JP3808535B2 - 制振材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性材料からなる制振材に関し、詳しくは、CDプレーヤー、レコードプレーヤーの支持ターンテーブルの振動抑制、ジェットバス等の支持台の振動抑制、各種プリンターの振動抑制等に好適に使用される制振材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、振動する各種構造体にダンピングを与える制振材は低硬度であり、改良された流動特性をもち、優れた耐ヘタリ性を有し、さらに振動抑制性を向上する等の諸物性によって、制振性能及びその持続性を向上させることが強く要請されている。
【0003】
これまで、制振材に用いられる材料としては、シリコーンゲル、ポリノルボルネン等の熱硬化性ゴム系材料、樹脂系材料等が知られているが、制振特性は十分でない。このように従来の材料の制振特性が十分でないのは、材料における上記の諸物性がいずれも高いレベルでのバランスに欠け、満足されていないことに起因するものと考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実に鑑みなされたもので、材料として低硬度であり、高温時の圧縮永久歪みが低く(耐ヘタリ性に優れ)、配合された低分子成分のブリードを抑制しうるものを用いることによって、制振性能及びその持続性に優れた制振材を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の制振材は、分子内に結晶構造、凝集構造から選ばれる硬質ブロックを形成しやすい部分と、アモルファス構造である軟質ブロックとを併せもち、平均分子量が150000〜400000である高分子有機材料と、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル又はポリイソブチレン系オイルから選択される一種又は二種以上であり、平均分子量が450〜5,000である軟化剤とを含む熱可塑性材料からなる制振材であって、硬度がJIS K6301規格Aスケールで0°〜25°であり、25℃におけるtanδが0.05〜1.0であり、100℃における圧縮永久歪みがJIS K6301規格で50%以下であり、且つ、230℃におけるMFRがJIS K7210規格で10g/10分以上であることを特徴とする。
【0006】
また、前記熱可塑性材料は、高分子有機材料100重量部と、軟化剤50〜500重量部と、を含み、高分子有機材料と軟化剤の各々の溶解度パラメーターの差が3.0以下であることが好ましい。
【0007】
前記熱可塑性材料は、ポリフェニレンエーテルを10〜250重量部含んでなることが好ましい。
【0008】
本発明の制振材に用いられる前記高分子有機材料は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1つと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1つからなるブロック共重合体を水添して得られる水添ブロック共重合体であり、その平均分子量が150,000〜400,000であることを特徴とする。
【0009】
さらに、前記軟化剤は、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル又はポリイソブチレン系オイルから選択される一種又は二種以上であり、その平均分子量が450〜5,000であることを特徴とする。
【0010】
また、前記熱可塑性材料のtanδが0.05〜1.0であることを特徴とする。
【0011】
本発明の制振材は、高分子有機材料と軟化剤とを組み合わせることにより、低硬度の材料が得られ、形状追随性と密着性が良好で、且つ、高分子有機材料と軟化剤の各々の溶解度パラメーターの差を3.0以下とすることにより、材料の相溶性が向上し、低分子成分のブリードを防止することができ、また圧縮永久歪が小さく(耐ヘタリ性が向上し)、振動抑制性に優れるため、優れた制振性能とその持続性を達成しうる。
【0012】
また、この熱可塑性材料は、剥離性が良好であるため、シート状に成型した後、積層して保存しても材料同志が粘着せず、スムースに引き剥がすことができるため、保存後も制振材の生産性が低下しない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0015】
具体的な熱可塑性高分子有機材料としては、このうちで結晶構造、凝集構造などの硬質ブロックを形成しやすい部分と、アモルファス構造などの軟質ブロックとを一緒に持ち合わせているものが特に好ましく、具体的には、下記▲1▼〜▲4▼が挙げられる。
【0016】
▲1▼ ポリブタジエンとブタジエン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体を水添して得られる結晶性ポリエチレンとエチレン/ブチレン−スチレンランダム共重合体とのブロック共重合体。
【0017】
