JP2002309080A - ガラス繊維強化ポリアミド系樹脂組成物 - Google Patents

ガラス繊維強化ポリアミド系樹脂組成物

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JP2002309080A
JP2002309080A JP2001116772A JP2001116772A JP2002309080A JP 2002309080 A JP2002309080 A JP 2002309080A JP 2001116772 A JP2001116772 A JP 2001116772A JP 2001116772 A JP2001116772 A JP 2001116772A JP 2002309080 A JP2002309080 A JP 2002309080A
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glass fiber
polyamide resin
resin composition
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fiber reinforced
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JP2001116772A
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Yasuhiro Nakano
靖浩 仲野
Masanori Ikeda
池田  正紀
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い溶融流動性を有する、ガラス繊維強化ポ
リアミド系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】(A)ポリアミド系樹脂と、(B)一般式
[RSiO3/2nで表される籠状シルセスキオキサンお
よび/または一般式[RSiO3/2n-m[O1/2H]2+m
で表される、籠状シルセスキオキサンの一部が開裂した
構造のケイ素化合物と、(C)ガラス繊維を含有するガ
ラス繊維強化ポリアミド系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガラス繊維強化ポリ
アミド系樹脂組成物に関する。更に詳しくは、籠状シル
セスキオキサン化合物あるいはその部分開裂構造体が添
加された、溶融成形用のガラス繊維強化ポリアミド系樹
脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガラス繊維強化ポリアミド系樹脂は、ポ
リアミド系樹脂が本来有する耐熱性、耐薬品性、耐油
性、耐磨耗性といった特徴に加え、ガラス繊維による補
強効果によって力学的物性(剛性、強度等)や熱的物性
(熱変形温度や熱寸法安定性等)が著しく向上するた
め、優れたエンジニアリングプラスチックとして自動車
部品、家電部品、OA機器部品を始めとする多岐の分野
で使用されている。
【0003】ところが、一般にガラス繊維を加えるとポ
リアミド系樹脂組成物の溶融流動性は著しく低下するた
め、溶融成形によって大型または複雑な形状のガラス繊
維強化ポリアミド系樹脂成形体を得るためには溶融成形
温度を高くする等の工夫が必要となる。ところがポリア
ミド樹脂は熱分解や加水分解等の副反応を起こしやすい
アミド基よりなる高分子であるため、溶融成形時にはポ
リアミド樹脂の酸化劣化や加水分解による分子鎖切断
(分子量低下)や着色などの副反応を抑えるための細心
の注意が必要であり、成形性を良くするために単純に溶
融温度を高くするのは好ましい方法とは言えない。
【0004】すなわち、できるだけ低い溶融温度で成形
を行うことがポリアミド系樹脂には好ましいのであり、
特にガラス繊維強化物をはじめとする溶融流動性の低い
ポリアミド系樹脂組成物に対しては、できるだけ低い温
度において高い溶融流動性を発現させる工夫が重要とな
る。そのような課題に対しては、従来よりポリアミド系
樹脂類に使用されている高級アルコール類、ヒドロキシ
安息香酸エステル類、芳香族スルホンアミド類、フェノ
ール類のような有機化合物系可塑剤を用いる方法が考え
られるが、そのような有機系可塑剤を用いた場合、効果
も十分でない上、製品からのブリードアウトや溶出によ
る環境や人体への悪影響が懸念されるため、昨今の状況
から判断すれば決して好ましいとは言えない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状を鑑み、従来の有機化合物系可塑剤を加えることな
く、極めて高い溶融流動性を発現することを特徴とする
ガラス繊維強化ポリアミド系樹脂組成物を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、一般式
[RSiO3/2nで表される籠状シルセスキオキサンお
よび/または一般式[RSiO3/2n-m[O1/2H]2+m
で表される、籠状シルセスキオキサンの部分開裂構造体
を含むガラス繊維強化ポリアミド系樹脂組成物の特性を
幅広く検討した結果、驚くべきことに籠状シルセスキオ
キサン又はその部分開裂構造体の添加により、当該ガラ
ス繊維強化樹脂組成物の溶融流動性が著しく向上し、溶
融流動性を必要とする成形において経済的に有利に、か
つ高品質の成形体の製造を可能にせしめた。さらにそれ
