JP2010001907A - 防振緩衝部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】振動減衰性能(防振)と衝撃吸収性能(緩衝)の両者に優れるとともに、経時安定性があり、取付作業性の良好な粘着性を有する防振緩衝部材の提供。
【解決手段】ベースポリマーに由来するtanδのピークと高分子充填材に由来するtanδのピークとが存在するため、ベースポリマーに由来する性質と高分子充填材に由来する性質とが互いに相殺されずに残存する。そのため、振動減衰性と衝撃吸収性の両者に優れ、経時安定性があり、取付作業性に良好な粘着性を有する防振緩衝部材とすることができる。さらに、ベースポリマーのガラス転移点付近の温度と高分子充填材のガラス転移点付近の温度とでtanδのピーク温度を有するため、両温度付近で高い振動減衰性を発揮することができる。
【選択図】なし
【解決手段】ベースポリマーに由来するtanδのピークと高分子充填材に由来するtanδのピークとが存在するため、ベースポリマーに由来する性質と高分子充填材に由来する性質とが互いに相殺されずに残存する。そのため、振動減衰性と衝撃吸収性の両者に優れ、経時安定性があり、取付作業性に良好な粘着性を有する防振緩衝部材とすることができる。さらに、ベースポリマーのガラス転移点付近の温度と高分子充填材のガラス転移点付近の温度とでtanδのピーク温度を有するため、両温度付近で高い振動減衰性を発揮することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、デジタルバーサタイルディスク(DVD)やコンパクトディスク(CD)などのディスク状記録媒体(以下、ディスクという。)を再生するディスク装置、特にノートブックタイプのパーソナルコンピュータ(ノートPC)や携帯オーディオプレーヤなどの携帯機器や、カーオーディオ装置やカーナビゲーション装置などの車載機器に実装される携帯用または車載用のディスク装置などの電子機器を振動や衝撃から保護する防振緩衝部材に関する。
DVDやCDなどのディスクを再生するディスク装置は高機能化と小型化が進み、小さな筐体の狭い空間内には高性能なピックアップその他の精密機器が実装されている。そしてこうしたディスク装置のなかには、精密機器を振動から保護するため、ゴム状弾性体で形成される防振部材が装着されている。この防振部材は、ディスク装置の外部から伝わってくる振動(外乱振動)を防振し、また、ディスク装置の内部で発生する振動(内乱振動)を防振して、ディスク装置内の精密機器や、ディスク装置外の精密機器を保護している。
このようなディスク装置は、ノートPCや携帯オーディオプレーヤなどの携帯機器や、カーオーディオ装置、カーナビゲーション装置などの車載機器に実装されると、防振機能だけでは足りず、落下や急発進、急停止などによる衝撃からも携帯機器や車載機器を保護する必要がある。即ち、携帯用や車載用の電子機器では、特に衝撃から電子機器を保護するための衝撃緩衝機能が必要である。
こうした振動と衝撃の両者に対する制御機能を有する技術としては、防振に寄与する部分と緩衝に寄与する部分とを別材質で形成し、それらを組み合わせてなる防振緩衝部材が発明されており、この防振緩衝部材については本出願人により特願2008−114350号として特許出願されている。
ところが、上述の特願2008−114350号に係る発明は、防振部分と緩衝部分とに分かれていたため、精密部品ごとに防振部分と緩衝部分の割合や大きさ、形状などを決定する必要があり製品ごとの調整が比較的困難であった。
そこで、防振に寄与する材料と緩衝に寄与する材料とを混合し、一の材質で防振と緩衝の両方に機能する防振緩衝部材の製造を試みたところ、経時的な形状変形を起こしてしまったり、原材料の持つ防振、緩衝性能が相殺されてしまった。
また、室温付近にガラス転移点を持つ防振性のある材料に可塑剤を添加して、緩衝性能の付与を試みたが、圧縮永久歪が高くなるとともに、粘着性が強くなり精密装置に対する取付作業性が困難になるという問題が生じた。
そこで、防振に寄与する材料と緩衝に寄与する材料とを混合し、一の材質で防振と緩衝の両方に機能する防振緩衝部材の製造を試みたところ、経時的な形状変形を起こしてしまったり、原材料の持つ防振、緩衝性能が相殺されてしまった。
また、室温付近にガラス転移点を持つ防振性のある材料に可塑剤を添加して、緩衝性能の付与を試みたが、圧縮永久歪が高くなるとともに、粘着性が強くなり精密装置に対する取付作業性が困難になるという問題が生じた。
以上のような技術を背景としてなされたのが本発明である。すなわち、本発明の目的は、振動減衰性能(防振)と衝撃吸収性能(緩衝)の両者に優れるとともに、経時安定性があり、取付作業性の良好な粘着性を有する防振緩衝部材を提供することにある。
上記目的を達成すべく本発明は、電子機器に装着されてこの電子機器に内蔵される電子部品を振動や衝撃から保護する防振緩衝部材について、ベースポリマーと、このベースポリマーに分散する高分子充填材とを含んでなり、ベースポリマーに由来するtanδ(損失正接)のピークと高分子充填材に由来するtanδのピークとが存在しており、ベースポリマーがゴム状弾性体でなり、そのガラス転移点が−70℃〜−20℃、その硬度がE15〜A50、その圧縮永久歪が50%以下であり、高分子充填材がゴム状弾性体でなり、そのガラス転移点が−20℃〜50℃であることを特徴とする防振緩衝部材を提供する。
