JP4656618B2 - 抽出用フィルター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は抽出用フィルターに関し、さらに詳しくはコーヒー成分、紅茶成分等を容易にかつ美味しく抽出することができる抽出用フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりコーヒーを簡便に抽出する方法としては、ドリップ式による方法が一般的に採用されている。
この方法は、フィルターをロート型保持具に装着し、コーヒー粉末を入れ、これに熱水を注いで成分を抽出するものであり、簡便にコーヒーを抽出できる利点があるが、熱水の注ぎ方により、抽出される成分が変わり、コーヒーの味も変わってしまうという欠点があった。一般に味の良いコーヒーを抽出するためには、抽出初期に少量の熱水をコーヒー粉末に注いで粉末全体を濡らし、しばらく蒸らした後、さらに熱水を注いで抽出するのが良いとされている。しかし、ポット等からフィルター内に直接熱水を注ぐ場合、抽出初期に少しずつ注ぎ入れることは難しく、熱水はフィルターを素早く透過し易く、また蒸らしのための熱水量や時間が各人の感覚により異なり、抽出されるコーヒーの味が変わり易いなどの問題があった。特に家庭や職場等で、電気ポットで熱水を注ぐ場合には、量、速度などを調節するのが難しく、味の良いコーヒーを容易にかつ安定して得ることが難しいというのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記問題を解決し、コーヒー粉末等の被抽出物に熱水を注いで所望成分を抽出する際に、抽出初期に被抽出物を蒸らすための熱水の注ぎ量や蒸らし時間等を考慮することなく、一度の給湯で美味しい抽出成分を安定して得ることができる抽出用フィルターを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、熱水を透過し難い特定の疎水性極細繊維不織布を内層とし、親水剤が付着された特定の合成繊維不織布を外層として積層することにより、フィルター内に注ぎ入れた熱水を一定時間留まらせておくことができ、かつ一定時間経過後は熱水を容易に内層から外層を通過させて落下させることができ、また落下開始時間(フィルター内での蒸らし時間)も内層や外層の特性を適宜選定することにより容易に調整することができることを見いだし、本発明に到達したものである。
上記課題を達成するために本願で特許請求される発明は以下の通りである。
【0005】
(1)被抽出物に熱水を注いで所望成分を抽出することができる抽出用フィルターにおいて、被抽出物を入れる側である内層と、抽出物が出てくる側である外層と、内層と外層の間に中間層とを積層してなる通気性を有するフィルターであって、該内層は、平均繊維径0.1〜6μm、目付5〜100g/m2および厚み0.05〜1mmを有する、耐水圧が2kPa以上の疎水性極細繊維不織布からなり、前記中間層は、該内層よりも通気性が大きく、平均繊維径が10〜100μm、厚みが0.05〜1mmである合成繊維不織布からなり、前記外層は、親水剤が付着された合成繊維不織布からなり、前記親水剤の付着量が0.1〜10g/m2であることを特徴とする抽出用フィルター。
(2)前記抽出用フィルター上に深さ20〜100mmに達するまで熱水を注いだ場合、該熱水が該フィルターを通過して落下開始するまでの時間が5〜180秒であることを特徴とする(1)に記載の抽出用フィルター。
(3)前記抽出用フィルターが、熱プレス成形により一体成形された容器形状を有することを特徴とする(1)または(2)に記載の抽出用フィルター。
(4)前記内層、中間層および外層が、接着剤または熱エンボス加工により部分的に接着されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の抽出用フィルター。
【0006】
【作用】