より得られる成形体は、曲げ弾性率や曲げ強度も改善さ
れていること見出し本発明に至った。
【0007】即ち、本発明は、 (1)(A)ポリアミド系樹脂と、(B)一般式[RS
iO3/2nで表される籠状シルセスキオキサンおよび/
または一般式[RSiO3/2n-m[O1/2H]2 +mで表さ
れる、籠状シルセスキオキサンの一部が開裂した構造の
ケイ素化合物と、(C)ガラス繊維を含有するガラス繊
維強化ポリアミド系樹脂組成物。 (2)(1)に記載のガラス繊維強化ポリアミド系樹脂
組成物の(A)ポリアミド系樹脂と、(C)ガラス繊維
の合計100重量部における(A)の配合量が50〜9
0重量部、(C)の配合量が10〜50重量部であり、
(A)と(C)の合計100重量部に対する(B)一般
式[RSiO3/2nで表される籠状シルセスキオキサン
および/または一般式[RSiO3/2n-m[O1/2H]
2+mで表される、籠状シルセスキオキサンの一部が開裂
した構造のケイ素化合物との配合量が0.1〜50重量
部であって、かつ、当該ポリアミド系樹脂を構成するポ
リアミド樹脂の融点の(融点+5)℃〜(融点+50)
℃の温度範囲から選ばれる任意の温度で測定された下記
式(1)で表されるメルトインデックス上昇率(MI
R)の値が0<MIR<15.0の範囲であることを特
徴とする請求項1に記載のガラス繊維強化ポリアミド系
樹脂組成物。
【0008】 MIR=(MI−MI0)/MI0 (1) ( 一般式[RSiO3/2n 、一般式[RSiO3/2
n-m[O1/2H]2+m中のRは水素原子、炭素数1〜20
のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラ
アルキル基、アリール基、及びケイ素数1〜10のケイ
素原子含有基のいずれか一種を表し、複数のRは同一で
もそれぞれ異なってもよく、nは6〜14の整数であ
り、mは0又は1である。また式(1)中のMIは、ガ
ラス繊維強化ポリアミド系樹脂組成物のメルトインデッ
クス値(g/10min)であり、MI 0は上記ガラス
繊維強化ポリアミド系樹脂組成物から(B)成分を除い
た組成物のメルトインデックス値である。) (3) 上記(1)〜(2)のいずれかに記載のガラス
繊維強化ポリアミド系樹脂組成物を、溶融成形法により
成形体を製造することを特徴とするガラス繊維強化ポリ
アミド系樹脂成形体の製造方法。 (4) 上記(3)に記載の製造方法で得られることを
特徴とするガラス繊維強化ポリアミド系樹脂成形体。
【0009】以下に本発明を詳細に説明することとし、
まず(A)成分であるポリアミド系樹脂について説明す
る。本発明の(A)成分であるポリアミド系樹脂とは、
ポリアミド樹脂またはポリアミドとその他の樹脂との混
合物からなる樹脂を意味する。本発明の、(A)成分
(ポリアミド系樹脂)、(B)成分(籠状シルセスキオ
キサンおよび/またはその部分開裂構造体)、(C)成
分(ガラス繊維)を含有するガラス繊維強化ポリアミド
系樹脂組成物において、(A)と(C)の合計100重
量部における(A)の配合量は、通常は50〜90重量
部である。さらに、好ましくは55〜85重量部の範
囲、より好ましくは60〜80重量部の範囲が使用され
る。50重量部より樹脂の配合量が少ない場合は得られ
る成形体の機械的強度が逆に低下するため好ましくない
し、一方で配合量が90重量部を越えるとガラス繊維に
よる強化効果が殆ど発現されなくなるため好ましくな
い。
【0010】上記のポリアミド樹脂とは、分子鎖中に酸
アミド基(−CONH−)を規則的に有する重合体の総
称であり、どのような方法で合成されたものでも構わな
いが、代表的には炭素数mのジアミン[NH2(CH2
mNH2]と炭素数nの二塩基酸[ HOOC(CH2
n-2COOH ]よりなる重縮合物であるナイロンmn、
および炭素数nのω−アミノ酸[ H2N(CH2n-1
OOH ]または環式化合物であるラクタム[ NH(C
2n-1CO ]の重縮合物または開環重合物であるナ
イロンnが例示される。
【0011】前者の代表例としてはm=6のヘキサメチ
レンジアミンとn=6のアジピン酸より合成されるナイ
ロン66があり、その他にナイロン46、ナイロン61
0、ナイロン612、ナイロン6T(ポリヘキサメチレ
ンテレフタルアミド)、ナイロン6I(ポリヘキサメチ
レンイソフタルアミド)等が挙げられる。また、後者の
代表例としてはn=6のε−カプロラクタムより合成さ
れるナイロン6があり、その他にナイロン12、ナイロ
ン11等が挙げられる。一方、これらポリアミドのブレ
ンド物ならびに共重合物も本発明に用いられるポリアミ
ド樹脂の範疇に含まれる。なお、上記ポリアミド樹脂の
中では、特にナイロン6、ナイロン66、およびナイロ
ン66と他のポリアミド(例えばナイロン610、ナイ
ロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6
T/66、ナイロン6T/6I等)とのブレンド物が特
に好ましい。
【0012】本発明のポリアミド樹脂とは、90重量%
のギ酸水溶液を溶媒として測定される相対粘度VR(
VR=T1/T0であり、T1は25℃における8.4
重量%のポリアミド樹脂溶液の粘度管における流下時
間、T0は同じく溶媒である90重量%のギ酸水溶液の
流下時間である。)の値が、5〜1000の範囲のもの
であり、好ましくは10〜500、さらに20〜300
であることが特に好ましい。
