JP2003235188A - 永久磁石電動機の回転子およびその製造方法 - Google Patents

永久磁石電動機の回転子およびその製造方法

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JP2003235188A
JP2003235188A JP2002032249A JP2002032249A JP2003235188A JP 2003235188 A JP2003235188 A JP 2003235188A JP 2002032249 A JP2002032249 A JP 2002032249A JP 2002032249 A JP2002032249 A JP 2002032249A JP 2003235188 A JP2003235188 A JP 2003235188A
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rotor
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Yoshiaki Muraoka
義明 村岡
Yuichi Hamaguchi
雄一 浜口
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 永久磁石電動機から発生する不快な騒音を抑
止できる電動機回転子、及びその精度良く簡便かつ有利
に製造できる一体成形方法を提供する。 【解決手段】 永久磁石を有する電動機の回転子であっ
て、該回転子が永久磁石からなる外筒部分と剛性体から
なり回転軸に固着する内筒部分と両者の間に充填され両
者を連結する粘弾性体とから構成され、該粘弾性体の7
0℃での永久圧縮歪みがJIS K6301規格で70
%以下であることを特徴とする永久磁石電動機の回転
子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は永久磁石電動機の防
振構造に関するものであり、特に永久磁石電動機の防振
性を有する回転子及びその一体成形方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、永久磁石電動機はその制御性の良
さによりエアコンや給湯機等に使用されるファンモータ
に広く利用されている。従来の永久磁石電動機は、通
常、回転子鉄心と固定子鉄心とから構成され、この回転
子鉄心の外周には永久磁石が設けられ、中心部には回転
軸が固定されてなり、固定子鉄心が配設されている固定
子枠に、上記回転子鉄心が軸受を介して回転自在に組み
付けられている。また、回転軸の一端にはファンが固定
されている。この構造によれば回転子鉄心の振動減衰性
が乏しいため、固定子の回転磁界によって回転子に発生
する回転方向の振動が回転軸を介してファンに伝達し、
ファンが振動して不快な騒音が発生する原因となってい
た。
【0003】この不快な騒音の低減対策として、永久磁
石を固着させる外周部と軸を締結する中心部との間に積
層材を挿入し、回転子鉄心から軸への振動伝達を防止
し、電動機より発生する音の低減を図る方法や、永久磁
石を固着させる外周部と軸を締結させる中心部との間に
空隙を設け、且つ外周部と中心部とを複数の締結材で連
結させ、同様に振動伝達の防止を図り、電動機より発生
する騒音の低減を図る方法等が用いられていた。
【0004】例えば、特開平9−149571号公報に
は、電動機の回転子において、外周部の永久磁石と回転
軸に固定する回転子鉄心との間を、これらを連結する緩
衝部材で構成する構造が記載されている。また、特開平
6−86485号公報には、電動機の回転子において、
永久磁石を固着結合させる外周部分と軸に固定する内周
部分と、これら2つの部分を鉄板と防振ゴムを積層する
構成で連結する構造体が提案されている。また、特開平
7−75269号公報には、電動機の回転子において、
永久磁石を固着結合させる外周部と、軸に締結する内周
部とで構成し、これらの部分の間を複数の締結材で連結
して空隙を設けると共に、これらの空隙に粘弾性体を挿
入することが提案されている。
【0005】上述した種々の構成により、永久磁石電動
機の回転子に発生する騒音はある程度は低減されている
が、上記の構成はいずれも各部品乃至は部材をそれぞれ
別途に製作して、組み立てる或いは嵌合する必要があ
り、部材コストと加工費用が嵩むという問題がある。一
方、発生する音の低減を図る方法として、電気的にはス
キュー着磁をしている場合がある。しかし、この場合に
は磁束の損失により電動効率やモーター出力が低下し好
ましくないという問題を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題点を解決するためのもので、電動機回転子の構造を工
夫することにより振動を低減でき、かつ回転子鉄心の内
心部分と防振部材の接合や外周部分と防振部材の接合部
でのずれや抜け及び回転子鉄心の偏心や傾きのない永久
磁石電動機の回転子を提供することを目的とする。また
本発明は、上記の電動機回転子を簡便に効率良く製造で
きる一体成形方法を提供することも目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めの本発明の手段は、以下の通りである。 <1> 永久磁石を有する電動機の回転子であって、該
回転子が永久磁石からなる外筒部分と剛性体からなり回
転軸に固着する内筒部分と両者の間に充填され両者を連
結する粘弾性体とから構成され、該粘弾性体の70℃で
の永久圧縮歪みがJIS K6301規格で70%以下
であることを特徴とする永久磁石電動機の回転子。 <2> 前記内筒部分の剛性体が、永久磁石である上記
<1>に記載の永久磁石電動機の回転子。 <3> 前記粘弾性体の径方向肉厚が、電動機の回転子
全体の径方向肉厚の10%〜90%である上記<1>又は
<2>に記載の永久磁石電動機の回転子。 <4> 前記粘弾性体が、少なくとも高分子有機材料1
00質量部と軟化剤5〜500質量部とを含有し、該高
分子有機材料と軟化剤の各々の溶解度パラメーターの差
が3.0以下の熱可塑性材料である上記<1>〜<3>のい
ずれかに記載の永久磁石電動機の回転子。 <5> 前記熱可塑性材料100質量部に、更にポリフ
ェニレンエーテル樹脂を5〜250質量部配合してなる
上記<1>〜<4>のいずれかに記載の永久磁石電動機の回
転子。 <6> 前記高分子有機材料が、少なくとも2個のビニ
ル芳香族化合物を主構造単位とする重合体ブロックと、