この防振緩衝部材は、ベースポリマーと、このベースポリマーに分散する高分子充填材とを含んでなり、ベースポリマーに由来するtanδのピークと高分子充填材に由来するtanδのピークとが存在するものとしたため、ベースポリマーに由来する性質と高分子充填材に由来する性質とが互いに相殺されずに残存する。そのため、振動減衰性と衝撃吸収性の両者に優れ、経時安定性があり、取付作業性に良好な粘着性を有する防振緩衝部材とすることができる。
振動減衰性に優れた材料と衝撃吸収性に優れた材料とを混合してもその両者の特徴が発揮できない組合せによる従来の混合物の場合には、ベースポリマーに対する親和性の高い高分子充填材を分散させていた。すなわち、その混合物のガラス転移点はベースポリマーのガラス転移点と高分子充填材のガラス転移点との中間に現れていた。そのため、衝撃吸収性に優れた材料が有する衝撃吸収性が得られず、振動減衰性に優れた材料が有する振動減衰性が得られなかった。
しかしながら、本発明ではベースポリマーに由来するtanδのピークと高分子充填材に由来するtanδのピークとが存在するため、ベースポリマーの性質と高分子充填材の性質とがお互いに影響されずに、両者がそれぞれに特徴的な後述の性質を発揮している。
さらに、ベースポリマーのガラス転移点付近の温度と高分子充填材のガラス転移点付近の温度とでtanδのピーク温度を有するため、両温度付近で高い振動減衰性を発揮することができる。
振動減衰性に優れた材料と衝撃吸収性に優れた材料とを混合してもその両者の特徴が発揮できない組合せによる従来の混合物の場合には、ベースポリマーに対する親和性の高い高分子充填材を分散させていた。すなわち、その混合物のガラス転移点はベースポリマーのガラス転移点と高分子充填材のガラス転移点との中間に現れていた。そのため、衝撃吸収性に優れた材料が有する衝撃吸収性が得られず、振動減衰性に優れた材料が有する振動減衰性が得られなかった。
しかしながら、本発明ではベースポリマーに由来するtanδのピークと高分子充填材に由来するtanδのピークとが存在するため、ベースポリマーの性質と高分子充填材の性質とがお互いに影響されずに、両者がそれぞれに特徴的な後述の性質を発揮している。
さらに、ベースポリマーのガラス転移点付近の温度と高分子充填材のガラス転移点付近の温度とでtanδのピーク温度を有するため、両温度付近で高い振動減衰性を発揮することができる。
上記のようなベースポリマーに高分子充填材を分散させた混合物にあって、ベースポリマーのガラス転移点が−70℃〜−20℃、その硬度がE15〜A50、その圧縮永久歪が50%以下であり、高分子充填材のガラス転移点が−20℃〜50℃である。
ベースポリマーのガラス転移点が−70℃〜−20℃であるため、防振緩衝部材ではその特徴が表れて−70℃〜−20℃の範囲付近の低温でtanδのピークを有し、低温での振動減衰性に優れている。また、ベースポリマーの硬度がE15〜A50であるため、防振緩衝部材でもこの硬度に近似した硬度になり、柔らかく衝撃緩衝性に優れている。さらに、圧縮永久歪が50%以下であるため、防振緩衝部材にもこの特徴が表れて経年使用によるへたりが生じにくい。即ち、圧縮永久歪が50%より大きいと圧縮状態で長期間使用したときに、防振緩衝部材が保持する機器の位置が設計値と異なってしまい故障の原因となったり、衝撃緩衝性能が低下することがあるがそういった問題が生じない。加えて、高分子充填材のガラス転移点が−20℃〜50℃であるため、その特徴が表れて−20℃〜50℃の範囲付近の温度の高温でtanδのピークを有し、高温での振動減衰性に優れている。
よって、振動減衰性、衝撃吸収性、経時安定性、取付作業性の何れに対しても良好な防振緩衝部材である。
なお、本明細書、特許請求の範囲の記載において、硬度はJIS K6352に基づく硬度であり、圧縮永久歪はJIS K6262に準じ、70℃雰囲気中で22時間放置処理された後の値である。
ベースポリマーのガラス転移点が−70℃〜−20℃であるため、防振緩衝部材ではその特徴が表れて−70℃〜−20℃の範囲付近の低温でtanδのピークを有し、低温での振動減衰性に優れている。また、ベースポリマーの硬度がE15〜A50であるため、防振緩衝部材でもこの硬度に近似した硬度になり、柔らかく衝撃緩衝性に優れている。さらに、圧縮永久歪が50%以下であるため、防振緩衝部材にもこの特徴が表れて経年使用によるへたりが生じにくい。即ち、圧縮永久歪が50%より大きいと圧縮状態で長期間使用したときに、防振緩衝部材が保持する機器の位置が設計値と異なってしまい故障の原因となったり、衝撃緩衝性能が低下することがあるがそういった問題が生じない。加えて、高分子充填材のガラス転移点が−20℃〜50℃であるため、その特徴が表れて−20℃〜50℃の範囲付近の温度の高温でtanδのピークを有し、高温での振動減衰性に優れている。
よって、振動減衰性、衝撃吸収性、経時安定性、取付作業性の何れに対しても良好な防振緩衝部材である。
なお、本明細書、特許請求の範囲の記載において、硬度はJIS K6352に基づく硬度であり、圧縮永久歪はJIS K6262に準じ、70℃雰囲気中で22時間放置処理された後の値である。
