JP4664693B2 - ウエーハの研削方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ウエーハの研削方法、更に詳しくは超砥粒をビトリファイドボンドで結合したビトリファイドボンド砥石を用いたウエーハの研削方法に関する。
当業者には周知の如く、半導体デバイス製造工程においては、IC、LSI等の回路が複数個形成された半導体ウエーハは、個々のチップに分割される前にその裏面を研削装置によって研削して所定の厚さに形成されている。半導体ウエーハの裏面を効率的に研削するために、一般に粗研削ユニットと仕上げ研削ユニットを備えた研削装置が用いられている。粗研削ユニットには比較的粒径が大きいダイヤモンド砥粒をビトリファイドボンドまたはメタルボンドで結合したビトリファイドボンド砥石またはメタルボンド砥石が用いられ、仕上げ研削ユニットには粒径が小さいダイヤモンド砥粒をレジンボンドで結合したレジンボンド砥石が用いられている。
ビトリファイドボンド砥石は、二酸化珪素などを主成分とするボンド材で砥粒を結合しているため砥粒保持力が強いので、研削能力が維持される反面、砥粒を強固に保持するため自生発刃作用が不十分であるという特性がある。一方、レジンボンド砥石は、柔軟なレジンボンド材で砥粒を結合しているため被加工物への当たりがソフトであるとともに、砥粒保持力が弱いので自生発刃作用が良好である。このような砥石の特性から、ビトリファイドボンド砥石は主に粗研削砥石として用いられ、レジンボンド砥石は主に仕上げ研削砥石として用いられている。
しかるに、レジンボンド砥石は上述したようにレジンボンド材が柔軟であるため、砥粒の粒径が2μm以下になると、研削中に砥粒がレジンボンドの内部に押し込まれて研削能力が低下し、研削焼けが発生する。従って、レジンボンド砥石は、粒径が4〜6μm(#2000)以上の砥粒を用いなければならず、微細な仕上げ研削が困難となる。
なお、ビトリファイドボンド砥石は上述したように砥粒保持力が強いので、0.5μm(#8000)以下の砥粒であっても研削中に砥粒がビトリファイドボンド内に押し込まれることがなく研削能力が維持される。しかしながら、ビトリファイドボンド砥石は、上述したようにビトリファイドボンドが砥粒を強固に保持するため自生発刃作用が不十分であり、研削面にスジ状の傷を生じさせるという問題がある。
このような問題を解消するために、砥粒をビトリファイドボンドで結合された砥粒層に気孔を形成し自生発刃作用を良好にしたビトリファイドボンド砥石が提案されている。(例えば、特許文献1参照)
特開2003−136410号公報
上記公報に開示されたビトリファイドボンド砥石は、砥粒をビトリファイドボンドで結合された砥粒層に形成される気孔が連続気孔である。従って、気孔率を高くすると砥石の強度が低下して所定の研削圧力を得ることができない。事実、上記公報に開示されたビトリファイドボンド砥石の気孔率は25〜45容量%であり、自生発刃作用が必ずしも良好とはいえない。
そこで、本出願人は、強度を確保して気孔率を高め、自生発刃作用を良好にするために、気孔率が75〜95容量%であるビトリファイドボンド砥石を特願2004−150003号として提案した。
而して、上述したビトリファイドボンド砥石は、気孔率が75〜95容量%であることから、経時的に研削水の影響や研削抵抗等の外力の影響を受けて部分的に欠けが発生した。この欠けた砥石の微砕粉が被加工物であるウエーハと砥石との間に挟まり、ウエーハの研磨面にスクラッチを生じさせるとともに、砥石の消耗を早めるという問題が生じた。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術課題は、気孔率が高い砥石を用いてウエーハを研削しても砥石に欠けが生じないようにしたウエーハの研削方法を提供することにある。
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、超砥粒をビトリファイドボンドで結合するとともに無数の気孔を備え、該気孔は、独立気孔からなっていると共に該気孔の気孔率が75〜95容量%であるビトリファイドボンド砥石を装備した研削ホイールを用い、該研削ホイールを回転しつつ該ビトリファイドボンド砥石をウエーハの被研削面に接触させるとともに、該ビトリファイドボンド砥石による研削作用部に研削水を供給してウエーハを所定量研削除去するウエーハの研削方法であって、
