JP2009065476A - スピーカーエッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】射出成形により得られる、薄膜化が要求される携帯電話やパソコンなどの小型スピーカー用の、厚さ200μm以下且つ内部損失及び柔軟性が共に優れたスピーカーエッジを提供すること。
【解決手段】成分(A)ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレンのトリブロック共重合体(a−1)、ポリスチレン−水添ポリイソプレン−ポリスチレンのトリブロック共重合体(a−2)及びポリスチレン−水添ブタジエン/イソプレン共重合体−ポリスチレンのトリブロック共重合体(a−3)から選ばれる少なくとも1種100質量部、成分(B)ポリオレフィン2〜20質量部及び成分(C)オイル70〜300質量部を含有する組成物を射出成形することにより得られる、厚さ200μm以下のスピーカーエッジ。
【選択図】なし
【解決手段】成分(A)ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレンのトリブロック共重合体(a−1)、ポリスチレン−水添ポリイソプレン−ポリスチレンのトリブロック共重合体(a−2)及びポリスチレン−水添ブタジエン/イソプレン共重合体−ポリスチレンのトリブロック共重合体(a−3)から選ばれる少なくとも1種100質量部、成分(B)ポリオレフィン2〜20質量部及び成分(C)オイル70〜300質量部を含有する組成物を射出成形することにより得られる、厚さ200μm以下のスピーカーエッジ。
【選択図】なし
Description
本発明は、内部損失及び柔軟性が共に優れたスピーカーエッジに関する。
スピーカーの振動板は、スピーカーエッジにより支持されている。かかるスピーカーエッジは、振動板の余分な振動を吸収できるよう、高い内部損失を有することが求められており、そのための材料として、これまでにエチレン−アクリル酸エステル共重合体ゴム(特許文献1参照)、ポリウレタンフォーム(例えば、特許文献2参照)、スチレン系熱可塑性エラストマー及びポリプロピレンの混合物を主成分とする熱可塑性エラストマー(例えば、特許文献3参照)などが開発されてきた。また、防振材として、例えば、ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレンのトリブロック共重合体、ポリプロピレン及びパラフィン系オイルを含有した、低硬度で耐久性に優れた防振材が知られている(例えば、特許文献4参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の材料は、柔軟性に欠けるという問題がある。特許文献2に記載の材料は発泡体であり、発泡体は通常、他の材料よりも音の出力時における寸法変化が大きいため耐久性に乏しく、スピーカーエッジとしての長期使用に耐えないという問題がある。特許文献3に記載の材料では10〜300μm以下のスピーカーエッジを製造することができると記載されている。しかし、特許文献3に記載されているように、この材料を用いた場合、ペレットをシート状に成形した後、加熱金型を用いた二次成形によりスピーカーエッジを作製する方法をとらざるを得ず、製造工程がやや多い。また、得られるシートの柔軟性は満足のいくものではなく、さらなる改良の余地がある。また、特許文献4には、防振材として優れた材料が記載されているものの、スピーカーエッジとして非常に有効であることについては記載が無く、また、特に200μm以下の薄いスピーカーエッジを製造するということについては、特許文献4の各成分の配合比率からは、通常、想像し難い。
本発明者等は上記問題に着目し、厚さ200μm以下のスピーカーエッジを射出成形にて直接製造し得るスピーカーエッジ用制振材料について鋭意研究を重ねた結果、成分(A)特定の水添スチレン系エラストマー、成分(B)ポリオレフィン及び成分(C)オイルを含有し、各成分を特定比率にて混合した組成物であれば、内部損失及び柔軟性に優れた、厚さ200μm以下のスピーカーエッジを、射出成形にて製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1] 成分(A)ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレンのトリブロック共重合体(以下、SEBSと略す。)(a−1)、ポリスチレン−水添ポリイソプレン−ポリスチレンのトリブロック共重合体(以下、SEPSと略す。)(a−2)及びポリスチレン−水添ブタジエン/イソプレン共重合体−ポリスチレンのトリブロック共重合体(以下、SEEPSと略す。)(a−3)から選ばれる少なくとも1種100質量部、
成分(B)ポリオレフィン2〜20質量部及び
成分(C)オイル70〜300質量部
を含有する組成物を射出成形することにより得られるスピーカーエッジ、
[2] [1]に記載の組成物において、さらに成分(D)ポリフェニレンエーテルを含有する組成物を射出成形することにより得られるスピーカーエッジ、
[3] 成分(D)ポリフェニレンエーテルが、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン系アロイ、ポリフェニレンエーテル/ポリプロピレン系アロイ、又はポリフェニレンエーテル/ポリアミド系アロイである、[2]に記載のスピーカーエッジ、
