JP2002066224A - 機能性積層フィルタの製造方法およびそれを用いた抽出装置 - Google Patents

機能性積層フィルタの製造方法およびそれを用いた抽出装置

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JP2002066224A JP2000304202A JP2000304202A JP2002066224A JP 2002066224 A JP2002066224 A JP 2002066224A JP 2000304202 A JP2000304202 A JP 2000304202A JP 2000304202 A JP2000304202 A JP 2000304202A JP 2002066224 A JP2002066224 A JP 2002066224A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コーヒ、茶などを誰でも均一な濃さと旨さの
抽出ができ、かつ抽出液が少ないという特殊な状況でも
抽出液がゲル化しない手段を提供する。 【解決手段】 抽出用カップ1をカップ2の上に載せ、
本体1a中の機能性積層フィルタ3の上にコーヒー豆、
茶、薬草等の抽出材4を所定量入れ、所定量の抽出液5
を注ぐ。これを電子レンジで加熱すると、抽出液5の温
度上昇と共に薄い機能性フィルタ3−1に含浸されてい
る熱可溶性材料が溶解を始め、抽出液5が機能性フィル
タ3−1を通り始め、濾過フィルタ3−2で効率よく通
過されて、ある温度に達すると熱可溶性材料の急激な溶
解と共に抽出液5の落下も激しくなり、苦みや渋みが出
る前に抽出が終了することにより、誰にでも上手に抽出
ができ、機能性フィルタが薄いので含有寒天量も少なく
抽出液がゲル化しにくい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は茶、コーヒー、薬草
等の抽出材を抽出液に浸し電子レンジで加熱することに
より抽出液中に抽出材から成分を抽出するときに、抽出
液が一定温度になるまで抽出液の通過を防止するための
機能性フィルタの製法とそれを用いた飲料抽出装置の改
良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、茶、コーヒー、薬草・健康飲料等
をそれぞれの抽出材料から抽出する方法の一つとして、
コーヒーの場合を例にとると、たとえば図7の従来の抽
出装置の断面図のように、ドリップ用のカップ21にフ
ィルタ23を入れ、フィルタ23の中に挽いたコーヒー
豆24を所定量入れ、上から加熱した湯25を矢印のよ
うに徐々に注入してコーヒー豆24から抽出し、フィル
タ23でコーヒー豆24を濾過して抽出液だけを孔21
bから任意のカップ22に流下させていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の抽出
方法では湯を注入する早さとか湯の温度とかが難しく、
薄すぎたり、逆に濃すぎたり濃度が一定せず、またフィ
ルタが通りにくいものであると、苦みや渋みが出たりし
て旨い味を出すのが難しかった。
【0004】また図7の抽出装置を用いて電子レンジの
中で抽出液を加熱する方法もあるが、この場合加熱する
前に温度の低い水を入れたときに十分抽出されていない
水がフィルタを通過してしまい、全体として抽出液が薄
いものになりがちであり、また同時に多数のコーヒーを
抽出する場合には、電子レンジ内でのカップの個数やカ
ップの位置によって加熱の程度が異なり、コーヒーの出
来が濃すぎたり薄かったりするという問題点があった。
【0005】この問題を解決するために本発明者は先に
機能性フィルタを用いた抽出装置を提案した。この機能
性フィルタとは通常の濾過用フィルタの繊維の間の目
を、たとえば寒天のような熱可溶性の材料で目づまりさ
せておき、電子レンジの中で加熱された抽出液がある一
定温度に達すると熱可溶性材料が溶け出すことにより目
づまりを解消させ、阻止されていた抽出液を通過させる
ことによって、加熱させ過ぎず適当な抽出ができるよう
にしたものである。装置の構成は図7と同様であり、そ
のフィルタ23に上記のような熱可溶性材料を塗布また
は含浸させたものを用いている点のみが異なっている。
【0006】ところでこのように従来のパルプまたはプ
ラスチックの不織布に寒天溶液を塗布し、または寒天溶
