JP6775863B1 - 抽出用シート材 - Google Patents

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Abstract

【課題】抽出対象の成分抽出性に優れながら、ヒートシール処理時の加工性に優れた抽出用シート材を提供する。【解決手段】メルトブロー不織布層2aとスパンボンド不織布層3aとを積層した抽出用シート材1であって、スパンボンド不織布層3aにおける単位面積当たりの繊維長は、5.5〜25.0m/cm2であり、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の平均繊維径d1と、スパンボンド不織布層3aを構成する繊維の平均繊維径d2との比(d1/d2)が、0.8〜1.5である。【選択図】図1

Description

本発明は、メルトブロー不織布層とスパンボンド不織布層とを積層した抽出用シート材に関する。
従来、コーヒー、紅茶、緑茶、出汁等を抽出するための抽出用シート材には、特性の異なる不織布シートを積層して構成することで、様々な機能を付加したものがある。
例えば、空隙率及び疎水性繊維の割合が異なる不織布シートを積層したドリップコーヒー用の抽出用シート材がある(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載される抽出用シート材は、コーヒー粉末と接する層の空隙率及び疎水性繊維の割合を大きく構成するとともに、コーヒー粉末と接しない層の空隙率及び疎水性繊維の割合を小さく構成することで、通液速度(通気性)を抑え蒸らし効果を引き出しながら、コーヒー粉末による目詰まりを生じさせることなく実際的な抽出速度でコーヒーを抽出することができるものである。
また、目付と繊維の平均繊維径とが異なる不織布シートを積層した緑茶等の茶類、鰹、昆布等の出汁用の抽出用シート材がある(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2に記載される抽出用シート材は、各層を構成する繊維の平均繊維径と目付を夫々調節しつつ、抽出用シート材の単位面積に含まれる繊維の長さを3.3〜4.8m/cmの範囲とすることで、抽出用バッグに加工した場合に、抽出材料に含まれる微粉末が繊維の間隙から漏れ出ることを防ぎながら、優れた透明性及び成分抽出性を実現することができるものである。
さらに、繊維の軟化点が異なる不織布シートを積層した、ティーバッグ等の抽出用バッグに加工して利用される抽出用シート材がある(例えば、特許文献3を参照)。特許文献3に記載される抽出用シート材は、抽出用バッグに加工する際のヒートシール処理においてシールバーに接する層を軟化点の高い繊維で構成し、ヒートシール処理を行ったときに抽出用シート材を溶着させるための内側の層を軟化点の低い繊維で構成することで、ヒートシール処理の処理時間を短縮しながら大きなシール強度を得ることができるものである。
特開2002−102070号公報 国際公開第2018/216047号 国際公開第2015/147119号
抽出用シート材は、抽出対象によって異なる特性が求められる。特許文献1に記載される抽出用シート材は、コーヒー成分を抽出しながら蒸らし効果が得られるように、ある程度通気性が抑えられたものが使用されている。一方、特許文献2に記載される抽出用シート材のように、紅茶、緑茶等の茶類、鰹、昆布等の出汁の抽出では、蒸らし効果はあまり必要とされないため、通気性が高いものを用いた方が、成分抽出性を向上させる点では望ましい。しかしながら、抽出用シート材の素材として通気性の高いもの、例えば、繊維の間隙が大きい不織布シートを用いると、この不織布シートに他の層の繊維が入り込み、積層面の反対側にまで貫通する(以下、「繊維の裏抜け」と称する。)ことがある。特許文献3に記載される抽出用シート材のように、抽出用バッグに加工して利用される抽出用シート材では、内側の層を構成する軟化点の低い樹脂からなる繊維が、シールバーに接する層に裏抜けしていると、ヒートシール処理においてシールバーが軟化した樹脂により汚染される虞がある。そして、シールバーが汚染されると、シールバーからの抽出用シート材の剥離性が悪化して、ヒートシール処理後に抽出用バッグとしてカットする位置がずれる等の製造不良や、製造後の抽出用バッグを集積する際の整列不良といった後工程での不具合が発生する原因にもなり得る。
特許文献1乃至3に記載される抽出用シート材は、繊維の裏抜けの発生を想定しておらず、裏抜けした繊維に起因するヒートシール処理時の加工性の低下について考慮されたものではなかった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、抽出対象の成分抽出性に優れながら、ヒートシール処理時の加工性に優れた抽出用シート材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明に係る抽出用シート材の特徴構成は、
メルトブロー不織布層とスパンボンド不織布層とを積層した抽出用シート材であって、
前記スパンボンド不織布層における単位面積当たりの繊維長は、5.5〜25.0m/cmであり、
前記メルトブロー不織布層を構成する繊維の平均繊維径dと、前記スパンボンド不織布層を構成する繊維の平均繊維径dとの比(d/d)が、0.8〜1.5であることにある。
本構成の抽出用シート材によれば、スパンボンド不織布層における単位面積当たりの繊維長が5.5〜25.0m/cmであることにより、スパンボンド不織布層は繊維の間隙が大きいものとなるが、メルトブロー不織布層を構成する繊維の平均繊維径dと、スパンボンド不織布層を構成する繊維の平均繊維径dとの比(d/d)が0.8〜1.5であることにより、メルトブロー不織布層を構成する繊維に対して、スパンボンド不織布層における繊維の間隙が相対的に小さいものとなり、メルトブロー不織布層を構成する繊維がスパンボンド不織布層の繊維の間隙に入り込み難くなる。その結果、メルトブロー不織布層を構成する繊維がスパンボンド不織布層側の表面に裏抜けすることが抑制されるため、ヒートシール処理に使用するシールバーが汚染されることがなく、シールバーからの抽出用シート材の剥離性が良好に維持されるとともに、ヒートシール処理における剥離不良に起因した後工程での不具合の発生を防止することができる。従って、本構成の抽出用シート材を用いれば、抽出用バッグ等への加工が容易でありながら、抽出対象の成分抽出性に優れた抽出用バッグを製造することが可能となる。
