JP4659976B2 - 自立袋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状物のほか、粉状、粒状などの流動性を有する内容物を密封包装するために用いられる自立袋に関し、更に詳しくは、ボトルなどの保形性容器の代替容器として、また、保形性容器に内容物を補充する詰め替え用容器として好適に用いることができ、内容物の保存性、自立安定性などの性能のほか、他の容器への移し替えなどの使用適性に優れると共に、外観もよく使用後の廃棄処理性にも優れた自立袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種液体洗剤、クレンザー、柔軟剤、エマルジョン糊などのほか、各種飲料や、醤油、ソース、めんつゆなどの液体調味料など、液状物や、粉乳、ココアなどの粉体などは、主に、プラスチックボトル、ガラス瓶、金属缶などの保形性のある容器に充填され、流通、使用に供され、使用後の容器は廃棄処分されていた。
また、一方、廃棄物処理の問題もあり、これらの容器は、使用後分別処理し、回収、リサイクルすることが進められている。
しかし、このような保形性容器は、資源の消費傾向が強く、商品に占める容器コストの割合も無視できないものがあった。
【0003】
このような見地から、ラミネートフィルムなど軟包装材料による袋など、より低価格の簡易型の容器が求められるようになっている。
このような簡易型容器は、前記プラスチックボトル、ガラス瓶、金属缶などの保形性容器の代替として使用できるほか、使用後のボトルなどの容器に同一内容物を補充するために用いる詰め替え用容器としても使用することができる。
このような簡易型容器としては、例えば、スタンディングパウチと呼ばれる自立袋をそのまま使用したもの、或いは、スタンディングパウチの上部に幅を狭くした注出口部を設けたもの、更には、その注出口部の開口性と保形性を一層安定なものにするため、スタンディングパウチの上部にプラスチックの成形体による注出口を取り付けたものなどがある。
【0004】
このような袋は、材料の消費量が少なく、軽量であり、コンパクトに内容物を包装できるので、省資源、物流費の削減が可能であり、更に、使用後の廃棄処理も容易であるなどの長所を有しており、中でもスタンディングパウチの上部にプラスチックの成形体による注出口を取り付けたものは、自立性を有すると同時に、注出口の保形性がよく、注出の途中で注出口が閉塞することもなく、内容物の保存性などの性能と共に使用適性においても優れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記スタンディングパウチの上部にプラスチックの成形体による注出口を取り付けたものでも、袋自体を形成する積層フィルムは薄く剛性が低いため、袋の本体部は保形性に劣り、内容物が充填された袋は、袋の胴部の中間部からやや上寄りの位置に、両側の側部シール部から内側に向けて折れシワが発生し、また、袋の上部の両側にはカールも生じやすく、外観が損なわれる問題があった。
【0006】
また、袋に充填された内容物を他の容器に移し替える際には、注出口は保形性がよく、且つ、口径が小さいので、内容物を外にこぼすことがなく安全ではあるが、袋の本体部は柔らかく胴部を強く掴めないため、下側から袋の上部と下部を手で支えて注出するのが一般的であり、特に、袋の容量が1L〜1.5Lのように大きくなると、注出口の幅に対して袋の上部の幅が大きくなりすぎ、手で保持しにくく移し替えの操作自体が厄介になる問題があった。
【0007】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、液状物など流動性を有する内容物を密封包装する積層フィルム製の袋であって、内容物の保存性がよく、軽量で嵩張らず、使用後の廃棄処理も容易で、且つ、袋の上部に保形性に優れた注出口を備え、内容物の充填も容易で、内容物充填後の袋が優れた自立性を有し、胴部の折れシワや上部のカールも少なく外観がよく、店頭での陳列効果にも優れ、また、内容物を他の容器に移し替える際には、手で保持しやすく、内容物が注出される注出路が確実に形成され、注出の途中で注出路や注出口が閉塞することもなく、最後まで安全且つ容易に内容物を移し替えることができ、ボトルなどの代替容器としてはもとより、詰め替え用容器としても好適に使用することのできる自立袋を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。