JP4655938B2 - 分画装置および分画方法 - Google Patents

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Description

本発明は生体成分含有溶液、特にヒトの血液、血漿、尿等の原液からタンパク質などの生体分子を分画して、原液から組成を変化せしめた試料を得るための方法およびそのための装置に関する。特に、臨床プロテオーム解析を目的とし、微量成分の検出に対して妨害する成分、特に高分子量のタンパク質を除去し、生体成分の組成を変化させた溶液を分画する方法およびそのための装置に関する。
近年、ポストゲノム研究として、プロテオーム解析研究(プロテオミクス)が注目され始めた。遺伝子産物であるタンパク質は遺伝子よりも疾患の病態に直接リンクしていると考えられることから、タンパク質を網羅的に調べるプロテオーム解析の研究成果は診断と治療に広く応用できると期待されている。しかも、ゲノム解析では発見できなかった病因タンパク質や疾患関連因子を多く発見できる可能性が高い。
プロテオーム解析の急速に進展しだしたのは、技術的には質量分析装置(mass spectrometer: MS)による高速構造分析が可能となってきたことが大きく、MALDI-ToF-MS (matrix assisted laser desorption ionization time-of-flight mass spectrometry) 等の実用化によって、ポリペプチドのハイスループット超微量分析が可能となり、従来検出し得なかった微量タンパク質までが同定可能となり、疾患関連因子の探索に強力なツールとなってきている。
プロテオーム解析の臨床応用の第一目的は、疾患によって誘導あるいは消失するバイオマーカータンパク質の発見である。バイオマーカーは、病態に関連して挙動するため、診断のマーカーとなり得るほか、創薬ターゲットとなる可能性も高い。すなわち、プロテオーム解析の成果は、特定遺伝子よりも診断マーカーや創薬ターゲットとなる可能性が高いため、ポストゲノム時代の診断と治療の切り札(エビデンス)技術となり、同定されたバイオマーカーは患者の薬剤応答性評価や副作用発現予測という直接的に患者が享受しえる利益につながることから、いわゆるテーラーメード医療(オーダーメード医療)の推進に大きな役割を果たすといえる。
臨床研究にプロテオーム解析(臨床プロテオミクス)を導入する場合には、大量の検体を迅速、確実に解析することが求められており、しかも臨床検体は微量で貴重なために高分解能・高感度・高機能測定を迅速に行う必要がある。この大きな推進力となったのは質量分析(mass spectrometry)であり、質量分析装置のもつ超高感度でハイスループットの特性の貢献するところが大きい。しかしながら、その手法や機器が急速に改良されてきてはいるものの、プロテオーム解析が臨床現場で簡便かつ迅速に実施できる状況には、まだない。
その原因のひとつに臨床検体の前処理が挙げられる。質量分析にかける前の処理として臨床検体のタンパク質を分画し精製することが必要で、この処理にはまだ数日かかるのが実態であり、さらに前処理の操作が煩雑で経験も必要とされることが、臨床への応用の大きな障害となっている。少量の血液や体液から全身の疾患の診断や病態管理ができれば、その有用性は極めて大きいものの、血漿中に含まれるタンパク質の多様性のために、多くの課題を生じている。
ヒト・タンパク質は10万種以上とも推定されているが、血清中に含まれるタンパク質だけでも約1万種類にものぼるといわれ、総量としての血清中濃度は約60〜80mg/mLである。血清中の高含量のタンパク質は、アルブミン(分子量66kDa)、免疫グロブリン(150〜190kDa)、トランスフェリン(80kDa)、ハプトグロビン(>85kDa)、リポタンパク質(数100kDa)等であり、いずれも大量(>mg/mL)に存在する。一方、病態のバイオマーカーや病因関連因子と考えられているペプチドホルモン、インターロイキン、サイトカイン等の生理活性タンパク質の多くは、極微量 (<ng/mL)にしか存在しない。その含有量比は高分子の高含量成分に比べて、実にnanoからpicoレベルである。タンパク質の大きさという点では、タンパク質全種類の70%以下は分子量60 kDa以下であり、上記の極微量なバイオマーカータンパク質はいずれもこの領域に含まれる場合がほとんどである(例えば非特許文献1)。これらのタンパク質は腎臓を通過して尿中に一部排泄されるため、血液のみならず尿を検体として測定することも可能である。
一般的な血清学的検査でプロテオーム解析するには、1)病因関連の微量成分検出の妨害となる分子量6万以上の高分子量成分を除外すること、2)分離された分子量6万未満の病因関連の微量成分を確実に回収することが重要となる。