【0013】ポリアミドのVRが5未満であると重合度
が低すぎて成形性が著しく悪く、ガラス繊維強化成形体
が得られたとしても極めて脆いものとなってしまうため
好ましくない。一方VRが1000を越えると、重合度
が大きすぎるため溶融流動性が著しく低く、本発明の方
法によっても成形体を得ることが困難になってしまうた
め好ましくない。本発明のポリアミド系樹脂とは、上記
ポリアミド樹脂とその他の樹脂とのブレンド物もしくは
アロイも包含するが、この場合ポリアミド樹脂の含有率
が高いほど本発明の効果が顕著になるので、一般にその
含有率は40重量%以上であることが好ましい。
【0014】なお、上記のその他の樹脂としては、特に
制限されるものではないが、例えば代表例としてポリプ
ロピレンやポリエチレンのようなポリオレフィン系樹
脂、エチレン/メタクリル酸共重合体系樹脂、EPDM
(エチレン/プロピレン/ジエン)系樹脂、ABS(ア
クリロニトリル/ブタジエン/スチレン)系樹脂、環状
ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂
などが挙げられ、それらは単独で加えても複数種の混合
物として加えても構わないし、他のモノマーが共重合さ
れたものや他の有機化合物によって分子鎖末端や主鎖
中、もしくは側鎖が変性されていてもよい。
【0015】次に、本発明の(B)成分である籠状シル
セスキオキサン等について説明する。シリカが[SiO
2nの一般式で表されるのに対し、シルセスキオキサン
は[RSiO3/2nで表される化合物である。シルセス
キオキサンは通常RSiX3(R=水素原子、アルキル
基、アルケニル基、アリール基、アラアルキル基等、X
=ハロゲン原子、アルコキシ基等)型化合物の加水分解
−重縮合で合成されるポリシロキサンであり、分子配列
の形状として、代表的には無定形、ラダー状、籠状(完
全縮合ケージ状)や完全縮合ケージ状からケイ素原子が
一原子少ないタイプや一部ケイ素−酸素結合が切断され
たタイプが知られている。このうち、本発明に用いるの
はこれら分子配列形状のうち籠状のもの及びその部分開
裂構造体である。
【0016】本発明で用いられる籠状シルセスキオキサ
ンとしては、一般式[RSiO3/2nにおいてnが6〜
14のものである。中でも合成化学的側面から、化合物
の安定性、合成収率の高さ、それに起因するコスト等を
考慮すれば、特に[RSiO3/26の化学式で表される
タイプ(一般式(1))、[RSiO3/28の化学式で
表されるタイプ(一般式(2))、[RSiO3/210
の化学式で表されるタイプ(一般式(3))、[RSi
3/212の化学式で表されるタイプ(一般式
(4))、および[RSiO3/214の化学式で表され
るタイプ(下記一般式(5))あるいはそれらの混合物
が好ましく使用され、さらに好ましくは[RSi
3/28の化学式で表されるタイプ(一般式(2))ま
たはn=8,10,12の混合物が使用される。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】また、本発明では上記の籠状シルセスキオ
キサンの代わりに、籠状シルセスキオキサンの一部のケ
イ素−酸素結合が部分開裂してできた、一般式[RSi
3/ 2n-m(O1/2H)2+m(nは6〜14の整数であ
り、mは0又は1である。)で表わされるケイ素化合物
を用いることができる。その中でも合成化学的側面か
ら、化合物の安定性、合成収率の高さ、それに起因する
コスト等を考慮すれば、特に一般式(1)の一部が開裂
したトリシラノール体、すなわち、[RSiO3/2
7(O1/2H)3の化学式で表されるタイプ(下記一般式
(6))、[RSiO3/28(O1/2H)2の化学式で表
されるタイプ(下記一般式(7)および(8))が好ま
しく使用され、さらに好ましくは[RSiO3/27(O
1/2H)3の化学式で表されるトリシラノール体(一般式
(6))が使用される。なお、一般式(6)、(7)及
び(8)において、同一ケイ素原子に結合しているRと
OHは、お互いの位置を交換したものでもよい。
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】本発明に使用される籠状シルセスキオキサ
ン、あるいはその部分開裂構造体におけるRの種類とし
ては、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、シクロ
アルキル基、アルケニル基、アラアルキル基、アリール
基及び後述する一般式(9)で表わされるケイ素数1〜
10のケイ素原子含有基が挙げられる。上記Rのうちア
ルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、n
−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル、i−ペ
ンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、
n−ヘプチル、i−ヘプチル、n−オクチル、i−オク
チル、n−ノニル、i−ノニル、n−デシル、i−デシ
ル、n−ウンデシル、i−ウンデシル、n−ドデシル、
i−ドデシル基等が挙げられる。
【0027】上記Rのうちシクロアルキル基の例として
は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチ
ル、シクロオクチル、シクロノニル、メチルシクロペン
