JP2005120213A - 熱寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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尚光 村山
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Abstract

【課題】耐熱性と熱寸法安定性に優れ、特に電子機器関連分野に好適に使用可能な熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】熱可塑性樹脂中に、その平均直径が1〜150μmの範囲にあるアラミド微粒子が、該熱可塑性樹脂に対して3〜35%の体積含有率となるように混合されてなる熱可塑性樹脂組成物であって、該熱可塑性樹脂組成物の、25℃から80℃までの熱膨張係数Aが、アラミド微粒子が混合されていない状態での熱可塑性樹脂の熱膨張係数Bの94%以下(A≦B×0.94)である。
【選択図】なし

Description

本発明は熱寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものであり、特に電子機器関連分野に好適に使用可能な熱寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関するものである。
近年、金属の代替材料としてプラスチック(熱可塑性樹脂組成物)が注目されている。特にOA機器、ゲーム機器、或いはAV機器など、小型化、軽量化の要求がますます高まりつつある電子機器関連分野では、微細な切削加工や微細孔あけ加工、高度な寸法精度、熱に対する寸法安定性(特に100℃以上の高温環境化で使用される場合の熱寸法安定性)などの諸特性の向上が求められている。
特に、熱可塑性樹脂組成物は、分子間がネットワーク状に結合硬化されている熱硬化性樹脂組成物に比べて高温領域における熱寸法安定性が劣る上、射出成型、押出成型、加熱成型、熱プレス成型など、加熱による成型加工が容易で、加工の汎用性に優れているので、この特性の改良方法が切望されてきた。
一方、軽量化による燃費向上を目的として、自動車部品のプラスチック化が急速に進んでいるが、これらプラスチック成型物が高温環境下、特に100℃以上の高温環境下で使用される場合には、塗装材料とプラスチック材料とでは熱膨張率が異なるために、成型品表面の塗装膜が剥離したり、塗装面に微細な亀裂が生じたりして、外観や意匠性が悪化することがある。
また、大型プラスチック成型物を他の材料、例えば金属などの成型物と組み合わせて使用する場合にも、その膨張率が異なるために、高温環境下では寸法差や噛み合い不良といった問題が生じる。
そのため現在、プラスチック成型物に要求される性能としては、熱に対する寸法安定性が最も重視されている。
このような熱可塑性樹脂組成物の熱寸法安定性を改善する方策として、従来より、樹脂変性などによる樹脂そのものの改良(例えば、特開平7−316381号公報など)や、無機系微粒子、無機系ウイスカーを樹脂中に混合する方法(例えば、特開2001−109711号公報など)が提案されている。
しかしながら、上記前者の方法においては、樹脂の分子末端変性に頼らざるを得ないため、熱寸法安定性の改善には自ずと限界がある。また、上記後者の方法においては、有機物と無機物とが混合されることになるが、有機物と無機物とでは、その加工性や熱分解温度が異なるため、微細な切削加工や微細孔あけ加工、或いは各種レーザーによる孔あけ加工などの際、有機物と無機物の界面近辺において、平滑性に優れた綺麗な切削面や孔部内壁面を得ることができないという問題を有しており、その解決策が切望されてきた。
特開平7−316381号公報 特開2001−109711号公報
本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点を解決し、耐熱性と熱寸法安定性、特に低温領域での熱膨張係数と、ガラス転移点近傍の高温領域での熱膨張係数との差が小さく、電子機器関連分野に好適に使用可能な熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、アラミド微粒子を熱可塑性樹脂中に混合させる際、その直径と混合率とを特定の範囲に制御して均一分散させるとき、所望の熱可塑性樹脂組成物が得られることを究明し、本発明に到達した。
かくして本発明によれば、熱可塑性樹脂中に、その平均直径が1〜150μmの範囲にあるアラミド微粒子が、該熱可塑性樹脂に対して3〜35%の体積含有率となるように混合されてなる熱可塑性樹脂組成物であって、該熱可塑性樹脂組成物の、25℃から80℃までの熱膨張係数Aが、アラミド微粒子が混合されていない状態での熱可塑性樹脂の熱膨張係数Bの94%以下(A≦B×0.94)であることを特徴とする熱寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物が提供される。
本発明によれば、耐熱性と熱寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られるので、特に電子機器関連分野に好適に使用することができる。