ベースポリマーを飽和型のゴム状弾性体でなるものとすることができる。ベースポリマーに飽和型のゴム状弾性体を用いたため、圧縮永久歪を小さくすることができ、その値を50%以下とすることができる。
すなわち、高分子充填材がベースポリマーに分散しているため、防振緩衝部材の圧縮永久歪もまたベースポリマーの性質に由来し、高分子充填材の性質の影響を受けにくく、ベースポリマーの有する圧縮永久歪と同等の圧縮永久歪を防振緩衝部材が有している。よって圧縮永久歪の小さい防振緩衝部材とすることができる。
すなわち、高分子充填材がベースポリマーに分散しているため、防振緩衝部材の圧縮永久歪もまたベースポリマーの性質に由来し、高分子充填材の性質の影響を受けにくく、ベースポリマーの有する圧縮永久歪と同等の圧縮永久歪を防振緩衝部材が有している。よって圧縮永久歪の小さい防振緩衝部材とすることができる。
ベースポリマーがスチレン系熱可塑性エラストマーでなる防振緩衝部材とすることができる。ベースポリマーがスチレン系熱可塑性エラストマーでなる防振緩衝部材としたため、リサイクルを可能にすることができ、さらに、簡単に成形することができる。また、硬度を容易に低くすることができ、高い衝撃吸収性を発揮することができる。
特に、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)とすれば、硬度がE15〜A50の範囲内にある柔軟性を有して高い衝撃緩衝性能を備え、圧縮永久歪を50%より小さくでき、ガラス転移点が−70℃〜−20℃の範囲内にある低温での振動減衰性能に優れ、かつ、耐候性や耐熱性にも優れる防振緩衝部材を容易に実現することができる。
特に、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)とすれば、硬度がE15〜A50の範囲内にある柔軟性を有して高い衝撃緩衝性能を備え、圧縮永久歪を50%より小さくでき、ガラス転移点が−70℃〜−20℃の範囲内にある低温での振動減衰性能に優れ、かつ、耐候性や耐熱性にも優れる防振緩衝部材を容易に実現することができる。
高分子充填材が架橋ゴムでなる防振緩衝部材とすることができる。高分子充填材が架橋ゴムでなる防振緩衝部材としたため、耐熱性を高めることができる。また、防振緩衝部材の成形時に変質しにくくすることができる。さらに、ベースポリマーと相溶せず海島構造を形成し、ベースポリマーに由来するtanδのピークと高分子充填材に由来するtanδのピークとが存在させることができる。そして、架橋ゴムは、硫黄加硫以外の架橋ゴムであることが好ましい。硫黄加硫ゴムでは電子機器内部の電子部品を腐食させるおそれがあるからである。
高分子充填材は架橋アクリルゴムとすることが好ましい。高分子充填材を架橋アクリルゴムとすれば、ガラス転移点温度が室温(25℃)付近にあるものを選択することができ、室温付近で高い振動減衰性能を発揮することができる。また、架橋アクリルゴムは、硫黄加硫品を除外することができる。
高分子充填材は架橋アクリルゴムとすることが好ましい。高分子充填材を架橋アクリルゴムとすれば、ガラス転移点温度が室温(25℃)付近にあるものを選択することができ、室温付近で高い振動減衰性能を発揮することができる。また、架橋アクリルゴムは、硫黄加硫品を除外することができる。
ベースポリマーに対して選択的に相溶する可塑剤を含有する防振緩衝部材とすることができる。ベースポリマーに対して選択的に相溶する可塑剤を含有する防振緩衝部材としたため、高分子充填材の特性を変えることなくベースポリマーをより軟質にすることができ、防振緩衝部材を低硬度化することができる。
高分子充填材に対して選択的に相溶する可塑剤を含有する防振緩衝部材とすることができる。高分子充填材に対して選択的に相溶する可塑剤を含有する防振緩衝部材としたため、ベースポリマーの特性を変えることなく高分子充填材を軟質にすることができ、高分子充填材に由来するtanδのピーク温度を低温側へ移動させることができる。よって高い振動減衰性を発揮できる温度領域を低温側へ調整することができる。
こうした防振緩衝部材は、携帯用または車載用の電子機器に搭載される防振緩衝部材とすることができる。携帯用または車載用の電子機器に搭載される防振緩衝部材としたため、衝撃に対しても好適にディスク装置などを内蔵した電子機器を保護することができる。
本発明の防振緩衝部材によれば、振動減衰性、衝撃吸収性、経時安定性、取付作業性の何れにおいても優れている。そのため、衝撃や振動が問題となる種々の電子機器、なかでも携帯用や車載用の電子機器に用いれば、電子機器内に設けた電子部品、精密部品を衝撃や振動から保護することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の防振緩衝部材は、ノートPCや携帯オーディオプレーヤなどの電子機器に内蔵されるディスク装置などに用いられ、電子機器に内蔵される電子部品(精密部品)を振動や衝撃から保護する防振性能と緩衝性能を兼ね備えた部材であり、ベースポリマーと、このベースポリマーに分散する高分子充填材とを含有している。
ベースポリマーは、主に衝撃緩衝性能を担う部材であって、ゴム状弾性体でなり、そのガラス転移点が−70℃〜−20℃、その硬度がJIS K6352でE15〜A50、その圧縮永久歪がJIS K6262で50%以下である。