チル、メチルシクロヘキシル等が挙げられる。アルケニ
ル基の例としては、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペ
ンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネ
ニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、シクロヘ
キセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエ
チル等が挙げられる。
【0028】アラアルキル類の例としてはベンジル、フ
ェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、
4−メチルベンジル、2,6−ジメチルベンジル、2,
4−ジメチルベンジル、2,5−ジメチルベンジル、2
−エチルベンジル、3−エチルベンジル、4−エチルベ
ンジル、2−メチルフェネチル、3−メチルフェネチ
ル、4−メチルフェネチル、2−プロピルベンジル、3
−プロピルベンジル、4−プロピルベンジル、2−エチ
ル−6−メチルベンジル、2−エチル−5−メチルベン
ジル、2−エチル−4−メチルベンジル、6−エチル−
2−メチルベンジル、5−エチル−2−メチルベンジ
ル、4−エチル−2−メチルベンジル、2,6−ジメチ
ルフェネチル、2,5−ジメチルフェネチル、2,4−
ジメチルフェネチル、2−エチルフェネチル、3−エチ
ルフェネチル、4−エチルフェネチル、2,6−ジエチ
ルベンジル、2,5−ジエチルベンジル、2,4−ジエ
チルベンジル、2−エチル−6−メチルフェネチル、2
−エチル−5−メチルフェネチル、2−エチル−4−メ
チルフェネチル、6−エチル−2−メチルフェネチル、
5−エチル−2−メチルフェネチル、4−エチル−2−
メチルフェネチル、2,6−ジエチルフェネチル、2,
5−ジエチルフェネチル、2,4−ジエチルフェネチル
基等が挙げられる。
【0029】上記Rのうちアリール基の例としては、フ
ェニル基、あるいは炭素数1〜14、より好ましくは炭
素数1〜8のアルキル基で1置換あるいは複数置換され
たフェニル基等が挙げられる。これらの置換基Rの中で
も、特に炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20
のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基及
び炭素数7〜20のアラアルキル基、フェニル基あるい
は炭素数1〜8のアルキル基で置換されたフェニル基の
場合には良好な成形時の溶融流動性が得られるが、成形
時の溶融流動性と籠状シルセスキオキサンのハンドリン
グ(Rの炭素数が大きくなると籠状シルセスキオキサン
化合物は粘ちょうな液体となり、ハンドリングや精製が
困難になる)のバランスを考慮すれば、アルキル基、シ
クロアルキル基、アルケニル基及びアラアルキル基の炭
素数は、16以下が好ましく、さらに12以下が特に好
ましい。
【0030】そのような炭素数が12以下の具体的に好
ましい置換基の例としては、メチル基、 i−ブチル
基、i−オクチル基、シクロヘキシル基、フェネチル
基、フェニル基、トリル基が挙げられる。Rとして採用
されるケイ素原子数1〜10のケイ素原子含有基として
は、広範な構造のものが採用されるが、例えば下記一般
式(9)、あるいは一般式(10)の構造の基が挙げら
れる。当該ケイ素原子含有基中のケイ素原子数として
は、通常1〜10の範囲であるが、好ましくは1〜6の
範囲、より好ましくは1〜3の範囲である。ケイ素原子
の数が大きくなりすぎると籠状シルセスキオキサン化合
物は粘ちょうな液体となり、ハンドリングや精製が困難
になるので好ましくない。
【0031】
【化9】
【0032】一般式(9)中のnは、通常は1〜10の
整数の範囲であるが、好ましくは1〜6の範囲の整数、
より好ましくは1〜3の範囲の整数である。また、一般
式(9)中の置換基R5及びR6は、水素原子又は炭素数
1〜10、好ましくは炭素数1〜6の有機基である。当
該有機基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、シクロヘキシル基等のアルキル基、ビニ
ル基、アリル基等の不飽和結合含有基、あるいはCF3
CH2CH2−等の含フッ素アルキルのような置換アルキ
ル基や、フェニル基、トルイル基等のアリール基、ベン
ジル基、フェネチル基等のアラアルキル基が挙げられ
る。
【0033】一般式(9)中のR7は、水素原子又は炭
素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12、より好まし
くは炭素数1〜8の有機基である。当該有機基の例とし
ては、1)メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シク
ロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、オクチル
基、ドデシル基等のアルキル基、2)ビニル基、アリル
基、2−シクロヘキセニルエチル基等のアルケニル基、
3)フェニル基、トルイル基、アルキル置換フェニル基
等のアリール基、4)ベンジル基、フェネチル基等のア
ラアルキル基、5)3,3,3−トリフルオロ−n−プ
ロピル基等の含フッ素アルキル基やCF3CF2CF2
