JP6836439B2 - 食品用フィルター材 - Google Patents

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Description

本発明は、食品用フィルター材、特に飲料用の抽出、出汁の抽出に用いて、抽出速度の向上やコスト低減などを目的とした低目付化に伴う曲げ剛性の低下により発生する一般的な製袋工程における問題を解消する不織布からなる食品用フィルター材に関する。
従来から、食品用のフィルター材として、緑茶、紅茶、麦茶、烏龍茶、レギュラーコーヒー、鰹出汁、鰯出汁などの抽出材料の成分抽出のために熱可塑性合成繊維の不織布が広く使用されている。近年、特に抽出用シートの抽出性の向上やコスト低減、さらには透明感や光沢感といった外観の美しさの向上のために、低目付の不織布が必要とされる傾向にある。
しかしながら、低目付の不織布からなる商品用フィルター材は、一般に薄く、剛性が低下するため、一般的な製袋機械における取扱いが難しく、機械適正が低いという問題がある。例えば、茶葉などの抽出材料を封入した抽出用バッグは、それがピロー型である場合には、一般に抽出材料によって不均一に膨らんだ形状となってしまうため、複数個重ねた際には不安定になりやすい。特に低目付の不織布からなる抽出用バッグの場合は、それがより顕著となり、梱包時搬送アームからのずり落ちや積み重ね時に崩れてしまい、取扱い性が低いという問題がある。
他方で、一般に紙製の抽出シートは低目付においても曲げ剛性が高く、抽出用バッグの保型性が高くなるため、抽出用バッグなどの製造の際に取扱い性が高い。しかしながら、紙は透明度が低く、抽出速度が遅い。さらには抽出時に紙由来の苦み成分が溶出し、風味を害してしまうといった問題があり、これらの点が、紙を抽出用バッグとして使用するデメリットとなっている。
以下の特許文献1には、不織布として、粉漏れが少なく、ヒートシール性、成分抽出性、曲げ剛性などに優れた食品用フィルター材、及びそれを用いた食品封入風袋の製法が開示されている。しかしながら目付に対する曲げ剛性が小さく、抽出性向上やコスト低減などを目的とした低目付化、特に、目付15g/m以下においては、製袋適正を顕著に満たさなくなってしまう。
また、以下の特許文献2には、ポリ乳酸系樹脂の繊維からなるメルトブロウン不織布の結晶性を低くすることで折れ目が付き易くなる性質を利用し、折れ目線をつける、あるいは屈曲させるなどして、ぴんと張ったまっすぐな状態とし、抽出用バッグの保型性を向上させることが開示されている。しかしながら、結晶性の低いメルトブロウン繊維は低融点側にブロードな融解ピークを有し、一般的な製袋工程におけるヒートシール時に、ヒートシールバーへ樹脂が付着しやすくなってしまう。特にPLA樹脂はPP樹脂やPET樹脂と比べて熱に対する分解性が非常に高く、抽出用バッグへの分解物付着による品位の低下、さらには一定の時間毎に汚れの拭き取りが必要となり、生産量の低下にも繋がる。
さらに、以下の特許文献3には、曲げ剛性というパラメータに特化し、風合いに優れたスパンボンド不織布が開示されている。しかしながら、風合いの確保のために、曲げ剛性を小さくするという技術思想が開示されているにすぎない。
特開2008−54840号公報 国際公開第2016/147978号 特開2014−141752号公報
前記した従来技術の問題点に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、食品フィルター用途等の一般的な製袋工程において抽出速度の向上やコストの低減、さらには透明感や光沢感といった外観の美しさの向上を目的とした不織布の低目付化により生じる梱包時搬送アームからのずり落ちや積み重ね時の崩れを発生させない製袋適正に優れた不織布を、従来の粉漏れ性、ヒートシール性を維持したまま提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、エンボスロールによる熱接着方法を工夫し、非エンボス箇所の糸-糸接着点数を増やすこと、さらには厚みを維持することにより不織布の曲げ剛性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]不織布を構成する熱可塑性合成繊維の平均繊維径が10〜30μmであり、総目付が10〜50g/mであり、以下の式:
曲げ剛性指数{(gf・cm)/(g/m2.5}×106={KES曲げ剛性試験機による曲げ剛性(gf・cm)/総目付(g/m2.5}×106
で求められる曲げ剛性指数{(gf・cm)/(g/m2.5}×106が54〜206であり、エンボスロールによる熱圧着で一体化されており、エンボス端部から0.3mm地点までの糸同士の接着点数が10個以上あり、かつ、スパンボンド不織布のみからなることを特徴とする積層不織布からなる食品用フィルター材。
]前記積層不織布の厚みが0.06mm以上である、前記[1]に記載の食品用フィルター材。
]前記積層不織布の結晶化度が30%以上である、前記[1]又は[2]に記載の食品用フィルター材。
]前記積層不織布が複数の層で構成され、該複数の層の内少なくとも1層が熱可塑性合成樹脂の繊維から構成される不織布層であり、他の1の層が、該少なくとも1層の熱可塑性剛性樹脂の融点より30℃〜150℃低い融点を有する熱可塑性合成樹脂の繊維から構成される不織布層である、前記[1]〜[]のいずれかに記載の食品用フィルター材。
]シール強度が2〜50N/25mmである、前記[1]〜[]のいずれかに記載の食品用フィルター材。
本発明の積層不織布からなる食品用フィルター材は、抽出速度の向上やコスト低減などを目的とする低目付化、さらには透明感や光沢感といった外観の美しさの向上を目的とした不織布の低目付化において、従来の食品フィルター用不織布に対し、粉漏れ性、ヒートシール性を維持したまま、製袋時に発生する梱包時搬送アームからのずり落ちや積み重ね時の崩れを解消する。
曲げ剛性指数{(gf・cm)/(g/m2.5}×106と目付との関係を示すグラフである。 目付15g/mにおける曲げ剛性(gf・cm)と厚み(mm)との関係を示すグラフである。 糸同士の接着点数が多いことを示すSEM写真である。 糸同士の接着点数が無いことを示すSEM写真である。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の食品用フィルター材は、不織布を構成する熱可塑性合成繊維の平均繊維径が10〜30μmであり、総目付が10〜30g/mであり、かつ、以下の式:
曲げ剛性指数{(gf・cm)/(g/m2.5}×106={KES曲げ剛性試験機による曲げ剛性(gf・cm)/総目付(g/m2.5}×106
で求められる曲げ剛性指数{(gf・cm)/(g/m2.5}×106が54〜206であることを特徴とする積層不織布からなる食品用フィルター材である。
積層不織布は、例えば、第1層が高融点の熱可塑性繊維(S)、第2層が第1層を構成する樹脂を芯側、該樹脂の融点より30℃以上低融点の樹脂を鞘側とする熱可塑性鞘芯剛性繊維(W)を積層し、熱圧着で一体化したS/Wの構造を有する積層不織布であることができる。
特に、第2層の鞘芯繊維極細繊維(W)では、1層と第2層の融点差を設けることで、熱圧着により、層間の接合が強固にでき、熱シール強度及び温度範囲が広くできるなどの特徴が得られる。
積層不織布としては、第1層と第2層の間に粉漏れ性の向上を目的とし、これらの層間に極細繊維を積層させたものでもよい。
第1層の高融点の熱可塑性合成繊維層は、通常、繊維径が10〜30μm、好ましくは12〜20μmの太い繊維から成り、強度、通気性に優れ、磨耗強度が大きいことが好ましい。このような構成繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66、共重合ポリアミド繊維などのポリアミド系繊維などの合成繊維が挙げられる。