少なくとも1個の共役ジエン化合物を主構造単位とする
重合体ブロックと、からなるブロック共重合体を水素添
加して得られる水添ブロック共重合体であり、その数平
均分子量が150,000〜400,000である上記
<4>又は<5>に記載の永久磁石電動機の回転子。 <7> 前記軟化剤が、パラフィン系オイル、ナフテン
系オイル又はポリイソブチレン系オイルから選ばれる少
なくとも1種からなり、その数平均分子量が450〜
5,000である上記<4>〜<6>のいずれかに記載の永
久磁石電動機の回転子。 <8> 永久磁石を有する電動機の回転子を成形するに
おいて、前記永久磁石からなる外筒部分と前記剛性体か
らなり回転軸に固着した内筒部分とを成形金型内にイン
サートして保持し、両者の間に射出成形にて前記粘弾性
体を充填させ一体成形することを特徴とする上記<1>〜
<7>のいずれかに記載の永久磁石電動機の回転子の製造
方法。 <9> 前記粘弾性体が、防振ゴム組成物である上記<
1>〜<3>のいずれかに記載の永久磁石電動機の回転
子。 <10> 永久磁石を有する電動機の回転子を成形する
において、前記永久磁石からなる外筒部分と前記剛性体
からなり回転軸に固着した内筒部分とを成形金型内にイ
ンサートして保持し、両者の間に射出成形にて前記粘弾
性体を充填させ一体成形した後に加硫することを特徴と
する上記<1>〜<3>及び上記<9>のいずれかに記載の永
久磁石電動機の回転子の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の永久磁石電動機の回転子
は、永久磁石からなる外筒部分と剛性体からなり回転軸
に固着する内筒部分と両者の間に充填され両者を連結す
る粘弾性体とから構成され、該粘弾性体の70℃での永
久圧縮歪みがJIS K6301規格で70%以下であ
ることを特徴とする。上記粘弾性体の70℃での永久圧
縮歪みが70%を超えると、電動機回転子の寸法精度が
経時的に悪くなり、円周のブレが許容範囲を超え、電動
性能や防振性能及び耐久性能が低下してしまう。一方、
該粘弾性体の永久圧縮歪みが70%以内であれば、その
ような不具合は発生せず長期に亙って十分に優れた電動
性能及び防振性能を保持できる。ここで、電動性能や防
振性能及び耐久性を更に向上させる観点より、上記粘弾
性体の70℃での永久圧縮歪みは、60%以下が好まし
く、50%以下がより好ましく、特に40%以下が最も
好ましい。
【0009】尚、本発明の永久磁石電動機の回転子にお
いて、前記外筒部分は永久磁石からなるが、回転軸に固
着する前記内筒部分の剛性体が永久磁石で構成されてい
てもよく、この場合、外筒及び内筒部分の永久磁石は同
一の素材であっても異なっていてもよい。
【0010】本発明において、外筒部分と内筒部分との
間に充填され両者を連結する前記粘弾性体の円筒肉厚
(径方向)は、電動機の回転子全体の径方向肉厚の10
%〜90%であることが好ましい。この粘弾性体の円筒
肉厚が回転子全体の肉厚の10%未満であると、防振性
能の付与が不十分で騒音抑制の効果が所要の水準を満た
せないことがあり、また該円筒肉厚が回転子全体の肉厚
の90%を超えると、回転時にブレが大きくなる懸念が
あり耐久性も低下させることがある。ここで、粘弾性体
の円筒肉厚は、電動性能や防振性能及び耐久性を共に向
上させるために、電動機の回転子全体の肉厚の20%〜
80%であることがより好ましく、30%〜70%であ
ることが特に好ましい。
【0011】本発明の粘弾性体に必要な前記物性値を得
る材料の1つとしては、少なくとも高分子有機材料10
0質量部と軟化剤5〜500質量部とを含有し、該高分
子有機材料と軟化剤の各々の溶解度パラメーターの差が
3.0以下である熱可塑性材料を好適に挙げることが出
来る。更に、上記熱可塑性材料100質量部にポリフェ
ニレンエーテル樹脂を5〜250質量部配合してなるも
のが好ましい。特に、上記高分子有機材料が、少なくと
も2個のビニル芳香族化合物を主構造単位とする重合体
ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主構
造単位とする重合体ブロックからなるブロック共重合体
を水素添加して得られる水添ブロック共重合体であり、
その数平均分子量が150,000〜400,000で
あるものが好ましい。また特に、上記軟化剤が、パラフ
ィン系オイル、ナフテン系オイル又はポリイソブチレン
系オイルから選ばれる少なくとも1種からなり、その数
平均分子量が450〜5,000であるものが好まし
い。
【0012】本発明の永久磁石電動機の回転子の製造方
法の1つは、永久磁石からなる外筒部分と剛性体からな
り回転軸に固着した内筒部分とを成形金型内にインサー
トして保持し、これらの間に射出成形にて上記の熱可塑
性材料を充填して外筒部分と内筒部分を連結して一体成
形することを特徴とする。
【0013】また、本発明の粘弾性体に必要な前記物性
値を得るもう1つの材料として、防振ゴム組成物を好適
に挙げることができる。上記防振ゴム組成物としては、
例えば、(1)ジエン系ゴムやα−オレフィン系共重合
ゴム等のゴム成分に、(2)カーボンブラック等の補強
剤、(3)オイル等の軟化剤、(4)硫黄、促進剤等の
加硫剤、(5)亜鉛華、ステアリン酸等の加硫助剤、
(6)老化防止剤、その他、を配合したゴム組成物を挙
げることができる。
【0014】粘弾性体として上記の様な防振ゴム組成物
を用いる場合は、本発明の永久磁石電動機の回転子の製
造方法として、永久磁石からなる外筒部分と剛性体から
なり回転軸に固着した内筒部分とを成形金型内にインサ
ートして保持し、これらの間に射出成形にて防振ゴム組
成物を充填して外筒部分と内筒部分を連結して一体成形
した後に、加熱加圧して加硫する工程を伴なうことが望
ましい。
【0015】本発明の永久磁石電動機の回転子は、上述
の様に永久磁石からなる外筒部分と剛性体からなり回転
軸に固着する内筒部分との間が、前記熱可塑性樹脂或い
は防振ゴム組成物からなる粘弾性体により充填され連結
される構成であるので、上記外筒部分と回転軸に固着し
た内筒部分とを成形金型内にインサートして保持し、こ
れらの間に公知の射出成形法にて上記粘弾性体を充填さ
せることで容易に一体成形することが可能であり、永久
磁石電動機の防振性を有する回転子の簡便で有利な製造
方法を提供できる。
【0016】以下に、本発明の永久磁石電動機の回転子
について図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の
一例を示す電動機回転子の(A)径方向断面図及び