本発明に係る抽出用シート材において、
全体の平均繊維径が10〜20μmであることが好ましい。
本構成の抽出用シート材によれば、全体の平均繊維径が10〜20μmであることにより、繊維の間隙が適度な大きさとなり、抽出材料に含まれる微粉末が繊維の間隙から漏れ出ることを防ぎながら、優れた成分抽出性が得られる。また、繊維の間隙が適度な大きさとなることで、両不織布層の繊維の一部が互いの層に貫入し易くなり、両不織布層の一体性が高いものとなる。
本発明に係る抽出用シート材において、
前記メルトブロー不織布層を構成する繊維は、当該繊維を構成する樹脂の融点より70〜120℃高い温度におけるメルトフローレイトが150〜270g/10minであることが好ましい。
本構成の抽出用シート材によれば、メルトブロー不織布層を構成する繊維は、当該繊維を構成する樹脂の融点より70〜120℃高い温度におけるメルトフローレイトが150〜270g/10minであることにより、メルトブロー不織布層を形成する際に、スパンボンド不織布層となる不織布シートをコレクターとして用い、この不織布シート上に溶融樹脂を直接吹き付ける製法によって抽出用シート材を製造した場合にも、溶融樹脂が固化する前に、当該溶融樹脂がスパンボンド不織布層となる不織布シートの繊維の間隙に過剰に入り込むことを抑制することができる。その結果、繊維の裏抜け防止効果をより向上させることができる。
本発明に係る抽出用シート材において、
前記スパンボンド不織布層の目付が12〜18g/mであることが好ましい。
本構成の抽出用シート材によれば、スパンボンド不織布層の目付が12〜18g/mであることにより、スパンボンド不織布層の厚みや繊維の間隙が適度なものとなり、メルトブロー不織布層を構成する繊維の裏抜け防止効果をさらに向上させることができる。
本発明に係る抽出用シート材において、
前記メルトブロー不織布層の目付wと、前記スパンボンド不織布層の目付wとの比(w/w)が、0.1〜0.55であることが好ましい。
本構成の抽出用シート材によれば、目付wと目付wとの比(w/w)が、0.1〜0.55であることにより、メルトブロー不織布層に対してスパンボンド不織布層が相対的に厚みを有するものとなり、メルトブロー不織布層を構成する繊維は、スパンボンド不織布層に入り込んだ場合であっても貫通することがなく、スパンボンド不織布層側の表面に裏抜けすることが確実に防止される。
図1は、本発明に係る抽出用シート材を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明に係る抽出用シート材を加工した抽出用バッグの平面図及び断面図である。 図3は、ヒートシール処理を施した抽出用シート材の部分断面図である。 図4は、実施例の抽出用シート材の断面及び表面を撮影したSEM画像である。 図5は、比較例の抽出用シート材の断面及び表面を撮影したSEM画像である。
以下、本発明の抽出用シート材に関する実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図に示される抽出用シート材の層構造のサイズ関係は、発明の理解を容易にするため適宜誇張してあり、実際のサイズ関係をそのまま反映したものとは限らない。また、本発明は、以下に説明する構成に限定されることを意図しない。
[抽出用シート材]
図1は、本発明に係る抽出用シート材1を模式的に示す断面図である。抽出用シート材1は、紅茶、及び緑茶等の茶類、並びに鰹、及び昆布等の出汁の抽出用バッグの素材として用いられるシート材であり、メルトブロー不織布層2aと、スパンボンド不織布層3aとを積層した構造を有する。
メルトブロー不織布層2aは、ヒートシール処理を行ったときに抽出用シート材1どうしを溶着させるための層であり、メルトブロー法により製造された不織布シートからなる。メルトブロー法は、紡糸ノズルから押し出された溶融樹脂に高温高速のガス流を吹き当てることにより、その溶融樹脂を引き伸ばして繊維化しつつ飛散させ、これをコレクター上に集積してシート状に固化させる不織布シートの製造方法である。
スパンボンド不織布層3aは、主に成分抽出性に影響を及ぼす層であり、スパンボンド法により製造された不織布シートからなる。スパンボンド法は、紡糸ノズルから押し出された溶融樹脂に高速のガス流を吹き付けることにより牽引、延伸させつつ冷却固化して繊維を形成し、この繊維をコレクター上に集積してウェブとする不織布シートの製造方法である。スパンボンド法では、必要に応じて、フラットロールを用いてウェブの厚さを調整したり、熱エンボスロールを用いて部分的熱接着処理を施したりする。一般に、スパンボンド法により製造された不織布シートは、メルトブロー法により製造された不織布シートよりも高い強度が得られるため、抽出用バッグに加工としたときにスパンボンド不織布層3aを外側に配することで、輸送時等に抽出用バッグどうしが接触することで繊維が解れることを抑制することができる。ここで、抽出用シート材1が茶類及び出汁の抽出に適した高い成分抽出性を有するためには、スパンボンド不織布層3aとして繊維の間隙が大きい不織布シートを用いる必要がある。不織布シートにおける繊維の間隙は、不織布シートを製造するにあたり単位面積当たりの繊維長を調整することにより、その大きさをある程度制御することが可能である。ここで、「単位面積当たりの繊維長」とは、単位面積の不織布に含まれるすべての繊維について、それらの長さを合計した値と規定する。本発明の抽出用シート材1では、スパンボンド不織布層3aにおける単位面積当たりの繊維長を、5.5〜25.0m/cmに設定し、好ましくは6.0〜8.0m/cmに設定する。スパンボンド不織布層3aにおける単位面積当たりの繊維長が上記の範囲であれば、抽出対象の成分抽出性に優れ、且つ良好な強度を有するものとなる。スパンボンド不織布層3aにおける単位面積当たりの繊維長が5.5m/cm未満である場合、繊維の間隙が過剰に大きくなり、スパンボンド不織布層3aの強度が不足する虞がある。スパンボンド不織布層3aにおける単位面積当たりの繊維長が25.0m/cmを超える場合、繊維の間隙が小さくなり、抽出用シート材1の成分抽出性が劣るものとなる。