第2層の熱可塑性合成繊維層は、第1層の繊維より30℃以上、好ましくは50℃以上低融点の繊維からなり、袋構造体の熱シール面となる。繊維径は10〜30μm、好ましくは12〜20μmmの太い繊維が好ましい。構成繊維としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエチレン、共重合ポリプロピレンなどのオレフイン系繊維、ポリエチレンテレフタレートにフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオールの1種又は2種以上の化合物を共重合した芳香族ポリエステル共重合体、脂肪族ポリエステルなどのポリエステル系繊維、共重合ポリアミド繊維などの合成繊維が用いられる。さらに、芯鞘構造、サイドバイサイドなどの2成分からなる複合繊維、例えば、芯が高融点で鞘が低融点の複合繊維で、具体的には、芯がポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、共重合ポリアミドなどの高融点繊維、鞘が低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、共重合ポリエチレン、共重合ポリプロピレン、共重合ポリエステル、脂肪族ポリエステルなどの低融点繊維が好ましい。
積層不織布の製法は特に限定しないが、好ましくは第1層、第2層はスパンボンド法、極細繊維層はメルトブロウン法であることができる。
積層不織布の結晶化度は、30%以上であることが、好ましくは35%以上である。結晶化度が30%を下回るとヒートシール時の熱収縮が大きくなり、シール不良による粉漏れ、品位の低下に繋がる。また、低温度側にブロードな融解ピークを有し、製袋工程におけるヒートシール時にヒートシールバーへ樹脂が付着しやすくなってしまう。それにより、熱分解物が抽出用バッグに付着することで品位の低下に繋がる。
極細繊維の繊維径は7μm以下であることが好ましく、より好ましくは1〜5μmであり、繊維間隙、及び最大開口径を小さくし、粉漏れ性を少なくする役目を有する。特に太い繊維間隙に、極細繊維が被覆するように積層されることにより、少ない極細繊維比率で繊維間隙を小さくできる。繊維径が7μmを超えると繊維間隙の被覆効果が低下する。
極細繊維の目付は、1g/m以上が好ましく、より好ましくは1.5〜10g/m、さらに好ましくは2〜7g/mである。極細繊維の目付が1g/m未満では、極細繊維層の分散性が不充分となる。
極細繊維の結晶化度は、10%以上が好ましく、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上である。結晶化度が10%を下回ると融点が低温度側にブロードな融解ピークを有し、製袋工程におけるヒートシール時に樹脂がシールバ―へ付着し、熱分解物が抽出用バッグに付着することで品位の低下に繋がる。
積層不織布全体に対する極細繊維の含有比率は、通常、5〜50wt%、好ましくは7〜30wt%である。極細繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステル、脂肪族ポリエステルなどである。
積層不織布は、第1層と第2層の繊維に融点差を有することであるが、第2層を構成する繊維の融点は、好ましくは30℃以上、より好ましくは50〜150℃の範囲で第1層を構成する繊維の融点より低温であることが好ましい。かかる融点差により、部分熱圧着時のロール温度範囲が広く設定できる。熱圧着ロール温度の上下差が150℃を超える場合は、高融点側のロール温度の影響を受けて低融繊維の劣化が生じ易くなる。他方、第1層と第2層との融点差が30℃未満の場合は、熱圧着温度範囲が狭くなり、ロール温度の条件により強度、摩擦毛羽強度が影響を受け易くなる。