ベースポリマーのガラス転移点が−70℃よりも低いと柔らかすぎて定形性が保てなくなり、また粘着性も高くなるからであり、−20℃よりも高いと、所望の圧縮永久歪が得られにくいからである。
ベースポリマーの硬度がE15よりも低いと柔らかすぎて定形性を保ちにくく、また粘着性が高くなりやすく作業性が悪くなるおそれがある。A50よりも高いと、硬くなりすぎて衝撃緩衝性能が悪化する。硬度はJIS K6352に基づくものである。
ベースポリマーの圧縮永久歪が50%を超えると、実装後における防振緩衝部材のクリープが大きくなり、経時的に振動減衰性や衝撃吸収性が悪化するおそれがある。
ベースポリマーのガラス転移点が−70℃よりも低いと柔らかすぎて定形性が保てなくなり、また粘着性も高くなるからであり、−20℃よりも高いと、所望の圧縮永久歪が得られにくいからである。
ベースポリマーの硬度がE15よりも低いと柔らかすぎて定形性を保ちにくく、また粘着性が高くなりやすく作業性が悪くなるおそれがある。A50よりも高いと、硬くなりすぎて衝撃緩衝性能が悪化する。硬度はJIS K6352に基づくものである。
ベースポリマーの圧縮永久歪が50%を超えると、実装後における防振緩衝部材のクリープが大きくなり、経時的に振動減衰性や衝撃吸収性が悪化するおそれがある。
ベースポリマーに用いるゴム状弾性体としては、上記のガラス転移点、硬度、圧縮永久歪を持つ熱硬化性ゴムや熱可塑性エラストマーが挙げられる。熱硬化性ゴムは架橋されているため、耐熱性や圧縮永久歪において優れている。また、熱可塑性エラストマーは、リサイクルできる点や、射出成形で製造できるため製造工程が熱硬化性ゴムを用いた場合より簡略化でき、低コストである点で優れている。
熱硬化性ゴムには、天然ゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ホスファゼンゴムなどが挙げられる。これらの中では、適当な柔軟性を持ち、特に優れた振動減衰特性を有する点でブチルゴムが好ましい。
熱可塑性エラストマーには、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、アミド系エラストマーが挙げられる。これらの中では、振動減衰特性や柔軟性が優れている点でスチレン系エラストマーが好ましい。
熱硬化性ゴムには、天然ゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ホスファゼンゴムなどが挙げられる。これらの中では、適当な柔軟性を持ち、特に優れた振動減衰特性を有する点でブチルゴムが好ましい。
熱可塑性エラストマーには、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、アミド系エラストマーが挙げられる。これらの中では、振動減衰特性や柔軟性が優れている点でスチレン系エラストマーが好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーの場合は、ガラス転移点が−60℃〜−40℃のものを用いることが好ましい。良好な柔軟性と圧縮永久歪を有し、粘着性が低いためである。こうしたスチレン系熱可塑性エラストマーでは、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)が挙げられる。
ベースポリマーには、飽和型のベースポリマーを用いることが好ましい。飽和型のベースポリマーとは、二重結合を主鎖に有しないベースポリマーのことをいい、非ジエン型のベースポリマーともいう。飽和型のベースポリマーは、主鎖に二重結合を有しないことから、耐候性や耐熱性に優れており、不飽和型のゴム状弾性体に比べて圧縮永久歪を小さくすることができる。このため飽和型のゴム状弾性体をベースポリマーとして用いれば、圧縮永久歪が50%以下と小さな防振緩衝部材を得ることができる。
こうした飽和型のベースポリマーには、熱硬化性ゴムとして、シリコーンゴム、水添ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、クロロスルフォン化ゴム、ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどが挙げられ、熱可塑性エラストマーとして、アクリル系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、水添スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
こうした飽和型のベースポリマーには、熱硬化性ゴムとして、シリコーンゴム、水添ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、クロロスルフォン化ゴム、ポリエチレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどが挙げられ、熱可塑性エラストマーとして、アクリル系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、水添スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
高分子充填材は、主に振動の防振性能を担う部材であって、ゴム状弾性体でなり、そのガラス転移点が−20℃〜50℃である。
また、高分子充填材はベースポリマーに分散し、親和性を有せず、ベースポリマーと高分子充填材とで海島構造を形成るものである。