[4] 成分(D)の含有量が、成分(A)100質量部に対して10〜100質量部である、[2]又は[3]に記載のスピーカーエッジ、
[5] 成分(B)ポリオレフィンがポリプロピレンである、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のスピーカーエッジ、
[6] [1]に記載の組成物の硬度(ショアA)が3〜50度である組成物を射出成形することにより得られる、[1]に記載スピーカーエッジ、
[7] 成分(A)ポリスチレン−水添ブタジエン/イソプレン共重合体−ポリスチレンのトリブロック共重合体(a−3)100質量部、
成分(B)ポリオレフィン2〜20質量部及び
成分(C)オイル70〜300質量部
を含有するスピーカーエッジ用制振材料、
[8]さらに成分(D)ポリフェニレンエーテルを含有する、[7]に記載のスピーカーエッジ用制振材料、
[9]成分(D)ポリフェニレンエーテルが、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン系アロイ、ポリフェニレンエーテル/ポリプロピレン系アロイ、又はポリフェニレンエーテル/ポリアミド系アロイである、[8]に記載のスピーカーエッジ用制振材料、
[10]成分(B)ポリオレフィンがポリプロピレンである、[7]〜[9]のいずれか1つに記載のスピーカーエッジ用制振材料、
を提供するものである。
[1] 成分(A)ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレンのトリブロック共重合体(以下、SEBSと略す。)(a−1)、ポリスチレン−水添ポリイソプレン−ポリスチレンのトリブロック共重合体(以下、SEPSと略す。)(a−2)及びポリスチレン−水添ブタジエン/イソプレン共重合体−ポリスチレンのトリブロック共重合体(以下、SEEPSと略す。)(a−3)から選ばれる少なくとも1種100質量部、
成分(B)ポリオレフィン2〜20質量部及び
成分(C)オイル70〜300質量部
を含有する組成物を射出成形することにより得られるスピーカーエッジ、
[2] [1]に記載の組成物において、さらに成分(D)ポリフェニレンエーテルを含有する組成物を射出成形することにより得られるスピーカーエッジ、
[3] 成分(D)ポリフェニレンエーテルが、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン系アロイ、ポリフェニレンエーテル/ポリプロピレン系アロイ、又はポリフェニレンエーテル/ポリアミド系アロイである、[2]に記載のスピーカーエッジ、
[4] 成分(D)の含有量が、成分(A)100質量部に対して10〜100質量部である、[2]又は[3]に記載のスピーカーエッジ、
[5] 成分(B)ポリオレフィンがポリプロピレンである、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のスピーカーエッジ、
[6] [1]に記載の組成物の硬度(ショアA)が3〜50度である組成物を射出成形することにより得られる、[1]に記載スピーカーエッジ、
[7] 成分(A)ポリスチレン−水添ブタジエン/イソプレン共重合体−ポリスチレンのトリブロック共重合体(a−3)100質量部、
成分(B)ポリオレフィン2〜20質量部及び
成分(C)オイル70〜300質量部
を含有するスピーカーエッジ用制振材料、
[8]さらに成分(D)ポリフェニレンエーテルを含有する、[7]に記載のスピーカーエッジ用制振材料、
[9]成分(D)ポリフェニレンエーテルが、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン系アロイ、ポリフェニレンエーテル/ポリプロピレン系アロイ、又はポリフェニレンエーテル/ポリアミド系アロイである、[8]に記載のスピーカーエッジ用制振材料、
[10]成分(B)ポリオレフィンがポリプロピレンである、[7]〜[9]のいずれか1つに記載のスピーカーエッジ用制振材料、
を提供するものである。
本発明によれば、内部損失及び柔軟性が共に優れ、且つ、厚さ200μm以下のスピーカーエッジを射出成形で簡便に製造することができるため、薄膜化が要求される携帯電話やパソコンなどの小型スピーカーに用いられるスピーカーエッジを提供できる。本発明のスピーカーエッジを用いて作られるスピーカーを利用すると、音のひずみを抑えることができ、長期にわたり、良好な音質を保つことができる。
本発明のスピーカーエッジは、成分(A)SEBS(a−1)、SEPS(a−2)及びSEEPS(a−3)から選ばれる少なくとも1種、成分(B)ポリオレフィン及び成分(C)オイルを特定比率で含有する組成物を射出成形することにより得られる。
まず、成分(A)について説明する。
