JP4659663B2 - 調味料及び調味料の風味改善方法 - Google Patents

調味料及び調味料の風味改善方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4659663B2
JP4659663B2 JP2006101224A JP2006101224A JP4659663B2 JP 4659663 B2 JP4659663 B2 JP 4659663B2 JP 2006101224 A JP2006101224 A JP 2006101224A JP 2006101224 A JP2006101224 A JP 2006101224A JP 4659663 B2 JP4659663 B2 JP 4659663B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic acid
acid fermentation
concentration
fermentation broth
mirin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006101224A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007267719A (ja
Inventor
森恵美
Original Assignee
株式会社キックオフ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社キックオフ filed Critical 株式会社キックオフ
Priority to JP2006101224A priority Critical patent/JP4659663B2/ja
Publication of JP2007267719A publication Critical patent/JP2007267719A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4659663B2 publication Critical patent/JP4659663B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、タンパク質及び糖質原料を発酵させて得られる有機酸発酵液を濃縮して得られる濃縮有機酸発酵液を添加することによって、風味、コク・熟成感、まろやかさ等が改善され、薫蒸感が増強された飲食物及びその製造方法に関する。
古来より、人類にとって「食」は生きるための「栄養の摂取」という意味合いだけでなく、美味しいものを食べる事で心を満たすという「精神的」な意味合いを持ってきた。また、近年においては、健康に気を遣う人が増えた事により、安全で健康に良いとされる食品が望まれている。そのような事情により、人が安全でより風味の良い飲食物を求めるのは必然であり、飲食物の風味や香りを改善する方法の開発が熱望されてきた。
従来から、呈味や風味、香味を改善する目的でアミノ酸や核酸系の調味料、畜肉エキス、野菜エキス、魚介類エキス等の天然エキス、乳酸及び有機酸発酵風味液を利用することが広く行われている。これらの方法としては、以下のような例が挙げられる。
(1)乳脂肪、糖、アミノ酸及び水を含有する組成物を熟成することを特徴とする香味改善剤の製造方法(特許文献1)。
(2)畜肉エキスまたは魚介類エキスから得られる不溶性成分を用いたコク味調味料素材の製造方法(特許文献2)。
(3)乳清を乳酸菌及び酵母により発酵させて得られた清澄乳酸菌・酵母発酵乳清液を有効成分として含有することを特徴とする調味料風味改良剤の製造方法(特許文献3)。
特開2003−153665号公報 特許第3493854号公報 特開平7−75520号公報