積層不織布を熱圧着で一体化するとは、例えば、公知のエンボスロールと平滑ロール間で加熱、圧着して接合することである。加熱温度は、繊維の軟化温度以上の温度〜融点以下の温度範囲である。しかしながら、低融点繊維の熱劣化を考慮した場合、上下ロールの温度差を150℃以下とすることが好ましく、130℃以下がより好ましい。熱圧着の圧力は、好ましくは10〜1000kPa/cm、より好ましくは50〜700kPa/cmである。
本実施形態の食品用フィルター材を構成する積層不織布では、エンボスロールの柄、ピッチ、リピート、深さ、接着面積率を制御することで、エンボス端部から0.3mm地点以内の糸同士の接着点数を増やし、さらには厚みを維持することで、図1に示すように、従来の不織布よりも、総目付当たりの曲げ剛性、すなわち、曲げ剛性指数(cm−1)の値を一段階向上させている。具体的にはピッチ、リピートを小さくすることで糸同士の接着点数を増加させ、さらには深さを大きくすることで厚みを維持し、曲げ剛性を飛躍的に向上させている。
積層不織布では、エンボス端部から0.3mm地点以内の糸同士の接着点数は、好ましくは10個以上であり、より好ましくは15個以上である。10個以下であると、曲げ剛性向上の効果が小さくなってしまう。なお、糸同士の接着点とは、図3において囲んでいる箇所である。図3は、接着点数が多い例、図4は接着点数が無い例を示している。
積層不織布の厚みは、好ましくは0.06mm以上であり、より好ましくは0.07mm以上である。厚みが0.06mm以下であると、曲げ剛性向上の効果が小さくなってしまう。
KES曲げ剛性(準曲げ試験気 KES FB2―AUTOA)は、被抽出物を入れたテトラパックなどの袋体に製袋した場合、輸送、保管及び抽出時の形状保持するために必要な特性である。本実施形態の食品用フィルター材のKES曲げ剛性は、好ましくは0.03〜0.5(gf・cm)であり、より好ましくは、0.045〜0.22(gf・cm)、さらに好ましくは、0.065〜0.22(gf・cm)である。KES曲げ剛性が0.03(gf・cm)未満では、剛性が低く、製袋加工時に加工性が低下する。他方、曲げ剛性の高い側は、製袋加工性、形状保持性が良好となり、0.5(gf・cm)以下であれば、食品用袋体に用いた場合、被抽出物のお湯による膨潤、拡大などを拘束するなどの問題が生じない。
本実施形態の食品用フィルター材を構成する積層不織布では、以下の式:
曲げ剛性指数{(gf・cm)/(g/m2.5}×106={KES曲げ剛性試験機による曲げ剛性(gf・cm)/総目付(g/m2.5}×106
で求められる曲げ剛性指数は、54〜206であり、好ましくは66〜206、より好ましくは66〜150である。
前記したKES曲げ剛性、及び曲げ剛性指数は、目付を上げることにより、あるいはエンボス面積率を増加させていくことにより達成可能であるが、これらの手法では、通気度や開孔径を必要以上に小さくしてしまうことに繋がり、抽出速度や透明度の低下は避けられない。本実施形態の食品用フィルター材では、糸同士の接着点数や厚みといった、抽出速度に影響を与えない因子を制御することによって、通気度や開孔径、すなわち抽出速度や透明度を変えないまま曲げ剛性の向上を狙うものである。
本実施形態の食品用フィルター材では、糸同士の接着点数を増やし、さらには厚みを維持することで飛躍的に曲げ剛性を向上させ、特に15g/m以下の薄目付においても製袋に必要な曲げ剛性を確保できるものである。
本実施形態の食品用フィルター材の通気度は、好ましくは50〜700cm/cm/s、より好ましくは200〜600cm/cm/s、さらに好ましくは300〜600cm/cm/sである。700cm/cm/sを超えると抽出速度は向上するが、粉漏れし易くなり、シール強度、剛性などが低下する。他方、50cm/cm/s未満では粉漏れがし難くなり、シール強度、剛性が大きくなり、成分抽出性が低下するなどがある。
