JP4661844B2 - 現像装置及びこれを備えた画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、静電潜像保持体上に形成された静電潜像を可視像化する現像装置及びこれを備えた画像形成装置に係り、特に、キャリア及びトナーからなる二成分現像剤を用いた二成分現像方式の現像装置の改良に関する。
特開2001−265098号公報
従来、電子写真方式や静電記録方式を用いた画像形成装置では、感光ドラムなどの静電潜像保持体上に形成された静電潜像を現像する現像装置が使用されている。このような現像装置としては、例えば、静電潜像保持体に対向して現像用開口が開設された現像ハウジング内に、磁性を有するキャリアと樹脂を主体としたトナーとからなる二成分現像剤(以下、単に現像剤という)を収容し、この現像ハウジングの現像用開口に面した箇所に現像剤保持体(例えば現像ロール)を配設すると共に、この現像ロールの背面側に現像ハウジング内部の現像剤を撹拌搬送しながら現像ロールへと搬送するオーガーを配設した、いわゆる二成分現像方式の現像装置が広く採用されている。
この種の二成分現像方式の現像装置では、トナーは現像動作によって消費されていく一方、キャリアは消費されずに現像装置内に残る。従って、現像装置内でトナーと共に撹拌されるキャリアは、撹拌頻度が多くなるにつれて表面の樹脂コート層の剥がれやその表面へのトナーの粘着が生じて劣化し、その結果、現像剤の帯電性能が徐々に低下してしまう。
そこで、現像ハウジング内にキャリアを含む現像剤を補給すると共に、余剰となった現像剤を排出することで、帯電性能の低下を抑制するようにした現像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
ここで、特許文献1には、二成分現像剤を現像ハウジング内にて撹拌搬送する撹拌搬送手段の下流側に現像剤排出口を設け、この撹拌搬送手段と現像剤排出口との間に排出現像剤の移動量を規制する規制手段を設けた現像装置が開示されている。
本発明の目的とするところは、余剰現像剤の排出に伴う現像剤詰まりによる撹拌搬送手段の駆動トルクの増大やトナーの凝固を簡易な構成で有効に防止することのできる現像装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の現像装置は、キャリア及びトナーからなる現像剤を収容する現像ハウジングと、前記現像ハウジングの現像用開口に面した箇所に回転可能に配設され、前記現像剤を保持搬送する現像剤保持体と、前記現像剤保持体の背面側にて、現像剤保持体の軸方向に沿って延在し、前記現像剤を撹拌搬送する複数の回転搬送部材と、前記現像ハウジング内にて前記複数の回転搬送部材間の所定の領域を仕切壁にて区画し、この仕切壁の長手方向両端部に連通口を開設することによって前記現像剤を循環搬送させる現像剤循環路と、前記現像ハウジングのうち、前記現像剤循環路の長手方向一端側に前記回転搬送部材に沿って前記連通口部分から離間して設けられ、前記現像剤を排出させる現像剤排出口とを備え、さらに、前記現像ハウジング内において前記現像剤排出口の下流側には、該現像剤排出口に滞留した余剰現像剤を前記現像剤循環路に還流させる現像剤迂回路が形成されていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の現像装置は、請求項1の構成において、前記現像剤迂回路には、前記現像剤排出口の近傍に滞留した余剰現像剤を、前記現像剤迂回路を介して現像剤循環路に導く余剰現像剤迂回手段が設けられていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の現像装置は、請求項1又は2の構成において、前記複数の回転搬送部材のそれぞれには、前記現像剤を所定の軸方向に撹拌搬送する撹拌搬送手段と、前記現像剤排出口の近傍に滞留する余剰現像剤を前記現像剤迂回路に導く余剰現像剤迂回手段とが、同軸一体に形成されていることを特徴とするものである。
請求項4に記載の現像装置は、請求項3の構成において、前記現像剤排出口に対応する回転搬送部材には、前記撹拌搬送手段と余剰現像剤迂回手段との間に、さらに、現像剤排出口より排出する現像剤量を規制する規制手段、及び、規制された排出現像剤を現像剤排出口に搬送する排出搬送手段が同軸一体に形成されていることを特徴とするものである。