しかしながら、上記(1)〜(3)の製造方法によって製造された風味、香味等の改善剤は、いずれも嗜好性や経済性の面において満足のいくものではなく、また、食の安全面、健康面からも好ましいものではなかった。
そこで、本発明は、前記従来技術の問題点を解消すべく、経済的かつ人体に安全な方法で、風味、コク・熟成感、まろやかさ等が改善され、薫蒸感が増強された飲食物及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、タンパク質及び糖質原料を発酵させて得られる有機酸発酵液を濃縮して得られる濃縮有機酸発酵液を飲食物に添加することにより、(1)醤油、味噌、みりん、みりん風調味料やその他の飲食物の熟成感を増強させ、まろやかでコクのある風味を付与することができること、(2)醤油、味噌、みりん、みりん風調味料等の調味料を用いた料理に薫蒸感を付与することができ、調理時間を短縮できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、濃縮食酢類を含む濃縮有機酸発酵液を飲食物に添加して得られるコク・熟成感、まろやかさ、風味が改善された飲食物、コク・熟成感の付与によって、調理時間を短縮することができた飲食物及びその製造方法を提供するものである。
濃縮有機酸発酵液を含有させることにより飲食物の風味が改善される理由は、以下のとおりであると考えられる。一般的に、味を感じる味覚受容体は味細胞からなる味蕾に存在していることが知られている。舌の先にある味蕾は、主に甘味や塩味を感じ、舌の奥にある味蕾は、主に旨味を感じている。舌だけでなく、軟口蓋や喉の奥でも味を感じており、本発明品はこれら複数の部位で味を感じさせることにより、味に空間的な広がりを持たせている。また、濃縮有機酸発酵液を含有した飲食物は、後からじっくりと広がる後味が強くなり、味の余韻が残るものとなる。これらの空間的広がりと時間差効果により、味に「厚み」と「深み」が付与されるものと考えられる。
一般に、コクは旨味における重要な要素の一つだと考えられており、一つの物質に由来する味覚ではなく、複数の味覚が複雑に絡み合ったものをコクとして感じている。また、味は味覚、嗅覚、食感など、複数の要因により成り立っている。本発明では、有機酸発酵液を濃縮させることで、含有されるアミノ酸や有機酸の割合を増やし、飲食物にそれらの成分を含有させることにより、複数の味覚や嗅覚を刺激し、飲食物の味に広がりを持たせることに成功した。
以上説明したように、本発明によれば、濃縮有機酸発酵液の持つ発酵風味や熟成感が飲食物に付与されるだけではなく、飲食物の呈味に「厚み」、「深み」が付与され、コクが強くなり、風味が改善される。さらに、調味料等に薫蒸感を付与することができるので、調理時間を短縮することができる。
本発明の有機酸発酵液とは、酢酸発酵、乳酸発酵、グルコン酸発酵などにより得られたものであり、食酢や漬物浸漬液なども含む。
有機酸発酵液を濃縮する方法としては、減圧濃縮、凍結濃縮、膜濃縮など、従来公知の方法が適宜利用できる。濃縮時間については、長期間をかけて濃縮することもできるが、例えば30分から5時間といった短時間の濃縮でも、本発明の効果を奏する濃縮有機酸発酵液を得ることができるので、本発明の飲食物及びその製造方法は、工業的な生産にも適している。
有機酸発酵液を濃縮する目安と測定方法について、以下に説明する。任意量の濃縮前の有機酸発酵液と同任意量の濃縮後の有機酸発酵液とを取り出し、それぞれOD420nmにおける吸光度が0.001〜0.500の範囲内となるように希釈液で適宜希釈する。このとき、それぞれに要した希釈液量を、最初に取り出した有機酸発酵液の液量で除して得られる希釈倍率に対し、それぞれの吸光度の数値を乗じて得られた数値を有機酸発酵液の色強度としたときに、濃縮による有機酸発酵液の色調変化が、(濃縮後液の色強度)/(濃縮前液の色強度)=1.1〜50の範囲内となるように濃縮するのが好ましい。ここで言うOD420nmの吸光度は、一般的に用いられている分光光度計「株式会社日立製作所製U−1000型分光光度計」を用いて室温にて測定した。ここで、希釈液とは水が一般的である。