本実施形態の食品用フィルター材の開孔径は、好ましくは60〜200μm、より好ましくは100〜200μm、さらに好ましくは140〜200μmである。200μmを超えると粉漏れし易くなり、シール強度、剛性などが低下する。他方、60μm未満では粉漏れがし難くなり、シール強度、剛性が大きくなり、成分抽出性が低下する。
積層不織布の製造において、エンボスロールピンのロール面とのなす角度は、大きいほど糸同士の接着点数が増加するという特徴があるが、隣り合うエンボスとの距離により、耐久上の限度があるため、ピッチ、リピート、接着面積率に応じ、最適な角度を選定してよい。
エンボスロール柄は、織目柄でも絹目柄でも、亀甲柄でもポイント柄でもよく、特に限定しない。
熱圧着時に、ロール間にギャップを設けることで、より厚みを維持できるクリアランスロールを使用してもよい。また、エンボスロールを用いる以外に、熱風をウェブに通過させることで糸同士を熱で圧着するエアスルー法を後加工として行ってもよい。
本実施形態の食品用フィルター材を用いたその袋体の製袋加工は、前記フィルター材の第2層を内側にして重ね合わせて、端部をシールとして、公知のシール法によりシールすることによって行われる。例えば、3包シール機、4包シール機などの熱シール法、超音波シール機などの超音波シール法などで行うことができる。さらに、2個以上の多数個連続の連包袋状に製袋加工することもできる。
袋体は、例えば、袋内に充填した充填物が落下や、重量物が載った時に破袋しないため、高いシール強度が必要である。従って、袋体のシール強度は、1N/25mm以上、好ましくは1.5N/25mm以上、より好ましくは2〜50N/25mmである。シール強度が1N/25mm未満では、シール部分が剥離し易くなり、内容物が外部に漏れるなどの問題が生じる。
製袋加工を安定に行うためには、シール温度範囲が広いことが必要である。例えば、温度範囲が50℃以上150℃以下が好ましい。これは、シール機のシール部の温度が開始時から少しずつ上昇し、さらに環境温度により変化するなど、一定温度にコントロールすることが難しいからである。温度範囲が50℃未満の狭い範囲の設定が必要な場合には、環境温度、ヒーター部の蓄熱などの影響でシール強度が変化するなどの問題が生じる。他方、150℃を超える温度範囲では、低融点繊維の熱劣化などで物性低下などを生じる。
本実施形態の食品用フィルター材では、シール温度範囲を広くとることができ、且つ、高く安定したシール強度を得ることができる。これは、例えば、第1層と第2層の繊維の層間で融点差を30℃以上設けているため、低融点層の繊維が軟化または融解しても、高融点繊維が所定の繊維形状を維持しているためである。従って、製袋加工時にヒートシールバーに繊維の融解物が付着することがなくなる。
本実施形態の食品用フィルター材では、積層不織布が極細繊維を含む積層シートである場合であっても、結晶化度が高く、融点が低融点側へブロードとならないため、ヒートシールバ―に繊維の融解物が付着することはない。
本実施形態の食品用フィルター材及びその袋体は、シール強度高く、剛性、成分抽出性に優れている。積層不織布の総目付は、10〜30g/m、好ましくは10〜20g/m、より好ましくは10〜16g/mである。総目付が10g/m未満では、粉漏れし易くなり、シール強度、剛性などが低下する。他方、総目付が30g/mを超えると、粉漏れがし難くなり、シール強度、剛性が大きくなり、成分抽出性が低下するなどがある。
袋体に充填する被抽出物は、粉末形状、粒形状シート状物などの固形物であれば特に制限ない。例えば、嗜好性飲料用の緑茶、烏龍茶、麦茶、紅茶、などの茶葉、レギュラーコーヒーの細挽、中細挽き、粗挽き等の粉末、鰹、いりこ、鰯、昆布、煮干などの一種又は二種以上の混合粉末などである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらにより何ら限定されるものではない。尚、用いた測定方法、評価方法等は下記の通りであった。
