JP4662403B2 - ポリアミド系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリアミド系樹脂組成物に関する。更に詳しくは、籠状シルセスキオキサン化合物あるいはその部分開裂構造体が添加された、溶融成形用のポリアミド系樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミド系樹脂は、金属やガラスと比較して軽量であり、しかも耐熱性、耐薬品性、耐油性、耐磨耗性にも優れていることから、エンジニアリングプラスチックとして自動車部品、家電部品、OA機器部品を始めとする多岐の分野で使用されている。
ところが汎用的なポリアミド樹脂であるナイロン6の融点は約220℃、ナイロン66に至っては約265℃であることからも分かるとおり、一般にポリアミド系樹脂組成物の溶融成形温度は非常に高く、しかもポリアミド樹脂は熱分解や加水分解等の副反応を起こしやすいアミド基を多数有するため、溶融成形時にはポリアミド樹脂の酸化劣化や加水分解による分子鎖切断(分子量低下)、着色などの副反応に対する細心の注意が必要となる。
【0003】
すなわち、できるだけ低い温度で溶融・成形を行うことがポリアミド系樹脂には好ましいのであり、ポリアミド系樹脂組成物に対しては、できるだけ低い温度において高い溶融流動性を発現させる工夫が重要となる。
特にポリアミド系樹脂は、充填剤による力学物性等の強化効果が大きいため、ガラス繊維、炭素繊維、有機繊維、および無機系化合物等の填剤等を複合化して使用するケースが多いのであるが、そのような充填剤を加えると一般に組成物の溶融流動性は著しく低下するため、溶融流動性を改善する技術は特に重要となる。
【0004】
また最近では、膨潤性合成マイカやモンモリロナイトなどの層状シリケート化合物を単層レベルにまで層剥離させた状態で均一分散させたポリアミド系樹脂組成物に代表される、いわゆる「ナノコンポジット」に関する報告がポリアミド系樹脂において特に数多くなされているが(例えば特開平6−248176号公報)、この場合にも層状シリケートの添加量の増大に伴ってポリアミド系樹脂組成物の溶融流動性は一般に低下する傾向にあるため、成形性(溶融流動性)とのバランスを考慮すれば層状シリケートの添加量も制限しなくてはならず、この技術の応用範囲も狭められているのが現状である。
【0005】
さらに複雑な形態の射出成形体を作成するような場合や、成形体の力学特性を向上させるために高分子量タイプのポリアミド樹脂を用いようとする場合などにはそのような流動性改善技術の必要性は一段と高くなる。
そのような課題に対しては、従来よりポリアミド類に使用されている高級アルコール、ヒドロキシ安息香酸エステル、芳香族スルホンアミド、フェノール類のような有機化合物系可塑剤を用いることが考えられるが、そのような有機化合物系可塑剤を用いた場合、効果も十分でない上、製品からのブリードアウトや溶出による環境や人体への悪影響が懸念されるため、昨今の状況から判断すれば決して好ましいとは言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状を鑑み、従来の有機化合物系可塑剤を加えることなく極めて高い溶融流動性を発現することを特徴とするポリアミド系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、一般式[RSiO3/2nで表される籠状シルセスキオキサン、又は一般式[RSiO3/2n-m[O1/2H]2+mで表される、籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体を含むポリアミド系樹脂組成物の特性を幅広く検討した結果、驚くべきことに籠状シルセスキオキサン又はその部分開裂構造体の添加により、当該樹脂組成物の溶融流動性が著しく向上し、溶融流動性を必要とする成形において経済的に有利に、かつ高品質の成形体の製造を可能にせしめた。さらに、それより得られる成形体は、ポリアミド系樹脂の欠点である熱寸法安定性および吸水性も改善されていることを見出し本発明に至った。
【0008】
即ち、本発明は、
(1)(A)ポリアミド系樹脂と、(B)一般式[RSiO3/2nで表される籠状シルセスキオキサンおよび/または一般式[RSiO3/2n-m[O1/2H]2+mで表される、籠状シルセスキオキサンの一部が開裂した構造のケイ素化合物と、(C)充填剤を含有するポリアミド系樹脂組成物であって、(A)と(B)の合計100重量部における(A)の配合量が50〜99.9重量部、(B)の配合量が0.1〜50重量部であり、(A)と(B)の合計100重量部に対する(C)成分の配合量が0〜100重量部であって、かつ、(融点+5)℃〜(融点+50)℃の温度範囲から選ばれる任意の温度で測定された溶融粘度低下率(MVR;(式A)にて定義)の値が0<MVR<0.80の範囲であるか、あるいはメルトインデックス上昇率(MIR;(式B)にて定義)の値が0<MIR<15.0の範囲であることを特徴とするポリアミド系樹脂組成物。
MVR=(V0−V)/V0 (式A)
MIR=(MI−MI0)/MI0 (式B)
( 一般式[RSiO3/2n 、一般式[RSiO3/2n-m[O1/2H]2+m 中のRは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラアルキル基、アリール基、及びケイ素数1〜10のケイ素原子含有基のいずれか一種を表し、複数のRは同一でもそれぞれ異なってもよく、nは6〜14の整数であり、 mは0又は1である。また(式A)と(式B)中のVおよびMIは、それぞれポリアミド系樹脂組成物のせん断速度4000sec-1における溶融粘度(Pa・s)、およびメルトインデックス(g/10min)であり、V0およびMI0は、それぞれ上記ポリアミド系樹脂組成物から籠状シルセスキオキサン(B)を除いた組成物の溶融粘度およびメルトインデックスである。)
【0009】
(2)(A)ポリアミド系樹脂、(B)一般式[RSiO3/2nで表される籠状シルセスキオキサンおよび/または一般式[RSiO3/2n-m[O1/2H]2+mで表される、籠状シルセスキオキサンの一部が開裂した構造のケイ素化合物と、(C)充填剤を含有し、(A)と(B)の合計100重量部における(A)の配合量が50〜99.9重量部、(B)の配合量が0.1〜50重量部であり、(A)と(B)の合計100重量部に対する(C)の配合量が0〜100重量部であることを特徴とする溶融成形用のポリアミド系樹脂組成物。