濃縮前及び濃縮後それぞれの有機酸発酵液については、以下のようにして色強度を求めることができる。まず、濃縮前及び濃縮後それぞれの有機酸発酵液を一定量取り出し、それぞれOD420nmにおける吸光度が0.001〜0.500の範囲内となるように希釈液で適宜希釈し、必要とした希釈液の量を記録する。次いで、濃縮前及び濃縮後それぞれの有機酸発酵液の吸光度を測定して記録する。ここで、これらの吸光度は、0.001〜0.500の範囲内のいずれかの数値である。濃縮前及び濃縮後それぞれの有機酸発酵液について、必要とした希釈液の量を最初に取り出した有機酸発酵液の量で除することにより、希釈倍率を算出する。濃縮前及び濃縮後それぞれの有機酸発酵液について、希釈倍率と吸光度とを乗じて得た数値を、それぞれの色強度とすることができる。
また、有機酸発酵液を濃縮する際の別の目安として、濃縮前及び濃縮後それぞれの有機酸発酵液の酸度と窒素濃度との関係が(濃縮前の総酸度/濃縮前の総窒素分)/(濃縮後の総酸度/濃縮後の総窒素分)=1.1から50の範囲内となることを指標としてもよい。さらに、濃縮の程度の目安として、この指標と上記の色調変化による指標とを併せて用いてもよい。
ここで言う総酸度(酢酸換算)とは有機酸発酵液を一定容量計り取り、0.1N苛性ソーダにてpH8.3を終点として滴定したときに、滴定値(ml)×0.6×0.1N苛性ソーダのファクター/試料量(ml)にて算出するW/V%にて表す。また総窒素濃度はケルダール法にて測定しW/V%にて表す。
この色調の変化はアミノカルボニル(メイラード)反応等の反応の程度によって変化するものである。通常、食品において糖と窒素成分であるアミノ酸の存在下で起こるアミノカルボニル反応は、食品の色を褐色に変化させ、また風味を劣化させる現象として忌み嫌われてきた。そのため、食品の製造工程においてはアミノカルボニル反応が生じない方法が模索されてきた。しかしながら、本発明者は、あえてアミノカルボニル反応に注目し、糖とアミノ酸の反応物の存在が食品の風味改善効果及び調理時間短縮効果をもたらすことを見出した。
本発明は、濃縮することによりアミノカルボニル反応を促進させた有機酸発酵液に呈味改善効果があることの他に、薫蒸感を与する効果もあることを見出し、これを利用して飲食物の風味向上及び調理時間短縮を可能とするものである。
以下、本発明の実施例について説明する。
(濃縮有機酸発酵液の製造方法)
本発明の濃縮有機酸発酵液を以下のように製造した。まず、玄米に液化酵素を作用させ、60〜70℃で3時間液化を行った。次いで糖化酵素を添加し、50〜60℃にて16時間糖化を行った。得られた糖化液に酵母を加え25〜30℃でアルコール発酵を行い、アルコール濃度約15%、糖濃度1%の玄米アルコールを得た。得られた玄米アルコールに酢酸菌を接種し25〜30℃で酢酸発酵を行った。得られた酢酸発酵液をろ過した後、熟成タンクにおいて25〜30℃で熟成を行った。熟成終了後、ろ過、殺菌を行い、窒素濃度0.8%、塩分濃度0.05%、糖濃度15%及び酸度2%(酢酸換算)の有機酸発酵液を得た。さらに減圧濃縮機にて濃縮を行い、濃縮有機酸発酵液(濃縮醸造酢)を得た。
(醤油への利用)
100gの市販減塩醤油(塩分8.11g/100g)を対照区1とし、100gの市販醤油(塩分16.22g/100g)を対照区2とする。また、実施例1の濃縮有機酸発酵液4.0gを添加した100gの市販減塩醤油を添加区とする。これら醤油の塩味の強さ及び醤油の風味について、味覚正常者である味覚パネラー9名に評価させる評点法による官能評価試験を行った。試験方法としては、各評価項目につき−4から+4まで9段階のレベルを設定し、対照区1の評価を−2、対照区2の評価を+2とする基準を設定し、この基準に基づいて添加区の評価を−4から+4のいずれかで回答させる方法をとった。この官能評価試験を表1に示す。