液に含浸させて機能性フィルタを作る方法においては、
フィルタの厚さは従来の機能性フィルタの拡大断面図の
図8に示すようにおおよそ50μm程度の厚さが必要で
あった。
【0007】このような厚さのフィルタでは塗布または
含浸させる寒天の量が管理し難く、フィルタの厚さ、寒
天濃度、装置の調整等の各種のばらつきで抽出液(コー
ヒー等)の中に所定量以上の寒天が溶解すると、抽出液
がゲル化する問題があった。
【0008】本発明は従来のこのような問題点を解決し
ようとするものであり、フィルタを2層のラミネート
(積層)構造とすることにより寒天量を少なく、かつ管
理しやすくして抽出液のゲル化を防止しようとするもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに本発明の請求項1の機能性積層フィルタの製造方法
は、紙、織物または不織布などの繊維の隙間を所定温度
近辺で溶融する熱可溶性材料で目詰まりするように塗布
または含浸し前記所定温度以下の温度では液体を通過し
にくく、前記所定温度以上の温度では通過しやすくした
機能性フィルタと、紙、織物または不織布などの繊維で
作られ抽出材と抽出液とを分離させるための濾過フィル
タとを積層してなるものである。
【0010】また本発明の請求項2の機能性積層フィル
タの製造方法は、所定温度近辺で溶融する熱可溶性材料
で作られ前記所定温度以下の温度では液体を通過しにく
く、前記所定温度以上の温度では自身が溶解して液体を
通過させるようにしたフィルムと、紙、織物または不織
布などの繊維で作られ抽出材と抽出液とを分離させるた
めの濾過フィルタとを積層してなるものである。
【0011】また本発明の請求項3の機能性積層フィル
タを用いた抽出装置は、電子レンジの電磁波を透過させ
自身では発熱せず下方に抽出口を有する抽出カップと、
前記抽出カップ内に保持されるものであって、請求項1
または請求項2の製造方法で製造された機能性積層フィ
ルタとを備え、前記抽出カップ内の前記機能性積層フィ
ルタ上に抽出材を配置しこの抽出材を浸すように抽出液
を注入して第2のカップの上に載せ、電子レンジにて加
熱することにより前記抽出液を加熱し、この抽出液の温
度上昇により前記機能性積層フィルタの機能性フィルタ
に塗布または含浸された熱可溶性材料または機能性フィ
ルタである熱可溶性フィルムを構成した熱可溶性材料を
溶解させて前記機能性フィルタでは前記抽出液を通過さ
せ前記濾過フィルタでは抽出材から抽出液を濾過して前
記抽出カップの下方の抽出孔から前記第2のカップに落
下させるように構成したことを特徴とする。
【0012】本発明の機能性積層フィルタは、請求項1
または2のような方法で製造されており、本発明の請求
項2の抽出装置に用いることによって、抽出材と抽出液
を入れて電子レンジで加熱したとき、機能性フィルタは
低温においてはほとんど水分を通さないので抽出材と抽
出液を入れても抽出された液は機能性フィルタからほと
んど漏れ出さず、抽出が薄くなることがなく、温度の上
昇と共に熱可溶性材料は徐々に溶けだして機能性フィル
タは徐々に水分を通過させ、ある温度から急激に抽出さ
れた液が漏れ出し、他方濾過フィルタは機能性フィルタ
で通過を許された抽出液を効率よく濾過するように作用
し、かつ抽出液が少ない場合でも抽出液がゲル化するこ
とがないように作用する。
【0013】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)以下図面を用い
て本発明の実施の形態1の機能性フィルタの製造方法に
ついて説明する。図1は本発明の実施の形態1の機能性
積層フィルタを示す図で、図1(a)は機能性フィルタ
の断面図、図1(b)は同じくその平面図、図1(c)
は同じくそのフィルタの構成を示す拡大断面図、図2は
同じくその機能性積層フィルタのエンボス加工状態を示
す斜視図である。
【0014】この機能性フィルタは図1(c)に示すよ
うに所定温度近辺で溶解する熱可溶性材料、たとえば寒
天を塗布または含浸させて目詰まりを起こさせた機能性
フィルタ3−1と通常の濾過フィルタ3−2とをラミネ
ートしたことが特徴である。
【0015】機能性フィルタ3−1の製法は麻などの強
い繊維でおおよそ20μm程度に出来るだけ薄く作った
フィルタ材料に熱可溶性材料を塗布または含浸させる。
このフィルタ材料は製造工程に耐え、かつ熱可溶性材料
