層の極性樹脂を含む層とが積層された多層体を得ることができる。より具体的には、極性樹脂を含む層を形成した後、変性共役ジエン系重合体組成物を、当該極性樹脂を含む層に熱融着して、変性共役ジエン系重合体組成物の層を形成してもよい。
極性樹脂を含む層に変性共役ジエン系重合体組成物を熱融着する直前の、変性共役ジエン系重合体組成物の温度は、極性樹脂のガラス転移温度以上であると好ましく、極性樹脂の融点以上であるとより好ましい。上記の温度で変性共役ジエン系重合体組成物を熱融着することにより、極性樹脂を含む層と変性共役ジエン系重合体組成物の層との接着性が一層向上する。また、射出成形(インサート成形)や二色射出成形のように、極性樹脂の融点以下の温度の金型内で変性共役ジエン系重合体組成物を熱融着させる場合、変性共役ジエン系重合体組成物の融点以上の温度で熱融着をすることが好ましい。変性共役ジエン系重合体組成物の融点以上であることにより、変性共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との界面の分子鎖が運動しやすくなる。その結果、変性共役ジエン系重合体の変性基と極性樹脂との間の分子間力及び/又は化学結合点が増加し、金型内で急冷されたとしても、熱融着が起こりやすくなる。変性共役ジエン系重合体組成物の熱劣化抑制の観点から、300℃以下で熱融着させることが好ましい。
本実施形態の成形体は、一度多層体を形成後に熱プレス、熱融着、及び切断等により成形体としてもよく、多層体の形成時に成形体の形状としてもよい。
成形体は自動車部品、工具、玩具、電気・電子機器部品、医療器具、建材・配管部材、カトラリー、筆記具、ロボットハンド、生活・化粧用品、工業部品、各種ホース、各種筐体、各種モジュールケース、各種パワーコントロールユニット部品、及び医療器具等の各種用途に応じた形状としてもよい。
これらの中でも持ち手を有するもの及び人が触れてグリップ力や良触感を必要とするものが好ましい。そのような成形体としては、工具、電線、コネクター、ハンディー電子機器、歯ブラシ、シェーバー、並びにボールペン、タッチペン、及びスタイラスペンのようなペン、並びにフォーク、ナイフ、及びスプーンのようなカトラリー、並びにグリップ部を有する自動車内装部材が挙げられ、中でも使用時の振動で人体にかかる負荷の大きい電動工具などに適している。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態は、以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例における、変性共役ジエン系重合体の構造、並びに変性共役ジエン系重合体組成物、変性共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との多層体、及び成形体の物性の測定方法及び評価方法を以下に示す。
〔共役ジエン系重合体及び変性共役ジエン系重合体の構造、並びに共役ジエン系重合体組成物及び変性共役ジエン系重合体組成物の物性の測定及び評価〕
以下、変性共役ジエン系重合体及び未変性の共役ジエン系重合体を総称して共役ジエン系重合体という。
(1)共役ジエン系重合体における各単量体単位の含有量
下記式を用いて、水素添加前の未変性の共役ジエン系重合体における各単量体単位の含有量を計算し、共役ジエン系重合体における各重合体ブロックの含有量を算出した。
水素化前の未変性の共役ジエン系重合体における各単量体単位の含有量=〔(各ステップでフィードした各モノマー合計量)/(全モノマー量)〕×100(質量%)
ただし、以下のようにして、共役ジエン系重合体の各重合過程のステップ毎に、ブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの重合率が100%であることを確認した。
重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマー溶液を、内部標準として用いるn−プロビルベンゼン0.50mLと約20mLのトルエンとを封入した100mLのボトルに、約20mL注入して、サンプルを作製した。アピエゾングリースを担持したバックドカラムを装着したガスクロマトグラフィー(島津製作所製、GC−14B(製品名))を用いて各サンプルを測定し、事前に得たブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの検量線からポリマー溶液中の残留モノマー量を求め、残留モノマーが存在しないことを確認した。
なお、ガスクロマトグラフィーでの測定における温度条件として、ブタジエンの重合率は90℃一定とし、スチレンの重合率は90℃(10分ホールド)〜150℃昇温(10℃/分)の条件とした。
(2)共役ジエン系重合体の水素化前のビニル結合量
共役ジエン系重合体の水素化前のビニル結合量は、共役ジエン系重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマー溶液を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)法により測定した。
測定機器としてECS400(JEOL製製品名)、溶媒として重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mLとして、以下の条件で測定を行った。ビニル結合量は、共役ジエン単量体単位中の1,4−結合部分及び1,2−結合部分に帰属されるシグナルの積分値を求めた後、1,4−結合部分と1,2−結合部分とのシグナル比率から算出した。
(測定条件)
観測周波数 :400MHz
化学シフト基準:テトラメチルシラン
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数 :64回
パルス幅 :45°
測定温度 :26℃
(3)共役ジエン系重合体の水素添加率
共役ジエン系重合体の共役ジエン単量体単位に基づく不飽和結合の水素添加率は、水素化前後の未変性の共役ジエン系重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)により測定した。
測定条件及び測定データの処理方法は、上記(2)と同様とした。
なお、水素添加率は、4.5〜5.5ppmの二重結合に由来するシグナル及び水素化された共役ジエンに由来するシグナルの積分値を求め、そのシグナル比率から算出した。
(4)共役ジエン系重合体のブチレン量
共役ジエン系重合体における、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対するブチレン量は、水素化後の未変性の共役ジエン系重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)により測定した。
測定条件及び測定データの処理方法は上記(2)及び(3)と同様とした。
なお、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対するブチレン量は、水素化後の未変性の共役ジエン系重合体中における全ての共役ジエン単量体単位に由来するシグナル、及び、スペクトルの0〜2.0ppmにおけるブチレン部(水素化された1,2−結合部分)に由来するシグナルの積分値を求め、そのシグナル比率から算出した。
(5)共役ジエン系重合体のスチレン含有量
変性共役ジエン系重合体のスチレン含有量は、試料として水素添加前の共役ジエン系重合体を用いて、紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450(製品名))により262nmの吸収強度を測定することで、算出した。
共役ジエン系重合体において、水素添加前後でビニル芳香族単量体単位の含有量はほとんど変化しないことが知られているため、水素添加前の共役ジエン系重合体のスチレン含有量を、変性共役ジエン系重合体のスチレン含有量とした。なお、スチレン含有量とは、変性共役ジエン系重合体におけるビニル芳香族単量体であるスチレン単位の含有量を示す。
(6)共役ジエン系重合体のスチレン単位を主体とする重合体ブロックの含有量(Os値)
水素添加前の未変性の共役ジエン系重合体を用いて、共役ジエン系重合体におけるスチレン単位を主体とする重合体ブロックの含有量(以下、「Os値」ともいう。)を、I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Soi., 1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム分解法により測定した。
水素添加前の未変性の共役ジエン系重合体の分解には、オスミウム酸の0.1g/125mL第3級ブタノール溶液を用いた。
(7)共役ジエン系重合体の重量平均分子量及び分子量分布
水素添加後の未変性の共役ジエン系重合体を用いて、共役ジエン系重合体の重量平均分子量及び分子量分布を、GPC〔GPC装置:HLC8220(東ソー製製品名)、カラム:4.6mm×30cmのTSKgelSUPER−HZM−N(Sigma−Aldrich社製製品名)〕により測定した。
溶媒にはテトラヒドロフランを用いた。
重量平均分子量は、クロマトグラムのピークから、市販の標準ポリスチレンを用いて得られる検量線に基づいて求めた。
なお、クロマトグラム中にピークが複数ある場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比により求める)から重量平均分子量を求めた。