即ち、請求項1に記載した発明は、上部の端縁部にプラスチックの成形体よりなる注出口を有し、胴部が前後2面の壁面フィルムの両側の端縁部を側部シール部でヒートシールして形成され、下部が2面の前記壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り返して挿入し、周縁部を自立性を付与するガセット形状のシールパターンでヒートシールされてなる自立袋において、前記側部シール部が前記ガセット部の上から胴部の長さ方向の中間部近辺までの下側側部シール部と、該下側側部シール部から上部までの上側側部シール部とからなり、前記下側側部シール部が前記ガセット部の上から胴部の長さ方向の中間部近辺まで両側から傾斜をもって袋の幅を狭めるように形成し、前記上側側部シール部は前記下側側部シール部の上端の狭幅部と同じ幅で形成され、前記上側側部シール部が前記下側側部シール部より広い幅のヒートシール部で形成され、前記側部シール部の外側の前記下側側部シール部は所定幅のヒートシール部を残し、前記上側側部シール部は前記下側側部シール部の所定幅より広い幅のヒートシール部を残すように切り欠き部を有してなり、前記開口部から内容物を注出する際に、広い幅の前記上側側部シール部を保持でき、かつ、前記注出口の下部に閉塞しない注出路が形成されることを特徴とする自立袋からなる。
【0009】
本発明の自立袋において、下部のガセット部をヒートシールする自立性を付与する形状のシールパターンは、内側が両側から中央部に向けて凹状に窪んだ形状となるシールパターンであれば何でもよく、特に、内側が両側から中央部に向けて湾曲線状に窪んだ形状となるシールパターン、または内側が所定幅の底部から両側が外側に傾斜直線状に立ち上がる形状のシールパターンなど、所謂船底形のシールパターンが自立性の付与と共に底面を滑らかに形成できる点で特に好ましい。また、袋の上部の幅は手で持ちやすくなる程度に狭めればよい。
そして、プラスチックの成形体よりなる注出口は、注出口部とキャップとが別々に成形された2ピースタイプでもよく、また、注出口部とキャップとが薄肉部を介して一体的に成形された1ピースタイプであってもよい。只、本発明の自立袋では、内容物の充填と注出の両方を注出口から行うため、どちらかといえば、キャップと注出口部とが別々に成形された2ピースタイプの注出口を用いることが好ましい。
【0010】
このような構成を採ることにより、本発明の自立袋は、プラスチックボトルなどの保形性容器と比較して、材料の消費量を少なくでき、軽量で嵩張らず、使用後の廃棄処理も容易になる。
そして、内容物の充填は、キャップを外した状態の注出口から容易に充填し、キャップを閉めて密封することができる。内容物が充填された袋は、下部のガセット部とそのシールパターンにより、底部が前後に大きく広げられ、底面の外周にはヒートシール部による脚部が形成されるため、優れた自立性が付与され、取り扱いやすく、また、袋の両側部が、下部のガセット部の上から胴部の長さ方向の中間部近辺まで、両側から傾斜をもって袋の幅が狭められ、そこから上部まで狭い幅となる形状の側部シール部でヒートシールされ、且つ、両側の側部シール部の外側が、所定幅のヒートシール部を残して切り欠かれているので、袋の中間部より下側が筒状ではなく、上部が窄まった台形状に広がり一層自立安定性がよく、また、中間部で急激に袋が窄まることがないので、中間部に折れ曲がり状の突出部が発生せず、全体が滑らかに広がり外観がボトルなどに似たスマートな形状となる。
【0011】
そして、内容物を他の容器に移し替える際には、注出口をキャップを外して開封し、袋の上部と下部を下側から手で支え、狭い幅の上部をその両側の側部シール部を中心部に向けて軽く押すことにより、容易に袋の上部が広がり、その状態で注出口を容器の口部に向けて自立袋を傾けることにより、内容物が注出口に流動し、その内圧で袋の上部に注出路が確実に形成される。
従って、内容物の注出口への流動がスムーズに行われ、注出路の保形性もよく、注出の途中で注出路や注出口が閉塞することもなく、また、袋が比較的大容量であっても上部は幅が狭いため持ちやすく、最後まで安全且つ容易に内容物を移し替えることができる。
【0013】
