JP4601762B2 - ボトル形パウチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状物のほか、粉状、粒状などの流動性を有する内容物を密封包装するために用いられるボトル形パウチに関し、更に詳しくは、パウチが、縦長のボトルに似た形状であると同時に、自立性を有し、上部には狭い幅の注出口部とパウチの保持用または吊り下げ用の穴を備え、また、内容物充填後の形態安定性にも優れ、通常の用途のパウチとしてはもとより、詰め替え用のパウチとしても好適に使用することのできるボトル形パウチに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、各種液体洗剤、クレンザー、柔軟剤、エマルジョン糊などのほか、各種飲料や、醤油、ソース、めんつゆなどの液体調味料など、液状物や、粉乳、ココアなどの粉体などは、主に、プラスチックボトル、ガラス瓶、金属缶などの保形性のある容器に充填され、流通、使用に供され、使用後の容器は廃棄処分されていた。
また、一方、廃棄物処理の問題もあり、これらの容器は、使用後分別処理し、回収、リサイクルすることが進められている。
しかし、このような保形性容器は、資源の消費傾向が強く、商品に占める容器コストの割合も無視できないものがあった。
【0003】
このような見地から、ラミネートフィルムなど軟包装材料によるパウチなど、より低価格の簡易型の容器が求められるようになっている。
このような簡易型容器は、前記プラスチックボトル、ガラス瓶、金属缶などの保形性容器の代替として使用できるほか、使用後のボトルなどの容器に同一内容物を補充するために用いる詰め替え用容器としても使用することができる。
このような簡易型容器としては、例えば、自立性を有するスタンディングパウチをそのまま使用したもの、或いは、スタンディングパウチの上部に幅を狭くした注出口部を設けたもの、更には、その注出口部の開口性と保形性を一層安定なものにするため、スタンディングパウチの上部にプラスチックの成形体による注出口を取り付けたものなどがある。
【0004】
このようなパウチは、材料の消費量が少なく、軽量であり、コンパクトに内容物を包装できるので、省資源、物流費の削減が可能であり、更に、使用後の廃棄処理も容易であるなどの長所を有しており、中でもスタンディングパウチの上部にプラスチックの成形体による注出口を取り付けたものは、取扱いが容易で、性能と共に使用適性においても優れている。
【0005】
しかしながら、上記スタンディングパウチの上部にプラスチックの成形体による注出口を取り付けたものは、注出口を別に用意する必要があり、コスト面で割高になること、そして、パウチ自体を形成する積層フィルムは、薄く、剛性が低いため本体部が保形性に劣り、特に、パウチの形状をボトルに似た縦長の形状とした場合、パウチに内容物を充填すると、パウチ胴部の中間部から上部寄りの位置に、両側の側部シール部から内側に向けて折れシワが発生し、外観に劣る問題があった。そして、パウチの容量についても、比較的小容量の場合はよいが、1Lを超えるような容量になると、パウチサイズが大きくなると同時に重量も重くなり、持ち運びや、内容物を他の容器に移し替える際の取扱いが厄介になる問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、パウチが積層フィルムで形成され、液状物など流動性を有する内容物が密封包装されるパウチであって、内容物の保存性に優れ、軽量で嵩張らず、使用後の廃棄処理も容易で、且つ、パウチが自立性を有し、内容量が大きい場合でも、持ち運びや内容物を他の容器に移し替える際の取扱いが容易であると同時に、注出口部の保形性もよく、外観面でもボトルなどの保形性容器に似てスマートで、内容物充填後のパウチに折れシワなどが発生せず、形態安定性に優れ、店頭での陳列効果にも優れたボトル形パウチを生産性よく提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。