JP3363013B2 - 積層構造体 - Google Patents

積層構造体

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JP3363013B2
JP3363013B2 JP01113296A JP1113296A JP3363013B2 JP 3363013 B2 JP3363013 B2 JP 3363013B2 JP 01113296 A JP01113296 A JP 01113296A JP 1113296 A JP1113296 A JP 1113296A JP 3363013 B2 JP3363013 B2 JP 3363013B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層構造体に係り、
更に詳しくは、低弾性率であり、高ロス特性を有し、生
産性、経済性及び汎用性に優れ、多量の低分子材料を保
持した熱可塑性材料を軟質板として用いた、軽量物用の
防振構造に適する積層構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】極めて軽量な物、例えば、精密機械、O
A機器、各種モーター類、研究用機器等の防振用として
は、柔軟な材料を用いた防振構造体を用いるのが一般的
である。即ち、軽量物への振動の伝達を減衰するために
は、防振材料としてのバネ、ゴム板等の弾性体は柔らか
くする必要があり、通常はゲル状の物質が使用されてい
る。
【0003】しかしながら、このゲル状物質は、形状保
持性を有するものの、本来防振を必要とする方向、通常
は水平方向、以外の方向に対しても柔軟であるため、負
荷時の初期変形、使用中のヘタリ、クリープ等の弊害が
発生する点等の欠点があり、良好な防振効果と、その持
続性を有する防振材料は得難かった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、各種機器の高機
能化に伴い、これらの機器に取りつけられる防振構造体
についてもより一層の制振性能の改善が望まれている。
【0005】以上述べてきたことから明らかなように、
本発明の目的は、低弾性率であり、諸特性、生産性、汎
用性に優れた熱可塑性材料を軟質板として用いた、非常
に低弾性率であり、しかも、所望の方向に対する高ロス
特性を有する、極めて軽量な物品の防振構造体として好
適な制振性能に優れた積層構造体を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題点を解決するため、先に、非常に低弾性率の防振用
熱可塑性材料を完成させ、特許出願を行った。本発明は
これにさらに改良を加え、この低弾性率の熱可塑性材料
を用いて軟質板を構成し、硬質板とともに積層体を形成
することにより、積層方向、即ち縦方向には、バネ定数
が大きく、横方向には柔軟である防振構造体を得ること
ができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明の積層構造体は、複数枚の硬
質板と、軟質板とを積層してなる積層構造体であって、
(1)前記軟質板が、高分子有機材料と軟化剤とを含
み、硬度がJIS K6301規格Aスケールで0°〜
25°であり、100℃における圧縮永久歪みがJIS
K6301規格で50%以下であり、且つ、230℃
におけるMFRがJIS K7210規格で10g/1
0分以上である熱可塑性材料で構成され、(2)前記硬
質板が、25°Cにおける曲げ弾性率100kgf/m
2 以上である材料で構成される、ことを特徴とする。
【0008】また、前記熱可塑性材料は、高分子有機材
料100重量部と、軟化剤50〜500重量部と、を含
み、高分子有機材料と軟化剤の各々の溶解度パラメータ
ーの差が3.0以下であることが好ましい。
【0009】前記熱可塑性材料は、ポリフェニレンエー
テルを10〜250重量部含んでなることが好ましい。
【0010】本発明の熱可塑性材料に用いられる前記高
分子有機材料は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合
体ブロックの少なくとも1つと、共役ジエン化合物を主
体とする重合体ブロックの少なくとも1つからなるブロ
ック共重合体を水添して得られる水添ブロック共重合体
であり、その平均分子量が150,000〜400,0
00であることを特徴とする。
【0011】さらに、前記軟化剤は、ナフテン系オイ
ル、パラフィン系オイル又はポリイソブチレン系オイル
から選択される一種又は二種以上であり、その平均分子
量が450〜5,000であることを特徴とする。
【0012】この軟質板を構成する熱可塑性材料は、2
5°C、5Hzにおける損失正接(tanδ)が0.0