CH2CH2CH2−基のような含フッ素エーテル基等の
部分置換炭化水素基が挙げられる。
【0034】なお、一般式(9)において、同一のケイ
素原子に2個以上の水素原子が同時に連結することはな
い。Rとして採用されるシロキシ基の具体的例として
は、例えばトリメチルシロキシ、ジメチルフェニルシロ
キシ、ジフェニルメチルシロキシ、ジメチル−n−ヘキ
シルシロキシ、ジメチルシクロヘキシルシロキシ、ジメ
チルオクチルシロキシ、(CH33SiO[Si(CH
32O]k−(k=1〜9)、2−フェニル−2,4,
4,4−テトラメチルシロキシ、4−フェニル−2,
2,4,4−テトラメチルシロキシ、4,4−ジフェニ
ル−2,2,4−トリメチルシロキシ、2,4−ジフェ
ニル−2,4,4−トリメチルシロキシ等が挙げられ
る。
【0035】
【化10】
【0036】一般式(10)において、Raは炭素数1
〜10の2価の炭化水素基であり、炭素数としては、好
ましくは2〜6の範囲であり、特に好ましくは2または
3である。Raの具体例としては、例えば、−CH2
2−、−CH2CH2CH2−、−(CH2m−(m=4
〜10)等のアルキレン基があげられる。一般式(1
0)におけるR5,R6,R7は、一般式(9)中のR5
6,R7と同じである。また、R8,R9は、R5,R6
同じである。n' は、0または1〜9の範囲の整数であ
るが、好ましくは0または1〜5の範囲の整数、特に好
ましくは0、1または2である。
【0037】上記一般式[RSiO3/2n、一般式[R
SiO3/2n-m(O1/2H)2+m及び一般式(1)〜
(8)中のRは1種類で籠状シルセスキオキサン化合物
あるいはその部分開裂構造体を構成してもよいし、2種
類以上の置換基で構成してもよい。籠状シルセスキオキ
サンの合成法としては、例えば、BrownらのJ.A
m.Chem.Soc.,1965,87,4313
や、FeherらのJ.Am.Chem.Soc.,1
989,111,1741、Organometall
ics 1991,10,2526等が報告されてい
る。
【0038】これらの文献によると、例えば、シクロヘ
キシルトリエトキシシランを水/メチルイソブチルケト
ン中、触媒としてテトラメチルアンモニウムヒドロキサ
イドを加えて反応させることにより結晶として得られ
る。
【0039】また、上記一般式(6)〜(8)で表され
るトリシラノール体及びジシラノール体は完全縮合型の
籠状シルセスキオキサン化合物を製造する際に同時に生
成するか、完全縮合型の籠状シルセスキオキサン化合物
からトリフルオロ酸やテトラエチルアンモニウムヒドロ
キサイドによって部分切断することにより合成できるこ
とがFeherらのChem.Commun.199
8,1279によって報告されている。籠状シルセスキ
オキサンの構造解析としては、例えばLarssonら
のAlkiv Kemi 16,209(1960)に
よってX線構造解析が行われ、構造の同定が行われてい
る。また、これらの籠状シルセスキオキサンは簡易的に
赤外吸収スペクトルやNMRを用いて同定を行うことが
でき、例えばVogtらのInnorag.Chem.
2,189(1963)によって示されている。
【0040】本発明の(A)成分(ポリアミド系樹
脂)、(B)成分(籠状シルセスキオキサンおよび/ま
たはその部分開裂構造体)、および(C)成分(ガラス
繊維)からなるポリアミド系樹脂組成物において、
(A)成分と(C)成分の合計100重量部に対する、
(B)成分の配合量は、通常は0.1〜50重量部であ
る。さらに、好ましくは1〜30重量部の範囲、より好
ましくは2〜20重量部の範囲、特に好ましくは3〜1
5重量部が使用される。0.1重量部より配合量が少な
い場合は溶融流動性改善に対する効果が小さく好ましく
ない。一方、配合量が50重量部を越えると得られる成
形体の機械的強度等が低下するうえ、コスト高になるだ
けであるので好ましくはない。
【0041】本発明のガラス繊維強化ポリアミド系樹脂
組成物においては、(B)成分である籠状シルセスキオ
キサンあるいはその部分開裂構造体をそれぞれ単独で用
いてもよいし、2種類以上の混合物として用いてもよ
い。またこれらの籠状シルセスキオキサンおよび/また
はその部分開裂構造体のいずれかを、添加されるシルセ
スキオキサン化合物全体(無定形構造やラダ−構造のシ
ルセスキオキサンも含むもの)に対して50重量%以
上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90%
以上含んでいれば、他のシルセスキオキサン化合物(無
定形構造やラダ−構造のシルセスキオキサン)を含んだ
化合物であっても、本発明の目的を達することができ
る。
【0042】なお、本発明に使用される一般式(1)〜
(5)及び一般式(6)〜(8)で表される籠状シルセ
スキオキサン化合物あるいはその部分開裂構造体の代わ
りに、籠を形成していない無定形のシルセスキオキサン
をポリアミド系樹脂組成物の添加剤として用いた場合
は、成形時の溶融流動性向上効果は小さい。次に本発明
の(C)成分であるガラス繊維について説明する。本発
明で用いられるガラス繊維は、無アルカリガラス繊維で
あっても含アルカリガラス繊維であってもよい。また形
状としては長繊維と短繊維のいずれでも構わないが、押
出し時におけるフィーダーからの供給精度等の点から長
さ0.5mm〜10mmのチョップドストランドの短繊
維が好ましく、さらに1mm〜8mmが好ましく、特に