即ち、請求項1に記載した発明は、積層フィルムで形成され、液状物など流動性を有する内容物が密封包装されるパウチであって、該パウチの上部と下部が、前後2面の壁面フィルムの間に、それぞれ上面フィルムまたは底面フィルムを内側に折り込んで挿入してなるガセット部を有する形式で形成され、胴部が、前後2面の壁面フィルムの両側端縁部を側部シール部でヒートシールして形成され、且つ、下部のガセット部が、自立性を付与する形状のシールパターンでヒートシールされ、上部のガセット部の前後両側のひだ状部のうち、一方のひだ状部の上辺に、その両側のフィルム、即ち、壁面フィルムとそれに対向する上面フィルムとを延長して、両側が上部方向に向かって幅が狭くなる形状の注出口部が設けられ、該注出口部の両側端縁部が、該ひだ状部の基部から注出口部の上部までつながる形状の上側部シール部でヒートシールされ、また、もう一方のひだ状部の壁面フィルムとそれに対向する上面フィルムが、下辺となる内側の辺が鈍角の逆V字形または逆船底形となる上部方向に向かって凸状となるシールパターンで、下部の一部を除いて全面ヒートシールされると共に、該ヒートシール部を上方に広げてなる拡大シール部に、該パウチの保持用または吊り下げ用の穴が設けられていることを特徴とするボトル形パウチからなる。
【0008】
前記パウチの保持用または吊り下げ用の穴は、パウチを持ち運ぶ際、或いは内容物を他の容器に移し替える際、手指を差し込んでパウチを保持し易くするための穴、または吊り下げ紐などを通してパウチを手で下げ易くするための穴であり、その形状や数は任意に設けることができる。
このような穴は、完全に切り欠かれた穴でもよく、一部につなぎ部が設けられた穴でもよく、また、ミシン目状などの断続的な切り目線で形成され、容易に突き破って手指などを差し込めるようにした穴であってもよい。
【0009】
また、上記のような穴が設けられる拡大シール部に関しても、通常は、両側のフィルムで形成し、且つ、その全面をヒートシールして形成することが、穴部の周囲の強度を高められる点で好ましいが、特に限定はされず、例えば、そのヒートシールは、部分的に非シール部を設けたパターン状のヒートシールでもよく、また、拡大シール部のフィルムは、片側のフィルムのみで形成してもよく、更に、強度を高める必要のある場合は、フィルムなどの補強材を追加積層し、多層化して形成してもよい。
【0010】
このような構成を採ることにより、本発明のボトル形パウチは、プラスチックボトルなどの保形性容器と比較して、材料の消費量を少なくでき、軽量で嵩張らず、使用後の廃棄処理も容易になる。
そして、内容物が充填されたパウチは、下部のガセット部とそのシールパターンにより自立性が付与されるので取り扱いやすく、且つ、パウチの上部と下部の両方にガセット部が設けられているので、パウチの本体部が、筒状に広がり、容量の割にコンパクトに包装することができ、物流費の削減および店頭での陳列スペースの削減が可能となる。
【0011】
また、パウチ上部のガセット部の前後両側のひだ状部のうち、一方のひだ状部の上辺には、両側のフィルムを延長して、両側が上部方向に向かって幅が狭くなる形状の注出口部が設けられ、該注出口部の両側端縁部が、該ひだ状部の基部から注出口部の上部までつながる形状の上側部シール部でヒートシールされており、また、もう一方のひだ状部が、内側が上部方向に向かって凸状となるシールパターンでヒートシールされ、更に、該パウチの上部周縁のヒートシール部のいずれかに、または、該ヒートシール部を広げてなる拡大シール部に、該パウチの保持用または吊り下げ用の穴が設けられている。
従って、パウチ上部にもガセット部があり、且つ、前記もう一方のひだ状部が、内側が上部方向に向かって凸状となるシールパターンでヒートシールされているので、この部分の剛性が高められ、従来、パウチ胴部の中間部から上部寄りの位置に、両側の側部シール部から内側に向けて発生していた折れシワもなくなり、外観、形態安定性が向上する。また、外形もボトルなどの保形性容器に似てスマートであり、店頭での陳列効果にも優れたものとなる。
【0012】
そして、内容物を他の容器に移し替える際には、注出口部を開封し、開口部を容器の口部に向けて傾けることにより、内容物が開口部に向かって流動し、その内圧により、注出口部を含む上部ガセット部の両側のフィルムが外側に広がり、この部分に壁面フィルムと上面フィルムとによる漏斗形状が保形性よく形成される。従って、内容物の注出口への流動がスムーズに行われ、内容物を最後まで安全且つ容易に移し替えることができる。