高分子量タンパク質の分離手段として、現状では高速液体クロマトグラフィー (liquid chromatography: LC) や二次元電気泳動 (2 dimensional-polyacrylamide gel electrophoresis: 2D-PAGE) が用いられているが、LCや2D-PAGEの作業だけでも1〜2日を要している。この所要時間は、MALDI-TOF-MSやESI-MS (electrospray ionization mass spectrometry) 等の数分という分析時間に比べて非常に長く、MSのもつハイスループットという大きな利点が臨床プロテオーム解析では十分発揮できずにいる。このため、医療現場で診断や治療のためにできるだけ短時間に分析結果がほしいという目的には、現時点では実用性に極めて乏しいといわざるを得ず、日常の臨床検査にMSが利用しにくいひとつの大きな原因になっている。この点が解決されると、臨床プロテオーム解析による臨床検査の診断の迅速性は飛躍的に向上すると期待できる。具体的には、LCや2D-PAGEの代替となるような、微量の検体で高速に目的タンパク質群を分画・分離できるデバイス・装置があればよい。
またLCや2D-PAGEは、微量のサンプルしか処理できないために、得られるサンプル中に含まれるバイオマーカーの量も少なく、これまで開示された試料の調整方法では、MS分析、2次元電気泳動分析などのタンパク質分析を行ってもマーカーが検出されない場合がある。
アルブミンを主な除去対象物質として、すでに実用化されている製品あるいは開示されている技術としては、ブルー色素などのアフィニティーリガンドを固定化した担体、高分子量成分を遠心分離ろ過によって分画する遠心管形式の装置(非特許文献2、特許文献1)、電気泳動原理によって分画する方法、Cohnのエタノール沈澱などの伝統的な沈殿法やクロマトグラフィーによって分画する方法(例えば非特許文献3)などがある。また、アルブミンと免疫グロブリンG(IgG)を同時に除去する製品も市販されている。しかしこれらは、いずれも分離分画性能が十分ではなかったり、微量サンプルには不適当であったり、分析の対象となるタンパク質が希釈されてしまったり、あるいは質量分析等に障害となる薬剤が混入したり、再現性に乏しいなどの問題点があった。
2D-PAGEや液体クロマトグラフィーなどは高分離能ではある。しかし煩雑で時間がかかる手法よりも、簡便で短時間に、かつ高い分離能を有するデバイスが求められている。ごく最近でも、Affi-Gel Blueゲルを用いた方法(非特許文献4)やGradiflowシステムを用いた方法(非特許文献5)などが有効な改良されたアルブミン除去法として発表されてはいるが、さらに簡便にして高分離能を有する手法は報告されていない。また、Blueゲルは、アルブミンのような高分子量のタンパク質を特異的に除去するものではなく、プロテオーム解析の対象となるタンパク質をも同時に除去する可能性は否定できない。 液体を循環可能な濾過装置としては、らせん状に巻かれた平膜をハウジング中に装填したろ過装置が開示されている(特許文献2)が、このままでは分離性能が十分でなかった。 また、極微量のタンパク質を精度良く検知するためには異物の混入を防ぐ必要がある。異物としてはタンパク質以外のものはもちろん、目的以外の細胞や微生物も含まれる。さらに、例えばある患者の血清中のタンパク質の分析において、別の患者の血清中のタンパク質が異物となる。異物混入に対する対策が施されている装置は無い。
タンパク質溶液から分離膜を使ってタンパク質を分離・回収する方法については、例えば、特許文献3、4に開示されている。特許文献3は方法のみを開示し、タンパク質分離に必須の構造を有する具体的装置までは開示していない。また特許文献4では、必須構成部分を全て備えてなる1台の分離装置については言及されていない。
また、特許文献4に示すように、中空糸膜を用いて目的タンパク質を分離・精製する技術が知られている。特許文献4では直接開示されていないが、これらの分離技術においては、膜を設置したカラムまたはゲルを充填したカラムと、送液ポンプとをシリコンチューブなどで接続し、送液ポンプにより移動相を搬送し、その流れの中に目的物質を含む原液を投入して膜またはカラムに接触させることにより目的物質を分離する方法が一般的である。複数の異なる試料を処理する場合には、分析間の汚染を避けるために洗浄操作が必要で、その結果、時間がかかること、また万が一、試料中に病原体が含まれる場合には、処理操作中に病原体が漏出して作業者が感染する恐れもあった。
これらを解決する方法や装置の開発により、医学研究ならびに臨床現場でプロテオーム解析が広く行われるようになり、より迅速で高精度な検査や診断が可能となって、有用な治療法がない難治性の疾患の原因究明や早期の診断法の開発には強力なツールとなると期待できる。