5〜1.0であり、且つ、25°Cにおける剪断弾性率
が0.0005〜0.1kgf/mm2 である特性を有
することを特徴とする。
【0013】さらに、前記硬質板は、金属、セラミック
ス、プラスチック、繊維強化プラスチック、木材、紙
板、スレート板、化粧板で構成されることを特徴とす
る。
【0014】本発明の積層構造体の軟質板を構成する熱
可塑性材料は、高分子有機材料と軟化剤とを組み合わせ
ることにより、本発明の防振用積層構造体に適する低弾
性率やロス特性等を材料に簡単に付与することができ、
且つ、高分子有機材料と軟化剤の各々の溶解度パラメー
ターの差を3.0以下とすることにより、材料の相溶性
が向上し、従来のオイル添加による低弾性率化の欠点で
あったブリード性も改善できる。このため、本発明の積
層構造体は制振性に優れ、しかも、その構造は安定で効
果の持続性に優れる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0016】本発明において、軟質板を構成する高分子
有機材料としては、数平均分子量が20,000以上、
特に、30,000以上、とりわけ40,000以上の
熱可塑性高分子有機材料が好ましく、例えば、スチレン
系(ブタジエンスチレン系、イソプレンスチレン系な
ど)、エステル系、アミド系、ウレタン系などの各種熱
可塑性エラストマー、並びに、それらの水添、その他に
よる変性物、スチレン系、ABS系、オレフィン系(エ
チレン系、プロピレン系、エチレンプロピレン系、エチ
レンスチレン系、プロピレンスチレン系など)、塩化ビ
ニル系、アクリル酸エステル系(アクリル酸メチル系な
ど)、メタクリル酸エステル系(メタクリル酸メチル
系、など)カーボネート系、アセタール系、ナイロン
系、ハロゲン化ポリエーテル系(塩化ポリエーテル系な
ど)、ハロゲン化オレフィン系(四フッ化エチレン系、
フッ化−塩化エチレン系、フッ化エチレンプロピレン系
など)、セルロース系(アセチルセルロース系、エチル
セルロース系など)、ビニリデン系、ビニルブチラール
系、アルキレンオキサイド系(プロピレンオキサイド系
など)などの熱可塑性樹脂、及びこれらの樹脂のゴム変
性物などが挙げられる。
【0017】具体的な熱可塑性高分子有機材料として
は、このうちで結晶構造、凝集構造などの硬質ブロック
を形成しやすい部分と、アモルファス構造などの軟質ブ
ロックとを一緒に持ち合わせているものが特に好まし
く、具体的には、下記〜が挙げられる。
【0018】 ポリブタジエンとブタジエン−スチレ
ンランダム共重合体とのブロック共重合体を水添して得
られる結晶性ポリエチレンとエチレン/ブチレン−スチ
レンランダム共重合体とのブロック共重合体。
【0019】 ポリブタジエンとポリスチレンとのブ
ロック共重合体、あるいは、ポリブタジエン又はエチレ
ン−ブタジエンランダム共重合体とポリスチレンとのブ
ロック共重合体を水添して得られる、例えば、結晶性ポ
リエチレンとポリスチレンとのジブロック共重合体、ス
チレン−エチレン/ブチレン−スチレンのトリブロック
共重合体等、なかでも、スチレン−エチレン/ブチレン
−スチレンブロック共重合体。
【0020】 エチレン/ブチレン共重合体の片末端
又は両末端に結晶性ポリエチレンが連結したブロック共
重合体。
【0021】 エチレン−プロピレンゴム。 このうち特にに挙げられた、ビニル芳香族化合物を主
体とする重合体ブロックの少なくとも1つと、共役ジエ
ン化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1つ
からなるブロック共重合体を水添して得られる水添ブロ
ック共重合体であって、その平均分子量が150,00
0〜400,000であるものが好ましい。すなわち、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少な
くとも1つ(1セグメント)と、共役ジエン化合物を主
体とする重合体ブロックの少なくとも1つとからなるブ
ロック共重合体を水添して得られるものが好ましいが、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少な
くとも2つと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブ
ロックの少なくとも1つとを有するブロック共重合体
(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共
重合体等)を水添して得られる水添ブロック共重合体が
さらに好ましい。このスチレン−エチレン/ブチレン−
スチレンブロック共重合体に代表される水添ブロック共
重合体においては、平均分子量が150,000未満で
あると、圧縮永久歪みが悪化して防振効果の持続性が低