この時、パウチの上部周縁のヒートシール部のいずれかに、または、該ヒートシール部を広げてなる拡大シール部に、該パウチの保持用または吊り下げ用の穴が設けられているので、例えば、保持用の穴に手指を差し込んで、パウチの上部と下部の両方を保持することもでき、パウチが大容量のものであっても安全且つ容易に内容物を移し替えることができる。
また、前記パウチの保持用または吊り下げ用の穴は、パウチの持ち運びの際にも利用できるので、パウチの取扱いが容易になる。
【0013】
また、請求項1に記載した発明は、前記下部のガセット部の自立性を付与する形状のシールパターンが、中央部が低く、両側端部に向かって高くなる船底形のシールパターンであることを特徴とするボトル形パウチからなる。
【0014】
このような構成を採ることにより、内容物を充填したパウチは、その底部が、前記シールパターンに応じて、例えば、内側が湾曲線で形成される船底形のシールパターンの場合は楕円形状に、内側が所定幅の底部から両側が外側に傾斜を持って直線状に立ち上がる形状の船底形のシールパターンの場合は六角形状になり、いずれも中央部が前後に大きく広げられ、また、底面の外周にはヒートシール部による脚部が形成されるため、パウチの自立性を一層向上させることができる。
【0015】
また、請求項1に記載した発明は、前記上部のガセット部の一方のひだ状部の内側が上部方向に向かって凸状となるシールパターンが、内側が鈍角の逆V字形または逆船底形となるシールパターンであることを特徴とするボトル形パウチである。上記内側が逆船底形となるシールパターンは、船底形の天地を逆にしたシールパターンであり、例えば、内側が、円弧状などの曲線状に凸状となるシールパターンや、台形状に凸状となるシールパターンなどである。
【0016】
このような構成を採ることにより、パウチに充填された内容物を他の容器に移し替える際、内容物の内圧で前記注出口部を含む上部ガセット部の両側のフィルムが外側に広げられ、この部分に壁面フィルムと上面フィルムとによる漏斗形状が形成されるが、この時、内側が上部方向に向かって凸状となるシールパターンの凸状の先端部から注出口部の先端に向けて、上面フィルムが自然に稜線状に広がり、安定した漏斗形状が形成される。従って、上記内側が上部方向に向かって凸状となるシールパターンを、内側が鈍角の逆V字形となるシールパターンとした場合は、逆V字形の先端部から注出口部の先端に向けて、上面フィルムに一層シャープな稜線が形成され、前記漏斗形状が角錐状となるので、その保形性が更に向上し、内容物の注出口部への流動が一層スムーズになり、内容物を最後まで安全且つ容易に移し替えることができる。
【0017】
また、上記内側が上部方向に向かって凸状となるシールパターンを、内側が逆船底形となるシールパターンとした場合は、下部のガセット部のシールパターンと上下で対称形にすることができるので、胴部の形状を楕円柱、六角柱など一層整った形状に近づけることができ、ボトルに似たスマートな形状にすることができる。また、注出口部に形成される前記漏斗形状に関しても、内側の逆船底形のパターンに対応して、円錐状や角錐状の安定した漏斗形状が形成されるため、その保形性はよく、内容物の注出口部への流動はスムーズに行われ、内容物の移し替えも最後まで安全且つ容易に行うことができる。
【0018】
また、請求項2に記載した発明は、前記上部のガセット部の上面フィルムの折り込み長さが、下部のガセット部の底面フィルムの折り込み長さよりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載のボトル形パウチである。
【0019】
パウチ上部のガセット部の上面フィルムの折り込み長さと、下部のガセット部の底面フィルムの折り込み長さとは、同一長さで設けるか、または、上面フィルムの折り込み長さを、底面フィルムの折り込み長さよりも小さく形成することが好ましい。同一長さで設けた場合は、内容物を充填したパウチが、略均等な筒状体となるので、一層ボトルに似た形状にできる特徴がある。
【0020】
只、本発明のボトル形パウチでは、上部のガセット部の一方のひだ状部の上辺に、その両側のフィルムを延長して、両側が上部方向に向かって幅が狭くなる形状の注出口部が設けられ、該注出口部の両側端縁部が、該ひだ状部の基部から注出口部の上部までつながる形状の上側部シール部でヒートシールされ、もう一方のひだ状部が、内側が上部方向に向かって凸状となるシールパターンでヒートシールされており、パウチに充填された内容物を注出する際、上部の注出口部に形成される前記漏斗形状の部分では、壁面フィルムよりも上面フィルムの方が、その折り込み長さ(正確にはシール部の長さを除いた長さ)だけ長いため、注出口部の漏斗形状が外側に折れ曲がりやすくなる。