該研磨ホイールをウエーハの被研削面に対して垂直な研削送り方向に移動せしめる第1の研削工程と、第1の研削工程後に該研削ホイールの該研削送り方向への移動を停止するようにした該第2の研削工程とを含み、
該第1の研削工程において供給する研削水の単位時間当たりの供給量は、該第2の研削工程において供給する研削水の単位時間当たりの供給量より少量に設定された、
ことを特徴とするウエーハの研削方法が提供される。
第1の研削工程の前にウエーハの被研削面を荒削りする荒削り工程を行うようにすることが好ましい。
本発明によるウエーハの研削方法は、第1の研削工程において供給する切削水の単位時間当たりの供給量が第2の研削工程において供給する研削水の単位時間当たりの供給量より少量に設定されているので、研削加工時に供給される研削水の総量を低減することができるため、切削水の影響が少なく、気孔率が70〜95容積%を有するビトリファイドボンド砥石によって研削しても欠けの発生が低減し、砥石の消耗を抑えることができる。一方、第2の研削工程においては第1の研削工程における切削水の単位時間当たりの供給量より多い切削水が供給されるので、ウエーハの被研削面の研削精度を確保することができる。
以下、本発明によるウエーハの研削方法の好適な実施形態について、添付図面を参照して更に詳細に説明する。
図1には、本発明によるウエーハの研削方法を実施するための研削装置の斜視図が示されている。
図示の実施形態における研削装置は、略直方体状の装置ハウジング2を具備している。装置ハウジング2の図1において右上端には、静止支持板21が立設されている。この静止支持板21の内側面には、上下方向に延びる2対の案内レール22、22および23、23が設けられている。一方の案内レール22、22には荒研削手段としての荒研削ユニット3が上下方向に移動可能に装着されており、他方の案内レール23、23には仕上げ研削手段としての仕上げ研削ユニット4が上下方向に移動可能に装着されている。
荒研削ユニット3は、ユニットハウジング31と、該ユニットハウジング31の下端に回転自在に装着されたホイールマウント32に装着された研削ホイール33と、該ユニットハウジング31の上端に装着されホイールマウント32を矢印32aで示す方向に回転せしめる電動モータ34と、ユニットハウジング31を装着した移動基台35とを具備している。研削ホイール33は、図2に示すように環状の砥石基台331と、該砥石基台331の下面に装着されたビトリファイドボンド砥石332からなる複数のセグメントとによって構成されている。砥石基台331には雌ネジ穴331aが形成されており、この雌ネジ穴331aにホイールマウント32を挿通して配設された締結ネジ333(図1参照)を螺合することにより、ホイールマウント32に装着される。ビトリファイドボンド砥石332は、粒径が略10μm程度のダイヤモンド砥粒を二酸化珪素を主成分とするビトリファイドボンドで結合して形成されている。移動基台35には被案内レール351、351が設けられており、この被案内レール351、351を上記静止支持板21に設けられた案内レール22、22に移動可能に嵌合することにより、荒研削ユニット3が上下方向に移動可能に支持される。図示の形態における荒研削ユニット3は、上記移動基台35を案内レール22、22に沿って移動させ研削ホイール33を研削送りする研削送り機構36を具備している。研削送り機構36は、上記静止支持板21に案内レール22、22と平行に上下方向に配設され回転可能に支持された雄ねじロッド361と、該雄ねじロッド361を回転駆動するためのパルスモータ362と、上記移動基台35に装着され雄ねじロッド361と螺合する図示しない雌ねじブロックを具備しており、パルスモータ362によって雄ねじロッド361を正転および逆転駆動することにより、荒研削ユニット3を上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向)に移動せしめる。
上記仕上げ研削ユニット4も荒研削ユニット3と同様に構成されており、ユニットハウジング41と、該ユニットハウジング41の下端に回転自在に装着されたホイールマウント42に装着された研削ホイール43と、該ユニットハウジング41の上端に装着されホイールマウント42を矢印42aで示す方向に回転せしめる電動モータ44と、ユニットハウジング41を装着した移動基台45とを具備している。研削ホイール43は、図3に示すように環状の砥石基台431と、該砥石基台431の下面に装着された本発明によるビトリファイドボンド砥石432からなる複数のセグメントとによって構成されている。砥石基台431には雌ネジ穴431a形成されており、この雌ネジ穴431aにホイールマウント42を挿通して配設された締結ネジ433(図1参照)を螺合することにより、ホイールマウント42に装着される。
