JP4658846B2 - 車両用ブレーキ制御装置 - Google Patents
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したがって、従来の車両用ブレーキ制御装置のように、エンジンの回転に関する情報を取得することなく簡単な構成で車輪速度センサが異常であることを判定することができる。これにより、エンストに伴うシステム等の誤診断を生じることがない。ここで、「基準時間」は、例えば車両の車種毎に予め記憶しておくことができる。
また、本発明は、車両の前輪および後輪のそれぞれについて車輪速度センサの検出信号に基づいて車輪速度を取得し、取得した車輪速度に基づいて制動力を制御する車両用ブレーキ制御装置であって、前記車輪速度センサの異常を判定する異常判定手段を有し、前記異常判定手段は、取得した車輪速度が、前記車輪速度センサが異常であると判定する基準となる異常判定基準速度以下の状態であるときの時間を計測する計時手段と、前記車両が走行中にエンストを生じてから停止するまでの時間よりも長く設定された基準時間が予め記憶された記憶手段と、前記計時手段により計測された時間が前記基準時間を超えているか否かを判定し、超えた場合に前記車輪速度センサが異常であると判定する判定部と、を備え、前記車両に設けられた変速機のギアポジションの位置情報を取得するギアポジション情報取得手段を備え、前記異常判定手段は、取得したギアポジションの位置情報に基づいて、前記基準時間を、ギアポジションの位置が低い側より高い側で長い時間となるように変更して、前記車輪速度センサの異常を判定することを特徴とする。
かかる車両用ブレーキ制御装置によると、車輪速度センサにより取得した車輪速度が車輪速度センサが異常であると判定する基準となる異常判定基準速度以下の状態であるときに、その状態であるときの時間が異常判定手段の計時手段により計測される。そして、この計測された時間が、記憶手段に予め記憶された基準時間、つまり、車両が走行中にエンストを生じてから停止するまでの時間よりも長く設定された基準時間を超えているか否かが判定部により判定される。そして、計測された時間が基準時間を超えた場合、すなわち、車輪速度センサにより取得した車輪速度が異常判定基準速度以下である状態が、基準時間よりも長く続く場合には、判定部により車輪速度センサが異常であると判定される。
したがって、従来の車両用ブレーキ制御装置のように、エンジンの回転に関する情報を取得することなく簡単な構成で車輪速度センサが異常であることを判定することができる。これにより、エンストに伴うシステム等の誤診断を生じることがない。ここで、「基準時間」は、例えば車両の車種毎に予め記憶しておくことができる。
また、前記異常判定手段は、取得したギアポジションの位置情報に基づいて、前記基準時間を、ギアポジションの位置が低い側より高い側で長い時間となるように変更して、前記車輪速度センサの異常を判定するので、走行中にエンストを生じてから停止するまでの時間は、ギアポジションが高くなるのに応じて長くなる傾向にあるため、取得したギアポジションの情報に基づいて、ギアポジションの低い側より高い側で基準時間が長い時間となるように変更することによって、より的確に、車輪速度センサの異常を判定することができるようになる。また、ギアポジションに応じて的確に基準時間を変更することができるので、より一層判定に係る負荷を軽減することができ、判定時間の無駄を省くことができる。
(第1実施形態)
参照する図面において、図1は本発明の第1実施形態に係る車両用ブレーキ制御装置が適用される車両の模式図、図2は同じく車両用ブレーキ制御装置の主要構成を示すブロック図である。
また、制御部20は、例えば、図示しないCPU、RAM、ROMおよび入出力回路を備えており、前輪用車輪速度センサ30,後輪用車輪速度センサ31からの入力と、ROMに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって、制御を実行する。また、ホイールシリンダH1,H2は、マスタシリンダM1,M2および車両用ブレーキ制御装置1により発生されたブレーキ液圧を前輪Fおよび後輪Rに設けられた車輪ブレーキFB,RBの作動力に変換する液圧装置であり、それぞれ配管を介して車両用ブレーキ制御装置1の液圧ユニット10に接続されている。
なお、推定車体速度VARを車輪毎に計算せずに、車輪速度VF,VRから一つの推定車体速度を算出する構成としてもよい。また例えば、加速度センサなどその他のセンサで取得される情報に基づいて走行路面に対する速度(対地速度)を取得し、これを推定車体速度の代わりとする構成としてもよい。その場合には、推定車体速度VARを計算する車体速度計算部24を、対地速度を取得する手段に適宜置き換えることで構成することができる。