【0021】
従って、前記のような構成を採ることにより、前記請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、パウチに内容物を充填した時、パウチ上部の広がりが下部よりも小さくなり、パウチの安定感が増すと共に、注出口部の漏斗形状の外側への折れ曲がりが防止され、漏斗形状の効果を一層確実に得られるようになる。
【0022】
尚、前記上部のガセット部の上面フィルムの折り込み長さを、下部のガセット部の底面フィルムの折り込み長さよりも小さくする量は、特に限定するものではなく、例えば、数mmでも小さければ、それなりの効果が得られる。従って、前記パウチ上部の広がりの減少と、漏斗形状の外側への折れ曲がり防止効果とを勘案して任意に設定することができる。
【0023】
また、請求項3に記載した発明は、前記注出口部が設けられた側のひだ状部の両側端縁部をヒートシールする上側部シール部の内側ラインが、該ひだ状部の両側基部から該注出口部の上部まで、傾斜直線でつながる形状にヒートシールされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のボトル形パウチからなる。
【0024】
このような構成を採ることにより、前記請求項1又は2に記載した発明の作用効果に加えて、パウチに充填された内容物を他の容器に移し替える際、注出口部に形成される漏斗形状が、途中に段や折れ曲がりがなく、一層整った角錐状などの形状になるので、その保形性が向上し、一層スムーズに内容物を移し替えることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のボトル形パウチに用いるフィルム、および、ボトル形パウチの製造方法など発明の実施の形態について説明する。
先ず、本発明のボトル形パウチに用いるフィルムは、主にプラスチックを主体とする積層フィルムを用いるが、特に限定はされず、液状などの内容物の包装用パウチに用いられている公知の積層フィルムは、いずれも使用することができ、充填する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無など、使用条件に応じて適する材料を自由に選択して使用することができる。
本発明のボトル形パウチに用いる積層フィルムの構成の代表的な例として、以下のような構成が挙げられる。
【0026】
(1) ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(2) ONフィルム/接着剤/一軸延伸または二軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(3) ONフィルム/接着剤/一軸延伸または二軸延伸PPフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(4) ONフィルム/接着剤/一軸延伸または二軸延伸PPフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(5) ONフィルム(シリカ又はアルミナ蒸着層)/接着剤/一軸延伸または二軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(6) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/L・LDPE層)(シーラント層は、L・LDPE層)
(7) ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/LDPE層)/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(8) PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(9) PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(10)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)