下し、400,000を超えると材料の流動性が低下し
て成形性が悪化するため、平均分子量は、前記範囲であ
ることが好ましい。
【0022】上記ブロック共重合体の非晶質スチレンブ
ロックの含有量は、10〜70重量%、好ましくは15
〜60重量%の範囲のものが望ましい。また、非晶質ス
チレンブロック部のガラス転移温度(Tg)は、60℃
以上、好ましくは80℃以上であるものが望ましい。ま
た、両末端の非晶質スチレンブロックを連結する部分の
重合体としては、やはり非晶質のものが好ましく、例え
ば、エチレン−ブチレン共重合体、ブタジエン重合体、
イソプレン重合体等を挙げることができ、これらのブロ
ック或いはランダム共重合体であってもよい。
【0023】これらの各種熱可塑性高分子有機材料は主
に単独で用いられるが、2種以上をブレンドして用いて
もよい。
【0024】また、本発明に用いられる軟化剤として
は、数平均分子量は20,000未満の低分子の材料を
使用することが好ましく、物性的には、100℃におけ
る粘度が5×105 センチポイズ以下、特に、1×10
5 センチポイズ以下であることが好ましく、また、分子
量の観点からは、数平均分子量は20,000未満、特
に10,000以下、とりわけ5,000以下であるこ
とが好ましい。このような軟化剤としては、通常、室温
で液体または液状の材料が好適に用いられる。また、親
水性、疎水性のいずれの軟化剤も使用できる。軟化剤と
しては特に限定されないが、次のものが適している。鉱
物油系、植物油系、合成系などの各種ゴム用または樹脂
用軟化剤が、鉱物油系としては、ナフテン系、パラフィ
ン系などのプロセス油が挙げられる。植物油系として
は、ひまし油、綿実油、あまみ油、なたね油、大豆油、
パーム油、やし油、落花生油、木ろう、パインオイル、
オリーブ油などが挙げられる。なかでも、鉱物油系オイ
ルであるパラフィン系オイル、ナフテン系オイル、又は
ポリイソブチレン系オイルから選択される一種又は二種
以上であって、その平均分子量が450〜5,000で
あるものが好ましい。この軟化剤として好ましく用いら
れるオイルにおいては、平均分子量が450未満である
と圧縮永久歪みが悪化して防振効果の持続性が低下し、
5,000を超えると得られた熱可塑性材料表面にベタ
ツキが生じるため、平均分子量が前記範囲であることが
好ましい。
【0025】これらの軟化剤は1種を単独で用いてもよ
く、互いの相溶性が良好であれば2種以上を混合して用
いてもよい。
【0026】これらの軟化剤の配合量は高分子有機材料
100重量部に対して50〜500重量部であり、特に
50〜300重量部であることが好ましい。配合量が5
0重量部未満であると、十分な低硬度を達成しえず、材
料の柔軟性が不充分となり、500重量部を超えると軟
化剤のブリードを生じ易くなり、また、材料の機械的強
度が低下するため、いずれも防振効果の観点から好まし
くない。
【0027】本発明の積層構造体の軟質板として用いら
れる熱可塑性材料が好ましい柔軟性、振動減衰性と耐久
性を発現するためには、その物性が、硬度がJIS K
6301規格Aスケールで0°〜25°であり、100
℃における圧縮永久歪みがJIS K6301規格で5
0%以下であり、且つ、230℃におけるMFRがJI
S K7210規格で10g/10分以上であることを
要する。
【0028】前記熱可塑性材料の硬度がJIS K63
01規格Aスケールで25°を超えると材料の硬度が高
くなって軽量物に対する好ましい振動減衰性が得られ
ず、100℃における圧縮永久歪みがJIS K630
1規格で50%を超えると材料が経時的に変型し、振動
減衰性が低下する虞があり、230℃におけるMFRが
JIS K7210規格で10g/10分未満であると
加工性が低下して、生産性が悪化するため、いずれも好
ましくない。
【0029】これらの物性の試験方法はいずれもJIS
K6301又はK7210規格に準拠して測定するこ
とができる。
【0030】さらに、本発明の積層構造体の軟質板を構
成する熱可塑性材料は、以下の特性を有することが好ま
しい。
【0031】(A)損失正接(tanδ、25℃、5H
z):0.05〜1.0 (B)剪断弾性率(25℃):0.0005〜0.1k
gf/mm2 なお、損失正接(tanδ)は、剪断型動的粘弾性試験
機(東洋精機社製)により25℃、5Hzの条件で測定
した値であり、損失正接は前記の如く0.05〜1.
0、好ましくは効果の点から0.1〜1.0であり、さ
らに好ましくは0.3〜1.0である。損失正接が0.
05未満では目的とする制振性能が得難く、損失正接が
1.0を超えると弾性率等諸物性の温度依存性が大きく
なり好ましくない。
【0032】また、剪断弾性率は剪断型動的粘弾性試験
機(東洋精機社製)により25℃の条件で測定して0.