(a−1)のSEBSとしては特に制限は無いが、ポリスチレンブロックの含有率は好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜65質量%であり、ポリブタジエンブロックの水素添加率は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70〜100モル%である。また、重量平均分子量には特に制限は無いが、60000〜400000であることが好ましい。かかるSEBSの製造方法については特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。また、かかるSEBSは市販されており、例えば「タフテック(登録商標)H1272」(商品名、旭化成ケミカルズ株式会社製、重量平均分子量60000、ポリスチレンブロック含有率30%)、「セプトン(登録商標)8007」(商品名、株式会社クラレ製、重量平均分子量約80000、ポリスチレンブロック含有率30%)、「セプトン(登録商標)8104」(商品名、株式会社クラレ製、ポリスチレンブロック含有率60%)などがあり、これらを使用してもよい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8020、カラム:東ソー製GMH−XL(2本直列)、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、各重合体のポリスチレン換算で出した値であり、以下、同様である。
(a−2)のSEPSとしては特に制限は無いが、ポリスチレンブロックの含有率は好ましくは10〜70質量%、より好ましくは10〜40質量%であり、ポリイソプレンブロックの水素添加率は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70〜100モル%である。また、重量平均分子量には特に制限はないが、60000〜400000であることが好ましい。かかるSEPSの製造方法については特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。また、かかるSEPSは市販されており、例えば「ハイブラー(登録商標)7125」(商品名、株式会社クラレ製、ポリスチレンブロック含有率20%)、「ハイブラー(登録商標)7311」(商品名、株式会社クラレ製、ポリスチレンブロック含有率12%)、「セプトン(登録商標)2007」(商品名、株式会社クラレ製、重量平均分子量約80000、ポリスチレンブロック含有率30%)、「セプトン(登録商標)2063」(商品名、株式会社クラレ製、ポリスチレンブロック含有率13%)などがあり、これらを使用してもよい。
(a−3)のSEEPSとしては特に制限は無いが、ポリスチレンブロックの含有率は好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜40質量%であり、ブタジエン/イソプレン共重合体ブロックの水素添加率は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70〜100モル%である。また、重量平均分子量には特に制限は無いが、60000〜400000であることが好ましい。かかるSEEPSの製造方法については特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。また、かかるSEEPSは市販されており、例えば「セプトン(登録商標)4077」(商品名、株式会社クラレ製、重量平均分子量約300000、ポリスチレンブロック含有率30%)、「セプトン(登録商標)4033」(商品名、株式会社クラレ製、ポリスチレンブロック含有率30%)などがあり、これらを使用してもよい。
(a−1)のSEBSとしては特に制限は無いが、ポリスチレンブロックの含有率は好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜65質量%であり、ポリブタジエンブロックの水素添加率は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70〜100モル%である。また、重量平均分子量には特に制限は無いが、60000〜400000であることが好ましい。かかるSEBSの製造方法については特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。また、かかるSEBSは市販されており、例えば「タフテック(登録商標)H1272」(商品名、旭化成ケミカルズ株式会社製、重量平均分子量60000、ポリスチレンブロック含有率30%)、「セプトン(登録商標)8007」(商品名、株式会社クラレ製、重量平均分子量約80000、ポリスチレンブロック含有率30%)、「セプトン(登録商標)8104」(商品名、株式会社クラレ製、ポリスチレンブロック含有率60%)などがあり、これらを使用してもよい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8020、カラム:東ソー製GMH−XL(2本直列)、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、各重合体のポリスチレン換算で出した値であり、以下、同様である。
(a−2)のSEPSとしては特に制限は無いが、ポリスチレンブロックの含有率は好ましくは10〜70質量%、より好ましくは10〜40質量%であり、ポリイソプレンブロックの水素添加率は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70〜100モル%である。また、重量平均分子量には特に制限はないが、60000〜400000であることが好ましい。かかるSEPSの製造方法については特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。また、かかるSEPSは市販されており、例えば「ハイブラー(登録商標)7125」(商品名、株式会社クラレ製、ポリスチレンブロック含有率20%)、「ハイブラー(登録商標)7311」(商品名、株式会社クラレ製、ポリスチレンブロック含有率12%)、「セプトン(登録商標)2007」(商品名、株式会社クラレ製、重量平均分子量約80000、ポリスチレンブロック含有率30%)、「セプトン(登録商標)2063」(商品名、株式会社クラレ製、ポリスチレンブロック含有率13%)などがあり、これらを使用してもよい。