アンダーソン・NL(Anderson NL),アンダーソン・NG( Anderson, NG)著,「ザ・ヒューマン・プラズマ・プロテオーム:ヒストリー・キャラクター・アンド・ダイアグノスティック・プロスペクツ (The human plasma proteome: history, character, and diagnostic prospects)」,モレキュラー・アンド・セルラー・プロテオミクス(Molecular & Cellular Proteomics),(米国),ザ・アメリカン・ソサエティー・フォー・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー・インコーポレーテッド(The American Society for Biochemistry and Molecular Biology, Inc.),2002年,第1巻,p845-867 ラダークリシュナ エス ティルマライ(Radhakrishna S. Tirumalai)ら著,「キャラクタリゼーション オブ ザ ロー モレキュラー ウェイト ヒューマン シーラム プロテオーム(Characterization of the low molecular weight human serum proteome)」,モレキュラー・アンド・セルラー・プロテオミクス(Molecular & Cellular Proteomics),(米国),ジ・アメリカン・ソサエティー・フォー・バイオケミストリー・アンド・モレキュラー・バイオロジー・インコーポレーテッド(The American Society for Biochemistry and Molecular Biology, Inc.),2003年,第2巻,p1096-1103 日本生化学会編,「新生化学実験講座(第1巻)タンパク質(1)分離・精製・性質」, 東京化学同人, 1990年 アーメド エヌ(N. Ahmed )ら著、「アン・アプローチ・トゥ・リウーブ・アルブミン・フォア・ザ・プロテオミック・アナリシス・オブ・ロー・アバンダンス・バイオマーカーズ・イン・ヒューマン・シーラム(An approach to remove albumin for the proteomic analysis of low abundance biomarkers in human serum)」、プロテオミクス(Proteomics)、 2003年、3巻、p1980-1987 ローセムント エル ディー(D. L. Rothemund )ら著、「デプリーション・オブ・ザ・ハイリー・アバンダント・プロテイン・アルブミン・フロム・ヒューマン・プラズマ・ユージング・ザ・グラディフロー(Depletion of the highly abundant protein albumin from human plasma using the Gradiflow.)」、プロテオミクス(Proteomics)、2003年、3巻、p279-287 特表2002-542163号公報 特開平04-330921公報 特開昭59-116223号公報 特開平7-133289号公報 特開2003-130882号公報 特開昭58-40323号公報 特許第3297707号公報
本発明が解決しようとする課題は以下のとおりである。
1)タンパク質などの生体成分を含む溶液を原液とし、原液から、得られる溶液への異物の混入が少なく、また系外への汚染が少なく、簡便・迅速に目的の溶質を分離する分画装置を提供すること。
2)生体成分を含む溶液に含まれる高分子量のタンパク質を効率的に除去する生体成分の分離方法および分離装置を提供すること。
課題を解決するための手段は、大きく分類して3つあり、以下のとおりである。
本発明では、第1の手段を第1の発明として以下を開示する。
(1)原液中の溶質またはその一部を膜を用いて分離する分画装置において、該分画装置が少なくとも、
1)原液を投入する供給部と、
2)供給部から送られた原液中の溶質の一部を濾過する濾過部と、
3)濾過部からの濾液を濃縮する濃縮部と、
4)分画時に装置内に導入される移動相を送液するための送液ポンプと
を備え、該濾過部、該濃縮部および、該濾過部と該濃縮部とを接続する流路がなす回路が閉鎖回路であり、該分画装置が更に
5)濃縮部から得られる濃縮液を回収する回収部を備え
供給部、濾過部、および供給部と濾過部とを接続する流路がなす回路、ならびに濃縮部、回収部および濃縮部と回収部とを接続する流路がなす回路がそれぞれ閉鎖回路であり、供給部と、濾過部と、濃縮部と、回収部と、前記各部分を接続する流路とからなる回路がカートリッジに組み込まれてなり、送液ポンプが、回転可能なローターとローターの外周に回転自在に設置されたローラーとを具備したローラー型チューブポンプであって、前記カートリッジの外壁の一部が回路の一部の流路を圧搾するための圧搾部材であることを特徴とする分画装置。