そして、計時部26は、計時のための手段として、カウンタを備えている。このカウンタは、後輪Rの車輪速度VRが異常判定基準速度SP2以下のときに、カウント値CTを加算(カウントアップ)し、また、逆に後輪Rの車輪速度VRが異常判定基準速度SP2を超えているときに、カウント値CTを減算(カウントダウン)するようになっている。ここで、カウント値CTの加算は、後輪用車輪速度センサ31が異常であるとされる方向(後記する判定部28による判定)に近づくことであり、また、これとは逆に、カウント値CTの減算は、後輪用車輪速度センサ31が異常ではないとされる方向に近づくことである。カウントされたカウント値CTは、判定部28に出力される。なお、本実施形態では、カウント値CTの最小値は「0(ゼロ)」である。
好適には、基準カウント値D1として、通常のアンチロックブレーキ制御(ABS制御)の作動によって発生する最大の車輪ロック時間を経験的あるいは設計的に予め求め、これに適当な余分時間を加算した時間に対応したカウント値を設定する。つまり、比較的高速で車両Aが走行している場合、ブレーキ開始から比較的短時間でエンストに至る前にアンチロックブレーキ制御が作動することが多い場合を考慮して、通常であればアンチロックブレーキ制御が作動し、制動力が低減され車輪ロックが解除される時間を超えてなおロック状態に相当する車輪速度VRしか検出されない場合には、車輪速度センサ31が異常であると判定することができる。これによって、速やかなブレーキ制御が要求される走行条件下において不要に車輪速度センサ31の異常判定に要する時間が長くなるのを防いでいる。
かかる構成によると、エンストが発生し易い前記閾値速度SP3以下の速度領域において、エンスト時の車両Aの一般的な走行特性、つまり、車輪速度VFが低速になるのに応じて、エンストに至って後輪Rがロックして車両Aが停車するまでの所要時間が短くなる(逆説的に、高速であるほど所要時間が長くなる)特性を、基準カウント値D2に反映させることができる。車輪速度VFが低速になるのに応じて基準カウント値D2としてより小さい値が対応付けられることにより、後輪用車輪速度センサ31により取得した車輪速度VRが異常判定基準速度SP2よりも低くなる状態がエンストに伴う後輪Rのロックによって発生しているのか、後輪用車輪速度センサ31の異常であるのかの区別を、より好適に精度よく行うことができる。これにより、後輪用車輪速度センサ31の異常の有無をより確実に判定することができる。
本実施形態では、例えば、異常判定基準速度SP2を5.0km/hに設定してあり、この異常判定基準速度SP2以下であるときに、カウント値CTが加算(+1)される。つまり、前記ステップS5で判定されたように、推定車体速度VAFが10km以上であるにもかかわらず、後輪Rの車輪速度VRが5.0km/h以下であるという非常に遅い速度である場合に、後輪用車輪速度センサ31の異常と、エンストによる後輪Rのロック(または、それに類似する状態)による検出速度の低下とが誤認される可能性が高いとして、カウント値CTが加算(+1)されることとなる。
本実施形態では、例えば、閾値速度SP3を20.0km/hに設定してある。
図5に示すように、前輪Fを基準とした推定車体速度VAFが10km以上(ステップS5:Yes)で、後輪Rの車輪速度VRが5km/h以下の状態(ステップS6:Yes)になる(時刻t1)と、計時部26のカウンタによりカウント値CTが加算(+1)され始める(ステップS8)。
その後、時刻t2において、後輪Rの車輪速度VRが5km/hを超える状態になると、カウント値CTが減算(−1)される方向に転じ、この状態は、車輪速度VRが5km/h以下の状態になる時刻t3まで継続される。
このようなカウント値CTの加算や減算を経る過程で、前輪Fの推定車体速度VAFに基づいて、基準カウント値D1または基準カウント値D2が記憶部21aから取得される。
したがって、従来の車両用ブレーキ制御装置のように、エンジンの回転に関する情報を取得することなく簡単な構成で後輪用車輪速度センサ31が異常であるか否かを判定することができる。つまり、従来の車両用ブレーキ制御装置では、エンジンの回転に関する情報を取得しなければエンストによる後輪のロックで車輪速度が検出されなくなったのか、後輪用車輪速度センサの異常により車輪速度が検出されなくなったのかを特定することができなかったが、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置1によれば、前記のように推定車体速度VAFに応じた基準カウント値D1,D2を取得してカウント値CTと比較することにより、後輪用車輪速度センサ31の異常の有無を簡単に特定することができる。これにより、エンジン回転に関する情報を取得せずとも、エンストに伴うシステム等の誤診断を生じることがない。