本発明の抽出用シート材1の積層構造は、例えば、メルトブロー法におけるコレクターとして、スパンボンド不織布層3aとなるスパンボンド不織布シートを用い、この不織布シートの表面に溶融した繊維状の樹脂を吹き付け、固化する前に集積させることでメルトブロー不織布層2aを形成することにより得られる。また、抽出用シート材1は、この積層方法で形成された後に、さらにフラットロールを用いて厚さを調整したり、熱エンボスロールを用いて部分的熱接着処理を施したりしたものであってもよい。
上記の積層方法によって、メルトブロー不織布層2aとなる溶融樹脂の一部は、スパンボンド不織布層3aの繊維の間隙に入り込んだ状態で固化する。この結果、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の一部がスパンボンド不織布層3a側に貫入した構造となり、両不織布層の間にアンカー効果が生じ、一体性が高いものとなる。ここで、本発明の抽出用シート材1では、前述したようにスパンボンド不織布層3aとして繊維の間隙が大きい不織布シートを用いるため、メルトブロー法によって吹き付けられた溶融樹脂は、スパンボンド不織布層3aの厚み方向において比較的深くまで入り込み易い。スパンボンド不織布層3aの繊維の間隙に入り込んだ溶融樹脂がスパンボンド不織布層3a側の表面にまで貫通して固化すると、メルトブロー不織布層2aの繊維が裏抜けすることになる。そこで、本発明の抽出用シート材1では、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の平均繊維径dと、スパンボンド不織布層3aを構成する繊維の平均繊維径dとの比(d/d)を、0.8〜1.5に設定する。比(d/d)が上記の範囲であれば、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維に対してスパンボンド不織布層3aにおける繊維の間隙が相対的に小さいものとなり、スパンボンド不織布層3aにメルトブロー不織布層2aを積層するときに、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維がスパンボンド不織布層3aの繊維の間隙に入り込み難くなる。その結果、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維がスパンボンド不織布層3a側の表面に裏抜けすることが抑制される。従って、抽出用シート材1にヒートシール処理を施して抽出用バッグを製造する際に、二枚の抽出用シート材1のメルトブロー不織布層2aを互いに対向させて、スパンボンド不織布層3a側からシールバーにより加熱挟圧した場合に、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維は、シールバーに接触することがない。比(d/d)が0.8未満である場合、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維がスパンボンド不織布層3aの繊維の間隙に入り込み易くなり、繊維の裏抜け防止効果が十分に得られない虞がある。比(d/d)が1.5を超える場合、スパンボンド不織布層3aを構成する繊維に対してメルトブロー不織布層2aを構成する繊維が相対的に太くなり、メルトブロー法によって吹き付けた溶融樹脂がスパンボンド不織布層3aの繊維の間隙に入り込む量が不足し、十分なアンカー効果が得られない虞がある。なお、「平均繊維径」とは、不織布シートを構成する繊維の太さの平均値であり、例えば、繊維の断面形状が丸形である場合、平均繊維径には、その直径の平均値を用い、繊維の断面形状が扁平型、楕円型、多角形等の異型である場合、平均繊維径には、繊維の断面積と同面積の円の直径の平均値を用いる。このような平均繊維径は、例えば、顕微鏡を使用して不織布シートの断面の観察を行い、複数本の繊維を選択して、夫々の繊維径を計測して平均値を求めることで決定することができる。
抽出用シート材1は、紅茶、及び緑茶等の茶類、並びに鰹、及び昆布等の出汁の抽出に好適に用いるために、成分抽出性の指標となる通気量が300cc/cm・sec以上であることが好ましい。通気量が300cc/cm・sec未満である場合、抽出対象の成分抽出性に劣る虞がある。
抽出用シート材1は、全体の平均繊維径が10〜20μmであることが好ましい。抽出用シート材1の全体の平均繊維径は、例えば、顕微鏡を使用して抽出用シート材1の断面の観察を行い、メルトブロー不織布層2a、及びスパンボンド不織布層3aの夫々で同じ本数の繊維を選択して、夫々の繊維径を計測して平均値を求めることで決定することができる。不織布シートを製造するにあたり、単位時間あたりに紡糸ノズルから押し出す溶融樹脂の量を一定にした場合、溶融樹脂を強く牽引して固化後の繊維径を小さくするほど繊維長が長くなり、それに伴って不織布シートの繊維の間隙が小さくなる。そのため、抽出用シート材1の全体の平均繊維径が10μm未満である場合、抽出用シート材1の全体として繊維の間隙が小さくなり、抽出用シート材1の成分抽出性が劣る虞がある。また、繊維の間隙が小さくなることで、メルトブロー法によって吹き付けた溶融樹脂がスパンボンド不織布層3aの繊維の間隙に入り込む量が不足し、十分なアンカー効果が得られない虞がある。抽出用シート材1の全体の平均繊維径が20μmを超える場合、抽出用シート材1の全体として繊維の間隙が過剰に大きくなり、抽出材料に含まれる微粉末が繊維の間隙から漏れ出る虞がある。抽出用シート材1の全体の平均繊維径が上記の範囲であれば、抽出用シート材1の全体として繊維の間隙が適度な大きさとなり、抽出材料に含まれる微粉末が繊維の間隙から漏れ出ることを防ぎながら、優れた成分抽出性が得られる。また、繊維の間隙が適度な大きさとなることで、スパンボンド不織布層3aにメルトブロー不織布層2aを積層するときに、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の一部がスパンボンド不織布層3aの繊維の間隙に入り込み、両不織布層の一体性が高いものとなる。