(1)目付(g/m
縦20cm×横25cmの試料を3カ所切り取り、重量を測定し、その平均値を単位当たりの質量に換算して求める。(JIS−L−1906)
(2)平均繊維径(μm)
顕微鏡で500倍の拡大写真を取り、10本の平均値で求める。
(3)KES曲げ剛性(gf・cm):測定装置は、カトーテック(株)社製KES・FB2−AUTO−Aを用いる。試料は、20cm×20cmであり、KES曲げ剛性を測定する。
(4)糸同士の接着点数
顕微鏡で試料を観察し、エンボス端部から0.3mm地点までの糸同士の融着点数を数える。1試料につきランダムでエンボスを3か所選定し、N=3の平均値を試料の糸同士の接着点数とする。倍率は適当に選択してよいが、本発明では糸同士の融着判断がし易い350倍とし、1エンボスにつき、6枚撮影した画像をつなぎ合わせて端部から0.3mm地点までの糸同士の接着点数を数えている。尚、図3、4は正面から撮影しているが、糸同士の融着が見にくい場合には少し傾けて撮影してもよい。
(5)通気度(cm/cm/s)
JIS−L−1906フラジュール法に準拠。
(6)開孔径(μm)
顕微鏡で白金蒸着したサンプルの100倍の拡大写真をとり、撮影した画像を二値化することで見られる空隙の面積を計算し、全面積の2.3%の面積となるときの円相当経を算出する。
(7)厚み(mm)
Mitsutoyo社製の厚み計を用いて100g荷重時の厚みを測定。
(8)結晶化度(%)
示差走査熱量測定装置(DSC6000・パーキンエルマー製)にて測定を行う。測定プログラム:1)30℃で1分間保温、2)300℃まで10℃/分にて昇温。冷結晶部及び融解部の熱量を計算し、以下の式により、結晶化度を求める。
結晶量=融解部の熱量(J/g)−冷結晶部の熱量(J/g)
結晶化度(%)=結晶量(J/g)/126.4×100
(9)シール強度(N)
定長引張試験機を用い、試料幅25mm長さ200mmを切り取り、熱シール部分を約50mm上下型向に剥離し、180°剥離するように各々取り付け、つかみ間各100mm、引張速度10cm/minで、剥離強度をタテ、ヨコ各々3カ所測定し最大強度の平均値で示す。但し、シール温度120℃、時間1秒間、圧力5500kPa、シール面積7mm×25mmとする。
[実施例1〜7]
第2層として、スパンボンド用の2成分紡糸口金から、芯がポリエチレンテレフタレート、鞘が芳香族ポリエステル共重合体(融点210℃)の芯鞘構造の平均繊維計14μmの複合繊維ウェブを作成し、その上に第1層として、一般的なポリエチレンテレフタレートをスパンボンド用紡糸口金から、紡糸温度300℃で平均繊径14μmの熱可塑性繊維ウェブを捕集ネット上に積層繊維ウェブとして積層し、総目付15g/mとなるよう搬送速度を調整し、任意のエンボス柄、接着面積率、ピッチ、リピート、深さのエンボスロールで、上下温度を210℃/110℃、線圧350N/cmで熱圧着して実施例1〜7の食品用フィルター材を得た。
得られたフィルター材の特性を以下の表1に示す。表1の結果から、比較例の不織布に対して、実施例1〜7の食品用フィルター材は、通気度、粉漏れ率、シール強度は維持したまま、エンボス端部から0.3mm地点までの糸同士の接着点数も増加し、曲げ剛性に優れたフィルター材であることが分かる。他方、同目付けである実施例5〜7のように、エンボスロールの深さを小さくしすぎると、厚みが減少し、糸同士の接着点数は増えているが、曲げ剛性の向上効果が若干低くなっている。つまり、図2に示すように、糸同士の接着点数増加による曲げ剛性向上の効果と、厚みの維持による曲げ剛性向上効果が複合され、飛躍的に曲げ剛性が向上する。
[実施例8、9]
実施例1の繊維構成で目付を、それぞれ、10、20g/mとなるように搬送速度を変更し、実施例3のエンボスロールで同じ温度条件で熱圧着して実施例8、9の食品用フィルター材を得た。
