JP4663048B2 - カーボンブラックをベースとしかつシリカをベースとする強化充填材を含む加硫可能なゴム組成物を製造するための方法 - Google Patents

カーボンブラックをベースとしかつシリカをベースとする強化充填材を含む加硫可能なゴム組成物を製造するための方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、架橋可能な不飽和鎖ポリマー基材に分散されたカーボンブラックをベースとしかつシリカをベースとする強化充填材を含む加硫可能なゴム組成物を製造するための方法に関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、限定するつもりはないが、自動車タイヤ用のトレッドの製造に好ましい用途を有する加硫可能なゴム組成物を製造するための方法に関する。
【0003】
以下の説明および特許請求の範囲の記載において、架橋可能な不飽和鎖ポリマー基材という用語は、硫黄をベースとするシステムとの架橋(加硫)により、エラストマーについて典型的なあらゆる物理化学的特性および機械的特性を想定しうる天然または合成の架橋されていない(非架橋)ポリマーまたはポリマー混合物を示すために使用される。
【0004】
同様に、以下の説明および特許請求の範囲の記載において、架橋可能な不飽和鎖ポリマーという用語は、硫黄をベースとするシステムとの架橋(加硫)により、エラストマーについて典型的なあらゆる物理化学的特性および機械的特性を想定しうる天然または合成の架橋されていないポリマーを示すために使用される。
【0005】
【従来の技術】
自動車タイヤ製造分野において、達成すべきより困難な課題の1つは、絶えず、タイヤのローリング抵抗を低下させることであり、それと同時に、良好な摩耗抵抗;および、湿潤路面での満足するスキッド抵抗を達成することであり続けている。
【0006】
前述の課題を達成するための困難性は、本質的には、一方におけるタイヤのローリング抵抗および他方における摩耗抵抗および湿潤スキッド抵抗が、タイヤのトレッドを製造するために使用されるゴム組成物において使用される、慣用的には、主として、カーボンブラックによって構成される強化充填材の量によって全く反対の影響を受けるという事実により生ずる。
【0007】
タイヤのローリング抵抗を低下させるためには、事実、ゴム組成物に使用されるカーボンブラックをベースとする強化充填材の量を少なくする(例えば、ゴム組成物のポリマー基剤各100重量部ごとに70重量部以下とする)ことが望ましい:しかし、そうすることにおいて、タイヤの湿潤スキッド抵抗および摩耗抵抗の許容不能な値への低下が認められている。
【0008】
カーボンブラックを主強化充填材として含むゴム組成物のこの限界を幾分なりとも克服するために、従来技術において、例えば、ヨーロッパ特許出願EP 0 501 227に記載されているように、カーボンブラックをいわゆる“白色(white)”充填材、特に、シリカによって一部または完全に置換することが示唆されている。
【0009】
シリカをベースとする強化充填材は、摩耗抵抗および湿潤スキッド抵抗に有意な影響を及ぼさずに、タイヤのローリング抵抗を低下させうるが、それらの使用は、欠点がないわけではない。
【0010】
シリカによって全てまたは主として構成される強化充填材を使用することによって認められる第1の重大な欠陥は、ゴム組成物のポリマー基材内にシリカを均質および均一に分散させることの困難性を伴うことである。事実、これら強化充填材は、それら自体、タイヤの製造に使用されるゴム組成物のポリマー基材との親和性が乏しく、例えば、シリカをポリマーマトリックスと化学的に結合させうる適当なカップリング剤の使用を必要とする。
【0011】
しかし、このようなカップリング剤を使用する必要性は、カップリング剤の不可逆的な熱分解という条件により、ゴム組成物を混合し、機械的に加工する工程の間に達成することのできる最高温度に制限を賦すこととなる。
【0012】
しかし、前述の温度制限には、シリカのポリマーマトリックスへの最適分散について不可欠のまさしく機械的な混合作用の著しい低下を伴う。
シリカのゴム組成物中への不十分かつ非均質な分散の結果、ゴム組成物の帯域による物理的機械的特性の著しいむらおよび非均質性により、摩耗抵抗および湿潤スキッド抵抗特性の低下に本質的に関連する幾つかの欠点を生ずる。
【0013】
さらに詳しくは、主強化充填材としてシリカを含むゴム組成物より得られるトレッドの製造の間に、トレッドの著しい延伸困難性および寸法のむらが認められている。
【0014】
これら欠点以外に、タイヤトレッドの体積電気抵抗率のドラスチックな増大によって生ずるさらなる無視できない欠点、例えば、場合によっては、自動車の車体上に存在する電子装置を混乱させかねない静電的な電荷の望ましくない蓄積を伴い、高電位の急激な電気的放電を生ずることさえあり、運動部品;および、概して、ゴム組成物の製造に使用される混合装置の本体に対するシリカの摩耗作用は、メインテナンスコストの増大をまねき、これらもまた追加する必要がある。
【0015】
最後に、シリカによって完全または主として構成される強化充填材を使用することによって、完成タイヤの総体としての製造コストは、カーボンブラックと比較してシリカのコストがはるかに高く、シリカをゴム組成物のポリマーマトリックスに化学的に結合しうる適当かつ安価なカップリング剤を使用する必要性があるので、無視できないほど上昇することを認める必要がある。
【0016】
主強化充填材としてのシリカの使用に関する欠点を克服することを試みるために、ヨーロッパ特許出願EP-A-O 763 558によって開示されているように、カーボンブラックおよびシリカを使用して、それら充填材の各々を対応するポリマーに分散させることが示唆されてきた。
【0017】
このようにして、カーボンブラックを主として分散させた第1のポリマー相と、シリカを主として分散させた第2のポリマー相とを識別しうる実質的に不均質なゴム組成物が得られる。
【0018】
しかし、前述の特許出願の教示に従い操作することにより、その固有なポリマー相へのシリカの分散の困難性に関わる上記欠点は、特に、例えば、溶液SBR合成ゴムのような低分子量低粘度のポリマーが使用される場合、使用されるシリカの量が多くなることにより、なお悪くなる。
【0019】
不均質なシリカ分散液は、結果として、摩耗抵抗および湿潤スキッド抵抗特性;および、ゴム組成物の帯域ごとの物理的−機械的特性に悪影響を及ぼす。
さらに、その固有のポリマー相へのシリカの最適分散に不可欠の必要とされる機械的な混合作用は、また、この場合、混合装置の本体および可動部品に望ましくない著しい摩耗作用を生ずるので、メインテナンスコストが増大する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の基礎をなす技術的課題は、引用した従来技術を考慮しても満たされない欠点を含まないカーボンブラックをベースとしかつシリカをベースとする強化充填材を含む加硫可能なゴム組成物を製造するための方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、前述の技術的課題は、加硫可能なゴム組成物を製造するための方法において、それが、
(a) (i) 少なくとも第1の架橋可能な不飽和鎖ポリマー;
(ii) 第1のカーボンブラックをベースとする強化充填材;および、所望により、
(iii) 1種以上の非架橋成分を;
130℃〜180℃の温度で均質混合して、ムーニーの粘度70〜140Msを有する第1のゴム組成物を得、第1のカーボンブラックをベースとする強化充填材を実質的に均質となるように分散させ;
(b) 工程(a)より得られる第1のゴム組成物を100℃を上回らない温度まで冷却し;
(c) (i) 工程(b)より得られる第1の高粘度ゴム組成物;
(ii) 少なくとも第2の架橋可能な不飽和鎖ポリマー;
(iii) 第2のシリカをベースとする強化充填材;および、所望により、
(iv) 1種以上の非架橋成分を;
130℃〜180℃の温度で均質混合して、第2のゴム組成物を得、カーボンブラックをベースとしかつシリカをベースとする強化充填材を実質的に均質となるように分散させ;
(d) かくして得られる第2のゴム組成物を、加硫温度より低い温度で、適当な加硫システムとともに均質混合する;
各工程を含むことを特徴とする方法によって解決される。
【0022】
本発明に従えば、驚くべきことに、上記した一連の充填材の逐次配合工程を実施することにより、公知のタイプの方法に影響を及ぼす欠点、まず何よりも第1に、ゴム組成物のポリマー基材全体へのシリカの分散の困難性を生ずることなく、ゴム組成物の高分子マトリックス全体へ両強化充填材を均質に分散することが可能であることが見いだされた。
【0023】
さらに詳しくは、本発明の方法は、ヨーロッパ特許出願EP-A-0 763 558の教示とは明らかに対照的に、強化充填材の1つを優先的に組み込むはっきりとした高分子相をもはや特定することのできないゴム組成物を得ることが可能である。
【0024】
有益なことに、本発明の方法は、かくして、加硫されたゴム組成物の摩耗抵抗および湿潤スキッド抵抗の改良を達成可能とし、ゴム組成物の帯域による物理的−機械的均質性の改良を達成可能とする。
【0025】
以下の説明および特許請求の範囲の記載において、均質に分散された充填材という用語は、7μmを上回る寸法を有するゴム組成物凝集体内部に形成される充填材のパーセンテージが、好ましくは、1%より少ない充填材を示すために使用される。
【0026】
この場合に、加硫したゴム組成物の最適な摩耗抵抗特性が認められた。
本発明の方法は、また、有益にも、上記したヨーロッパ特許出願EP-A- 501 227によって教示されているような、ゴム組成物の製造の間に凝集物の投影平均面積の低い値(7,000−8,400nm2)を達成するために適合したありとあらゆる特別の注意を払わなくとも、充填材、とりわけ、シリカをベースとする充填材の最適な分散を達成することが可能である。
【0027】