抽出用シート材1の目付は、14〜24g/mであることが好ましい。抽出用シート材1の目付が14g/m未満である場合、抽出用シート材1の強度が不足する虞がある。抽出用シート材1の目付が24g/mを超える場合、通気量が小さくなることで、抽出対象の成分抽出性に劣る虞がある。抽出用シート材1の目付が上記の範囲であれば、抽出対象の成分抽出性に優れ、且つ良好な強度を有するものとなる。
メルトブロー不織布層2a、及びスパンボンド不織布層3aを構成する繊維材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及びビニロン系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられ、これらの中でも、ポリエステル系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹脂としては、直鎖状ポリエステルや共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンイソフタレート共重合体、及びポリ乳酸(PLA)を好適に用いることができる。ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンイソフタレート共重合体としては、酸成分のテレフタル酸/イソフタル酸の重合比を適度な範囲に調整したもの、並びにテレフタル酸を主成分とし、イソフタル酸以外の5−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アジピン酸、ナフタレンジカルボン酸、フタル酸、及びナフタリンカルボン酸等のジカルボン酸と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、及びベンタエリスルトール等のジオール成分とを適当な比率で重合させたものを好適に用いることができる。また、ポリエステル系樹脂には、例えば、各種エラストマー類等の衝撃性改良剤、結晶核剤、着色防止剤、艶消し剤、酸化防止剤、耐熱剤、可塑剤、滑剤、耐候剤、着色剤、及び顔料等を適宜添加することができる。
メルトブロー不織布層2aを構成する繊維、及びスパンボンド不織布層3aを構成する繊維の形態としては、モノフィラメント、マルチフィラメント、2種類の樹脂を組み合わせた芯鞘構造の複合繊維等が挙げられる。繊維の断面形状は、特に限定されるものではなく、一般的な丸型の他、扁平型、楕円型、三角型、中空型、Y型、T型、U型等の異型であってもよい。
メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の平均繊維径dは、10〜16μmであることが好ましい。一般に、メルトブロー法は、不織布シートを形成する繊維を極細化できることがメリットであるが、本発明の抽出用シート材1では、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維を極細化させず、平均繊維径dを上記の範囲とすることで、スパンボンド不織布層3aにメルトブロー不織布層2aを積層するときに、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維がスパンボンド不織布層3aの繊維の間隙に入り込み難くなり、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維がスパンボンド不織布層3a側の表面に裏抜けすることを防止する効果をさらに向上させることができる。平均繊維径dが10μm未満である場合、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維がスパンボンド不織布層3aの繊維の間隙に入り込み易くなり、繊維の裏抜け防止効果が十分に得られない虞がある。平均繊維径dが16μmを超える場合、ヒートシール処理においてメルトブロー不織布層2aを構成する繊維を溶融させるための処理時間が長くなり、抽出用バッグの製造効率が低下する虞がある。
メルトブロー不織布層2aを構成する繊維は、当該繊維を構成する樹脂の融点より70〜120℃高い温度におけるメルトフローレイトが150〜270g/10minであることが好ましい。メルトブロー不織布層2aを構成する繊維は、当該繊維を構成する樹脂の融点より70〜120℃高い温度におけるメルトフローレイトが上記の範囲であれば、メルトブロー法による製造時の加熱温度において、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維となる溶融樹脂の粘性が適切なものとなる。その結果、スパンボンド不織布層3aにメルトブロー不織布層2aを積層するときに、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維となる溶融樹脂がスパンボンド不織布層3aの繊維の間隙に過剰に入り込むことがなく、スパンボンド不織布層3a側の表面に裏抜けすることを防止する効果がより向上し、且つ溶融樹脂がスパンボンド不織布層3aの繊維の間隙に適度に入り込み、両不織布層の一体性が高いものとなる。上記の温度条件におけるメルトフローレイトが150g/10min未満である場合、スパンボンド不織布層3aにメルトブロー不織布層2aを積層するときに、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維となる溶融樹脂がスパンボンド不織布層3aの繊維の間隙に過剰に入り込み易くなり、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の裏抜け防止効果が十分に得られない虞がある。上記の温度条件におけるメルトフローレイトが270g/10minを超える場合、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維となる溶融樹脂がスパンボンド不織布層3aの繊維の間隙に過剰に入り込み難くなり、適切なアンカー効果が得られない虞がある。