この構成は、前記請求項1に記載した発明の自立袋の両側の側部シール部の外側の切り欠き形状を、下部のガセット部の上から胴部の長さ方向の中間部近辺までは所定幅のヒートシール部を残し、そこから上部までは広い幅のヒートシール部を残すようにした構成である。上記所定幅のヒートシール部は、前記請求項1に記載した発明の自立袋の場合も含めて、袋としてのシール強度を保持できればよく、通常4〜10mm幅程度の範囲が適当である。また、中間部近辺から上部までの間に残す広い幅のヒートシール部は、袋に充填された内容物を注出する際、この部分を袋の長さ方向に沿って折り曲げて持つことにより、尖った端部が手に触れず手触りをソフトにし、且つ、必要な場合、この部分に袋の保持用の穴を設けて持ちやすくするものであり、元々の袋の幅(底部の幅)と同程度までの範囲で適宜に設定することができる。
【0014】
このような構成を採ることにより、内容物を注出する際、上述のようにして自立袋の上部を持つことができるので、手触りがよく一層持ちやすくなり、更に、この部分(折り曲げ部)の袋の長さ方向の剛性が高くなるので補強効果があり、袋の上部に形成される注出路の保形性も一層向上できる。また、本発明の自立袋は、いずれも袋の上部の端縁部にプラスチックの成形体よりなるキャップ付きの注出口が接合されているので、その開閉を随時繰り返し行うことができる。従って、袋の容量が大きく、内容物を複数回に分割して使用するような用途にも好適に使用することができる。
【0015】
請求項2に記載した発明は、前記両側の側部シール部の胴部の長さ方向の中間部近辺から上部までの間の広い幅のヒートシール部のうち、少なくとも一方のヒートシール部に袋の保持用の穴が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自立袋である。
【0016】
上記袋の保持用の穴は、手指を差し込める穴であればその形状は、楕円状のほか、円形、複数の円形など何でもよく、また、全周が打ち抜かれた打ち抜き穴でもよく、一部に繋ぎ部が設けられた切り目線による穴であってもよい。
このような穴は、自立袋の両側の側部シール部の上部の広い幅のヒートシール部のうち、一方のみに設けてもよいが、両側に設けることが更に好ましい。
【0017】
このような構成を採ることにより、前記請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、自立袋の持ち運びの際、袋の保持用の穴に手指を差し込んで持つことができるので持ちやすく、また、両側の広い幅のヒートシール部に袋の保持用の穴を設けた場合は、内容物を注出する際、両側の穴を合わせるようにして手指を差し込んで袋の上部を上から提げるように保持できるので持ちやすく、且つ、袋の上部に形成される注出路を開いた状態に固定でき、注出の途中で注出路が閉塞することもなく、一層容易に内容物を移し替えることができる。
【0018】
請求項3に記載した発明は、前記自立袋の上部の中央部に狭い幅の突出部が設けられ、該突出部の上部の端縁部にプラスチックの成形体よりなる注出口が接合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の自立袋である。
【0019】
このような構成を採ることにより、前記請求項1または2に記載した発明の作用効果に加えて、注出口が自立袋の上部の中央部に設けられた狭い幅の突出部の上部の端縁部に接合されているので、外観が一層ボトルに似たスマートな形状になる。また、自立袋の製造の際、注出口の接合を一層容易に行える利点も得られる。
【0020】
請求項4に記載した発明は、前記自立袋の少なくとも上部の領域に、注出路の形成を補助するためのエンボス加工が施されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自立袋からなる。
【0021】
このようなエンボス加工は、押し罫のような線状のパターンで設けてもよく、また、適宜の幅と長さおよび膨らみ高さを有するパターンで設けてもよい。
また、このようなエンボス加工は、両側の壁面フィルムのうち、一方のフィルムのみに設けてもよいが、両側のフィルムに設けることが更に好ましい。
線状のパターンで設ける場合は、注出路の開口性とその保形性を一層向上させるため、複数本のパターンで設けることが好ましい。
【0022】
このような構成を採ることにより、前記請求項1乃至3のいずれかに記載した発明の作用効果に加えて、袋に充填された内容物を注出する際、袋の上部を一層容易に広げて注出路を形成することができ、また、形成された注出路の保形性を一層向上させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の自立袋に用いるフィルム、および、自立袋の製造方法など発明の実施の形態について説明する。