このため、防振緩衝部材のガラス転移点は、ベースポリマーに由来するピークと高分子充填材に由来するピークが存在しており、ガラス転移点の近傍温度に現れるtanδのピークもベースポリマーに由来するtanδのピークと高分子充填材に由来するtanδのピークの少なくとも2つが存在する。
よってベースポリマーの性質と高分子充填材の性質とがお互いの影響を受けにくく、両者にそれぞれ特徴的な性質を発揮することができる。そのため、ベースポリマーのガラス転移点付近の温度と高分子充填材のガラス転移点付近の温度のそれぞれの温度付近で高い振動減衰性を発揮することができる。
高分子充填材のガラス転移点は、−20℃よりも低いと柔らかすぎて振動を防振する機能が悪化する。また、50℃を超えると、高温での防振性能が悪化する。
また、高分子充填材はベースポリマーに分散し、親和性を有せず、ベースポリマーと高分子充填材とで海島構造を形成るものである。
このため、防振緩衝部材のガラス転移点は、ベースポリマーに由来するピークと高分子充填材に由来するピークが存在しており、ガラス転移点の近傍温度に現れるtanδのピークもベースポリマーに由来するtanδのピークと高分子充填材に由来するtanδのピークの少なくとも2つが存在する。
よってベースポリマーの性質と高分子充填材の性質とがお互いの影響を受けにくく、両者にそれぞれ特徴的な性質を発揮することができる。そのため、ベースポリマーのガラス転移点付近の温度と高分子充填材のガラス転移点付近の温度のそれぞれの温度付近で高い振動減衰性を発揮することができる。
高分子充填材のガラス転移点は、−20℃よりも低いと柔らかすぎて振動を防振する機能が悪化する。また、50℃を超えると、高温での防振性能が悪化する。
高分子充填材に用いるゴム状弾性体としては、上記のガラス転移点を持ち、ベースポリマーと混合しても、ベースポリマーに由来するtanδのピークを残しながら、高分子充填材に由来するtanδのピークも存在させることができるゴム状弾性体である。こうしたゴム状弾性体には、ベースポリマーと相溶しない熱硬化性ゴムや熱可塑性エラストマーが挙げられる。具体的には、熱硬化性ゴムとして、天然ゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ホスファゼンゴムなどが挙げられ、熱可塑性エラストマーには、アクリル系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、アミド系エラストマーが挙げられる。
また、高分子充填材として用いられるゴム状弾性体もベースポリマーと同様に飽和型のゴム状弾性体を用いることが好ましい。二重結合を有することによる圧縮永久歪の悪化の点はベースポリマーのように問題にはならないと考えられるが、耐熱性や耐光性に劣るからである。こうしたゴム状弾性体は、例えば、スチレン系エラストマーのうち、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)や、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)が挙げられる。
高分子充填材用ゴム状弾性体は、熱硬化性ゴムや熱可塑性エラストマーの中で架橋ゴムが好ましい。架橋ゴムは、振動減衰性能により優れ、また、耐熱性を高めることができるからである。さらにベースポリマーと相溶せず、ベースポリマーに由来するtanδのピークと高分子充填材に由来するtanδのピークとを有することができる。こうした架橋ゴムとしてはアクリルゴムなどが挙げられる。
さらに、硫黄加硫を除く架橋ゴム、即ち、パーオキサイド架橋ゴムや、フェノール樹脂架橋やキノンジオキシム架橋のような架橋剤を介した橋かけタイプの架橋ゴムがより好ましい。硫黄加硫ゴムでは、防振緩衝部材が電子機器内に実装された状態で長期間経過すると電子機器内の電子部品が腐食するおそれがあるからが、硫黄加硫ゴムでなければこうした問題は生じないからである。
さらに、硫黄加硫を除く架橋ゴム、即ち、パーオキサイド架橋ゴムや、フェノール樹脂架橋やキノンジオキシム架橋のような架橋剤を介した橋かけタイプの架橋ゴムがより好ましい。硫黄加硫ゴムでは、防振緩衝部材が電子機器内に実装された状態で長期間経過すると電子機器内の電子部品が腐食するおそれがあるからが、硫黄加硫ゴムでなければこうした問題は生じないからである。
高分子充填材の粒径は、0.1μm〜100μmとすることが好ましい。粒径が100μmを超えると、ゴム状弾性体が脆くなるおそれがある。また、0.1μmより小さいと、分散性が悪くなり高分子充填材の重量比を増やしにくくなる。
ベースポリマーと高分子充填材の混合重量比は、100:25〜100:150とすることが好ましい。ガラス転移点が−20℃〜50℃である高分子充填材は、ベースポリマーと比べて硬度が高く粘着性があるため、ベースポリマー100に対して高分子充填材が150を超えると、ゴム状弾性体が硬くなり脆くなるおそれがある。その一方でベースポリマー100に対して高分子充填材が25より少ないと、高分子充填材に由来する−20℃〜50℃のガラス転移点が表れにくくなって、tanδのピークも小さくなって、その値も0.4より小さくなり、25℃付近での振動減衰性が不十分となる。