本出願人は、本発明の範囲を限定する意図はないが、このような有益な特性が達成されるのは、第1のポリマーとカーボンブラックをベースとする強化充填材とを均質に混合することによって得られる第1の高粘度ゴム組成物が、続く第2のシリカをベースとする充填材の配合工程において、ゴム組成物のレオロジー特性を適当に改質しうる1種の高粘度高分子“分散剤”として作用し、従来技術の製造方法で達成可能な剪断応力と比較してより高い剪断応力をゴム組成物に付与可能とすると考える。
【0028】
好ましくは、本発明に従う方法の工程(a)は、成分の混合物(少なくとも第1の架橋可能な不飽和鎖ポリマー;第1のカーボンブラックをベースとする強化充填材;および、所望により、1種以上の非架橋成分)に、130℃〜180℃の温度、好ましくは、160℃のオーダーの温度を達成するように、機械的仕事を与えることによって実施される。
【0029】
有益には、前述の高い混合温度は、それ自体公知の閉鎖混合装置内で容易にかつ迅速に到達させることができ、Banburyに関する技術において示される。このような装置において、事実、製造されつつあるゴム組成物は、その著しい粘弾性により、その温度を上記した値の範囲内に急速に上昇させる機械的仕事を受ける。
【0030】
有益なことに、上記タイプの混合装置を使用すると、2〜6分間の間、好ましくは、約4分の間に、前記有益な特性を達成することもまた可能となる。
この第1の混合工程を完了するために必要とされる時間は、第1のゴム組成物の成分および選択される混合装置の構造および機能特性に依存し、上記値の範囲内で変化させることができる。
【0031】
本発明に従えば、第1のカーボンブラックをベースとする強化充填材を実質的に均質に、ISO標準289−1に従い測定してムーニー(Mooney viscosity)の粘度70〜140Ms、好ましくは、100〜120Msを有するように分散させた第1のゴム組成物が、かくして、得られる。
【0032】
このようなゴム組成物は、有益なことに、それが、上記したように、100℃以下に冷却される限り、第2のシリカをベースとする強化充填材を配合する工程で高い剪断応力を加えることを可能としうる有効な高分子分散剤を構成する。
【0033】
好ましくは、前記分散作用は、第1のゴム組成物を80℃を上回らない温度、なおさらに好ましくは、40℃を上回らない温度に第1のゴム組成物を冷却することによって最適化される。
【0034】
好ましくは、本発明に従う方法の(c)工程は、成分の混合物(第1の高粘度ゴム組成物;第2のシリカをベースとする強化充填材;少なくとも1種の第2の架橋可能な不飽和鎖ポリマー;および、所望により、1種以上の非架橋成分)に130℃〜180℃の温度、好ましくは、150℃のオーダーの温度を達成するために機械的仕事を与えることによって実施される。
【0035】
有益なことに、上記タイプの混合装置を使用すると、2分〜6分間の時間間隔、好ましくは、約4分内で、前述の有益な特性を達成することもまた可能である。
【0036】
この第1の混合工程を完了するために必要とされる時間は、第1のゴム組成物の成分および選択した混合装置の構造的かつ機能的特性に依存し、上記の範囲の値内で変化させることができる。
【0037】
本発明の好ましい実施態様に従い、混和可能なポリマーを使用すると、有益なことに、強化充填材のみならず、高分子相をまた均質に分散させることが可能であり、実質的に均質な最終ゴム組成物を得ることが可能である。
【0038】
本発明の目的のためには、ゴム組成物は、それが、加硫後、それ自体公知の実験法に従い測定される曲線tanδ対温度を示し、ゴム組成物のポリマー基材を構成する純粋なポリマーのガラス転移温度(Tg)の間の平均重量温度に近いピークを有する時に、実質的に均質であると考える。
【0039】
好ましくは、本発明の方法において、カーボンブラックをベースとする強化充填材を組み込む第1の高粘度ゴム組成物とその他の成分との間の均質混合の工程(c)は、第2のゴム組成物内に30〜70部の第1の架橋可能な不飽和鎖ポリマーと70〜30部の第2の架橋可能な鎖ポリマーを有するように実施される。
【0040】
なおさらに好ましくは、前記ポリマー間の重量比は、35/65〜50/50である。
本発明のさらなる実施態様において、かつ、最も安定なように、第2のシリカをベースとする強化充填材をゴム組成物の高分子マトリックスに結合させるためには、本プロセスは、工程(c)より得られる第2のゴム組成物を少なくとも1種のシリカカップリング剤とともに130℃〜165℃の温度で均質混合するさらなる工程(e)を含む。
【0041】
この実施態様において、均質混合するさらなる工程(e)は、カップリング剤の不可逆的な熱分解の条件で、形成される第2のゴム組成物に与えられる機械的仕事が165℃を上回らない温度を達成するように調整する必要がある。
【0042】
好ましくは、ゴム組成物の温度は、ゴム組成物に加えられるシリカをベースとする強化充填材の量に依存し、130℃〜165℃の範囲内で調節され、なおさらに好ましくは、約150℃のオーダーで調節される。
【0043】
本発明に従えば、第1のカーボンブラックをベースとする強化充填材の少なくとも50%は、好ましくは、本方法の前記工程(a)の間に配合され、他方、残る50%は、工程(c)、工程(d)および工程(e)の少なくとも1つの工程でで配合される。
【0044】
このようにして、ゴム組成物への任意の液体成分の配合が促進され、それによって、ゴム組成物のより良好な分散およびプロセス時間の有益な短縮が達成される。
【0045】
好ましくは、および、第1のゴム組成物のシリカに関する分散作用を最大とするために、第1のカーボンブラックをベースとする強化充填材の少なくとも70%、なおさらに好ましくは、100%は、本方法の前記工程(a)で配合される。
【0046】
第2のシリカをベースとする強化充填材に関しては、それをゴム組成物に配合するための方法は、前記充填材の合計量に応じて変更することができる。
事実、ゴム組成物に配合されるシリカの量が50phrを上回る時、2つ以上の別個の工程におけるシリカの添加および均質混合は、シリカのポリマー基材全体への分散を著しく改良する。
【0047】
この場合、第2のシリカをベースとする強化充填材の少なくとも50%は、好ましくは、本方法の前記工程(c)の間に配合され、他方、残る50%は、工程(a)、工程(d)および工程(e)の少なくとも1つの工程で配合される。
【0048】
これとは別に、ゴム組成物に配合されるシリカの量が50phrより少ない場合、第2のシリカをベースとする強化充填材の少なくとも70%、さらに好ましくは、100%を本方法の前記工程(c)で配合することが可能である。
【0049】
本発明に従えば、シリカを配合しかつ均質に分散させ、シリカにカップリング剤に配合しかつシリカと反応させる前記工程(c)および工程(e)は、好ましくは、各工程の終了時にゴム組成物を取り出し、冷却した後に、異なる回数および/または異なる装置で実施するのがよい。
【0050】
これとは別に、上記混合工程を単一の混合装置(Bonburyまたは二軸押出機)で実施することも可能であるが、しかし、前記工程の終了時において、ゴム組成物の温度を前述の範囲の値(130℃〜165℃)とし、カップリング剤のポリマー基剤との望ましくない相互作用を誘発させることなく、カップリング剤を配合する工程(e)を最適化するようにゴム組成物の温度を100℃〜130℃の値まで低下させるよう注意を払う。
【0051】
本発明のさらなる態様において、有益なことに、前記混合工程(c)および(e)を同時に実施し、前記工程(c)の間に、第1のゴム組成物中で、全てのシリカをベースとする強化充填材をカップリング剤とともに配合することにより、プロセスの作業工程の総数および製造時間を減縮することもまた可能である。
【0052】
この場合、均質混合工程(c)は、前述のカップリング剤の不可逆的な熱分解の条件で、形成される第2のゴム組成物に付与される機械的仕事が165℃を上回らない値を達成するように調整する必要がある。
【0053】
本発明の好ましい実施態様において、カーボンブラックをベースとする第1の強化充填材の合計量は、最終加硫ゴム組成物の体積電気抵抗率が、UNI標準4288−72に従い測定して、1×10-6Ω×cm以下となるようにする必要がある。
【0054】
このようにして、有益なことに、本発明のゴム組成物で、実質的に静電的な電荷の蓄積を生ずることのないような抵抗率特性を有する自動車用トレッドを製造することが可能である。
【0055】
このような抵抗率値を保証するためには、カーボンブラックの量は、使用されるブラックのタイプに応じて、前記少なくとも第1および第2のポリマーを含めたポリマー基材の各100重量部当たり15重量部〜75重量部(phr)の間であり、なおさらに好ましくは、30〜50phrの間である。
【0056】
本発明のさらに好ましい実施態様において、高い電気伝導率を有するそれ自体公知のカーボンブラック、例えば、3MによってENSACOTMの商標名の下に市販されているカーボンブラックを使用して、カーボンブラックの量を15−30phrに減少させることも可能である。
【0057】
当分野で慣用的に使用され、本発明のゴム組成物に使用可能なカーボンブラック類のタイプは、ASTM標準に従い、名称N110、N121、N220、N231、N234、N242、N239、N299、N315、N236、N330、N332、N339、N347、N351、N358およびN375の下に示されるものである。
【0058】
本発明の好ましい実施態様に従えば、さらに、“構造”;または、粒子の凝集度および表面積の特別な特性を有するカーボンブラックをベースとする強化充填材の使用により、湿潤スキッド抵抗、摩耗抵抗および体積電気抵抗率の特性を満足する値より高く保ちつつ、ローリング抵抗の低い長所を有するように、カーボンブラックの量を少なくすることが可能である。
【0059】