本発明の自立袋に用いるフィルムは、主にプラスチックを主体とする積層フィルムを用いるが、特に限定はされず、液状などの内容物の包装用袋に用いられている公知の積層フィルムは、いずれも使用することができ、充填する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無など、使用条件に応じて適する材料を自由に選択して使用することができる。
本発明の自立袋に用いる積層フィルムの構成の代表的な例として、以下のような構成が挙げられる。
【0024】
(1) ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(2) ONフィルム/接着剤/二軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(3) ONフィルム/接着剤/二軸延伸PPフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(4) ONフィルム/接着剤/二軸延伸PPフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(5) ONフィルム(シリカ又はアルミナ蒸着層)/接着剤/二軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(6) ONフィルム/接着剤/(シリカ又はアルミナ蒸着層)PETフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(7) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/L・LDPE層)(シーラント層は、L・LDPE層)
(8) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/LDPE層)/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(9) PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(10)PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(11)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(12)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(13)PETフィルム/接着剤/EVOHフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく様々な組み合わせの積層フィルムを使用することができる。
【0025】
上記の構成において、ONフィルムは二軸延伸ナイロンフィルム、PETフィルムは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、PPはポリプロピレン、L・LDPEは直鎖状低密度ポリエチレン、HDPEは高密度ポリエチレン、LDPEは低密度ポリエチレン、CPPフィルムは無延伸ポリプロピレンフィルム、また、EVOHフィルムはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルムを指すものである。
【0026】
そして、各フィルム層の間の接着剤は、通常、その積層をドライラミネーション法で行うため、2液硬化型ポリウレタン系接着剤などのドライラミネーション用接着剤を用いることができる。
また、アンカーコートは、押し出しコーティングで樹脂を積層する際、接着性を向上させるために基材フィルム側に予めコーティングするものでプライマーコートの一種である。
【0027】
前記積層フィルムの構成において、ONフィルム、PETフィルムは、最外層に用いる場合は、基材フィルムとして袋に機械的強度や耐熱性、印刷適性などを付与するために用いられ、中間層に用いる場合は、主に機械的強度を補強するために用いられる。
中間層に二軸延伸HDPEフィルム、または二軸延伸PPフィルムを用いた場合は、積層フィルムの厚さを増し、その剛性や機械的強度を高めると同時に、水蒸気透過度を小さくすることができる。
【0028】
そして、アルミニウム箔、シリカ又はアルミナ蒸着層、EVOHフィルムなどは、主にガスバリヤー性を付与するために積層するものであり、これらのほか、アルミニウムなどの金属蒸着層、ポリ塩化ビニリデンの塗膜層、或いは、ポリアクリロニトリルフィルムなどのガスバリヤー性材料を積層することもできる。
