JP7239691B2 - 制振部材用熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Description
〔1〕 スチレン系重合体ブロック(S1)と共役ジエン化合物重合体ブロック(B1)とからなるブロック共重合体の水素添加物であり、共役ジエン化合物重合体ブロック(B1)の1,2-ビニル結合量が50質量%以上である水添熱可塑性スチレン系エラストマーAと、スチレン系重合体ブロック(S2)と共役ジエン化合物重合体ブロック(B2)とからなるブロック共重合体の水素添加物であり、共役ジエン化合物重合体ブロック(B2)の1,2-ビニル結合量が50質量%未満である水添熱可塑性スチレン系エラストマーBとを、5/95~55/45の質量比(水添熱可塑性スチレン系エラストマーA/水添熱可塑性スチレン系エラストマーB)で含有し、該水添熱可塑性スチレン系エラストマーAと該水添熱可塑性スチレン系エラストマーBの合計100質量部に対して、ポリフェニレンエーテル樹脂を10~200質量部、ゴム用軟化剤を50~1000質量部、及び重質炭酸カルシウムを10~300質量部を含有し、A硬度が50以下である、制振部材用熱可塑性エラストマー組成物、
〔2〕 重質炭酸カルシウムの、体積基準メジアン径が0.5~10μmであり、比表面積が0.3~3.0m2/gである、前記〔1〕記載の熱可塑性エラストマー組成物、
〔3〕 さらに、フェノール系酸化防止剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含有する、前記〔1〕又は〔2〕記載の熱可塑性エラストマー組成物、
〔4〕 さらに、ポリプロピレンを含有する、前記〔1〕~〔3〕いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物、
〔5〕 前記〔1〕~〔4〕いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物の成形体である、制振部材、並びに
〔6〕 前記〔5〕記載の制振部材を備えた、電動機用回転子
に関する。
スチレン系重合体ブロック(S1)と共役ジエン化合物重合体ブロック(B1)とからなるブロック共重合体の水素添加物であり、共役ジエン化合物重合体ブロック(B1)の1,2-ビニル結合量が50質量%以上である水添熱可塑性スチレン系エラストマーA、及び
スチレン系重合体ブロック(S2)と共役ジエン化合物重合体ブロック(B2)とからなるブロック共重合体の水素添加物であり、共役ジエン化合物重合体ブロック(B2)の1,2-ビニル結合量が50質量%未満である水添熱可塑性スチレン系エラストマーBと、
ポリフェニレンエーテル樹脂、ゴム用軟化剤、及び重質炭酸カルシウムを含有するものである。
で表される繰り返し単位からなる単独重合体、式(A)で表される繰り返し単位を有する共重合体等が挙げられる。
〔スチレン系単量体の含有量〕
核磁気共鳴装置(ドイツ国BRUKER社製、DPX-400)によって、プロトンNMR測定を行い、スチレンの特性基の定量を行うことによってスチレン及び/又はスチレン誘導体の含有量を決定する。他の単量体単位の含有量もプロトンNMR測定により求めることができる。
以下の測定条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算で分子量を測定し、重量平均分子量を求める。
・ポンプ:JASCO(日本分光(株))製、PU-980
・カラムオーブン:昭和電工(株)製、AO-50
・検出器:日立製、RI(示差屈折計)検出器 L-3300
・カラム種類:昭和電工(株)製「K-805L(8.0×300mm)」及び「K-804L(8.0×300mm)」各1本を直列使用
・カラム温度:40℃
・ガードカラム:K-G(4.6×10mm)
・溶離液:クロロホルム
・溶離液流量:1.0ml/min
・試料濃度:約1mg/ml
・試料溶液ろ過:ポリテトラフルオロエチレン製0.45μm孔径ディスポーザブルフィルタ
・検量線用標準試料:昭和電工(株)製ポリスチレン