0005〜0.1kgf/mm2 であり、好ましくは、
0.001〜0.009kgf/mm2 である。剪断弾
性率が0.0005kgf/mm2 未満であると形状保
持性が低下し、ヘタリ等が生じる虞があり、0.1kg
f/mm2 を超えると固くなって、極めて軽量な物品に
対する制振効果が低下するため好ましくない。
【0033】前記の各特性を備えるためには、本発明の
熱可塑性材料を構成する高分子有機材料は三次元連続の
網状骨格構造を有することが好ましく、形成される三次
元連続の網状骨格構造は、その骨格の平均径が50μm
以下、好ましくは30μm以下、セル(網目)の平均径
は、500μm以下、好ましくは300μm以下であ
り、高分子有機材料の体積分率を[高分子有機材料の体
積/(高分子有機材料の体積+軟化剤の体積)]×10
0(%)と定義したとき、高分子有機材料の体積分率が
50%以下、特に33%以下であることが好ましい。
【0034】また、多量の軟化剤とより少ない量の高分
子有機材料を含む熱可塑性材料を得るために、用いる軟
化剤と高分子有機材料の各々の溶解度パラメーター値δ
=(ΔE/V)1/2 (ΔE=モル蒸発エネルギー、V=
モル体積)の差が3.0以下、好ましくは2.5以下と
なるよう、両材料を選択することが好ましい。この差が
3.0を超えると両材料の相溶性の点から、軟化剤が多
量に保持されにくく、得られる高分子ブレンド材料の低
弾性化の障害となり、また、軟化剤のブリードが発生し
やすくなり、防振性が低下する虞があるため好ましくな
い。
【0035】また、本発明の積層構造体の軟質板に用い
られる熱可塑性材料は、材料の圧縮永久歪みを改善し、
防振効果の持続性、防振用材料の耐久性を向上する目的
でポリフェニレンエーテル樹脂を配合することができ
る。ここで用いられるポリフェニレンエーテル樹脂は、
下記式で表される結合単位からなる単独重合体又は該結
合単位を含む共重合体である。
【0036】
【化1】
【0037】式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞ
れ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を表
す。
【0038】ポリフェニレンエーテル樹脂は公知のもの
を用いることができ、具体的には、例えば、ポリ(2,
6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ
(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン
エーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニレン−1,
4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−
1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、また、
2,6−ジメチルフェノールと1価のフェノール類(例
えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル
−6−ブチルフェノール)との共重合体の如きポリフェ
ニレンエーテル共重合体も用いることができる。なかで
も、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエー
テル)や2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−ト
リメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらに、
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)が好ましい。
【0039】ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量は、
熱可塑性材料に対して10〜250重量部の範囲で好適
に選択することができる。250重量部を超えると熱可
塑性材料の硬度が高くなって柔軟性が失われ、軽量物に
対する防振性が低下する虞があり、10重量部未満であ
ると配合の効果である圧縮永久歪みの改善が殆どみられ
ないため、いずれも好ましくない。
【0040】なお、本発明に係る熱可塑性材料には、必
要に応じて、更に、次のような充填材を配合してもよ
い。すなわち、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸
バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸
化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウムなど
の麟片状無機充填剤、各種の金属粉、木片、ガラス粉、
セラミックス粉、粒状ないし粉末ポリマーなどの粒状な
いし粉末状固体充填剤、その他の各種の天然または人工
の短繊維、長繊維(例えば、ワラ、毛、ガラスファイバ
ー、金属ファイバー、その他各種のポリマーファイバー
など)などを配合することができる。
【0041】また、中空フィラー、例えば、ガラスバル
ーン、シリカバルーンなどの無機中空フィラー、ポリフ
ッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体からな
る有機中空フィラーを配合することにより、軽量化を図
ることができる。更に軽量化などの各種物性に改善のた
めに、各種発泡剤を混入することも可能であり、また、
混合時などに機械的に気体を混ぜ込むことも可能であ
る。
【0042】本発明に係る熱可塑性材料には、前記成分
のほか、諸特性の改良のため、公知の樹脂成分や添加剤
を併用することができる。
【0043】樹脂成分としては、例えば、ポリオレフィ
ン樹脂やポリスチレン樹脂などを併用することができ
る。これらを添加することにより熱可塑性材料の加工
性、耐熱性の向上を図ることができる。ポリオレフィン
樹脂としては、例えば、ポリエチレン、アイソタクチッ
クポリプロピレン、プロピレンと他の少量のα−オレフ
ィンとの共重合体(例えば、プロピレン−エチレン共重
合体、プロピレン/4−メチル−1ペンテン共重合
体)、ポリ(4−メチル−1ペンテン)、ポリブテン−
1等を挙げることができる。ポリオレフィン樹脂として
アイソタクチックポリプロピレンまたはその共重合体を
用いる場合、そのMFR(JIS K7210)が0.