Figure 0004659663
表1に示すように、添加区は、対照区1よりもコク・熟成感があり、また、対照区1よりも醤油の風味が良いという評価が得られた。また、添加区は、コク・熟成感、醤油の風味ともに、対照区2に準ずる評価が得られた。この結果より、実施例1の濃縮有機酸発酵液を市販の減塩醤油に4重量%程度添加することにより、醤油特有のコク・熟成感が付与され、風味のよい醤油が得られることが分かった。これにより、イオン交換膜電気透析法などによる減塩醤油の製造工程中に、香気や色の変化など品質の劣化が生じ、醤油の風味が変化してしまうという問題点に対処することが可能となる。
(醤油を使った料理への利用)
下記表2のよう調理した対照区1、対照区2、添加区の3種類の料理を用意した。これらの料理のコク・熟成感、まろやかさ・味のまとまり、風味の良さの3点について、味覚正常者である味覚パネラー11名に評価させる評点法による官能評価試験を行った。試験方法としては、各評価項目につき−4から+4まで9段階のレベルを設定し、対照区1の評価を−2、対照区2の評価を+2とする基準を設定し、この基準に基づいて添加区の評価を−4から+4のいずれかで回答させる方法をとった。この官能評価試験を表3に示す。
Figure 0004659663
Figure 0004659663
表3に示すように、添加区は、コク・熟成感、料理の風味、まろやかさ・味のまとまりの全てにおいて、対照区1よりも高い評価が得られた。また、添加区は、コク・熟成感、料理の風味、まろやかさ・味のまとまりのいずれについても、対照区2に準ずる評価が得られた。この結果より、実施例1の濃縮有機酸発酵液を市販の減塩醤油とともに料理に用いることにより、市販の非減塩醤油を使用した場合に準ずる程度に、コク・熟成感、料理の風味、まろやかさ・味のまとまりが向上することが分かった。また、本来時間をかけて調理することにより得られるコクや熟成感を容易に付与することができるので、調理時間を短縮することもできる。
(醤油を使った料理への利用)
下記表4のよう調理した対照区1、対照区2、添加区の3種類の料理を用意した。これらの料理の煮汁を取り、カラーアナライザー(C-2000型、株式会社日立サイエンスシステムズ製)を用いて、L*a*b*と色差を測定した。この測定結果を表5及び図1に示す。
Figure 0004659663
Figure 0004659663
表5及び図1において対照区1と対照区2とを比較すると、煮込み時間が長くなるほど明度(L*)が低くなり、色差(ΔE)が大きくなることが分かる。一方、添加区は、対照区1と煮込み時間が同じであるにもかかわらず、対照区1よりも明度が低く、色差が大きくなっている。このことから、実施例1の濃縮有機酸発酵液を料理に添加することによって、より長く煮込んだときの性質に近づけることができる。すなわち、実施例1の濃縮有機酸発酵液の添加により料理の調理時間を短縮することができる。
(みりんを使った料理への利用)
下記表6のよう調理した対照区1、対照区2、添加区の3種類の料理を用意した。これらの料理のコク・熟成感、風味の良さ、まろやかさ・味のまとまりの3点について、味覚正常者である味覚パネラー11名に評価させる評点法による官能評価試験を行った。試験方法としては、各評価項目につき−4から+4まで9段階のレベルを設定し、対照区1の評価を−2、対照区2の評価を+2とする基準を設定し、この基準に基づいて添加区の評価を−4から+4のいずれかで回答させる方法をとった。この官能評価試験を表7に示す。