1mm〜5mmが好ましく用いられる。
【0043】なお、これらガラス繊維の長さは、成形体
に要求される性能、混錬装置の形状、混錬条件などによ
って最適なものが選択され、例えば2軸押出し機のスク
リューデザイン、スクリュー回転数、吐出量などの運転
条件により最適なものが選ばれる。またガラス繊維の断
面形状も特に限定されないが、通常は円形のものが使用
され、その際の断面の平均直径は通常1〜30μmであ
り、さらには平均直径は3〜20μmが好ましく、特に
4〜15μmのものが好ましく用いられる。
【0044】なお、上記のガラス繊維には、ガラスとポ
リアミド系樹脂との親和性を高めるために表面処理が施
されていても構わない。そのような目的で使用される表
面処理剤としては、従来公知のガラス表面処理剤を用い
ることができ、具体的な例として、種々のシランカップ
リング剤が挙げられ、これらはシランカップリング剤の
アルコキシ基とガラス表面のシラノール基との縮合反応
によってガラス表面に様々な化学的性質を付与すること
ができる。
【0045】上記(C)成分であるガラス繊維の添加量
は、本発明のガラス繊維強化ポリアミド系樹脂組成物中
の(A)成分と(C)成分の合計100重量部におい
て、10〜50重量部であり、好ましくは15〜45重
量部であり、さらに好ましくは20〜40重量部であ
る。ガラス繊維の添加量が50重量部より多いと本発明
の効果の範囲を越えて溶融流動性が著しく低下して成形
性が不良となったり、得られる成形体の力学強度も逆に
低下してしまうため好ましくない。逆に添加量が10重
量部未満だと、ガラス繊維による補強効果が殆ど発現し
ないため好ましくない。
【0046】また、本発明のガラス繊維強化ポリアミド
系樹脂組成物は、(融点+5)℃〜(融点+50)℃の
温度範囲から選ばれる任意の温度で測定された下記式
(1)で表されるメルトインデックス上昇率(MIR)
の値が0<MIR<15.0の範囲であることを特徴と
する。 MIR=(MI−MI0)/MI0 (1) ここで、(式A)中のMIは、本発明のガラス繊維強化
ポリアミド系樹脂組成物のメルトインデックス値(g/
10min)であり、MI0は、上記ガラス繊維強化ポ
リアミド系樹脂組成物から籠状シルセスキオキサンもし
くはその部分開裂構造体((B)成分)を除いて同様に
得られる比較組成物のメルトインデックス値である。な
おメルトインデックスは、JIS K6730に従いメ
ルトインデクサーを用いて測定される値を使用すること
が好ましい。
【0047】メルトインデックス上昇率(MIR)の値
は0<MIR<15.0の範囲であるが、実用上好まし
い値は0.1<MIR<10.0の範囲であり、より好
ましくは0.5<MIR<5の範囲である。MIRが0
以下であると溶融流動性改善効果が全く見られないこと
を意味するため好ましくないし、逆にMIRが15.0
以上であると溶融流動性が高すぎるため、溶融成形の
際、金型等からの樹脂漏れや樹脂垂れが起こりやすくな
り実用上好ましくない。
【0048】なお、溶融粘度の測定温度範囲に示される
「融点」とは、ガラス繊維強化ポリアミド系樹脂組成物
を構成するポリアミド樹脂の融点を意味し、2種以上の
ポリアミド樹脂が使用されているブレンド物もしくはア
ロイの場合には含有量の最も多いポリアミド樹脂の融点
とする。例えばポリアミド系樹脂が、融点が265℃の
ナイロン66から主になる場合には、溶融粘度もしくは
メルトインデックスの測定は270〜315℃の範囲内
で行われるし、ナイロン6(融点220℃)の場合には
225〜270℃の温度範囲である。
【0049】本発明のガラス繊維強化ポリアミド系樹脂
組成物は、溶融した際の流動性に優れる。そのため、本
発明のガラス繊維強化ポリアミド系樹脂組成物は溶融流
動性を必要とする溶融押し出し成形、射出成形、圧縮成
形等の成形方法において、高い分子量のポリアミドを用
いる場合や、複雑な形状のガラス繊維強化成形体を製造
する場合に効果を発揮する。
【0050】本発明のガラス繊維強化ポリアミド系樹脂
組成物には、本発明の特徴および効果を損なわない範囲
で必要に応じて他の公知の付加的添加物、例えば、酸化
防止剤(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−
5,5’−ジメチルジフェニルメタン、フェニル−β−
ナフチルアミン等)、難燃剤(デクロランプラス、臭素
化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリスチレンのよう
な一般的なハロゲン系難燃剤、およびメラミン、シアヌ
ール酸、シアヌール酸メラミンなどのトリアジン化合物
等)、エラストマー(エチレン/プロピレン共重合体、
エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン
/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル
共重合体、エチレン/ メタクリル酸グリシジル共重合
体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共
重合体およびエチレン/プロピレン−g−無水マレイン
酸共重合体、ABSなどのオレフィン系共重合体、ポリ
エステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリ
エステルエラストマー、ビニル芳香族化合物−共役ジエ