▲2▼ ポリブタジエンとポリスチレンとのブロック共重合体、あるいは、ポリブタジエン又はエチレン−ブタジエンランダム共重合体とポリスチレンとのブロック共重合体を水添して得られる、例えば、結晶性ポリエチレンとポリスチレンとのジブロック共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンのトリブロック共重合体等、なかでも、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体。
【0018】
▲3▼ エチレン/ブチレン共重合体の片末端又は両末端に結晶性ポリエチレンが連結したブロック共重合体。
【0019】
▲4▼ エチレン−プロピレンゴム。
このうち特に▲2▼に挙げられた、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1つと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1つからなるブロック共重合体を水添して得られる水添ブロック共重合体であって、その平均分子量が150,000〜400,000であるものが好ましい。すなわち、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1つ(1セグメント)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1つ(1セグメント)とからなるブロック共重合体を水添して得られるものが好ましいが、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも2つと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1つとを有するブロック共重合体(例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等)を水添して得られる水添ブロック共重合体がさらに好ましい。このスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体に代表される水添ブロック共重合体においては、平均分子量が150,000未満であると、圧縮永久歪が悪化して振動抑制効果の持続性が低下し、400,000を超えると材料の流動性が低下して成形性が悪化するため、平均分子量は、前記範囲であることが好ましい。
【0020】
上記ブロック共重合体の非晶性スチレンブロックの含有量は、10〜70重量%、好ましくは15〜60重量%の範囲のものが望ましい。また、非晶性スチレンブロック部のガラス転移温度(Tg)は、60℃以上、好ましくは80℃以上であるものが望ましい。また、両末端の非晶性スチレンブロックを連結する部分の重合体としては、やはり非晶性のものが好ましく、例えばエチレン−ブチレン共重合体、ブタジエン重合体、イソプレン重合体等を挙げることができ、これらのブロック或いはランダム共重合体であっても良い。
【0021】
これらの各種熱可塑性高分子有機材料は主に単独で用いられるが、2種以上をブレンドして用いてもよい。
【0022】
また、本発明に用いられる軟化剤としては、数平均分子量は20,000未満の低分子の材料を使用することが好ましく、物性的には、100℃における粘度が5×105 センチポイズ以下、特に、1×105 センチポイズ以下であることが好ましく、また、分子量の観点からは、数平均分子量は20,000未満、特に10,000以下、とりわけ5,000以下であることが好ましい。このような軟化剤としては、通常、室温で液体または液状の材料が好適に用いられる。また、親水性、疎水性のいずれの軟化剤も使用できる。軟化剤としては特に限定されないが、次のものが適している。この軟化剤には鉱物油系、植物油系、合成系などの各種ゴム用または樹脂用軟化剤が含まれる。鉱物油系としては、ナフテン系、パラフィン系などのプロセス油が挙げられる。植物油系としては、ひまし油、綿実油、あまみ油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油などが挙げられる。なかでも、鉱物油系オイルのパラフィン系オイル、ナフテン系オイル、又はポリイソブチレン系オイルから選択される一種又は二種以上であって、その平均分子量が450〜5,000であるものが好ましい。この軟化剤として好ましく用いられるオイルにおいては、平均分子量が450未満であると圧縮永久歪みが悪化して振動抑制効果の持続性が低下し、5,000を超えると得られた制振材表面にベタツキが生じるため、平均分子量が前記範囲であることが好ましい。
【0023】
これらの軟化剤は1種を単独で用いてもよく、互いの相溶性が良好であれば2種以上を混合して用いてもよい。
【0024】
これらの軟化剤の配合量は高分子有機材料100重量部に対して50〜500重量部であり、特に50〜300重量部であることが好ましい。配合量が500重量部を超えると軟化剤のブリードを生じ易くなり、また、材料の機械的強度が低下するため、振動抑制効果の観点から好ましくない。
【0025】
本発明の制振材が好ましい柔軟性、振動減衰性と耐久性を発現するためには、その物性が、硬度がJIS K6301規格Aスケールで0°〜25°であり、25℃におけるtanδが0.05〜1.0であり、100℃における圧縮永久歪みがJIS K6301規格で50%以下であり、且つ、230℃におけるMFRがJIS K7210規格で10g/10分以上であることを要する。