請求項5に記載の現像装置は、請求項4の構成において、前記撹拌搬送手段と前記排出搬送手段と前記余剰現像剤迂回手段とは、前記撹拌回転部材の回転軸周りに所定の同一方向に巻回された螺旋状の羽根であるのに対し、前記規制手段と前記余剰現像剤迂回手段とは、前記撹拌回転部材の回転軸周りに前記方向と逆方向に巻回された螺旋状の羽根であることを特徴とするものである。
請求項6に記載の現像装置は、請求項5の構成において、前記余剰現像剤迂回手段を構成する螺旋状の羽根のピッチは、前記排出搬送手段を構成する螺旋状の羽根のピッチよりも大きく形成されていることを特徴とするものである。
請求項7に記載の現像装置は、請求項5又は6の構成において、前記現像剤排出手段を構成する螺旋状の羽根のうち、最下流端側の羽根のピッチは他の部位の羽根のピッチよりも小さく形成されていることを特徴とするものである。
請求項8に記載の現像装置は、請求項2ないし7のいずれかの構成において、前記現像剤迂回路には、キャリアを含む新しい現像剤を補給する現像剤補給口が設けられていると共に、前記余剰現像剤迂回手段は、前記新しい現像剤を前記現像剤循環路に供給する現像剤補給手段を兼用していることを特徴とするものである。
請求項9に記載の画像形成装置は、請求項1ないし8のいずれかに記載の現像装置と、記録用紙に所定の画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とするものである。
請求項1に記載の発明によれば、現像剤迂回路を形成することにより、排出現像剤の過剰な滞留による内圧上昇に伴う回転搬送部材に対する負荷の増大や破損、トナーの凝集を未然に防止することができる。
請求項2に記載の発明によれば、余剰現像剤迂回手段により、現像剤排出口の近傍に滞留する余剰現像剤を現像剤迂回路を介して現像剤循環路に積極的に導いて、排出現像剤の過剰な滞留による内圧上昇をより効果的に防止することができる。
請求項3に記載の発明によれば、複数の機能を同一の部材で実現することにより、装置の小型化に寄与することができる。
請求項4に記載の発明によれば、現像剤の循環、排出現像剤量の規制、排出現像剤の搬送、及び余剰現像剤の還流といった各機能を、同一の部材で効率よく実現すると共に、装置小型化により一層寄与することができる。
請求項5に記載の発明によれば、螺旋状の羽根の巻回方向を各機能手段に応じて変更することにより、複数の機能を簡易コンパクトに実現することができる。
請求項6に記載の発明によれば、余剰現像剤迂回手段により排出搬送手段と逆方向の大きな逆搬送力を付与して、現像剤排出口に滞留する余剰現像剤を軸方向と略直交する方向に移動させて、当該余剰現像剤をより効果的に現像剤迂回路に導入することができる。
請求項7に記載の発明によれば、排出搬送手段の他の部位に比して小さいピッチに形成された最下流端側の螺旋状の羽根がストッパの役割を果たし、現像剤排出口に余剰な現像剤が滞留していないような正常状態において、排出現像剤を余剰現像剤迂回手段に移行させることなく、現像剤排出口より確実に排出することが可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、余剰現像剤迂回手段と新たな現像剤を補給する現像剤補給手段との兼用を可能として装置の小型化に寄与すると共に、現像剤を撹拌搬送する流路を最大限に確保して、現像剤中のトナーとキャリアとの十分な撹拌混合を可能とすることができる。
請求項9に記載の発明によれば、本発明を上記いずれかの現像装置を備えた画像形成装置にも適用することができる。
以下に、本発明に係る一実施の形態を図面を参照して説明する。
まず、本発明が適用可能な画像形成装置の一実施形態の概略構成について、図1を参照して説明する。図1は本発明が適用可能なタンデム型カラー画像形成装置100の概略構成図である。
この画像形成装置100においては、画像読取装置102より読み取られたカラー原稿のカラー画像情報、図示しないパーソナルコンピュータや画像データ入力装置等から送られてくるカラー画像情報等が入力され、入力された画像情報に対して画像処理が行われるようになっている。