Figure 0004659663
Figure 0004659663
表7に示すように、添加区は、コク・熟成感、料理の風味、まろやかさ・味のまとまりの全てにおいて、対照区1よりも高い評価が得られた。また、添加区は、コク・熟成感、料理の風味、まろやかさ・味のまとまりのいずれについても、対照区2に準ずる評価が得られた。この結果より、実施例1の濃縮有機酸発酵液を市販のみりん風調味料とともに料理に用いることにより、市販のみりんを使用した場合に準ずる程度に、コク・熟成感、料理の風味、まろやかさ・味のまとまりが向上することが分かった。
みりん風調味料は酒税のかからないみりん様発酵性調味液であり、みりんとの主な違いはアルコール含量である。しかしながら、料理に使用したとき、みりん風調味料とみりんの官能的差異は大きく異なる。そこで、上記のように、みりん風調味料を用いた料理の調理過程において、実施例1の濃縮有機酸発酵液を添加することにより、みりん特有のコク・熟成感や、まろやかさ、味のまとまりなどを補い、風味の良い料理とすることができる。また、本来時間をかけて調理することにより得られるコクや熟成感を容易に付与することができるので、調理時間を短縮することもできる。
下記表8のように調製した対照区、添加区をHLC−DISK(孔径0.2μm、関東科学株式会社製)でろ過後、高速液体クロマトグラフィー(D−7000形、株式会社日立製作所製)を用いて有機酸分析を行った。
Figure 0004659663
その分析結果を図2に示す。図中、縦軸は検出信号強度、横軸は保持時間[分]を表す。また、添加区を実線で、対照区を破線で示している。図2では、保持時間0分から保持時間90分までの各ピークにおいて、添加区では、対照区には現れないピークが現れたり、ピークのリテンションタイムが変化したり、対照区に対する各ピークの高さ比が複雑に変化したりしている。
有機酸は単体ではそれぞれに特有な呈味を有するが、アミノ酸や糖などの成分と複雑に混ざり合うことで濃厚感が増すと考えられている。実施例1の濃縮有機酸発酵液の添加による有機組成の複雑な変化によって、みりんが有するコクや熟成感がみりん風調味料に付与されたものと考えることができる。
(味噌への利用)
下記表9のように調製した対照区1,2及び添加区の3種類の味噌汁を用意した。これらの味噌汁のコク・熟成感、味噌の風味の2点について、味覚正常者である味覚パネラー11名に評価させる評点法による官能評価試験を行った。試験方法としては、各評価項目につき−4から+4まで9段階のレベルを設定し、対照区1の評価を−2、対照区2の評価を+2とする基準を設定し、この基準に基づいて添加区の評価を−4から+4のいずれかで回答させる方法をとった。この官能評価試験を表10に示す。
Figure 0004659663
Figure 0004659663
表10に示すように、添加区は、コク・熟成感及び味噌の風味のいずれについても、対照区1よりも高い評価が得られた。また、添加区は、コク・熟成感及び味噌の風味のいずれについても、対照区2に準ずる評価が得られた。この結果より、実施例1の濃縮有機酸発酵液を市販の減塩味噌に対して4重量%程度添加することにより、市販の非減塩味噌に準ずる程度にコク・熟成感、味噌の風味が向上することが分かった。
(味噌を使った料理への利用)
下記表11のよう調理した対照区1、対照区2、添加区の3種類の料理を用意した。これらの料理のコク・熟成感、風味の良さ、まろやかさ・味のまとまりの3点について、味覚正常者である味覚パネラー7名に評価させる評点法による官能評価試験を行った。試験方法としては、各評価項目につき−4から+4まで9段階のレベルを設定し、対照区1の評価を−2、対照区2の評価を+2とする基準を設定し、この基準に基づいて添加区の評価を−4から+4のいずれかで回答させる方法をとった。この官能評価試験を表12に示す。
Figure 0004659663
Figure 0004659663
表12に示すように、添加区は、コク・熟成感、料理の風味、まろやかさ・味のまとまりの全てにおいて、対照区1よりも高い評価が得られた。また、添加区は、コク・熟成感、料理の風味、まろやかさ・味のまとまりのいずれについても、対照区2に準ずる評価が得られた。この結果より、実施例1の濃縮有機酸発酵液を市販の減塩味噌とともに料理に用いることにより、市販の非減塩味噌を使用した場合に準ずる程度に、コク・熟成感、料理の風味、まろやかさ・味のまとまりが向上することが分かった。また、本来時間をかけて調理することにより得られるコクや熟成感を容易に付与することができるので、調理時間を短縮することもできる。
以上説明したように、本発明によれば、濃縮有機酸発酵液を味噌、醤油、みりん、みりん風調味料等を含む飲食物に添加することにより、コク・熟成感を与え、風味を向上し、まろやかさ・味のまとまりを与えることができる。また、これらの効果により、飲食物の調理時間を短縮することもできる。
本発明の呈味が改善され、調理時間が短縮化された飲食物及びその製造方法は、味噌、醤油、みりん、みりん風調味料等を含む飲食物の製造工程において容易に利用することができる。
本発明の実施例における濃縮有機酸発酵液を含む添加区と、含まない添加区との色分析を行った結果を示すグラフである。 本発明の実施例における濃縮有機酸発酵液を添加した料理と、添加していない料理とについて、高速液体クロマトグラフィーにより成分分析を行った結果を示すグラフである。