メルトブロー不織布層2aの目付wは、2〜6g/mであることが好ましい。目付wが2g/m未満である場合、ヒートシール処理時にメルトブロー不織布層2aにおいて溶融した樹脂の量が不足し、適切なシール強度が得られない虞がある。目付wが6g/mを超える場合、抽出用シート材1全体としての通気量が小さくなることで、抽出対象の成分抽出性に劣る虞がある。メルトブロー不織布層2aの目付wが上記の範囲であれば、ヒートシール処理時にメルトブロー不織布層2aにおいて溶融した樹脂が適切な量となることで、ヒートシール処理により適切な接着性が得られ、且つ抽出用シート材1が成分抽出性に優れたものとなる。
メルトブロー不織布層2aを構成する繊維は、スパンボンド不織布層3aを構成する繊維よりも融点及び軟化点が低く設定されることが好ましい。そのため、ヒートシール処理では、スパンボンド不織布層3aを構成する繊維を溶融又は軟化させることなくスパンボンド不織布層3aの形状を維持させたまま、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維を溶融又は軟化させて抽出用シート材1を溶着させることができる。融点及び軟化点は、メルトブロー不織布層2aと、スパンボンド不織布層3aとで、異なる原料樹脂を用いたり、異なる添加剤を配合したりすることで調節することができる。また、軟化点は、原料樹脂を溶融させる加熱温度、ガス流の温度、及び紡糸速度等の制御により繊維における樹脂の分子量や結晶化度を変えることで調節することも可能である。メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の融点とスパンボンド不織布層3aを構成する繊維の融点との差、及びメルトブロー不織布層2aを構成する繊維の軟化点とスパンボンド不織布層3aを構成する繊維の軟化点との差は、夫々30℃以上であることが好ましい。両不織布層の融点の差及び軟化点の差が30℃以上であれば、ヒートシール処理において処理温度を、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の融点又は軟化点よりも十分に高く設定することで、スパンボンド不織布層3aを構成する繊維を溶融又は軟化させることなく、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維を短時間で溶融又は軟化させることができる。
スパンボンド不織布層3aを構成する繊維の平均繊維径dは、10〜25μmであることが好ましい。平均繊維径dが10μm未満である場合、スパンボンド不織布層3aの繊維の間隙が小さくなり、抽出用シート材1の成分抽出性が劣る虞がある。平均繊維径dが25μmを超える場合、スパンボンド不織布層3aの繊維の間隙が過剰に大きくなり、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の裏抜け防止効果が十分に得られない虞や、スパンボンド不織布層3aの強度が不足する虞がある。平均繊維径dが上記の範囲であれば、スパンボンド不織布層3aにおける繊維の間隙が適度な大きさとなり、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の裏抜け防止効果をさらに向上させることができる。また、抽出用シート材1が優れた成分抽出性を有するものとなる。
スパンボンド不織布層3aの目付wは、12〜18g/mであることが好ましい。目付wが12g/m未満である場合、スパンボンド不織布層3aにおける繊維の間隙が過剰に大きくなったり、スパンボンド不織布層3aが過剰に薄くなったりすることで、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の裏抜け防止効果が十分に得られない虞や、スパンボンド不織布層3aの強度が不足する虞がある。目付wが18g/mを超える場合、スパンボンド不織布層3aにおける繊維の間隙が過剰に小さくなったり、スパンボンド不織布層3aが過剰に厚くなったりすることで、抽出対象の成分抽出性に劣る虞がある。目付wが上記の範囲であれば、スパンボンド不織布層3aの厚みや繊維の間隙が適度なものとなり、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の裏抜け防止効果をさらに向上させることができる。
メルトブロー不織布層2aの目付wと、スパンボンド不織布層3aの目付wとの比(w/w)は、0.1〜0.55であることが好ましい。比(w/w)が0.1未満である場合、ヒートシール処理時にメルトブロー不織布層2aにおいて溶融した樹脂の量が不足し、適切なシール強度が得られない虞や、スパンボンド不織布層3aが過剰に厚くなり、抽出用シート材1の成分抽出性が劣る虞がある。比(w/w)が0.55を超える場合、メルトブロー不織布層2aが抽出用シート材1の通気量に及ぼす影響が大きくなり、抽出対象の成分抽出性に劣る虞や、スパンボンド不織布層3aが過剰に薄くなることで、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の裏抜け防止効果が十分に得られない虞がある。比(w/w)が上記の範囲であれば、優れた成分抽出性を有しながら、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の裏抜け防止効果がさらに向上したものとなる。
[抽出用バッグ]
図2(a)は、抽出用シート材1を加工した抽出用バッグ100の平面図及び断面図である。図2(b)は、図2(a)のX−X´線における抽出用バッグ100の断面図である。抽出用バッグ100は、内部に茶葉粉末等の抽出材料103が封入されたティーバッグであり、袋部101の三辺に溶着部102が形成されている。