図1において、1Y,1M,1C,1Kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色トナー画像を形成する画像形成ユニットであり、複数の張架ロールにより張架された無端状の中間転写ベルト9の進行方向に沿って1Y,1M,1C,1Kの順で直列に配設されている。また、中間転写ベルト9は、これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kで順次形成された各色のトナー像が、互いに重ね合わされた状態で転写される中間転写体であり、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kに対応する静電潜像保持体である感光ドラム2Y,2M,2C,2Kのそれぞれに対向して配設される一次転写ロール6Y,6M,6C,6Kとの間に挿通され、矢印方向に循環移動可能に形成されている。そして、中間転写ベルト9上に多重に転写された各色のトナー像は、給紙カセット17等から給紙された記録媒体としての記録用紙18上に一括して転写された後、定着装置15によって記録用紙18上に定着され、カラー画像が形成された記録用紙18が外部に排出されるようになっている。
ここで、画像読取装置102は、プラテンガラス上に載置された原稿を不図示の光源によって照明し、原稿からの反射光像を、走査光学系を介してCCDセンサ等からなる画像読取素子によって所定の解像度で読み取るように構成されている。
また、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、同様に構成されており、大別して、矢印方向に沿って所定の回転速度で回転する感光ドラム2Y,2M,2C,2Kと、この感光ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面を一様に帯電する帯電手段としての帯電ロール3Y,3M,3C,3Kと、当該感光ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面に各色に対応した画像を露光して静電潜像を形成する露光装置4Y,4M,4C,4Kと、感光ドラム2Y,2M,2C,2K上に形成された静電潜像を現像する現像装置5Y,5M,5C,5Kと、着脱自在に配設され現像装置5Y,5M,5C,5Kに所定の色のトナーを供給するトナーカートリッジ10Y,10M,10C,10Kと、ドラムクリーニング装置7Y,7M,7C,7K等とから構成されている。
さらに、本実施の形態において、感光ドラム2Y,2M,2C,2Kは、矢印方向に回転する金属製ドラムの表面に有機系感光材料、アモルファスセレン系感光材料、アモルファスシリコン系感光材料等からなる感光体層が形成されており、帯電ロール3Y,3M,3C,3Kは、この感光ドラム2Y,2M,2C,2Kの表面と接触し、該感光体層を所定の電位に帯電するように構成されている。
このように構成した画像形成装置における画像形成工程について、イエロートナー画像を形成する画像形成ユニット1Yを代表例として説明する。
まず、感光ドラム2Yは、帯電ロール3Yにより、その表面が一様に帯電される。次に、例えば、画像読取装置102によって読み取られた画像情報に基づき、露光装置4Yから出力されるレーザービームによりイエロー画像に対応する走査露光がなされ、感光ドラム2Yの表面にはイエロー画像に対応する静電潜像が形成される。
このイエロー画像に対応する静電潜像は現像装置5Yによってイエロートナー像となり、一次転写手段の一部を構成する一次転写ロール6Yの圧接力及び静電吸引力によって中間転写ベルト9上に一次転写される。一次転写後の感光ドラム2Y上に残留したイエロートナーは、ドラムクリーニング装置7Yによって掻き取られる。その後、感光ドラム2Yの表面は除電装置8Yによって除電された後、次の画像形成サイクルのために帯電ロール3Yにより再び帯電される。