構造に関しては、カーボンブラックが高度な“構造”(high structure)(すなわち、高い凝集度)を有する時に、湿潤スキッド抵抗および摩耗抵抗の点で最適な結果が達成されることが見いだされたが、しかし、この高度な構造は、むしろ容易に分解可能であり、より構造の単純な凝集体を生ずる。
【0060】
実験的見地から、これら特性は、特に立体的に阻害された分子、すなわち、ジブチルフタレートを吸収するカーボンブラックの能力に相関づけることができ;それぞれ、破壊を調節する適当な機械的作用後の前記吸収能の低下に相関づけることができる。
【0061】
このような相関に基づき、カーボンブラックの“構造”がより高度であるほど、ジブチルフタレートの吸収値(以下におけるDBP吸収)は大きく、他方、分解する傾向がより著しいほど、破壊調整に従うDBP吸収値の低下(以下のΔDBP)はより大きい。
【0062】
本発明の高度構造カーボンブラックは、標準ISO4656−1に従い測定して、少なくとも110ml/100gに等しいDBP吸収値を示し、標準ISO6894に従い圧縮後に測定して、少なくとも25ml/100gに等しいDBP吸収値における低下(ΔDBP)を示す。
【0063】
好ましくは、カーボンブラックは、ISO4656−1に従い測定したDBP吸収値130〜160ml/100gを有し、ISO6894に従い圧縮した後に測定したDBP吸収値の低下(ΔDBP)30〜50ml/100gを有する。
【0064】
表面積については、湿潤スキッド抵抗および摩耗抵抗に関して、本発明のカーボンブラックが限られた表面積を有する時、すなわち、それが本質的にむしろ粗い粒子によって構成される時、最適な結果を得ることができることが見いだされた。
【0065】
実験的見地から、カーボンブラック粒子の表面積特性は、特定の分子、セチル−トリメチルアンモニウムブロマイド、すなわち、CTABの吸収能に相関づけることができる。
【0066】
このような相関に基づき、カーボンブラックの表面積が大きいほど、セチル−トリメチルアンモニウムの吸収値は大きい。
表面積と粒子寸法との逆比例関係により、カーボンブラック粒子が小さいほど、結果としてまたCTAB吸収値は大きくなる。
【0067】
好ましくは、本発明の高度構造カーボンブラックは、−標準ISO6810(以下のCTAB吸収)に従い、セチル−トリメチルアンモニウムの吸収に基づき決定される−表面積120m2/g以下を有し、なおさらに好ましくは、70〜100m2/gを有する。
【0068】
本発明の好ましい実施態様において、第2のシリカをベースとする強化充填材の総量は、前記少なくとも1つの第1および第2のポリマーを含むポリマー基材の各100重量部当たり20〜80重量部(phr)である。
【0069】
好ましくは、第2のシリカをベースとする強化充填材の総量は、前記第1および第2の強化充填材の合計が、50〜100phrであり、なおさらに好ましくは、60〜90phrとなる量である。
【0070】
なおさらに好ましい実施態様において、第1のカーボンブラックをベースとする強化充填材と第2のシリカをベースとする強化充填材との間の重量比は、30/70〜60/40である。
【0071】
本発明の目的に対し、第2のシリカをベースとする強化充填材は、それ自体公知のタイプのもの、例えば、ヨーロッパ特許出願EP-A-0 501 227に開示されたタイプのものであってもよい。
【0072】
好ましくは、第2のシリカをベースとする強化充填材は、BET表面積100〜300m2/gを有し、ISO6810に従うCTAB吸収により測定した表面積100〜300m2/gを有し、ISO4656−1に従い測定したDBP吸収値150〜250ml/100gを有する.
本発明の記載を単純化するだけの目的に対し、本発明のシリカをベースとする充填材は、以下、シリカという用語で示す。
【0073】
上述したように、本発明の方法は、好ましくは、第2のゴム組成物に、シリカと化学的に反応し、第2のゴム組成物の加硫の間に、シリカをポリマー基材と結合させる適当なカップリング剤を配合する工程を含む。
【0074】
好ましくは、シリカカップリング剤は、ゴム組成物に、第2のシリカをベースとする強化充填材の各100重量部当たり4〜15重量部の量添加される。
好ましいカップリング剤は、シリカをベースとするものであり、かつ、以下の構造式:
(R)3−Si−Cn2nX (I)
[式中、Rは、1個〜4個の炭素原子または塩素原子を含むアルキルまたはアルコキシ基であり;nは、1〜6の整数であり;Xは、−Sim−Cn2n−Si−(R)3、ニトロソ基、メルカプト基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、イミド基、1原子の塩素またはSmY基{ここで、Yは、以下の官能基:
【0075】
【化1】
Figure 0004663048
【0076】
(式中、Rおよびnは、上記定義した通りであり、mは、1〜6の整数である。)のうちから選択される。}から選択される基である。]
を有する。
【0077】
それらのうち、シランカップリング剤Si69[ビス(3−トリエトキシシリル−プロピル)テトラスルフィド](DEGUSSA)のようなもの、または、中程度の量の不活性充填材(例えば、カーボンブラックまたは同様のシリカ)が、ゴム組成物へのその組み込みを促進するために特に好ましく、あるいは、Z50S(Degussa)(50%カーボンブラック、50%シラン)が特に好ましい。
【0078】
本発明に従えば、前記第1および第2の架橋可能な不飽和鎖ポリマーの少なくとも1つは、スチレン/ブタジエン乳化重合したコポリマー類、スチレン/ブタジエン溶液重合したコポリマー類、cis1,4−ポリイソプレン、天然ゴム、cis1,4−ポリブタジエン、スチレン/イソプレンコポリマー類、3,4−ポリイソプレン、イソプレン/ブタジエンコポリマー類、中ビニルポリブタジエン、スチレン/イソプレン/ブタジエンターポリマー類、ブチルゴム、ポリクロロプレン、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー類、エチレン/プロピレン/ブタジエンターポリマー類およびこれらの混合物を含む群より選択される。
【0079】
本発明の実施態様に従えば、前記工程(a)は、前記少なくとも第1の架橋可能な不飽和鎖ポリマー、第1のカーボンブラックをベースとする強化充填材、および、所望により、1種以上の非架橋成分を、天然ゴム;および、乳濁液で得られる1,4−ポリブタジエン、スチレン/ブタジエンコポリマー;1,4−ポリイソプレンを含む群から選択される第3のポリマーと均質混合することによって実施される。
【0080】
本発明の好ましい実施態様において、第1の架橋可能な不飽和鎖ポリマーは、少なくとも1種の有機金属基を含む開始剤の存在で、少なくとも1種の共役ジオレフィンと少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素とを重合させ、続いて、コポリマーの有機金属基と反応性の官能基を含み、かつ、開始剤より誘導される化合物と、かくして得られた中間体コポリマーを反応させることにより改質して得ることの可能な改質コポリマーであり、この改質コポリマーは、ガラス転移温度0℃〜−80℃を有し、改質コポリマーの合計重量基準で、5重量%〜50重量%のビニル芳香族炭化水素の合計量を含む。
【0081】
本発明の好ましい実施態様において、第2の架橋可能な不飽和鎖ポリマーは、代わりに、少なくとも1種の共役ジオレフィンの少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素との重合によって得ることの可能なコポリマーであり、前記第2のポリマーは、ガラス転移温度0℃〜−80℃を有し、かつ、前記第2のポリマーの合計重量基準で、5重量%〜50重量%の量のビニル芳香族炭化水素を含む。
【0082】
本発明の目的に対して、前記第1および第2のコポリマー類で使用するのが好ましい共役ジオレフィンは、1,3−ブタジエン;イソプレン;2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン1,3−ペンタジエン1,3−ヘキサジエンおよびそれらの混合物を含む群から選択され;他方、使用するのが好ましいビニル芳香族炭化水素は、スチレン、α−メチル−スチレン、p−メチル−スチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルピリジンおよびそれらの混合物を含む群から選択される。
【0083】
好ましくは、前記第1および第2のコポリマーは、共役ジオレフィンをビニル芳香族炭化水素と溶液で重合することによって得られる。なおさらに好ましくは、前記第1および第2のコポリマーは、それ自体公知の方法に従い、1,3−ブタジエンおよびスチレンを溶液中で重合することによって得られる。
【0084】
特に好ましい実施態様において、前記第1および第2のコポリマーの少なくとも1つは、いわゆる“高ビニル(high vinyl)”タイプ、すなわち、共役ジオレフィンの少なくとも50重量%が、1,2−形で、ビニル芳香族炭化水素と、オレフィン画分の総量に対し30重量%〜70重量%の量の1,2−構造を有するオレフィン画分を含むように重合する。
【0085】
以下の説明および特許請求の範囲の記載において、1,2−重合という用語は、オレフィン画分がポリマー鎖と結合する側鎖ビニル基−CH=CH2の予め決められた量を含むようにコポリマーの形成が達成される、共役ジオレフィンとビニル芳香族炭化水素との間の特別の立体特異的な重合法を示すために使用される。
【0086】
共役オレフィン類の1,2−重合法は、当分野周知であり、例えば、米国特許3,451,988および4,264,753に記載されている。
さらに詳しくは、第1のコポリマーがいわゆる“高ビニル”タイプである時、ゴム組成物の均質性の最適特性;および、一方におけるローリング抵抗と、他方における良好な摩耗抵抗および適切な湿潤スキッド抵抗との間の最良の妥協が見いだされた。
【0087】
この結果は、従来技術がカーボンブラックそれ自体とではなく、シリカをベースとする充填材、すなわち、カーボンブラックを置換するために代わりうる充填材とともに使用することを暗示しているもののうちに高ビニルポリマーが入ると考えた場合には、ますます驚きである。