袋部101は、抽出用シート材1の構造がそのまま維持された部位であり、スパンボンド不織布層における単位面積当たりの繊維長が5.5〜25.0m/cmであることにより、茶類及び出汁の抽出に適した高い成分抽出性を有する。
溶着部102は、二つ折りにして重ね合わせた抽出用シート材1の両端部をヒートシール処理によって溶着した部位であり、図3(a)に示すように、メルトブロー不織布層2aを互いに対向させ、スパンボンド不織布層3a側からシールバーHにより加熱挟圧することにより形成される。
図3(b)は、Y−Y´線における溶着部102の部分断面図である。溶着部102では、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維が溶融し再度固化した樹脂溶着層2bが形成されることで、重ね合わせられた抽出用シート材1が一体化している。ヒートシール処理時にメルトブロー不織布層2aにおいて溶融した樹脂の一部は、シールバーHの挟圧力により、スパンボンド不織布層3aを構成していた繊維の間隙に入り込むため、抽出用バッグ100の溶着部102では、樹脂がスパンボンド不織布層3aを構成していた繊維の間隙に充填された状態で固化した樹脂充填層4が形成されている。樹脂充填層4が形成されることで、アンカー効果により溶着部102におけるシール強度が増大している。その一方で、溶着部102では、樹脂がスパンボンド不織布層3aを構成していた繊維の間隙に入り込んでいないスパンボンド不織布層3bが維持されている。ここで、本発明の抽出用シート材1は、メルトブロー不織布層を構成する繊維の平均繊維径dと、スパンボンド不織布層を構成する繊維の平均繊維径dとの比(d/d)が0.8〜1.5であることにより、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維がスパンボンド不織布層3a側の表面に裏抜けしていないため、ヒートシール処理においてスパンボンド不織布層3a側の表面を押圧するシールバーHの押圧面Pは汚染されることがない。そのため、抽出用バッグ100を製造するにあたり、シールバーHからの抽出用シート材1の剥離性が良好に維持されるとともに、ヒートシール処理における剥離不良に起因した後工程での不具合の発生が防止される。
以上のように、本発明の抽出用シート材1は、スパンボンド不織布層3aにおける単位面積当たりの繊維長が5.5〜25.0m/cmであることにより、スパンボンド不織布層3aは繊維の間隙が大きいものとなり、抽出対象の成分抽出性に優れる。また、本発明の抽出用シート材1は、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維の平均繊維径dと、スパンボンド不織布層3aを構成する繊維の平均繊維径dとの比(d/d)が0.8〜1.5であることにより、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維がスパンボンド不織布層3aの繊維の間隙に入り込み難くなり、メルトブロー不織布層2aを構成する繊維がスパンボンド不織布層3a側の表面に裏抜けすることが防止される。その結果、抽出用シート材1にヒートシール処理を施す際には、ヒートシール処理に使用するシールバーが汚染されることがなく、ヒートシール処理に使用するシールバーの汚染が抑制され、シールバーからの抽出用シート材1の剥離性が良好に維持される。従って、本発明の抽出用シート材1を用いれば、抽出用バッグ100等への加工が容易でありながら、抽出対象の成分抽出性に優れた抽出用バッグ100を製造することが可能となる。
本発明の特徴構成を有する抽出用シート材(実施例1〜12)を作製し、各種測定及び評価を行った。測定及び評価項目は、(1)通気度、(2)裏抜け評価、(3)裏抜け強度、及び(4)層間強度評価とした。また、比較のため、本発明の特徴構成を備えていない抽出用シート材(比較例1〜4)を作製し、同様の測定及び評価を行った。
〔実施例1〕
加熱して溶融させたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート共重合体(co−PET) テレフタル酸/イソフタル酸の重合比が82/18)を紡糸ノズルから押出して繊維状とし、その繊維状の樹脂を、エジェクターを用いて延伸しつつ冷却して長繊維を形成し、この長繊維をベルトコンベア上に集積してスパンボンド不織布シートを形成した。次いで、加熱して溶融させた低融点ポリエステル(co−PET)を紡糸ノズルから押出して繊維状とし、その繊維状の樹脂に対して300℃に加熱した空気流を当てて飛散させ、ベルトコンベア上のスパンボンド不織布シートの表面に集積して固化させることで実施例1の抽出用シート材を得た。抽出用シート材全体の目付は、17.0g/cmであり、メルトブロー不織布層の目付wは、4.8g/cmであり、スパンボンド不織布層の目付wは、12.2g/cmであった。抽出用シート材の断面を電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像において、メルトブロー不織布層を構成する繊維の直径を10箇所で測定し、その平均値として求めた平均繊維径dは、11.6μmであり、スパンボンド不織布層を構成する繊維の直径を10箇所で測定し、その平均値として求めた平均繊維径dは、14.3μmであり、これらの平均値として求めた抽出用シート材の全体の平均繊維径は、13.0μmであった。実施例1の抽出用シート材における平均繊維径dと平均繊維径dとの比(d/d)は、0.81であった。以下の式(1):
単位面積当たりの繊維長 = (4×10×w)/(樹脂密度×π×d ) ・・・(1)
において、樹脂密度を1.38g/cmとして算出したスパンボンド不織布層における単位面積当たりの繊維長は、5.5m/cmであった。メルトブロー不織布層を構成する繊維は、当該繊維を構成する樹脂の融点(210℃)より90℃高い300℃におけるメルトフローレイトが268g/10minであった。