多色のカラー画像形成を行う本画像形成装置100では、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの相対的な位置の違いを考慮したタイミングで、上記と同様の画像形成工程が画像形成ユニット1M,1C,1Kにおいても行われ、中間転写ベルト9上にフルカラートナー像が重ね合わされた状態で形成される。この中間転写ベルト9としては、例えば、可撓性を有するポリイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものを用いることができる。
中間転写ベルト9上に一次転写されたフルカラートナー像は、所定のタイミングで二次転写位置へと搬送される記録用紙18上に、中間転写ベルト9を支持するバックアップロール13と、このバックアップロール13に所定のタイミングで圧接する二次転写ロール12との圧接力及び静電吸引力によって二次転写される。なお、記録用紙18上に二次転写できなかった中間転写ベルト9上の残トナーは、そのまま中間転写ベルト9上に付着した状態でベルトクリーニング装置14まで搬送され、このベルトクリーニング装置14により中間転写ベルト9上から除去されて次の画像形成に備える。
一方、記録用紙18は、画像形成装置100内の下部に配置された記録用紙収容部としての給紙カセット17から、所定のサイズのものが給紙ロール17aによって給紙される。給紙された記録用紙18は、複数の搬送ロール19及びレジストロール20によって、所定のタイミングで中間転写ベルト9の二次転写位置まで搬送される。そして、記録用紙18には、上述したように、二次転写手段としてのバックアップロール13と二次転写ロール12とによって、中間転写ベルト9上からフルカラートナー像が一括して転写される。
また、中間転写ベルト9上からフルカラートナー像が二次転写された記録用紙18は、中間転写ベルト9から分離された後、二次転写手段の下流側に配設された定着装置15へと搬送され、この定着装置15によって熱及び圧力でトナー像が記録用紙18上に定着されるようになっている。定着後の記録用紙18は、排出ロール23を介して排出トレイ24上に排出される。
次に、本発明に係る現像装置の詳細について図2及び図3を参照して説明する。ここで、図2は、本発明に係る現像装置の構成を示す模式図であり、図3は、本発明に係る現像装置の流路構成を説明するための、図2のIII−III線に沿った模式的断面図である。なお、各現像装置5Y,5M,5C,5K及びその構成部材は全て同様な構造であり、簡単のため、以下、各符号は総称表記(例えば、現像装置5)とする。
図2に示すように、本実施の形態に係る現像装置5は、感光ドラム2に対向する部位が開口し二成分現像剤を収容する現像ハウジング51を有し、この現像ハウジング51の開口に面して現像剤保持体である現像ロール52を配設すると共に、この現像ロール52の背面側の現像ハウジング51内には、仕切壁W1(W2)を介して二成分現像剤を撹拌搬送する撹拌搬送手段である複数の回転搬送部材56,57等を配設したものである。
本実施の形態において、現像ロール52は、現像時に所定の方向(本例では、時計回り方向)に回転する現像スリーブ521と、この現像スリーブ521の内部に固設されたマグネットロール522とを備えている。
ここで、現像スリーブ521は、所定の方向に回転すると共に、現像ハウジング51の開口部であって、感光ドラム2と対向している領域(現像領域)において、感光ドラム2と所定の離隔距離にて対向するように配置されている。なお、この現像スリーブ521には、交流を重畳した直流バイアスからなる現像バイアスを印加する不図示のバイアス電源が接続されるようになっている。
また、本実施の形態におけるマグネットロール522は、複数の磁石部材を周方向に配置してロール状に形成したものであり、現像領域に対応して配置された現像磁極S1と、現像ロール52の回転方向に沿って、現像磁極S1の下流側に、例えば、所定の角度間隔で配置された搬送磁極N1やピックオフ磁極S2を備えると共に、現像磁極S1の上流側に、所定の角度間隔で配置されたトリミング磁極N2やピックアップ磁極S3を備えている。なお、マグネットロール522内の各々の磁極の配置や数は適宜選定して差し支えない。
また、現像ロール52内のトリミング磁極N2の下方近傍には、その対向面が所定の間隙で現像ロール52と近接するように、現像ロール52の軸方向に沿って延在する略く字形状の層厚規制部材54が配設されており、現像ロール52上の二成分現像剤を所定の量(層厚)に規制するようになっている。
