JP4400902B2 - 制振性を有するポリフェニレンエーテル樹脂組成物 - Google Patents

制振性を有するポリフェニレンエーテル樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、制振性を有するポリフェニレンエーテル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】
ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は寸法安定性あるいは電気特性等に優れるため家電分野、事務機分野等に広く用いられている。近年、騒音、振動等の環境問題が注目されてきているため、構造材料に制振性が要求されることが多くなっている。
【0003】
一方、情報機器分野では情報の容量や処理速度の大幅な増加に伴い駆動部に高速回転が要求されるに至っている。駆動部が高速で回転すると当然振動が発生し易くなり、読み込みミスや誤作動を招き易い。従って、家電分野、事務機分野や情報機器分野に広く用いられているポリフェニレンエーテル樹脂にも当然制振性が要求されるに至っている。
【0004】
元来、ポリフェニレンエーテル樹脂の制振性は決して優れるものではないが、エラストマー成分を配合することにより制振性が改良されることは知られている。これはエラストマー成分が振動エネルギーを吸収するためであるが、その反面、著しく剛性が低下するため、構造材料として使用するには不十分である。
エラストマーの中でも室温付近にTgを有するものほど制振効果が優れている。ポリフェニレンエーテル樹脂の制振性を改良する方法として、特開平3−181552号公報、特開平11−12457号公報等に、ビニル芳香族の重合体ブロックとイソプレンまたはイソプレン−ブタジエンブロックとから成る0゜C以上にtanδの主分散ピークを持つ未水添または水添されたブロック共重合体を添加する方法がすでに開示されている。しかしこのようなブロック共重合体の添加も組成物に良好な制振性を与える反面、組成物の剛性低下の度合いは大きく、構造材料として使用するには必ずしも十分とは言えない。
【0005】
ところでエラストマーのTgを室温付近に制御する方法として、スチレン系化合物の重合体ブロックとブタジエンの重合体ブロックから成るブロック共重合体においては、ブタジエン重合体ブロックにスチレン系化合物をランダム共重合させて、Tgを室温側にシフトさせる方法がある。
また、ポリフェニレンエーテル樹脂に、ビニル芳香族の重合体ブロックとブタジエンとビニル芳香族の水添されたランダム共重合体ブロックとのブロック共重合体及び、ポリオレフィン樹脂を含む樹脂組成物に関わる技術が特開平4−183748号公報に開示されているが、この技術はポリフェニレンエーテル樹脂組成物の耐衝撃性および耐薬品性を改良することを目的としたものであり、優れた制振性を持つ樹脂組成物の適正範囲を示したものではない。
【0006】
また、樹脂材料を家電分野、事務機分野や情報機器分野に用いる時はほとんどの場合難燃性も要求される。難燃化する場合、ハロゲン化合物や三酸化アンチモンを用いるのでは時代の要求に合わないし、燐酸エステル類で難燃化できれば環境上好ましい。そこで本発明は家電分野、事務機分野や情報機器分野に有効に使用できる、剛性の低下の少ない、制振性の優れた非難燃および難燃樹脂組成物を提供することを目的とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、環境に悪影響を及ぼさない優れた制振性を持つポリフェニレンエーテル樹脂組成物を得ることを目的に鋭意検討を重ねた結果、ポリフェニレンエーテル樹脂に、スチレン系化合物の重合体ブロックとブタジエンとスチレン系化合物のランダム共重合体ブロックとからなる、0゜C付近にtanδの主分散ピークを示すブロック共重合体を添加することにより、良好な制振性能が与えられ、さらに単にブタジエンやイソプレンの共重合ブロックをソフトセグメントとするエラストマーを添加した場合に比べ剛性の低下が少ないこと、制振効果を十分に持たせた上に難燃化するためにはブロック共重合体樹脂が分散相を形成し適正な分散粒子径の範囲があること、燐酸エステル系難燃剤を用いると難燃効果が飛躍的に向上すること、およびポリオレフィンを併用することでtanδの主分散ピークの温度を上げられることを発見して本発明に至り、制振性に優れたポリフェニレンエーテル樹脂組成物を提供できるに至った。
【0008】
即ち本発明は、1.(A)ポリフェニレンエーテル樹脂またはこれとポリスチレン系樹脂とからなる樹脂を40〜90重量部、(B)スチレン系化合物の重合体ブロックおよびビニル結合の総含有量が20重量%以上のブタジエンとスチレン系化合物のランダム共重合体ブロックとから成り、ランダム共重合体ブロック中のスチレン系化合物の(B)成分全体に占める割合が30〜60重量%、スチレン系化合物重合体ブロックの(B)成分全体に占める割合が8〜50重量%である、ポリスチレン換算数平均分子量50,000〜300,000の範囲内のブロック共重合体樹脂5〜35重量部、(C)ポリオレフィン樹脂0〜20重量部および(D)燐酸エステル系難燃剤0〜30重量部含有し、かつ(B)及び(C)成分は分散相を形成し、かつ分散粒子の平均径が0.2〜4μmの範囲であることを特徴とするポリフェニレンエーテル樹脂組成物、