( 一般式[RSiO3/2n 、一般式[RSiO3/2n-m[O1/2H]2+m 中のRは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラアルキル基、アリール基、及びケイ素数1〜10のケイ素原子含有基のいずれか一種を表し、複数のRは同一でもそれぞれ異なってもよく、nは6〜14の整数であり、 mは0又は1である。)
(3)(1)〜(2)のいずれかに記載のポリアミド系樹脂組成物を溶融成形法により成形体を製造する事を特徴とするポリアミド系樹脂組成物成形体の製造方法。
(4)(3)に記載の製造方法で得られることを特徴とするポリアミド系樹脂成形体。
【0010】
以下に本発明を詳細に説明することとし、まず(A)成分であるポリアミド系樹脂について説明する。
本発明の(A)成分であるポリアミド系樹脂とは、ポリアミド樹脂またはポリアミドとその他の樹脂との混合物からなる樹脂を意味する。
本発明の、(A)成分(ポリアミド系樹脂)、(B)成分(籠状シルセスキオキサンおよび/またはその部分開裂構造体)、(C)成分(充填剤)を含有するポリアミド系樹脂組成物において、(A)成分と(B)成分の合計100重量部における(A)成分の配合量は、通常は50〜99.9重量部である。さらに、好ましくは70〜99重量部の範囲、より好ましくは80〜98重量部の範囲、特に好ましくは85〜97重量部が使用される。50重量部より樹脂の配合量が少ない場合は得られる成形体の機械的強度が低下するため好ましくないし、一方で配合量が99.9重量部を越えると籠状シルセスキオキサンの添加効果が殆ど発現されなくなるため好ましくはない。
【0011】
上記のポリアミド樹脂とは、分子鎖中に酸アミド基(−CONH−)を規則的に有する重合体の総称であり、どのような方法で合成されたものでも構わないが、代表的には炭素数mのジアミン[NH2(CH2mNH2]と炭素数nの二塩基酸[ HOOC(CH2n-2COOH ]よりなる重縮合物であるナイロンmn、および炭素数nのω−アミノ酸[ H2N(CH2n-1COOH ]または環式化合物であるラクタム[ NH(CH2n-1CO ]の重縮合物または開環重合物であるナイロンnが例示される。前者の代表例としてはm=6のヘキサメチレンジアミンとn=6のアジピン酸より合成されるナイロン66があり、その他にナイロン46、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ナイロン6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)等が挙げられる。
【0012】
一方、後者の代表例としてはn=6のε−カプロラクタムより合成されるナイロン6があり、その他にナイロン12、ナイロン11等が挙げられる。一方、これらポリアミドのブレンド物ならびに共重合物も本発明に用いられるポリアミド樹脂の範疇に含まれる。なお、上記ポリアミド樹脂の中では、特にナイロン6、ナイロン66、およびナイロン66と他のポリアミド(例えばナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6T/66、ナイロン6T/6I等)とのブレンド物が特に好ましい。
【0013】
本発明のポリアミド樹脂は、90重量%のギ酸水溶液を溶媒として測定される相対粘度VR( VR=T1/T0であり、T1は25℃における8.4重量%のポリアミド樹脂溶液の粘度管における流下時間、T0は25℃における90重量%のギ酸水溶液の流下時間である。)の値が、5〜1000の範囲のものであり、好ましくは10〜500、さらに20〜300であることが特に好ましい。
ポリアミドのVRが5未満であると重合度が低すぎて成形性が著しく悪く、成形体が得られたとしても極めて脆いものとなってしまうため好ましくない。一方VRが1000を越えると、重合度が大きすぎるため溶融流動性が著しく低く、成形体を得ることが困難になってしまうため好ましくない。
【0014】
本発明のポリアミド系樹脂とは、上記ポリアミド樹脂とその他の樹脂とのブレンド物もしくはアロイも包含するが、この場合ポリアミド樹脂の含有率が高いほど本発明の効果が顕著になるので、一般にその含有率は40重量%以上であることが好ましい。
なお上記のその他の樹脂としては、特に制限されるものではないが、例えば代表例としてポリプロピレンやポリエチレンのようなポリオレフィン系樹脂、エチレン/メタクリル酸共重合体系樹脂、EPDM(エチレン/プロピレン/ジエン)系樹脂、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂などが挙げられ、それらは単独で加えても複数種の混合物として加えても構わないし、他のモノマーが共重合されたものや他の有機化合物によって分子鎖末端や主鎖中、もしくは側鎖が変性されていてもよい。
【0015】
次に、本発明の(B)成分である籠状シルセスキオキサン等について説明する。
シリカが[SiO2]の一般式で表されるのに対し、シルセスキオキサンは[R'SiO3/2]で表される化合物である。シルセスキオキサンは通常はR'SiX3(R'=水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラアルキル基等、X=ハロゲン原子、アルコキシ基等)型化合物の加水分解−重縮合で合成されるポリシロキサンであり、分子配列の形状として、代表的には無定形、ラダー状、籠状(完全縮合ケージ状)や完全縮合ケージ状からケイ素原子が一原子少ないタイプや一部ケイ素−酸素結合が切断された部分開裂したタイプが知られている。このうち、本発明に用いるのはこれら分子配列形状のうち籠状のもの及びその部分開裂構造体である。
【0016】