ン化合物ブロック共重合体、ビニル芳香族化合物−共役
ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物等)、可塑
剤(ヘキシレングリコールやグリセリンのような高級ア
ルコール系化合物、p−オキシ安息香酸オクチルやp−
オキシ安息香酸−2−エチルヘキシルのようなヒドロキ
シ安息香酸エステル系化合物、N−メチルベンゼンスル
ホンアミドやp−トルエンスルホンアミドのような芳香
族スルホンアミド系化合物、β−ナフトールやジベンジ
ルフェノールオクチルクレゾールのようなフェノール類
等)、耐候(光)性改良剤(カーボンブラック、銅化合
物系、リンオキシ酸マンガン塩系、ベンゾフェノン系、
トリアゾール系、イミダゾール系、オキサゾール系、お
よびヒンダードアミン系化合物等)、結晶核剤、各種着
色剤、離型剤等を添加してもかまわない。
【0051】次に、本発明のガラス繊維強化ポリアミド
系樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明のガ
ラス繊維強化ポリアミド系樹脂組成物の製造方法は、特
に規定されるものではないが、例えば上記のポリアミド
系樹脂((A)成分)、籠状シルセスキオキサンおよび
/またはその部分開裂構造体((B)成分)、ガラス繊
維((C)成分)、および場合によってはその他の添加
物を、単軸押出機、二軸押出機、プラストミル、加熱ロ
ール、ニーダー、バンバリーミキサー、ブラベンダープ
ラストグラフ等の加熱溶融混練機を用いて溶融混練する
方法、樹脂の溶媒(フェノール類や蟻酸類等)を用い溶
液ブレンドした後、溶媒を除去して得る方法、またはポ
リアミド樹脂の重合時において、予めポリアミドのモノ
マーに籠状シルセスキオキサン類、およびその他の添加
剤を加えて重合する方法などが挙げられる。
【0052】その中でも単軸もしくは2軸押出機による
溶融混練が生産性の面で好ましく、その場合における各
成分の添加順序は特に制限されない。例えば、予め全成
分をプレミックスして同時に押出機に投入しても構わな
いし、いずれかの成分をサイドフィーダーで後添加して
も構わない。また市販されている、予めガラス繊維を含
んだポリアミド樹脂を原料として使用しても問題なく、
(B)成分や(C)成分の形態、ハンドリングの良し悪
しによって最適な方法を選択すれば良い。この際の溶融
混錬温度は特に限定されるものではないが、通常150
〜350℃の中から任意に選ぶことができる。
【0053】本発明のガラス繊維強化ポリアミド系樹脂
組成物は、先記のごとく溶融流動性に優れているので、
溶融流動性を必要とする各種の溶融成形方法により、経
済的に有利に、かつ高品質の成形体を製造することが出
来る。例えば圧縮成形、トランスファー成形、射出成
形、押し出し成形、ブロー成形、中空成形、カレンダ成
形といった各種の溶融成形方法が使用される。中でも、
生産性に優れる射出成形と押し出し成形が好ましく、そ
の際の溶融温度は150〜350℃の中から任意に選ぶ
ことができる。また、そのガラス繊維強化ポリアミド系
樹脂成形体の形態も特に限定されず、フィルム状や繊維
状であっても構わない。
【0054】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を実施
例及び比較例に基づき詳細に説明する。ただし、本発明
はこれらによってなんら限定されるものではない。実施
例および比較例における組成物の重量部比、および溶融
流動性の測定結果、成形体の曲げ弾性率と曲げ強度の測
定結果は表1に示した。
【0055】
【実施例1】(ガラス繊維強化ポリアミド系樹脂組成物
の製造および溶融粘度の測定)100℃で5時間真空乾
燥した80重量部のナイロン6((A)成分;宇部興産
製UBE1013B)、6重量部のIsobutyl
Trisilanol−Silsesquioxane
((B)成分;本文中の一般式(6)においてR=I
sobutylのもの )、および34重量部のチョッ
プドストランドガラス短繊維((C)成分;平均直径5
μm、長さ3mm)をプレミックスして、260℃に設
定したベントポート付き二軸押出機(KZW15−45
MG;TECHNOVEL社製)に投入し、スクリュー
回転数300rpmにて溶融混練押出しを行った。混錬
押出し物を直ちに水冷したのち、ペレタイザーにかけ
て、ポリアミド系樹脂組成物をペレットとして得た。
【0056】得られたペレットの溶融流動性の評価は、
JIS K6730に従うメルトインデックス法によ
って行い、メルトインデクサー(東洋精機製A−111
m)を用いて測定した。測定温度230℃、2.16k
g荷重における10分間の吐出量は23gであり、メル
トインデックス上昇率はMIR=0.44であった(比
較組成物は16(g/10分);比較例参照)。 (ガラス繊維強化ポリアミド系樹脂成形体の製造)得ら
れたガラス繊維強化ポリアミド系樹脂組成物ペレット
を、シリンダー温度を260/260/260/260
℃に設定した射出成形機(FANUC FAS−15
A)に投入し、金型温度を80℃に設定して、射出速度
50mm/秒で射出成形を行った。 (曲げ弾性率および曲げ強度の測定)上記射出成形で得
られた、厚み2mm×長さ127mm×幅12.7mm
のタンザク試験片(支点間距離50.8mm)を用い、
クロスヘッドスピード5mm/分での曲げ弾性率および
曲げ強度の測定を行った(測定装置;ミネベア(株)製