本発明の抽出用フィルターによれば、内層として、熱水を透過しにくいが、水蒸気を透過させる、所定の耐水圧を有する特定の疎水性極細繊維不織布が用いられ、また外層として、親水剤が付着された合成繊維不織布が用いられているため、フィルターの内層と外層における熱水および水蒸気との親和性に差を設けることができ、成分抽出に必要な熱水を一度にフィルター内の被抽出物(コーヒー粉末等)上に注ぎ入れても、熱水は一定時間フィルター内に留まり、これにより被抽出物の蒸らし時間を確保することができ、また一定時間経過後は熱水は容易に内層から外層を通過することができるので、適正な時間で被抽出物を抽出することができる。
【0007】
すなわち、フィルター内に注がれた熱水は、内層が所定の耐水圧を有する疎水性極細繊維不織布からなるため、該フィルター内に一旦貯留されるが、その間に水蒸気は内層を通過し、内層と外層の間に形成される空隙および外層内の繊維間隙で結露する。この結露水は時間の経過とともに増加し、外層内部に濡れ広がるが、この際に結露水に外層に付着している親水剤が溶け込み、その表面張力が低下する。表面張力の小さくなった結露水は内層の繊維間隙の毛細管現象により内層内部に吸い上げられ、その内部に濡れ広がる。結露水が内層全体に広がり、貯留されている熱水と接触すると、内層の耐水圧が低下し、フィルター内の熱水が内層および外層を透過して一気に落下を開始了する。
【0008】
図1は、本発明の抽出用フィルターに注がれた熱水が落下を開始するまでの状況説明図である。(A) は抽出用フィルター1に熱水2を注ぎ入れた時の状態説明図であり、注ぎ入れられた熱水2はフィルター1内に一時的に貯留される。この間に熱水の水蒸気はフィルター1内を通過中に結露し、この結露水が時間の経過とともに増加すると、(B) に示すように、フィルター1内に貯留されている熱水が一気に落下を開始する。(A) から(B) に至るまでのフィルター内での水蒸気および結露水の作用を(A)のA部拡大断面図(A-1) 〜(A-3) に示した。(A-1) では、熱水2の水蒸気は、水蒸気の通過方向7で示すように抽出用フィルター1を構成する内層3および内層3と外層4の間隙6を経て外層4に達するが、外層4の内部および上記間隙6で結露して結露水5となる。この結露水5は時間の経過とともに外層4の内部で増加して濡れ広がり、(A-2) に示すように結露水で濡れた外層4aを形成する。外層4aの結露水5には外層に付着されている親水剤が溶け込み、その表面張力が低下する。さらに結露水5が増加し、外層4の許容保持量を超えると、結露水5は内層の繊維間隙に毛細管現象により吸い上げられ、(A-3) に示すように内層3の内部全体に濡れ広がり、内層3aを形成する。内層3aの結露水5がフィルター1内の熱水2と接触すると、内層3の耐水圧が低下し、熱水2は落下滴8となって落下し、この落下を切っ掛けとしてフィルター1内の熱水2が一気に内層3および外層4を通過する。熱水を注ぎ入れた(A) から(A-3) までの時間が、被抽出物の蒸らし時間となる。
【0009】
このような抽出用フィルターでは、内層による熱水の貯留機能、外層による結露水の保持機能および結露水の表面張力を低下させる機能、ならびに内層による表面張力が低下した結露水の吸い上げ機能を適切に調整することにより、被抽出物に適した蒸らし時間を確保することができる。また、内層と外層の間に中間層を設けることにより、結露水の吸い上げ機能を容易に調節することができ、蒸らし時間の調整もさらに容易となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における抽出用フィルターは、熱水との親和性に差を有する内層と外層を積層させることにより得られる。本発明において、内層には疎水性極細繊維不織布が用いられる。この疎水性極細繊維不織布は、抽出用の熱水をフィルター内に一定時間貯留し、かつ水蒸気の透過性を確保させる点から、耐水圧が2kPa以上、好ましくは2.5〜10kPaであり、かつ平均繊維径が0.1〜6μm、好ましくは0.5〜4μm、目付が5〜100g/m2 、好ましくは20〜60g/m2 および厚みが0.05〜1mm、好ましくは0.08〜0.5mmであることが必要である。