以下、本発明の実施形態を説明する。本発明において用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記のポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンの単独重合体、これらα−オレフィン同士のランダム又はブロック共重合体、これらα−オレフィンの過半重量と他の不飽和単量体とのランダム、グラフト又はブロック等の共重合体、或いはこれらオレフィン系重合体に酸化、ハロゲン化、スルホン化等の処理を施したものであり、少なくとも部分的にポリオレフィンに由来する結晶性を示すものであり、結晶化度は20%以上のものが好ましい。これらは、単独又は2種以上を併用してもよい。
ここで不飽和単量体の例としては、
(I)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アリールマレイン酸イミド、アルキルマレイン酸イミド等の不飽和カルボン酸又はその誘導体
(II)酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル
(III)スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物
(IV)ビニルトリメチルメトキシシラン、γ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン
(V)ジシクロペンタジエン、4−エチリデン−2−ノルボルネン等の非共役ジエン
などが挙げられる。
ポリオレフィンは既知の方法による重合又は変性等により得られるが、市販のものから適宜選択してもよい。これらの中でも、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1の単独重合体又はこれらの過半重量を含む共重合体が好ましい。
本発明において使用するポリアミド系樹脂は、ポリマー主鎖に−CO−NH−結合を有し、加熱溶融できるものである。その代表的な例としては、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6、ナイロン12、ナイロン6,10等が挙げられ、その他公知の芳香族ジアミン、芳香族ジカルボン酸等のモノマー成分を含む低結晶性及び非晶性のポリアミド等も用いることができる。好ましいポリアミドは、ナイロン6又はナイロン6,6が好ましい。
本発明において使用する飽和ポリエステル系樹脂としては、種々のポリエステル系樹脂があげられるが、例えば、通常の方法に従って、ジカルボン酸又はその低級アルキルエステル、酸ハライド若しくは酸無水物誘導体と、グリコール又は2価フェノールとを縮合させて製造する熱可塑性ポリエステルが挙げられる。このポリエステルを製造するのに適した芳香族又は脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、p,p’−ジカルボキシジフェニルスルホン、p−カルボキシフェノキシ酢酸、p−カルボキシフェノキシプロピオン酸、p−カルボキシフェノキシプロピオン酪酸、p−カルボキシフェノキシ吉草酸、2,6−ナフタリンジカルボン酸又は2,7−ナフタリンジカルボン酸あるいはこれらのカルボン酸の混合物が挙げられる。
また飽和ポリエステル系樹脂の製造に適する脂肪族グリコールとしては、炭素数2〜12の直鎖アルキレングリコール、例えばエチレングリコール、1,3プロピレングリコール、1,4―ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1,12―ドデカンジオールなどが例示される。また芳香族グリコールとしては、p−キシリレングリコールが例示され、2価フェノールとしては、ピロカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン又はこれらの化合物のアルキル置換誘導体が挙げられる。他の適当なグリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノールも挙げられる。
以上の飽和ポリエステル系樹脂の中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)が本発明の熱可塑性樹脂組成物に好適な飽和ポリエステルである。
本発明で使用するポリカーボネート系樹脂としては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族−芳香族ポリカーボネート等が挙げられる。そのうちでも、2,2−ビス(4−オキシフェニル)アルカン系、ビス(4−オキシフェニル)エーテル系、ビス(4−オキシフェニル)スルホン、スルフィド又はスルホキサイド系等のビスフェノール類からなる芳香族ポリカーボネートが好ましい。また必要に応じてハロゲンで置換されたビスフェノール類からなるポリカーボネートを用いることができる。