分子量分布は、得られた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)から算出した。
(8)変性共役ジエン系重合体の酸無水物付加量
変性共役ジエン系重合体における酸無水物付加量を、酸無水物により変性した後の変性共役ジエン系重合体をトルエンに溶解し、ファクターが1±0.05であるナトリウムメトキシドのメタノール溶液で滴定することにより、算出した。
(9)共役ジエン系重合体及び共役ジエン系重合体組成物の流動性
共役ジエン系重合体及び共役ジエン系重合体組成物の流動性はISO 1133に準拠して測定した。具体的には、230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)値を測定し、下記の評価基準により評価した。なお、MFR値が高いことは、その重合体又は組成物が流動性に優れることを意味する。
(評価基準)
5:100g/10min以上
4:50g/10min以上100g/10min未満
3:30g/10min以上50g/10min未満
2:10g/10min以上30g/10min未満
1:10g/10min未満
(10)共役ジエン系重合体及び共役ジエン系重合体組成物の柔軟性
共役ジエン系重合体及び共役ジエン系重合体組成物の柔軟性は、JIS K6253に準拠して測定した。測定温度を23℃、測定時間を10秒としてショアA硬度を測定し、以下の評価基準により評価した。なお、ショアA硬度が低いことは、その重合体又は組成物が柔軟性に優れることを意味する。
(評価基準)
3:50未満
2:50以上60未満
1:60以上
(11)共役ジエン系重合体組成物の引張弾性率、100%モジュラス、300%モジュラス、引張強度、及び破断伸び
共役ジエン系重合体組成物の引張弾性率、100%モジュラス、300%モジュラス、引張強度、及び破断伸びを、JIS K6251に準拠して、3号ダンベル、クロスヘッドスピード500mm/分の条件で測定した。各組成物につき3個以上の試験片を用いて試験を行い、その平均値(相加平均)を物性値とした。なお、100%モジュラス及び300%モジュラスは、延伸前の試験片からそれぞれ100%及び300%だけ延伸(すなわち、それぞれ2倍及び4倍延伸)する際に必要な応力を意味する。
引張弾性率は、測定直後の応力と伸びが比例関係にある領域の応力−ひずみ曲線(SS曲線)の傾きから求めた。実用上は変形量の小さい領域において変形しにくいことが要求されるため、引張弾性率、及び100%モジュラスが大きいほど好ましい傾向にある。
(12)共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との多層体の界面剥離強度
共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との多層体の界面剥離強度は、極性樹脂に共役ジエン系重合体組成物を熱融着して得られた多層体を用いて、180度剥離試験により測定した。具体的には、2mm厚の各種極性樹脂からなる平板を3mm深さの射出成形用金型(型温40℃)に固定し、この金型に共役ジエン系重合体組成物を射出成形で流し込むことにより、2mm厚の極性樹脂と1mm厚の共役ジエン系重合体組成物からなる多層体を作製した。得られた多層体の重合体組成物側の面に10mm幅の切れ込みを入れ、重合体組成物からなる層の端を数cm剥離した。剥離部分において、重合体組成物からなる層、及び極性樹脂からなる層を引張試験機〔ミネベアミツミ(株)製、TGE−500N(製品名)〕のチャックにそれぞれ別々に固定した。重合体組成物からなる層、及び極性樹脂からなる層を、180℃方向に300mm/minで引っ張ることにより、2つの層を剥離した。剥離の際に印加した引張力を、共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との多層体の界面剥離強度(N/cm)とし、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
4:10N/cm以上
3:5N/cm以上10N/cm未満
2:1N/cm以上5N/cm未満
1:1N/cm未満
(13)共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との多層体の界面剥離痕
上記「(12)共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との多層体の界面剥離強度」において実施した共役ジエン系重合体組成物と極性樹脂との多層体の剥離試験後に、剥離した極性樹脂基材を目視により観察した。極性樹脂基材側に残った変性共役ジエン系重合体組成物の剥離痕を、下記評価基準により評価した。
(評価基準)
4:剥離面の90%以上に剥離痕が残った
3:剥離面の50%以上90%未満に剥離痕が残った
2:剥離面の1%以上50%未満に剥離痕が残った
1:剥離痕なし
〔共役ジエン系ブロック共重合体の製造〕
(水添触媒の調製)
共役ジエン系重合体の水添反応に用いる水添触媒は、下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に、乾燥及び精製したシクロヘキサン1Lを入れ、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100mmolを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200mmolを含むn−ヘキサン溶液を添加した後、室温にて約3日間反応させ、水添触媒を得た。
[製造例1]
(共役ジエン系ブロック共重合体(a−1)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。反応器に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.13質量部となるように添加し、更にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.3モル添加した。
次に、スチレン16質量部(全モノマー100質量部に対する。以下、この段落にて同じ。)を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を反応器に投入し、70℃で45分間重合した。次にブタジエン68質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて70℃で1.5時間重合した。最後にスチレン16質量部を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を投入して、70℃で45分間重合した。反応終了後にメタノールを添加し、工程1として、共役ジエン系ブロック共重合体を得た。
得られた共役ジエン系ブロック共重合体は、スチレン含有量32質量%、Os値32質量%、ビニル結合量36mol%であった。
<工程2>
得られた共役ジエン系ブロック共重合体に、上述した水添触媒を、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部当たりにチタン換算濃度が100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応(水素化反応及び水素添加反応と同義。以下同様。)を行った。
水添反応終了後、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水素化された共役ジエン系ブロック共重合体を製造した。
得られた水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−1)は、スチレン含有量32質量%、Os値32質量%、ブチレン量36mol%、重量平均分子量8.2万、分子量分布1.2、水素添加率99mol%であった。
[製造例2]
(共役ジエン系ブロック共重合体(a−2)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。反応器に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.12質量部となるように添加し、更に、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.3モル添加した。
次に、スチレン9.5質量部(全モノマー100質量部に対する。以下、この段落にて同じ。)を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を反応器に投入し、70℃で45分間重合した。次にブタジエン81質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて70℃で1.5時間重合した。最後にスチレン9.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を投入して、70℃で45分間重合した。反応終了後にメタノールを添加し、工程1として、共役ジエン系ブロック共重合体を得た。
得られた共役ジエン系ブロック共重合体は、スチレン含有量19質量%、Os値19質量%、ビニル結合量36mol%であった。
<工程2>