(11)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
(12)PETフィルム/接着剤/EVOHフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)
などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく様々な組み合わせの積層フィルムを使用することができる。
【0027】
上記の構成において、ONフィルムは二軸延伸ナイロンフィルム、PETフィルムは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、PPはポリプロピレン、L・LDPEは直鎖状低密度ポリエチレン、HDPEは高密度ポリエチレン、LDPEは低密度ポリエチレン、CPPフィルムは無延伸ポリプロピレンフィルム、また、EVOHフィルムはエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルムを指すものである。
【0028】
そして、各フィルム層の間の接着剤は、通常、その積層をドライラミネーション法で行うため、2液硬化型ポリウレタン系接着剤などのドライラミネーション用接着剤が用いられる。
また、アンカーコートは、押し出しコーティングで樹脂を積層する際、接着性を向上させるために基材フィルム側に予めコーティングするものでプライマーコートの一種である。
【0029】
前記積層フィルムの構成において、ONフィルム、PETフィルムは、最外層に用いる場合は、基材フィルムとしてパウチに機械的強度や耐熱性、印刷適性などを付与するために用いられ、中間層に用いる場合は、主に機械的強度を補強するために用いられる。
中間層に一軸延伸HDPEフィルム、または一軸延伸PPフィルムを用いる場合は、その延伸方向を、パウチを開封する際の引き裂き方向と一致するように積層することにより、引き裂きを容易にし、且つ、その方向性を安定化させることができる。
また、中間層に二軸延伸HDPEフィルム、または二軸延伸PPフィルムを用いた場合は、積層フィルムの厚さを増し、その剛性や機械的強度を高めると同時に、水蒸気透過度を小さくすることができる。
【0030】
そして、アルミニウム箔、シリカ又はアルミナ蒸着層、EVOHフィルムなどは、主にガスバリヤー性を付与するために積層するものであり、これらのほか、アルミニウムなどの金属蒸着層、ポリ塩化ビニリデンの塗膜層、或いは、ポリアクリロニトリルフィルムなどのガスバリヤー性材料を積層することもできる。
【0031】
最内層のシーラント層としては、L・LDPEフィルムとCPPフィルムの2種類の例を挙げたが、L・LDPEフィルムは、ヒートシールの安定性や耐内容物性、例えば界面活性剤に対する耐ストレスクラッキング性などに優れ、CPPフィルムは、耐熱性、低臭性に優れており、これらの性能を必要とする内容物の包装用に適している。
【0032】
シーラント層には上記のほか、充填される内容物や注出口の材質に応じて、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリエステル系樹脂なども適宜選択して使用することができる。
【0033】
特に、エチレン・αオレフィン共重合体でメタロセン系触媒などシングルサイト触媒を用いて重合したものは、分子量分布の幅が狭く、共重合比も安定しているため、低温ヒートシール性や、熱間シール性に優れており、本発明のボトル形パウチのように、上下のガセット部と胴部シール部との間など、ヒートシール部にフィルムの重なりの差による段差のあるパウチのシーラント層には、シール抜けによるピンホールの発生を防止できる点で適している。
更に、前記共重合体にオレフィン系エラストマーをブレンドしたものを用いることにより、シーラント層の熱流動性が改善され、前記段差などによるピンホールの発生も一層効果的に防止することができる。
【0034】
尚、本発明のボトル形パウチに充填される内容物は、液状物のほか、粉状、粒状など流動性を有するものであれば、食品、非食品など何でもよいが、例えば、食用油など酸化され易い内容物が充填される場合は、前記積層フィルムのいずれかの一層、または複数の層に紫外線吸収剤を練り込むことができる。また、紫外線吸収剤を樹脂と混合し、コーティング方式で紫外線吸収層を設けてもよい。