ビトリファイドボンド砥石432は、粒径が1μm以下のダイヤモンド砥粒を二酸化珪素を主成分とするビトリファイドボンドで結合して形成されているとともに、砥粒層に独立気孔を備えている。独立気孔を備えたビトリファイドボンド砥石を得るには、砥粒とビトリファイドボンド材と発泡剤と有機物粒子とを混錬して造粒し顆粒物を生成し、この顆粒物を成型用の金型に充填して所定の形状に加圧成型し、この成型物を焼成炉で焼成することにより、独立気孔を備えたビトリファイドボンド砥石が得られる。なお、独立気孔の気孔率は70〜95容積%であることが望ましい。このように、気孔率が70〜95容積%の独立気孔を有するビトリファイドボンド砥石を構成することにより、自生発刃作用が良好で研削性に優れているとともに、その強度を確保することができる。
次に、本発明によるビトリファイドボンド砥石の他の実施形態について、図4を参照して説明する。
図4に示すビトリファイドボンド砥石432は、リムタイプの砥石で環状に形成されており、上述した図3に示すビトリファイドボンド砥石432と同様に粒径が1μm以下のダイヤモンド砥粒を二酸化珪素を主成分とするビトリファイドボンドで結合して形成されているとともに、砥粒層に独立気孔を備え、独立気孔の気孔率が70〜95容積%有している。図4に示す実施形態の環状のビトリファイドボンド砥石432は、上記図3に示す砥石基台431の下面に装着される。
図1に戻って説明を続けると、上記移動基台45には被案内レール451、451が設けられており、この被案内レール451、451を上記静止支持板21に設けられた案内レール23、23に移動可能に嵌合することにより、仕上げ研削ユニット4が上下方向に移動可能に支持される。図示の形態における仕上げ研削ユニット4は、上記移動基台45を案内レール23、23に沿って移動させ研削ホイール43を研削送りする送り機構46を具備している。送り機構46は、上記静止支持板21に案内レール23、23と平行に上下方向に配設され回転可能に支持された雄ねじロッド461と、該雄ねじロッド461を回転駆動するためのパルスモータ462と、上記移動基台45に装着され雄ねじロッド461と螺合する図示しない雌ねじブロックを具備しており、パルスモータ462によって雄ねじロッド461を正転および逆転駆動することにより、仕上げ研削ユニット4を上下方向(後述するチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向)に移動せしめる。
図示の実施形態における研削装置は、上記静止支持板21の前側において装置ハウジング2の上面と略面一となるように配設されたターンテーブル5を具備している。このターンテーブル5は、比較的大径の円盤状に形成されており、図示しない回転駆動機構によって矢印5aで示す方向に適宜回転せしめられる。ターンテーブル5には、図示の実施形態の場合それぞれ120度の位相角をもって3個のチャックテーブル6が水平面内で回転可能に配置されている。このチャックテーブル6は、円盤状の基台61とポーラスセラミック材によって円盤状に形成され吸着保持チャック62とからなっており、吸着保持チャック62上(保持面)に載置された被加工物を図示しない吸引手段を作動することにより吸引保持する。このように構成されたチャックテーブル6は、図1に示すように図示しない回転駆動機構によって矢印6aで示す方向に回転せしめられる。ターンテーブル5に配設された3個のチャックテーブル6は、ターンテーブル5が適宜回転することにより被加工物搬入・搬出域A、荒研削加工域B、および仕上げ研削加工域Cおよび被加工物搬入・搬出域Aに順次移動せしめられる。