得られた共役ジエン系ブロック共重合体に、上述した水添触媒を、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部当たりにチタン換算濃度が100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
水添反応終了後、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水素化された共役ジエン系ブロック共重合体を製造した。
得られた水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−2)は、スチレン含有量19質量%、Os値19質量%、ブチレン量36mol%、重量平均分子量9.5万、分子量分布1.2、水素添加率99mol%であった。
[製造例3]
(共役ジエン系ブロック共重合体(a−3)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置、及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。反応器に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.08質量部となるように添加し、更に、TMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.5モル添加した。
次に、スチレン6.5質量部(全モノマー100質量部に対する。以下、この段落にて同じ。)を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を反応器に投入し、70℃で45分間重合した。次に、ブタジエン87質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて50℃で80分間重合した。次に、スチレン6.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を投入して、70℃で45分間重合した。反応終了後にメタノールを添加し、共役ジエン系ブロック共重合体を得た。
得られた共役ジエン系ブロック共重合体は、スチレン含有量13質量%、Os値13質量%、ビニル結合量45mol%であった。
<工程2>
得られた共役ジエン系ブロック共重合体に、上述した水添触媒を、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部当たりにチタン換算濃度が100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
水添反応終了後、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水素化された共役ジエン系ブロック共重合体を製造した。
得られた水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−3)は、スチレン含有量13質量%、Os値13質量%、ブチレン量45mol%、重量平均分子量8.0万、分子量分布1.2、水素添加率99mol%であった。
[製造例4]
(共役ジエン系ブロック共重合体(a−4)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置、及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。反応器に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.11質量部となるように添加し、更に、TMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)をn−ブチルリチウム1モルに対して1.5モル、及びナトリウムt−ペントキシドをn−ブチルリチウム1モルに対して0.05モル添加した。
次に、ブタジエン5質量部(全モノマー100質量部に対する。以下、この段落にて同じ。)を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて70℃で20分間重合した。次に、スチレン9質量部を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。次に、ブタジエン77質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて50℃で80分間重合した。次に、スチレン9質量部を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を投入して、70℃で45分間重合した。反応終了後にメタノールを添加し、共役ジエン系ブロック共重合体を得た。
得られた共役ジエン系ブロック共重合体は、スチレン含有量18質量%、Os値18質量%、ビニル結合量73mol%であった。
<工程2>
得られた共役ジエン系ブロック共重合体に、上述した水添触媒を、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部当たりにチタン換算濃度が100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
水添反応終了後、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、未変性で水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−4)を製造した。
得られた水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−4)は、スチレン含有量18質量%、Os値18質量%、ブチレン量73mol%、重量平均分子量10.7万、分子量分布1.2、水素添加率99mol%であった。
[製造例5]
(共役ジエン系ブロック共重合体(a−5)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置、及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。反応器に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.07質量部となるように添加し、更に、TMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)をn−ブチルリチウム1モルに対して1.8モル、及びナトリウムt−ペントキシドをn−ブチルリチウム1モルに対して0.05モル添加した。
次に、ブタジエン5質量部(全モノマー100質量部に対する。以下、この段落にて同じ。)を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて70℃で20分間重合した。次に、スチレン7質量部を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。次に、ブタジエン82質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて50℃で80分間重合した。次に、スチレン6質量部を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を投入して、70℃で45分間重合した。反応終了後にメタノールを添加し、共役ジエン系ブロック共重合体を得た。
得られた共役ジエン系ブロック共重合体は、スチレン含有量13質量%、Os値13質量%、ビニル結合量78mol%であった。
<工程2>
得られた共役ジエン系ブロック共重合体に、上述した水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たりにチタン換算濃度が100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
水添反応終了後、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−5)を製造した。
得られた水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−5)は、スチレン含有量13質量%、Os値13質量%、ブチレン量78mol%、重量平均分子量16.0万、分子量分布1.2、水素添加率99mol%であった。
[製造例6]
(共役ジエン系ブロック共重合体(a−6)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置、及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。反応器に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.07質量部となるように添加し、更に、TMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)をn−ブチルリチウム1モルに対して1.8モル、及びナトリウムt−ペントキシドをn−ブチルリチウム1モルに対して0.05モル添加した。