)前記閉鎖した回路のトータルの内容積が50mL以下であることを特徴とする上記いずれかの分画装置。
)濾過部および濃縮部それぞれに濾過器を用いたことを特徴とする上記分画装置。
)濾過器が中空糸膜を内蔵したモジュールであることを特徴とする上記分画装置。
)供給部と濾過部との間の流路には原液を輸送するためのポンプを備えていることを特徴とする上記いずれかの分画装置。
)回収部は、濃縮液を採取する容器からなることを特徴とする上記いずれかの分画装置。
)前記回路のいずれかの位置に、原液を投入した際の体積変化を収容する緩衝部を有することを特徴とする上記いずれかの分画装置。
)前記カートリッジを、ローラー型チューブポンプのローターに離接する方向に移動させて、送管を圧搾できるようにする移動機構を備えていることを特徴とする上記分画装置。
)原液が体液または生体成分含有液であることを特徴とする上記いずれかの分画装置。
また本発明では、第2の手段を開示する。
(1) タンパク質を吸着する抗体がない状態で、ヒトαミクログロブリンとヒトアルブミンとの透過比率(ヒトαミクログロブリン透過率/ヒトアルブミンの透過率)が1.5以上1000以下である膜分離システムの途中または後部に、特定のタンパク質を吸着する抗体を内蔵した抗体吸着膜分離システムに対し、生体成分由来の試料を供給し、生体成分の一部を分離することを特徴とする生体成分の分離方法であって、分離により得られる、該タンパク質の濃度が、抗体がない状態での膜分離システムで得られる濃度の10%以下である生体成分の分離方法。
(2)特定のタンパク質が血清アルブミン、免疫グロブリンG、免疫グロブリンA、免疫グロブリンM、トランスフェリン、ハプトグロビン、αアンチトリプシン、αマクログロブリン、αアシッドグリコプロテイン、フィブリノーゲン、補体C1q、補体C3、補体C4、補体C8、補体C9、補体因子B、アポリポプロテインA、アポリポプロテインB、Lp(a)、コラーゲン、ミオシン、アクチン、サイトケラチン、ケラチンおよびフィブロネクチンのいずれかあることを特徴とする上記生体成分の分離方法。
(3)抗体がポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体または抗原認識部位を含むそれらのフラグメントであることを特徴とする上記いずれかの生体成分の分離方法。
(4)抗体が、膜分離システムの膜表面に固定化されていることを特徴とする上記いずれかの生体成分の分離方法。
(5)膜分離システムが分離膜を内蔵するカラムを多段直列に組み合わせたものであって、抗体が第一段目カラムの分離膜の原液側の表面に固定化されていることを特徴とする上記いずれかの生体成分の分離方法。
(6)膜分離システムが分離膜を内蔵するカラムを多段直列に組み合わせたものであって、抗体が第一段目カラムの分離膜の透過側の表面に固定化されていることを特徴とする(17)に記載の生体成分の分離方法。
(7)膜分離システムが分離膜を内蔵するカラムを多段直列に組み合わせたものであって、抗体が前段のカラムの膜と後段のカラムの膜の間にある流路の中の移動相に存在することを特徴とする上記いずれかの生体成分の分離方法。
(8)膜分離システムが分離膜を多段直列に組み合わせたものであって、抗体が前段の膜と後段の膜との間の流路に固定されていることを特徴とする上記いずれかの生体成分分離方法。
(9)ヒトαミクログロブリンと分子量6万以上のヒトアルブミンとの透過比率が2以上1000以下である膜分離装置、および膜分離装置の流路の途中または後方に、抗体を内蔵する抗体処理装置を有する生体成分分離装置。
また本発明では、第3の手段を開示する。
(1)複数の種類のタンパク質および水を含有する溶液を中空糸分離膜に接触させ、タンパク質の分子量の大きさによってタンパク質を分画する方法であって、分画における溶液が有機溶媒を含有することを特徴とするタンパク質の分画方法。
(2)有機溶媒の含有量が1容量%以上20容量%未満であることを特徴とする上記タンパク質の分画方法。
(3)有機溶媒がアセトニトリルであることを特徴とする上記いずれかのタンパク質の分画方法。
(4)分画が30℃以下で行われることを特徴とする上記いずれかのタンパク質分画方法。
第1の発明として開示された分画装置では、閉鎖回路の装置を使うことによって、所要時間としては、短時間で、分析検体(分画装置回収液)のコンタミネーションおよびバイオハザードを防止しながら、原液、特に血漿をはじめとする体液からアルブミン等の高分子量タンパク質を簡便かつ効率よく分画することができる。さらに本発明の装置において、装置の一部をカートリッジに組み込むことにより、簡便に次の試料の分画操作に着手することができる。