図示の研削装置は、被加工物搬入・搬出域Aに対して一方側に配設され研削加工前の被加工物である半導体ウエーハをストックする第1のカセット7と、被加工物搬入・搬出域Aに対して他方側に配設され研削加工後の被加工物である半導体ウエーハをストックする第2のカセット8と、第1のカセット7と被加工物搬入・搬出域Aとの間に配設され被加工物の中心合わせを行う中心合わせ手段9と、被加工物搬入・搬出域Aと第2のカセット8との間に配設されたスピンナー洗浄手段11と、第1のカセット7内に収納された被加工物である半導体ウエーハを中心合わせ手段9に搬出するとともにスピンナー洗浄手段11で洗浄された半導体ウエーハを第2のカセット8に搬送する被加工物搬送手段12と、中心合わせ手段9上に載置され中心合わせされた半導体ウエーハを被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上に搬送する被加工物搬入手段13と、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上に載置されている研削加工後の半導体ウエーハを洗浄手段11に搬送する被加工物搬出手段14を具備している。なお、上記第1のカセット7には、半導体ウエーハ15が表面に保護テープ16が貼着された状態で複数枚収容される。このとき、半導体ウエーハ15は、裏面15bを上側にして収容される。
図示の実施形態における研削装置は以上のように構成されており、以下その作用について説明する。
第1のカセット7に収容された研削加工前の被加工物である半導体ウエーハ15は被加工物搬送手段12の上下動作および進退動作により搬送され、中心合わせ手段9に載置され6本のピン91の中心に向かう径方向運動により中心合わせされる。中心合わせ手段9に載置され中心合わせされた半導体ウエーハ15は、被加工物搬入手段14の旋回動作によって被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6の吸着保持チャック62上に載置される。そして、図示しない吸引手段を作動して、半導体ウエーハ15を吸着保持チャック62上に吸引保持する。次に、ターンテーブル5を図示しない回転駆動機構によって矢印5aで示す方向に120度回動せしめて、半導体ウエーハを載置したチャックテーブル6を荒研削加工域Bに位置付ける。
半導体ウエーハ15を保持したチャックテーブル6は、荒研削加工域Bに位置付けられると図示しない回転駆動機構によって矢印6aで示す方向に回転せしめられる。一方、荒研削ユニット3の研削ホイール33は、矢印32aで示す方向に回転せしめられつつ研削送り機構36によって所定量下降する。この結果、チャックテーブル6上の半導体ウエーハ15の被研削面である裏面15bに研削ホイール33のビトリファイドボンド砥石332の研磨作用面(下面)が接触し、半導体ウエーハ15の被研削面である裏面15bが荒研削加工が施される。この荒研削加工時においては、ビトリファイドボンド砥石332による研削部に研削水が例えば4リットル/分〜5リットル/分程度供給される。なお、この間に被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられた次のチャックテーブル6上には、上述したように研削加工前の半導体ウエーハ15が載置される。そして、図示しない吸引手段を作動することにより、半導体ウエーハ15をチャックテーブル6上に吸引保持する。次に、ターンテーブル5を矢印5aで示す方向に120度回動せしめて、荒研削加工された半導体ウエーハ15を保持しているチャックテーブル6を仕上げ研削加工域Cに位置付け、研削加工前の半導体ウエーハ15を保持したチャックテーブル6を荒研削加工域Bに位置付ける。
このようにして、荒研削加工域Bに位置付けられたチャックテーブル6上に保持された荒研削加工前の半導体ウエーハ15の裏面15bには荒研削ユニット3によって荒研削加工が施され、仕上げ研削加工域Cに位置付けられたチャックテーブル6上に載置され荒研削加工された半導体ウエーハ15の裏面15bには仕上げ研削ユニット4によって仕上げ研削加工が施される。即ち、チャックテーブル6が矢印6aで示す方向に回転せしめられ、仕上げ研削ユニット4の研削ホイール43が矢印42aで示す方向に回転せしめられつつ研削送り機構46によって所定量下降する。この結果、チャックテーブル6上の半導体ウエーハ15の被研削面である裏面15bに研削ホイール43のビトリファイドボンド砥石432の研磨作用面(下面)が接触し、半導体ウエーハ15の被研削面である裏面15bが仕上げ研削加工が施される。なお、仕上げ研削加工時においても、ビトリファイドボンド砥石432による研削部には研削水は供給されるが、この研削水の供給量については後で詳細に説明する。次に、ターンテーブル5を矢印5aで示す方向に120度回動せしめて、仕上げ研削加工した半導体ウエーハ15を保持したチャックテーブル6を被加工物搬入・搬出域Aに位置付ける。なお、荒研削加工域Bにおいて荒研削加工された半導体ウエーハ15を保持したチャックテーブル6は仕上げ研削加工域Cに、被加工物搬入・搬出域Aにおいて研削加工前の半導体ウエーハ15を保持したチャックテーブル6は荒研削加工域Bにそれぞれ移動せしめられる。