(B)軸方向断面図である。ここで、電動機回転子1
は、永久磁石からなる外筒部分10と剛性体或いは永久
磁石からなり回転軸40に固着する内筒部分30とが同
心円筒状に平行に配設されてなり、外筒10と内筒30
との間には熱可塑性材料或いは防振ゴム組成物からなる
粘弾性体20が充填され両者を連結している。粘弾性体
20はRを付けて外筒部分10に連結するのが好まし
い。回転軸40は通常は金属材料等で作製されたシャフ
トである。
【0017】このように構成された電動機回転子1は、
固定子鉄心が配設されている固定子枠に、軸受を介して
回転自在に組み付けられ、回転子1の回転軸40の一端
にはファン等が固定され、回転子1の回転運動が直接フ
ァン等に伝達される。ここで、剛性体又は永久磁石から
なる内筒部分30を回転軸40に固着する方法について
は特に制限はなく、凹凸部やDカット部を設けて物理的
に嵌合する方法、貫通或いは部分的に貫通するネジ穴を
設けてネジ等で固定する方法、或いは接着剤を用いて接
着固定する方法等を利用することが出来る。また、内筒
部分30を磁性紛を充填した熱可塑性複合材料で形成す
る場合には、金型内に回転軸40をインサート保持して
該熱可塑材料を射出成形する方法で、内筒部分30と回
転軸40を一体で成形することも出来る。
【0018】次に、本発明の永久磁石電動機の回転子1
の製造方法について説明する。本発明の電動機回転子1
の製造方法は、永久磁石からなる外筒部分10と剛性体
からなり回転軸40に固着した内筒部分30とを成形金
型内にインサートして保持し、これらの間に射出成形に
て粘弾性体20を充填させ一体成形することで作製され
る。使用する射出成形機械の種類(縦型、横型等)、金
型の構造(材質、ゲート位置や数等)、射出成形の条件
(温度、圧力、サイクル時間等)などには特に制限はな
く、所与の回転子形状や使用する熱可塑材料及び防振ゴ
ム組成物等の流動特性その他を考慮して適切に選択でき
る。
【0019】次に、粘弾性体20に使用される熱可塑性
材料について詳細に説明する。粘弾性体20に係る高分
子有機材料としては、数平均分子量が20,000以
上、特に30,000以上、とりわけ40,000以上
の熱可塑性高分子有機材料が好ましく、例えば、スチレ
ン系(ブタジエンスチレン系、イソプレンスチレン系な
ど)、エステル系、アミド系、ウレタン系などの各種熱
可塑性エラストマー、及び、それらの水素添加物、その
他による変性物、スチレン系、ABS系、オレフィン系
(エチレン系、プロピレン系、エチレンプロピレン系、
エチレンスチレン系、プロピレンスチレン系など)、塩
化ビニル系、アクリル酸エステル系(アクリル酸メチル
系など)、メタクリル酸エステル系(メタクリル酸メチ
ル系、など)、カーボネート系、アセタール系、ナイロ
ン系、ハロゲン化ポリエーテル系(塩化ポリエーテル系
など)、ハロゲン化オレフィン系(四フッ化エチレン
系、フッ化−塩化エチレン系、フッ化エチレンプロピレ
ン系など)、セルロース系(アセチルセルロース系、エ
チルセルロース系など)、ビニリデン系、ビニルブチラ
ール系、アルキレンオキサイド系(プロピレンオキサイ
ド系など)などの熱可塑性樹脂、及びこれらの樹脂のゴ
ム変性物などが挙げられる。
【0020】このような熱可塑性高分子有機材料の中で
も、分子内に結晶構造や凝集構造等の硬質ブロックを形
成しやすい部分と、アモルファス構造等の軟質ブロック
とを一緒に持ち合わせている高分子が特に好ましい。そ
のような高分子有機材料の具体的としては、ポリブタジ
エンとブタジエン−スチレンランダム共重合体とのブロ
ック共重合体を水添して得られる結晶性ポリエチレンと
エチレン/ブチレン−スチレンランダム共重合体とのブ
ロック共重合体、ポリブタジエンとポリスチレンとのブ
ロック共重合体、或いは、ポリブタジエン又はエチレン
−ブタジエンランダム共重合体とポリスチレンとのブロ
ック共重合体を水添して得られる、例えば、結晶性ポリ
エチレンとポリスチレンとのジブロック共重合体、スチ
レン−エチレン/ブチレン−スチレンのトリブロック共
重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンの
トリブロック共重合体等、それらの中でも、スチレン−
エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体、エチ
レン/ブチレン共重合体の片末端又は両末端に結晶性ポ
リエチレンが連結したブロック共重合体、エチレン−プ
ロピレンゴム等を挙げることができる。
【0021】上述の中でも特に、ビニル芳香族化合物を
主構造単位とする重合体ブロックの少なくとも1つと、
共役ジエン化合物を主構造単位とする重合体ブロックの
少なくとも1つからなるブロック共重合体を水添して得
られる水添ブロック共重合体であって、その数平均分子
量が150,000〜400,000であるものが好ま
しい。即ち、ビニル芳香族化合物を主構造単位とする重
合体ブロックの少なくとも1つ(1セグメント)と、共
役ジエン化合物を主構造単位とする重合体ブロックの少
なくとも1つとからなるブロック共重合体を水添して得
られるものが好ましいが、ビニル芳香族化合物を主構造
単位とする重合体ブロックの少なくとも2つと、共役ジ
エン化合物を主構造単位とする重合体ブロックの少なく
とも1つとを有するブロック共重合体(例えば、スチレ
ン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等)を水添
して得られる水添ブロック共重合体が更に好ましい。ま
た、この水添ブロック共重合体に類似した水添ブロック
共重合体として、カルボン酸基若しくは無水マレイン酸
基又はこれらの誘導体基を含有する構造単位が結合した
変性ビニル芳香族化合物を主構造単位とする重合体ブロ
ックの少なくとも1つと、共役ジエン化合物を主構造単
位とする重合体ブロックの少なくとも1つからなるブロ
ック共重合体を水添して得られる水添ブロック共重合体
も好ましい。尚、このスチレン−エチレン/ブチレン−
スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロ
ピレン−スチレンブロック共重合体等に代表される水添
ブロック共重合体においては、数平均分子量が150,
000未満であると、圧縮永久歪みが大き過ぎて防振効
果の持続性が低下することがあり、400,000を超
えると高分子材料の流動性が低下して成形性が悪化する
ことがあるので、数平均分子量は、150,000〜4
00,000の範囲内であることが好ましい。