AL−5kN )。成形体の曲げ弾性率は5797MP
a、曲げ強度は160MPaであった。
【0057】
【比較例】(実施例1の比較組成物、比較成形体の製
造)(B)成分( Isobutyl Trisila
nol−Silsesquioxane )を用いない
以外は、実施例1と同様にナイロン6とガラス繊維を混
錬して比較組成物(ペレット)を製造し、さらに実施例
と同条件・同金型で成形を行って比較成形体を得た。
【0058】上記比較組成物のメルトインデックスは、
測定温度230℃、2.16kg荷重において16(g
/10分間)であった。また、上記比較成形体の曲げ弾
性率は5183MPa、曲げ強度は135MPaであっ
た。以上、実施例と比較例から明らかであるように、本
発明の籠状シルセスキオキサンおよび/またはその部分
開裂構造体((B)成分)を含むガラス繊維強化ポリア
ミド系樹脂組成物は、(B)成分の添加前と比較して溶
融流動性に極めて優れている上、それを用いて得られる
ガラス繊維強化ポリアミド系樹脂成形体は、曲げ弾性率
と曲げ強度も改善されていることが分かる。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明のガラス繊維強化ポリアミド系樹
脂組成物は、籠状シルセスキオキサンおよび/またはそ
の部分開裂構造体(B成分)を加えない比較組成物より
も高い溶融流動性を有するため、ガラス繊維を多量に用
いる場合において有効である。また、従来よりも高い分
子量のポリアミドを用いる場合や複雑な形状の成形体を
得る場合等の有用性も示唆され、組成物の溶融流動性を
必要とする各種の溶融成形法により経済的に有利に成形
体を得る事が出来る。しかも得られるガラス繊維強化ポ
リアミド系樹脂成形体は、曲げ弾性率や曲げ強度も改善
されるため、自動車部品、家電部品、OA機器部品、電
子部品等で好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F072 AA05 AB09 AD44 AD47 AF21 AG05 AH23 AK04 AK15 AK16 4J002 BB02X BB08X BB11X BB15X BB16X BN15X CH07X CL01W CL02W CL03W CL05W CP03Y DL006 EX037 FA11Y FD020 FD040 FD070 FD130 GN00 GQ00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリアミド系樹脂と、(B)一般
    式[RSiO3/2nで表される籠状シルセスキオキサン
    および/または一般式[RSiO3/2n-m[O1/2H]
    2+mで表される、籠状シルセスキオキサンの一部が開裂
    した構造のケイ素化合物と、(C)ガラス繊維を含有す
    るガラス繊維強化ポリアミド系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のガラス繊維強化ポリア
    ミド系樹脂組成物の(A)ポリアミド系樹脂と、(C)
    ガラス繊維の合計100重量部における(A)の配合量
    が50〜90重量部、(C)の配合量が10〜50重量
    部であり、(A)と(C)の合計100重量部に対する
    (B)一般式[RSiO3/2nで表される籠状シルセス
    キオキサンおよび/または一般式[RSiO3/2
    n-m[O1/2H]2+mで表される、籠状シルセスキオキサ
    ンの一部が開裂した構造のケイ素化合物との配合量が
    0.1〜50重量部であって、かつ、当該ポリアミド系
    樹脂を構成するポリアミド樹脂の融点の(融点+5)℃
    〜(融点+50)℃の温度範囲から選ばれる任意の温度
    で測定された下記式(1)で表されるメルトインデック
    ス上昇率(MIR)の値が0<MIR<15.0の範囲
    であることを特徴とする請求項1に記載のガラス繊維強
    化ポリアミド系樹脂組成物。 MIR=(MI−MI0)/MI0 (1) ( 一般式[RSiO3/2n 、一般式[RSiO3/2
    n-m[O1/2H]2+m中のRは水素原子、炭素数1〜20
    のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラ
    アルキル基、アリール基、及びケイ素数1〜10のケイ
    素原子含有基のいずれか一種を表し、複数のRは同一で
    もそれぞれ異なってもよく、nは6〜14の整数であ
    り、mは0又は1である。また式(1)中のMIは、ガ
    ラス繊維強化ポリアミド系樹脂組成物のメルトインデッ
    クス値(g/10min)であり、MI 0は上記ガラス
    繊維強化ポリアミド系樹脂組成物から(B)成分を除い
    た組成物のメルトインデックス値である。)
  3. 【請求項3】 請求項1〜2のいずれかに記載のガラス
    繊維強化ポリアミド系樹脂組成物を、溶融成形法により
    成形体を製造することを特徴とするガラス繊維強化ポリ
    アミド系樹脂成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の製造方法で得られるこ
    とを特徴とするガラス繊維強化ポリアミド系樹脂成形
    体。
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