〔実施例2〜12〕
ベルトコンベアの移動速度、メルトブロー不織布層を形成する際に、低融点ポリエステルを溶融させる加熱温度、紡糸ノズルから押出された溶融樹脂に当てる空気流の温度、及び紡糸ノズルからコレクターとなるスパンボンド不織布までの距離等を適宜調整した。また、実施例9〜12の抽出用シート材では、低融点ポリエステルとしてL体含有率が98%であるPLAを用いた。その他は実施例1に準じた手順で実施例2〜12の抽出用シート材を得た。実施例1〜12の抽出用シート材について、メルトブロー不織布層を構成する低融点ポリエステルの種類、密度、及びメルトフローレイト(MFR)、目付、平均繊維径、並びにスパンボンド不織布層における単位面積当たりの繊維長を表1に示す。
Figure 0006775863
(1)通気量
抽出用シート材から試験片を採取し、「JIS L 1096 通気性 A法(フラジール形法)」に準拠して、通気度試験機を使用して通気量を測定した。
(2)裏抜け評価
長尺状の抽出用シートをロータリー式自動充填包装機械(株式会社トパック製)にセットし、所定箇所をシールバーで挟持して面溶着し、全4辺のうち3辺の縁部に幅8mmの面溶着部が形成された80mm×100mmの矩形の袋体を形成しつつ、袋体に麦茶用抽出材料7gを封入することで、抽出用バッグを製造した。このときのシールバーの温度は、トップシール部を150℃、サイドシール部を170℃とした。ロータリー式自動充填包装機械を10分間運転したときのシールバーからの抽出用シートの剥離性を観察し、繊維の裏抜けの程度を評価した。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
◎:抽出用シートがシールバーに接着することなく、抽出用バッグを製造できる。
○:抽出用シートがシールバーにやや接着するが、抽出用バッグを問題なく製造できる。
×:抽出用シートがシールバーに接着し、抽出用バッグを製造するにあたり不具合が生じる。
(3)裏抜け強度
抽出用シート材の両面にクラフト紙を重ね合わせ、抽出用シート材の形成時のベルトコンベア移動方向(MD:machine direction)の一端側の辺を幅8mmのシールバーにより140℃で加熱挟圧してヒートシール処理を施した。ヒートシール処理後、ヒートシール部に直角になるようにMDを長手方向とした幅25mmの短冊状の試験片を採取した。試験片のヒートシール部が中央に位置するように抽出用シート材と、抽出用シート材のスパンボンド不織布層側に接着したクラフト紙とを180°に開き、夫々を引張試験機のつかみに取り付けた。試験速度100mm/minで引張り、ヒートシール部が破断する最大荷重(N/25mm)を測定した。
(4)層間強度評価
抽出用シート材のメルトブロー不織布層側にクラフトテープ(クラフトテープNo.500 積水化学工業株式会社製)を貼り付け、その後、クラフトテープを剥がしたときの抽出用シート材の状態により、層間強度を評価した。評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
◎:メルトブロー不織布層がクラフトテープに付着しない。
○:メルトブロー不織布層の一部が抽出用シートから剥がれてクラフトテープに付着するが、使用できる程度に抽出用シート材の構造が維持されている。
×:メルトブロー不織布の半分以上が抽出用シートから剥がれてクラフトテープに付着し、抽出用シートとして使用できない。
測定及び評価の結果を表2に示す。
Figure 0006775863
実施例1〜12の抽出用シート材は、何れも通気量が300cc/cm・sec以上であり、紅茶、緑茶等の茶類、鰹、昆布等の出汁の抽出に適した高い成分抽出性を有するものであった。
メルトブロー不織布層を構成する繊維がスパンボンド不織布層側の表面に裏抜けしていると、裏抜け評価において抽出用バッグを製造するにあたり不具合が生じる。実施例1〜12の抽出用シート材は、裏抜け評価において、ロータリー式自動充填包装機械を用いて抽出用バッグを連続して問題なく製造できた。この結果から、実施例1〜12の抽出用シート材では、メルトブロー不織布層を構成する繊維の裏抜けが抑制されていることが確認された。さらに、実施例1〜12の抽出用シート材は、層間強度評価においても、両不織布層の一体性が高いものであることが確認された。
一方、比較例1及び2の抽出用シート材は、裏抜け強度が2.0N/25mm以上と高く、裏抜け評価において、抽出用シートがシールバーに接着し、抽出用バッグを製造するにあたり不具合が生じた。裏抜け強度は、メルトブロー不織布層を構成する繊維がスパンボンド不織布層側の表面に裏抜けしていると、抽出用シート材とスパンボンド不織布層側のクラフト紙とが、裏抜けしたメルトブロー不織布層の繊維によっても接着され、その接着強度が大きくなる。そのため、比較例1及び2の抽出用シート材では、メルトブロー不織布層を構成する繊維の裏抜けが生じていると考えられる。
比較例3及び4の抽出用シート材は、層間強度評価において、メルトブロー不織布の半分以上が抽出用シートから剥がれてクラフトテープに付着し、抽出用シートとして使用できなかった。比較例3の抽出用シート材は、平均繊維径dと平均繊維径dとの比(d/d)が1.5を超えるため、メルトブロー不織布層を構成する繊維に対してスパンボンド不織布層における繊維の間隙が相対的に小さいものとなり、スパンボンド不織布層にメルトブロー不織布層を積層するときに、メルトブロー法によって吹き付けた溶融樹脂がスパンボンド不織布層の繊維の間隙に入り込む量が不足し、十分なアンカー効果が得られなかったと考えられる。比較例4の抽出用シート材は、スパンボンド不織布層における単位面積当たりの繊維長が25.0m/cmを超えるため、スパンボンド不織布層の繊維の間隙が小さくなり、スパンボンド不織布層にメルトブロー不織布層を積層するときに、メルトブロー法によって吹き付けた溶融樹脂がスパンボンド不織布層の繊維の間隙に入り込む量が不足し、十分なアンカー効果が得られなかったと考えられる。