1〜50g/10分、特に、0.5〜30g/10分の
範囲のものが好適に使用できる。
【0044】また、ポリスチレン樹脂としては、公知の
製造方法で得られるものであれば、ラジカル重合法、イ
オン重合法のいずれで得られたものも好適に使用でき
る。ポリスチレン樹脂の数平均分子量は5,000〜5
00,000、好ましくは10,000〜200,00
0の範囲から選択でき、分子量分布〔重量平均分子量
(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/M
n)〕は5以下のものが好ましい。
【0045】このスチレン樹脂としては、例えば、ポリ
スチレン、スチレン含有量60重量%以上のスチレン−
ブタジエンブロック共重合体、ゴム補強ポリスチレン、
ポリα−メチルスチレン、ポリp−第3ブチルスチレン
等が挙げられ、これらは一種又は二種以上を併用しても
よい。さらに、これらポリマーを構成するモノマーの混
合物を重合して得られる共重合体も用いることができ
る。
【0046】また、前記ポリオレフィン樹脂とポリスチ
レン樹脂とを併用することもできる。本発明に係る熱可
塑性材料にこれらの樹脂を添加する場合、ポリオレフィ
ン樹脂単独を添加する場合に比較してポリスチレン樹脂
を併用すると、得られる材料の硬度が高くなる傾向にあ
る。従って、これらの配合比率を選択することにより、
得られる防振用熱可塑性材料の硬度を調整することもで
きる。この場合、ポリオレフィン樹脂/ポリスチレン樹
脂の比率は95/5〜5/95(重量比)の範囲から選
択することが好ましい。
【0047】これらの樹脂成分を併用する場合、本発明
の効果を損なわない範囲において使用すべきであり、配
合量は高分子有機材料100重量部に対して0〜100
重量部程度であることが好ましい。樹脂成分の配合料が
100重量部を超えると得られる熱可塑性材料の硬度が
高くなり過ぎて柔軟性が失われ、振動減衰性、防音性が
低下するため好ましくない。
【0048】また、他の添加剤として、必要に応じて、
難燃剤、抗菌剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線
吸収剤、酸化防止剤、着色剤、シリコーンオイル、クマ
ロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノールテルペ
ン樹脂、石油系炭化水素、ロジン誘導体等の各種粘着付
与剤(タッキファイヤー)、レオストマー(商品名:理
研ビニル社製)、ハイブラー(商品名:クラレ社製、ビ
ニル−ポリイソプレンブロックの両末端にポリスチレン
ブロックが連結したブロック共重合体)、ノーレックス
(商品名:日本ゼオン社製、ノルボルネンを開環重合し
て得られるポリノルボルネン)等の熱可塑性エラストマ
ー又は樹脂等の各種接着剤等を併用することができる。
【0049】本発明に係る熱可塑性材料の製造方法には
特に制限はなく、公知の方法を適用することができる。
例えば、前記の各材料及び所望により添加剤成分を加熱
混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バ
ンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー、高剪断ミ
キサー等、を用いて溶融混練りし、さらに、所望により
有機パーオキサイド等の架橋剤、架橋助剤などを添加し
たり、又は、これら必要な成分を同時に混合し、加熱溶
融混練することにより、容易に製造することができる。
【0050】また、高分子有機材料と低分子材料とを混
練りした熱可塑性材料を予め用意し、この材料を、ここ
に用いたものと同種か若しくは種類が異なる1種以上の
高分子有機材料にさらに混ぜ合わせて製造することもで
きる。
【0051】また、本発明に係る熱可塑性材料において
は、有機パーオキサイド等の架橋剤、架橋助剤などを添
加して架橋することも可能である。
【0052】ここで、部分架橋のために添加しうる架橋
剤としては、有機パーオキサイドが好適に挙げられ、具
体的には、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t
−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)−ヘキサン、t−
ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイ
ド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジイソプロピル
ベンゾハイドロパーオキサイド、1,3−ビス−(t−
ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン、ベンゾイ
ルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げ
られ、また、有用な架橋助剤としては、例えば、ジビニ
ルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、エチレンジメタクリレート、ジアリルフタレート、
キノンジオキシム、フェニレンビスマレイミド、ポリエ
チレングリコールジメタクリレート、不飽和シラン化合
物等が挙げられる。これら有機パーオキサイド及び架橋
助剤は、配合材料全体を100重量部としたとき、0.