紫外線吸収剤としては、以下から選択される一種または二種以上の化合物を使用することができる。
有機系では、ベンゾフェノン系、ベンゾアリゾール系、サリチル酸系、有機ニッケル系、アクリロニトリル系、モノ安息香酸系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、トリアゾ系の紫外線吸収剤、また、無機系では、チタン、亜鉛、セリウムなどの各元素の酸化物を使用することができる。
【0035】
次に、以上のような積層フィルムを用いて製造する本発明のボトル形パウチの製造方法について説明する。
本発明のボトル形パウチは、その製袋自体は、例えば従来のスタンディングパウチ用の製袋機で、2列突き合わせ製袋用の製袋機を利用して、上下のガセット部およびそこに延設される注出口部などを形成することができる。そして、各部のヒートシール装置、および、トリミング装置、また、パウチの保持用または吊り下げ用の穴などの打ち抜き装置などを適宜付加することにより、容易に製袋することができる。
【0036】
また、パウチ上部のガセット部と、そこに延設された注出口部などのヒートシールの際には、前後のひだ状部でシールパターンが異なるため、別々にヒートシールする必要があるが、複数のセクションに分割してヒートシールすることにより問題なく製袋することができる。
【0037】
【実施例】
以下に、図面を用いて本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、提示した図面に限定されるものではない。
【0038】
図1は、本発明のボトル形パウチの一実施例の構成を示す正面図である。
図2は、図1に示したボトル形パウチの背面図である。また、図3は、図1に示したボトル形パウチに内容物を充填し、パウチを膨らませた時の形状を示す側面図である。
また、図4は、本発明のボトル形パウチの別の一実施例の構成を示す正面図である。
【0039】
先ず、図1〜図3に示したボトル形パウチについて、図1の正面図を中心にして説明する。
図1〜図3に示したボトル形パウチ100は、その上部と下部が、前後2面の壁面フィルム1、1′の上部と下部の間に、それぞれ上面フィルム2または底面フィルムを内側に向けて折り込み、上面フィルムの場合は、その両側端縁部の上端近傍に上面フィルム切り欠き部4、4を設け、また、底面フィルムの場合は、その両側端縁部の下端近傍に底面フィルム切り欠き部5、5を設けて挿入し、所定のシールパターンでヒートシールする方法で、ガセット部6、7を有する形状に形成され、胴部が、壁面フィルム1、1′の両側端縁部を側部シール部9、9でヒートシールして形成されている。
【0040】
上記において、上部のガセット部6の縦方向の長さ、即ち、上面フィルムの折り込み長さ(図では、一点鎖線と上面フィルム折り返し部2a の間の長さ)は、下部のガセット部7の縦方向の長さ、即ち、底面フィルムの折り込み長さよりも小さく形成されている。
【0041】
そして、下部のガセット部7は、内側が湾曲線で形成された船底形のシールパターン、即ち、底部シール部8でヒートシールされ、また、上部のガセット部6の前後両側のひだ状部のうち、一方(図1において前側)のひだ状部には、その上辺に、両側のフィルム、即ち、壁面フィルム1とそれに対向する上面フィルムとを延長して、両側が上部方向に向かって幅が狭くなる形状の注出口部10が設けられ、この注出口部10を含む前側のひだ状部の両側端縁部が、該ひだ状部の基部から注出口部10の上部まで、その内側ラインが傾斜直線でつながる形状の上側部シール部11、11でヒートシールされ、また、もう一方(図1において背面側)のひだ状部が、内側が上部方向に向かって凸状となるシールパターン(図では、内側が逆船底形となるシールパターン)の上部ガセット部背面側シール部13でヒートシールされると共に、該ひだ状部の上辺に、両側のフィルムを延長し、且つ、ヒートシールされてなる拡大シール部15(図2参照)が突出部14を形成するように設けられ、更にその拡大シール部15にパウチの保持用の穴18が設けられて構成されている。
【0042】