さらに、現像ロール52に隣接した部位(背面側)には、図3に最も良く示されるように、現像ロール52の軸方向と略平行にスパイラル状の第一の回転搬送部材56及び第二の回転搬送部材57が配設されていると共に、この第一の回転搬送部材56と第二の回転搬送部材57との間は、軸方向に延在する複数の仕切壁W1,W2により区画されている。そして、仕切壁W1の軸方向(長手方向)両端部を開口(連通)させることにより、二成分現像剤を循環搬送させる現像剤循環路R1(図中、一点鎖線で示される流路)が形成されていると共に、仕切壁W2の長手方向端部を開口(連通)させることにより、余剰な二成分現像剤を現像剤循環路R1に還流させる現像剤迂回路R2(図中、二点鎖線で示される流路)が形成されている。
また、第一の回転搬送部材56の現像剤搬送方向下流側には、余剰となった現像剤を排出させる現像剤排出口Doが、仕切壁W1により形成された上記連通口部分から離間した位置であって、仕切壁W1を超えて延在する第一の回転搬送部材56の略下方に設けられている。また、仕切壁W2は、仕切壁W1の下流側(図3中、右側)の長手方向延長線上であって第一の回転搬送部材56と第二の回転搬送部材57との間に、上記連通口の下流側(第一の回転搬送部材56の現像剤搬送方向下流側)から現像剤排出口Doに対応する領域に渡って設けられおり、現像剤排出口Doに至るまでの排出現像剤が第二の回転搬送部材57側に混入するのを防止している。さらに、第一の回転搬送部材56の現像剤排出口Doの下流側には、キャリアを含んだ新たな現像剤を補給するための現像剤補給口Diが、第一の回転搬送部材56の略上方に設けられている。なお、現像剤補給口Diの位置は、上記位置に限定されるものではなく、現像剤迂回路R2上面の任意の位置に設けることができる。また、本実施の形態に係る現像装置において、現像作用によりトナー濃度が所定の範囲よりも低下した場合には、例えば、現像ハウジング51の底部に設けられた不図示の濃度センサの検出結果に基づき、不図示のディスペンスオーガを介してトナーカートリッジ10から現像剤補給口Diにトナーが供給されるようになっている。さらに、本実施の形態において、二成分現像剤は、トナーと磁性キャリアからなる現像剤である。
一般に、現像ハウジング51内にキャリアを含む現像剤を補給すると共に、余剰となった現像剤を排出することにより現像剤の帯電性能の劣化を防止した、いわゆるトリクル方式の現像装置においては、現像剤排出口Doから現像ハウジング51外に設けられた不図示の現像剤排出路等での排出現像剤の滞留や現像剤排出口Doへの排出現像剤量の不測の増大等により、現像剤排出口Do近傍に排出現像剤が過剰に滞留する場合が生じ得る。そして、かかる排出現像剤の過剰な滞留は、現像剤を撹拌搬送する回転搬送部材に対する負荷の増大(駆動トルクの増大)、トナー凝固(グリッド)、異常音や現像剤こぼれ、ひいては部品の破壊といった不具合の発生要因となってしまう。
そこで、本実施の形態に係る現像装置5では、上述したよう現像剤排出口Doの下流側に、余剰現像剤をバイパスさせて現像剤循環路R1に還流させる現像剤迂回路R2を形成することにより、排出可能な現像剤量以上の余剰現像剤が排出口Do近傍に滞留した場合でも、当該余剰現像剤を再び現像剤循環路R1に戻して、上記問題の発生を未然に防止している。
次に、本実施の形態に係る回転搬送部材56,57の具体的な構成及び作用を、図3及び図4を参照してさらに説明する。
まず、本実施の形態に係る第一の回転搬送部材56は、図4(a)に示すように、上述した仕切壁W1の延在領域(図3参照)に対応する部分に、現像剤を撹拌搬送する撹拌搬送手段として、二成分現像剤を所定の軸方向(例えば、図中、左側から右側)に撹拌搬送する螺旋状の羽根56aが回転軸周りに形成されている。
また、この撹拌搬送手段56aの下流側(図3における仕切壁W2の延在領域の上流側)には、排出する現像剤量を規制する規制手段として、撹拌搬送手段を構成する螺旋状の羽根56aと逆向きの螺旋状の羽根56bが回転軸周りに形成されている。すなわち、かかる逆向きの螺旋状の羽根56bは、二成分現像剤に対して、所定の軸方向に撹拌搬送する撹拌搬送手段である螺旋状の羽根56aと逆方向に搬送力を付与することにより、この螺旋状の羽根56bを乗り越えて下流側に移動する現像剤量を規制する規制手段として機能している。なお、排出する現像剤量を確実に規制するという観点からは、規制手段としての羽根56bの外径は、撹拌搬送手段としての羽根56aの外径と同等か大きいことが好ましい。