1〜5重量部の範囲で、任意に使用して架橋度を調整す
ることができる。これらの有機パーオキサイド及び架橋
助剤は必要に応じてそれぞれ2種以上を併用することも
できる。なお、架橋助剤として不飽和シラン化合物を使
用した場合には、さらにシラノール縮合触媒の存在下で
水分と接触させて架橋を進行させることができる。
【0053】本発明の軟質板に用いる高分子組成物は、
多量の液体のような低分子材を保持することが可能であ
るため弾性率を極めて低い範囲までコントロールできる
ろいう利点を有するものである。
【0054】かくして得られた本発明に係る熱可塑性材
料は、公知の方法、例えば、射出成型などにより軟質板
に成型して積層構造体を構成することができる。
【0055】本発明の積層構造体の硬質板としては、硬
度が25°Cにおける曲げ弾性率100kgf/mm2
以上の薄板が好適に使用され、金属、セラミックス、プ
ラスチック、繊維強化プラスチック、木材、紙板、スレ
ート板、化粧板で構成されることが好ましい。硬質板の
厚みは、積層構造体の使用目的によって異なるが、一般
的には、0.05〜2mm程度が好ましい。ここで、曲
げ弾性率は、ASTMD 790に準拠して測定する。
硬質板を構成する素材としては、鉄、アルミニウム、
銅、亜鉛、ステンレス等の金属材料、各種セラミックス
材料、硬質ウレタン樹脂、メラミン樹脂、スチレン樹脂
等のプラスチック材料、これらのプラスチック材料にガ
ラス繊維、カボーン繊維、アラミド繊維等の強化材を複
合した繊維強化プラスチック等が挙げられるが、積層構
造体の使用目的によっては、木材、紙板、スレート板、
化粧板等の板体をそのまま使用することもできる。
【0056】本発明の積層構造体は前記軟質板と硬質板
とを必要に応じて積層して構成するものである。通常
は、軟質板と硬質板とを交互に積層するが、所望の制振
効果を得るために、軟質板のみを複数層積層し、それを
硬質板と積層して用いたり、層間に、例えば、通常の弾
性率を有するゴム板等の異種材料で構成される層を積層
して用いることもできる。
【0057】また、本発明の積層構造体は各層を積層す
るのみで構成することができるが、層間の親和性を向上
する目的で、接着剤を用いて各層を接着してもよく、軟
質層に接着性向上剤を添加することなどにより各層間の
接着性を向上してもよい。
【0058】本発明の積層構造体は、幅広い産業分野に
おける用途の提供が可能であるが、特に、通常の制振材
料では、所望の制振性能及びその持続性、安定性が得難
い極めて軽量な物品、例えば、面圧10〜200g/c
2 程度の極めて軽量な物品の制振用として好適に用い
られる。用途を例示するに、例えば、軽量物の防振・制
振・緩衝材として、精密機器類、OA機器、各種モータ
ー類、研究用機器等に特に適するものであり、その他、
各種プリンター、各種スピーカー、クーラー、洗濯機、
冷蔵庫、扇風機、掃除機、ドライヤー、送風機等の振動
・音を発生する装置又は家電製品の振動防止用部材とし
て好ましく用いられる。さらに、衝撃吸収材としてオー
ディオ機器、電子・電気機器、あるいはベッド、椅子、
特に長時間同じ姿勢を続ける医療用ベッド、理容用・美
容用ベッド、観劇用椅子、さらには振動をうける車輌用
座席用材料の振動防止用部材として好適に用いられる。
【0059】また、携帯用CDプレーヤー、ゲーム機、
パソコン機器、計測機器などのCD−ROM用機器、ミ
ニディスク、デジタルビデオディスク等の光ディスク使
用機器、携帯用ビデオやマイクロテープレコーダーの小
型高性能マイクロホン等の防振用途にも好適に使用でき
る。
【0060】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限さ
れるものではない。
【0061】なお、これらの実施例の物性評価は、溶解
度パラメーターの測定は常法により行い、数平均分子量
の測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィ[GP
C;東ソー製GMH−XL(2本直列)]により行い、
示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標
準としてポリスチレン換算で行った。その他の物性は下
記の方法により行った。
【0062】(1)材料の硬度 JIS K6301 Aタイプの評価法に準拠した。
【0063】(2)圧縮永久歪み JIS K6301に準拠し、100℃×22時間、2
5%変形後の歪残率で評価した。
【0064】(3)MFR JIS K7210の熱可塑性プラスチックの流れ試験
方法に準拠し、230℃において評価した。
【0065】(4)tanδの測定 tanδの測定は、剪断型動的粘弾性試験機(東洋精機
社製)を使用し、温度25°C、歪み10%、周波数5
Hzで行った。
【0066】(5)剪断弾性率の測定 剪断弾性率は、25℃において、剪断型動的粘弾性試験
機(東洋精機社製)を使用し、温度25℃で測定した。 (実施例1) (1)軟質板用熱可塑性材料の調整 下記の原料を用いて軟質板用熱可塑性材料を調整した。
【0067】 高分子有機材料 100重量部 (スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体: 分子量 200,000、SP値 8.5) 軟化剤:パラフィン系オイル 58重量部 (分子量1,500、SP値 7.8) 軟化剤:パラフィン系オイル 170重量部 (分子量750、SP値 7.8) ポリフェニレンエーテル樹脂 10重量部 〔ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)〕 ポリプロピレン樹脂 13.1重量部 (アイソタクチックポリプロピレンM−1300、旭ポリプロ社製) 高級脂肪酸アミド 3.0重量部 (アーモスリップE、ライオン社製) 前記各原料をヘンシェルミキサーでよく混合し、この混