尚、注出口部10の上端の注出口上部シール部12は、内容物の充填口に使用するため、内容物の充填後にヒートシールして密封するものである。この点は、図4に示したボトル形パウチ200においても同様である。
また、内容物を注出する際の注出口部10の開封手段として、この場合、上記注出口上部シール部12の下側近傍に、切り取り線16と、その一方の端部にノッチ17を設けて構成したが、ノッチ17は、切り取り線16の両方の端部に設けてもよく、また、ノッチのほかに、レーザー光照射などによるハーフカット線や、パウチの積層フィルムへの一軸延伸フィルムの積層などの易開封性手段を、単独またはノッチと組み合わせて設けることもできる。
【0043】
更に、注出口部10の先端部の形状、および注出口上部シール部12のシールパターン、そして、切り取り線やノッチなどの開封手段は、内容物の流動性などの性状や、パウチの使用目的などの条件に応じて自由に設けることができる。
【0044】
このような構成を採ることにより、ボトル形パウチ100は、全体が積層フィルムで形成されているので、軽量で嵩張らず、内容物の保存性もよく、また、使用後の廃棄処理も容易である。
そして、内容物が充填されたパウチ100は、上部のガセット部6の注出口部10が設けられていない側のひだ状部に延設された拡大シール部15に、パウチの保持用の穴18が設けられており、また、下部のガセット部7が、内側が湾曲線で形成された船底形の底部シール部8でヒートシールされているので、下部の横断面が楕円形状となり、且つ、底部の外周にリング状の脚部が形成されるので自立性に優れると共に、持ち運びその他の取り扱いが容易になる。
【0045】
内容物充填後のパウチ形態についても、パウチ100の本体部分は、前記のように、上部のガセット部6の縦方向の長さが、下部のガセット部7の縦方向の長さより小さく形成されているので、上部がややつぼまった形状の筒状体となるが、容量の割にコンパクトでスペースを取らず、また、上部の注出口部10が、上部方向に向かって両側から幅が狭くなる形状であるため、ボトルなどの保形性容器に似て外観がスマートで、店頭での陳列効果にも優れている。
また、上部のガセット部6においては、背面側のひだ状部が、内側が逆船底形となるシールパターンでヒートシールされ、且つ、前後のひだ状部が、左右両側の上端近傍に設けられた上面フィルム切り欠き部4、4で接合されているため、パウチ上部の補強効果が一層高められ、通常の形状の自立性パウチの場合にパウチ胴部の中間部からやや上寄りの位置の両側に発生していた折れシワの発生もなくなり、形態安定性が向上され外観も一層優れたものとなる。
【0046】
そして、充填された内容物を他の容器に移し替える際には、注出口部10の先端部を、ノッチ17を利用して切り取り線16に沿って切り取って注出口部10を開封し、開口部を容器の口部に合わせてパウチ100を傾けることにより、内容物が注出口部に流動し、その内圧により注出口部10の両側のフィルム、即ち、壁面フィルム1とそれに対向する上面フィルム2(図3参照)とが両側に広げられ、上部ガセット部6の基部から注出口部10の開口部にかけて、両側のフィルムによる角錐状の漏斗形状が、保形性よく形成される。
【0047】
この時、上部のガセット部6の上面フィルムの折り込み長さが、下部のガセット部7の底面フィルムの折り込み長さよりも小さく形成されているので、注出口部10が外側に折れ曲がることも防止され、注出口部の漏斗形状が安定して保たれる。従って、内容物がスムーズに注出口部に流動し、最後まで安全且つ容易に内容物を移し替えることができる。
また、上記内容物の移し替えに際しては、ボトル形パウチ100の容量が大きい場合でも、例えば、パウチの上部をその拡大シール部15に設けた保持用の穴18に指を差し込んで保持し、また、下部を下側から手で支えて注出することができるので、注出操作が容易になり安全に移し替えることができる。
【0048】
図4は、本発明のボトル形パウチの別の一実施例の構成を示す正面図である。
図4に示したボトル形パウチ200は、前記図1〜図3に示したボトル形パウチ100の構成において、パウチ上部のガセット部6の背面側のシールパターン、即ち、上部ガセット部背面側シール部13のシールパターンのみを、内側が鈍角の逆V字形となるシールパターンに変更して構成したものである。
【0049】