なお、荒研削加工域Bおよび仕上げ研削加工域Cを経由して被加工物搬入・搬出域Aに戻ったチャックテーブル6は、ここで仕上げ研削加工された半導体ウエーハ15の吸着保持を解除する。そして、被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上の仕上げ研削加工された半導体ウエーハ15は、被加工物搬出手段14によってスピンナー洗浄手段11に搬出される。スピンナー洗浄手段11に搬送された半導体ウエーハ15は、ここで裏面15a(研削面)および側面に付着している研削屑が洗浄除去されるとともに、スピン乾燥される。このようにして洗浄およびスピン乾燥された半導体ウエーハ15は、被加工物搬送手段12によって第2のカセット8に搬送され収納される。
上述した仕上げ研削加工時には研削ホイール43のビトリファイドボンド砥石432に
よる研削部には切削水が供給されるが、ビトリファイドボンド砥石432は気孔率が70〜95容積%と非常に高いことから、切削水の供給量が上述した荒研削加工時と同様に例えば4リットル/分〜5リットル/分程度供給すると、切削水の影響を受けて部分的に欠けが発生し易い。そこで、本発明によるウエーハの研削方法においては、ウエーハの被研削面から0.5〜0.95tの厚さを研削除去する第1の研削工程と、該第1の研削工程によって研削除去されずに残存する0.5〜0.05tの厚さを研削除去する第2の研削工程とを含み、第1の研削工程において供給する研削水の単位時間当たりの供給量を第2の研削工程において供給する研削水の単位時間当たりの供給量より少量に設定する。
上述したウエーハの研削方法を実施するために、図1に示す研削装置は荒研削加工域Bおよび仕上げ研削加工域Cにそれぞれ隣接して配設された第1のハイトゲージ17aおよび第2のハイトゲージ17bを備えている。この第1のハイトゲージ17aおよび第2のハイトゲージ17bは、それぞれ荒研削加工域Bおよび仕上げ研削加工域Cに位置付けられたチャックテーブル6に保持された被加工物である半導体ウエーハ15の上面の高さ位置を検出し、その検出データを後述する制御手段に送る。
また、図1に示す研削装置は、研削加工前の被加工物である半導体ウエーハ15の厚さを測定する厚さ測定器18を備えている。この厚さ測定器18は、上記仮置きテーブル9に隣接して配設され仮置きテーブル9に載置された被加工物である半導体ウエーハ15の厚さを測定し、その測定データを後述する制御手段に送る。厚さ測定器18は、図示の実施形態においては例えば特開2001−203249号公報に記載されているように、被加工物に対して透過性を有するレーザー光線を仮置きテーブル9に載置された被加工物である半導体ウエーハ15の上面(裏面15b)に照射し、上面(裏面15b)と底面(表面15a)とで反射した反射光の干渉光を検出して厚さを計測する非接触方式の測定器が用いられている。このような非接触方式の厚さ測定器を用いることにより、半導体ウエーハ15の表面15aに保護テープ16が貼着されていても半導体ウエーハ15の厚さを正確に測定することができる。従って、保護テープ16の厚さにバラツキがあっても、このバラツキに影響されることなく半導体ウエーハ15の厚さを正確に測定することができる。
また、図1に示す研削装置は、図5に示すように研削水供給手段19を具備している。この研削水供給手段19は、研削水を送出する研削水送出ポンプ191を具備している。該研削水送出ポンプ191から送出された研削水は、配管192および193を介して上記荒研削ユニット3を構成する研削ホイール33のビトリファイドボンド砥石332による研削部(図示せず)および上記仕上げ研削ユニット4を構成する研削ホイール43のビトリファイドボンド砥石432による研削部に供給される。配管192、193にはそれぞれ流量調整弁194、195が配設されている。この流量調整弁194、195は、後述する制御手段によって研削水の流量が調整せしめられるようになっている。なお、配管193の先端にはビトリファイドボンド砥石432による研削部に向けて研削水を噴出するノズル196が装着されている。