合物を50mm径の二軸押出機にて240℃の条件下で
溶融混練りして、熱可塑性材料のペレットを得た。
【0068】この熱可塑性材料の硬度はJIS−Aにて
0°、永久圧縮歪みは45%、MFRは300g/分で
あった。さらに、tanδ値は0.15を示し、剪断弾
性率は0.005kgf/mm2 であった。 (2)軟質板の成形 この材料を射出成型機にて、200〜250℃の温度条
件で厚さ2.5mm、直径50mmに成形し、軟質板を
作製した。 (3)積層構造体の作製 図1は、本実施例の積層構造体10の概略断面図であ
る。前記の如く作製した軟質板12と下記硬質板14と
を、交互に19段積層して積層構造体10を得たもので
ある。硬質板14としては厚さ1.0mm、直径50m
mのアルミニウム板を用いた。
【0069】この積層構造体10をモーター(面圧10
0g/cm2 )の制振用部材として用いたところ、モー
ターの振動が極めて低減したことから、本実施例の積層
構造体10は極めて優れた制振性を有することが確認さ
れた。また、上記のように、本実施例の積層構造体10
は製造も容易に行うことができ、生産性が高いものであ
った。また、この優れた制振性は、100日間使用後も
持続していることが確認された。
【0070】図2は、前記実施例の積層構造体10の周
囲をゴム板層16で被覆した構造体18の概略断面図で
ある。このように、横方向へのずり応力を低減し、保型
性を向上し、ヘタリを有効に防止するために積層構造体
10の周囲に弾性を有する薄層16を形成することもで
きる。 (実施例2) (1)軟質板用熱可塑性材料の調整 下記の原料を用いて実施例1と同様にして軟質板用熱可
塑性材料を調整した。
【0071】 高分子有機材料 100重量部 (スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体: 分子量 200,000、SP値 8.5) 軟化剤:パラフィン系オイル 58重量部 (分子量1,500、SP値 7.8) 軟化剤:パラフィン系オイル 73重量部 (分子量750、SP値 7.8) ポリフェニレンエーテル樹脂 10重量部 〔ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)〕 ポリプロピレン樹脂 13.1重量部 (アイソタクチックポリプロピレンM−1300、旭ポリプロ社製) この熱可塑性材料の硬度はJIS−Aにて10°、永久
圧縮歪みは30%、MFRは119g/分であった。さ
らに、tanδ値は0.1を示し、剪断弾性率は0.0
1kgf/mm2 であった。 (2)積層構造体の作製 この材料を射出成型機にて、実施例1と同様にして軟質
板を作製し、アルミニウム板製の硬質板と、交互に積層
して積層構造体を得た。
【0072】この積層構造体を実施例1と同じ条件でモ
ーターの制振用部材として用いたところ、モーターの振
動が極めて低減したことから、本実施例の積層構造体も
極めて優れた制振性を有することが確認された。また、
この優れた制振性は、100日間使用後も持続している
ことが確認された。 (比較例1) (1)軟質板用熱可塑性材料の調整 下記の原料を用いて実施例1と同様にして軟質板用熱可
塑性材料を調整した。
【0073】 高分子有機材料 100重量部 (スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体: 分子量 30,000、SP値 8.5) 軟化剤:パラフィン系オイル 58重量部 (分子量1,500、SP値 7.8) 軟化剤:パラフィン系オイル 73重量部 (分子量750、SP値 7.8) ポリフェニレンエーテル樹脂 15重量部 〔ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)〕 ポリプロピレン樹脂 12重量部 (アイソタクチックポリプロピレンM−1300、旭ポリプロ社製) この熱可塑性材料の硬度はJIS−Aにて5°、永久圧
縮歪みは90%、MFRは300g/分であった。さら
に、tanδ値は0.1を示し、剪断弾性率は0.00
1kgf/mm2 であった。 (2)積層構造体の作製 この材料を射出成型機にて、実施例1と同様にして軟質
板を作製し、アルミニウム板製の硬質板と、交互に積層
して積層構造体を得た。
【0074】この積層構造体を実施例1と同じ条件でモ
ーターの制振用部材として用いたところ、使用後1日間
で、軟質板がへたりによって変型し、制振性が低下して
いるのが確認された。このため、熱可塑性材料は、積層
複合体の軟質板として適さないことが確認された。 (比較例2) (1)軟質板用熱可塑性材料の調整 下記の原料を用いて実施例1と同様にして軟質板用熱可
塑性材料を調整した。
【0075】 高分子有機材料 100重量部 (スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体: 分子量 200,000、SP値 8.5) 軟化剤:パラフィン系オイル 58重量部 (分子量1,500、SP値 7.8) 軟化剤:パラフィン系オイル 73重量部 (分子量400、SP値 7.8) ポリフェニレンエーテル樹脂 15重量部 〔ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)〕 ポリプロピレン樹脂 12重量部 (アイソタクチックポリプロピレンM−1300、旭ポリプロ社製) この熱可塑性材料の硬度はJIS−Aにて8°、永久圧