防振緩衝部材には必要に応じてベースポリマーに対して選択的に相溶する可塑剤を加えることができる。「ベースポリマーに対して選択的に相溶する」とは、ベースポリマーには相溶し高分子充填材には相溶しないことをいう。こうした可塑剤を加えることで、高分子充填材の特性を変えることなくベースポリマーを軟質にすることができる。こうした可塑剤はベースポリマーの柔軟性を増すので軟化剤とも呼ばれる。
このような可塑剤(軟化剤)には、鉱物油系可塑剤、植物油系可塑剤、エステル系可塑剤が例示できる。鉱物油系可塑剤の中でもパラフィン系可塑剤は、ベースポリマーをSEPS系の熱可塑性エラストマーとし、高分子充填材をアクリルゴムとする場合に効果的である。
このような可塑剤(軟化剤)には、鉱物油系可塑剤、植物油系可塑剤、エステル系可塑剤が例示できる。鉱物油系可塑剤の中でもパラフィン系可塑剤は、ベースポリマーをSEPS系の熱可塑性エラストマーとし、高分子充填材をアクリルゴムとする場合に効果的である。
また、防振緩衝部材には必要に応じて高分子充填材に対して選択的に相溶する可塑剤を加えることができる。「高分子充填材に対して選択的に相溶する」とは、高分子充填材には相溶しベースポリマーには相溶しないことをいう。こうした可塑剤を加えることで、ベースポリマーの圧縮永久歪などの特性を変えることなく高分子充填材を軟質にすることができる。すなわち、高分子充填材に由来するtanδのピーク温度を低温側へ移動させることができる。
このような可塑剤には、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、マレイン酸エステル系可塑剤、オレイン酸エステル系可塑剤、フマル酸エステル系可塑剤、ステアリン酸エステル系可塑剤、リノール酸エステル系可塑剤などのエステル系可塑剤が例示できる。エステル系可塑剤は、ベースポリマーをSEPS系の熱可塑性エラストマーとし、高分子充填材をアクリルゴムとする場合
に効果的である。
この高分子充填材に対して選択的に相溶する可塑剤は、ベースポリマーに対して選択的に相溶する可塑剤とともに用いることもできる。
このような可塑剤には、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、マレイン酸エステル系可塑剤、オレイン酸エステル系可塑剤、フマル酸エステル系可塑剤、ステアリン酸エステル系可塑剤、リノール酸エステル系可塑剤などのエステル系可塑剤が例示できる。エステル系可塑剤は、ベースポリマーをSEPS系の熱可塑性エラストマーとし、高分子充填材をアクリルゴムとする場合
に効果的である。
この高分子充填材に対して選択的に相溶する可塑剤は、ベースポリマーに対して選択的に相溶する可塑剤とともに用いることもできる。
防振緩衝部材にはまた、可塑剤以外にも必要に応じて種々の添加材を加えることができる。
例えば、機械的強度を高めるためにカーボンブラックを添加したり、難燃剤や、滑剤、酸化防止剤などを加えることができる。
例えば、機械的強度を高めるためにカーボンブラックを添加したり、難燃剤や、滑剤、酸化防止剤などを加えることができる。
また、高分子充填材をベースポリマーに均一に分散させるために、分散剤を添加することができる。例えば、シランカップリング剤や、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤などのカップリング剤や、ベースポリマーの分子構造の一部を高分子充填材と馴染む近似した構造に置換された変性ポリマーなどが挙げられる。
次に実施例及び比較例を示して本発明をさらに詳細に説明する。
A.防振緩衝部材の製造:
A.防振緩衝部材の製造:
以下の試料1〜試料6の防振緩衝部材を製造した。
試料1:
ベースポリマーとしてスチレン系熱可塑性エラストマー;SEPS(ガラス転移点:−45℃)100重量部に、高分子充填材として平均粒径0.1μmのアクリルゴム粉末(ガラス転移点:36℃)100重量部を配合し、押出し機で混合してベースポリマーに高分子充填材が分散したゴム状組成物(ゴム状弾性体)を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料1の防振緩衝部材を得た。
試料2:
試料1と同様のゴム状組成物に、さらにDOA(ジ−(2−エチルへキシル)アジペート;エステル系可塑剤)10重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料2の防振緩衝部材を得た。
試料3:
試料1と同様のゴム状組成物に、さらにDOA20重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料3の防振緩衝部材を得た。
試料4:
試料1と同様のゴム状組成物に、さらにDOA30重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料4の防振緩衝部材を得た。
試料5:
試料1と同様のベースポリマー100重量部に、高分子充填材として平均粒径50μmのアクリルゴム粉末(ガラス転移点:36℃)150重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料5の防振緩衝部材を得た。
試料6:
試料1と同様のゴム状組成物100重量部に、さらにパラフィン系可塑剤15重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料6の防振緩衝部材を得た。