【0088】
これに関しては、例えば、論文“Comparative of the Elastomer Filler Interaction between Chemically Modified and Emulsion SBR with Carbon Black and Silica Fillers”,by Ayala et al., delivered at the meeting of the American Chemical Society, Rubber Division held in Cleveland, Ohio, U.S.A., from 17 to 20 October 1995参照。
【0089】
前記論文に記載された実験より、事実、ポリマー基材中の高含量のビニル基は、カーボンブラックを含むゴム組成物のローリング抵抗に悪影響を及ぼし、ローリング抵抗は、許容不能な値まで低下すると推測することができる(例えば、表VII参照)。
【0090】
好ましくは、本発明の前記第1および第2の共役ジオレフィン/ビニル芳香族炭化水素コポリマーは、重合に使用されるジオレフィンの総量に対して60重量%〜70重量%の量の共役ジオレフィンを1,2−形で重合させることによって得られる。
【0091】
好ましくは、さらに、前記第1および第2の共役ジオレフィン/ビニル芳香族炭化水素コポリマーは、共役ジオレフィンの総量および同炭化水素の総量に対して25重量%以下の量のビニル芳香族炭化水素を使用することによって得られる。
【0092】
この結果、生成するコポリマーのオレフィン画分は、好ましくは、同コポリマーの総量に対して40重量%〜60重量%の範囲の量の1,2−構造を含む。
以下の記載および特許請求の範囲の記載において、1,2−構造という用語は、以下の繰り返し単位:
【0093】
【化2】
Figure 0004663048
【0094】
によって形成される共役ジオレフィン/ビニル芳香族炭化水素コポリマーのオレフィン部分の一部を示すために使用する。
有益なことに、タイヤのローリング抵抗は、ゴム組成物の製造法において、前記第1の改質コポリマーを使用することにより、適切に減少させることができる。
【0095】
1つの実施態様において、第1の改質コポリマー共役ジオレフィン/ビニル芳香族炭化水素は、いわゆる“停止させた(terminated)”コポリマーである。
本記載において、“停止させた”コポリマーという用語は、有機金属開始剤の存在で共役ジオレフィンをビニル芳香族炭化水素と重合反応させ;置換イミン類;錫ハロゲン化化合物、以下の構造式:
【0096】
【化3】
Figure 0004663048
【0097】
[式中、R1およびR2は、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アミノ、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ基であり;mおよびnは、1〜10の整数である。]
を有する少なくとも1つのベンゾフェノン化合物を含む群より選択される適当な連鎖停止化合物と、個々に、または、相互に任意に混合して逐次反応させることによって得ることの可能なコポリマーを示すために使用する。
【0098】
使用するのに好ましい置換イミン類は、以下の構造式:
【0099】
【化4】
Figure 0004663048
【0100】
[式中、R1およびR2は、H;アルキル、シクロアルキル、アリール、ジアルキルアミノアリール、アラルキル基;および、非プロトン性O−、N−およびS−含有アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル基を含む群から選択され;R3は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ジアルキルアミノアリール、アラルキル基;および、非プロトン性O−、N−およびS−含有アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアラルキル基を含む群から選択され;前記基R1、R2およびR3の少なくとも1つは、前記基R1、R2およびR3が同時に除かれるアリール基であるジアルキルアミノアリール基である。]
を有するイミン類を含む群から選択される。
【0101】
本発明の目的に適したベンゾフェノン化合物は、例えば、米国特許4,550,142に記載されているような、当分野で公知の方法によって製造することができる。
本発明の目的に対し、使用するのが好ましいベンゾフェノン化合物は:ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエトキシベンゾフェノン、3,4−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、3,3’−ジクロロベンゾフェノン、4−メチル−4’−メトキシベンゾフェノン、2,2’,3,3’−テトラメチルベンゾフェノン、2,2’−ジクロロベンゾフェノであり、単独であっても、相互混合物であってもよい。
【0102】
前述のベンゾフェノン化合物のうち、少なくとも1つのアミノ、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ基をベンゼン環の1つまたは双方に有するものが特に好ましい。
【0103】
本発明の方法において有用な停止させたコポリマーは、例えば、ヨーロッパ特許出願EP 0 451 604に記載されているように、当分野公知の方法に従い製造することができる。
【0104】
本発明のこれとは別の実施態様において、第1の改質されたコポリマー共役ジオレフィン/ビニル芳香族炭化水素は、いわゆる“カップリングさせた”コポリマーである。
【0105】
本説明において、“カップリングさせた”コポリマーという用語は、有機金属開始剤の存在で、共役ジオレフィンをビニル芳香族炭化水素と重合させ;続いて、かくして得られるコポリマーの分子量を増大するという主たる目的で、錫ハロゲン化された化合物を含む化合物とそのポリマー鎖をカップリングさせることによって得ることの可能なコポリマーを示すために使用される。
【0106】
使用するのが好ましいカップリングされたコポリマーは、例えば、米国特許4,742,124によって開示された方法のような当分野公知の方法に従い製造することができる。
【0107】
停止させたコポリマーの場合においても、カップリングさせたコポリマーの場合においても、有機金属開始剤は、好ましくは、多官能性有機リチウム開始剤;多官能性モノマーと会合した単官能性有機リチウム開始剤;および、それらの混合物を含む群から選択される。
【0108】
他方、使用するのが好ましい錫ハロゲン化された化合物は、ジメチルジクロロ錫、ジブチルジクロロ錫、四塩化錫、トリブチルクロロ錫、ブチルトリクロロ錫、メチルトリクロロ錫、二塩化錫およびこれらの混合物を含む群から選択される。
【0109】
タイヤのローリング抵抗のさらなるかつ有益な低下は、ゴム組成物に、改質カップリングさせかつ停止させたコポリマー、すなわち、ハロゲン化された錫化合物とカップリングさせた後に得られるコポリマーを適当な連鎖停止化合物、例えば、前述した好ましい化合物の1つと反応させたコポリマーを使用することによって達成することができる。
【0110】
このような場合、以下の説明でさらに明らかとなるように、ローリング抵抗の低下に関する最良の結果が認められる。
本発明の1つの実施態様において、第2のコポリマーは、化学的かつ構造的特性;および、それ自体公知の製造技術、例えば、ヨーロッパ特許出願EP-A-0 447 066によって開示された製造技術を有するシラン基Si−O−によって適当に改質されたコポリマーであってもよい。
【0111】
この場合、シリカカップリング剤は、少量使用し、または、所望とあらば、全く除くのがよい。
好ましくは、シラン基を含む第2のコポリマーは、ガラス転移温度−50℃以上を有し、有機金属開始剤の存在で、1,3−ブタジエンまたは1,3−ブタジエン/スチレンコポリマーを以下の構造式:
−Si−(OR)−R’4−i−j (IV)
[式中、Xは、塩素、臭素およびヨウ素を含む群より選択されるハロゲン原子であり;RおよびR’は、独立に、アルキル基;アリール基;ビニル基;または、1個〜20個の炭素原子を有するハロゲン化されたアルキル基であり;jは、1〜4の整数であり;iは、0〜2の整数であり;iとjとの合計は、2〜4の範囲である。]
を有するシラン化合物と重合させることによって得ることの可能なガラス転移温度−50℃以上を有するシラン基を含むコポリマーである。
【0112】
好ましくは、前述のシラン化合物は、非加水分解性のOR基を含み、すなわち、OR基は、4個〜20個の炭素原子を有する非加水分解性のアルコキシ、アリールオキシまたはシクロアルコキシ基である。好ましくは、OR基中のR基は、3個の炭素原子がα−位で炭素原子に結合する炭化水素残基であり、炭化水素残基は、炭素原子;または、芳香族炭化水素残基、例えば、フェニルまたはトリル基に対し、β−位で結合する1個以上の炭素原子を有する。
【0113】
本発明の目的に対し適当なアルコキシ基含有シラン化合物のうち好ましいものは、テトラキス(2−エチルエトキシ)シラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリス(2−エチルエトキシ)シラン、エチルトリス(2−エチルエトキシ)シラン、エチルトリスフェノキシシラン、ビニルトリス(2−エチルヘキシルエトキシ)シラン、ビニルトリフェノキシシラン、メチルビニルビス(2−エチルヘキシルエトキシ)シラン、エチルビニルビフェノキシシラン、モノメチルトリフェノキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、モノエチルトリフェノキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン等である。