得られた食品用フィルター材の特性を、以下の表1に示す。以下の表1の結果から、本実施形態の食品用フィルター材は、低目付、高目付ともにエンボス端部から0.3mm地点までの糸同士の接着点数が増加し、さらには厚みも維持しており、曲げ剛性の向上効果が得られていることが分かる。
[実施例10、11]
実施例1の繊維構成で異なるエンボス柄、接着面積率、ピッチ、リピート、深さのエンボスロールで、上下温度を210℃/110℃、線圧350N/cmで熱圧着して実施例10、11の食品用フィルター材を得た。
[参考例12]
実施例1の繊維層間に、メルトブロウン法による平均繊維径2μmのポリエチレンテレフタレートを、全重量の20wt%挿入し、目付15g/mとなるよう搬送速度を調整し、実施例3のエンボスロールで、同じ温度条件で熱圧着して実施例12の食品用フィルター材を得た。
実施例10〜12で得られた食品用フィルター材の特性を以下の表1に示す。表1の結果から、本実施形態の食品用フィルター材は、エンボスロール柄を変更してもエンボスピッチ、リピート、深さを適切に選択することで、エンボス端部から0.3mm地点までの糸同士の接着点数が増加し、さらには厚みも維持しており、曲げ剛性の向上効果が得られていることが分かる。
[比較例1〜7]
実施例1の繊維構成で種々目付となるよう搬送速度を変え、エンボス柄を織目柄、接着面席率14.4%、ピッチ2mm、リピートmm、深さ0.32mmのエンボスロールで、上下温度を210℃/110℃、線圧350N/cmで熱圧着して比較例1〜7の食品用フィルター材を得た。
[比較例8]
参考例12の繊維構成で目付種々目付15g/mとなるよう搬送速度を調整し、比較例1〜7と同じエンボス条件で熱圧着して比較例8の食品用フィルター材を得た。
比較例1〜8で得られた食品用フィルター材の特性を以下の表2に示す。表2の結果から、得られたフィルター材は、糸-糸接着点数が少なく、目付当たりの曲げ剛性(すなわち、曲げ剛性指数)が低い。
本発明の食品用フィルター材は、粉漏れ性、熱シール加工性、シール強度、曲げ剛性などに優れているため、粉末、粒状物などの被抽出物の包装材として広い用途に用いることができる。例えば、嗜好飲料用、及び、出汁用成分抽出用フィルター材として好適に利用可能である。
特に、目付が低くても剛性が高く、製袋適正に優れるため、抽出用シートの抽出性の向上やコスト低減、さらには透明感や光沢感といった外観の美しさの向上のための低目付化に好適である。

Claims (5)

  1. 不織布を構成する熱可塑性合成繊維の平均繊維径が10〜30μmであり、総目付が10〜50g/mであり、以下の式:
    曲げ剛性指数{(gf・cm)/(g/m2.5}×106={KES曲げ剛性試験機による曲げ剛性(gf・cm)/総目付(g/m2.5}×106
    で求められる曲げ剛性指数が54〜206であり、エンボスロールによる熱圧着で一体化されており、エンボス端部から0.3mm地点までの糸同士の接着点数が10個以上あり、かつ、スパンボンド不織布のみからなることを特徴とする積層不織布からなる食品用フィルター材。
  2. 前記積層不織布の厚みが0.06mm以上である、請求項1に記載の食品用フィルター材。
  3. 前記積層不織布の結晶化度が30%以上である、請求項1又は2に記載の食品用フィルター材。
  4. 前記積層不織布が複数の層で構成され、該複数の層の内少なくとも1層が熱可塑性合成樹脂の繊維から構成される不織布層であり、他の1の層が、該少なくとも1層の熱可塑性剛性樹脂の融点より30℃〜150℃低い融点を有する熱可塑性合成樹脂の繊維から構成される不織布層である、請求項1〜のいずれか1項に記載の食品用フィルター材。
  5. シール強度が2〜50N/25mmである、請求項1〜のいずれか1項に記載の食品用フィルター材。
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