さらに、規制手段56bの下流側には、現像剤排出口Doまでの領域(図3における仕切壁W2の延在領域に略対応する領域)に渡って、規制手段56bを乗り越えた排出現像剤を確実に現像剤排出口Doまで搬送する排出搬送手段として、規制手段56bと逆方向(撹拌搬送手段56aと同方向)の螺旋状の羽根56cが回転軸周りに形成されている。なお、排出現像剤量は、循環現像剤量に比し少量となるので、排出搬送手段56cの外径は、撹拌搬送手段56aや規制手段56bの外径よりも小さくて差し支えなく、そのピッチも任意に選定することができる。ただし、現像剤排出口Doに余剰な現像剤が滞留していない正常な状態において、当該排出現像剤を後述する余剰現像剤迂回手段56dに移行させずに、確実に現像剤排出口Doから排出させるという観点からは、図4(b)に示すように、排出搬送手段56cを構成する螺旋状の羽根のうち、最下流端側の羽根(図中、□で囲まれた部位の羽根)のピッチを他の部位における羽根のピッチよりも小さく形成することが好ましい。このように、排出搬送手段56cの最下流端側の羽根のピッチを小さく形成することにより、当該羽根がストッパの役割を果たし、正常状態における排出現像剤の余剰現像剤迂回手段56dへの移行を阻止し、現像剤排出口Doからの確実な排出が可能となる。また、ピッチを小さく形成する羽根は、最下流端側の羽根1ピッチのみでも差し支えないが、当然に、最下流端側から複数の羽根のピッチを小さく形成してもよい。
さらに、排出搬送手段56cの下流側には、現像剤排出口Doに滞留した余剰現像剤を上述した現像剤迂回路R2に導く余剰現像剤迂回手段として、排出搬送手段56cと逆向き(規制手段56bと同じ向き)の螺旋状の羽根56dが回転軸周りに形成されている。なお、現像剤排出口Doに滞留する余剰現像剤を軸方向と略直交する方向に移動させて、積極的に現像剤迂回路R2に導くという観点からは、余剰現像剤迂回手段を構成する螺旋状の羽根56dのピッチは、排出搬送手段を構成する螺旋状の羽根56cのピッチと同等、若しくは、図4(c)に示すように、排出搬送手段を構成する螺旋状の羽根56cのピッチよりも大きく形成することが好ましい。また、余剰現像剤迂回手段56dとしては、本実施の形態のような螺旋状の羽根を形成した態様(いわゆる、オーガ)のみならず、回転軸回りに軸方向に延在する板状のフィルム部材を形成した態様(いわゆる、パドル)としてもよい。また、現像剤排出口Doの形成位置は、上記撹拌搬送手段56aによる現像剤搬送方向下流側、かつ、上記規制手段56bの下流側であれば適宜選定して差し支えないが、現像剤の不必要な排出を防止するという観点からすれば、上記規制手段56bの羽根の最下部よりも上部側に設けることが好ましく、また、規制手段56bの回転軸周縁部に設けることが好ましい。
このように、撹拌搬送手段56a、規制手段56b、排出搬送手段56c、余剰現像剤迂回手段56dを回転搬送部材56として、同軸に一体形成することにより、単一の回転部材56により種々の機能を実現すると共に装置の小型化を実現している。特に、単に現像剤迂回路R2を設けるのみならず、現像剤排出口Doに滞留した余剰現像剤を積極的に上記現像剤迂回路R2に導く、余剰現像剤迂回手段56dを、回転搬送部材56と同軸に一体形成したことにより、余剰現像剤の滞留による装置内の圧力上昇に伴う回転搬送部材(本例では、特に、第一の回転搬送部材56)に対する負荷増大や機器破損といった問題を、装置を大型化することなくより効果的に防止することを可能としている。
一方、第二の回転搬送部材57は、図3に最も良く示されるように、第一の回転搬送部材56の撹拌搬送手段56aの螺旋状の羽根56aと逆方向であって外径が略同等の螺旋状の羽根57aが、撹拌搬送手段56a及び規制手段56bに対応する領域(図3中、仕切壁W1及び仕切壁W2の略中間部に至るまでの領域)に渡って回転軸周りに形成されている。さらに、この螺旋状の羽根57aの上流側(第二の回転搬送部材57の現像剤搬送方向上流側)には、螺旋状の羽根57aと同方向であって、より小径の螺旋状の羽根57bが、第一の回転搬送部材56の排出搬送手段56c及び余剰現像剤迂回手段56dに対応する領域に回転軸周りに渡って形成されている。