【0009】
2.上記1において、(B)成分のランダム共重合ブロックのブタジエン部分が70%以上水素添加されたものである樹脂組成物、
から成る、制振性を有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
本発明を更に詳細に説明する。本発明において(C)成分が含まれない場合は分散粒子径が小さく成りやすい。(C)成分を添加することで分散粒子が肥大化すると共にtanδの主分散ピークの温度も上昇するために制振性の改良効果が大きい。しかし必要以上に(C)成分が添加されると分散粒子が大きく成りすぎて難燃化できなくなると共に、成型品の剛性が低下する。制振性の改良効果が十分に発揮され、しかも燐酸エステル系難燃剤を用いて難燃化できる分散粒子径の範囲は0.2〜4μmの範囲である。分散相の粒子径は電子顕微鏡写真から求めた分散相の長径と短径の相加平均をもって示したものである。
【0011】
(B)及び(C)成分が連続相を形成する場合には燐酸エステル系難燃剤を用いても必要なレベルまで難燃化し難くなる。
難燃化する場合は(B)及び(C)成分が分散相を形成していても燐酸エステル系難燃剤以外では難燃効果が乏しいために目的を達成することができない。燐酸エステル系難燃剤を用いた場合に限り難燃効果が大きいのはポリフェニレンエーテル系樹脂成分がチャー化し易くなり、このチャーが保護膜を形成して(B)及び(C)成分を燃焼し難くするためと推測される。(B)及び(C)成分よりなる分散粒子の径が大きくなるに従ってチャーにより保護しきれなくなるため難燃効果が低下するものと考えられる。
【0012】
本発明の(A)成分であるポリフェニレンエーテル樹脂とは、次に示す一般式(1)、
【化1】
Figure 0004400902
【0013】
(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6は炭素数1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素等の一価の残基であり、R5,R6は同時に水素ではない)を繰り返し単位とし、構成単位が一般式(1)の〔a〕及び〔b〕からなる単独重合体、あるいは共重合体が使用できる。
【0014】
ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。
【0015】
ポリフェニレンエーテル共重合体は、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体あるいはo−クレゾールとの共重合体あるいは2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等、ポリフェニレンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体を包含する。
【0016】
また、本発明のポリフェニレンエーテル樹脂中には、本発明の主旨に反しない限り、従来ポリフェニレンエーテル樹脂中に存在させてもよいことが提案されている他の種々のフェニレンエーテルユニットを部分構造として含んでいても構わない。少量共存させることが提案されているものの例としては、特願昭63−12698号公報及び特開昭63−301222号公報に記載されている、2−(ジアルキルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニットや、2−(N−アルキル−N−フェニルアミノメチル)−6−メチルフェニレンエーテルユニット等が挙げられる。
【0017】
また、ポリフェニレンエーテル樹脂の主鎖中にジフェノキノン等が少量結合したものも含まれる。
さらに、例えば特開平2−276823、特開昭63−108059、特開昭59−59724等に記載されている、炭素−炭素二重結合を持つ化合物により変性されたポリフェニレンエーテルも含む。
(A)成分はポリフェニレンエーテル樹脂の他に、任意の割合でポリスチレン系樹脂を含むことができる。ポリスチレン系樹脂とは、スチレン系化合物、スチレン系化合物と共重合可能な化合物をゴム質重合体存在または非存在下に重合して得られる重合体である。
【0018】
スチレン系化合物とは、一般式〔2〕
【化2】
Figure 0004400902
【0019】
(式中、Rは水素、低級アルキルまたはハロゲンを示し、Zはビニル、水素、ハロゲン及び低級アルキルよりなる群から選択され、pは0〜5の整数である。)で表される化合物を意味する。
【0020】
これらの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。また、スチレン系化合物と共重合可能な化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられ、スチレン系化合物と共に使用される。また、ゴム質重合体としては共役ジエン系ゴムおよび共役ジエンと芳香族ビニル化合物のコポリマーまたはこれらの水添物あるいはエチレン−プロピレン共重合体系ゴム等が挙げられる。本発明のために好適なスチレン系樹脂はポリスチレンおよびゴム強化ポリスチレンである。
【0021】