本発明で用いられる籠状シルセスキオキサンとしては、一般式[RSiO3/2nにおいてnが6〜14のものである。中でも合成化学的側面から、化合物の安定性、合成収率の高さ、それに起因するコスト等を考慮すれば、特に[RSiO3/26の化学式で表されるタイプ(一般式(1))、[RSiO3/28の化学式で表されるタイプ(一般式(2))、[RSiO3/210の化学式で表されるタイプ(一般式(3))、[RSiO3/212の化学式で表されるタイプ(一般式(4))、および[RSiO3/214の化学式で表されるタイプ(下記一般式(5))あるいはそれらの混合物が好ましく使用され、さらに好ましくは[RSiO3/28の化学式で表されるタイプ(一般式(2))またはn=8,10,12の混合物が使用される。
【0017】
【化1】
Figure 0004662403
【0018】
【化2】
Figure 0004662403
【0019】
【化3】
Figure 0004662403
【0020】
【化4】
Figure 0004662403
【0021】
【化5】
Figure 0004662403
【0022】
また、本発明では上記の籠状シルセスキオキサンの代わりに、籠状シルセスキオキサンの一部のケイ素−酸素結合が部分開裂してできた、一般式[RSiO3/2n-m(O1/2H)2+m(nは6〜14の整数であり、mは0又は1である。)で表わされるケイ素化合物を用いることができる。
その中でも合成化学的側面から、化合物の安定性、合成収率の高さ、それに起因するコスト等を考慮すれば、特に一般式(1)の一部が開裂したトリシラノール体、すなわち、[RSiO3/27(O1/2H)3の化学式で表されるタイプ(下記一般式(6))、[RSiO3/28(O1/2H)2の化学式で表されるタイプ(下記一般式(7)および(8))が好ましく使用され、さらに好ましくは[RSiO3/27(O1/2H)3の化学式で表されるトリシラノール体(一般式(6))が使用される。なお、一般式(6)、(7)及び(8)において、同一ケイ素原子に結合しているRとOHはお互いの位置を交換したものでもよい。
【0023】
【化6】
Figure 0004662403
【0024】
【化7】
Figure 0004662403
【0025】
【化8】
Figure 0004662403
【0026】
本発明に使用される籠状シルセスキオキサン、あるいはその部分開裂構造体におけるRの種類としては、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラアルキル基、アリール基及び後述する一般式(9)で表わされるケイ素数1〜10のケイ素原子含有基が挙げられる。
上記Rのうちアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−ヘプチル、i−ヘプチル、n−オクチル、i−オクチル、n−ノニル、i−ノニル、n−デシル、i−デシル、n−ウンデシル、i−ウンデシル、n−ドデシル、i−ドデシル基等が挙げられる。
【0027】
上記Rのうちシクロアルキル基の例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル等が挙げられる。アルケニル基の例としては、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル等が挙げられる。アラアルキル基の例としてはベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2,6−ジメチルベンジル、2,4−ジメチルベンジル、2,5−ジメチルベンジル、2−エチルベンジル、3−エチルベンジル、4−エチルベンジル、2−メチルフェネチル、3−メチルフェネチル、4−メチルフェネチル、2−プロピルベンジル、3−プロピルベンジル、4−プロピルベンジル、2−エチル−6−メチルベンジル、2−エチル−5−メチルベンジル、2−エチル−4−メチルベンジル、6−エチル−2−メチルベンジル、5−エチル−2−メチルベンジル、4−エチル−2−メチルベンジル、2,6−ジメチルフェネチル、2,5−ジメチルフェネチル、2,4−ジメチルフェネチル、2−エチルフェネチル、3−エチルフェネチル、4−エチルフェネチル、2,6−ジエチルベンジル、2,5−ジエチルベンジル、2,4−ジエチルベンジル、2−エチル−6−メチルフェネチル、2−エチル−5−メチルフェネチル、2−エチル−4−メチルフェネチル、6−エチル−2−メチルフェネチル、5−エチル−2−メチルフェネチル、4−エチル−2−メチルフェネチル、2,6−ジエチルフェネチル、2,5−ジエチルフェネチル、2,4−ジエチルフェネチル基等が挙げられる。
【0028】
上記Rのうちアリール基の例としては、フェニル基、あるいは炭素数1〜14、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基で1置換あるいは複数置換されたフェニル基等が挙げられる。
これらの置換基Rの中でも、特に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基及び炭素数7〜20のアラアルキル基、フェニル基あるいは炭素数1〜8のアルキル基で置換されたフェニル基の場合には良好な成形時の溶融流動性が得られるが、成形時の溶融流動性と籠状シルセスキオキサンのハンドリング(Rの炭素数が大きくなると籠状シルセスキオキサン化合物は粘ちょうな液体となり、ハンドリングや精製が困難になる)のバランスを考慮すれば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基及びアラアルキル基の炭素数は、16以下が好ましく、さらに12以下が特に好ましい。そのような炭素数が12以下の具体的に好ましい置換基の例としては、メチル基、 i−ブチル基、i−オクチル基、シクロヘキシル基、フェネチル基、フェニル基、トリル基が挙げられる。
【0029】
Rとして採用されるケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基としては、広範な構造のものが採用されるが、例えば下記一般式(9)、あるいは一般式(10)の構造の基が挙げられる。当該ケイ素原子含有基中のケイ素原子数としては、通常1〜10の範囲であるが、好ましくは1〜6の範囲、より好ましくは1〜3の範囲である。ケイ素原子の数が大きくなりすぎると籠状シルセスキオキサン化合物は粘ちょうな液体となり、ハンドリングや精製が困難になるので好ましくない。