【0011】
疎水性極細繊維不織布の耐水圧が2kPa未満では、抽出用熱水を一度にフィルター内に注ぎ入れると、熱水が内層を通過し易くなり、蒸らし時間を確保することができない。抽出用熱水の量は、既存のカップの容量に応じ、一般には1 50〜200cc程度であるが、不織布の耐水圧が2kPa以上であれば、抽出用熱水を一度に注ぎ入れても内層を通過して漏れ出ることはない。
また疎水性極細繊維不織布の平均繊維径が0.1μm未満、目付が100g/m2 を超え、さらに厚みが1mmを超えると、耐水圧は大きくなるが、水蒸気の透過性や通気性が低下し、一定時間後に発現する熱水の透過性が低下する。また平均繊維径が6μmを超え、目付が5g/m2 未満で、厚みが0.05mm未満では、耐水圧が小さくなり、熱水の透過性がよくなり過ぎて熱水を一時的に貯留することができなくなる。
【0012】
極細繊維不織布を構成する繊維径、繊維量(目付)、厚み(みかけ密度)を上記範囲で適宜選択することにより、抽出時の蒸らし時間を適切に調節することができる。なお、極細繊維不織布のみかけ密度は0.05〜0.5g/cm3 の範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜0.4g/cm3 である。
本発明に用いられる疎水性極細繊維不織布は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの溶融ポリマーを高圧ガス流と共に、紡糸ノズルから噴射させるメルトブロー法により、またはポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリマーを有機溶媒に溶解させて高温高圧の溶液とし、紡糸ノズルで減圧させて有機溶剤を爆発的に気化させるフラッシュ紡糸法により得ることができる。
【0013】
本発明において、外層には親水剤が付着された合成繊維不織布が用いられる。不織布に付着した親水剤は、不織布繊維に付着する結露水に溶け込み、その表面を低下させて結露水を不織布内に濡れ広がらせる役割を有し、その親水剤の種類、付着量により蒸らし時間を調節することができる。親水剤の付着量は、その種類にもよるが0.1〜1 0g/m2 が好ましく、より好ましくは0.2〜5g/m2 である。付着量が0.1g/m2 未満では結露水が外層に濡れ広がる時間が長くなるため、蒸らし時間の調整がしにくくなり、また付着量が1 0g/m2 を超えても濡れ広がる時間は変化せず、コスト高となる。
親水剤としては、食品用フィルターの場合には、食品添加剤として認可されているショ糖、カルボキシメチルセルロース、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが用いられる。食品用以外のフィルターとして用いる場合には、特に制限はない。
【0014】
親水剤の付着方法には特に制限はなく、公知のグラビヤロール方式、キスロール方式、スプレー方式、浸漬方式などにより不織布の全面またはストライブ状、水玉状等の部分的に付着させることができる。付着量の調節は、親水剤の濃度、加工速度、グラビヤロールの彫刻の深度などによりできる。また部分親水加工の場合は、グラビヤロールの形状を、ストライブ形状、格子形状等の連続模様、または円、楕円、四角、菱形等の形状が均等に彫刻された部分模様の大きさ、幅、間隔、深度等を変えることにより調節が可能である。
【0015】
外層に用いられる合成繊維不織布としては、親水剤を付着させることができれば、繊維の種類や製法などに特に制限されない。例えば、ポリプロピレン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレンとポリプロピレン複合繊維、ポリエチレンとポリエステルの複合繊維、熱融着繊維、接着性繊維などの短繊維や長繊維が用いられ、これらは二種以上を混合しまたは積層して用いることができる。不織布の製造には公知のスパンボンド法、ニードルパンチ法、サーマルボンド法、ウオーターパンチ法などのいずれを採用してもよい。