上記以外の熱可塑性樹脂としては、ポリアセタール(POM)、フッ素系樹脂、ポリサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリ(アルキル)アクリレート、メタクリル酸メチル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体などあげられるが、好ましくは、飽和ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂及び高性能樹脂と言われるポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、ポリミドなどである。
しかし、本発明はこれらの樹脂に限定されるものではなく、熱可塑的な特性を示す樹脂組成物であれば、いずれの樹脂にも本願発明を適用することが可能である。また本発明は、OA機器、ゲーム機器、AV機器、など、小型化、軽量化要求がますます高まりつつある電子機器関連部品や自動車関連部品など、100℃以上の高温環境下や常温から100℃以上の広範囲温度領域内で繰り返し昇降温されながら使用されるような環境下で長時間連続使用されるエンジニアリングプラスチック関係材料に対して特に効果的である。
次に、本発明で用いる微粒子としては、耐熱性に優れたアラミド微粒子が用いられる。この微粒子は、パラ系アラミドまたはメタ型アラミドからなる微粒子である。これらアラミド微粒子の平均直径は1〜150μmの範囲にあることが必要であり、好ましくは2μm〜100μmの範囲、さらに好ましくは3μm〜60μmの範囲である。
該アラミド微粒子の平均直径が1μm未満の場合、粒子が二次凝集を起こしやすくなって、熱硬化性樹脂中に均一に分散させることが難しくなる。一方、アラミド微粒子の平均直径が150μmを超えると、同一体積含有率の場合、熱硬化性樹脂中における微粒子の分散数(混合されている微粒子の数)が少なくなって、熱寸法安定性の向上効果が低下する。
また、樹脂との界面接着性向上、熱寸法安定性向上などの観点から、上記アラミド微粒子は多孔質状であることが好ましい。即ち、アラミド微粒子の孔中に樹脂が浸透し、界面を複雑化せしめて、アンカー効果や熱に対する寸法安定性効果を一層高めることができる。
本発明においては、上記熱可塑性樹脂に、上記アラミド微粒子を混合させるが、その際の混合方法は、特に限定されるものではなく、例えば溶融混合法又は溶液混合法等が使用できる。溶融混合の代表的な方法としては、熱可塑性樹脂組成物について一般に実用されている溶融混練機の使用が挙げられる。例えば一軸又は多軸混練押出、ロール、バンバリーミキサー等である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成型加工は特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂組成物について一般的に用いられている方法、すなわち射出成型法、押出成型、シート成型、熱成型、積層成型、プレス成型等の各種成型材料が適用できるが、特に限定されるものではない。
熱可塑性樹脂に対するアラミド微粒子の混合率は、体積含有率で3〜35%の範囲であることが必要であり、好ましくは5〜25%範囲、更に好ましくは8〜20%の範囲である。アラミド微粒子の体積含有率が3%未満では、熱寸法安定性に対する充分な効果が得られず、樹脂成型物の熱寸法安定性は樹脂が本来有する熱寸法変化量に大きく依存する結果となり、目的とする補強効果が得られなくなる。一方、アラミド微粒子の体積含有率が35%を超えると、アラミド微粒子の混合量が多くなりすぎて、凝集し易くなったり、混合、攪拌時における粘度が増大したりして、均一分散が困難になるばかりでなく、樹脂の成形性や取り扱い作業性が悪くなるという問題を新たに生じる。
上記熱可塑性樹脂組成物には、その物性を損なわない限りにおいて、その目的に応じて他の付加的成分を添加することができる。例えば異なる熱可塑性樹脂組成物同士を相溶させる相溶化剤、または熱可塑性樹脂組成物に周知の酸化防止剤、耐候性改良剤、造核剤、難燃剤、耐衝撃改良剤、可塑剤、流動性改良剤等を使用できる。場合によっては有機過酸化物を添加してもよい。また、本願発明の初期の目的である切削加工性や微細孔あけ加工性などを阻害しない範囲内で他の有機・無機系充填剤、補強剤、特にガラス繊維、マイカ、タルク、ワラストナイト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、シリカ等を少量添加し、剛性や耐熱性、寸法安定性などを用途の要求目的に応じてさらに安定化向上させることも可能である。また実用のために各種着色剤及びそれらの分散剤など周知のものを添加しても良い。
かくして得られた熱可塑性樹脂組成物は、25℃から80℃までの熱膨張係数Aが、アラミド微粒子が混合されていない状態での熱可塑性樹脂の熱膨張係数Bの94%以下(A≦B×0.94)であることが必要である。
該熱膨張係数Aが熱膨張係数Bの94%を越える場合は、熱寸法安定性が不良で、電子機器関連分野に使用することができない。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、実施例における各物性は下記の方法により測定した。
(1)熱寸法安定性の評価(熱膨張係数の測定)