【0026】
本発明の制振材の硬度がJIS K6301規格Aスケールで25°を超えると材料の硬度が高くなって振動抑制性が得られず、100℃における圧縮永久歪みがJIS K6301規格で50%を超えると材料が経時的に変形し、振動抑制性が低下する虞があり、230℃におけるMFRがJIS K7210規格で10g/10分未満であると加工性が低下して、生産性が悪化するため、いずれも好ましくない。
【0027】
本発明の制振材用熱可塑性材料のtanδは0.05〜1.0であることが好ましく、さらに0.10〜0.80であることが好ましい。tanδが0.05未満であると制振性に劣り、1.0を越えると材料の温度依存性が悪化するため、いずれも好ましくない。
【0028】
前記の各特性を備えるためには、本発明における熱可塑性材料を構成する高分子有機材料は三次元連続の網状骨格構造を有することが好ましく、形成される三次元連続の網状骨格構造は、その骨格の平均径が50μm以下、好ましくは30μm以下、セル(網目)の平均径は、500μm以下、好ましくは300μm以下であり、高分子有機材料の体積分率を[高分子有機材料の体積/(高分子有機材料の体積+軟化剤の体積)]×100(%)と定義したとき、高分子有機材料の体積分率が50%以下、特に33%以下であることが好ましい。
【0029】
また、多量の軟化剤とより少ない量の高分子有機材料を含む熱可塑性材料からなる制振材を得るために、用いる軟化剤と高分子有機材料の各々の溶解度パラメーター値δ=(ΔE/V)1/2 (ΔE=モル蒸発エネルギー、V=モル体積)の差が3.0以下、好ましくは2.5以下となるよう、両材料を選択することが好ましい。この差が3.0を超えると両材料の相溶性の点から、軟化剤が多量に保持されにくく、得られる熱可塑性材料の低弾性化の障害となり、また、軟化剤のブリードが発生しやすくなり、振動抑制性が低下する虞があるため好ましくない。
【0030】
また、本発明の制振材には、材料の圧縮永久歪みを改善し、振動抑制効果の持続性、制振材の耐久性を向上する目的でポリフェニレンエーテル樹脂を配合することができる。ここで用いられるポリフェニレンエーテル樹脂は、下記式で表される結合単位からなる単独重合体又は該結合単位を含む共重合体である。
【0031】
【化1】
【0032】
式中、R1 、R2 、R3 及びR4 はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を表す。
【0033】
ポリフェニレンエーテル樹脂は公知のものを用いることができ、具体的には、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニレン−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、また、2,6−ジメチルフェノールと1価のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体の如きポリフェニレンエーテル共重合体も用いることができる。なかでも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)や2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、さらに、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。
【0034】
ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量は、熱可塑性材料に対して10〜250重量部の範囲で好適に選択することができる。250重量部を超えると熱可塑性材料の硬度が高くなって柔軟性が失われ、振動抑制性が低下する虞があり、10重量部未満では配合して得られる改善効果が不十分であるため、いずれも好ましくない。
【0035】
なお、本発明に係る制振材には、必要に応じて、更に、次のような充填材を配合してもよい。すなわち、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウムなどの麟片状無機充填剤、各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラミックス粉、粒状ないし粉末ポリマーなどの粒状ないし粉末状固体充填剤、その他の各種の天然または人工の短繊維、長繊維(例えば、ワラ、毛、ガラスファイバー、金属ファイバー、その他各種のポリマーファイバーなど)などを配合することができる。
【0036】
また、中空フィラー、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーンなどの無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体からなる有機中空フィラーを配合することにより、軽量化を図ることができる。更に軽量化などの各種物性に改善のために、各種発泡剤を混入することも可能であり、また、混合時などに機械的に気体を混ぜ込むことも可能である。