次に、スチレン6.5質量部(全モノマー100質量部に対する。以下、この段落にて同じ。)を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。次に、ブタジエン87質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて50℃で80分間重合した。次に、スチレン6.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を投入して、70℃で45分間重合した。反応終了後にメタノールを添加し、共役ジエン系ブロック共重合体を得た。
得られた共役ジエン系ブロック共重合体は、スチレン含有量13質量%、Os値13質量%、ビニル結合量78mol%であった。
<工程2>
得られた共役ジエン系ブロック共重合体に、上述した水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たりにチタン換算濃度が100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
水添反応終了後、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−6)を製造した。
得られた水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−6)は、スチレン含有量13質量%、Os値13質量%、ブチレン量78mol%、重量平均分子量16.0万、分子量分布1.2、水素添加率99mol%であった。
[製造例7]
(共役ジエン系ブロック共重合体(a−7)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置、及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。反応器に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.05質量部となるように添加し、更に、TMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.05モル添加した。
次に、ブタジエン10質量部(全モノマー100質量部に対する。以下、この段落にて同じ。)を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて65℃で20分間重合した。次に、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して1.50モル、及びナトリウムt−ペントキシドをn−ブチルリチウム1モルに対して0.05モル添加した後、ブタジエン85質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて60℃で70分間重合した。次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を投入して、65℃で15分間重合した。反応終了後にメタノールを添加し、共役ジエン系ブロック共重合体を得た。
得られた共役ジエン系ブロック共重合体は、スチレン含有量5質量%、Os値5質量%、ビニル結合量78mol%であった。
<工程2>
得られた共役ジエン系ブロック共重合体に、上述した水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たりにチタン換算濃度が100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
水添反応終了後、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−7)を製造した。
得られた水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−7)は、スチレン含有量5質量%、Os値5質量%、ブチレン量78mol%、重量平均分子量24.9万、分子量分布1.2、水素添加率99mol%であった。
[製造例8]
(共役ジエン系ブロック共重合体(a−8)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置、及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。反応器に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.10質量部となるように添加し、更に、TMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)をn−ブチルリチウム1モルに対して1.8モル、及びナトリウムt−ペントキシドをn−ブチルリチウム1モルに対して0.05モル添加した。
次に、ブタジエン5質量部(全モノマー100質量部に対する。以下、この段落にて同じ。)を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて70℃で20分間重合した。次に、スチレン21.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を投入し、70℃で45分間重合した。次に、ブタジエン52質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて50℃で80分間重合した。次に、スチレン21.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を投入して、70℃で45分間重合した。反応終了後にメタノールを添加し、共役ジエン系ブロック共重合体を得た。
得られた共役ジエン系ブロック共重合体は、スチレン含有量43質量%、Os値43質量%、ビニル結合量78mol%であった。
<工程2>
得られたブロック共重合体に、上述した水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たりにチタン換算濃度が100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
水添反応終了後、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−8)を製造した。
得られた水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−8)は、スチレン含有量43質量%、Os値43質量%、ブチレン量は78mol%、重量平均分子量10.3万、分子量分布1.2、水素添加率99mol%であった。
[製造例9]
(共役ジエン系ブロック共重合体(c−2)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。反応器に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを、全モノマー100質量部に対して0.085質量部となるように添加し、更に、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加した。
次に、スチレン20質量部(全モノマー100質量部に対する。以下、この段落にて同じ。)を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。次にブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて70℃で5分間重合した。次に、ブタジエン27質量部及びスチレン47質量部を含むシクロヘキサン溶液(単量体濃度:20質量%)を反応温度が一定になるように供給し、70℃で45分間重合した。次にブタジエン3質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて70℃で5分間重合した。最後に、テトラエトキシシランをn−ブチルリチウム1モルに対して0.2モル添加し、70℃で30分間反応した。反応終了後にメタノールを添加し、工程1により、共役ジエン系ブロック共重合体を得た。
得られた共役ジエン系ブロック共重合体は、スチレン含有量67質量%、Os値20質量%、ランダムブロック中のスチレン含有量63.4質量%、ビニル結合量20mol%であった。
<工程2>
得られた共役ジエン系ブロック共重合体に、上述した水添触媒を、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部当たりにチタン換算濃度が100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
水添反応終了後、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水素化された共役ジエン系ブロック共重合体を製造した。
得られた水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(c−2)は、スチレン含有量67質量%、Os値20質量%、ランダムブロック中のスチレン含有量63.4質量%、ブチレン量20mol%、重量平均分子量29.1万、分子量分布1.2、水素添加率は99mol%であった。
[製造例10]
(共役ジエン系ブロック共重合体(d)の製造)
<工程1>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。反応器に1Lのシクロヘキサンを入れ、n−ブチルリチウムを、全モノマー100質量部に対して0.084質量部となるように添加し、更に、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)をn−ブチルリチウム1モルに対して1.8モル及びナトリウムt−ペントキシドをn−ブチルリチウム1モルに対して0.05モルを添加した。