図1に示す研削装置は、図6に示す制御手段10を具備している。制御手段10は、上記第1のハイトゲージ17aおよび第2のハイトゲージ17bや厚さ測定器18からの測定データに基づいて上記荒研削ユニット3や仕上げ研削ユニット4等を制御する。この制御手段10は、制御プログラムに従って演算処理する中央処理装置(CPU)101と、制御プログラム等を格納するリードオンリーメモリ(ROM)102と、演算結果等を記憶する記憶手段としての読み書き可能なランダムアクセスメモリ(RAM)103を、入力インターフェース104および出力インターフェース105を備えている。なお、ランダムアクセスメモリ(RAM)103は、後述する入力手段によって入力された被加工物である半導体ウエーハ15の仕上り厚さ(t1)データを格納する第1の記憶領域103aと、上記厚さ測定器18によって測定された研削加工前の被加工物である半導体ウエーハ15の厚さ(t2)データを格納する第2の記憶領域103bと、研削加工前の被加工物である半導体ウエーハ15の厚さ(t2)データと仕上り厚さ(t1)データに基づいて算出された目標研削量T(T=t2−t1)を格納する第3の記憶領域103cを備えている。このように構成された制御手段10の入力インターフェース104には、上記第1のハイトゲージ17aおよび第2のハイトゲージ17bや厚さ測定器18から測定データが入力されるとともに、入力手段20から上記仕上がり厚さ(t1)等のデータが入力される。一方、制御手段10の出力インターフェース105からは、上記荒研削ユニット3のサーボモータ34およびパルスモータ362、仕上げ研削ユニット4のサーボモータ44およびパルスモータ462、上記研削水供給手段19の流量調整弁194および195に制御信号を出力するとともに、上記ターンテーブル5およびチャックテーブル6の図示しない回転駆動機構等に制御信号を出力する。
図6に示す制御手段10は以上のように構成されており、以下半導体ウエーハ15の厚さを所定の仕上がり厚さに研削する制御手順について説明する。
上述した研削作業を開始するに際して、第1のカセット7に収容された半導体ウエーハ15の仕上り厚さ(t1)を入力手段20から制御手段10に入力する。制御手段10は、入力された半導体ウエーハ15の仕上り厚さ(t1)をランダムアクセスメモリ(RAM)103の第1の記憶領域103aに格納する。また、厚さ測定器18は、第1のカセット7から搬出され仮置きテーブル9に載置された研削加工前の半導体ウエーハ15の厚さ(t2)を測定し、その測定データを制御手段10に送る。制御手段10は、厚さ測定器18から送られた半導体ウエーハ15の厚さ(t2)をランダムアクセスメモリ(RAM)103の第2の記憶領域103bに格納する。次に、制御手段10は、第1の記憶領域103aに格納されている半導体ウエーハ15の仕上り厚さ(t1)と第2の記憶領域103bに格納されている研削加工前の半導体ウエーハ15の厚さ(t2)に基づいて目標研削量T(T=t2−t1)を算出し、算出した目標研削量Tをランダムアクセスメモリ(RAM)103の第3の記憶領域103cに格納する。このように研削加工前の半導体ウエーハ15の厚さ(t2)を測定し、予め設定された半導体ウエーハ15の仕上り厚さ(t1)から目標研削量Tを算出するので、研削加工前の半導体ウエーハ15の厚さ(t2)にバラツキがあっても正確な目標研削量Tを求めることができる。
以上のようにして仮置きテーブル9に載置された研削加工前の半導体ウエーハ15の厚さ(t2)を測定し目標研削量Tを求められたならば、仮置きテーブル9で厚さが測定された半導体ウエーハ15は被加工物搬入手段14によって被加工物搬入・搬出域Aに位置付けられたチャックテーブル6上に載置され吸引保持される。そして、半導体ウエーハを載置したチャックテーブル6を荒研削加工域Bに位置付け、上述したように半導体ウエーハ15に対して荒研削ユニット3によって荒研削加工が施される。この荒研削加工は、例えばチャックテーブル6を例えば300rpmの回転速度で回転し、荒研削ユニット3の荒研削ホイール33を1000〜72000rpmの回転速度で回転しつつ、研削送り手段36のパルスモータ362を正転駆動し荒研削ユニット3を例えば200〜300μm/分の研削送り速度で下降せしめる。この研削過程において、チャックテーブル6に保持され荒研削加工されている半導体ウエーハ15の被研削面である上面(裏面15b)の高さ位置が第1のハイトゲージ17aによって検出され、その検出信号が随時制御手段10に送られている。