【0037】
本発明の制振材には、前記成分のほか、諸特性の改良のため、公知の樹脂成分や添加剤を併用することができる。
【0038】
樹脂成分としては、例えば、ポリオレフィン樹脂やポリスチレン樹脂などを併用することができる。これらを添加することにより制振材の加工性、耐熱性の向上を図ることができる。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、プロピレンと他の少量のα−オレフィンとの共重合体(例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン/4−メチル−1ペンテン共重合体)、ポリ(4−メチル−1ペンテン)、ポリブテン−1等を挙げることができる。ポリオレフィン樹脂としてアイソタクチックポリプロピレンまたはその共重合体を用いる場合、そのMFR(JIS K7210)が0.1〜50g/10分、特に、0.5〜30g/10分の範囲のものが好適に使用できる。
【0039】
また、ポリスチレン樹脂としては、公知の製造方法で得られるものであれば、ラジカル重合法、イオン重合法のいずれで得られたものも好適に使用できる。ポリスチレン樹脂の数平均分子量は5,000〜500,000、好ましくは10,000〜200,000の範囲から選択でき、分子量分布〔重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)〕は5以下のものが好ましい。
【0040】
このスチレン樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン含有量60重量%以上のスチレン−ブタジエンブロック共重合体、ゴム補強ポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、ポリp−第3ブチルスチレン等が挙げられ、これらは一種又は二種以上を併用してもよい。さらに、これらポリマーを構成するモノマーの混合物を重合して得られる共重合体も用いることができる。
【0041】
また、前記ポリオレフィン樹脂とポリスチレン樹脂とを併用することもできる。本発明の制振材にこれらの樹脂を添加する場合、ポリオレフィン樹脂単独を添加する場合に比較してポリスチレン樹脂を併用すると、得られる材料の硬度が高くなる傾向にある。従って、これらの配合比率を選択することにより、得られる制振材の硬度を調整することもできる。この場合、ポリオレフィン樹脂/ポリスチレン樹脂の比率は95/5〜5/95(重量比)の範囲から選択することが好ましい。
【0042】
これらの樹脂成分を併用する場合、本発明の効果を損なわない範囲において使用すべきであり、配合量は高分子有機材料100重量部に対して0〜100重量部程度であることが好ましい。樹脂成分の配合量が100重量部を超えると得られる制振材の硬度が高くなり過ぎて柔軟性が失われ、振動抑制性が低下するため好ましくない。
【0043】
また、他の添加剤として、必要に応じて、難燃剤、抗菌剤、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機充填剤、着色剤、シリコーンオイル、クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノールテルペン樹脂、石油系炭化水素、ロジン誘導体等の各種粘着付与剤(タッキファイヤー)、レオストマー(商品名:理研ビニル社製)等の各種接着剤、ハイブラー(商品名:クラレ社製、ビニル−ポリイソプレンブロックの両末端にポリスチレンブロックが連結したブロック共重合体)又はノーソレックス(商品名:日本ゼオン社製、ノルボルネンを開環重合して得られるポリノルボルネン)等の制振性を向上させる熱可塑性エラストマー又は樹脂等を併用することができる。
【0044】
本発明の制振材の製造方法には特に制限はなく、公知の方法を適用することができる。例えば、前記の各材料及び所望により添加剤成分を加熱混練機、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー、高剪断型ミキサー等、を用いて溶融混練りし、さらに、所望により有機パーオキサイド等の架橋剤、架橋助剤などを添加したり、又は、これら必要な成分を同時に混合し、加熱溶融混練することにより、容易に製造することができる。
【0045】
また、高分子有機材料と軟化剤とを混練りした熱可塑性材料を予め用意し、この材料を、ここに用いたものと同種か若しくは種類が異なる1種以上の高分子有機材料にさらに混ぜ合わせて製造することもできる。
【0046】
また、本発明の制振材においては、有機パーオキサイド等の架橋剤、架橋助剤などを添加して架橋することも可能である。
【0047】