【0030】
【化9】
Figure 0004662403
【0031】
一般式(9)中のnは、通常は1〜10の範囲の整数であるが、好ましくは1〜6の範囲の整数、より好ましくは1〜3の範囲の整数である。
また、一般式(9)中の置換基R5及びR6は、水素原子又は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の有機基である。当該有機基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等の不飽和結合含有基、あるいはCF3CH2CH2−等の含フッ素アルキルのような置換アルキル基や、フェニル基、トルイル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラアルキル基が挙げられる。
【0032】
一般式(9)中のR7は、水素原子又は炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8の有機基である。当該有機基の例としては、1)メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシル−エチル基、オクチル基、ドデシル基等のアルキル基、2)ビニル基、アリル基、2−シクロヘキセニル−エチル基等のアルケニル基、3)フェニル基、トルイル基、アルキル置換フェニル基等のアリール基、4)ベンジル基、フェネチル基等のアラアルキル基、5)3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基等の含フッ素アルキル基やCF3CF2CF2OCH2CH2CH2−基のような含フッ素エーテル基等の部分置換炭化水素基が挙げられる。なお、一般式(9)において、同一のケイ素原子に2個以上の水素原子が同時に連結することはない。Rとして採用されるシロキシ基の具体的例としては、例えばトリメチルシロキシ、ジメチルフェニルシロキシ、ジフェニルメチルシロキシ、ジメチル−n−ヘキシルシロキシ、ジメチルシクロヘキシルシロキシ、ジメチルオクチルシロキシ、(CH33SiO[Si(CH32O]k−(k=1〜9)、2−フェニル−2,4,4,4−テトラメチルシロキシ、4−フェニル−2,2,4,4−テトラメチルシロキシ、4,4−ジフェニル−2,2,4−トリメチルシロキシ、2,4−ジフェニル−2,4,4−トリメチルシロキシ等が挙げられる。
【0033】
【化10】
Figure 0004662403
【0034】
一般式(10)において、Raは炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、炭素数としては、好ましくは2〜6の範囲であり、特に好ましくは2または3である。Raの具体例としては、例えば、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−(CH2)m−(m=4〜10)等のアルキレン基があげられる。
一般式(10)におけるR5,R6,R7は、一般式(9)中のR5,R6,R7と同じである。また、R8,R9は、R5,R6と同じである。n' は、0または1〜9の範囲の整数であるが、好ましくは0または1〜5の範囲の整数、特に好ましくは0、1または2である。
【0035】
上記一般式[RSiO3/2n、一般式[RSiO3/2n-m(O1/2H)2+m及び一般式(1)〜(8)中のRは1種類で籠状シルセスキオキサン化合物あるいはその部分開裂構造体を構成してもよいし、2種類以上の置換基で構成してもよい。
籠状シルセスキオキサンの合成法としては、例えば、BrownらのJ.Am.Chem.Soc.,1965,87,4313や、FeherらのJ.Am.Chem.Soc.,1989,111,1741、Organometallics 1991,10,2526等が報告されている。
【0036】
これらの文献によると、例えば、シクロヘキシルトリエトキシシランを水/メチルイソブチルケトン中、触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキサイドを加えて反応させることにより結晶として得られる。また上記一般式(6)〜(8)で表されるトリシラノール体及びジシラノール体は完全縮合型の籠状シルセスキオキサン化合物を製造する際に同時に生成するか、完全縮合型の籠状シルセスキオキサン化合物からトリフルオロ酸やテトラエチルアンモニウムヒドロキサイドによって部分切断することにより合成できることがFeherらのChem.Commun.1998,1279によって報告されている。
【0037】
籠状シルセスキオキサンの構造解析としては、例えばLarssonらのAlkiv Kemi 16,209(1960)によってX線構造解析が行われ、構造の同定が行われている。また、これらの籠状シルセスキオキサンは簡易的に赤外吸収スペクトルやNMRを用いて同定を行うことができ、例えばVogtらのInnorag.Chem.2,189(1963)によって示されている。
本発明の(A)成分(ポリアミド系樹脂)、(B)成分(籠状シルセスキオキサンおよび/またはその部分開裂構造体)、(C)成分(充填剤)を含有するポリアミド系樹脂組成物において、(A)成分と(B)成分の合計100重量部における、(B)成分の配合量は、通常は0.1〜50重量部である。さらに、好ましくは1〜30重量部の範囲、より好ましくは2〜20重量部の範囲、特に好ましくは3〜15重量部が使用される。0.1重量部より配合量が少ない場合は溶融流動性改善に対する効果が小さい。一方、配合量が50重量部を越えると得られる成形体の機械的強度等が低下するうえ、コスト高になるだけであるので好ましくはない。
【0038】