本発明の(B)成分であるブロック共重合体とは、少なくとも1個のスチレン系化合物の重合体ブロックと少なくとも1個のブタジエンとスチレン系化合物のランダム共重合体ブロックとより成るブロック共重合体樹脂である。ランダム共重合体ブロックのブタジエン部分に占める1,2−結合より成るビニル総含有量は20重量%以上である必要があり、好ましくは20〜60重量%の範囲内である。ビニル総含有量が20重量%に満たない場合はtanδの主分散ピークの温度が低く、ポリオレフィン系樹脂を併用しても制振性を発揮するに十分な温度まで上げることができないため好ましくない。
【0022】
ランダム共重合体ブロック中のスチレン系化合物の成分全体に占める割合の好適な範囲は30〜60重量%の範囲より選ばれ、より好ましくは30〜40重量%の範囲である。スチレン系化合物が30重量%に満たない場合、tanδの主分散ピークの温度が低く、ポリオレフィン系樹脂を併用しても制振性を発揮するに十分な温度まで上げることができないため好ましくなく、60重量%を上回る場合はtanδの主分散ピークが小さくなり、十分な制振効果が得られないため好ましくない。
【0023】
ブロック共重合体に占めるスチレン系化合物の重合体ブロックの含有量の好適な範囲は8〜50重量%の範囲より選ばれ、より好ましくは11〜35重量%、特に好ましくは15〜25重量%の範囲である。スチレン系化合物の重合体ブロックの含有量が8重量%に満たない場合は(A)成分との相溶性が不十分となり成型品が層剥離し易くなるため好ましくなく、50重量%を上回る場合は(C)成分を添加しても分散粒子が0.2μmに満たなくなり十分な制振効果が得られないため好ましくない。(C)成分を添加しない場合には35重量%を超えると分散粒子が0.2μm以下になる。
【0024】
ブロック共重合体の好適な分子量の範囲はポリスチレン換算数平均分子量50,000〜300,000の範囲より選ばれ、より好ましくは50,000〜230,000、特に好ましくは70,000〜150,000の範囲である。ブロック共重合体の分子量が50,000に満たない場合には(A)成分との相溶性が不十分なため成型品が層剥離し易くなるため好ましくなく、300,000を上回る場合は(C)成分を添加しても分散粒子が0.2μmに満たないため十分な制振効果が得られないため好ましくない。(C)成分を添加しない場合には230,000を超えると分散粒子が0.2μm以下となる。
【0025】
ランダム共重合体ブロックのブタジエン部分に占める不飽和結合が30%以上残っている場合には、熱による組成物の流動性の低下や成型品の外観の悪化が生じる場合があるため、70%以上が水素添加されていることがより好ましい。
本発明の(C)成分であるポリオレフィン系樹脂自体は公知のものであり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン等のオレフィン系モノマーの単独重合体やエチレンープロピレン系共重合体、エチレンーエチルアクリレート共重合体等のオレフィン系モノマーを含む共重合体等が挙げられる。本発明のために好適なポリオレフィン系樹脂は低結晶性ポリプロピレンおよびエチレンープロピレン系共重合体である。
【0026】
本発明の(D)成分である燐酸エステル系難燃剤は特に限定されるものではないが、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジキシレニルフェニルホスフェート、ヒドロキノンビスホスフェート、レゾルシノールビスホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート等の芳香族燐酸エステル系難燃剤がより好適であり、単独でも二種以上組み合わせて使用しても良い。本発明のために特に好適な芳香族燐酸エステル系難燃剤はトリフェニルホスフェートである。トリフェニルホスフェートは他の芳香族燐酸エステル系難燃剤に較べ難燃化効果が優れる。
【0027】
本発明において、(A)成分であるポリフェニレンエーテル樹脂またはこれとポリスチレン系樹脂の添加量は40〜90重量部の範囲より選ばれる。(A)成分の添加量が90重量部を上回る場合は、制振性を賦与するに十分な(B)成分および(C)成分を添加できないために好ましくない。
本発明において、(B)成分であるブロック共重合体の添加量は5〜35重量部の範囲より選ばれる。(B)成分の添加量が5重量部を下回る場合は十分な制振効果が得られないため好ましくなく、35重量部を超える場合は燐酸エステル系難燃剤による難燃化ができなくなる上に成型品が層剥離しやすくなるため好ましくない。
【0028】
本発明において、(C)成分であるポリオレフィン樹脂の添加量は0〜20重量部の範囲より選ばれ、より好ましくは3〜15重量部の範囲である。(C)成分の添加量が20重量部を超える場合は成型品中における燐酸エステル系難燃剤による難燃化ができなくなる上に成型品が層剥離しやすくなるため好ましくない。
【0029】
本発明において、(D)成分である燐酸エステル系難燃剤の添加量は0〜30重量部の範囲より選ばれ、より好ましくは5〜25重量部、特に好ましくは10〜20重量部の範囲である。但し、難燃化する場合には(D)成分の添加量を5重量部以上にする必要がある。5重量部を下回る場合は難燃化効果が不十分になり、30重量部を上回る場合は組成物の耐熱性を大幅に低下させるために好ましくない。
【0030】