(a−3)のSEEPSとしては特に制限は無いが、ポリスチレンブロックの含有率は好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜40質量%であり、ブタジエン/イソプレン共重合体ブロックの水素添加率は、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70〜100モル%である。また、重量平均分子量には特に制限は無いが、60000〜400000であることが好ましい。かかるSEEPSの製造方法については特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。また、かかるSEEPSは市販されており、例えば「セプトン(登録商標)4077」(商品名、株式会社クラレ製、重量平均分子量約300000、ポリスチレンブロック含有率30%)、「セプトン(登録商標)4033」(商品名、株式会社クラレ製、ポリスチレンブロック含有率30%)などがあり、これらを使用してもよい。
成分(B)ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリブテン−1などが挙げられる。これらの中でも、加工性及び耐熱性の観点から、JIS K7210[190℃、21.18N(2.16kgf)]に従って測定したメルトフローレート(以下、MFRと略称する。)が、0.1〜100g/10分であるポリオレフィンを使用することが好ましく、0.5〜50g/10分であるポリオレフィンを使用することがより好ましい。また、ポリプロピレンであることが好ましい。このようなポリオレフィンは市販されており、例えば「ノバテック(登録商標)BC05B」(商品名、成分;ポリプロピレン、日本ポリプロ株式会社製)、M1600(商品名、成分;ポリプロピレン、サンアロマー株式会社製)、ビューロン(登録商標、成分;ポリブテン−1、三井化学株式会社製)などがあり、これらを使用してもよい。
ポリオレフィンの含有量は、成分(A)100質量部に対して2〜20質量部であり、加工性の観点から、5〜20質量部であることが好ましい。
ポリオレフィンの含有量は、成分(A)100質量部に対して2〜20質量部であり、加工性の観点から、5〜20質量部であることが好ましい。
成分(B)ポリオレフィンには、加工性及び耐熱性を向上させる目的で、ポリスチレンを併用することができる。該ポリスチレンは、公知の製造方法で得られたものを使用でき、ラジカル重合法、イオン重合法のいずれの方法で製造してもよい。該ポリスチレンの重量平均分子量は、好ましくは5000〜500000、より好ましくは10000〜200000であり、分子量分布は5以下のものが好ましい。該ポリスチレンとしては、例えば、ポリスチレン、スチレン単位含有量60質量%以上のスチレン−ブタジエンブロック共重合体、ゴム補強ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリp−t−ブチルスチレンなどが挙げられ、これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。ポリスチレンを併用する場合、ポリオレフィン/ポリスチレン=95/5〜85/15(質量比)であることが好ましい。
成分(C)オイルとしては、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル、シリコーンオイル、芳香族系オイル、植物系オイルなどが挙げられる。これらの中でも、相溶性の観点から、パラフィン系オイル、シリコーンオイルが好ましい。特に、パラフィン系オイルは、ブリード抑制の観点から、動粘度(40℃)が100〜10000mm2/Sであることが好ましい。かかる動粘度は、JIS K2283に準じて測定できる。
パラフィン系オイルとしては、例えばダイアナプロセスオイルPW380(商品名、出光興産株式会社製、分子量750、動粘度(40℃)380mm2/S)、「ルーカント(登録商標)HC−180」(商品名、三井化学株式会社製、分子量1500、動粘度(40℃)2500mm2/S)などが挙げられる。シリコーンオイルとしては、市販されているものを使用できる。植物系オイルとしては、例えばひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、梛子油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、相溶性が良好であれば、2種以上を併用してもよい。
オイルの含有量は、成分(A)100質量部に対して70〜300質量部であり、柔軟性、加工性、機械的強度、硬度及びスピーカーエッジの長期間の使用によるブリードの抑制などを併せて考慮すると、70〜270質量部であることが好ましい。