本発明のポリアミド系樹脂組成物においては、(B)成分である籠状シルセスキオキサンあるいはその部分開裂構造体をそれぞれ単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物として用いてもよい。またこれらの籠状シルセスキオキサン及びその部分開裂構造体のいずれかを、添加されるシルセスキオキサン化合物全体(無定形構造やラダ−構造のシルセスキオキサンも含むもの)に対して50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90%以上含んでいれば、他のシルセスキオキサン化合物(無定形構造やラダ−構造のシルセスキオキサン)を含んだ化合物であっても、本発明の目的を達することができる。なお本発明に使用される一般式(1)〜(5)及び一般式(6)〜(8)で表される籠状シルセスキオキサン化合物あるいはその部分開裂構造体に対して、籠を形成していない無定形のシルセスキオキサンをポリアミド系樹脂組成物の添加剤として用いた場合は、成形時の溶融流動性向上効果は小さい。
【0039】
次に本発明の(C)成分である充填剤について説明する。
本発明では、ポリアミド系樹脂組成物の耐熱性アップや力学特性付与を目的として、(C)成分である充填剤を加えることができる。用いられる充填剤の形状や種類は特に限定されるものではなく、繊維状、チョップド繊維状、板状、球状などが任意に選択できるが、具体例としては、ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、スラグ繊維、炭化ケイ素、カーボンブラック、セラミック、ウォラストナイト、フェライト、窒化ケイ素、ネフェリンシナイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスバルーン、石英、石英ガラス、珪藻土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、チタニア等の従来より用いられる公知の無機充填剤、タルク、マイカ、合成マイカ、モンモリロナイト、ヘクトライト、バーミキュライト、カオリナイト等の層状化合物類、およびアラミド繊維(全芳香族ポリアミド系繊維)、ポリアリレート繊維(全芳香族ポリエステル系繊維)、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維等の液晶繊維系有機充填剤が挙げられるが、中でも溶融流動性、耐熱性、機械特性、コストのバランスからガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、層状化合物、シリカが好ましく用いられ、さらに好ましくはガラス繊維、アラミド繊維、層状化合物が用いられる。
【0040】
なお上記のような充填剤は、2種以上を併用することも可能である。さらに、それらを組成物中に高分散させるために充填剤自身に有機化などの化学修飾等が施されていても構わない。そのような例としては、例えばシリコーンカップリング剤等を付与されたガラスファイバーやシリカ類、または膨潤性合成マイカ、モンモリロナイト、ヘクトライト等の層間金属カチオンを長鎖アルキルアンモニウム系の有機カチオンなどでイオン交換することにより、層間への有機高分子の挿入を容易にした、有機化層状シリケート化合物等が好ましく用いられる。
【0041】
上記(C)成分の充填剤の添加量は、本発明のポリアミド系樹脂組成物における(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、0〜100重量部であり、好ましくは0〜80重量部であり、さらに好ましくは0〜60重量部である。添加量が100重量部より多いと本発明の効果の範囲を越えて溶融流動性が著しく低下して成形性が不良となったり、得られる成形体の力学強度も逆に低下してしまうため好ましくない。
【0042】
また、本発明のポリアミド系樹脂組成物は、(融点+5)℃〜(融点+60)℃の温度範囲から選ばれる任意の温度で測定された溶融粘度低下率(MVR;(式A)にて定義)の値が0<MVR<0.80の範囲であるか、もしくはメルトインデックス上昇率(MIR;(式B)にて定義)の値が0<MIR<15.0の範囲であることを特徴とする。
MVR=( V0−V)/V0 (式A)
MIR=(MI−MI0)/MI0 (式B)
ここで、(式A)と(式B)中のVおよびMIは、それぞれ本発明のポリアミド系樹脂組成物のせん断速度4000sec-1における溶融粘度(Pa・s)、およびメルトインデックス(g/10min)であり、V0およびMI0は、それぞれ上記ポリアミド系樹脂組成物から籠状シルセスキオキサンもしくはその部分開裂構造体((B)成分)を除いて同様に得られる比較組成物の溶融粘度およびメルトインデックスである。なお溶融粘度は、JIS K7199に従いキャピラリーレオメータを用いて測定される値を、またメルトインデックスは、JISK6730に従いメルトインデクサーを用いて測定される値を使用することが好ましい。
【0043】
なお、溶融粘度低下率(MVR)の値は0<MVR<0.80の範囲であるが、好ましい値は0.03<MVR<0.60であり、より好ましくは0.05<MVR<0.40である。
また、メルトインデックス上昇率(MIR)の値は0<MIR<15.0の範囲であるが、好ましい値は0.1<MIR<10.0であり、より好ましくは0.5<MIR<5である。
【0044】
MVRあるいはMIRが0以下であると溶融流動性の改善効果が全く見られないことを意味するため好ましくないし、逆にMVRが0.80以上あるいはMIRが15.0以上であると溶融流動性が高すぎるため、溶融成形の際、金型等からの樹脂漏れや樹脂垂れが起こりやすくなり実用上好ましくない。
尚、溶融粘度の測定温度範囲に示される「融点」とは、ポリアミド系樹脂組成物を構成するポリアミド樹脂の融点を意味し、2種以上のポリアミド樹脂が使用されているブレンド物もしくはアロイの場合には含有量の最も多いポリアミド樹脂の融点とする。例えばポリアミド系樹脂組成物が、融点が265℃のナイロン66から主になる場合には、溶融粘度もしくはメルトインデックスの測定は270〜325℃の範囲内で行われるし、ナイロン6(融点220℃)の場合には225〜280℃の温度範囲である。
【0045】
本発明のポリアミド系樹脂組成物は、溶融した際の流動性に優れる。そのため、本発明のポリアミド系樹脂組成物は溶融流動性を必要とする溶融押し出し成形、射出成形等の成形方法において、高い分子量のポリアミドを用いる場合や、充填剤を多量に用いる場合、または複雑な形状の成形体を製造する場合に効果を有する。
【0046】