【0029】
最内層のシーラント層としては、L・LDPEフィルムとCPPフィルムの2種類の例を挙げたが、L・LDPEフィルムは、ヒートシールの安定性や耐内容物性、例えば界面活性剤に対する耐ストレスクラッキング性などに優れ、CPPフィルムは、耐熱性、低臭性に優れており、これらの性能を必要とする内容物の包装用に適している。
【0030】
シーラント層には上記のほか、充填される内容物に応じて、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリエステル系樹脂なども適宜選択して使用することができる。
【0031】
特に、エチレン・αオレフィン共重合体でメタロセン系触媒などシングルサイト触媒を用いて重合したものは、分子量分布の幅が狭く、共重合比も安定しているため、低温ヒートシール性や、熱間シール性に優れており、本発明の自立袋などのように、下部のガセット部と胴部シール部との間など、ヒートシール部にフィルムの重なりの差による段差のある袋のシーラント層には、シール抜けによるピンホールの発生を防止できる点で適している。
更に、前記共重合体にオレフィン系エラストマーをブレンドしたものを用いることにより、シーラント層の熱流動性が改善され、前記段差などによるピンホールの発生も一層効果的に防止することができる。
【0032】
尚、本発明の自立袋に充填される内容物は、液状物のほか、粉状、粒状など流動性を有するものであれば、食品、非食品など何でもよい。例えば、食用油など酸化され易い内容物が充填される場合で、前記積層フィルム中にアルミニウム箔などの遮光性材料が積層されていない場合は、前記積層フィルムのいずれかの一層、または複数の層に紫外線吸収剤を練り込むことができる。また、紫外線吸収剤を樹脂と混合し、コーティング方式で紫外線吸収層を設けてもよい。
紫外線吸収剤としては、以下から選択される一種または二種以上の化合物を使用することができる。
有機系では、ベンゾフェノン系、ベンゾアリゾール系、サリチル酸系、有機ニッケル系、アクリロニトリル系、モノ安息香酸系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、トリアゾ系の紫外線吸収剤、また、無機系では、チタン、亜鉛、セリウムなどの各元素の酸化物を使用することができる。
【0033】
次に、以上のような積層フィルムを用いて製造する本発明の自立袋の製造方法について説明する。
本発明の自立袋は、基本的には従来のスタンディングパウチ用の製袋機(1列製袋用製袋機でも2列突き合わせ製袋用製袋機でもよい)を利用して、その側部シール部のシールパターンを変更すると共に、下記のような加工装置を適宜付加することにより容易に製造することができる。
即ち、袋の両側の側部シール部の外側をそれぞれの形状に切り欠く打ち抜き装置と、注出口の取り付け装置、および注出口の両側の袋の上部の端縁部(上部シール部)をヒートシールするヒートシール装置を付加し、また、必要に応じて、両側の側部シール部の上部に設けた広い幅のヒートシール部に袋の保持用の穴を設ける打ち抜き装置や、袋の上部の領域などにエンボス加工を施すエンボス装置などを適宜付加して、それぞれを加工することにより容易に製造することができる。
尚、上記注出口の取り付けに関しては、製袋時にインラインで取り付けてもよいが、製袋後、オフラインで取り付けることもできる。
【0034】
【実施例】
以下に、図面を用いて本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の図面に限定されるものではない。また、図面に付した符号は、異なる図面においても、同じ名称の部分には同じ符号を用いた。図2〜図5は、それぞれ本発明の自立袋の一実施例の構成を示す正面図である。
【0035】
図1は、本発明の自立袋の第1の参考例の構成を示す正面図である。図1に示した自立袋100は、その下部が、前後2面の壁面フィルム1、1′の下部の間に、底面フィルムを内側に向けて折り返し、その両側端縁部の下端近傍に底面フィルム切り欠き部4、4を設けて、底面フィルム折り返し部3まで挿入してなるガセット部5を有する形式で形成され、該ガセット部5が、内側が両側から中央部に向けて湾曲線状に窪んだ形状となる船底形のシールパターン、即ち、底部シール部2でヒートシールされて形成され、胴部が、前後2面の壁面フィルム1、1′の両側の端縁部を、ガセット部5の上から胴部の長さ方向の中間部近辺まで両側から傾斜をもって袋の幅が狭められ、そこから上部まで垂直で狭い幅となる形状の側部シール部6、6でヒートシールすると共に、側部シール部6、6の外側が、所定幅のヒートシール部を残して切り欠き部7、7で切り欠かれて形成されている。