Claims (2)

  1. タンパク質及び糖質原料を発酵させて得られ、
    任意量の濃縮前の有機酸発酵液及び前記量と同一量の濃縮後の有機酸発酵液について、それぞれOD420nmにおける吸光度が0.001〜0.500の範囲内となるように希釈液で適宜希釈したときに、
    前記濃縮前の有機酸発酵液及び濃縮後の有機酸発酵液それぞれに要した希釈液量を前記有機酸発酵液の任意量で除して得られる希釈倍率に対し、
    前記濃縮前の有機酸発酵液及び濃縮後の有機酸発酵液それぞれの吸光度の数値を乗じて得られた数値をそれぞれの有機酸発酵液の色強度としたときに、
    前記濃縮による有機酸発酵液の色調変化分が
    1.1≦(濃縮後液の色強度)/(濃縮前液の色強度)≦50
    となるように濃縮されてなる濃縮後の有機酸発酵液を、添加して得られる熟成感が増強されてなるみりん風調味料であって、
    前記濃縮後の有機酸発酵液の酢酸換算酸度は0.5〜20であり、
    前記濃縮後の有機酸発酵液の添加量は0.05〜12重量%であることを特徴とするみりん風調味料。
  2. みりん風調味料の風味改善方法であって、
    タンパク質及び糖質原料を発酵させて得られ
    任意量の濃縮前の有機酸発酵液及び前記量と同一量の濃縮後の有機酸発酵液について、それぞれOD420nmにおける吸光度が0.001〜0.500の範囲内となるように希釈液で適宜希釈したときに、
    前記濃縮前の有機酸発酵液及び濃縮後の有機酸発酵液それぞれに要した希釈液量を前記有機酸発酵液の任意量で除して得られる希釈倍率に対し、
    前記濃縮前の有機酸発酵液及び濃縮後の有機酸発酵液それぞれの吸光度の数値を乗じて得られた数値をそれぞれの有機酸発酵液の色強度としたときに、
    前記濃縮による有機酸発酵液の色調変化分が
    1.1≦(濃縮後液の色強度)/(濃縮前液の色強度)≦50
    となるように濃縮して得られた濃縮後の有機酸発酵液であり、且つ調味料特有の熟成感を増強することができる濃縮後の有機酸発酵液を用いたみりん風調味料の風味改善方法であり、
    前記濃縮後の有機酸発酵液の酢酸換算酸度は0.5〜20であり、
    みりん風調味料前記濃縮後の有機酸発酵液を0.05〜12重量%となるように添加し、
    前記濃縮後の有機酸発酵液の働きにより前記みりん風調味料の熟成感を増強させることを特徴とするみりん風調味料の風味改善方法。
JP2006101224A 2006-03-31 2006-03-31 調味料及び調味料の風味改善方法 Active JP4659663B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006101224A JP4659663B2 (ja) 2006-03-31 2006-03-31 調味料及び調味料の風味改善方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006101224A JP4659663B2 (ja) 2006-03-31 2006-03-31 調味料及び調味料の風味改善方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007267719A JP2007267719A (ja) 2007-10-18
JP4659663B2 true JP4659663B2 (ja) 2011-03-30