次に、スチレン9質量部(全モノマー100質量部に対する。以下、この段落にて同じ。)を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度:20質量%)を投入し、70℃で20分間重合した。次に、ブタジエン21質量部及びスチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液(単量体濃度:20質量%)を反応温度が一定になるように供給し、70℃で45分間重合した。次にブタジエン45質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度:20質量%)を加えて60℃で1時間重合した。反応終了後にメタノールを添加し、工程1により、共役ジエン系ブロック共重合体を得た。
得られた共役ジエン系ブロック共重合体は、スチレン含有量34質量%、Os値9質量%、ランダムブロック中のスチレン含有量54.3質量%、ビニル結合量77mol%であった。
<工程2>
得られた共役ジエン系ブロック共重合体に、上述した水添触媒を、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部当たりにチタン換算濃度が100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
水添反応終了後、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、共役ジエン系ブロック共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、水素化された共役ジエン系ブロック共重合体を製造した。
得られた水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(d)は、スチレン含有量34質量%、Os値9質量%、ランダムブロック中のスチレン含有量54.3質量%、ブチレン量77mol%、重量平均分子量14.8万、分子量分布1.2、水素添加率99mol%であった。
〔変性共役ジエン系ブロック共重合体の製造〕
以下の材料を用いて、変性共役ジエン系重合体(変性共役ジエン系ブロック共重合体)を製造した。
無水マレイン酸(扶桑化学工業(株)製)
ラジカル開始剤:パーヘキサ25B(日油(株)製)
[製造例11(比較例1)]
(変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−1)の製造)
<工程3>
ペレット状にした水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−1)100質量部と、無水マレイン酸2.1質量部と、パーヘキサ25B 0.12質量部とをドライブレンドした。これらを二軸押出機TEX30((株)日本製鋼所製)で、シリンダー設定温度210℃、スクリュー回転数253rpm、吐出量5kg/時間で溶融混練し、無水マレイン酸変性共役ジエン系重合体(aa−1)を製造した。
[製造例12(比較例2)]
(変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−2)の製造)
<工程3>
ペレット状にした水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−2)100質量部と、無水マレイン酸2.1質量部と、パーヘキサ25B 0.12質量部とを用いてドライブレンドしたこと以外は製造例11と同様にして、変性共役ジエン系重合体(aa−2)を製造した。
[製造例13(比較例3)]
(変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−3)の製造)
<工程3>
ドライブレンドの際の各成分を、ペレット状にした水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−3)100質量部と、無水マレイン酸2.1質量部と、パーヘキサ25B 0.12質量部とに変更したこと以外は製造例11と同様にして、無水マレイン酸変性共役ジエン系重合体(aa−3)を製造した。
[製造例14(実施例1)]
(変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−4)の製造)
<工程3>
ドライブレンドの際の各成分を、ペレット状にした水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−4)100質量部と、無水マレイン酸1.4質量部と、パーヘキサ25B 0.08質量部とに変更したこと以外は製造例11と同様にして、無水マレイン酸変性共役ジエン系重合体(aa−4)を製造した。
[製造例15(実施例2)]
(変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−5)の製造)
<工程3>
ドライブレンドの際の各成分を、ペレット状にした水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−5)100質量部と、無水マレイン酸1.4質量部と、パーヘキサ25B 0.08質量部とに変更したこと以外は製造例11と同様にして、無水マレイン酸変性共役ジエン系重合体(aa−5)を製造した。
[製造例16(実施例3)]
(変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−6)の製造)
<工程3>
ドライブレンドの際の各成分を、ペレット状にした水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−6)100質量部と、無水マレイン酸1.4質量部と、パーヘキサ25B 0.08質量部とに変更したこと以外は製造例11と同様にして、無水マレイン酸変性共役ジエン系重合体(aa−6)を製造した。
[製造例17(実施例4)]
(変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−7)の製造)
<工程3>
ドライブレンドの際の各成分を、ペレット状にした水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−7)100質量部と、無水マレイン酸1.4質量部と、パーヘキサ25B 0.08質量部とに変更したこと以外は製造例11と同様にして、無水マレイン酸変性共役ジエン系重合体(aa−7)を製造した。
[製造例18(比較例4)]
(変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−8)の製造)
<工程3>
ドライブレンドの際の各成分を、ペレット状にした水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−8)100質量部と、無水マレイン酸2.1質量部と、パーヘキサ25B 0.12質量部とに変更したこと以外は製造例11と同様にして、無水マレイン酸変性共役ジエン系重合体(aa−8)を製造した。
[製造例19(実施例26)]
(変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−9)の製造)
<工程3>
ドライブレンドの際の各成分を、ペレット状にした水素化された共役ジエン系ブロック共重合体(a−5)100質量部と、無水マレイン酸3.0質量部と、パーヘキサ25B 0.17質量部とに変更したこと以外は製造例11と同様にして、無水マレイン酸変性共役ジエン系重合体(aa−9)を製造した。
実施例1〜4、26及び比較例1〜4で得られた変性共役ジエン系重合体の構造及び物性の測定結果を表1に示す。
Figure 2021181561
〔共役ジエン系重合体組成物の製造及び多層体の成形〕
下記表2〜6に記載の〔実施例5〜25、27〜38〕、及び〔比較例5〜18〕の配合量(単位は「質量部」)に基づき、以下の材料を用いて、共役ジエン系重合体樹脂組成物を製造し、さらに各基材との多層体試験片を作製した。
共役ジエン系ブロック共重合体(a−1)、(a−5)、及び(d):上記方法により製造した共役ジエン系ブロック共重合体
変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−1)〜(aa−9):上記方法により製造した変性共役ジエン系ブロック共重合体
ポリオレフィン樹脂(b−1):ポリプロピレン PL500A(サンアロマー(株)製製品名)
ポリオレフィン樹脂(b−2):ポリプロピレン PM900C(サンアロマー(株)製製品名)
ポリオレフィン樹脂(b−3):ポリプロピレン S13B((株)プライムポリマー製製品名)
ポリオレフィン樹脂(b−4):ポリプロピレン PC630S(サンアロマー(株)製製品名)
共役ジエン系ブロック共重合体(数平均分子量15万以上)(c−1):スチレン系熱可塑性エラストマー タフテックN504(スチレン含有量32質量%、旭化成(株)製製品名)
共役ジエン系ブロック共重合体(数平均分子量15万以上)(c−2):上記方法により製造した共役ジエン系ブロック共重合体
軟化剤(e):パラフィンオイル PW−90(出光興産(株)製製品名)