本発明の樹脂組成物には必要に応じて各種添加剤を配合することができる。剛性や寸法性能等を増すためには任意の割合で無機質フィラーが添加される。無機質フィラーを配合する場合にはガラスフレーク、マイカ、鱗片状タルク、鱗片状黒鉛等の鱗片状フィラーを用いると制振性が向上するために特に好ましい。
樹脂組成物の安定性を増すための酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の安定剤類や着色剤、離型剤等も添加することができる。
【0031】
本発明の組成物の調整方法は特に限定されるものではないが、分散粒子径をコントロールするために押し出し機が一般的に用いられる。分散粒子径は押し出し時の剪断応力でコントロールするのが最も容易である。押し出し時の剪断応力は押し出し温度、スクリューパターン、スクリュー回転数等で変えられる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明がこれらの例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の用いる部は重量部であり%は重量%である。
実施例および比較例で用いたブロック共重合体を以下に示す
【0033】
(1)B−1
ポリスチレン−スチレンのランダム共重合した水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造を有し、結合スチレン総含有量54%、ブロックスチレン量20%、ランダム共重合ブロックのビニル結合総含有量41%、ポリスチレン換算数平均分子量120,000、ポリブタジエン部の水素添加率90%以上のブロック共重合体を合成し、これをB−1とした。
【0034】
(2)B−2
ポリスチレン−スチレンのランダム共重合した水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造を有し、結合スチレン総含有量56%、ブロックスチレン量21%、ランダム共重合ブロックのビニル結合総含有量40%、ポリスチレン換算数平均分子量70,000、ポリブタジエン部の水素添加率90%以上のブロック共重合体を合成し、これをB−2とした。
【0035】
(3)B−3
ポリスチレン−スチレンのランダム共重合した水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造を有し、結合スチレン総含有量52%、ブロックスチレン量12%、ランダム共重合ブロックのビニル結合総含有量41%、ポリスチレン換算数平均分子量210,000、ポリブタジエン部の水素添加率90%以上のブロック共重合体を合成し、これをB−3とした。
【0036】
(4)B−4
ポリスチレン−スチレンのランダム共重合した水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造を有し、結合スチレン総含有量43%、ブロックスチレン量18%、ランダム共重合ブロックのビニル結合総含有量40%、ポリスチレン換算数平均分子量100,000、ポリブタジエン部の水素添加率90%以上のブロック共重合体を合成し、これをB−4とした。
【0037】
(5)ハイブラー7125(クラレ株式会社製)
ポリスチレン−水素添加されたポリイソプレン−ポリスチレンの構造を有し、ブロックスチレン量20%、ビニル結合量55%、ポリスチレン換算数平均分子量104,000、水添率85%。
【0038】
実施例および比較例中の各測定値は以下の方法により求めた。
(1)tanδ特性
オリエンテック社のレオバイブロンを用いて粘弾性スペクトルを測定し、ピーク温度と23℃におけるtanδ値を求めた。
(2)分散相の平均粒子径
樹脂組成物の超薄切片の電子顕微鏡写真を撮り、分散相粒子の長径と短径の相加平均を粒子径とし、分散相粒子約500個より平均を求めた。
【0039】
(3)制振性(損失係数η)
2チャンネル高速フーリエ変換装置を用いて、非接触ランダム加振による片持ち梁法により測定し、%で表示した。測定温度は23℃である。
(4)燃焼性
1.6mm厚みの試験片を用いてUL−94試験法に基づいて測定した。
(5)曲げ強度、曲げ弾性率
ASTMのD790による曲げ試験法に基づいて三点曲げ試験を23゜Cで行ない測定した。
【0040】
【比較例1】
固有粘度(クロロホルム溶媒で30℃にて測定)が0.43dl/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル40部、旭化成工業(株)のポリスチレン685を55部、ブロック共重合体B−1を5部および2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1部とを池貝鉄工所(株)のPCM30二軸押出機を使用し、ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:3個、シーリング:1個を有するスクリューパターンで、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表1に示す。
【0041】
【実施例1】
ポリスチレンの内の15部をB−1に替えて比較例1を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表1に示す。
【0042】
【実施例2】