【0114】
本発明の目的に対し適当なアリールオキシ含有シラン化合物のうち、好ましいものは、テトラフェノキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、モノエチルトリフェノキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン等である。
【0115】
ハロゲン原子と、4個の炭素原子を有する非加水分解性OR基とを含む適当なシラン化合物は、tri−t−ブトキシ−モノクロロシラン、ジクロロ−ジ−t−ブトキシシラン、ジ−t−ブトキシ−ジヨードシラン等を含み、他方、ハロゲン原子と、5個の炭素原子を有する非加水分解性OR基とを含む適当なシラン化合物は、トリフェノキシモノクロロシラン、モノクロロメチルジフェノキシシラン、モノクロロメチルビス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、モノブロモエチルジフェノキシシラン、モノブロモビニルジフェノキシシラン、モノブロモイソプロペニルビス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、ジトリルオキシジクロロシラン、ジフェノキシジヨードシラン、メチルトリス(2−メチルブトキシ)シラン、ビニルトリス(2−メチルブトキシ)シラン、ビニルトリス(3−メチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、エチルトリフェノキシシラン、ビニルトリス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、ビニルトリフェノキシシラン、メチルビニルビス(2−エチルヘキシルオキシ)シラン、エチルビニルジフェノキシシラン等である。
【0116】
ハロゲン原子とORアリールオキシ基とを含む適当なシラン化合物としては、トリフェノキシモノクロロシラン、モノクロロメチルジフェノキシシラン、モノブロモエチルジフェノキシシラン、ジトリルジクロロシラン、ジフェノキシジヨードシラン等が挙げられる。
【0117】
これらシラン化合物のうち、iが0または1である化合物、特に、テトラフェノキシシランおよびモノメチルトリフェノキシシランが好ましい。
本発明の目的に対し、シラン化合物は、単独または相互混合物で使用することができる。
【0118】
本発明に従えば、ゴム組成物に必要とされる機械的特性;および、加工特性を付与するために必要とされる非架橋成分は、前述の混合工程(a)、(c)および(e)の1つまたは幾つかの加工工程に小さく分割してゴム組成物に配合することができる。
【0119】
かくして、本発明の1つの実施態様において、前述の1種以上の非架橋成分の少なくとも一部をシリカカップリング剤、および、所望により、予め決められた量の第1のカーボンブラックをベースとする強化充填材および/または予め決められた量の第2のシリカをベースとする強化充填材とともに工程(e)より得られる第2のゴム組成物と均質混合することができる。
【0120】
前述の1種以上の非架橋成分をシリカカップリング剤とともにゴム組成物に配合する場合、前記非架橋成分がカップリング剤と反応しうる物質、例えば、酸化亜鉛および抗酸化剤を含まないことが好ましい。
【0121】
本発明のさらなる変形例において、前記1種以上の非架橋成分の少なくとも一部は、工程(d)で、加硫温度より低い温度で、加硫システムとともに第2のゴム組成物と均質混合することができる。
【0122】
それ自体公知の非架橋成分は、強化充填材、例えば、可塑剤、作業助剤、抗酸化剤、老化遅延剤等を含む群より選択される。
なお、そのうえ、これら各成分は、ゴム組成物の機械的特性および加工性の最適値を得るために、当業者によって容易に決定可能な量および量比で選択される。
【0123】
ゴム組成物は、また、その中に、適当な加硫剤を、恐らくかつ好ましくは、適当な活性剤および加硫促進剤とともに添加および配合することによって加硫可能とされる。
【0124】
上記したように、使用するのに最も有益な加硫剤は、硫黄または硫黄−含有分子(硫黄ドナー)であり、当業者周知の促進剤および活性剤とともに使用される。
【0125】
加硫活性剤のうち、酸化亜鉛およびステアリン酸をその中に添加することにより、ゴム組成物中で直接形成されるステアリン酸亜鉛が好ましい。
任意の促進剤および活性剤を含む加硫剤は、シリカおよびそのカップリング剤を配合する先の工程を参考として、上記した方法に従いゴム組成物を均質混合に賦すことによってゴム組成物中に配合される。
【0126】
ゴム組成物の早すぎかつ望ましくない加硫を防止するためには、ゴム組成物の温度を、加硫を引き起こす値より低い値、好ましくは、100℃〜110℃の値の範囲内に調整する必要がある。
【0127】
温度のより良好な調整を達成するために、この場合、加硫剤を添加する前に、カップリング剤を配合した後、望ましくは、ゴム組成物を適当に冷却するために、混合装置からゴム組成物を取り出すのが好ましい。
【0128】
この工程において、加硫システム(加硫剤、促進剤および活性剤)のゴム組成物全体に及ぶ均質な分散を達成するためには、2.5〜5分間の混合時間で十分であることが見いだされている。
【0129】
本発明のさらなる特性および利点は、本発明に従い加硫可能なゴム組成物を製造するための方法を実現する若干の例についての以下の説明から明らかとなるであろう。以下の説明は、本発明を単に例示するだけのものであり、本発明に従う好ましいゴム組成物および2つの比較ゴム組成物のtangδ対温度の曲線を示す添付の図面を参照とする。
【0130】
【実施例】
実施例 1(本発明)
約40rpmの速度で回転させたPOMINI社の閉鎖ローターミキサー(Banbury)モデル11D内に、以下の成分を順次装填した:
−S−SBR−A=溶液中で製造した停止かつカップリングさせたブタジエン−スチレンコポリマーであり、約57重量%に等しい1,2−構造の含量および21重量%に等しいスチレン含量を有し、商標名NS116TM(日本ゼオン)の下に市場で入手可能;
−高度のcis−1,4−ポリブタジエンであり、商標名EUROPRENETM NEOCIS(Enichem)の下に市場で入手可能;
−酸化亜鉛;
−カーボンブラック=Vulcan 1380TM(Cabot Corporation)。
【0131】
使用したカーボンブラックの構造および表面積特性は、以下の通りであった:
−DBP(ISO4656−1);143ml/100g;
−圧縮されたDBP(ISO6894):105ml/100g;
−CTAB(ISO6810):84m2/g。
【0132】
このようにして装填したゴム組成物の成分は、ついで、約4分に等しいこの第1の工程の全時間の間完全に混合した。
混合の間、ゴム組成物に与えられる機械的仕事は、その温度を約160℃に保つように調整される。
【0133】
このようにして、第1のゴム組成物が得られ、その中で、カーボンブラックは、均質に分散され、標準ISO289−1に従い測定して、約120Msに等しいムーニーの粘度を有する。
【0134】
かくして得られた高粘度ゴム組成物は、以下の成分とともに、POMINI社製の閉鎖ローターミキサータイプ11Dに装填した:
S−SBR−B=商標名BUNA VSLTM 5025-1(Bayer)の下に市販されているブタジエン−スチレンコポリマー;
シリカ=BET175m2/g、VN3タイプ(Degussa);
50%カーボンブラック、50%ビス(3−トリエトキシシリル−プロピル)テトラスルフィドを含む固体のシランカップリング剤=X50S(Degussa);
老化遅延剤=6PPD、SANTOFLEXTM 13としても公知(Monsanto);
抗疲労剤=TMQ、VULCANOXTM 4020(Bayer)としても公知;
ステアリン酸;可塑剤としての芳香族タイプのオイル;および、その他の一般に使用される成分少量。
【0135】
使用されるシランカップリング剤に関しては、液体で、以下の表1に特記した各成分の量に注意を払う限り、これとは別のシランカップリング剤を使用することも可能である。
【0136】
この場合にも、また、ミキサーのローターは、約40rpmで回転させ、ゴム組成物の温度を約150℃に保つように、ゴム組成物に与える機械的仕事を調整する。
【0137】
上記温度での混合約4分後、高分子相および強化充填材(カーボンブラックおよびシリカ)が均質に分散した第2のゴム組成物が得られた。
ついで、第2のゴム組成物を取り出し、室温まで冷却後、硫黄;および、それ自体当分野で公知の加硫促進剤[ジフェニルグアニジンDPG(Monsanto)およびSANTOCURETM(Monsanto)]を含む加硫システムと、約20rpmで回転を生ずるPOMINI社の同様の閉鎖ローターミキサー(Banbury)モデル11D内で混合した。
【0138】
ついで、加硫システムを分散させるように、ゴム組成物を均質混合に賦した。
混合約3分後、ゴム組成物の温度を約100℃に等しい値に保つように注意を払いつつ、以下の表1に示した成分を含む加硫可能なゴム組成物を取り出した。
【0139】
このような表において、各成分の部数は、ポリマー基材各100重量部当たりの重量部(phr)で表す。
実施例 2:(本発明)
先の実施例1で記載した処理法に従い、以下のポリマー基材を使用し、その他の成分は等しいゴム組成物を製造した:
−S−SBR−A’=溶液中で製造したカップリングさせたブタジエン−スチレンコポリマーであり、62重量%に等しい1,2−構造の含量および20重量%に等しいスチレン含量を有し、商標名SL563TM(JSR)の下に市場で入手可能;
−S−SBR−B=ブタジエン−スチレンコポリマーであり、商標名BUNA VSLTM5025-1(bayer)の下に市場で入手可能;
−NR=天然ゴム;
−高度cis1,4−ポリブタジエンであり、商標名EUROPRENETM NEOCIS(Enichem)の下に市場で入手可能。
【0140】
生成するゴム組成物の成分は、以下の表1に示す。