上記合成繊維不織布の目付は10〜300g/m2 、厚みは0.05〜1mm、平均繊維径は0.5〜60μm、みかけ密度は0.1〜0.7g/cm3 であるのが好ましい。
【0016】
本発明の抽出用フィルターには、内層における蒸らし時間の調整を容易にさせ、かつ均一な熱水の透過を可能にする点から、内層と外層の間に中間層を設けるのが好ましい。この中間層はその通気性が内層よりも大きく、かつ平均繊維径が10〜100μm、厚みが0.05〜1mmである合成繊維不織布であることが好ましい。より好ましい不織布の厚みは、0.07〜0.6mmである。中間層の不織布の厚みが小さいと、蒸らし時間が短くなり、厚みを大きくすると、蒸らし時間が長くなる。また中間層の通気性が内層のそれよりも小さいと熱水の通過が阻害されやすくなる。例えば中間層の厚みが0.05mm未満では、内層と外層の間に形成される繊維空隙が少なく、結露水の保持量の調整がしにくくなり、また熱水が均一に透過しにくくなる。一方、中間層の厚みが1mmを超えると熱水の透過に時間がかかり過ぎたり、透過時間の安定性が低下する。
【0017】
中間層に用いる不織布には上記外層に用いる合成繊維不織布と同じ不織布を用いることができるが、中間層の不織布の目付は10〜100g/m2 が好ましく、通気性は10〜1000cc/cm2 /sec 、みかけ密度が0.01 〜0.5g/cm3 であるのが好ましい。また本発明の抽出用フィルターには、内層に使用される極細繊維不織布の強度を補強するために該内層の上に、該内層よりも通気性および強度の大きい不織布を積層させることもできる。
【0018】
本発明において、抽出用フィルター上に高さ20〜100mmの熱水を注いだ場合に、この熱水が該フィルターを通過して落下を開始するまでの時間、すなわち蒸らし時間が5〜180秒の範囲となるように、上記内層、中間層または外層の不織布の特性を調整するのが好ましい。落下開始時間が5秒未満では、蒸らしが不十分となり、180秒を超えると蒸らし過ぎて抽出成分の濃度が濃くなりやすい。より好ましい落下開始時間は10〜120秒、さらに好ましくは15〜90秒である。また熱水が外層から落下を開始して抽出を完了するまでの抽出時間は20〜120秒が好ましく、より好ましくは30〜90秒である。抽出時間が20秒未満では抽出成分の濃度が薄くなりやすく、120秒を超えると余分な成分が抽出され、濃度が濃くなり、コーヒーが冷めやすくなる。抽出に用いる熱水の温度は、抽出を十分に行わせる点から70〜100℃が好ましく、より好ましくは80〜100℃である。
【0019】
本発明の抽出用フィルターは、上記した内層と外層、または内層、中間層および外層を重ね合わせることにより得られるが、これらを接着剤により相互に部分的に接着してもよく、また熱エンボスロールと平滑ロールの間を通過させて部分的に加熱−加圧して接着してもよい。また重ね合わせたフィルターの周囲を熱シール方式で接着させてもよい。接着剤による接着は、例えば、粒状、繊維シート状などのホットメルト系樹脂を用いて公知の方法により行うことができる。繊維シート状の接着剤は、エチレン−酢酸ビニール系樹脂、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン系樹脂、共重合ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、共重合ポリエステル系樹脂などをノズルから溶融状態で押し出し、加熱空気により、噴射、開繊する公知のメルトブロー方式で得ることができる。熱エンボス加工の場合は、丸、四角、菱形、楕円などの凸部を均等に配置させたエンボスロールと表面平滑ロールからなる一対のロール間を通過させることにより部分的に熱圧着して接着することができる。
【0020】