ポリスチレンの内の10部およびB−1の内の5部を日本ポリオレフィン(株)のポリプロピレンSA510に替えて実施例1を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表1に示す。
【0043】
【比較例2】
比較例1のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル45部、B−1を40部、トリフェニルホスフェート15部および2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1部とを比較例1と同一の押出条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表2に示す。
【0044】
【比較例3】
B−1の内の20部を比較例1のポリスチレンに替え、更に20部をB−4に替えて比較例2を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表2に示す。
【0045】
【実施例3】
B−1の内の20部を比較例1のポリスチレンに替えて比較例2を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表2に示す。
【0046】
【実施例4】
B−1をB−2に替えて実施例3を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表2に示す。
【0047】
【実施例5】
B−1をB−3に替えて実施例3を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表2に示す。
【0048】
【比較例4】
B−1の内の25部を実施例2のポリプロピレンに替えて、比較例2を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表3に示す。
【0049】
【比較例5】
ポリプロピレンの内の10部を比較例1のポリスチレンに替え、更にB−1をB−4に替えて比較例4を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表3に示す。
【0050】
【実施例6】
ポリプロピレンの内の10部を比較例1のポリスチレンに替えて、比較例4を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表3に示す。
【0051】
【実施例7】
B−1をB−3に替えて実施例6を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表3に示す。
【0052】
【比較例6】
実施例1のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル28部、ポリスチレン685を15部、ハイブラー7125を9部、トリフェニルホスフェート8部、厚み3〜7μmのガラスフレーク40部および2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1部とを比較例1の押出条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表4に示す。
【0053】
【実施例8】
ハイブラー7125をB−1に替えて比較例6を繰り返して樹脂組成物を得た。該組成物の物性試験結果を表4に示す。
【0054】
【表1】
Figure 0004400902
【0055】
【表2】
Figure 0004400902
【0056】
【表3】
Figure 0004400902
【0057】
【表4】
Figure 0004400902
【0058】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物はポリフェニレンエーテル樹脂、ブロック共重合体、ポリオレフィン樹脂または/および燐酸エステル系難燃剤を含有し、特定の構造を有するブロック共重合体を用いることにより、剛性低下の少ない、難燃および非難燃の優れた制振性を有するポリフェニレンエーテル樹脂組成物である。

Claims (2)

  1. (A)ポリフェニレンエーテル樹脂またはこれとポリスチレン系樹脂とからなる樹脂を40〜90重量部、(B)スチレン系化合物の重合体ブロックおよび、ビニル結合の総含有量が20重量%以上のブタジエンとスチレン系化合物のランダム共重合体ブロックとから成り、ランダム共重合体ブロック中のスチレン系化合物の(B)成分全体に占める割合が30〜60重量%、スチレン系化合物重合体ブロックの(B)成分全体に占める割合が8〜50重量%である、ポリスチレン換算数平均分子量50,000〜300,000の範囲内のブロック共重合体樹脂5〜35重量部、(C)ポリオレフィン樹脂0〜20重量部および(D)燐酸エステル系難燃剤0〜30重量部含有し、かつ(B)及び(C)成分は分散相を形成し、かつ分散粒子の平均径が0.2〜4μmの範囲であることを特徴とするポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
  2. (B)成分のランダム共重合ブロックのブタジエン部分が70%以上水素添加されたものである請求項1の樹脂組成物。
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