ASTM D696に準じて測定した。但し、熱膨張係数の測定温度は、25℃(常温)から80℃まで温度を上昇させたときの長さの変化から算出した。
(2)切削加工性の評価
樹脂組成物に高速回転(約8万回転/分)する外径0.3mmφのドリルで5箇所に孔あけ加工を行い、その5箇所の孔について内壁を電顕写真で撮影し、円筒状の内壁上部近辺の切削状況を観察し、下記の基準で判定した。また、炭酸ガスレーザー(パルスエネルギー=5.7mJ、3ショット)で3ケ所に100ミクロンの孔をあけ、上記と同様に電顕写真で観察し、孔あけ加工性を判定した。
○;孔あけ加工性最良⇒円筒状内壁に微小突起物などの突き出しもなく平滑状で綺麗に孔あけ加工されている。
△;孔あけ加工性良好⇒円筒状内壁に微小突起物などの突き出しが若干みられるものの何とか実使用上問題ない状態に孔あけ加工されている。
×;孔あけ加工性不良⇒円筒状内壁に微小突起物の突き出しが多く見られ平滑状に孔あけ加工されていない状態になっている。
[実施例1]
ポリプロピレン樹脂からなるペレットに、あらかじめ105℃の温度で2日間乾燥させて得た平均直径が約35μmのパラ系アラミド微粒子(帝人トワロン製:トワロンパウダー)を体積含有率で20%となるように混合、攪拌し、均一分散指せた後、通常使用される汎用の二軸押出機を用いて、設定温度約230〜250℃で溶融混練し、ペレット化した。
その後、上記の熱可塑性樹脂組成物のペレットを、インラインスクリュー式射出成型機を用い、シリンダー温度約240〜260℃、金型温度約50〜60℃に設定し、射出圧力約900〜1000kg/cmの条件で射出成型を行い、試験片を作成した。
射出成型された試験片は、成型直後にデシケータに入れ、常温にて4〜6日間静置した後、所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、パラ系アラミド微粒子の体積混合率を30%に変更した以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、パラ系アラミド微粒子の体積混合率を15%に変更した以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、パラ系アラミド微粒子の体積混合率を10%に変更した以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、パラ系アラミド微粒子の体積混合率を4%に変更した以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1において、平均直径が約8μmであるパラ系アラミド微粒子を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例1において、平均直径が約2μmであるパラ系アラミド微粒子を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例1において、パラ系アラミド微粒子に代えて、微細な多孔を有するメタ系アラミド微粒子(帝人テクノプロダクツ製:商品名:コーネックスパウダー:微粒子の直径が約4μm)を体積含有率で20%となるよう混合、攪拌するとともに、真空乾燥機内で約7時間かけて脱泡を行なった以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[実施例9]
実施例1において、パラ系アラミド微粒子に代えて、微細な多孔を有するパラ系アラミド微粒子(帝人トワロン製:トワロンパウダー)を混合、攪拌するとともに、真空乾燥機内で約7時間かけて脱泡を行なった以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[実施例10]
実施例1において、平均直径が約70μmであるパラ系アラミド微粒子を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[実施例11]
実施例1において、平均直径が約135μmであるパラ系アラミド微粒子を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[実施例12]
実施例1において、ポリプロピレン樹脂に代えて、ポリアミド樹脂(66タイプ)を用い、二軸押出機の設定温度を約250〜270℃に変更してペレット化した後、インラインスクリュー式射出成型機のシリンダー温度を約260〜280℃、金型温度を約60〜80℃に設定し、射出圧力約1000〜1200kg/cmの条件で射出成型を行った以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[実施例13]
実施例1において、ポリプロピレン樹脂に代えて、ポリカーボネート樹脂を用い、二軸押出機の設定温度を約290〜310℃に変更してペレット化した後、インラインスクリュー式射出成型機のシリンダー温度を約300〜320℃、金型温度を約70〜90℃に設定し、射出圧力約1200〜1500kg/cmの条件で射出成型を行った以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[実施例14]