試料1:
ベースポリマーとしてスチレン系熱可塑性エラストマー;SEPS(ガラス転移点:−45℃)100重量部に、高分子充填材として平均粒径0.1μmのアクリルゴム粉末(ガラス転移点:36℃)100重量部を配合し、押出し機で混合してベースポリマーに高分子充填材が分散したゴム状組成物(ゴム状弾性体)を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料1の防振緩衝部材を得た。
試料2:
試料1と同様のゴム状組成物に、さらにDOA(ジ−(2−エチルへキシル)アジペート;エステル系可塑剤)10重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料2の防振緩衝部材を得た。
試料3:
試料1と同様のゴム状組成物に、さらにDOA20重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料3の防振緩衝部材を得た。
試料4:
試料1と同様のゴム状組成物に、さらにDOA30重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料4の防振緩衝部材を得た。
試料5:
試料1と同様のベースポリマー100重量部に、高分子充填材として平均粒径50μmのアクリルゴム粉末(ガラス転移点:36℃)150重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料5の防振緩衝部材を得た。
試料6:
試料1と同様のゴム状組成物100重量部に、さらにパラフィン系可塑剤15重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料6の防振緩衝部材を得た。
また、以下の試料11〜試料16の防振緩衝部材を製造した。
試料11:
試料1と同様のベースポリマーのみを射出成形して試料11のゴム状弾性体を得た。
試料12:
試料1と同様のベースポリマー100重量部に、高分子充填材としてベースポリマーと相溶するスチレン系熱可塑性エラストマー;SIS(スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、ガラス転移点:17℃)20重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料12のゴム状弾性体を得た。
試料13:
試料1と同様のベースポリマー100重量部に、試料12と同様の高分子充填材40重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料13のゴム状弾性体を得た。
試料14:
試料12と同様の高分子充填材100重量部に、パラフィン系可塑剤15重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料14のゴム状弾性体を得た。
試料15:
試料1と同様のベースポリマー100重量部に、高分子充填材として平均粒径50μmのアクリルゴム粉末(ガラス転移点:36℃)200重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料15のゴム状弾性体を得た。
試料16:
ベースポリマーとして不飽和ゴムであるポリイソブチレン(ガラス転移点:−70℃)100重量部に、高分子充填材として試料1と同じ平均粒径0.1μmのアクリルゴム粉末(ガラス転移点:36℃)100重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料16の防振緩衝部材を得た。
試料11:
試料1と同様のベースポリマーのみを射出成形して試料11のゴム状弾性体を得た。
試料12:
試料1と同様のベースポリマー100重量部に、高分子充填材としてベースポリマーと相溶するスチレン系熱可塑性エラストマー;SIS(スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、ガラス転移点:17℃)20重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料12のゴム状弾性体を得た。
試料13:
試料1と同様のベースポリマー100重量部に、試料12と同様の高分子充填材40重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料13のゴム状弾性体を得た。
試料14:
試料12と同様の高分子充填材100重量部に、パラフィン系可塑剤15重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料14のゴム状弾性体を得た。
試料15:
試料1と同様のベースポリマー100重量部に、高分子充填材として平均粒径50μmのアクリルゴム粉末(ガラス転移点:36℃)200重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料15のゴム状弾性体を得た。
試料16:
ベースポリマーとして不飽和ゴムであるポリイソブチレン(ガラス転移点:−70℃)100重量部に、高分子充填材として試料1と同じ平均粒径0.1μmのアクリルゴム粉末(ガラス転移点:36℃)100重量部を配合し、押出し機で混合してゴム状組成物を得た。このゴム状組成物を射出成形して試料16の防振緩衝部材を得た。