【0022】上記ブロック共重合体の非晶質スチレンブ
ロックの含有量は、10〜70質量%、好ましくは15
〜60質量%の範囲のものが望ましい。また、非晶質ス
チレンブロック部のガラス転移温度(Tg)は,60℃
以上、好ましくは80℃以上であるものが望ましい。ま
た、両末端の非晶質スチレンブロックを連結する部分の
重合体としては、やはり非晶質のものが好ましく、例え
ば、エチレン−ブチレン共重合体、ブタジエン重合体、
イソプレン重合体等を挙げることができ、これらのブロ
ック或いはランダム共重合体であってもよい。
【0023】これらの各種熱可塑性高分子有機材料は主
に単独で用いられるが、必要に応じて2種以上をブレン
ドして用いてもよい。
【0024】次に、粘弾性体20に係る軟化剤について
述べる。本発明の軟化剤としては、公知のものを任意に
用いることができるが、数平均分子量が20,000未
満の低分子軟化剤を用いることが好ましく、物理的に
は、100℃における粘度が5×105センチポイズ以
下、特に、1×105センチポイズ以下であるものが好
ましい。また、分子量については、数平均分子量が2
0,000未満、特に10,000以下、とりわけ5,
000以下であるものが好ましい。
【0025】このような軟化剤としては、通常、常温で
液体または液状の材料が好適に用いられる。また、親水
性若しくは疎水性のいずれの軟化剤も使用できる。軟化
剤の種類としては特に限定はされなく、鉱物油系、植物
油系、合成油系等の各種ゴム用又は樹脂用軟化剤が用い
られる。鉱物油系としては、ナフテン系、パラフィン系
等のプロセス油が挙げられる。植物油系としては、ひま
し油、綿実油、アマニ油、なたね油、大豆油、パーム
油、椰子油、落花生油、木蝋、パインオイル、オリーブ
油等が挙げられる。これらの中でも、鉱物油系オイルの
パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、又はポリイソ
ブチレン系オイルから選択される少なくとも1種であっ
て、その平均分子量が450〜5,000であるものが
好ましい。この軟化剤として好ましく用いられるオイル
においては、数平均分子量が450未満であると圧縮永
久歪みが大き過ぎて防振効果の持続性が低下することが
あり、一方、5,000を超えると熱可塑性材料との相
溶性が悪化して軟化剤のブリードアウトが発生する恐れ
があるので、数平均分子量が前記範囲内であることが好
ましい。
【0026】これらの軟化剤は1種を単独で用いてもよ
く、互いの相溶性が良好であれば2種以上を混合して用
いてもよい。これらの軟化剤の配合量は高分子有機材料
100質量部に対して5〜500質量部が好ましく、特
に5〜300質量部であることが好ましい。該配合量が
5質量部未満であると、材料の柔軟性が不足して防振性
能が不充分となることがあり、500質量部を超える
と、軟化剤のブリードの発生或いは材料の機械的強度の
低下を齎すことがあり、いずれも防振効果やその耐久性
の観点から好ましくない。
【0027】本発明の粘弾性体20に係る熱可塑性材料
が好ましい電動性能および防振性能を発揮するために
は、その70℃における圧縮永久歪みがJIS K63
01規格で70%以下であることを必須とし、好ましく
は60%以下、更に好ましくは50%以下である。
【0028】上述の各材料特性を備えるためには、粘弾
性体20に係る熱可塑性材料を構成する高分子有機材料
が三次元連続の網状骨格構造を有することが好ましく、
形成される三次元連続の網状骨格構造は、その骨格の平
均径が50μm以下、好ましくは30μm以下、セル
(網目)の平均径は、500μm以下、好ましくは30
0μm以下であり、高分子有機材料の体積分率を〔(高
分子有機材料の体積)/(高分子有機材料の体積+軟化
剤の体積)〕×100(%)と定義したとき、高分子有
機材料の体積分率が50%以下、特に33%以下である
ことが好ましい。
【0029】また、多量の軟化剤と少量の高分子有機材
料を含む熱可塑性材料を得るためには、用いる軟化剤と
高分子有機材料の各々の溶解度パラメーター値:δ=
(ΔE/V)1/2(ΔE=モル蒸発エネルギー、V=モ
ル体積)の差が3.0以下、好ましくは2.5以下とな
る様に、両材料を選択することが好ましい。この溶解度
パラメーター値(δ)の差が3.0を超えると両材料の
相溶性が悪くなり、軟化剤が多量に保持され難くなり、
得られる熱可塑性材料の低弾性化の障害となり、また軟
化剤のブリードが発生し易くなり、防振性能が低下する
傾向があるため好ましくない。
【0030】また、粘弾性体20に係る熱可塑性材料に
は、材料の圧縮永久歪みを改善し、防振効果の持続性及
び防振材料の耐久性を向上する目的で、ポリフェニレン
エーテル樹脂を配合することができる。ここで用いられ
るポリフェニレンエーテル樹脂は、下記式で表される構
造単位からなる単独重合体又は該構造単位を含む共重合
体である。
【0031】
【化1】
【0032】上式中、R1〜R4はそれぞれ独立に、水素
原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を表す。
【0033】上記ポリフェニレンエーテル樹脂としては
公知のものを任意に用いることができ、具体的には、例
えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエ
ーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フ
ェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,
4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フ
ェニレン−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,
6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げ
られ、また、2,6−ジメチルフェノールと1価のフェ
ノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノール
や2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体の
如きポリフェニレンエーテル共重合体も用いることがで
きる。中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレンエーテル)や2,6−ジメチルフェノールと2,