安定剤(f):イルガフォス168(BASFジャパン(株)製製品名)
フィラー(g):炭酸カルシウム ホワイトンSB(白石カルシウム(株)製製品名)
ポリアミド樹脂:ナイロン66 レオナ1300S(旭化成(株)製製品名)、ガラス繊維強化ナイロン66 レオナ1300G(旭化成(株)製製品名)、ナイロン6 UBEナイロン1015B(宇部興産(株)製製品名)、ガラス繊維強化ナイロン6 ザイテル73G30L(デュポン(株)製製品名)
ポリフェニレンスルフィド樹脂:ポリフェニレンスルフィド トレリナ M2888(東レ(株)製製品名)、ガラス繊維強化ポリフェニレンスルフィド トレリナ A604(東レ(株)製製品名)
ポリカーボネート樹脂:ポリカーボネート樹脂板 PC1600(タキロンシーアイ(株)製製品名)
ABS樹脂:ABS タフエースR EAR−003(住友ベークライト(株)製製品名)
ポリメタクリル酸メチル樹脂:ポリメタクリル酸 デルペット 80N(旭化成(株)製製品名)
多層体試験片の被着体(極性樹脂基材)として、150mm×100mm×2mm(縦×横×厚み)の金型を用いて、射出成形により各種極性樹脂からなる基材を作製した。
〔実施例5〜7〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−4)と、ポリオレフィン樹脂(b−1)と、予め軟化剤(e)を含ませておいた共役ジエン系ブロック共重合体(c−1)と、安定剤(f)とをドライブレンドした。これらを、二軸押出機TEX−30αII((株)日本製鋼所製製品名、シリンダー口径30mm)を用いて、シリンダー設定温度220℃、スクリュー回転数253rpm、吐出量5kg/時間で溶融混練することにより、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を得た。
その後、2mm厚の各種極性樹脂からなる基材を150mm×100mm×3mm(縦×横×厚み)の金型内に固定した。シリンダー設定温度280℃、金型設定温度40℃で、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を金型内に射出成形で流し込むことにより、2mm厚の極性樹脂の層と1mm厚の変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物の層とからなる多層体を得た。
〔実施例8〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−5)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例9〕
多層体作製時の射出成型機のシリンダー設定温度を270℃にしたこと以外は実施例8と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例10〕
多層体作製時の射出成型機のシリンダー設定温度を260℃にしたこと以外は実施例8と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例11〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−5)を用いたこと以外は実施例6と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例12〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−5)を用いたこと以外は実施例7と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例13〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−6)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例14〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−7)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例15〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−5)と、ポリオレフィン樹脂(b−1)と、予め軟化剤(e)を含ませておいた共役ジエン系ブロック共重合体(c−1)及び(c−2)と、安定剤(f)とをドライブレンドした。これらを、二軸押出機TEX−30αII((株)日本製鋼所製製品名、シリンダー口径30mm)を用いて、シリンダー設定温度220℃、スクリュー回転数253rpm、吐出量5kg/時間で溶融混練することにより、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を得た。
その後、2mm厚の各種極性樹脂からなる基材を150mm×100mm×3mm(縦×横×厚み)の金型内に固定した。シリンダー設定温度280℃、金型設定温度40℃で変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を金型内に射出成形で流し込むことにより、2mm厚の極性樹脂の層と1mm厚の変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物の層とからなる多層体を得た。
〔実施例16〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−5)と、ポリオレフィン樹脂(b−1)と、予め軟化剤(e)を含ませておいた共役ジエン系ブロック共重合体(c−1)及び(c−2)と、共役ジエン系ブロック共重合体(d)と、安定剤(f)とをドライブレンドした。これらを、二軸押出機TEX−30αII((株)日本製鋼所製製品名、シリンダー口径30mm)を用いて、シリンダー設定温度220℃、スクリュー回転数253rpm、吐出量5kg/時間で溶融混練することにより、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を得た。
その後、2mm厚の各種極性樹脂からなる基材を150mm×100mm×3mm(縦×横×厚み)の金型内に固定した。シリンダー設定温度280℃、金型設定温度40℃で変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を金型内に射出成形で流し込むことにより、2mm厚の極性樹脂の層と1mm厚の変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物の層とからなる多層体を得た。
〔実施例17〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−5)と、ポリオレフィン樹脂(b−1)と、予め軟化剤(e)を含ませておいた共役ジエン系ブロック共重合体(c−1)と、安定剤(f)と、フィラー(g)とをドライブレンドした。これらを、二軸押出機TEX−30αII((株)日本製鋼所製製品名、シリンダー口径30mm)を用いて、シリンダー設定温度220℃、スクリュー回転数253rpm、吐出量5kg/時間で溶融混練することにより、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を得た。
その後、2mm厚の各種極性樹脂からなる基材を150mm×100mm×3mm(縦×横×厚み)の金型内に固定した。シリンダー設定温度280℃、金型設定温度40℃で変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を金型内に射出成形することにより、2mm厚の極性樹脂の層と1mm厚の変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物の層とからなる多層体を得た。
〔実施例18〕
ポリオレフィン樹脂としてポリオレフィン樹脂(b−2)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例19〕
ポリオレフィン樹脂としてポリオレフィン樹脂(b−3)を用いた以外は実施例5と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例20〕
ポリオレフィン樹脂としてポリオレフィン樹脂(b−3)を用いた以外は実施例17と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例21〕
共役ジエン系ブロック共重合体(c−1)及び軟化剤(e)の配合量を変えたこと以外は実施例19と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例22〕
ポリオレフィン樹脂としてポリオレフィン樹脂(b−4)を用いたこと以外は実施例8と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例23〕
実施例8と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を得た。その後、極性樹脂の層と変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物の層とからなる多層体を得る際に、極性樹脂として表6に記載のものを用いたこと以外は実施例8と同様にして、多層体を得た。