また、異常判定に要する時間が適切な長さとなり、車両Aの走行速度に対応した速やかな判定を実現することができる。
図7は本発明の第2実施形態に係る車両用ブレーキ制御装置の動作を示すフローチャートである。本実施形態が前記第1実施形態と異なるところは、計算された推定車体速度VAF(車両Aの基準速度となる車両基準速度)が判定実行の要否基準となる判定要否基準速度としての閾値速度SP1以上である場合に、異常判定手段21Aが後輪用車輪速度センサ31の異常の判定を実行し、閾値速度SP1未満の場合に異常判定をスキップする(判定を実行しない)ように構成されている点にあり、その他の点は、基本的に同じである。
本実施形態では、例えば、閾値速度SP1を20.0km/hに設定してある。これは、閾値速度SP1が20.0km/h以上であれば、エンストが比較的起こり難いとされているためである。つまり、閾値速度SP1が20.0km/h未満で、エンストの比較的起こり易い速度であるときには、エンストにより後輪用車輪速度センサ31からの検出信号が出力されない、あるいは出力されても検出信号ωRが低い値である可能性が高いので、この速度領域における後輪用車輪速度センサ31の異常の有無の判定を行わないようにしてある。このように、この速度領域における後輪用車輪速度センサ31の異常の有無の判定が行われなくなるので、その分、判定に係る車両用ブレーキ制御装置1の負荷が軽減されるようになる。したがって、判定時間の無駄を省くことができる。
図8に示すように、前輪Fに基づく推定車体速度VAF、後輪Rに基づく推定車体速度VARのうち、ハイセレクト値が20km/h以上(ステップS5’:Yes)であり、後輪Rの車輪速度VRが5km/h以下の状態(ステップS6:Yes)になる(時刻t1)と、計時部26のカウンタによりカウント値CTが加算(+1)される(ステップS8)。
図9に示すように、後輪Rが単独でアンチロックブレーキ制御されて減速されている状態で、時刻t5’において、推定車体速度VAF,VARのハイセレクト値が20km/h未満になると、計時部26のカウンタがクリアされ、後輪用車輪速度センサ31の異常の有無の判定が中止される。つまり、時刻T1でエンストにより後輪Rのロックが発生する前の段階で、後輪用車輪速度センサ31の異常の有無の判定が中止されることとなる。なお、この判定が中止される状態は、図示しないタイマ等により、所定時間継続されるように構成することができる。
なお、本実施形態では、閾値速度SP1を第1実施形態の閾値速度SP3と同じ値に設定しているので、図7のステップS10の判定処理、ならびにステップS11,S13を省略する構成としてもよい。
例えば、異常判定手段21Aに、車輪速度VF,VRに基づいて走行路面の路面摩擦係数を推定する公知の技術を用いて路面摩擦係数推定手段を設け、この推定された路面摩擦係数に応じて前記した基準カウント値D1,D2に変更を加え、この変更した基準カウント値D1,D2に基づいて、後輪用車輪速度センサ31の異常の有無を判定するように構成してもよい。一般的に、エンストを生じてから車両Aが停止するまでの時間は、走行路面の路面摩擦係数が小さくなるのに応じて長時間となる傾向にあるため、このように、基準カウント値D1,D2を、路面摩擦係数に基づいて変更することによって、路面摩擦係数が小さい走行路面における判定精度を高めることができる。
このように構成することにより、変速機のギアポジションの情報を加味して後輪用車輪速度センサ31の異常の有無を判定することができる。
10 液圧ユニット
20 制御部
21A 異常判定手段
21a 記憶部(記憶手段)
21B ブレーキ制御手段
21b 禁止部
22 車輪速度計算部
24 車体速度計算部(車体速度計算手段)
25 車体速度判定部
26 計時部(計時手段)
27 基準カウント値取得部
28 判定部
Claims (9)
- 車両の前輪および後輪のそれぞれについて車輪速度センサの検出信号に基づいて車輪速度を取得し、取得した車輪速度に基づいて制動力を制御する車両用ブレーキ制御装置であって、
前記車両の推定車体速度を計算する車体速度計算手段と、
前記車輪速度センサの異常を判定する異常判定手段と、を有し、
前記異常判定手段は、
取得した車輪速度が、前記車輪速度センサが異常であると判定する基準となる異常判定基準速度以下の状態であるときの時間を計測する計時手段と、
前記車両が走行中にエンストを生じてから停止するまでの時間よりも長く設定された基準時間が予め記憶された記憶手段と、