を含浸させるに都合が良い程度のできるだけ粗いものに
するのが良い。
【0016】熱可溶性材料は、食用に適したものであっ
て、余り味もなく、所定温度以下の温度では液体を通過
しにくく、所定温度以上の温度では通過しやすくできる
ことを要し、たとえば寒天がこの条件に合致して好適で
ある。寒天は天草などの紅藻類の海藻に存在する粘性物
質を熱水抽出し水分を除去したもので、融点は80度C
ないし100度C、凝固点は35度Cないし45度C程
度というヒステリシス特性を持っている。他に熱可溶性
材料として、カラギナン、ファーセレラン、ジュランガ
ム、澱粉、加工澱粉より選ばれる少なくとも1種以上の
糊料が同様に有効である。オブラートなどもこの範疇に
入る。また用途は限定されるが糖質の飴状物質なども用
いることができよう。
【0017】寒天を用いる場合の機能性フィルタ3−1
の製造は、まず粉末寒天または固形寒天等を熱水に溶解
し、約1ないし1.5%程度の寒天溶液を作り、沸騰さ
せて溶解させ溶解液にする。一般家庭用の角寒天や糸寒
天等は不純物が多くこのような用途にはあまり適当では
ない。この溶解したものが凝固(凝固点は約35度C前
後)する前にフィルタ基材に塗布、または含浸加工す
る。具体的にはパルプ繊維シートにスプレーによって寒
天溶解液を吹き付ける。またはスプレーする代わりに刷
毛などで塗布してもよく、また寒天溶解液の中へパルプ
繊維シートを浸してもよい。
【0018】塗布、含浸が終わると自然乾燥、加熱乾燥
または真空乾燥等により乾燥させ水分を除去して含浸さ
れたパルプ繊維シートにする。乾燥方法としてより好ま
しくは、塗布または含浸された寒天溶液をゲル化温度以
上で乾燥することである。この寒天はゲル化工程を通ら
ないため、易溶化されることになる。この機能性フィル
タ3−1は繊維の隙間に熱可溶性材料である寒天が入り
込んで凝固した状態となって目詰まりを起こしている。
【0019】次にコーヒ粉などの抽出材料から抽出液を
濾過するのに適当な別のパルプまたはプラスチック不織
布などの材料でできた厚さ約30μmの濾過フィルタ3
−2をラミネートさせ図2のような部分的なエンボス加
工、プレス、または必要によっては加熱して互いの繊維
を絡ませるようにして合体した1枚のフィルタとする。
エンボス加工の場合、図2(a)のようにクロス形にエ
ンボス加工してもよく、図2(b)のように部分的な十
字形のエンボス加工にしてもよく、エンボスの形状は問
わない。また積層には接着でもよいが、全面的に接着す
ると濾過できなくなるので、エンボスの形のように部分
的な接着とし、健康に配慮して無機質の溶剤は使わず、
熱可溶性材料より溶解しにくい澱粉質の接着剤等を考慮
する。また図1(c)では機能性フイルタ3−1と濾過
フイルタ3−2とをそれぞれ一層ずつ張り合わせたが、
機能性フイルタ3−1を濾過フイルタ3−2で挟み込む
形態や数層に重ね合わせた形態としても良い。これらの
挟み込みなどの方法は特に機能性フイルタを薄く(強度
的に弱くなる)した場合に強度を補強できて有効であ
る。
【0020】このように積層された機能性積層フィルタ
3は図1(a),(b)のように折り曲げ部分3aで折
り曲げ、エンボス加工部分3bでプレスによって、必要
によっては加熱して互いの繊維を絡ませるようにして袋
状に形成する。2種のフィルタを積層させるラミネート
も、このエンボス加工による袋状の形成も、接着するよ
りも部分的な溶着または互いの繊維をからませ合うこと
により一体化するのが食品衛生上良好である。機能性フ
ィルタ3−1と通常の濾過フィルタ3−2とはいずれを
外側にしてもよい。
【0021】従来の厚さ50μmのフィルタにすべて寒
天を塗布または含浸させた機能性フィルタと、このラミ
ネートされた機能性フィルタとの機能上の比較をする
と、従来の直径200mmで50μm厚のフィルタ全面
に寒天を含浸させると実験的におおよそ0.35gの寒
天が含まれる。
【0022】一般的には水500ccに対して1gの寒
天量すなわち1/500以内であれば、水が粘性を持た
ない(ゲル化しない)が、寒天量がこれを上回ると、ゲ
ル化し、極端には羊羹のようになる。図示のラミネート
フィルタでは寒天を含浸させるフィルタの厚さは20μ
mなので、単純計算で2/5の寒天量すなわち0.14
gとなり、寒天のゲル化の度合いが半分以下となる。同
様に180ccの水に全部を溶解すれば従来のものでは
1/500の寒天濃度であるが、ラミネートフィルタで