パラフィン系オイルとしては、例えばダイアナプロセスオイルPW380(商品名、出光興産株式会社製、分子量750、動粘度(40℃)380mm2/S)、「ルーカント(登録商標)HC−180」(商品名、三井化学株式会社製、分子量1500、動粘度(40℃)2500mm2/S)などが挙げられる。シリコーンオイルとしては、市販されているものを使用できる。植物系オイルとしては、例えばひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、梛子油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油などが挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、相溶性が良好であれば、2種以上を併用してもよい。
オイルの含有量は、成分(A)100質量部に対して70〜300質量部であり、柔軟性、加工性、機械的強度、硬度及びスピーカーエッジの長期間の使用によるブリードの抑制などを併せて考慮すると、70〜270質量部であることが好ましい。
本発明のスピーカーエッジを製造するに際し、前記成分(A)〜(C)に加え、前記した成分(D)ポリフェニレンエーテルを含有させることができる。該ポリフェニレンエーテルは、下記一般式
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基を表す。)で表される繰り返し単位からなる単独重合体又は該繰り返し単位を含む共重合体であり、本発明においては、ポリスチレン、ポリプロピレン又はポリアミドとのアロイも含む。
かかる一般式中、R1〜R4が表すハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。また、R1〜R4が表す炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が挙げられる。該ポリフェニレンエーテルとしては、公知のものを使用することができ、単独重合体としては、例えばポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)などが挙げられ、共重合体としては、例えば2,6−ジメチルフェノールと1価のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体の如きポリフェニレンエーテル共重合体などが挙げられる。
成分(D)ポリフェニレンエーテルは市販されており、例えば旭化成ケミカルズ株式会社製の「ザイロン(登録商標)」シリーズ、日本GEプラスチックス株式会社製の「ノリル(登録商標)」シリーズなどを使用することができる。
かかる成分(D)を含有させることにより、スピーカーエッジの耐熱性が向上する。成分(D)を含有させる場合、その含有量に特に制限は無いが、成分(A)100質量部に対して10〜100質量部であることが好ましい。
かかる一般式中、R1〜R4が表すハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。また、R1〜R4が表す炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基が挙げられる。該ポリフェニレンエーテルとしては、公知のものを使用することができ、単独重合体としては、例えばポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)などが挙げられ、共重合体としては、例えば2,6−ジメチルフェノールと1価のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体の如きポリフェニレンエーテル共重合体などが挙げられる。
成分(D)ポリフェニレンエーテルは市販されており、例えば旭化成ケミカルズ株式会社製の「ザイロン(登録商標)」シリーズ、日本GEプラスチックス株式会社製の「ノリル(登録商標)」シリーズなどを使用することができる。
かかる成分(D)を含有させることにより、スピーカーエッジの耐熱性が向上する。成分(D)を含有させる場合、その含有量に特に制限は無いが、成分(A)100質量部に対して10〜100質量部であることが好ましい。
本発明のスピーカーエッジを製造するに際し、本発明の目的が損なわれない範囲で、前記成分(A)〜(D)以外に、さらにその他の添加剤を加えてもよい。かかる添加剤としては、例えばセラミック、カーボンブラック、アンバー、シェンナ、カオリン、ニッケルチタンイエロー、コバルトブルー、プラマスターグレー、キノフタロン、ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどの顔料:難燃剤:老化防止剤:帯電防止剤:抗菌剤:酸化防止剤:タルク、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、ガラス粉、ガラスバルーンなどの無機中空フィラー、セラミックス粉、マイカなどの無機充填剤:コルク粉末、木粉、グラファイトなどの有機充填剤:ステアリン酸などの離型剤:光安定剤:ロジン誘導体などの粘着付与剤(タッキファイヤー):「レオストマー(登録商標)B」(商品名、理研テクノス株式会社製)などの接着性エラストマー:クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノールテルペン樹脂などが挙げられる。添加剤を加える場合、その使用量は、成分(A)100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。