本発明の抽出用フィルターは、例えば、フィルター材を接着剤や熱シールにより平袋、カゼット状、スタンデングパウチ状などに加工して、またはフイルム、紙、プラスチックなどからなる袋状、円筒状などの底部にフィルター材を取付けて、またはフィルター材を容器形状に一体成形して使用することができる。一体成形する場合には、例えば、凹凸金型等で熱プレス成形機を用いて例えば深さ10〜150mmの容器形状に一体成形される。この場合のフィルター材としては、成形加工温度(例えば、80〜230℃)で伸びやすく、かつ破れずに伸張加工できる素材を用いるのが好ましい。特にフィルター材の破断伸度は50%以上が好ましく、より好ましくは70〜400%である。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。なお、例中の各特性の測定は以下に示す方法で行った。
(1) 平均繊維径:顕微鏡法で測定する。
(2) 目付 :JIS-L-1906 に準じて単位面積当たりの質量で表す。
(3) 厚み :JIS-L-1906 に準じて測定する。
(4) 破断伸度 :JIS-L-1906 に準じて測する。
(5) 耐水圧 :JIS-L-1092A法(低水圧法)に準じて測定する。
(6) 通気性 :JIS-L-1906 フラジュール法で測定する。
【0022】
参考例1〜4および比較例1
耐水圧が5.7kPaで、平均繊維径2.5μm、厚み0.28mmおよび目付50g/m2 のポリプロピレン極細繊維不織布を、公知のメルトブロー方式で製造して内層とした。また平均繊維径18μm、厚み0.35mmおよび目付50g/m2 のポリプロピレン長繊維不織布を公知のスパンボンド方式で製造し、該長繊維不織布にグラビヤ方式で親水剤加工を行い、外層とした。なお、加工剤にはポリグリセリン脂肪酸エステル(デカグリセリルモノラウレート)を用い、親水剤の濃度を変えて付着量(g/m2 )を、0.1(参考例1)、0.5 (参考例2)、1.0(参考例3)、10(参考例4)なるように調整して加工し、各々の外層とした。口径60mm、深さ80mmのガラス容器の底部に、上記内層と外層を重ねあわせた各フィルター材を取り付けて抽出容器とした。この容器に細挽きレギュラコーヒー粉末8gを入れ、次いで75〜90℃の熱水175ccを一度に注ぎ、容器から熱水が透過するまでの時間(蒸らし時間)を測定した。その結果を表1に示す。
【0023】
【表1】
表1から、外層に付着された親水剤の付着量が多くなるほど蒸らし時間が少なくなり、親水剤の付着量により蒸らし時間の調整が可能であることがわかる。一方、親水剤を付着してない比較例1では熱水は透過しないことがわかった。
【0024】
実施例1〜5
参考例3において、内層と外層の間に、表2に示すそれぞれの中間層を配してフィルター材として用いた以外は参考例3と同様の方法で蒸らし時間を測定し、その結果を表2に示した。中間層としては公知のスパンボンド方式で得たポリプロピレン長繊維不織布を用いた。表2から、中間層の厚みを厚くするほど蒸らし時間が長くなることが示される。これより中間層の厚みを調節することにより、蒸らし時間を調整できることがわかった。
【0025】
【表2】
【0026】
参考例5〜9
参考例3において、内層の目付と繊維径を変えたものを使用した以外は参考例3と同様にして蒸らし時間の測定を行い、その結果を表3に示した。表3から、内層の目付および繊維径を変えることにより、内層の耐水圧も変化し、蒸らし時間も変わることがわかる。これにより、内層の目付を大きくし、繊維径を小さくするほど、蒸らし時間を長くできることがわかった。
【0027】
【表3】
【0028】
参考例10
平均繊維径3.4μm、厚み0.35mmおよび目付60g/m2 のプロピレン極細繊維不織布(耐水圧5.3kPa、110℃の温度の破断伸度110%)をメルトブロー方式で製造して内層とした。また平均繊維径16μm、厚み0.5mmおよび目付250g/m2 のポリエステル長繊維不織布(110℃の温度の破断伸度260%)をスパンボンド方式で製造し、さらにポリグリセリン脂肪酸エステル親水剤の付着量が0.6g/m2 になるように濃度を調節してグラビヤ方法で親水性加工して外層とした。次に上記内層と外層を、ホットメルト樹脂(ポリプロピレン系共重合樹脂)を用いて接着した後、口径が90mm、低部径50mm、深さ55mmのコップ状の雄雌金型を温度110℃に加熱し、加熱―加圧プレス成形機で一体成形加工して容器形状の抽出用フィルターを得た。既存のコーヒーカップの上にこの容器形状の抽出用フィルターを装着させ、該フィルターに細挽きレギュラーコーヒー粉末を8g入れ、次いで90℃の熱水160cc注いで成分抽出を行った。該容器形状の抽出用フィルターの蒸らし時間は35秒であり、蒸らし時間後の抽出時間65秒で簡便に美味しいレギュラーコーヒーが抽出できた。