第2の手段によれば、分子量の異なる複数のタンパク質を含有する溶液から効率よく高分子量のタンパク質を除去し、微量の低分子量タンパク質に富んだ溶液を得ることができ、質量分析においてこれら低分子量タンパク質を容易に検出することを可能にする。
第3の手段によれば、分子量の異なる複数のタンパク質を含有する溶液から効率よく高分子量のタンパク質を除去し、微量の低分子量タンパク質を高回収率で得ることができる。
実施例1(第1の発明)に使用した装置の斜視図 実施例1(第1の発明)に使用した装置の正面図および左側面図 第2の手段である、生体成分の分離方法の一態様を示す概念図 実施例2(第2の手段)で得られた各画分の電気泳動(SDS-PAGE)写真
符号の説明
1 シリンジ
2a 3方継手
2b ゴムボタン(供給部)
2c 継手
5a、5b、5c 分離部中空糸膜モジュール
5d 濃縮部中空糸膜モジュール
6a、6b、6c、6d 下ノズル
7a、7b、7c、7d 胴体下ノズル
8 圧搾部材
8a ガイド軸
8b ガイド軸
9 多チャンネル式回転ローラー
9a 回転ローラー
9b 回転ローラー
9c 回転ローラー
10 回収容器
11 回収容器キャップ
12 チューブ付きバック
14 カートリッジ
M 分画装置全体
15 三方バルブ
16 溶液循環流路
17a、17b、17c 送液ポンプ
18 透過液出口
19 膜分離モジュール
20 濾液出口
21 吸着モジュール
22 濾過液出口
23 濃縮モジュール
まず、各手段に共通する事項について説明する。
本発明でいう「分画」とは溶液中の溶質を分離することであり、溶質が複数種類含まれている場合には、その全部または一部を分離することを指す。体液成分をMS分析法によってプロテオーム解析するための試料の調製の場合には、回収目的のタンパク質と廃棄目的のタンパク質を弁別することになる。
生体成分としては、化合物としてタンパク質、核酸、糖、脂質、ビタミン、無機塩類が例示され、生体成分である血液、血清、血漿、尿、リンパ液、脳脊髄液等の体液の成分が例示される。
本発明でいう「濃縮」とは溶液中から溶媒を除去することを指す。本発明の目的においては、通常水が溶媒である。その際低分子量の成分が若干除去されてもかまわない。
アルブミンとしてはヒト、ウシ、その他哺乳動物及び鳥類由来のアルブミンが例示される。アルブミンより分子量が大きいとは(高分子量成分)、主にアルブミン(分子量6〜7万)以上の高分子量のタンパク質のことをいう。アルブミン以上の高分子量であるか否かはSDS-PAGE(sodium dodecylsulphate - polyacrylamide gel electrophoresis:ドデシル硫酸ナトリウムを含むポリアクリルアミドゲル電気泳動)という方法により判別可能である。アルブミンを用いて本発明を特定する場合には、ヒトアルブミンにより定義することが好ましい。

まず第1の発明のグループに関して説明する。
第1の発明の分画装置の好ましい態様としては、
1)原液を投入する供給部と、
2)供給部から送られた原液中の溶質の一部を濾過する濾過部と、
3)濾過部からの濾液を濃縮する濃縮部とを備え、
4)分画時に装置内に導入される移動相を送液するための送液ポンプとを備え、該濾過部、該濃縮部および、該濾過部と該濃縮部とを接続する流路がなす回路が閉鎖回路の構成であり、該分画装置が更に
5)濃縮部から得られる濃縮液を回収する回収部を備え
供給部、濾過部、および供給部と濾過部とを接続する流路がなす回路、ならびに濃縮部、回収部および濃縮部と回収部とを接続する流路がなす回路がそれぞれ閉鎖回路であり、供給部と、濾過部と、濃縮部と、回収部と、前記各部分を接続する流路とからなる回路がカートリッジに組み込まれてなり、送液ポンプが、回転可能なローターとローターの外周に回転自在に設置されたローラーとを具備したローラー型チューブポンプであって、前記カートリッジの外壁の一部が回路の一部の流路を圧搾するための圧搾部材である。
閉鎖回路とは回路の内部が装置外に開放されていないことを意味する。閉鎖回路をとることによって、コンタミネーションおよびバイオハザードを防止することができる。
上記構成をとることにより、目的とする溶液をコンタミネーションなく回収部に得ることができる。
第1の発明の装置は外部から原液を投入するための供給部を備えている。供給部の構造としては、ゴムボタンや三方活栓が例示される。シリンジポンプ、注射器、原液バックから原液をゴムボタンや三方活栓などの供給部に供給する。これらの供給手段は密閉性が高く、投入速度を制御できる点で好ましい。原液を投入する速度は、投入速度が速すぎると閉鎖回路の圧が上昇し回路からのリークや膜の破損を引き起こす。また、遅すぎると原液の処理に長時間を要する。