【0036】
そして、袋の上部は、その中央の端縁部に、プラスチックの成形体よりなる注出口20が熱接着により接合されると共に、その両側の端縁部が上部シール部8でヒートシールされて形成されている。
尚、自立袋100の両側の側部シール部6、6の形状は、図ではガセット部5の上から袋の長さ方向の中間部近辺までの間で、両側から傾斜をもって袋の幅が狭められ、そこから上部まで垂直で狭い幅となる形状で示したが、中間部近辺から上部までは、必ずしも垂直である必要はなく、再度幅が広くならない限り、両側が平行な形状、或いは、そこから上部まで両側が内側に傾斜し、更に上部に向かって幅が狭くなる形状であってもよい。
【0037】
注出口20は、この場合、筒部21を主体として、下部に接着基部22が設けられ、その上に適宜にフランジ23が設けられ、上部には別体の螺子式のキャップ24が取り付けられた2ピースタイプの構成である。
注出口20の袋への取り付けは、自立袋100の上部の端縁部の両側のフィルムの間に、注出口20の接着基部22を挿入し、外側から超音波その他の加熱手段を用いて加熱圧着し、熱接着させて接合することができる。
注出口20の材質は、袋の積層フィルムのシーラント層と熱接着することが必要であり、例えば、ポリプロピレン、中密度または高密度などのポリエチレンのほか、ポリエステルなどを使用することができる。
また、自立袋100への内容物の充填は、キャップ24を外した状態の注出口20から行うが、内容物の充填後、キャップ24を閉める前に、注出口20の開口部に積層フィルム製のシール材(図示せず)を熱接着して密封性を一層向上させることもできる。
【0038】
このような構成を採ることにより、自立袋100は、袋本体が積層フィルムで形成されているので、軽量で嵩張らず、内容物の保存性もよく、また、使用後の廃棄処理も容易である。
そして、内容物の充填は、キャップ24を外した状態の注出口20から容易に充填することができ、充填後、キャップ24を閉めて密封することができる。
【0039】
内容物が充填された自立袋100は、下部のガセット部5が内側が湾曲線で形成された船底形の底部シール部2でヒートシールされているので、底部が前後に丸形に大きく広がり、底面の外周には、底面フィルム切り欠き部4、4で両側が接合されたヒートシール部によるリング状の脚部が形成されるため、優れた自立性が付与され取り扱いやすく、また、袋の両側部が、下部のガセット部5の上から胴部の長さ方向の中間部近辺まで、両側から傾斜をもって袋の幅が狭められ、そこから上部まで垂直で狭い幅となる形状の側部シール部6、6でヒートシールされ、且つ、両側の側部シール部の外側が、所定幅のヒートシール部を残して切り欠き部7、7で切り欠かれているので、袋の中間部より下側が、筒状ではなく上部が窄まった台形状に広がり、一層自立安定性がよく、また、中間部近辺で急激に袋が窄まることがないので、中間部近辺に折れ曲がり状の突出部などが発生せず全体が滑らかに広がり、上部には注出口20が接合されているので外観がボトルなどに似たスマートな形状となる。
【0040】
また、内容物を他の容器に移し替える際には、キャップ24を外して注出口20を開封し、自立袋100の上部と下部を下側から手で支え、袋の上部を両側の側部シール部から中心部に向けて軽く押すことにより、容易に袋の上部が前後に広げられ注出路が形成される。
そして、その状態で注出口20を容器の口部に向けて自立袋100を傾けることにより、内容物が注出口20に流動し、その内圧で袋の上部に形成された注出路の開口状態が確実に維持される。
従って、内容物の注出口20への流動がスムーズに行われ、注出路の保形性もよく、注出の途中で注出路が閉塞することもなく、また、袋が比較的大容量であっても上部は幅が狭く形成されているので持ちやすく、最後まで安全且つ容易に内容物を移し替えることができる。
尚、注出口20は、その開閉を随時繰り返し行うことができるので、自立袋100の容量が大きく、内容物の使用を複数回に分割して行うような場合にも好適に使用することができる。
【0041】
図2は、本発明の自立袋の第1の実施例の構成を示す正面図である。図2に示した自立袋200は、前記図1に示した自立袋100の構成において、袋の両側の側部シール部6、6の外側を切り欠く、切り欠き部7、7の形状のみを、ガセット部5の上から胴部の長さ方向の中間部近辺までは所定幅のヒートシール部を残し、そこから上部までは広い幅のヒートシール部を残すように変更して構成したものである。