【0029】
実施例6
目付30g/m2 、平均繊維径1.8μmおよび耐水圧2.7kPaのポリエステル極細繊維不織布を内層に使用し、目付30g/m2 、平均繊維径26μm、厚み0.25mmおよび通気性270cc/cm2 /秒のポリエステル短繊維不織布を中間層に使用し、目付30g/m2 、平均繊維径20μm、厚み0.20mmおよび通気性210cc/cm2 /秒の親水加工したポリエステル長繊維不織布を外層に使用し、これらを順に重ね合わせて凸型エンボスロールと平滑ロールの間を加熱(温度210℃)―加圧条件下で通過させて接着してフィルター材とした。なお、親水加工は、ショ糖脂肪酸エステル(ショ糖ステアリン酸エステル)をグラビヤ方式で親水剤付着量0.7g/m2 とした。次いでポリプロピレン製樹脂のプラスチック円筒状成形容器(口径90mm、深さ50mm、底部の口径60mm)の底部に上記フィルター材を熱接着させて固定し、該容器を既存のコップの上に載せ、細挽きレギュラーコーヒー粉末8g入れ、90℃の熱水170cc注いで成分抽出した。蒸らし時間は47秒であり、その後、75秒で140ccの美味しいコーヒーが得られた。
【0030】
【発明の効果】
請求項1〜4記載の抽出用フィルターによれば、水蒸気を透過し、熱水を透過しない特定の内層と、親水剤が付着された特定の外層とを組み合わせることにより、熱水の透過に一定時間を必要とし、これにより蒸らし時間を確保することができるため、熱水の注ぎ量や蒸らし時間を考慮することなく、一度の給湯で簡便に美味しいレギュラーコーヒー粉末、紅茶、日本茶等の成分を安定して抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の抽出用フィルターに注がれた熱水が落下を開始する状況説明図。
【符号の説明】
1…抽出用フィルター、2…熱水、3…内層、3a…結露水で濡れた内層、4…外層、4a…結露水で濡れた外層、5…結露水、6…内層と外層の間隙、7…水蒸気の通過方向、8…落下滴、8a…熱水流。
Claims (4)
- 被抽出物に熱水を注いで所望成分を抽出することができる抽出用フィルターにおいて、被抽出物を入れる側である内層と、抽出物が出てくる側である外層と、内層と外層の間に中間層とを積層してなる通気性を有するフィルターであって、該内層は、平均繊維径0.1〜6μm、目付5〜100g/m2 および厚み0.05〜1mmを有する、耐水圧が2kPa以上の疎水性極細繊維不織布からなり、前記中間層は、該内層よりも通気性が大きく、平均繊維径が10〜100μm、厚みが0.05〜1mmである合成繊維不織布からなり、前記外層は、親水剤が付着された合成繊維不織布からなり、前記親水剤の付着量が0.1〜10g/m2であることを特徴とする抽出用フィルター。
- 前記抽出用フィルター上に深さ20〜100mmに達するまで熱水を注いだ場合、該熱水が該フィルターを通過して落下開始するまでの時間が5〜180秒であることを特徴とする請求項1に記載の抽出用フィルター。
- 前記抽出用フィルターが、熱プレス成形により一体成形された容器形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の抽出用フィルター。
- 前記内層、中間層および外層が、接着剤または熱エンボス加工により部分的に接着されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の抽出用フィルター。
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