縮歪みは100%、MFRは200g/分であった。さ
らに、tanδ値は0.1を示し、剪断弾性率は0.0
03kgf/mm2 であった。 (2)積層構造体の作製 この材料を射出成型機にて、実施例1と同様にして軟質
板を作製し、アルミニウム板製の硬質板と、交互に積層
して積層構造体を得た。
【0076】この積層構造体を実施例1と同じ条件でモ
ーターの制振用部材として用いたところ、使用後1日間
で、軟質板がへたりによって変型し、制振性が低下して
いるのが確認された。このため、熱可塑性材料は、積層
複合体の軟質板として適さないことが確認された。
【0077】以上の実施例から明らかなように、本発明
の積層構造体は軟質板として、低硬度であり、高温時の
圧縮永久歪みが低く、低分子材料のブリードを抑制しう
る材料を用いているため、軽量物の防振性に優れ、防振
効果の持続性、耐久性に優れていた。
【0078】一方、分子量の低い水添ブロック共重合体
である高分子有機材料を用いて得られた比較例1及び添
加する軟化剤として低分子量のパラフィン系オイルを用
いて得られた比較例2は、いずれも低硬度ではあるが、
圧縮永久歪みが高く、本発明の範囲外であった。この熱
可塑性材料を用いた積層構造体の軟質板は、へたりによ
って変型し、短時間のうちに防振性が低下しており、防
振用積層構造体の材料としては不適当であった。
【0079】
【発明の効果】本発明の積層構造体は、非常に低弾性率
であり、しかも、所望の方向に対する高ロス特性を有
し、諸特性、生産性、経済性、汎用性に優れた熱可塑性
材料を軟質板として用いることにより、極めて軽量な物
品用の防振構造体に適し、制振性能及びその耐久性に優
れるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の積層構造体の概略断面図である。
【図2】 積層構造体の周囲をゴム板層で被覆した構
造体の概略断面図である。
【符号の説明】
10 積層構造体 12 軟質板 14 硬質板
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−11262(JP,A) 特開 平8−11261(JP,A) 特開 平6−106682(JP,A) 特開 平5−270449(JP,A) 特開 平3−197130(JP,A) 特開 平3−43244(JP,A) 特開 昭64−22519(JP,A) 特開 昭63−144047(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 F16F 15/00 - 15/36

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数枚の硬質板と、軟質板とを積層して
    なる積層構造体であって、 (1)前記軟質板が、高分子有機材料と軟化剤とを含
    み、硬度がJIS K6301規格Aスケールで0°〜
    25°であり、100℃における圧縮永久歪みがJIS
    K6301規格で50%以下であり、且つ、230℃
    におけるMFRがJIS K7210規格で10g/1
    0分以上である熱可塑性材料で構成され、 (2)前記硬質板が、25°Cにおける曲げ弾性率10
    0kgf/mm2 以上である材料で構成される、 ことを特徴とする積層構造体。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性材料が、高分子有機材料1
    00重量部に対して、軟化剤50〜500重量部と、を
    含み、 前記高分子有機材料と前記軟化剤の各々の溶解度パラメ
    ーターの差が3.0以下であることを特徴とする請求項
    1記載の積層構造体。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性材料が、ポリフェニレンエ
    ーテルを10〜250重量部含んでなることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の積層構造体。
  4. 【請求項4】 前記高分子有機材料が、ビニル芳香族化
    合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1つと、
    共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少なく
    とも1つからなるブロック共重合体を水添して得られる
    水添ブロック共重合体であり、その平均分子量が15
    0,000〜400,000であることを特徴とする請
    求項1乃至3記載の積層構造体。
  5. 【請求項5】 前記軟化剤が、ナフテン系オイル、パラ
    フィン系オイル又はポリイソブチレン系オイルから選択
    される一種又は二種以上であり、その平均分子量が45
    0〜5,000であることを特徴とする請求項1乃至4
    記載の積層構造体。
  6. 【請求項6】 前記軟質板を構成する熱可塑性材料が、
    25°C、5Hzにおける損失正接(tanδ)が0.
    05〜1.0であり、且つ、25°Cにおける剪断弾性
    率が0.0005〜0.1kgf/mm2 である特性を
    有する、ことを特徴とする請求項1記載の積層構造体。
  7. 【請求項7】 前記硬質板が、金属、セラミックス、プ
    ラスチック、繊維強化プラスチック、木材、紙板、スレ
    ート板、化粧板で構成されることを特徴とする請求項1
    記載の積層構造体。
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