【0042】
このような構成を採ることにより、前記図1に示した自立袋100と対比して、袋の外観は変わるが、両側の側部シール部6、6の中間部近辺から上部のヒートシール部の幅が広く形成されているので、表面の印刷デザインに大きなスペースを利用できると同時に、自立袋200に充填された内容物を注出する際、キャップ24を外して注出口20を開封した後、例えば、袋の上部と下部を下側から手で支えて持つ際、袋の上部を側部シール部6、6の上部の広い幅のヒートシール部を袋の長さ方向に沿って折り曲げて持つことができるので、端部の尖った部分が手に触れることもなく、手触りがソフトになり持ちやすく、また、折り曲げ部により、その部分の袋の長さ方向の剛性が高められ補強効果が得られるので、袋の上部に形成される注出路の保形性も一層向上され、内容物の移し替えを一層容易に行えるようになる。
上記変更点以外については、前記図1に示した自立袋100と同じ構成であるため、図1に示した自立袋100と同様な作用効果を得ることができる。
【0043】
図3は、本発明の自立袋の第2の実施例の構成を示す正面図である。図3に示した自立袋300は、前記図2に示した自立袋200の構成において、袋の両側の側部シール部6、6の中間部近辺から上部までに設けられた広い幅のヒートシール部に、袋の保持用の穴として、全周が打ち抜かれた打ち抜き穴10、10を追加して設けて構成したものであり、それ以外は、総て図2に示した自立袋200と同様に形成して構成したものである。
【0044】
このような構成を採ることにより、前記図2に示した自立袋200の作用効果に加えて、打ち抜き穴10、10に手指を差し込んで自立袋300を持つことができるので、袋の容量が大きい場合でも持ちやすく、自立袋300の持ち運びが容易になる。また、袋に充填された内容物を他の容器に移し替える際も、キャップ24を外して注出口20を開封した後、例えば、両側の側部シール部6、6の上部の広い幅のヒートシール部を上側に折り曲げて、両側の打ち抜き穴10、10を合わせるようにして手指を差し込んで袋の上部を上から提げるようにして保持できるので、移し替えの操作が楽になると同時に、自立袋300の上部に形成される注出路を開いた状態に固定でき、注出の途中で注出路が閉塞することもなく、一層容易に内容物を移し替えることができる。
【0045】
図4は、本発明の自立袋の第3の実施例の構成を示す正面図である。図4に示した自立袋400は、前記図3に示した自立袋300の構成において、袋の両側の側部シール部6、6の上部の広い幅のヒートシール部に設けられた打ち抜き穴10、10を、一部に繋ぎ部を設けた切り目線による穴11、11に変更して設けると共に、注出口20の下の狭い幅の袋上部の領域に、注出路の形成を補助するための押し罫状のエンボス加工部9を、注出口20の下から下方に向けて両側と中心部に合計3本、追加して設けて構成したものである。このようなエンボス加工部9は、両側の壁面フィルム1、1′のうち、片側の壁面フィルムのみに設けてもよいが、両側の壁面フィルム1、1′に設けることが更に好ましい。
【0046】
このような構成を採ることにより、袋の保持用の穴に関しては、切り目線による穴11、11に変更しても、袋の保持機能自体は変わらないが、自立袋400の製造工程において、穴の抜きかすを発生しないので品質管理が容易になり、また、実際の使用段階でも、穴の繋ぎ部を折り曲げて手指を差し込み、折り曲げた部分で袋を持つことができるので手触りをソフトにできる利点がある。
また、注出口20の下の狭い幅の袋上部の領域にエンボス加工部9を設けることにより、袋に充填された内容物を注出する際、袋上部を一層容易に前後に広げて注出路を形成できると同時に、形成された注出路の保形性を一層向上させることができるので、注出の途中で注出路が閉塞することもなく一層容易に内容物を移し替えることができる。
上記の変更点以外は、前記図3に示した自立袋300と同じ構成であるため、図3に示した自立袋300と同様な作用効果を得ることができる。
【0047】
図5は、本発明の自立袋の第4の実施例の構成を示す正面図である。図5に示した自立袋500は、前記図3に示した自立袋300の構成において、袋の上部の中央部に、前後両側の壁面フィルム1、1′を延長して狭い幅の突出部を設け、その突出部の上部の端縁部に注出口20を接合すると共に、上部シール部8のシールパターンを、注出口20の両側の突出部を含む袋上部の端縁部を所定幅でヒートシールできるシールパターンに変更してヒートシールして構成したものである。そして、上記の変更点以外は、総て前記図3に示した自立袋300と同様に形成して構成したものである。