ここで、部分架橋のために添加しうる架橋剤としては、有機パーオキサイドが好適に挙げられ、具体的には、例えば、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)−ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゾハイドロパーオキサイド、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)−ベンゼン、ベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられ、また、有用な架橋助剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンジメタクリレート、ジアリルフタレート、キノンジオキシム、フェニレンビスマレイミド、ポリエチレングリコールジメタクリレート、不飽和シラン化合物等が挙げられる。これら有機パーオキサイド及び架橋助剤は、配合材料全体を100重量部としたとき、0.1〜5重量部の範囲で、任意に使用して架橋度を調整することができる。これらの有機パーオキサイド及び架橋助剤は必要に応じてそれぞれ2種以上を併用することもできる。なお、架橋助剤として不飽和シラン化合物を使用した場合には、さらにシラノール縮合触媒の存在下で水分と接触させて架橋を進行させることができる。
【0048】
かくして得られた本発明の制振材は、公知の方法、例えば、射出成型などにより所望の形状に成型して使用できる。
【0049】
本発明の制振材は振動抑制が必要なあらゆる用途、例えばCDプレーヤー、レコードプレーヤー等の支持ターンテーブルや、各種プリンター、各種スピーカーの振動抑制用脚部材、便座裏面に設ける振動ないし騒音抑制用脚部材、洗濯機、冷蔵庫、マッサージ機、バスタブ(ジェットバス)等の振動抑制用脚部材等として有効に使用することができる。
【0050】
【実施例】
以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0051】
なお、これらの実施例の物性評価は以下の方法によって行った。
(1)材料の硬度
JIS K6301 Aタイプの評価法に準拠した。
【0052】
(2)圧縮永久歪み
耐ヘタリ性の指標であり、JIS K6301に準拠し、100℃×22時間、25%変形後の歪残率で評価した。
【0053】
(3)MFR
JIS K7210の熱可塑性プラスチックの流れ試験方法に準拠し、230℃において評価した。
【0054】
(4)tanδ
tanδは振動抑制性の指標であり、剪断型粘弾性測定器を用いて、5Hz、25°Cにて測定した。
【0055】
なお、溶解度パラメーターの測定は常法により行い、数平均分子量の測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィ[GPC;東ソー製GMH−XL(2本直列)]により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
(実施例1)
(1)制振材の調製
下記の原料を用いて制振材用熱可塑性材料を調製した。
【0056】
高分子有機材料 100重量部
(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体:
分子量 200,000、SP値 8.5)
軟化剤:パラフィン系オイル 58重量部
(分子量1,500、SP値 7.8)
軟化剤:パラフィン系オイル 170重量部
(分子量750、SP値 7.8)
ポリフェニレンエーテル樹脂 10重量部
〔ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)〕
ポリプロピレン樹脂 13.1重量部
(アイソタクチックポリプロピレンM−1300、旭ポリプロ社製)
高級脂肪酸アミド 3.0重量部
(アーモスリップE、ライオン社製)
前記各原料をヘンシェルミキサーでよく混合し、この混合物を50mm径の二軸押出機にて240℃の条件下で溶融混練りして、熱可塑性材料のペレットを得た。
【0057】
この熱可塑性材料の硬度はJIS−Aにて0°、圧縮永久歪みは45%、MFRは300g/分、tanδは0.15であった。
(2)制振用脚部材の作成及び評価
得られた熱可塑性材料を230℃に加温し、所定の形状のモールドに注入し、冷却して、CDプレーヤーの支持台の制振用脚部材を作成した。得られた脚部材は極めて制振性能に優れ、振動の発生を著しく小さいものとすることができ、30日間使用後も制振性能が持続していることがわかった。
(実施例2)
(1)制振材の調製
下記の原料を用いて実施例1と同様にして制振材用熱可塑性材料を調製した。
【0058】
高分子有機材料 100重量部
(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体:
分子量 200,000、SP値 8.5)
軟化剤:パラフィン系オイル 58重量部
(分子量1,500、SP値 7.8)
軟化剤:パラフィン系オイル 73重量部
(分子量750、SP値 7.8)
ポリフェニレンエーテル樹脂 10重量部
〔ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)〕
ポリプロピレン樹脂 13.1重量部
(アイソタクチックポリプロピレンM−1300、旭ポリプロ社製)
この熱可塑性材料の硬度はJIS−Aにて10°、圧縮永久歪みは30%、MFRは119g/分、tanδは0.10であった。
(2)制振用脚部材の作成及び評価