また、本発明のポリアミド系樹脂組成物には、本発明の特徴および効果を損なわない範囲で必要に応じて他の公知の付加的添加物、例えば、酸化防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、フェニル−β−ナフチルアミン等)、難燃剤(デクロランプラス、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリスチレンのような一般的なハロゲン系難燃剤、およびメラミン、シアヌール酸、シアヌール酸メラミンなどのトリアジン化合物等)、エラストマー(エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/ メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物等)、可塑剤(ヘキシレングリコールやグリセリンのような高級アルコール系化合物、p−オキシ安息香酸オクチルやp−オキシ安息香酸−2−エチルヘキシルのようなヒドロキシ安息香酸エステル系化合物、N−メチルベンゼンスルホンアミドやp−トルエンスルホンアミドのような芳香族スルホンアミド系化合物、β−ナフトールやジベンジルフェノールオクチルクレゾールのようなフェノール類等)、耐候(光)性改良剤(カーボンブラック、銅化合物系、リンオキシ酸マンガン塩系、ベンゾフェノン系、トリアゾール系、イミダゾール系、オキサゾール系、およびヒンダードアミン系化合物等)、結晶核剤、各種着色剤、離型剤等を添加してもかまわない。
【0047】
以下に、本発明のポリアミド系樹脂組成物の製造方法について説明する。
本発明のポリアミド系樹脂組成物の製造方法は、特に規定されるものではないが、例えば上記のポリアミド系樹脂((A)成分)、籠状シルセスキオキサンおよび/またはその部分開裂構造体((B)成分)、充填剤((C)成分)、および場合によってはその他の添加物を、単軸押出機、二軸押出機、プラストミル、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープラストグラフ等の加熱溶融混練機を用いて溶融混練する方法、樹脂の溶媒(フェノール類や蟻酸類等)を用い溶液ブレンドした後、溶媒を除去して得る方法、またはポリアミド樹脂の重合時において、予めポリアミドのモノマーに籠状シルセスキオキサン類、およびその他の添加剤を加えて重合する方法などが挙げられる。
【0048】
その中でも単軸もしくは2軸押出機による溶融混練が生産性の面で好ましく、その場合における(B)成分の添加順序は特に制限されず、例えば予め全成分をプレミックスして同時に押出機に投入しても構わないし、(B)成分をサイドフィーダーで後添加しても構わない。また高濃度(例えば40重量%)で(B)成分を含むポリアミド系樹脂/(B)成分のマスターバッチを予め作成しておき、それを必要に応じて希釈しても問題なく、(B)成分や(C)成分の形態、ハンドリングの良し悪しによって最適な方法を選択すれば良い。この際の溶融混錬温度は特に限定されるものではないが、通常150〜350℃の中から任意に選ぶことができる。
【0049】
本発明のポリアミド系樹脂組成物は先記のごとく溶融流動性に優れているので、溶融流動性を必要とする各種の溶融成形方法により、経済的に有利に、かつ高品質の成形体を製造することが出来る。例えば圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、溶融押し出し成形、ブロー成形、中空成形、カレンダ成形といった各種の溶融成形方法が使用される。中でも、生産性に優れる射出成形と溶融押し出し成形が好ましく、その際の溶融温度は150〜350℃の中から任意に選ぶことができる。
また、そのポリアミド系樹脂成形体の形態も特に限定されず、フィルム状や繊維状であっても構わない。
【0050】
本発明のポリアミド系樹脂組成物から得られる成形体は、線膨張係数低下率(TER;(式C)にて定義)の値が、0<TER<0.90の範囲である特徴を有する。
TER=(TE0−TE)/TE0 (式C)
ここで、(式C)中のTEは本発明のポリアミド系樹脂組成物から得られるポリアミド系樹脂成形体の線膨張係数(ppm/℃)であり、TE0は上記ポリアミド系樹脂組成物から籠状シルセスキオキサンあるいはその部分開裂体((B)成分)を除いた比較組成物から同様の方法で、同様の形態に作成された比較成形体を、同じ方法で測定して得られた線膨張係数である。
【0051】
なお線膨張係数低下率(TER)の値は、0<TER<0.90の範囲であるが、成形体の実用上好ましいTERの下限範囲は0.01<TER、より好ましくは0.04<TER、特に好ましくは0.07<TERである。一方、成形体の各種機械的物性のバランスを保つためにはTERの上限範囲は、通常はTER<0.60、好ましくはTER<0.50、特に好ましくはTER<0.40である。
【0052】
なお本発明のポリアミド系樹脂成形体における、線膨張係数の測定部位および測定方向は、その比較成形体の線膨張係数測定を行った位置および方向と同じでなくてはならず、その条件を満たせば、どの部位、どの方向を選択しても構わない。例えば、射出成形による短冊成形体であれば、射出流動方向(MD方向)、射出直角方向(TD方向)のいずれで比較測定しても良いし、圧縮成形板であればその厚み方向の値を使用してもよい。またフィルムやシートの場合には、例えばその押し出し方向が挙げられるし、繊維状ではその繊維軸方向での比較測定が可能である。中でも、射出成形で得られたポリアミド系樹脂成形体における射出流動方向(MD方向)の値が、通常良く用いられる。
【0053】
但し、射出成形、押し出し成形、圧縮成形等で得られた成形体においては、線膨張係数の異方性が発現するのが一般的であり、例えば射出成形体のMD方向において線膨張係数の低下(TER>0)が見られる場合には、一方でTD方向の線膨張係数は上昇するのが普通である(TER<0)。従って、本発明のポリアミド系樹脂成形体でも線膨張係数の測定方向(例えば射出成形体におけるTD方向)によってはTER<0となるケースが発生する可能性があるが、ある一定の測定方向(例えば射出成形体におけるMD方向)においてはTER>0の条件を満たすのであるなら、その成形体は本発明に含まれる。
【0054】