なお、表6中、「PPS」はポリフェニレンスルフィド樹脂を、「PC」はポリカーボネート樹脂を、「ABS」はABS樹脂を、「PMMA」はポリメタクリル酸メチル樹脂を、それぞれ意味する。
〔実施例24〕
実施例22と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を得た。その後、極性樹脂の層と変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物の層とからなる多層体を得る際に、極性樹脂として表6に記載のものを用いたこと以外は実施例22と同様にして、多層体を得た。
〔実施例25〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−5)と、ポリオレフィン樹脂(b−2)とをドライブレンドした。これらを、二軸押出機TEX−30αII((株)日本製鋼所製製品名、シリンダー口径30mm)を用いて、シリンダー設定温度220℃、スクリュー回転数253rpm、吐出量5kg/時間で溶融混練することにより、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を得た。
その後、2mm厚の各種極性樹脂からなる基材を150mm×100mm×3mm(縦×横×厚み)の金型内に固定した。シリンダー設定温度280℃、金型設定温度40℃で、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を金型内に射出成形で流し込むことにより、2mm厚の極性樹脂の層と1mm厚の変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物の層とからなる多層体を得た。
〔実施例27〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−9)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例28〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−9)を用いたこと以外は実施例7と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例29〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−5)と、共役ジエン系ブロック共重合体(a−5)と、ポリオレフィン樹脂(b−1)と、予め軟化剤(e)を含ませておいた共役ジエン系ブロック共重合体(c−1)と、安定剤(f)とをドライブレンドした。これらを、二軸押出機TEX−30αII((株)日本製鋼所製製品名、シリンダー口径30mm)を用いて、シリンダー設定温度220℃、スクリュー回転数253rpm、吐出量5kg/時間で溶融混練することにより、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を得た。
その後、2mm厚の各種極性樹脂からなる基材を150mm×100mm×3mm(縦×横×厚み)の金型内に固定した。シリンダー設定温度280℃、金型設定温度40℃で、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を金型内に射出成形で流し込むことにより、2mm厚の極性樹脂の層と1mm厚の変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物の層とからなる多層体を得た。
〔実施例30〕
各成分の配合量を変えた以外は実施例15と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例31〕
各成分の配合量を変えた以外は実施例15と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例32〕
各成分の配合量を変えた以外は実施例15と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例33〕
各成分の配合量を変えた以外は実施例15と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例34〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−5)を用い、共役ジエン系ブロック共重合体として共役ジエン系ブロック共重合体(c−2)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例35〕
軟化剤(e)の配合量を変えた以外は実施例8と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例36〕
各成分の配合量を変えた以外は実施例15と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例37〕
各成分の配合量を変えた以外は実施例15と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔実施例38〕
軟化剤(e)の配合量を変えた以外は実施例34と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔比較例5〕
ポリオレフィン樹脂(b−1)と、予め軟化剤(e)を含ませておいた共役ジエン系ブロック共重合体(c−1)と、安定剤(f)とをドライブレンドした。これらを、二軸押出機TEX−30αII((株)日本製鋼所製製品名、シリンダー口径30mm)を用いて、シリンダー設定温度220℃、スクリュー回転数253rpm、吐出量5kg/時間で溶融混練することにより、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を得た。
その後、2mm厚の各種極性樹脂からなる基材を150mm×100mm×3mm(縦×横×厚み)の金型内に固定した。シリンダー設定温度280℃、金型設定温度40℃で変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を金型内に射出成形で流し込むことにより、2mm厚の極性樹脂の層と1mm厚の変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物の層とからなる多層体を作製した。
〔比較例6〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−4)に代えて共役ジエン系ブロック共重合体(a−1)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔比較例7〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−5)に代えて共役ジエン系ブロック共重合体(a−1)を用いたこと以外は実施例17と同様にして、共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔比較例8〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−4)に代えて共役ジエン系ブロック共重合体(a−5)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔比較例9〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−1)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔比較例10〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−1)を用いたこと以外は実施例17と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔比較例11〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−1)を用いたこと以外は実施例19と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔比較例12〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−1)を用いたこと以外は実施例20と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔比較例13〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−2)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔比較例14〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−11)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔比較例15〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−8)を用いたこと以外は実施例5と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔比較例16〕