原液を閉鎖回路の外部から供給部に投与する場合に、投与された原液の体積に等しい体積変化が回路内で起こる。この変化を吸収できる部分が無いと回路や膜に過剰な圧力がかかる可能性がある。そのため、体積変化を吸収する緩衝部を回路のいずれかの位置に設置することが好ましい。T字コネクターを介して気密性良く接続されたバックあるいはピストン付きシリンジ等の機構が好ましく用いられる。
供給部と濾過部とは流路を介して接続されている。通常は、前記流路には輸送用の送液ポンプが設けられていることが好ましい。濾過部では溶質の一部が濾過される。
本発明の装置の濾過部においては、濾過器を使用することが好ましく、さらに中空糸膜または平膜を内蔵した濾過モジュールが好ましく用いられる。膜の分子分画性能に関しては、回収したい溶質の分子量と除去したい溶質の分子量を考慮して、分子分画能(カットオフ値)を有する膜を適宜選択できる。
また、濾過モジュールにおいては、膜の原液側には原液入口と原液出口とを有し、また膜の濾過側には濾過成分出口を有していることが好ましい。原液入口と原液出口とはチューブなどに流路を構成し、その流路に対して送液ポンプが設けられ、ポンプによって被処理液がモジュール内の膜の原液側を循環する構造になっていることが好ましい。それにより被処理液は濾過操作が繰り返し行われることになる。
分離効率を上げるために、濾過部において、濾過モジュールを多段にかつ直列に接続することができる。多段の場合、供給部に近い最初の濾過モジュールは、原液入口と原液出口とが接続された流路の途中に、供給部からの流路が接続される。最初の濾過モジュールの濾過成分出口からの流路は、次の濾過モジュールの原液入口と原液出口とを接続する回路の途中に接続される。その次の濾過モジュールの濾過成分出口からの流路も同様に、さらにその次のモジュールの原液側流路に接続される。最後の濾過モジュールで濾過部の機能は終わるが、濾過成分出口からの流路は、次の濃縮部に接続される。その結果濾過部からの濾液は濃縮部に送液される。
濾過モジュールが多段の場合、濾過モジュールの原液入口と原液出口との流路に存在するポンプは別々の駆動で運転されても良いし、同一の駆動で同軸運転されても良い。滞留なく送液し最大の分離効率を得るためには、同一の流量を維持するように運転されることが好ましい。
濾過モジュールにおいて、通常は溶質の分子量に従って溶質が分別される。濾過モジュールに使用される分離膜は、セルロース、セルローストリアセテート等のセルロースアセテート系ポリマー、ポリカーボネート、ポリスルホンやポリエーテルスルホンなどのポリスルホン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミドナイロン、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より1種類以上選択される素材を含むフィルターあるいは中空糸を用いることにより一層効率的に目的とする溶質成分を分離することができる。平面フィルター、カートリッジ式フィルター等の平膜型分離膜(フィルター)、中空糸等の中空状分離膜(中空糸)のいずれも用いることができる。これらのフィルターあるいは中空糸に、抗体やそのフラグメント、ポリエチレンイミン、アミノメチルピリジン、ポリフェノール、ブルー色素、2価金属イオン(Zn2+, Ni2+, Co2+, Cu2+等)および疎水性化合物(メチル基、ベンジル基、フェニル基、クロロメチル基、オクチル基、ラウリル基等)からなる群より1種類以上選択される物質(リガンド)を固定化することにより、フィルターあるい中空糸に溶質への親和性を付与できる。MS分析用の試料の前処理に使用する場合には、アルブミンをはじめとする、MS分析に不要なタンパク質を吸着除去する機能を付与することができる。
本発明の濾過モジュールに用いられる分離膜としては、処理液量あたりの表面積が大きく、操作上の圧損が少ないという理由で特に中空糸膜が好ましく用いられる。中空糸膜を備えた濾過器である中空糸膜モジュールは、タンパク質関係では従来より人工腎臓(透析モジュール)として多く利用されているが、いずれもアルブミン等のタンパク質を漏れさせないように保持され、クレアチニンや尿素などの低分子成分を漏出させて中空糸内腔側を流れる血液を浄化する目的で使用される。一方、第1の発明の濾過部に用いられる分離膜では、原液側から濾過された成分を分析のために収集する目的で使用される。具体的には原液側にはアルブミン等の高分子量成分を残存させながら、低分子量、例えば分子量5kDa以下のタンパク質成分を漏出させるのが好ましい。