ここで、螺旋状の羽根57aは、第一の回転搬送部材56の撹拌搬送手段56aと相俟って、現像剤循環路R1を形成するための撹拌搬送手段として機能すると共に、より小径の羽根57bは、第一の回転搬送部材56の余剰現像剤迂回手段56dと相俟って、余剰現像剤を現像剤迂回路R2を介して現像剤循環路R1に積極的に導入する余剰現像剤迂回手段として機能している。
また、余剰現像剤迂回手段56d,57bに対応する現像剤迂回路R2には、キャリアを含む新たな現像剤を補給する現像剤補給口Diが設けられている(本例では、第一の回転搬送部材56の余剰現像剤迂回手段56dの上方)ので、かかる補給現像剤を余剰現像剤迂回手段56d,57bにより現像剤循環路R1に供給することが可能となる。すなわち、これら一対の余剰現像剤迂回手段56d,57bは、補給現像剤を現像剤循環路R1に供給する現像剤補給手段を兼用しているので、装置の小型化に寄与すると共に、現像剤を撹拌する流路を最大限に確保して現像剤中のトナーとキャリアとの十分な撹拌混合を可能とし、帯電不良等の発生を未然に防止している。
次に、このように構成した本実施の形態に係る現像装置5の現像動作について、再び図2を参照してさらに説明する。
まず、現像ロール52が所定の方向(本例では、時計回り方向)へ回転する現像時においては、図2に示されるように、現像ハウジング51内の二成分現像剤は、一対の回転搬送部材56,57により循環搬送されつつ撹拌され、現像ロール52内のピックアップ磁極S3によって捕獲される。この後、捕獲された二成分現像剤は、ピックアップ磁極S3の磁気吸引力と現像ロール52表面との摩擦力により、現像ロール52(現像スリーブ521)の回転方向に搬送される。この搬送された二成分現像剤は、層厚規制部材54の近傍に到達すると、トリミング磁極N2により穂立ちを形成する。さらに、この二成分現像剤の穂立ちは、層厚規制部材54にて規制されることにより、所定の層厚の現像剤層として現像ロール52上に形成されて、現像領域に搬送される。さらに、現像領域に搬送された二成分現像剤の現像剤層は、現像磁極S1の磁気吸引力により、磁気ブラシを形成し、この磁気ブラシを形成する二成分現像剤におけるトナーは、感光ドラム2と現像ロール52との間に形成される現像電界によって、感光ドラム2上の静電潜像を可視像化する。一方、現像領域を通過した余剰のトナーは、現像ロール52の回転に沿って移動し、ピックオフ磁極S2の磁力により、再び、現像ハウジング51内に還流される。
このような現像動作の際、第一の回転搬送部材56の撹拌搬送手段56a及び第二の回転搬送部材57の撹拌搬送手段57aは、現像剤を所定の軸方向に撹拌搬送すると共に、第一の回転搬送部材56の規制手段56bは、撹拌搬送手段56aの現像剤搬送方向とは逆方向の搬送力を現像剤に付与し、排出現像剤量を規制している。その後、規制された排出現像剤は、第一の回転搬送部材56の排出搬送手段56cにより、現像剤排出口Doまで確実に搬送され、現像ハウジング51の外部に排出されることとなる。
また、このような一連の現像動作における二成分現像剤の消費に応じて、現像剤補給口Diより新たな現像剤が補給されると、この補給現像剤は、現像剤補給手段を兼用する第一の回転搬送部材56の螺旋状の羽根56d(余剰現像剤迂回手段)の回転により、現像剤迂回路R2に導かれる。なおこの際、現像剤迂回路R2に余剰現像剤が存在するときは、この余剰現像剤は、補給現像剤と共に撹拌混合され、撹拌混合された補給現像剤は、第二の回転搬送部材57の羽根57b(余剰現像剤迂回手段)の回転に伴って、現像剤循環路R1に還流されて、次の現像動作に備える。
このように本実施の形態による現像装置によれば、撹拌搬送手段、規制手段、排出搬送手段、余剰現像剤迂回手段といった複数の機能を単一の回転部材により、簡易コンパクトに構成することにより、装置の小型化やコストダウンに寄与すると共に、現像剤迂回路を設けることにより余剰現像剤の滞留による回転搬送部材の負荷増大やトナーグリッド(凝集・凝固)の発生を簡易な構成で防止することができる。