本発明の特徴構成を有する抽出用シート材(実施例13)を作製し、メルトブロー不織布層を構成する繊維の裏抜けの有無を、SEMを用いて観察した。比較のため、本発明の特徴構成を備えていない抽出用シート材(比較例5)を作成し、同様に観察した。
〔実施例13〕
ベルトコンベアの移動速度、メルトブロー不織布層を形成する際に、低融点ポリエステルを溶融させる加熱温度、紡糸ノズルから押出された溶融樹脂に当てる空気流の温度、及び紡糸ノズルからコレクターとなるスパンボンド不織布までの距離を適宜調整した。その他は実施例1に準じた手順で実施例13の抽出用シート材を得た。実施例13の抽出用シート材全体の目付は、18.0g/cmであり、メルトブロー不織布層の目付wは、6.0g/cmであり、スパンボンド不織布層の目付wは、12.0g/cmであった。実施例13の抽出用シート材の断面をSEMで撮影した画像において、メルトブロー不織布層を構成する繊維の直径を10箇所で測定し、その平均値として求めた平均繊維径dは、16.0μmであり、スパンボンド不織布層を構成する繊維の直径を10箇所で測定し、その平均値として求めた平均繊維径dは、13.6μmであり、これらの平均値として求めた抽出用シート材の全体の平均繊維径は、14.8μmであった。実施例13の抽出用シート材における平均繊維径dと平均繊維径dとの比(d/d)は、1.18であった。前述の式(1)において、樹脂密度を1.38g/cmとして算出したスパンボンド不織布層における単位面積当たりの繊維長は、6.0m/cmであった。実施例13の抽出用シート材の通気量は、515cc/cm・secであった。
図4(a)は、実施例13の抽出用シート材の厚み方向の断面を撮影したSEM画像であり、図4(b)は、実施例13の抽出用シート材のスパンボンド不織布層側の表面を撮影したSEM画像である。図4(a)のSEM画像において、上側はメルトブロー不織布層、下側はスパンボンド不織布層である。実施例13の抽出用シート材は、図4(a)のSEM画像において、メルトブロー不織布層を構成する繊維が厚み方向に延伸することなくおおよそ水平方向に延伸しており、スパンボンド不織布層側の表面に裏抜けしていないことが確認できる。
〔比較例5〕
ベルトコンベアの移動速度、メルトブロー不織布層を形成する際に、低融点ポリエステルを溶融させる加熱温度、紡糸ノズルから押出された溶融樹脂に当てる空気流の温度、及び紡糸ノズルからコレクターとなるスパンボンド不織布までの距離を適宜調整した。その他は実施例1に準じた手順で比較例5の抽出用シート材を得た。比較例5の抽出用シート材全体の目付は、16.5g/cmであり、メルトブロー不織布層の目付wは、2.5g/cmであり、スパンボンド不織布層の目付wは、14.0g/cmであった。比較例5の抽出用シート材の断面をSEMで撮影した画像において、メルトブロー不織布層を構成する繊維の直径を10箇所で測定し、その平均値として求めた平均繊維径dは、6.0μmであり、スパンボンド不織布層を構成する繊維の直径を10箇所で測定し、その平均値として求めた平均繊維径dは、13.6μmであり、これらの平均値として求めた抽出用シート材の全体の平均繊維径は、9.8μmであった。比較例5の抽出用シート材における平均繊維径dと平均繊維径dとの比(d/d)は、0.44であり、本発明の抽出用シート材において規定する0.8〜1.5の範囲から外れるものであった。前述の式(1)において、樹脂密度を1.38g/cmとして算出したスパンボンド不織布層における単位面積当たりの繊維長は、7.0m/cmであった。比較例5の抽出用シート材の通気量は、294cc/cm・secであった。
図5(a)は、比較例5の抽出用シート材の厚み方向の断面を撮影したSEM画像であり、図5(b)は、比較例5の抽出用シート材のスパンボンド不織布層側の表面を撮影したSEM画像である。図5(a)のSEM画像において、上側はメルトブロー不織布層、下側はスパンボンド不織布層である。比較例5の抽出用シート材は、図5(a)のSEM画像において、メルトブロー不織布層を構成する細い繊維がシートの厚み方向に延伸し、スパンボンド不織布層側の表面に裏抜けしていることが確認できる。図5(b)のSEM画像においても、メルトブロー不織布層を構成する細い繊維が表面に現れていることが確認できる。比較例5の抽出用シート材においてメルトブロー不織布層を構成する繊維の裏抜けが生じたのは、平均繊維径dと平均繊維径dとの比(d/d)が0.44と小さく、メルトブロー不織布層を構成する繊維に対してスパンボンド不織布層における繊維の間隙が相対的に大きいために、メルトブロー不織布層を構成する繊維がスパンボンド不織布層の繊維の間隙に入り込み易いことが原因と考えられる。
本発明の抽出用シート材は、紅茶、緑茶等の茶類、鰹、昆布等の出汁の抽出に用いる抽出用バッグに利用可能である。
1 抽出用シート材
2a メルトブロー不織布層
3a スパンボンド不織布層

Claims (5)

  1. メルトブロー不織布層とスパンボンド不織布層とを積層した抽出用シート材であって、
    前記スパンボンド不織布層における単位面積当たりの繊維長は、5.5〜25.0m/cmであり、
    前記メルトブロー不織布層を構成する繊維の平均繊維径dと、前記スパンボンド不織布層を構成する繊維の平均繊維径dとの比(d/d)が、0.8〜1.5である抽出用シート材。
  2. 全体の平均繊維径が10〜20μmである請求項1に記載の抽出用シート材。
  3. 前記メルトブロー不織布層を構成する繊維は、当該繊維を構成する樹脂の融点より70〜120℃高い温度におけるメルトフローレイトが150〜270g/10minである請求項1又は2に記載の抽出用シート材。
  4. 前記スパンボンド不織布層の目付が12〜18g/mである請求項1〜3の何れか一項に記載の抽出用シート材。
  5. 前記メルトブロー不織布層の目付wと、前記スパンボンド不織布層の目付wとの比(w/w)が、0.1〜0.55である請求項1〜4の何れか一項に記載の抽出用シート材。
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