前記計時手段により計測された時間が前記基準時間を超えているか否かを判定し、超えた場合に前記車輪速度センサが異常であると判定する判定部と、
を備え、
前記記憶手段は、前記基準時間として、
計算された前記推定車体速度が、制動時にエンストを発生し易くなる閾値速度以上であるときの第1基準時間と、
前記閾値速度未満であるときの第2基準時間と、を記憶しており、
前記第2基準時間は、前記第1基準時間よりも前記車輪速度センサの異常の有無を判定する時間が長く設定されていることを特徴とする車両用ブレーキ制御装置。 - 前記車両の制動時における車輪ロックを抑制するブレーキ制御手段を備え、
前記異常判定手段が前記車輪速度センサの異常を判定した場合に、前記ブレーキ制御手段による制御を禁止する禁止手段を具備したことを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ制御装置。 - 前記第2基準時間は、前記異常判定基準速度以下の速度領域では前記推定車体速度が高速になるのに応じて長い時間が対応付けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ブレーキ制御装置。
- 前記異常判定手段は、取得した従動輪の車輪速度に応じて前記記憶手段に記憶された前記第1基準時間および前記第2基準時間で、駆動輪の前記車輪速度センサの異常を判定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ制御装置。
- 取得した前記車両の車輪速度に基づいて走行路面の路面摩擦係数を推定する路面摩擦係数推定手段を備え、
前記異常判定手段は、推定された路面摩擦係数に応じて前記第1基準時間および前記第2基準時間を変更し、この変更した前記第1基準時間および前記第2基準時間に基づいて、前記車輪速度センサの異常を判定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ制御装置。 - 前記車両に設けられた変速機のギアポジションの位置情報を取得するギアポジション情報取得手段を備え、
前記異常判定手段は、取得したギアポジションの位置情報に基づいて、前記第2基準時間を、ギアポジションの位置が低い側より高い側で長い時間となるように変更して、前記車輪速度センサの異常を判定することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ制御装置。 - 前記計時手段は、取得した車輪速度が前記異常判定基準速度以下のときに計時のためのカウント値をカウントアップし、前記異常判定基準速度を超えているときにカウント値をカウントダウンするカウンタを備えているとともに、前記記憶手段は前記第1基準時間および前記第2基準時間として予め設定された基準カウント値をそれぞれ記憶しており、
前記異常判定手段は、前記カウンタによるカウント値が前記記憶手段に記憶された前記基準カウント値のいずれかに達したときに前記車輪速度センサに異常が有ると判定することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ制御装置。 - 前記異常判定手段は、計算された推定車体速度が、判定実行の要否基準となる判定要否基準速度以上である場合に前記車輪速度センサの異常を判定し、前記判定要否基準速度未満である場合に前記判定を実行しないことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両用ブレーキ制御装置。
- 車両の前輪および後輪のそれぞれについて車輪速度センサの検出信号に基づいて車輪速度を取得し、取得した車輪速度に基づいて制動力を制御する車両用ブレーキ制御装置であって、
前記車輪速度センサの異常を判定する異常判定手段を有し、
前記異常判定手段は、
取得した車輪速度が、前記車輪速度センサが異常であると判定する基準となる異常判定基準速度以下の状態であるときの時間を計測する計時手段と、
前記車両が走行中にエンストを生じてから停止するまでの時間よりも長く設定された基準時間が予め記憶された記憶手段と、
前記計時手段により計測された時間が前記基準時間を超えているか否かを判定し、超えた場合に前記車輪速度センサが異常であると判定する判定部と、を備え、
前記車両に設けられた変速機のギアポジションの位置情報を取得するギアポジション情報取得手段を備え、
前記異常判定手段は、取得したギアポジションの位置情報に基づいて、前記基準時間を、ギアポジションの位置が低い側より高い側で長い時間となるように変更して、前記車輪速度センサの異常を判定することを特徴とする車両用ブレーキ制御装置。
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