次に、分離部における最後の濾過成分出口からの流路は濃縮部に接続される。濃縮部においても濾過器を用いることが好ましい。濾過器に使用できる分離膜の分子量分画性能に関しては、生理的食塩水中でペプチドを通過させない程度の分子量分画能(カットオフ値:0.05〜0.5kDa以下)を有する膜か限外ろ過膜を用いる。濃縮部においては、中空糸膜または平膜などの分離膜を備えた濃縮モジュールを有することが好ましい。濾過器においても、分離膜を内蔵したモジュールを使用することが好ましい。濃縮モジュールに用いる膜としては、前述と同様に処理量が高く、圧力損失が小さいという理由で中空糸膜がより好ましく用いられる。また濃縮モジュールにおいても、膜の原液側には原液入口と原液出口を有し、また膜の濾過側には濾過成分出口を有していることが好ましい。原液入口と原液出口とはチューブなどにより流路を構成し、その流路に対して送液ポンプが設置設けられ、ポンプによって被処理液がモジュール内の膜の原液側を循環する構造になっていることが好ましい。それにより被処理液は濾過操作が繰り返し行われることになる。濾過成分出口からは、分離の目的としない溶媒や極めて低分子量の成分が出てくる。装置内の体積変化をなるべく避けたいことから、濾過成分出口からの成分は分画装置内に保持しておきたい。そこで濾過成分出口には流路が接続され、その流路の一方は、供給部や供給部近傍の回路に接続されていることが好ましい。この流路においても、送液ポンプが存在していることが好ましい。
分離部の分離モジュールの原液出口と原液入口とを接続する流路、ならびに濃縮部の濃縮モジュールの原液出口と原液入口とを接続する流路には、前の段のモジュールからの流路が接続されるが、接続され液が合流した後、送液ポンプが送液操作するように送液ポンプを配置したほうが好ましい。その結果、分離・濃縮効率がさらに向上する。
第1の発明の分画装置において、濃縮部は、流路を介して、濃縮部において濃縮された液を回収する回収部に接続される。回収部としては通常回収用の容器が用いられる。濃縮部に濃縮モジュールを使用し、原液出口と原液入口を流路によって接続している場合、その流路を循環している液が回収の対象となる。この流路においても送液ポンプを備えていることが好ましい。更に閉鎖回路とするために、回収部に2本の流路が存在していることが好ましく、そのうちの1本が上述のとおり濃縮部からの濃縮液が供給される流路となり、もう1本の送管を通して回収容器の中の空気が濃縮部の原液側に送られるように配置することが好ましい。
本発明の分画装置において、供給部と分離部との間、分離部、濃縮部、回収部またそれらの間に必要に応じて設置される送液ポンプは、別々の駆動で運転されても良いし、同一の駆動で同軸運転されても良い。同軸で運転する場合には、膜の分離・濃縮効率に応じて、各部分の運転速度およびシーケンスを適宜選択できる。
本発明の分画装置の目的では、回路に設けられた流路は装着の利便性と安定性の確保のために、供給部と、濾過部および濃縮部のごとき膜によって分画する手段と、回収部と、前記各部分を接続する流路がカートリッジに組み込まれて、分画装置用回路が構成されていることが必要である。またカートリッジの外側の一部がローラー型チューブポンプに対する圧搾部材となっていることが必要である。カートリッジは送液ポンプのロータ駆動部またはそれを支持する部材に着脱可能であることが好ましい。またカートリッジおよび内容物はディスポーザブルであることがより好ましい。供給部、分離部、濃縮部、回収部内の送液ポンプを設置すべき流路の一部をカートリッジ内からカートリッジ外壁に露出させて、露出した流路であるチューブをローラー型チューブポンプのローターによって圧搾するのが最も好ましい。このとき濾過部、濃縮部に設けられた各モジュールの原液側入口と原液側出口の位置関係については圧搾部材にチューブを取り付ける方向と一致させる。各モジュールのポートに接続された流路であるチューブは圧搾部材を介して、液が循環出来るようになっている。圧搾の精度を維持するためにチューブはロータ駆動軸の根本により近くに位置していることが好ましい。精度が狂うとチューブが押さえつけられなくなり定量送りが難しくなる。カートリッジを本体に簡便かつ正確に装着させるためには、カートリッジとポンプそれぞれに、相互に嵌合するための手段を設けるのが好ましい。例えば一方にガイド穴を備え、他方にガイド軸を設け、ガイド穴をガイド軸に貫通させることで容易に嵌合が行われる。続いて、圧搾部材の位置を固定させることによって複数本のチューブからなる流路がローラー型チューブポンプの回転ローラーと適正な距離を保持することができる。ローラー型チューブポンプを作動させることによって、複数のモジュール内の原液は順次送液される。予め、複数本のモジュールを収納した収納箱と圧搾部材とを一体化して、流路の一部であるチューブを圧搾部材に載架したものを用意しておけば、ローラーポンプ部分への装着と脱着はより簡便に行うことができる。
カートリッジの素材は特に限定されないが、ハンドリングし易く、運搬し易く、強度があるという理由でプラスチック製のものが好ましい。形状は特に限定されないが、カラムと送液回路を収納できるほどの十分なスペースを内部に有し、送液ポンプの駆動ロータで圧搾を受ける圧搾部材の圧搾面は圧搾される方向に弧状に彎曲した曲面になっていることが特に好ましい。曲面になっていることで駆動ロータとの接触面積が増え、結果的に安定した流量が確保できる。