実施例 3:(本発明)
約40rpmの速度で回転を生ずるPOMINI社の閉鎖ローターミキサー(Banbury)モデル11D内に、以下の成分を順次装填した:
−S−SBR−A=溶液中で製造した停止かつカップリングさせたブタジエン−スチレンコポリマーであり、約57重量%に等しい1,2−構造の含量および21重量%に等しいスチレン含量を有し、商標名NS116TM(日本ゼオン)の下に市場で入手可能;
−高度cis−1,4−ポリブタジエンであり、商標名EUROPRENETM NEOCIS(Enichem)の下に市場で入手可能;
−酸化亜鉛;
−カーボンブラック=Vulcan 1380TM(Cabot Corporation);
−老化遅延剤=6PPD、SANTOFLEXTM13 (Monsanto)としてもまた公知である。
【0141】
使用したカーボンブラックの構造および表面積特性は、先の実施例1のそれと同様であった。
このようして装填したゴム組成物の成分は、約4分に等しいこの第1の工程の全時間の間完全に混合した。
【0142】
混合の間、ゴム組成物の温度を約160℃の温度に保つように、ゴム組成物に与える機械的仕事を調整した。
このようにして、カーボンブラックが、均質に分散されて、標準ISO289−1に従い測定して、約120Msに等しいムーニー粘度を有する第1のゴム組成物が得られた。
【0143】
かくして得られた第1の高粘度ゴム組成物を以下の成分とともに、POMINI社の閉鎖ローターミキサータイプ11Dに装填した:
S−SBR−B=商標名BUNA VSLTM 5025-1(Bayer)の下に市販されているブタジエン−スチレンコポリマー;
シリカ=BET175m2/g、VN3タイプ(Degussa)、合計100%に等しい量;
50%カーボンブラック、50%ビス(3−トリエトキシシリル−プロピル)テトラスルフィドを含む固体のシランカップリング剤=X50S(Degussa);
抗疲労剤=TMQ、VULCANOXTM 4020(Bayer)としても公知;
ステアリン酸;可塑剤としての芳香族タイプのオイル;および、その他の一般に使用される成分少量。
【0144】
使用するシランカップリング剤に関して、液体形であり、以下の表1に特記した各成分の量に注意を払う限り、これとは別のシランカップリング剤を使用することができる。
【0145】
この場合においても、ミキサーのローターは、約40rpmで回転を生じさせ、ゴム組成物の温度を約150℃に保つように、ゴム組成物に与えられる機械的仕事を調整する。
【0146】
上記温度で混合約4分後、高分子相および強化充填材(カーボンブラックおよびシリカ)を均質に分散させた第2のゴム組成物が得られた。
第2のゴム組成物を取り出し、室温まで冷却後、約3分間混合し、約140℃の温度で取り出した。
【0147】
かくして得られたゴム組成物は、室温まで冷却後、約20rpmで回転を生じさせたPOMINI社の同様の閉鎖ローターミキサー(Banbury)モデル11D内で、硫黄;および、当分野でそれ自体公知の加硫促進剤[ジフェニルグアニジン DPG(Monsanto)およびSANTOCURETM NS (Monsanto)]を含む加硫システムと混合した。
【0148】
混合約3分後、ゴム組成物の温度を約100℃に等しい値に保つように注意を払いながら、以下の表1に示す成分を含む第3の加硫可能なゴム組成物を取り出した。
【0149】
このような表において、各成分の部数は、phrで表す。
実施例 4:(本発明)
先の実施例1に記載した処理法に従い、以下のポリマー基材を使用し、その他成分は等しいゴム組成物を製造した:
−NR=天然ゴム;
−IBR=溶液で製造されるブタジエン−イソプレンコポリマーであり、2つのモノマー含量50重量%を有した。
【0150】
生成するゴム組成物の成分は、以下の表1に示す。
実施例 5:(比較)
ゴム組成物を100℃より以下に冷却することなく第1の工程の終了後に直接第2の混合工程を実施することによって、先の実施例1と同様の成分を有するゴム組成物を製造した。
【0151】
かくして、ゴム組成物は、高分子マトリックス全体にシリカを最適に分散させるのに適した剪断応力に到達させるのには全く不十分な粘弾性を示すことが見いだされた。
【0152】
この場合、2つの工程の全時間は、約6分に等しかった。
加硫システムを配合する続く工程は、実施例1に記載したように実施した。
実施例 6:(従来技術)
約40rpmの速度で回転を生じさせたPOMINI社の閉鎖ローターミキサー(Banbury)モデル11Dに、以下の成分を順次装填した:
−S−SBR−A=溶液中で製造した停止かつカップリングさせたブタジエン−スチレンコポリマーであり、約57重量%に等しい1,2−構造の含量および21重量%に等しいスチレン含量を有し、商標名NS116TM(日本ゼオン)の下に市場で入手可能;
−S−SBR−B=商標名BUNA VSLTM 5025-1(Bayer)の下に市販されているブタジエン−スチレンコポリマー;
−高度cis−1,4−ポリブタジエンであり、商標名EUROPRENETM NEOCIS(Enichem)の下に市場で入手可能;
−カーボンブラック=Vulcan 1380TM(Cabot Corporation);
シリカ=BET175m2/g、VN3タイプ(Degussa);
50%カーボンブラック、50%ビス(3−トリエトキシシリル−プロピル)テトラスルフィドを含む固体のシランカップリング剤=X50S(Degussa);
−ステアリン酸;可塑剤としての芳香族タイプのオイル;および、その他の一般に使用される成分少量。
【0153】
使用するカーボンブラックの構造および表面積特性は、先の実施例と同様であった。
使用したシランカップリング剤に関しては、以下の表1に特記するように、液体形において、各成分の量に注意を払う限り、別のシランカップリング剤を使用することも可能である。
【0154】
このようにして装填されたゴム組成物の成分は、ついで、約5分のこの第1の工程の期間全体にわたり完全に混合した。
混合の間、ゴム組成物に与える機械的仕事は、その温度を約150℃に保つように調整した。
【0155】
室温まで冷却後、かくして得られたゴム組成物を以下の成分とともに、POMINI社の閉鎖ローターミキサータイプ11Dに装填した:
−老化遅延剤=6PPD、SANTOFLEXTM 13としても公知(Monsanto);
−抗疲労剤=TMQ、VULCANOXTM 4020(Bayer)としても公知;
−酸化亜鉛
この場合にも、また、ミキサーのローターは、約40rpmで回転を生じさせ;ゴム組成物の温度を約130℃に等しい値に保った。
【0156】
混合約3分後、ゴム組成物は、取り出し、室温まで冷却後、約20rpmで回転を生じさせたPOMINI社の同様の閉鎖ローターミキサー(Banbury)モデル11D内で、硫黄;および、当分野でそれ自体公知の加硫促進剤[ジフェニルグアニジンDPG(Monsanto)およびSANTOCURETM NS (Monsanto)]を含む加硫システムと混合した。
【0157】
加硫システムを分散させるために、ついで、ゴム組成物は、均質混合に賦した。
混合約4分後、ゴム組成物の温度を約100℃に等しい値に保つように注意を払い、以下の表1に示した成分を含む加硫可能なゴム組成物を取り出した。
【0158】
このような表において、各成分の部数は、phrで表す。
実施例 7:(従来技術)
ヨーロッパ特許出願EP-A-0 763 558に記載された製造方法に従い、先の実施例1と同様の成分を有し、各強化充填材を別個のポリマーに配合して、比較ゴム組成物を製造した。
【0159】
さらに詳しくは、以下の表1に示す成分を有する比較ゴム組成物をヨーロッパ特許出願EP-A-0 763 558の実施例1に従い製造した。
このような表において、各成分の部数は、phrで表す。
実施例 8:(ゴム組成物の均質特性の評価)
それ自体公知の方法および装置を使用し、先の実施例1(本発明)、実施例6および7(比較)に従うゴム組成物の試料を加硫に賦し、ついで、ゴム組成物のポリマー基材を構成する高分子相の均質性を評価するための数種の試験に賦した。
【0160】
さらに詳しくは、それ自体公知の実験的方法で、市販入手可能なRheometrics社の装置を使用し、tangδの値を測定し、tangδは、
tangδ=E”/E’
[式中、E”=損失弾性率[MPa];
E’=弾性率[MPa];
であり;
弾性率E’の値は、−100℃〜40℃の範囲である。]
と定義した。
【0161】
試験は、幅12±0.2mm、厚さ2±0.2mm;および、長さ40mm(有用な長さ24mm)を有するストリップ形状の試験片で行い、市販入手可能なレオメータモデル“Rheometer R.D.A.700"を用いて、0.1%に等しい振幅および1Hzに等しい周波数で、それに捩り応力をかけた。
【0162】
試験片を約2℃/分に等しい加熱速度で温度スイープに賦すことによって、最終温度40℃に到達させた。
実施した試験の結果は、tangδ[次元なし(dimensionless)]を縦軸にとり、温度(℃)を横軸にとった添付の図1にグラフとして示した。
【0163】
このような図から容易に分かるように、本発明(実施例1)のゴム組成物についてのtangδ曲線は、約−46℃に等しいポリマー基材の純粋なポリマーの平均重量Tgに近い約−36℃の温度に唯一のピークを示し、これに対し、従来技術(実施例6および7)の比較ゴム組成物は、それぞれ、−26℃および−31℃の温度でtangδのピークを示す。
【0164】
したがって、本発明のゴム組成物においては、前記比較ゴム組成物よりもより均質に種々の高分子相が相互に混合されていた。
実施例 9:(変動係数の評価)
先の実施例1に従うゴム組成物の数バッチを続けて数回製造し、各バッチは、15/20装填によって構成した。
【0165】
ついで、各バッチから試料を採り、その後、それ自体公知の方法および装置で加硫に賦し、各バッチ内および全てのバッチについて、個々に有意なパラメータの変動係数を測定するために、数種の試験に賦した。
【0166】