【0048】
このような構成を採ることにより、前記図3に示した自立袋300の作用効果に加えて、注出口20が自立袋500の上部の中央部に設けられた狭い幅の突出部の上部に設けられているので、外観が一層ボトルに似てスマートな形状になるほか、自立袋500の製造の際、注出口20の接合を一層容易に行えるようになる。
【0049】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、液状物など流動性を有する内容物を密封包装する積層フィルム製の袋であって、内容物の保存性がよく、軽量で嵩張らず、使用後の廃棄処理も容易で、且つ、内容物の充填も容易で、内容物充填後の袋が一層優れた自立性を有し、袋の胴部の折れシワや袋の上部に発生するカールも少なく、外観を向上でき、店頭での陳列効果にも優れ、また、内容物を他の容器に移し替える際には、袋の容量が1L〜1.5Lのように比較的大きい場合でも、持ちやすく注出の操作が容易で、且つ、注出口の下に内容物の注出路が確実に形成され、その保形性もよく、注出の途中で注出路や注出口が閉塞することもなく最後まで安全且つ容易に内容物を移し替えることのできる自立袋を提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自立袋の参考例の構成を示す正面図である。
【図2】本発明の自立袋の第1の実施例の構成を示す正面図である。
【図3】本発明の自立袋の第2の実施例の構成を示す正面図である。
【図4】本発明の自立袋の第3の第4の実施例の構成を示す正面図である。
【図5】本発明の自立袋の第4の第5の実施例の構成を示す正面図である。
【符号の説明】
1、1′ 壁面フィルム
2 底部シール部
3 底面フィルム折り返し部
4 底面フィルム切り欠き部
5 ガセット部
6 側部シール部
7 切り欠き部
8 上部シール部
9 エンボス加工部
10 打ち抜き穴
11 切り目線による穴
20 注出口
21 筒部
22 接着基部
23 フランジ
24 キャップ
100、200、300、400、500 自立袋
Claims (4)
- 上部の端縁部にプラスチックの成形体よりなる注出口を有し、胴部が前後2面の壁面フィルムの両側の端縁部を側部シール部でヒートシールして形成され、下部が2面の前記壁面フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り返して挿入し、周縁部を自立性を付与するガセット形状のシールパターンでヒートシールされてなる自立袋において、
前記側部シール部が前記ガセット部の上から胴部の長さ方向の中間部近辺までの下側側部シール部と、該下側側部シール部から上部までの上側側部シール部とからなり、
前記下側側部シール部が前記ガセット部の上から胴部の長さ方向の中間部近辺まで両側から傾斜をもって袋の幅を狭めるように形成し、
前記上側側部シール部は前記下側側部シール部の上端の狭幅部と同じ幅で形成され、
前記上側側部シール部が前記下側側部シール部より広い幅のヒートシール部で形成され、
前記側部シール部の外側の前記下側側部シール部は所定幅のヒートシール部を残し、前記上側側部シール部は前記下側側部シール部の所定幅より広い幅のヒートシール部を残すように切り欠き部を有してなり、
前記開口部から内容物を注出する際に、広い幅の前記上側側部シール部を保持でき、かつ、前記注出口の下部に閉塞しない注出路が形成されることを特徴とする自立袋。 - 前記両側の側部シール部の胴部の長さ方向の中間部近辺から上部までの間の広い幅のヒートシール部のうち、少なくとも一方のヒートシール部に袋の保持用の穴が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自立袋。
- 前記自立袋の上部の中央部に狭い幅の突出部が設けられ、該突出部の上部の端縁部にプラスチックの成形体よりなる注出口が接合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の自立袋。
- 前記自立袋の少なくとも上部の領域に、注出路の形成を補助するためのエンボス加工が施されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の自立袋。
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