制御手段10は、第1のハイトゲージ17aによって検出された高さ位置が所定値になるまで荒研削ユニット3による研削作業を実行する。荒研削ユニット3による荒研削加工は、例えば仕上り厚さ(t1)に仕上げ研削代(t3)(例えば50μm)を残した値(t1+t3)までを荒目標研削量T0(T0=t2−t1+t3)とする。従って、例えば上記厚さ測定器18によって検出された研削加工前の半導体ウエーハ15の厚さ(t2)が495μmの場合には、仕上り厚さ(t1)を例えば100μmとし仕上げ研削代(t3)を例えば50μmとすると、荒目標研削量T0は345μm(T0=495−100+50=345)となる。また、例えば上記厚さ測定器18によって検出された研削加工前の半導体ウエーハ15の厚さ(t2)が506μmの場合には、仕上り厚さ(t1)を例えば100μmとし仕上げ研削代(t3)を例えば50μmとすると、荒目標研削量T0は356μm(T0=506−100+50=356)となる。そして、制御手段10は、第1のハイトゲージ17aによって検出された高さ位置が研削開示時の値から上記荒目標研削量T0(上述した例においては345μmまたは356μm)低下した位置に達したら、研削送り手段36のパルスモータ362の正転駆動を停止し、更に逆転駆動して荒研削ユニット3を上昇せしめる。この結果、荒研削加工された半導体ウエーハ15の厚さは150μmとなる。なお、この荒研削加工時においては、研削ホイール33のビトリファイドボンド砥石332による研削部に研削水が例えば4リットル/分〜5リットル/分程度供給される。
上述したように荒研削ユニット3による荒研削加工を実施したならば、荒研削加工された半導体ウエーハ15を保持しているチャックテーブル6を仕上げ研削加工域Cに位置付け、上述したように半導体ウエーハ15に対して仕上げ研削ユニット4によって仕上げ研削加工が実施される。この仕上げ削加工は、ウエーハの被研削面から研削除去すべき厚さをtとした場合、ウエーハの被研削面から0.5〜0.95tの厚さを研削除去する第1の研削工程と、該第1の研削工程によって研削除去されずに残存する0.5〜0.05tの厚さを研削除去する第2の研削工程に分けて実施する。
ここで、仕上げ研削加工における第1の研削工程および第2の研削工程の目標研削量について説明する。
上述した荒研削加工が実施された半導体ウエーハ15の厚さは150μmまで研削されている。従って、半導体ウエーハ15の仕上り厚さ(t1)100μmの場合、仕上げ研削加工において研削除去すべきおける目標研削量(t)は50μmとなる。この仕上げ研削加工における第1の研削工程は上述したようにウエーハの被研削面から0.5〜0.95tの厚さを研削除去するので、例えば0.9tとすると第1の研削工程における目標研削量は45μmとなる。一方、この仕上げ研削加工における第2の研削工程は上述したように第1の研削工程によって研削除去されずに残存する厚さを研削除去するので、この実施形態における第2の研削工程の目標研削量は5μmとなる。
仕上げ研削加工における第1の研削工程は、例えばチャックテーブル6を例えば300rpmの回転速度で回転し、仕上げ研削ユニット4の仕上げ研削ホイール43を1000〜7200rpmの回転速度で回転しつつ、研削送り手段46のパルスモータ462を正転駆動し仕上げ研削ユニット4を10〜15μm/分の研削送り速度で下降せしめる。この研削過程において、チャックテーブル6に保持され仕上げ削加工されている半導体ウエーハ15の上面(裏面15b)の高さ位置が第2のハイトゲージ17bによって検出され、その検出信号が随時制御手段10に送られている。制御手段10は、第1の研削工程における研削開始時から第2のハイトゲージ17bによって検出された高さ位置が例えば45μmに達したら、研削送り手段46のパルスモータ462の正転駆動を停止する。なお、仕上げ研削加工における第1の研削工程においては、制御手段10は研削水供給手段19の流量調整弁195を制御して研削ホイール33のビトリファイドボンド砥石432による研削部に供給する研削水の供給量を2リットル/分〜3リットル/分に調整する。