水素添加前のブロック共重合体をCDCl3に溶解して1H-NMRスペクトルを測定[装置:JNM-Lambda 500(日本電子(株)製)、測定温度:50℃]し、共役ジエン化合物由来の構造単位の全ピーク面積と、イソプレン単位における1,2-ビニル結合単位及び3,4-ビニル結合単位、ブタジエン単位における1,2-ビニル結合単位、またイソプレンとブタジエンの混合物の場合にはそれぞれの前記結合単位に対応するピーク面積の比から、1,2-ビニル結合量又は1,2-ビニル結合量と3,4-ビニル結合量の合計を算出する。
〔数平均分子量(Mn)〕
成分A及びBの重量平均分子量と同様の方法により、分子量を測定し、数平均分子量を算出する。
〔動粘度〕
JIS Z 8803に従って、40℃の温度で測定する。
〔体積基準メジアン径〕
JIS M8511に定めるレーザー回折・散乱法に準じて、試料0.1gを10mLの脱イオン水に分散させ、70wの超音波で30秒間分散させたスラリーを、マルバーン社製「マスターサイザー2000」によりで粒度分布を測定し、体積基準の積算分率における50%値を体積基準メジアン径とする。
比表面積はJIS Z8830「気体吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」に準じて測定する。具体的には、ガス吸着量の絶対値が装置の測定可能範囲に入るように適量に加減した試料をガラスセルに秤量し、マルバーン社製「AUTOSORB-1」によって窒素吸着量を測定し、比表面積を算出する。これはいわゆるBET法比表面積であり、微小粒子が多くなるほど比表面積は大きくなる。
〔メルトマスフローレイト(MFR)〕
ASTM D1238に準拠して、230℃、公称荷重21.2Nの条件で測定する。
JIS K7171に準拠した方法により測定する。
白色結晶質石灰石を、ハンマークラッシャーにより粗粉砕し、目開き10mmの振動篩を通過する粗粉砕物を得た。次に、この粗粉砕物をジルコニアボールと共にバッチ式振動ボールミルにて微粉砕し、表1に示す粒度を有する重質炭酸カルシウムa~cを製造した。
(1)熱可塑性エラストマー組成物(ペレット)の作製
軟化剤以外の表9に示す材料をドライブレンドした後、これに軟化剤を含浸させて混合物を作製した。その後、混合物を下記の条件で、押出機で溶融混練して、ストランドに押出し、冷水中で冷却しつつカッターによって、直径3mm程度、厚さ3mm程度に切断し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを製造した。
押出機:KZW32TW-60MG-NH(商品名、(株)テクノベル製)
シリンダー温度:180~220℃
スクリュー回転数:300r/min
ペレットを、下記の条件で射出成形し、幅125mm×長さ125mm×厚さ2mmのプレートを作製した。
射出成形機:100MSIII-10E(商品名、三菱重工業(株)製)
射出成形温度:200℃
射出圧力:30%
射出時間:10sec
金型温度:40℃
プレートを用い、JIS K 6253-3 タイプAにて測定する。
(1) メルトマスフローレイト(MFR)
ペレットを用い、ASTM D1238に準拠して、200℃、公称荷重49Nの条件で測定した。
プレートの表面性状を目視にて観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
<評価基準>
◎:プレートにヒケ・フローマークがなく、鏡面性も良好。
○:プレート表面にわずかなくもりがあるが、ヒケ・フローマークはない。
△:プレートにヒケ・フローマークのいずれかが発生。
×:プレートにヒケ・フローマークの両方が発生。
プレートの表面を指触して、明らかなベタツキの有無を判断し、以下の評価基準に従って評価した。
<評価基準>
◎:表面はサラサラで、ベタツキは一切感じない。
○:指に追従してこないが、若干のベタツキを感じる。
×:指触した際に指に追従してくるレベル。
プレートを120℃のギヤオーブンで500時間加熱した。加熱前のプレートと加熱後のプレートの色差を目視で比較し、以下の評価基準に従って評価した。
<評価基準>
◎:並べてみても目視で色差が感じられない。
○:離して比べると差が分からないが、並べてみると色差が感じられる程度の変色がある。
×:明らかに加熱変色している。