なお、本発明のスピーカーエッジを製造するに際し、得られるスピーカーエッジの音響特性を低下させないため、架橋剤は含有させないことが好ましい。
なお、本発明のスピーカーエッジを製造するに際し、得られるスピーカーエッジの音響特性を低下させないため、架橋剤は含有させないことが好ましい。
成分(A)〜(C)並びに必要に応じて成分(D)及び上記添加剤を混合してペレットを作製する方法としては、例えば一軸混練機、二軸混練機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー、高剪断型ミキサーなどを用いて、好ましくは100〜300℃で溶融混練し、ペレット(組成物)を得る方法を利用できる。特に、成分(C)のオイルを各成分と十分に混合するためには、特に限定するわけではないが、以下の方法で混合すればよい。例えば、スクリュー全長/シリンダ径=30以上、好ましくは50〜70であり、スクリュー全長に対する混練帯域の長さの比率が30%以上、好ましくは40〜70%である二軸混練機を用意する。予め、成分(C)の一部又は全部を、成分(A)及び(B)並びに必要に応じて成分(D)及び前記添加剤へ加えて混合しておき、用意した二軸混練機のポリマー投入口からフィードするとともに、残りの成分(C)があれば、ポリマー投入口又はサイドフィード口からフィードして溶融混練することにより、成分(C)が組成物中へ十分に混入した、ブリードし難いペレットを得ることができる。また、予め、成分(C)の一部又は全部を、成分(A)及び(B)並びに必要に応じて成分(D)及び前記添加剤へ加えて混合しておくことをせず、それぞれ同時にポリマー投入口からフィードしてもよい。
こうして得られるペレット(組成物)において、特に硬度(ショアA)が3〜50度であるペレットを射出成形して得られるスピーカーエッジは、柔軟性及び加工性が優れており好ましい。
本発明では、前述のようにして得られたペレットを用い、射出成形(金型温度:30〜100℃、樹脂温度:150〜190℃)することによって、厚さ200μm以下のスピーカーエッジを作製することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
<実施例1〜5、比較例1及び2>
表1に示した配合(単位:質量部)で各成分を予め混合し、次いで二軸混練機(東芝機械株式会社製、TEM58BS型、スクリュー全長/シリンダ径=62.5、スクリュー全長に対する混練帯域の長さの比率=62%)にて180℃で混練し、ストランド状に押し出しながらカッターにてカットし、組成物(ペレット)を得た。得られたペレットの硬度及び内部損失(Tanδ)を以下のようにして測定し、表1に示した。
また、該ペレットを金型温度80℃、樹脂温度170℃の製造条件にて射出成形し、200μmのシート作製を行なった。シートを作製できたか否かを表1に示した。
表1に示した配合(単位:質量部)で各成分を予め混合し、次いで二軸混練機(東芝機械株式会社製、TEM58BS型、スクリュー全長/シリンダ径=62.5、スクリュー全長に対する混練帯域の長さの比率=62%)にて180℃で混練し、ストランド状に押し出しながらカッターにてカットし、組成物(ペレット)を得た。得られたペレットの硬度及び内部損失(Tanδ)を以下のようにして測定し、表1に示した。
また、該ペレットを金型温度80℃、樹脂温度170℃の製造条件にて射出成形し、200μmのシート作製を行なった。シートを作製できたか否かを表1に示した。
(1)硬度
JIS K6253(タイプA)に準拠して測定した。
(2)内部損失(Tanδ)
縦40mm、横5mm、厚さ2mmのシートを作成し、試料とした。この試料について、粘弾性スペクトロメーター「RDAIII」(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー株式会社製)を用い、チャック間距離2mm、動的歪1%、周波数60Hz、測定温度−30〜50℃の測定条件にて、動的粘弾性測定を行ない、表1に示す温度における内部損失(損失正接)を測定した。
JIS K6253(タイプA)に準拠して測定した。
(2)内部損失(Tanδ)
縦40mm、横5mm、厚さ2mmのシートを作成し、試料とした。この試料について、粘弾性スペクトロメーター「RDAIII」(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー株式会社製)を用い、チャック間距離2mm、動的歪1%、周波数60Hz、測定温度−30〜50℃の測定条件にて、動的粘弾性測定を行ない、表1に示す温度における内部損失(損失正接)を測定した。
*1:株式会社クラレ製、ポリスチレン−水添ブタジエン/イソプレン共重合体−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体、重量平均分子量約300000、ポリスチレンブロック含有率30%
*2:旭化成ケミカルズ株式会社製、ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体、重量平均分子量約60000、ポリスチレンブロック含有率30%
*3:成分;ポリプロピレン、MFR50(g/10分)、日本ポリプロ株式会社製