比較例9と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物を得た。その後、極性樹脂の層と変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物の層とからなる多層体を得る際に、極性樹脂として表6に記載のものを用いたこと以外は比較例9と同様にして、多層体を得た。
〔比較例17〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−1)を用いたこと以外は実施例25と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
〔比較例18〕
変性共役ジエン系ブロック共重合体として変性共役ジエン系ブロック共重合体(aa−1)を用いたこと以外は実施例34と同様にして、変性共役ジエン系ブロック共重合体組成物及び多層体を得た。
実施例5〜25、27〜38及び比較例5〜18で得られた共役ジエン系重合体組成物の構造及び物性、並びに実施例5〜25、27〜38及び比較例5〜18で得られた多層体の物性の測定値及び評価結果を表2〜6に示す。
Figure 2021181561
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表1の結果より、実施例1〜4及び26は、流動性及び柔軟性に優れた変性グレードであることがわかった。
表2〜6より、実施例5〜25、27〜38は、流動性、柔軟性、機械特性、及び極性樹脂に対する接着性に優れることがわかった。また、実施例32、33、34、及び38では、剥離試験後の極性樹脂基材側に変性共役ジエン系重合体組成物の剥離痕が残ることが確認された。例えば実施例30〜34等を比較すると、変性共役ジエン系重合体組成物における各成分の組成を制御することで、剥離痕が残る程度に変性共役ジエン系重合体組成物を含む層と極性樹脂を含む層との接着強度を高めることが可能であることがわかった。剥離痕が残るかどうかという点は、サンプル形状や多層体の成形条件によっても影響を受けると推測され、今回剥離痕が確認されなかった変性共役ジエン系重合体組成物についても、サンプル形状や多層体の成形条件等を変更することにより剥離痕が確認される可能性があることを示唆している。
また、比較例5〜18は、流動性や硬度の評価に優れるものであっても、基材によって剥離強度の評価が「1」となるものがあり、極性樹脂に対する接着性が不十分であることがわかった。
本発明の変性共役ジエン系ブロック共重合体及び変性共役ジエン系ブロック共重合体樹脂組成物は、流動性、柔軟性、及び極性樹脂に対する接着性に優れているため、自動車部品、電動工具、玩具、電気・電子機器部品、医療器具、建材・配管部材、カトラリー、生活・化粧用品、工業部品、各種ホース、各種筐体、各種モジュールケース、各種パワーコントロールユニット部品、筆記具、ロボットハンド、及び医療器具等の各種用途としての産業上の利用可能性を有する。
10…電動ドリル、11…電動ドリル筐体、12,22,32,42…グリップ部、20…カトラリー、21…カトラリーの本体、30…携帯電話筐体、31…携帯電話筐体の本体、40…カッター、41…カッター筐体。

Claims (20)

  1. 共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックを有し、かつ下記条件(a)、(b)、(c)及び(d)を満たす、変性共役ジエン系重合体。
    (a)前記共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中、水素添加前のビニル結合量が共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して60mol%以上である。
    (b)前記共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中の共役ジエン単量体単位の少なくとも一部が水素添加されている。
    (c)前記変性共役ジエン系重合体中のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量が、前記変性共役ジエン系重合体の総量に対して、40質量%以下である。
    (d)前記変性共役ジエン系重合体が変性基を有する。
  2. 前記水素添加前のビニル結合量が共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して65mol%以上である、請求項1に記載の変性共役ジエン系重合体。
  3. 前記共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロック中におけるブチレン量及び/又はプロピレン量が、共役ジエン単量体単位の合計100mol%に対して60mol%以上である、請求項1又は2に記載の変性共役ジエン系重合体。
  4. 前記変性基を側鎖に有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体。
  5. 前記変性共役ジエン系重合体中の前記ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックの含有量が、前記変性共役ジエン系重合体の総量に対して、20質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体。
  6. 前記変性基は、酸無水物基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルコキシシラン基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、及びイオン性基からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体(A)と、ポリオレフィン(B)とを含む、変性共役ジエン系重合体組成物。
  8. 前記ポリオレフィン(B)は、ポリプロピレンである、請求項7に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  9. 重量平均分子量が15万以上の共役ジエン系重合体(C)を更に含む、請求項7又は8に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  10. 前記共役ジエン系重合体(C)として、共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とのランダム共重合体ブロックを有する共役ジエン系重合体を少なくとも含む、請求項9に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  11. 前記変性共役ジエン系重合体(A)の含有量が5質量%以上80質量%以下である、請求項7〜10のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  12. 前記変性共役ジエン系重合体(A)の重量平均分子量が10万以上である、請求項7〜11のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  13. 軟化剤を更に含む、請求項7〜12のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  14. 230℃、2.16kgにおけるメルトフローレートが10g/10min以上である、請求項7〜13のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  15. フィラーを更に含む、請求項7〜14のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物。
  16. 極性樹脂を含む層と、その層上に積層されている請求項7〜15のいずれか一項に記載の変性共役ジエン系重合体組成物を含む層と、を備える多層体。
  17. 前記変性共役ジエン系重合体組成物を含む層が、前記極性樹脂を含む層に熱融着されている、請求項16に記載の多層体。
  18. 前記極性樹脂は、ABS、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、及びポリフェニレンスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項16又は17に記載の多層体。
  19. 請求項16〜18のいずれか一項に記載の多層体の製造方法であって、
    前記多層体が、射出成形法、インサート成形法、押出成形法、及び圧縮成形法からなる群より選択される少なくとも1つの方法により成形される、製造方法。
  20. 請求項16〜18のいずれか一項に記載の多層体を含む成形体であって、
    前記多層体が、工具のグリップ、電線被覆部材、コネクター筐体、ハンディー電子機器のグリップ、歯ブラシのグリップ、シェーバーのグリップ、カトラリーのグリップ、筆記具のグリップ、ロボットハンドのグリップ部、及び自動車内装部材のグリップ部から選択される少なくとも1種を構成する、成形体。
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