このような構成を採ることにより、パウチに充填された内容物を他の容器に移し替える際、注出口部10の両側の壁面フィルム1と上面フィルムとが広がって形成される注出口部の漏斗形状が、その上面フィルム側に、前記鈍角の逆V字形のシールパターンの上部(頂点)から、注出口の先端部にかけて稜線状の折れ曲がり部が形成されるので、シャープな角錐状となり、その保形性が一層向上される。従って、内容物の注出口への流動が一層スムーズになり、内容物の移し替えを一層安全且つ容易に行えるようになる。
また、上記変更点以外は、図1〜図3に示したボトル形パウチ100と同じ構成であるため、前記ボトル形パウチ100で説明した作用効果と同様な作用効果を得ることができる。
【0050】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、液状物など流動性を有する内容物を密封包装するパウチであって、内容物の保存性がよく、軽量で嵩張らず、使用後の廃棄処理も容易で、且つ、ボトルなどの保形性容器に似た立体形状を有し、胴部に折れシワが発生することもなく、自立性、形態安定性に優れ、内容量が大きい場合でも、持ち運びや内容物の他の容器への移し替えの操作などの取扱いが容易であり、また、注出口部の保形性もよく、使用適性と共に、店頭での陳列効果など外観にも優れたボトル形パウチを容易に提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のボトル形パウチの一実施例の構成を示す正面図である。
【図2】図1に示したボトル形パウチの背面図である。
【図3】図1に示したボトル形パウチに内容物を充填し、パウチを膨らませた時の形状を示す側面図である。
【図4】本発明のボトル形パウチの別の一実施例の構成を示す正面図である。
【符号の説明】
1、1′ 壁面フィルム
2 上面フィルム
2a 上面フィルム折り返し部
3 底面フィルム
3a 底面フィルム折り返し部
4 上面フィルム切り欠き部
5 底面フィルム切り欠き部
6、7 ガセット部
8 底部シール部
9 側部シール部
10 注出口部
11 上側部シール部
12 注出口上部シール部
13 上部ガセット部背面側シール部
14 突出部
15 拡大シール部
16 切り取り線
17 ノッチ
18 保持用の穴
100、200 ボトル形パウチ
Claims (3)
- 積層フィルムで形成され、液状物など流動性を有する内容物が密封包装されるパウチであって、該パウチの上部と下部が、前後2面の壁面フィルムの間に、それぞれ上面フィルムまたは底面フィルムを内側に折り込んで挿入してなるガセット部を有する形式で形成され、胴部が、前後2面の壁面フィルムの両側端縁部を側部シール部でヒートシールして形成され、且つ、下部のガセット部が、自立性を付与する形状のシールパターンでヒートシールされ、上部のガセット部の前後両側のひだ状部のうち、一方のひだ状部の上辺に、その両側のフィルム、即ち、壁面フィルムとそれに対向する上面フィルムとを延長して、両側が上部方向に向かって幅が狭くなる形状の注出口部が設けられ、該注出口部の両側端縁部が、該ひだ状部の基部から注出口部の上部までつながる形状の上側部シール部でヒートシールされ、また、もう一方のひだ状部の壁面フィルムとそれに対向する上面フィルムが、下辺となる内側の辺が鈍角の逆V字形または逆船底形となる上部方向に向かって凸状となるシールパターンで、下部の一部を除いて全面ヒートシールされると共に、該ヒートシール部を上方に広げてなる拡大シール部に、該パウチの保持用または吊り下げ用の穴が設けられていることを特徴とするボトル形パウチ。
- 前記上部のガセット部の上面フィルムの折り込み長さが、下部のガセット部の底面フィルムの折り込み長さよりも小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載のボトル形パウチ。
- 前記注出口部が設けられた側のひだ状部の両側端縁部をヒートシールする上側部シール部の内側ラインが、該ひだ状部の両側基部から該注出口部の上部まで、傾斜直線でつながる形状にヒートシールされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のボトル形パウチ。
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