は1/1287の寒天濃度となり、ゲル化は全く問題な
い。また水を100ccとしても1/715となり、こ
れも全くゲル化の心配はない。
【0023】このように本発明によればゲル化の問題を
解決できる。すなわち機能性フィルタ3−1で所定温度
以上になると寒天が溶解し抽出液を落下させ、同時に濾
過フィルタ3−2で抽出材から抽出液を濾過するため、
それぞれの目的に合った組み合わせのフィルタとなるの
で、短時間でかつスムーズに抽出液を落下させ、また細
かい抽出材も漏らさない高性能のフィルタを得ることが
できる。
【0024】(実施の形態2)以下図面に基づいて本発
明の実施の形態2における機能性フィルタを用いた抽出
装置について説明する。図3は実施の形態2の抽出装置
の断面図、図4は熱可溶性材料として寒天を用いた場合
の特性図で、図4(a)は温度に対する溶解率、図4
(b)は時間に対する溶解率を示す。図5は最適抽出の
ための説明図である。
【0025】図3において抽出用カップ1の本体1aは
底部のある円筒状に形成され、側面には必要により取り
扱い用の指かけ1bを一体に適宜に形成し、底部から外
周に向けて広がり、カップ2に載置するための台座部1
cを一体に形成し、本体1a底面には1または複数の抽
出孔1dを設け、台座部1cの内周部には突起1eを下
方に向けて設け、この突起1eはリング状のものでもよ
く、また3個以上の独立の突起をリング状に配したもの
でもよい。そして本体1aの中には実施の形態1で説明
した機能性積層フィルタ3を載置する。
【0026】カップ2は供給者の方で抽出用カップ1と
ペアで用意してもよく、この場合は寸法が特定されるの
で、抽出用カップ1の下面における突起1dはカップ2
に合致するリング状の突起とすればカップ2に抽出用カ
ップ1を載せたときに安定する。また使用者が任意の適
宜な大きさのカップ2を用いてもよい。
【0027】抽出用カップ1もカップ2も電子レンジに
入れて加熱するので、熱で破損しない材料で、かつ電子
レンジの高周波を透過させ、自身では発熱しない材料が
必須であり、耐熱ガラス、陶磁器、またはプラスチック
等を用いる。プラスチックについては、最近の健康志向
の高まりから溶出物質の害が心配されているので、この
点にも配慮して材質を選定する必要がある。
【0028】以上のように構成され、つぎにこの抽出装
置を用いて抽出する動作を説明する。抽出用カップ1を
カップ2の上に載せ、本体1a内の機能性積層フィルタ
3の上にコーヒー豆、茶、薬草等の抽出材4を所定量入
れ、所定量の抽出液5を注ぐ。抽出液は一般に水を用い
るが、必要により適宜糖類や香料等を添加しても差し支
えない。そうして全体を電子レンジに入れて加熱する。
加熱前から機能性積層フィルタ3から低温でもわずか
に、にじみ出しているが、それはきわめて少量である。
【0029】加熱と共に抽出液5の温度は上昇しこの熱
により機能性積層フィルタ3の機能性フィルタ3−1に
含浸させている熱可溶性材料である寒天は少しずつ溶け
だしており、したがって機能性フィルタ3−1の寒天に
よる目詰まりは解消されていき、抽出液5の落下も早く
なりつつある。
【0030】この抽出速度について図4を用いて説明す
る。図4(a)、(b)において破線は通常の寒天がゲ
ル化後、自然冷却された通常の寒天の特性であり、実線
はゲル化温度以上で乾燥され、易溶化した寒天の特性で
ある。図4(a)のように易溶化した寒天は低い温度で
は溶解しにくく、ある温度になると急激に溶解する特性
がある。このような特性は寒天分子を、より絡みの少な
い状態で粒子化したものである。また図4(b)のよう
に温度を沸騰時の100度Cに固定した場合、通常の寒
天では完全に溶解するには時間がかかるが、易溶化した
寒天では短時間に溶解する。本発明の機能性フィルタ3
−1にもこの特性が好適である。
【0031】そして抽出液が沸騰点付近で熱可溶性材料
の溶解率が急激に大になり抽出液の落下も早くなり、短
時間で残った抽出液5は落下して抽出を終わるので、こ
こで電子レンジの加熱を終えればよい。
【0032】この抽出の過程を図5の説明図を用いて説
明する。図5はコーヒーの場合の説明図で、(a)は電
子レンジ内の抽出液の温度、(b)は抽出カップ内の抽
出液の量、(c)は抽出液がおいしいか、苦みが増すか
の境界を示す。時間の経過と共に抽出液の温度が高くな
っていき、それとともに抽出カップ内の抽出液も少しず