考察したパラメータは、以下のものである:
−ボルミックマス[volumic mass](mv):標準ISO2751に従い測定した;
−100%伸び(CA1)での弾性率:標準ISO37(環試験片)に従い測定した;
−300%伸び(CA3)での弾性率:標準ISO37(環試験片)に従い測定した;
−破壊時の強さ:標準ISO37(環試験片)に従い測定した;
−硬度:標準ISO48に従い測定した。
以下の表2は、実施した試験の結果を変動係数として表し、それは、各製造バッチ内で測定した係数の変動が小さいほど小さい。
【0167】
表2より、本発明の方法が安定であり、繰り返し可能なことが推測されうる。
実施例 10:(強化充填材の分散均質性の測定)
それ自体公知の方法および装置を使用して、先の実施例1、3および4(本発明)、および、実施例5−7(比較)に従う各ゴム組成物の試料を170℃で10’の間加硫に賦し、ついで、強化充填材の分散均質性特性を評価するために、数種の試験に賦した。
【0168】
このような評価は、7μmを上回る寸法を有する充填材凝集物を識別するように、JVCテレカメラを備えた光学顕微鏡POLYVAR METを使用して実施した。さらに詳しくは、Media Cibernetics (U.S.A.)によって提供されている“Image PROPLUS"ソフトウエアーを用いて合計40回の試験を実施する画像解析処理を使用した。
【0169】
以下の表3は、実施した試験の結果を示し、この結果より、本発明の(実施例1、3および4)ゴム組成物において、7μmを上回る寸法を有する凝集物を形成する充填材のパーセンテージは、カーボンブラックに関して0.6%より少なく、シリカに関して0.9%より少なく、従来技術の方法(実施例5−7)に従い製造したゴム組成物の値に優る明らかな改良を生じたことが推測されうる。
【0170】
特に、実施例5−7のゴム組成物は、使用したシリカの均質分散の要件を満足せず、以降に記載するように、摩耗抵抗において、悪い結果となる。
実施例 11:(ゴム組成物の動的特性の測定)
それ自体公知の方法および装置を使用して、先の実施例1および3(本発明)、および、実施例5−7(比較)に従う各ゴム組成物の各試料を170℃で10’の間加硫に賦し、ついで、それらの動的特性を評価するために、数種の試験に賦した。
【0171】
さらに詳しくは、以降に記載する実験法で、市販入手可能なINSTRON社の装置を使用し、tangδの値を測定した。
tangδの値は、長さ25mm、径14mmを有する加硫したゴム組成物のシリンダー状の試験片を賦すことにより測定し、その本来の高さの25%以下の縦方向の変形圧縮予備負荷に賦し、予め決められた温度(0℃または70℃)に保ち、周波数100サイクル/秒(100Hz)で、予備負荷の下、高さの最大幅±3.50%の動的正弦変形(dynamic sinusoidal deformation)に賦した。
【0172】
本実施例の目的に対し、E’、E”およびtangδの上記全ての値を測定することを意図し、上述した方法に従い測定する必要がある。
実施した試験の結果は、以下の表4に報告するが、表4において、損失弾性率E”(MPa)について、弾性率E’(MPa)について、および、tangδ(次元なし)について、それぞれ、0℃および70℃で4回の試験についての平均値を報告する。
【0173】
実施した試験に基づき、タイヤの湿潤スキッド抵抗がより良好となるためには、0℃で測定したtangδの値がより高くなり、ローリング抵抗がより低くなるためには、70℃で測定したtangδの値がより低くなることを考えると、表2に報告するデータから、本発明のゴム組成物(実施例1および3)が、比較ゴム組成物(5−7)によって提供される性能と比較して、湿潤スキッド抵抗およびローリング抵抗の両方に関し、匹敵するかまたはより高い性能を達成することに容易に気付くであろう。
実施例 12:(ゴム組成物の摩耗特性の測定)
それ自体公知の方法および装置を使用して、先の実施例1および3(本発明)、および、実施例5−7(比較)に従う各ゴム組成物の試料を加硫に賦し、ついで、それらの摩耗特性に関して、摩耗抵抗特性を評価するために、数種の試験に賦した。
【0174】
試験は、標準DIN53516に従い行った。
摩耗特性試験に従い、実施例6の加硫したゴム組成物の材料80mm3を参照ゴム組成物として使用し摩耗させた:この時、それについて摩耗特性指数100と考えた。
【0175】
その後、実施例1、3および7のゴム組成物の加硫した試料から摩耗された材料の体積を測定し、試験の間に摩耗された体積がより小さければ、指数の増大a%と考えた。
【0176】
換言すれば、試験の摩耗特性指数がより小さいほど、調べたゴム組成物試料の摩耗抵抗がより良好となった。
実施した試験の結果を以下の表5に示す(指数AB)。
【0177】
前記表のデータを調べると、本発明のゴム組成物(実施例1および3)が、公知のゴム組成物(実施例5−7)の摩耗特性よりも高い摩耗特性を有し、かくして、自動車タイヤ用のトレッドに必要とされる摩耗特性をより多く満足させることが理解される。
実施例 13:(路面挙動)
先の実施例1および3(本発明)、および、実施例6−7(比較)に従い得られたゴム組成物を使用して、それ自体公知の慣用的な装置で延伸することによって、数種のトレッドを製造し、ついで、寸法195/65R15を有するタイヤを製造するために、これらトレッドを使用した。
【0178】
かくして得られたタイヤを、ついで、それらのローリング抵抗、湿潤スキッド抵抗および摩耗抵抗を評価するために、数種の標準試験に賦した。
A. ローリング抵抗の評価
本評価は、標準ISO8767に従い、各タイヤについて行い、それ自体公知の慣用的な実験室装置を使用し、特に、その7.2.2条項に記載されたいわゆる“トルク法(Torque Method)”に対し行った。
【0179】
測定は、一定速度80km/h行い、他方、寄生の損失(parasitic losses)は、前記標準ISO8767の6.6.1条項に記載された“スキムリーディング(Skim Reading)”法に従い測定した。
【0180】
本発明のゴム組成物を従来技術のそれらと比較するために、ローリング抵抗指数100は、比較実施例6のゴム組成物より得られるタイヤで測定してkg/tのパワー損失と考えた。
【0181】
その後、実施例1、3および7のゴム組成物から得られるタイヤのパワー損失を測定し、指数の増大a%と考えると、試験の間に測定されるパワー損失はさらに低くなった。
【0182】
換言すれば、指数の値がより高いほど、調べたタイヤのローリング抵抗はより低かった。
試験の結果を以下の表5に示す(指数RR)。
【0183】
前記表に示されたデータを検討すると、本発明の(実施例1および3)のタイヤが従来技術(実施例6および7)のタイヤについて測定したローリング抵抗よりより良好なローリング抵抗を示したことが理解される。
B. 湿潤スキッド抵抗の評価
この評価は、排除量2400cm3を有する自動車Lancia Kにタイヤを取り付けたVizzolaの試験トラックについて実施した。
【0184】
1組の独立したテストドライバーによって全てのタイヤを試験してもらい、後で、以下の判定パラメータ:ハンドルのかじ取(steering wheel)、伝動の迅速性、曲線での安定性(オーバーステアリングおよびアンダーステアリング)、コンプライアンス、カーブリリース(curve release)および操縦性の各々について、0〜10の等級をタイヤにつけてもらった。
【0185】
本発明のゴム組成物を従来技術のゴム組成物と比較するために、100に等しい湿潤スキッド抵抗の指数を比較実施例6のゴム組成物について表した全ての等級によるものと考えた。
【0186】
実施例1、3および7のゴム組成物から得られたタイヤの評価は、試験下のタイヤの総体としての湿潤路面挙動に依存する前記指数のa%変動を含んでいた。
実施した試験の結果を2人のテストドライバーによってなされた評価の平均で表し、以下の表5に示す(指数WSR)。
【0187】
前記表から気付くと思われるが、本発明(実施例1および3)のタイヤは、公知技術(実施例6および7)のタイヤの性能よりも良好な性能を示している。
C. 摩耗抵抗の評価
この評価は、排除量2400cm3を有し、十分に負荷させた自動車で混合コースを20,000km走行する自動車モデルLancia Kに取り付けて実施した。
【0188】
20,000kmコースの終了時に、摩耗した量に比例する、トレッドブロックの高さの低下を測定し、比較実施例6のタイヤについて摩耗抵抗指数100と考えた。
【0189】
実施例1、3および7のゴム組成物から得られたタイヤの評価は、調べたタイヤについて認められる摩耗に依存する前記指数のa%の変動を含んでいた。
実施した試験の結果を以下の表5に示す(指数WR)。
【0190】
前記表から気付くと思われるが、本発明(実施例1および3)は、従来技術(実施例6および7)のタイヤよりも性能がより良好であった。
【0191】
【表1】
Figure 0004663048
【0192】
【表2】
Figure 0004663048
【0193】
【表3】
Figure 0004663048
【0194】
【表4】
Figure 0004663048
【0195】
【表5】
Figure 0004663048

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う好ましいゴム組成物および2つの比較ゴム組成物のtangδ対温度の曲線を示すグラフである。

Claims (23)

  1. (a) (i) 少なくとも第1の架橋可能な不飽和鎖ポリマー;
    (ii) 第1のカーボンブラックをベースとする強化用充填材;および、所望により、
    (iii) 1種以上の非架橋成分を;
    130℃〜180℃の温度で均質混合して、ムーニーの粘度70〜140Msを有する第1のゴム組成物を得、第1のカーボンブラックをベースとする強化用充填材を実質的に均質となるように分散させ;
    (b) 工程(a)より得られる第1のゴム組成物を100℃を上回らない温度まで冷却し;