TAインスツルメント社製のARES G-2に、幅12mmに切断したプレートを試験片としてセットし、長さ25mm間でのトーションモード(ねじり)で、昇温速度5℃/minで-60℃~200℃まで30Hzにて粘弾性を測定し、20℃における損失正接(tanδ)を算出した。
円盤状成形体を試験片として用い、JIS K6262に規定される圧縮永久歪試験によって測定した。具体的には、プレートを円盤状に打ち抜いて7枚重ね、熱プレスによって試験片の直径及び厚さがそれぞれ、29.0±0.5mm(直径)、12.5mm±0.5mm(厚さ)である測定片を作製し、標準温度(23.2±2℃)において初期寸法を測定した。厚さ9.3~9.4mmのスペーサをかませた圧縮板に試験片を挟んで、25体積%圧縮の条件で、70℃で24時間保持した後、標準温度で圧縮板を外して30分放置した後の試験片中央部の厚さを測定し、圧縮永久歪の値を算出した。
これに対し、軽質炭酸カルシウムを用いた比較例1では、組成物が硬くなり、制振性が低下しており、タルクを用いた比較例2では、制振性と耐圧縮永久歪性は良好であるものの、ベタツキ、熱変色が生じ、成形性にも欠けている。また、ポリフェニレンエーテル樹脂を用いていない比較例3と充填剤を用いていない比較例4では、流動性は良好であるものの、耐圧縮永久歪性に欠けている。
ブラシレス型の回転子を備えた市販の家庭用ルームエアコンの室外機からファンモーターを取り外し、モーターのケースを分解して回転子を取り出した。回転子内の軸の周りに締結部材としてはめ込まれた防振材を取り外し、実施例1又は比較例1の熱可塑性エラストマー組成物を用いて同じ形に成形した防振材をはめ込んで、実施例1又は比較例1の熱可塑性エラストマー組成物を用いた回転子を再構成し、ファンモーターに戻して室外機にセットした。
室外機を70℃の恒温室内におき、ファンモーターが1000rpmの一定回転速度で回転するようにして3000時間連続運転し、運転開始時と連続運転後のA特性音圧を、カスタム社製のデジタル騒音計「MRS-1」を用いて、JIS Z8731に準拠した方法により測定した。結果を表10に示す。
Claims (6)
- スチレン系重合体ブロック(S1)と共役ジエン化合物重合体ブロック(B1)とからなるブロック共重合体の水素添加物であり、共役ジエン化合物重合体ブロック(B1)の1,2-ビニル結合量が50質量%以上である水添熱可塑性スチレン系エラストマーAと、スチレン系重合体ブロック(S2)と共役ジエン化合物重合体ブロック(B2)とからなるブロック共重合体の水素添加物であり、共役ジエン化合物重合体ブロック(B2)の1,2-ビニル結合量が50質量%未満である水添熱可塑性スチレン系エラストマーBとを、5/95~50/50の質量比(水添熱可塑性スチレン系エラストマーA/水添熱可塑性スチレン系エラストマーB)で含有し、該水添熱可塑性スチレン系エラストマーAと該水添熱可塑性スチレン系エラストマーBの合計100質量部に対して、ポリフェニレンエーテル樹脂を10~200質量部、ゴム用軟化剤を50~1000質量部、及び重質炭酸カルシウムを10~300質量部を含有し、A硬度が50以下である、制振部材用熱可塑性エラストマー組成物。
- 重質炭酸カルシウムの、体積基準メジアン径が0.5~10μmであり、比表面積が0.3~3.0m2/gである、請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- さらに、フェノール系酸化防止剤及びヒンダードアミン系光安定剤を含有する、請求項1又は2記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- さらに、ポリプロピレンを含有する、請求項1~3いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 請求項1~4いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物の成形体である、制振部材。
- 請求項5記載の制振部材を備えた、電動機用回転子。
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