3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好まし
く、さらに、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レンエーテル)が好ましい。
【0034】前記ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量
は、熱可塑性材料100質量部に対して5〜250質量
部の範囲で適宜に選択することができる。該配合量が2
50質量部を超えると、熱可塑性材料の硬度が高くなり
過ぎて防振性能が低下することがあり、5質量部未満で
は配合して得られる圧縮永久歪みの改善効果が不十分で
あることがあり、いずれの場合も好ましくない。
【0035】尚、粘弾性体20に係る熱可塑性材料に
は、必要に応じて更に、次の様な充填剤を配合してもよ
い。即ち、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリ
ウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化
物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム等の鱗
片状無機充填剤、各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラ
ミックス粉、粒状ないし粉末ポリマーなどの粒状ないし
粉末状固体充填剤、その他の各種の天然または人工の短
繊維、長繊維(例えば、ワラ、毛、ガラスファイバー、
金属ファイバー、その他各種のポリマーファイバーな
ど)などを配合することができる。
【0036】また、中空フィラー、例えば、ガラスバル
ーン、シリカバルーンなどの無機中空フィラー、ポリフ
ッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体からな
る有機中空フィラーを配合することにより、軽量化を図
ることもできる。更に、軽量化などの各種物性に改善の
ために、各種発泡剤を混入することも可能であり、或い
は、混合時などに機械的に気体を混入させることも可能
である。
【0037】粘弾性体20に係る熱可塑性材料には、前
記成分の他、必要に応じて諸特性の改良のため、公知の
樹脂成分などの添加剤を併用することができる。
【0038】樹脂成分としては、例えば、ポリオレフィ
ン樹脂やポリスチレン樹脂などを併用することができ
る。これらを添加することにより粘弾性体20に係る熱
可塑性材料の加工性や耐熱性の向上を図ることができ
る。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレ
ン、アイソタクティックポリプロピレン、プロピレンと
他の少量のα−オレフィンとの共重合体(例えば、プロ
ピレン−エチレン共重合体、プロピレン/4−メチル−
1−ペンテン共重合体)、ポリ(4−メチル−1−ペン
テン)、ポリブテン−1等を挙げることができる。ポリ
オレフィン樹脂としてアイソタクティックポリプロピレ
ンまたはその共重合体を用いる場合、そのMFR(JI
S K7210)が250℃で測定して0.1〜50g
/10分、特に、0.5〜30g/10分の範囲のもの
が好適に使用できる。
【0039】また、ポリスチレン樹脂としては、公知の
製造方法で得られたものであれば、ラジカル重合法、イ
オン重合法のいずれで得られたものも好適に使用でき
る。ポリスチレン樹脂の数平均分子量は5,000〜5
00,000、好ましくは10,000〜200,00
0の範囲から選択でき、分子量分布[質量平均分子量
(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/M
n)]は5以下のものが好ましい。
【0040】このスチレン樹脂としては、例えば、ポリ
スチレン、スチレン含有量60質量%以上のスチレン−
ブタジエンブロック共重合体、ゴム補強ポリスチレン、
ポリα−メチルスチレン、ポリp−第3ブチルスチレン
等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を併用しても
よい。更に、これらポリマーを構成するモノマーの混合
物を重合して得られる共重合体も用いることができる。
【0041】また、前記ポリオレフィン樹脂とポリスチ
レン樹脂とを併用することもできる。粘弾性体20に係
る熱可塑性材料にこれらの樹脂を添加する場合、ポリオ
レフィン樹脂単独を添加する場合に比較してポリスチレ
ン樹脂を併用すると、得られる材料の硬度が高くなる傾
向にある。従って、これらの配合比率を選択することに
より、得られる熱可塑性材料の硬度を調整することもで
きる。この場合、ポリオレフィン樹脂/ポリスチレン樹
脂の比率は95/5〜5/95(質量比)の範囲から選
択することが好ましい。
【0042】これらの樹脂成分を併用する場合、本発明
の効果を損なわない範囲において使用すべきであり、配
合量は高分子有機材料100質量部に対して0〜100
質量部程度であることが好ましい。樹脂成分の配合量が
100質量部を超えると得られる熱可塑性材料の硬度が
高くなり過ぎて柔軟性が失われ、防振性能が低下するこ
とがあり好ましくない。
【0043】また、他の添加剤として、必要に応じて、
難燃剤、抗菌剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、無機充填剤、着色剤、シリコーン
オイル、クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェ
ノールテルペン樹脂、石油系炭化水素、ロジン誘導体等
の各種粘着付与剤(タッキファイヤー)、理研ビニル社
製の商品名「レオストマーB」等の各種接着性エラスト
マー、クラレ社製の商品名「ハイブラー」(ビニル−ポ
リイソプレンブロックの両末端にポリスチレンブロック
が連結したブロック共重合体)、日本ゼオン社製の商品
名「ノーレックス」(ノルボルネンを開環重合して得ら
れるポリノルボルネン)等の熱可塑性エラストマー又は
樹脂、熱可塑性ポリエステル、ポリウレタン等の極性の
高い熱可塑性エラストマー又は樹脂等を併用することが
できる。
【0044】粘弾性体20に係る熱可塑性材料の製造方
法は、特に限定されず、公知の方法を適用することがで
きる。例えば、前記の各材料及び所望により添加剤成分
等を加熱混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロ
ール、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー、
高剪断型ミキサー等を用いて溶融混練りし、更に所望に
より有機パーオキサイド等の架橋剤や架橋助剤等を添加
したり、又は、これら必要な成分を同時に混合し、加熱
溶融混練りすることにより、容易に製造することができ
る。
【0045】また、高分子有機材料と低分子材料とを混
練りした熱可塑性材料を予め用意し、この材料を、ここ
に用いたものと同種か若しくは種類の異なる1種以上の
高分子有機材料に更に混ぜ合わせて製造することもでき
る。
【0046】また、粘弾性体20に係る熱可塑性材料に
おいては、有機パーオキサイド等の架橋剤、架橋助剤等
を添加して架橋することも可能である。
【0047】ここで、部分架橋のために添加し得る架橋
剤としては、有機パーオキサイドが好適に挙げられ、具
体的には、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)−ヘキサン、t−
ブチルパーオキシベンゾエート、ゾクミルパーオキサイ
ド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジイソプロピル
ベンゾハイドロパーオキサイド、1,3−ビス−(t−
ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン、ベンゾイ
ルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げ
られる。
【0048】また、有用な架橋助剤としては、例えば、
ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリ
レート、エチレンジメタクリレート、ジアリルフタレー
ト、キノンジオキシム、フェニレンビスマレイミド、ポ
リエチレングリコールジメタクリレート、不飽和シラン
化合物等が挙げられる。これら有機パーオキサイド及び
架橋助剤は、配合材料全体を100質量部としたとき、
0.1〜5質量部の範囲で、任意に使用して架橋度を調
整することができる。これらの有機パーオキサイド及び
架橋助剤は必要に応じてそれぞれ2種以上を併用するこ
ともできる。尚、架橋助剤として不飽和シラン化合物を
使用した場合には、さらにシラノール縮合触媒の存在下
で水分と接触させて架橋を進行させることができる。
【0049】次に、粘弾性体20に使用される防振ゴム
組成物について詳細に説明する。ゴム成分としては、
「ジエン系ゴム」及び「エチレン−α−オレフィン系共
重合ゴム」及び「ハロゲン化ブチルゴム」等が好適に使
用される。上記「ジエン系ゴム」としては、天然ゴム、
イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ア
クリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム等、ジエン系単
量体からなる繰り返し単位を有するゴム等が挙げられ、
特に、天然ゴム及びイソプレンゴムが好ましい。これら
のジエン系ゴムは1種単独で使用してもよいし、2種以
上を併用することもできる。
【0050】上記「エチレン−α−オレフィン系共重合
ゴム」(以下、「EPR」という。)において、エチレ
ンと共重合されるα−オレフィンとしては、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メ
チル−1−ペンテン、1−ヘプテン、5−メチル−1−
ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、5−エチル−1
−ヘキセン、1−デセン、1−ドデセン、3−メチル−
1−ブテン等が挙げられ、特にプロピレンが好ましい。
これらのEPRは1種のみを使用してもよいし、2種以
上を併用することもできる。
【0051】上記EPRとしては、更に非共役ジエンが
共重合されたものを使用することもできる。非共役ジエ
ンとしては、ジシクロペンタジエン、2,5−ノルボル
ナジエン、5−ビニル−2−ノルボルネンの他、炭素数
6〜20の脂肪族α,ω−ジエン等が挙げられる。この
脂肪族α,ω−ジエンとしては、1,5−ヘキサジエ
ン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、
1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン等が挙げられ
る。これらの非共役ジエンを用いた場合は、生成するE
PRに分岐鎖が形成される。
【0052】また、生成するEPRに分岐鎖が形成され
ない非共役ジエンを用いることもできる。そのような非
共役ジエンとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネ
ン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロペ
ニル−2−ノルボルネン、5−(1−ブテニル)−2−
ノルボルネン、シクロオクタジエン、ビニルシクロヘキ
セン、1,5,9−シクロドデカトリエン、6−メチル
−4,7,8,9−テトラヒドロインデン、2,2’−
ジシクロペンテニル、トランス−1,2−ジビニルシク
ロブタン、2−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,6
−オクタジエン、1,4−ヘキサジエン、7−メチル−
1,6−オクタジエン、5,7−ジメチル−1,6−オ
クタジエン、1,4,7−オクタトリエン、ジシクロオ
クタジエン、メチレンノルボルネン等が挙げられる。
【0053】これらの非共役ジエンとしては、EPRに
分岐鎖が形成されるものと、形成されないものとを、そ
れぞれ少なくとも1種使用することが好ましい。分岐鎖
が形成される非共役ジエンでは、ジシクロペンタジエン
及び1,9−デカジエンが好ましい。分岐鎖が形成され
ない非共役ジエンでは、5−エチリデン−2−ノルボル
ネン、1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オ
クタジエン及び5,7−ジメチル−1,6−オクタジエ
ンが好ましい。
【0054】上記「ハロゲン化ブチルゴム」としては、
ブチルゴムを臭素又は塩素と反応させて得られる臭素化
ブチルゴム及び塩素化ブチルゴムが挙げられる。これら
のハロゲン化ブチルゴムは1種のみを使用してもよい
し、2種以上を併用することもできる。