得られた熱可塑性材料を用いて、実施例1と同様にして、CDプレーヤーの支持台の制振用脚部材を作成し、制振特性を評価した結果、実施例1と同様に優れた制振性能及びその持続性を示した。
(比較例1)
(1)制振材の調製
下記の原料を用いて実施例1と同様にして制振材用熱可塑性材料を調製した。
【0059】
高分子有機材料 100重量部
(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体:
分子量 30,000、SP値 8.5)
軟化剤:パラフィン系オイル 58重量部
(分子量1,500、SP値 7.8)
軟化剤:パラフィン系オイル 73重量部
(分子量750、SP値 7.8)
ポリフェニレンエーテル樹脂 15重量部
〔ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)〕
ポリプロピレン樹脂 12重量部
(アイソタクチックポリプロピレンM−1300、旭ポリプロ社製)
この熱可塑性材料の硬度はJIS−Aにて5°、圧縮永久歪みは90%、MFRは300g/分、tanδは0.10であった。
(2)制振用脚部材の作成及び評価
得られた熱可塑性材料を用いて、実施例1と同様にして、CDプレーヤーの支持台の制振用脚部材を作成し、制振特性を評価した結果、制振特性は40°Cの条件で3日間使用したところ、ヘタリが顕著で使用に耐えなかった。
(比較例2)
(1)制振材の調製
下記の原料を用いて実施例1と同様にして制振材用熱可塑性材料を調製した。
【0060】
高分子有機材料 100重量部
(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体:
分子量 200,000、SP値 8.5)
軟化剤:パラフィン系オイル 58重量部
(分子量1,500、SP値 7.8)
軟化剤:パラフィン系オイル 73重量部
(分子量400、SP値 7.8)
ポリフェニレンエーテル樹脂 15重量部
〔ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)〕
ポリプロピレン樹脂 12重量部
(アイソタクチックポリプロピレンM−1300、旭ポリプロ社製)
この熱可塑性材料の硬度はJIS−Aにて8°、圧縮永久歪みは100%、MFRは200g/分、tanδは0.10であった。
(2)制振用脚部材の作成及び評価
得られた熱可塑性材料を用いて、実施例1と同様にして、CDプレーヤーの支持台の制振用脚部材を作成し、制振特性を評価した結果、制振特性は40°Cの条件で3日間使用したところ、ヘタリが顕著で使用に耐えなかった。
【0061】
以上の実施例から明らかなように、本発明の制振材は、低硬度であり、高温時の圧縮永久歪みが低く(耐ヘタリ性に優れ)、低分子材料のブリードを抑制することができるため、優れた制振特性を示すことがわかる。
【0062】
一方、分子量の低い水添ブロック共重合体の高分子有機材料を用いて得られた比較例1及び添加する軟化剤として低分子量のパラフィン系オイルを用いて得られた比較例2は、いずれも低硬度ではあるが、圧縮永久歪みが高く、制振特性を悪化させることがわかる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の制振材は、低硬度であり、高温時の圧縮永久歪みが低く、低分子材料のブリードを抑制しうる材料を用いているため、制振特性が向上するという優れた効果を奏する。
Claims (4)
- 分子内に結晶構造、凝集構造から選ばれる硬質ブロックを形成しやすい部分と、アモルファス構造である軟質ブロックとを併せもち、平均分子量が150000〜400000である高分子有機材料と、ナフテン系オイル、パラフィン系オイル又はポリイソブチレン系オイルから選択される一種又は二種以上であり、平均分子量が450〜5,000である軟化剤とを含む熱可塑性材料からなる制振材であって、硬度がJIS K6301規格Aスケールで0°〜25°であり、25℃におけるtanδが0.05〜1.0であり、100℃における圧縮永久歪みがJIS K6301規格で50%以下であり、且つ、230℃におけるMFRがJIS K7210規格で10g/10分以上であることを特徴とする制振材。
- 前記熱可塑性材料が、高分子有機材料100重量部と、軟化剤50〜500重量部と、を含み、
前記高分子有機材料と前記軟化剤の各々の溶解度パラメーターの差が3.0以下であることを特徴とする請求項1記載の制振材。 - 前記熱可塑性材料が、ポリフェニレンエーテルを10〜250重量部含んでなることを特徴とする請求項1又は2記載の制振材。
- 前記高分子有機材料が、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1つと、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの少なくとも1つからなるブロック共重合体を水添して得られる水添ブロック共重合体であり、その平均分子量が150,000〜400,000であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制振材。
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