つ減っていく。ある程度のところで抽出液は急激に落下
して量が少なくなり、沸騰する手前でほとんどなくな
る。このように境界線(c)の手前で抽出が終わり、も
しこれを越えれば苦みが増えるので、理想的なところで
終了できることとなる。
【0033】一般的にコーヒーなどをおいしく入れるに
は「三温抽出法」が唱えられている。すなわち三温とは
低温、中温、高温のことで、たとえば玉露などは低温で
長い時間抽出するのが望ましいが、時間がかかりすぎる
ので少し熱いお湯を使うのが一般的である。コーヒーで
は、いわゆる水出しコーヒーがあるように水の状態から
熱くなるまでそれぞれの温度で異なった味を抽出でき、
本実施形態の抽出装置では水の状態から始まって(低
温)、中温を通って、熱湯(高温)まで抽出できるの
で、この目的にはまさにぴったり適合するもので、素人
にもばらつきなく、簡単にプロ並みのコーヒーが入れら
れるものである。
【0034】なお、本実施の形態の変形として、抽出カ
ップ1に機能性積層フィルタ3と、その中に抽出材4を
セットし、図示しないがカップ1の上部に接着や熱収縮
等でカバーを被せて、このカバーを除去して水を注ぐだ
けで準備が整うようにして実施してもよい。
【0035】(実施の形態3)図6は実施の形態3にお
けるフィルタの拡大断面図である。この実施の形態では
フィルタだけが特徴であり、抽出装置は実施の形態2の
図3のものがそのまま用いられる。図6において機能性
フィルタ3−3は、寒天を主成分とした材料を溶解し、
自然乾燥、加熱乾燥または真空乾燥等により乾燥させ、
寒天フィルムとする。乾燥方法としてより好ましくは寒
天溶液をゲル化温度以上で乾燥すれば、寒天はゲル化工
程を通らないため、易溶化されることになる。濾過フィ
ルタ3−2は実施の形態1のものと同一のもので、パル
プまたはプラスチック不織布などの材料でできた厚さ約
30μmのものを用いる。
【0036】濾過フィルタ3−2と機能性フィルタ(寒
天フィルム)3−3とは2枚重ねにして図2のエンボス
加工部のように部分的に強くプレスすることによって積
層(ラミネート)する。またはプレス時に加熱加工して
もよい。接着する場合は健康上無機材料を避け、たとえ
ば澱粉質を用いた糊を使って部分的に接着する。この場
合、抽出液の通過と加熱があっても、澱粉糊の溶解が抽
出終了後に起こるように設定しておけば好都合である。
また第一の実施形態のように機能性フイルタ3−3を濾
過フイルタ3−2で挟み込む形態や交互に数層重ね合わ
せる形態としてもよい。このようにして得た積層フィル
タを図1(b)のように折り曲げてエンボス加工し、実
施形態2の積層フィルタ3の代わりに用いて電子レンジ
中で加熱抽出すれば、抽出液の温度上昇と共に機能性フ
ィルタ(寒天フィルム)3−3はある温度以上で急激に
溶解し、残った濾過フィルタ3−2は抽出材5と抽出液
4を分離させ、抽出孔1dから抽出液4を落下させるこ
ととなる。ここでは寒天を用いることで説明したが、他
に熱可溶性材料として、カラギナン、ファーセレラン、
ジュランガム、澱粉、加工澱粉、オブラート材料より選
ばれる少なくとも1種以上の糊料が同様に有効である。
また用途は限定されるが糖質の飴状物質などもフィルム
状に加工することができれば用いることができよう。こ
の実施形態によればフィルム厚の管理が容易であり、フ
ィルムの面積が決まれば材質の量を正確に知ることがで
きるので、抽出液の量と見合わせて決定すれば抽出液が
少ない場合にもゲル化しないように管理することが容易
である。
【0037】以上の各実施形態における構成や材料など
は一例であり、構成の細部については請求の範囲内で任
意に変形して実施することができる。数値などは一例で
あり、多少の増減は差し支えない。またフィルタに使用
する繊維の種類やカップの材料などは例示のものだけで
なく、例示のものと同等の機能を有するものは使用が可
能である。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の機能性積
層フィルタおよびそれを用いた抽出装置によれば、機能
性フィルタが低温においてはほとんど水分を通さないの
で抽出材と抽出液を中に入れても抽出された液はほとん
ど漏れ出さず、抽出が薄くなることがなく、電子レンジ
で加熱することによる抽出液の温度の上昇と共に熱可溶
性材料は徐々に溶けだして機能性フィルタは徐々に水分