【0055】本発明の防振ゴム組成物において、ジエン
系ゴムとEPR及びハロゲン化ブチルゴムの質量比は3
0/70〜90/10が好ましく、40/60〜80/
20であることがより好ましい。該ジエン系ゴムの質量
比が30未満、或いはEPR及びハロゲン化ブチルゴム
の質量比が70を越える場合は、架橋ゴムの機械特性及
び防振特性が不十分となることがある。一方、ジエン系
ゴムの質量比が90を越え、或いはEPR及びハロゲン
化ブチルゴムの質量比が10未満である場合は、十分な
耐熱性及び耐候性を有する架橋ゴムを得ることができな
いことがある。
【0056】また、ジエン系ゴム及びEPRと、ハロゲ
ン化ブチルゴムの合計量を100質量%とした場合に、
ジエン系ゴムとEPRとの合計量は60〜95質量%で
あることが好ましく、70〜90質量%であることがよ
り好ましい。ハロゲン化ブチルゴムは5〜40質量%が
好ましく、10〜30質量%がより好ましい。ハロゲン
化ブチルゴムの少なくとも一部は酸化亜鉛によって架橋
され、適量のハロゲン化ブチルゴムを含有させることに
より架橋ゴムの引張強さ等の機械特性及び静動比を向上
させることができる。
【0057】前記「補強剤」としては、SRF、GP
F、FEF、HAF、ISAF、SAF、FT及びMT
等のカーボンブラック、並びにホワイトカーボン類が挙
げられる。これらの補強剤は1種のみを使用してもよい
し、2種以上を併用することもできる。補強剤の含有量
は、ジエン系ゴム、EPR及びハロゲン化ブチルゴムの
合計量を100質量部(以下、「部」と略記することが
ある。)とした場合に、10〜100部とすることがで
き、特に20〜60部とすることが好ましい。補強剤の
含有量が10部未満であると、十分な補強効果が得られ
ず、100部を越えて多量に含有させても、それ以上の
補強効果は得られない。
【0058】前記「酸化亜鉛」としては、ゴム配合薬品
として一般に使用されている亜鉛華2種、活性亜鉛華、
表面処理亜鉛華及び複合亜鉛華等、各種の亜鉛華などを
使用することができる。その含有量は特に限定されない
が、ジエン系ゴムとEPRの合計量を100部とした場
合に、0.5〜20部とすることができ、特に3〜10
部とすることが好ましい。酸化亜鉛の含有量が0.5部
未満であると、架橋ゴムの機械特性及び耐熱性が不十分
となる傾向にあり、20部を越えて多量に含有させて
も、それ以上の効果は得られない。
【0059】以上、ジエン系ゴム、EPR、ハロゲン化
ブチルゴム、補強剤、酸化亜鉛及びステアリン酸、硫黄
及び加硫促進剤、老化防止剤等を主要成分とする本発明
の防振ゴム組成物は、これらを所定の条件で加熱、加圧
することにより容易に架橋させることができる。架橋結
合は、ジエン系ゴム及びEPRの各々の分子間ばかりで
なく、ジエン系ゴムとEPRの分子間にも形成され、ジ
エン系ゴムが有する優れた機械特性及び防振特性等と、
EPRが有する優れた耐熱性及び耐候性等とを併せ有す
る架橋ゴムとすることができる。この架橋ゴムは、70
℃での永久圧縮歪みが小さく、優れた防振性能を発揮で
き有用である。
【0060】本発明の防振ゴム組成物には、軟化剤を配
合することもできる。該軟化剤としては、アロマティッ
ク油、ナフテニック油、パラフィン油等のプロセスオイ
ル、ヤシ油等の植物油、アルキルベンゼン等の合成油等
が挙げられる。また、ゴム組成物には、この他、充填
剤、可塑剤、滑剤、粘着付与剤、老化防止剤及び紫外線
吸収剤等、各種の添加剤を配合することもできる。これ
らは各々1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用
することもできる。これら軟化剤等の添加剤は、始めに
EPRに配合され、その後、ジエン系ゴム等と混練され
てもよい。
【0061】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限さ
れるものではない。
【0062】[実施例1]下記寸法の永久磁石からなる
外筒部分と永久磁石からなり回転軸に固着する内筒部分
とを金型内にインサートして保持し、それらの間に、下
記組成を有する熱可塑性材料を下記条件で射出成形し
て、図1の形状を有する電動機の回転子を作製した。
【0063】<寸法> ・外筒部分:外径55mmφ、内径40mmφ、長さ3
0mm ・内筒部分:外径28mmφ、内径10mmφ、長さ2
0mm ・粘弾性体:外径長さ25mm、内径長さ20mm <粘弾性体の組成> ・高分子有機材料1(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン・トリブロック 共重合体のカルボン酸変性物、分子量200,000、SP値8.7) 100質量部 ・高分子有機材料2(スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン・トリブロッ ク共重合体、分子量200,000、SP値8.3) 100質量部 ・軟化剤(パラフィン系オイル、分子量750、SP値7.8) 100質量部 <射出成形条件> ・射出成形機:日精2色成形機「CD100S5AS
E」 ・シリンダー温度:一次側 200〜240℃、二次側
180〜220℃ ・金型温度:50℃ ・射出圧力:一次側 800Kg/cm2、二次側 40
0Kg/cm2 ・ゲート数:二次側 4点
【0064】上記SP値(溶解度パラメーター)の測定
は常法により行い、また数平均分子量の測定は、東ソー
(株)製のGPC(ゲルパーミテイションクロマトグラ
フィ)「GMH−XL」(2本直列)により行い、示唆
屈曲率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準と
するポリスチレン換算で算出した。
【0065】前記各原料をヘンシェルミキサーでよく混
合し、この混合物を50mm径の二軸押出機にて240
℃の条件下で溶融混練りして、熱可塑性材料のペレット
を得た。このペレット状の熱可塑性材料を上記射出条件
にてインサート成形して電動機回転子を作製したとこ
ろ、1サイクルの所要時間は約50秒であった。尚、こ
の熱可塑性材料のJIS K6301規格に基づく70
℃での圧縮永久歪は60%、JIS−A硬度は40°で
あった。ここで、圧縮永久歪はJIS A6301に準
拠し、70℃×22時間、25%変形後の残留歪率で評
価した値である。
【0066】得られた電動機回転子を、屋外設置の永久
磁石電動機に装着し運転したところ、不快な騒音もなく
良好な防振特性を示すことが確認できた。