Family

ID=38671168

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006101224A Active JP4659663B2 (ja) 2006-03-31 2006-03-31 調味料及び調味料の風味改善方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4659663B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101156669B (zh) * 2007-11-06 2010-08-11 代德付 一种特色风味豆豉粑油辣椒的制作方法
JPWO2010107020A1 (ja) * 2009-03-16 2012-09-20 キリン協和フーズ株式会社 食塩味増強剤

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03266958A (ja) * 1990-03-16 1991-11-27 Kirin Brewery Co Ltd 食品用アミノカルボニル反応促進剤およびアミノカルボニル反応促進法
JPH05115260A (ja) * 1991-10-28 1993-05-14 Takeda Shokuhin Kogyo Kk 高窒素低塩酸性発酵調味料の製造法
JPH09154563A (ja) * 1995-12-11 1997-06-17 Suya Shoten:Kk 大豆酢
JPH1057009A (ja) * 1996-06-11 1998-03-03 Nakano Vinegar Co Ltd マイルド酸性調味料の製造方法
JP2001204405A (ja) * 2000-01-31 2001-07-31 Gun Ei Chem Ind Co Ltd キャベツシロップの製造方法及び用途
JP2003342188A (ja) * 2002-05-29 2003-12-03 Sakamoto Jozo Kk 抗ガン剤
JP2004275174A (ja) * 2003-03-18 2004-10-07 Kenshoku:Kk 黒酢粉末の製造方法
JP2004321093A (ja) * 2003-04-25 2004-11-18 Yumekaiba:Kk 10倍濃縮果実酢

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03266958A (ja) * 1990-03-16 1991-11-27 Kirin Brewery Co Ltd 食品用アミノカルボニル反応促進剤およびアミノカルボニル反応促進法
JPH05115260A (ja) * 1991-10-28 1993-05-14 Takeda Shokuhin Kogyo Kk 高窒素低塩酸性発酵調味料の製造法
JPH09154563A (ja) * 1995-12-11 1997-06-17 Suya Shoten:Kk 大豆酢
JPH1057009A (ja) * 1996-06-11 1998-03-03 Nakano Vinegar Co Ltd マイルド酸性調味料の製造方法
JP2001204405A (ja) * 2000-01-31 2001-07-31 Gun Ei Chem Ind Co Ltd キャベツシロップの製造方法及び用途
JP2003342188A (ja) * 2002-05-29 2003-12-03 Sakamoto Jozo Kk 抗ガン剤
JP2004275174A (ja) * 2003-03-18 2004-10-07 Kenshoku:Kk 黒酢粉末の製造方法
JP2004321093A (ja) * 2003-04-25 2004-11-18 Yumekaiba:Kk 10倍濃縮果実酢

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007267719A (ja) 2007-10-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6970226B2 (ja) 新規発酵調味料組成物
JP6080214B2 (ja) 呈味増強効果のある酵母エキス
JP4128892B2 (ja) 飲食品の塩味増強方法及びそれに用いられる調味料
JP5788566B1 (ja) 低エキスのノンアルコールビールテイスト飲料
KR20070019769A (ko) 액상 조미료 및 그 제조방법
JP2008011711A (ja) トマト酢の製造方法、及びトマト酢
JP4128893B2 (ja) 飲食品の味質改善方法
JP5101727B2 (ja) 醤油様調味料
JP2007289182A (ja) 塩味増強剤、または塩味増強剤を添加した減塩飲食物及びその製造方法
JP4659663B2 (ja) 調味料及び調味料の風味改善方法
JP6068068B2 (ja) 液体調味料
JP2007111046A (ja) 調味料素材及びその製造方法
JP4675928B2 (ja) 風味改善剤、または風味改善剤を添加することにより風味が改善された飲食物及びその製造方法
WO2013073249A1 (ja) 醤油様調味料
JP4714671B2 (ja) 食酢の呈味改善方法並びにこれを用いた食品の呈味改善方法
JP6973820B2 (ja) すぐれた官能を有する醤油
JP4659727B2 (ja) 呈味改善方法
JP3761047B2 (ja) 調味料
JP3587804B2 (ja) 食酢、その製造方法、及び該食酢を含有する飲食品
KR101486522B1 (ko) 식품의 향미를 증진시키는 균주
KR101936285B1 (ko) 무알코올 막걸리맛 음료 및 이의 제조방법
JPH06225721A (ja) 発酵調味料およびその製法並びにそれを用いた漬物調味料
JP6983007B2 (ja) イソアミルアルコール高含有調味料組成物およびその製造方法
KR102481019B1 (ko) 생강식초 및 그 제조방법
JP4095922B2 (ja) 発酵調味料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080930

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100316

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100413

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20100513

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100614

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100818

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20101111

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101111

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20101117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101207

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101227

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140107

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4659663

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250