上述したように仕上げ研削加工における第1の研削工程を実施したならば、例えば研削送り手段46のパルスモータ462の正転駆動を停止した状態(研削送り速度が零)、即ち仕上げ研削ユニット4の仕上げ研削ホイール43の研削送り方向への移動を停止した状態で、研削ホイール43を1000〜7200rpmの回転速度で回転せしめる第2の研削工程を実施する。この仕上げ研削加工における第2の研削工程においては、制御手段10は研削水供給手段19の流量調整弁195を制御して研削ホイール33のビトリファイドボンド砥石432による研削部に供給する研削水の供給量を4リットル/分〜5リットル/分に調整する。そして、上記第1の研削工程における研削開始時から第2のハイトゲージ17bによって検出された高さ位置が例えば50μmに達したら、研削送り手段46のパルスモータ462の正転駆動を停止し、更に逆転駆動して仕上げ研削ユニット4を上昇せしめる。以上にようにして研削加工を実施することにより、半導体ウエーハ15の表面15aに貼着される保護テープ16の厚さにバラツキがあっても、このバラツキに影響されることなく半導体ウエーハ15を所定の仕上り厚さ(t1)に研削することができる。
上述した実施形態においては、ウエーハの被研削面から0.5〜0.95tの厚さを研削除去する第1の研削工程は、研削ホイール33を10〜15μm/分の研削送り速度で移動するとともに、研削水の供給量を2リットル/分〜3リットル/分に調整するので、研削水の供給量が第2の研削工程における研削水の供給量(4リットル/分〜5リットル/分)より少ないため、切削水の影響が少なく、気孔率が70〜95容積%を有するビトリファイドボンド砥石432でも欠けの発生が低減する。一方、第2の工程においては、研削水の供給量を4リットル/分〜5リットル/分とし、研削送り速度が10〜15μm/分または零(0)であるため、ウエーハの被研削面の研削精度を確保することができる。
なお、上述した実施形態においては、ハイトゲージ17bを用いてウエーハの研削量を検出する例を示したが、ハイトゲージ17bを用いずにパルスモータ462に供給するパルス数をカウントして研削量を検出してもよい。
本発明によるウエーハの研削方法を実施する研削装置の斜視図。 図1に示す研削装置に装備される荒研削ユニットを構成する研削ホイールの斜視図。 図1に示す研削装置に装備される仕上げ研削ユニットを構成する研削ホイールを示すもので、本発明の一実施形態によるビトリファイドボンド砥石を備えた研削ホイールの斜視図。 本発明によるビトリファイドボンド砥石の他の実施形態を示す斜視図。 図1に示す研削装置に装備される研削水供給手段のブロック構成図。 図1に示す研削装置に装備される制御手段のブロック構成図。
符号の説明
2:装置ハウジング
3:荒研削ユニット
33:研削ホイール
36:研削送り手段
362:パルスモータ
4:仕上げ研削ユニット
43:研削ホイール
46:研削送り手段
462:パルスモータ
5:ターンテーブル
6:チャックテーブル
7:第1のカセット
8:第2のカセット
9:仮置きテーブル
10:
11:スピンナー洗浄手段
12:被加工物搬送手段
13:被加工物搬入手段
14:被加工物搬出手段
15:半導体ウエーハ
16:保護テープ
17a :第1のハイトゲージ
17b :第2のハイトゲージ
18:厚さ測定器

Claims (2)

  1. 超砥粒をビトリファイドボンドで結合するとともに無数の気孔を備え、該気孔は、独立気孔からなっていると共に該気孔の気孔率が75〜95容量%であるビトリファイドボンド砥石を装備した研削ホイールを用い、該研削ホイールを回転しつつ該ビトリファイドボンド砥石をウエーハの被研削面に接触させるとともに、該ビトリファイドボンド砥石による研削作用部に研削水を供給してウエーハを所定量研削除去するウエーハの研削方法であって、
    該研磨ホイールをウエーハの被研削面に対して垂直な研削送り方向に移動せしめる第1の研削工程と、第1の研削工程後に該研削ホイールの該研削送り方向への移動を停止するようにした該第2の研削工程とを含み、
    該第1の研削工程において供給する研削水の単位時間当たりの供給量は、該第2の研削工程において供給する研削水の単位時間当たりの供給量より少量に設定された、
    ことを特徴とするウエーハの研削方法。
  2. 該第1の研削工程の前にウエーハの被研削面を荒削りする荒削り工程を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載のウエーハの研削方法。
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