【0067】[実施例2]実施例1において、熱可塑性
材料に代えて下記の防振ゴム組成物を用い、ヘンシェル
ミキサーの代りにバンバリーミキサーで混練し、下記条
件で射出成形して、その後に150℃×20分で加硫し
たこと以外は、実施例1と同様にして、電動機の回転子
を作製した。
【0068】 <防振ゴムの組成> ・天然ゴム 60質量部 ・臭素化フ゛チルゴム 20質量部 ・EPDM 20質量部 ・カーボンブラック(SRF) 40質量部 ・亜鉛華 5質量部 ・ステアリン酸 2質量部 ・パラフィン系オイル 10質量部 ・老化防止剤 1質量部 ・硫黄 1質量部 ・加硫促進剤 1質量部 <射出成形条件> ・射出成形機:日精2色成形機「CD100S5AS
E」 ・シリンダー温度:一次側 250〜280℃、二次側
270〜290℃ ・金型温度:80℃ ・射出圧力:一次側 1050Kg/cm2、二次側 6
50Kg/cm2 ・ゲート数:二次側 3点
【0069】射出成形の1サイクルの所要時間は約53
秒で、加硫後の上記防振ゴム組成物のJIS K630
1規格に基づく70℃での圧縮永久歪は8%、JIS−
A硬度は85°であった。得られた電動機回転子を、屋
外設置の永久磁石電動機に装着し運転したところ、不快
な騒音もなく良好な防振特性を示すことが確認できた。
【0070】[実施例3]実施例1において、電動機回
転子の寸法を下記の様に変更したこと以外は、実施例1
と同様にして、電動機の回転子を作製した。
【0071】<寸法> ・外筒部分:外径60mmφ、内径45mmφ、長さ4
0mm ・内筒部分:外径30mmφ、内径12mmφ、長さ3
0mm ・粘弾性体:外径長さ35mm、内径長さ30mm
【0072】実施例1と同様にして得たペレット状の熱
可塑性材料を、インサート成形して電動機回転子を作製
したところ、1サイクルの所要時間は約60秒であっ
た。この熱可塑性材料のJIS K6301規格に基づ
く70℃での圧縮永久歪60%、JIS−A硬度は40
°であった。得られた電動機回転子を、屋外設置の永久
磁石電動機に装着し運転したところ、不快な騒音もなく
良好な防振特性を示すことが確認できた。
【0073】
【発明の結果】以上説明したように、本発明の永久磁石
電動機の回転子は優れた防振性能を示し、屋外電動機に
装着して運転しても不快な騒音を発生することはなかっ
た。また、本発明の永久磁石電動機の回転子の製造方法
は、ショートサイクルで防振性と耐久性を兼備した一体
形回転子の有利な製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の永久磁石電動機の回転子の1例を示す
(A)径方向断面及び(B)長手方向の断面図である。
【符号の説明】
1………電動機の回転子 10………永久磁石外筒 20………粘弾性体 30………剛性体内筒 40………回転軸

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 永久磁石を有する電動機の回転子であっ
    て、該回転子が永久磁石からなる外筒部分と剛性体から
    なり回転軸に固着する内筒部分と両者の間に充填され両
    者を連結する粘弾性体とから構成され、該粘弾性体の7
    0℃での永久圧縮歪みがJIS K6301規格で70
    %以下であることを特徴とする永久磁石電動機の回転
    子。
  2. 【請求項2】 前記内筒部分の剛性体が、永久磁石であ
    る請求項1に記載の永久磁石電動機の回転子。
  3. 【請求項3】 前記粘弾性体の径方向肉厚が、電動機の
    回転子全体の径方向肉厚の10%〜90%である請求項
    1又は2に記載の永久磁石電動機の回転子。
  4. 【請求項4】 前記粘弾性体が、少なくとも高分子有機
    材料100質量部と軟化剤5〜500質量部とを含有
    し、該高分子有機材料と軟化剤の各々の溶解度パラメー
    ターの差が3.0以下の熱可塑性材料である請求項1〜
    3のいずれかに記載の永久磁石電動機の回転子。
  5. 【請求項5】 前記熱可塑性材料100質量部に、更に
    ポリフェニレンエーテル樹脂を5〜250質量部配合し
    てなる請求項1〜4のいずれかに記載の永久磁石電動機
    の回転子。
  6. 【請求項6】 前記高分子有機材料が、少なくとも2個
    のビニル芳香族化合物を主構造単位とする重合体ブロッ
    クと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主構造単位
    とする重合体ブロックと、からなるブロック共重合体を
    水素添加して得られる水添ブロック共重合体であり、そ
    の数平均分子量が150,000〜400,000であ
    る請求項4又は5に記載の永久磁石電動機の回転子。
  7. 【請求項7】 前記軟化剤が、パラフィン系オイル、ナ
    フテン系オイル又はポリイソブチレン系オイルから選ば
    れる少なくとも1種からなり、その数平均分子量が45
    0〜5,000である請求項4〜6のいずれかに記載の
    永久磁石電動機の回転子。
  8. 【請求項8】 永久磁石を有する電動機の回転子を成形
    するにおいて、前記永久磁石からなる外筒部分と前記剛
    性体からなり回転軸に固着した内筒部分とを成形金型内
    にインサートして保持し、両者の間に射出成形にて前記
    粘弾性体を充填させ一体成形することを特徴とする請求
    項1〜7のいずれかに記載の永久磁石電動機の回転子の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 前記粘弾性体が、防振ゴム組成物である
    請求項1〜3のいずれかに記載の永久磁石電動機の回転
    子。
  10. 【請求項10】 永久磁石を有する電動機の回転子を成
    形するにおいて、前記永久磁石からなる外筒部分と前記
    剛性体からなり回転軸に固着した内筒部分とを成形金型
    内にインサートして保持し、両者の間に射出成形にて前
    記粘弾性体を充填させ一体成形した後に加硫することを
    特徴とする請求項1〜3及び請求項9のいずれかに記載
    の永久磁石電動機の回転子の製造方法。
JP2002032249A 2002-02-08 2002-02-08 永久磁石電動機の回転子およびその製造方法 Pending JP2003235188A (ja)

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