本発明のポリアミド系樹脂成形体は、(B)成分(籠状シルセスキオキサンもしくはその部分開裂構造体)を含まない相当する比較組成物から得られる比較成形体との相対的な比較評価によって示されるTER>0の条件を満たすものである。従って、線膨張係数の測定方法はASTM D696に従えば、どのような装置を用いても構わないが、例えばTMA(ThermomechanicalAnalysis)装置を用いる方法が汎用的手段として例示される。なお具体的にTMA法とは、石英板上に測定用サンプルを置き、そのサンプル上部には円柱型石英プローブを一定荷重でセットした状態で昇温し、ある温度範囲におけるプローブの熱膨張変位を観測する方法(Push Mode)である。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を実施例及び比較例に基づき詳細に説明する。ただし、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
実施例で使用した籠状シルセスキオキサンの構造、略号(Silq−1〜6)は、表1にまとめて記載した。
【0056】
【実施例1】
(ポリアミド系樹脂組成物の製造および溶融粘度の測定)
100℃で5時間真空乾燥した95重量部のナイロン66((A)成分;旭化成製レオナ1300S、相対粘度VR=45)と、5重量部のOcta IsoOctyl−Silsesquioxane((B)成分;Silq−3、表1に構造記載)をプレミックスして、270℃に設定したベントポート付き二軸押出機(KZW15−45MG;TECHNOVEL社製)に投入し、スクリュー回転数300rpmにて溶融混練押出しを行った。混錬押出し物は直ちに水冷されたのち、ペレタイザーにかけられ、ポリアミド系樹脂組成物をペレットとして得た。
【0057】
得られたペレットの溶融流動性の評価は、 JIS K7199−1999に従う溶融粘度測定によって行い、 2本のバレルを有するキャピラリーレオメータ(ROSAND社製RH7−2型、長さ16.0mm×1mmφのロングオリフィスと長さ0.75mm×1mmφのショートオリフィス使用)を用いて測定した(バーグレー補正(方法A)有り)。測定温度280℃、せん断速度4000cm-1におけるせん断粘度は46.8(Pa・s)であり、溶融粘度低下率はMVR=0.15であった(比較組成物は54.8(Pa・s);比較例1参照)。
(ポリアミド系樹脂成形体の製造)
得られたポリアミド系樹脂組成物ペレットを、シリンダー温度を295/295/295/295℃に設定した射出成形機(FANUC FAS−15A)に投入し、金型温度を80℃に設定して、射出速度50mm/秒で射出成形を行った。
【0058】
(線膨張係数の測定)
図1に示すような、厚み3mm×長さ127mm×幅12.7mm(ゲート位置および射出方向は、図中の矢印1で図示)の射出成形タンザク試験片の中央部から線膨張係数測定用のブロック(厚み3mm×長さ10mm×幅5mm)を切り出し、射出流動方向(MD方向;上記ブロックの長さ方向)における30℃〜80℃の平均熱膨張率(ppm/℃)を、 TMA装置(Thermomechanical Analysis;セイコーインスツルメント製TMA/SS150C)を用い、2g荷重下、5℃/分の昇温速度によるPush Modeにて測定した。線膨張係数は83ppm/℃であり、線膨張係数低下率はTER=0.14であった。
(吸水率の測定)
図1に示した射出成形タンザク試験片を23℃の水中に24時間浸漬し、浸漬前後の重量変化から吸水率を算出した結果、吸水率は1.3重量%であった。
以上の結果は、表2にまとめて示した。
【0059】
【実施例2】
(B)成分である籠状シルセスキオキサンとして、 籠状シルセスキオキサンの 部分開裂構造体であるIsooctyl TriSilanol−Silsesquioxane(Silq−5、表1に構造記載)を用い、それ以外は実施例1と同様にしてポリアミド系樹脂組成物及び射出成形品を得て、実施例1と同様に溶融粘度および線膨張係数の測定を行った。結果を表2に示す。溶融粘度低下率はMVR=0.14であり、線膨張係数低下率はTER=0.05であった。また吸水率は1.3重量%であった。結果を表2に示す。
【0060】
【比較例1】
(実施例1〜2の比較組成物、比較成形体の製造)
(B)成分である籠状シルセスキオキサンを用いずに、ナイロン66を単独で実施例1と同様に混錬して比較組成物(ペレット)を製造し、さらに実施例と同条件・同金型で成形を行って比較成形体を得た。
比較組成物の溶融粘度は54.8(Pa・s)であり、さらに実施例1と同様に成形して得られた比較成形体の線膨張率は97(ppm/℃)であった。また吸水率は1.5重量%であった。結果を表2に示す。
【0061】
【実施例3】
(A)成分として108重量部のナイロン66、(B)成分として6重量部のOcta IsoButyl−Silsesquioxane(Silq−2、表1に構造記載)、および(C)成分として12重量部のアラミド繊維(東レ・デュポン製KC20;1.49d、5mmカット品)を用い、実施例1と同様にしてポリアミド系樹脂組成物及び成形品を得て、溶融粘度、線膨張係数の測定を行った。
【0062】
測定温度280℃、せん断速度4000cm-1におけるせん断粘度は54.2(Pa・s)であり、溶融粘度低下率はMVR=0.13であった(比較例2参照)。また線膨張係数は80(ppm/℃)であり、線膨張係数低下率はTER=0.08であった。結果を表2に示す。
【0063】
【比較例2】
(実施例3の比較組成物、比較成形体の製造)
(B)成分である籠状シルセスキオキサンを加えない以外は、実施例3と同様に混錬を行い、ポリアミド系樹脂組成物及び成形品を得て、同様の評価を行った。
比較組成物の溶融粘度は62.6(Pa・s)であり、比較成形体の線膨張率は87(ppm/℃)であった。結果を表2に示す。
【0064】
【実施例4】
100℃で5時間真空乾燥した95重量部のナイロン6((A)成分;宇部興産製UBE1013B)と、5重量部のOcta Phenyl−Silsesquioxane((B)成分;Silq−1、表1に構造記載)をプレミックスして、260℃に設定したベントポート付き二軸押出機(KZW15−45MG;TECHNOVEL社製)に投入し、スクリュー回転数300rpmにて溶融混練押出しした。混錬押出し物は直ちに水冷されたのち、ペレタイザーにかけられ、ポリアミド系樹脂組成物をペレットとして得た。