実施例1において、ポリプロピレン樹脂に代えて、ポリサルフォン樹脂を用い、二軸押出機の設定温度を約270〜300℃に変更してペレット化した後、インラインスクリュー式射出成型機のシリンダー温度を約280〜310℃、金型温度を約100〜120℃に設定し、射出圧力約1200〜1400kg/cmの条件で射出成型を行った以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[実施例15]
実施例1において、ポリプロピレン樹脂に代えて、ポリエーテルエーテルケトン樹脂を用い、二軸押出機の設定温度を約370〜390℃に変更してペレット化した後、インラインスクリュー式射出成型機のシリンダー温度を約380〜400℃、金型温度を約150〜180℃に設定し、射出圧力約1400〜1600kg/cmの条件で射出成型を行った以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、パラ系アラミド微粒子を混合、攪拌しない以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、パラ系アラミド微粒子の体積混合率を1.5%に変更した以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、パラ系アラミド微粒子の体積混合率を45%に変更した以外は実施例1と同様に実施した。この場合、パラ系アラミド微粒子を樹脂中に均一に分散することはできなかった。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1において、平均直径が約0.5μmであるパラ系アラミド微粒子を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[比較例5]
実施例1において、平均直径が約180μmであるパラ系アラミド微粒子を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[比較例6]
実施例12において、パラ系アラミド微粒子を混合しなかった以外は実施例10と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[比較例7]
実施例13において、パラ系アラミド微粒子を混合しなかった以外は実施例10と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[比較例8]
実施例14において、パラ系アラミド微粒子を混合しなかった以外は実施例10と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[比較例9]
実施例15において、パラ系アラミド微粒子を混合しなかった以外は実施例10と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
[比較例10]
実施例1において、パラ系アラミド微粒子に代えて、無機物微粒子(粒子直径が約1〜2ミクロンのシリカ微粒子、アドマテックス社製)を用いた以外は実施例1と同様に実施した。
得られた樹脂組成物を所定の大きさになるようにカットして熱膨張係数測定用サンプルを得た。また、該樹脂組成部に上記の切削加工を行い、切削状況を観察した。結果を表1に示す。
Figure 2005120213
本発明によれば、耐熱性と熱寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られるので、特に電子機器関連分野に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂中に、その平均直径が1〜150μmの範囲にあるアラミド微粒子が、該熱可塑性樹脂に対して3〜35%の体積含有率となるように混合されてなる熱可塑性樹脂組成物であって、該熱可塑性樹脂組成物の、25℃から80℃までの熱膨張係数Aが、アラミド微粒子が混合されていない状態での熱可塑性樹脂の熱膨張係数Bの94%以下(A≦B×0.94)であることを特徴とする熱寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物。
  2. アラミド微粒子がパラ系アラミドからなる微粒子である請求項1記載の熱寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物。
  3. アラミド微粒子がメタ系アラミドからなる微粒子である請求項1記載の熱寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物。
  4. アラミド微粒子の平均直径が2μm〜100μmの範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物。
  5. アラミド微粒子が微細な多孔質状微粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱寸法安定性に優れた熱可塑性樹脂組成物。
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