    (c) (i) 工程(b)より得られる第1の高粘度ゴム組成物;
    (ii) 少なくとも第2の架橋可能な不飽和鎖ポリマー;
    (iii) 第2のシリカをベースとする強化用充填材;および、所望により、
    (iv) 1種以上の非架橋成分を;
    130℃〜180℃の温度で均質混合して、第2のゴム組成物を得、カーボンブラックをベースとする強化用充填材およびシリカをベースとする強化用充填材を、第2のゴム組成物中に、7μmを上回る寸法を有するゴム組成物凝集体内部に形成される充填材のパーセンテージ(170℃で10分間加硫に付した第2のゴム組成物からなる試料について、テレカメラを備えた光学顕微鏡により、合計40回の試験を実施する画像解析処理を使用して測定)が1%よりも低くなるように分散させ;
    (d) かくして得られる第2のゴム組成物を、加硫温度より低い温度で、硫黄または硫黄含有分子を含む適当な加硫剤とともに均質混合する;
    各工程を含む、第1のカーボンブラックをベースとする強化用充填材および第2のシリカをベースとする強化用充填材を含む加硫可能なゴム組成物を製造するための方法。
  2. さらに、
    (e) 工程(c)より得られる第2のゴム組成物を少なくとも1種のシリカカップリング剤とともに130℃〜165℃の温度で均質混合する;
    工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記第1のカーボンブラックをベースとする強化用充填材の予め決められた量を工程(c)、工程(d)および工程(e)の少なくとも1つの工程で配合することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記第2のシリカをベースとする強化用充填材の予め決められた量を工程(a)、工程(d)および工程(e)の少なくとも1つの工程で配合することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
  5. 均質混合する工程(c)および工程(e)が、140℃〜165℃の温度で同時に実施されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  6. 前記工程(a)が、前記少なくとも1種の第1および第2のポリマーを含むポリマー基材各100重量部当たり15〜75重量部の量の第1のカーボンブラックをベースとする強化用充填材と前記少なくとも第1の架橋可能な不飽和鎖ポリマーとを均質混合することによって実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  7. 前記工程(a)が、最終ゴム組成物の体積電気抵抗率が1×10-6Ω×cmを上回らないような量の第1のカーボンブラックをベースとする強化用充填材と前記少なくとも第1の架橋可能な不飽和鎖ポリマーとを均質混合することによって実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  8. 工程(b)が、工程(a)より得られる第1のゴム組成物を40℃より低い温度まで冷却することによって実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  9. 工程(c)が、第1の高粘度ゴム組成物に、前記少なくとも第1および第2のポリマーを含むポリマー基材各100重量部当たり20〜80重量部の量の第2のシリカをベースとする強化用充填材を加えることによって実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  10. 前記工程(c)が、第1のカーボンブラックをベースとする強化用充填材と第2のシリカをベースとする強化用充填材との間の重量比を30/70〜60/40の値に保つようにして実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  11. 前記工程(c)が、前記第1および第2の強化用充填材の合計が前記少なくとも1種の第1および第2のポリマーを含むポリマー基材の各100重量部当たり50〜100重量部となるような量の第2のシリカをベースとする強化用充填材を第1のゴム組成物と混合することによって実施されることを特徴とする、請求項6または請求項9に記載の方法。
  12. 前記1種以上の非架橋成分の少なくとも一部を、前記加硫剤とともに工程(d)における第2のゴム組成物と、加硫温度より低い温度で均質混合することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  13. 前記シリカカップリング剤が、前記第2のシリカをベースとする強化用充填材の各100重量部当たり4〜15重量部の量で、第2のゴム組成物に配合されることを特徴とする、請求項2または請求項5に記載の方法。
  14. 前記シリカカップリング剤がシランをベースとするカップリング剤であることを特徴とする、請求項2または請求項5に記載の方法。
  15. 第1のカーボンブラックをベースとする強化用充填材が、標準ISO4656−1に従い測定して、110ml/100g以上のDBP吸収値を有し、DBP吸収値における低下が、標準ISO6894に従い圧縮後に測定して、25ml/100g以上であり、表面積が、標準ISO6810に従いCTAB吸収により測定して、120m/g以下であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  16. 前記第2のシリカをベースとする強化用充填材が、BET表面積100〜300m/gを有し、標準ISO6810に従うCTAB吸収により測定した表面積100〜300m/gを有し、標準ISO4656−1に従い測定したDBP吸収値150〜250ml/100gを有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  17. 前記工程(a)が、前記少なくとも第1の架橋可能な不飽和鎖ポリマー、第1のカーボンブラックをベースとする強化用充填材、および、所望により、1種以上の非架橋成分を、天然ゴム;および、乳濁液で得られるコポリマー1,4−ポリブタジエンスチレン/ブタジエン;1,4−ポリイソプレンを含む群から選択される第3のポリマーと均質混合することによって実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  18. 前記第1および前記第2の架橋可能な不飽和鎖ポリマーの少なくとも1つが、スチレン/ブタジエン乳化重合したコポリマー類、スチレン/ブタジエン溶液重合したコポリマー類、cis1,4−ポリイソプレン、天然ゴム、cis1,4−ポリブタジエン、スチレン/イソプレンコポリマー類、3,4−ポリイソプレン、イソプレン/ブタジエンコポリマー類、中ビニルポリブタジエン、スチレン/イソプレン/ブタジエンターポリマー類、ブチルゴム、ポリクロロプレン、アクリロニトリル/ブタジエンコポリマー類、エチレン/プロピレン/ブタジエンターポリマー類およびこれらの混合物を含む群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  19. 第1の架橋可能な不飽和鎖ポリマーが改質コポリマーであり、当該改質コポリマーが、少なくとも1種の有機金属基を含む開始剤の存在下で、少なくとも1種の共役ジオレフィンと少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素とを重合させ、続いて、こうして得られた中間体コポリマーと、当該中間体コポリマーの有機金属基と反応性の官能基を含む化合物とを反応させることにより改質して得ることができ、この改質コポリマーが、ガラス転移温度0℃〜−80℃を有し、改質コポリマーの合計重量基準で、5重量%〜50重量%のビニル芳香族炭化水素の合計量を含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
  20. 第2の架橋可能な不飽和鎖ポリマーが、少なくとも1種の共役ジオレフィンと少なくとも1種のビニル芳香族炭化水素との重合によって得ることの可能なコポリマーであり、前記第2のポリマーが、ガラス転移温度0℃〜−80℃を有し、かつ、前記第2のポリマーの合計重量基準で、5重量%〜50重量%の全量のビニル芳香族炭化水素を含むことを特徴とする、請求項18に記載の方法。
  21. 前記第1および第2の架橋可能な不飽和鎖コポリマーの少なくとも1つが、コポリマーの合計重量基準で30重量%〜70重量%の1,2−構造を有するオレフィン画分を有するように、少なくとも50重量%の共役ジオレフィンを1,2−形で前記少なくとも1種の芳香族炭化水素と重合させることによって得ることが可能であることを特徴とする、請求項19または請求項20に記載の方法。
  22. 第2の架橋可能な不飽和鎖ポリマーが、有機金属開始剤の存在下で、1,3−ブタジエンまたは1,3−ブタジエン/スチレンコポリマーを以下の構造式:
    i−Si−(OR)j−R’4-i-j (IV)
    [式中、Xは、塩素、臭素およびヨウ素を含む群より選択されるハロゲン原子であり;RおよびR’は、独立に、アルキル基;アリール基;ビニル基;または、1個〜20個の炭素原子を有するハロゲン化されたアルキル基であり;jは、1〜4の整数であり;iは、0〜2の整数であり;iとjとの合計は、2〜4の範囲である。]
    を有するシラン化合物と重合させることによって得ることの可能なガラス転移温度−50℃以上を有するシラン基を含むコポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  23. 前記加硫剤が、少なくとも1種の加硫促進剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
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