*4:成分;ポリプロピレン、MFR30(g/10分)、サンアロマー株式会社製
*5:旭化成ケミカルズ株式会社製
*6:パラフィン系オイル、分子量750、出光興産株式会社製
*7:パラフィン系オイル、分子量1500、三井化学株式会社製
*8:SH200−100cs(商品名)、東レ・ダウコーニング株式会社製
*9:成分;サイテックジャパン株式会社製
*10:成分;チバスペシャルティケミカルズ株式会社製
*11:成分;大日本インキ化学工業株式会社製
*2:旭化成ケミカルズ株式会社製、ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレンからなるトリブロック共重合体、重量平均分子量約60000、ポリスチレンブロック含有率30%
*3:成分;ポリプロピレン、MFR50(g/10分)、日本ポリプロ株式会社製
*4:成分;ポリプロピレン、MFR30(g/10分)、サンアロマー株式会社製
*5:旭化成ケミカルズ株式会社製
*6:パラフィン系オイル、分子量750、出光興産株式会社製
*7:パラフィン系オイル、分子量1500、三井化学株式会社製
*8:SH200−100cs(商品名)、東レ・ダウコーニング株式会社製
*9:成分;サイテックジャパン株式会社製
*10:成分;チバスペシャルティケミカルズ株式会社製
*11:成分;大日本インキ化学工業株式会社製
表1に示すように、比較例1では加工性が非常に悪く、厚さ2mmのシートの作製自体が不可能であり、内部損失の測定もできなかった。比較例2では、厚さ2mmのシートを作製することはできたため、内部損失の測定はできたものの、内部損失が小さく、また厚さ200μmのシートは作製できなかったことより加工性が不十分であると言える。つまり、比較例2の材料では、薄膜化が要求される携帯電話などのスピーカーエッジを射出成形によって製造することはできないと言える。一方、実施例1〜5では、比較例に比べて内部損失が高い。さらに、射出成形により厚さ200μm以下のシートを作製することもでき、非常に加工性に優れている。よって、本発明のスピーカーエッジは、特に携帯電話やパソコンなどの小型のスピーカーに使用するスピーカーエッジとして有効である。
内部損失及び柔軟性が共に優れ、射出成形にて厚さ200μm以下のスピーカーエッジを製造することができ、薄膜化が要求される携帯電話やパソコンなどの小型スピーカーに用いられるスピーカーエッジとして利用可能である。
Claims (10)
- 成分(A)ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレンのトリブロック共重合体(a−1)、ポリスチレン−水添ポリイソプレン−ポリスチレンのトリブロック共重合体(a−2)及びポリスチレン−水添ブタジエン/イソプレン共重合体−ポリスチレンのトリブロック共重合体(a−3)から選ばれる少なくとも1種100質量部、
成分(B)ポリオレフィン2〜20質量部及び
成分(C)オイル70〜300質量部
を含有する組成物を射出成形することにより得られる、厚さ200μm以下のスピーカーエッジ。 - 請求項1に記載の組成物において、さらに成分(D)ポリフェニレンエーテルを含有する組成物を射出成形することにより得られる、請求項1に記載のスピーカーエッジ。
- 成分(D)ポリフェニレンエーテルが、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン系アロイ、ポリフェニレンエーテル/ポリプロピレン系アロイ、又はポリフェニレンエーテル/ポリアミド系アロイである、請求項2に記載のスピーカーエッジ。
- 成分(D)の含有量が、成分(A)100質量部に対して10〜100質量部である、請求項2又は3に記載のスピーカーエッジ。
- 成分(B)ポリオレフィンがポリプロピレンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスピーカーエッジ。
- 請求項1に記載の組成物の硬度(ショアA)が3〜50度である組成物を射出成形することにより得られる、請求項1に記載のスピーカーエッジ。
- 成分(A)ポリスチレン−水添ブタジエン/イソプレン共重合体−ポリスチレンのトリブロック共重合体(a−3)100質量部、
成分(B)ポリオレフィン2〜20質量部及び
成分(C)オイル70〜300質量部
を含有するスピーカーエッジ用制振材料。 - さらに成分(D)ポリフェニレンエーテルを含有する、請求項7に記載のスピーカーエッジ用制振材料。
- 成分(D)ポリフェニレンエーテルが、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン系アロイ、ポリフェニレンエーテル/ポリプロピレン系アロイ、又はポリフェニレンエーテル/ポリアミド系アロイである、請求項8に記載のスピーカーエッジ用制振材料。
- 成分(B)ポリオレフィンがポリプロピレンである、請求項7〜9のいずれか1項に記載のスピーカーエッジ用制振材料。
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- 2007-09-06 JP JP2007231892A patent/JP2009065476A/ja active Pending
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