B.ゴム状弾性体の評価:
試料1〜試料16について、硬度、圧縮永久歪、tanδ、表面粘着性の評価を行った。
「硬度」については、JIS K6253の方法に従って測定した。
「圧縮永久歪」は、JIS K6262に記載の方法で測定し、算出した。熱処理条件は、70℃雰囲気中で22時間とした。
「tanδ」は、DM6100(セイコーインスツルメンツ製)の試験を用いて、25℃雰囲気中で10Hzの振動を与えて測定した。また、10Hzでのtanδのピーク温度(場合により2点あり)も測定した。
「表面粘着性」は次のように試験した。各試料を70mm×15mm×2mmのシート状に成形し、このシート状成形体を70mm×15mm×70mmの箱型樹脂成形体の側面に両面テープで貼着した。そしてこの箱型樹脂成形体を嵌合凹部を設けた治具に嵌め込み、嵌め込み易さにて各試料の表面粘着性を評価した。「A」はスムーズな着脱、「B」は多少摩擦があるが着脱可能、「C」は着脱が難しい、「D」は嵌め込み不可能、をそれぞれ示す。以上の結果を表1と表2に示す。
試料1〜試料16について、硬度、圧縮永久歪、tanδ、表面粘着性の評価を行った。
「硬度」については、JIS K6253の方法に従って測定した。
「圧縮永久歪」は、JIS K6262に記載の方法で測定し、算出した。熱処理条件は、70℃雰囲気中で22時間とした。
「tanδ」は、DM6100(セイコーインスツルメンツ製)の試験を用いて、25℃雰囲気中で10Hzの振動を与えて測定した。また、10Hzでのtanδのピーク温度(場合により2点あり)も測定した。
「表面粘着性」は次のように試験した。各試料を70mm×15mm×2mmのシート状に成形し、このシート状成形体を70mm×15mm×70mmの箱型樹脂成形体の側面に両面テープで貼着した。そしてこの箱型樹脂成形体を嵌合凹部を設けた治具に嵌め込み、嵌め込み易さにて各試料の表面粘着性を評価した。「A」はスムーズな着脱、「B」は多少摩擦があるが着脱可能、「C」は着脱が難しい、「D」は嵌め込み不可能、をそれぞれ示す。以上の結果を表1と表2に示す。
試料1〜試料6については、硬度がA50以下であり、圧縮永久歪が50%以下、tanδが0.4以上であり、そのピークがSEPS熱可塑性エラストマーに由来する温度とアクリルゴムに由来する温度において2種類存在し、表面粘着性が「B」となった。そのため、全ての評価項目で優れる防振緩衝部材である。
試料2〜試料4では、アクリルゴムに対して選択的に相溶し、SEPSと相溶しないDOPを添加することで圧縮永久歪を悪化させることなくアクリルゴムのtanδのピークを低温側へ移動することができた。
試料6では、SEPSに対して選択的に相溶し、アクリルゴムと相溶しないパラフィン系可塑剤を添加することでアクリルゴムのtanδのピークを移動させることなく柔軟性を付与することができた。
試料2〜試料4では、アクリルゴムに対して選択的に相溶し、SEPSと相溶しないDOPを添加することで圧縮永久歪を悪化させることなくアクリルゴムのtanδのピークを低温側へ移動することができた。
試料6では、SEPSに対して選択的に相溶し、アクリルゴムと相溶しないパラフィン系可塑剤を添加することでアクリルゴムのtanδのピークを移動させることなく柔軟性を付与することができた。
これに対し、試料11〜試料13では振動減衰性が不十分であった。そして試料15では、充填剤を200重量部加えたのでその悪影響が出て、圧縮永久歪が50%を超えて悪かった。また、試料16も圧縮永久歪が50%を超えて悪かった。
そして、試料12〜試料14は表面粘着性が高く、取扱い作業性が悪かった。
そして、試料12〜試料14は表面粘着性が高く、取扱い作業性が悪かった。
Claims (8)
- 電子機器に装着されてこの電子機器に内蔵される電子部品を振動や衝撃から保護する防振緩衝部材において、
ベースポリマーと、このベースポリマーに分散する高分子充填材とを含んでなり、
ベースポリマーに由来するtanδのピークと高分子充填材に由来するtanδのピークとが存在しており、
ベースポリマーがゴム状弾性体でなり、そのガラス転移点が−70℃〜−20℃、その硬度がE15〜A50、その圧縮永久歪が50%以下であり、
高分子充填材がゴム状弾性体でなり、そのガラス転移点が−20℃〜50℃であることを特徴とする防振緩衝部材。 - ベースポリマーが飽和型のゴム状弾性体でなる請求項1記載の防振緩衝部材。
- ベースポリマーがスチレン系熱可塑性エラストマーでなる請求項1または請求項2記載の防振緩衝部材。
- 高分子充填材が架橋ゴムでなる請求項1〜請求項3何れか1項記載の防振緩衝部材。
- 高分子充填材が架橋アクリルゴムでなる請求項1〜請求項4何れか1項記載の防振緩衝部材。
- ベースポリマーに対して選択的に相溶する可塑剤を含有する請求項1〜請求項5何れか1項記載の防振緩衝部材。
- 高分子充填材に対して選択的に相溶する可塑剤を含有する請求項1〜請求項6何れか1項記載の防振緩衝部材。
- 携帯用または車載用の電子機器に搭載される請求項1〜請求項7何れか1項記載の防振緩衝部材。
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