本発明に係る画像形成装置の構成を説明するための模式的構成図である。 本発明に係る現像装置の概要を示す説明図である。 本発明に係る現像装置の流路構成を説明する模式図である。 本発明に係る第一の回転搬送部材の構成を説明する模式図である。
符号の説明
1Y,1M,1C,1K:画像形成ユニット、2Y,2M,2C,2K:感光ドラム、3Y,3M,3C,3K:帯電ロール、4Y,4M,4C,4K:露光装置、5Y,5M,5C,5K:現像装置、6Y,6M,6C,6K:一次転写ロール、7Y,7M,7C,7K:ドラムクリーニング装置、8Y,8M,8C,8K:除電装置、9:中間転写ベルト、10Y,10M,10C,10K:トナーカートリッジ、12:二次転写ロール、13:バックアップロール、14:ベルトクリーニング装置、15:定着装置、17:給紙カセット、18:記録用紙
20:レジストロール、51:現像ハウジング、52:現像ロール、54:層厚規制部材、56:第一の回転搬送部材、56a:撹拌搬送手段、56b:規制手段、56c:排出搬送手段、56d:余剰現像剤迂回手段、57:第二の回転搬送部材、57a:撹拌搬送手段、57b:余剰現像剤迂回手段、100:カラー画像形成装置、Di:現像剤補給口、Do:現像剤排出口、R1:現像剤循環路、R2:現像剤迂回路、W1,W2:仕切壁

Claims (5)

  1. キャリア及びトナーからなる現像剤を収容する現像ハウジングと、
    前記現像ハウジングの現像用開口に面した箇所に回転可能に配設され、前記現像剤を保持し搬送する現像剤保持体と、
    前記ハウジング内に配置された仕切壁と、
    前記仕切り壁の前記現像剤保持体の軸方向で異なる位置に設けられ、現像剤が通過する第1の連通口及び第2の連通口と、
    前記第1の連通口から第2の連通口に向けて現像剤を搬送する第1の搬送手段と、
    前記第2の連通口から第1の連通口に向けて現像剤を搬送する第2の搬送手段と、
    前記第1の搬送手段の搬送方向で前記第2の連通口の下流側に設けられ、前記現像ハウジング内の現像剤を排出する排出口と、
    前記第2の連通口から前記排出口に向けて現像剤を搬送する排出搬送手段と、
    前記第1の搬送手段と前記排出搬送手段との間に配置され、前記排出口に向けて搬送される現像剤の量を規制する規制手段と、
    前記仕切り壁の前記第1連通口に対して第2の連通口を挟んだ位置に設けられ、現像剤が通過する第3の連通口と、
    前記排出口の近傍の現像剤を前記第3の連通口に向けて搬送し、前記第3の連通口を介して前記第2の搬送手段に向けて搬送する迂回搬送手段と
    を備え、
    前記第1の搬送手段、排出搬送手段、及び、迂回搬送手段は回転軸の周りに螺旋状の搬送部を一体的に形成され、前記第1の搬送手段と前記排出搬送手段は同一方向に巻き回され、前記迂回搬送手段は前記第1の搬送手段および前記排出搬送手段の巻き回し方向とは逆方向に巻き回したことを特徴とする現像装置。
  2. 前記迂回搬送手段を構成する螺旋状の羽根のピッチは、前記排出搬送手段を構成する螺旋状の羽根のピッチよりも大きく形成されていることを特徴とする請求項に記載の現像装置。
  3. 前記現像剤排出手段を構成する螺旋状の羽根のうち、最下流端側の羽根のピッチは他の部位の羽根のピッチよりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
  4. 前記迂回搬送手段は、キャリアを含む新しい現像剤を補給する現像剤補給口から補給された現像剤を、前記第3の連通口を介して前記第2の搬送手段に向けて搬送することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の現像装置。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載の現像装置と、記録用紙に所定の画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
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