を通過させ、ある温度から急激に抽出された液が漏れ出
し、濾過フィルタはこの抽出液を効率よく濾過するの
で、抽出する時間を適正に管理しやすく誰でも均一な濃
さと旨さの抽出ができるとともに、抽出液が極端に少な
いようなときでも抽出液が溶けだした寒天でぬめるよう
なことがないという優れた効果を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の機能性フィルタを示す
図 (a)機能性積層フィルタの断面図 (b)同じくその平面図 (c)同じくそのフィルタの構成を示す拡大断面図
【図2】同じくその機能性積層フィルタのエンボス加工
状態を示す斜視図
【図3】本発明の実施の形態2の抽出装置の断面図
【図4】熱可溶性材料として寒天を用いた場合の特性図 (a)温度に対する溶解率を示す説明図 (b)時間に対する溶解率を示す説明図
【図5】最適抽出のための説明図
【図6】本発明の実施の形態3におけるフィルタの拡大
断面図
【図7】従来の抽出装置の断面図
【図8】従来の機能性フィルタの拡大断面図
【符号の説明】
1 抽出用カップ 1a 本体 1b 指掛け 1c 台座部 1d 抽出孔 1e 突起 2 カップ 3 機能性積層フィルタ 3−1 機能性フィルタ 3−2 濾過フィルタ 4 抽出材 5 抽出液

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙、織物または不織布などの繊維の隙間
    を所定温度近辺で溶融する熱可溶性材料で目詰まりする
    ように塗布または含浸し前記所定温度以下の温度では液
    体を通過しにくく、前記所定温度以上の温度では通過し
    やすくした機能性フィルタと、紙、織物または不織布な
    どの繊維で作られ抽出材と抽出液とを分離させるための
    濾過フィルタとを積層してなる機能性積層フィルタの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 所定温度近辺で溶融する熱可溶性材料で
    作られ前記所定温度以下の温度では液体を通過しにく
    く、前記所定温度以上の温度では自身が溶解して液体を
    通過させるようにしたフィルムと、紙、織物または不織
    布などの繊維で作られ抽出材と抽出液とを分離させるた
    めの濾過フィルタとを積層してなる機能性積層フィルタ
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 電子レンジの電磁波を透過させ自身では
    発熱せず下方に抽出口を有する抽出カップと、 前記抽出カップ内に保持されるものであって、請求項1
    または2の製造方法で製造された機能性積層フィルタと
    を備え、 前記抽出カップ内の前記機能性積層フィルタ上に抽出材
    を配置しこの抽出材を浸すように抽出液を注入して第2
    のカップの上に載せ、電子レンジにて加熱することによ
    り前記抽出液を加熱し、この抽出液の温度上昇により前
    記機能性積層フィルタの機能性フィルタに塗布または含
    浸された熱可溶性材料または機能性フィルタである熱可
    溶性フィルムを構成した熱可溶性材料を溶解させて前記
    機能性フィルタでは前記抽出液を通過させ前記濾過フィ
    ルタでは抽出材から抽出液を濾過して前記抽出カップの
    下方の抽出孔から前記第2のカップに落下させるように
    構成したことを特徴とする機能性積層フィルタを用いた
    抽出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004337405A (ja) * 2003-05-16 2004-12-02 Key Coffee Inc 多人数用支持具付コーヒーバッグ
JP2008073605A (ja) * 2006-09-20 2008-04-03 Tokyo Electric Power Co Inc:The 小型抽出装置
CN105056569A (zh) * 2015-07-17 2015-11-18 宁波中药制药股份有限公司 一种用于中药提取器的强制卸料装置
CN105920874A (zh) * 2016-07-11 2016-09-07 徐愿坚 一种利用蒸汽快速提取植物有效成分的方法

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