【0065】
得られたペレットの溶融流動性の評価は、 JIS K6730に従うメルトインデックス法によって行い、 メルトインデクサー(東洋精機製A−111m)を用いて測定した。測定温度230℃、2.16kg荷重における10分間の吐出量は89gであり(比較組成物は37g;比較例3参照)、メルトインデックス上昇率はMIR=1.4であった。結果を表3に示す。
【0066】
【実施例5】
(B)成分である籠状シルセスキオキサンとして、 Octa IsoButyl−Silsesquioxane(Silq−2、表1に構造記載)を用い、それ以外は実施例4と同様にしてポリアミド系樹脂組成物を得て、メルトインデックスの測定を行った。
メルトインデックスは95(g/10分)であり(比較組成物は37(g/10分);比較例3参照)、メルトインデックス上昇率はMIR=1.6であった。結果を表3に示す。
【0067】
【実施例6】
(B)成分である籠状シルセスキオキサンとして、 部分開裂構造体であるCyclohexyl TriSilanol−Silsesquioxane(Silq−6、表1に構造記載)を用い、それ以外は実施例4と同様にしてポリアミド系樹脂組成物を得て、メルトインデックスの測定を行った。
メルトインデックスは112(g/10分)であり(比較組成物は37(g/10分);比較例3参照)、メルトインデックス上昇率はMIR=2.0であった。結果を表3に示す。
【0068】
【比較例3】
(実施例4〜6の比較組成物の製造)
(B)成分である籠状シルセスキオキサンを含まない以外は、実施例4と同様にしてナイロン6の単独混錬物(実施例4〜6の比較組成物)を得て、メルトインデックスの測定を行った。
メルトインデックスは37(g/10分)であり、相当する(B)成分添加組成物(実施例4〜6)よりも溶融流動性は劣っていた。結果を表3に示す。
【0069】
【実施例7】
(A)成分として114重量部のナイロン6、(B)成分として3重量部のIsobutyl TriSilanol−Silsesquioxane(Silq−4、表1に構造記載) 、および(C)成分として6重量部の有機化膨潤性合成マイカ(コープケミカル株式会社製の膨潤性合成マイカME−100の水分散液に、トリオクチルメチルアンモニウムブロミドのメタノール溶液を加えて層間カチオン交換し、ろ過、水洗、乾燥して得たもの)を用い、実施例4と同様にしてポリアミド系樹脂組成物を得て、実施例4と同様の評価を行った。
【0070】
メルトインデックスは30(g/10分)であり(比較組成物は13(g/10分);比較例4参照)、メルトインデックス上昇率はMIR=1.3であった。結果を表3に示す。
【0071】
【比較例4】
(実施例7の比較組成物の製造)
(B)成分である籠状シルセスキオキサンを用いないこと以外は、実施例7と同様にしてポリアミド系樹脂組成物(比較組成物)を得て、実施例4と同様の評価を行った。
メルトインデックスは13(g/10分)であり、相当する(B)成分添加組成物(実施例7)よりも溶融流動性は劣っていた。
【0072】
以上、実施例から明らかであるように、本発明の籠状シルセスキオキサンもしくはその部分開裂構造体((B)成分)を含むポリアミド系樹脂組成物は、(B)成分の添加前と比較して溶融流動性に極めて優れており、さらにそれを用いて得られるポリアミド系樹脂成形体は、ポリアミド樹脂の欠点である熱寸法安定性および吸水性も改善されていることが分かる。結果を表3に示す。
【0073】
【表1】
Figure 0004662403
【0074】
【表2】
Figure 0004662403
【0075】
【表3】
Figure 0004662403
【0076】
【発明の効果】
本発明のポリアミド系樹脂組成物は、籠状シルセスキオキサンもしくはその部分開裂構造体を加えない比較組成のものよりも高い溶融流動性を有するため、充填剤を多量に用いる場合に有効である。また、従来よりも高い分子量のポリアミドを用いる場合や複雑な形状の成形体を得る場合等の有用性も示唆され、組成物の溶融成形性を必要とする各種の溶融成形法により経済的に有利に成形体を得る事が出来る。さらに得られるポリアミド系樹脂成形体は、ポリアミド系樹脂の欠点である寸法安定性にも優れ、自動車部品、家電部品、OA機器部品、電子部品等で好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3、比較例1〜2において製造した射出成形タンザク試験片の形態、サイズ、ゲート位置、および線膨張係数測定用ブロックの形態と切りだし位置の平面図である。
【符号の説明】
1 射出成形時のゲート位置および射出方向
2 線膨張係数測定用ブロック

Claims (3)

  1. (A)ポリアミド系樹脂、(B)一般式[RSiO3/2nで表される籠状シルセスキオキサンおよび/または一般式[RSiO3/2n-m[O1/2H]2+mで表される、籠状シルセスキオキサンの一部が開裂した構造のケイ素化合物と、(C)充填剤を含有し、(A)と(B)の合計100重量部における(A)の配合量が50〜99.9重量部、(B)の配合量が0.1〜50重量部であり、(A)と(B)の合計100重量部に対する(C)の配合量が0〜100重量部であることを特徴とする溶融成形用のポリアミド系樹脂組成物。
    ( 一般式[RSiO3/2n 、一般式[RSiO3/2n-m[O1/2H]2+m中のRは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラアルキル基、アリール基、及びケイ素数1〜10のケイ素原子含有基のいずれか一種を表し、複数のRは同一でもそれぞれ異なってもよく、nは6〜14の整数であり、 mは0又は1である。)
  2. 請求項に記載のポリアミド系樹脂組成物を溶融成形法により成形体を製造する事を特徴とするポリアミド系樹脂組成物成形体の製造方法。
  3. 請求項に記載の製造方法で得られることを特徴とするポリアミド系樹脂成形体。
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