カートリッジの圧搾部材の表面とローラー型チューブポンプの駆動ロータの外周に回転自在に設置されたローラーがこのチューブを挟むことによって送液機能が完成し、駆動ローターが周方向に回転することによってカートリッジ内にある各部分に存在する液体が循環する。カートリッジ外殻の圧搾面に対してチューブは圧搾されるように設置されているが、必ずしも圧搾面に接していなくてもよい。圧搾の際にチューブが圧搾方向と垂直の方向に振動するのを防ぐため、チューブが、カートリッジの外殻の弧状に彎曲した圧搾面に対して弧状に設置されていることが特に好ましい。
カートリッジは手動で駆動ローターに押し当ててもよいが、作業者に対する安全性の点から、カートリッジを設置すると、次にカートリッジが移動し、カートリッジに設置されたチューブをロータが圧搾できる位置までカートリッジを搬送できる機構を備えていることが好ましい。
本発明の分画装置を用いて分画するとき、その移動相は水または水溶液が好ましい。特に原液が体液であり、溶質がタンパク質である場合にはpH緩衝液を用いることが好ましい。さらに本装置により得られる試料をMS分析装置に適用する場合には、分析を阻害しない揮発性の物質から構成される緩衝液を用いることが好ましく、例えば炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウムが好ましく用いられる。移動相の水溶液には、界面活性剤、乳化剤、有機溶媒、アルコール、エチレングルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンイミン、アミノメチルピリジン、硫酸プロタミン、硫酸アンモニウム、ポリフェノール、ブルー色素、カオトロピック塩および疎水性化合物からなる群より1種類以上選択される物質を含むことにより、高分子成分のタンパク質の凝集による巨大分子化を促進し、吸着の促進や分画膜からの漏出を抑制し、高分子成分を効率的にカットオフし最終的な分離性能を向上させることができる。界面活性剤(両性界面活性剤や陰イオン性海面活性剤等)はタンパク質間の相互作用を抑制する効果があり、分子分画を効率的に行うことができる。
上記のリガンドの選択ならびに水溶液溶質の選択は、目的とするタンパク質群の分離の程度を勘案しながら行うことができる。
本発明の分画装置の各構成要素を接続する流路としては、チューブを使用することが好ましく、さらに柔軟な弾性体から成っていることが好ましい。例えば、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、フッ素樹脂、天然ゴム、合成ゴムが好ましく用いられるが、目的の生体成分の吸着が少ないという点でシリコーン樹脂、フッ素樹脂が特に好ましい。
本発明の濃縮液を採取する回収容器は目的の生体成分の吸着の少ない材質から成ることが好ましく、ポリプロピレン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂が好ましく用いられる。その他にもポリスチレン、ガラスなどの用いられるが、目的の生体成分の吸着を抑制するために内表面に吸着を抑制するための処理が施してあるものが好ましい。吸着を抑制するための処理とは、例えば親水性化処理であり、プラズマ処理や、親水性ポリマーのコーティングや表面グラフトがこれに相当する。
本発明の分画装置は生体成分を含有する原液、特にヒトの血漿、血清、尿、唾液、涙液、脳脊髄液、腹水、胸水、羊水、リンパ液等からの生体分子の分離に適する。上記の各フィルターならびに中空糸膜モジュールのサイズならびに還流液の流速それぞれは、原料とする血漿や尿等の生体材料の質と量に依存して適宜決められるが、一般的にモジュールが大きすぎると取り扱いが容易ではなく、またモジュール自体の表面積が大きくなるため微量成分の吸着ロスの原因となる。モジュールが小さいと大量の検体量に対処できない。特に中空糸膜を用いて、臨床において現実的な0.1〜100mLの検体を処理する場合には、直径0.2〜5cm、長さ3〜20cmの円筒形のモジュールが好ましく用いられる。また閉鎖した回路のトータルの内容積が50mL以下であることが好ましい。いわゆる卓上サイズで分画処理を実施する場合、用いる検体の量として好ましいのは血漿では1〜400mL、より好ましくは5〜100mLで実施される。また、好ましい流速は0.1〜20mL/min、さらに好ましくは0.2〜10mL/minで行われる。
本発明の分画装置に対し、生体成分を含有する原液を投入し、運転することにより最終的には回収部に得られた試料は、液体クロマトグラフ、電気泳動、MS等の各種のタンパク質分析に有用であるが、特に好ましくは電気泳動やMSを用いたプロテオーム解析に有用である。
本装置の分画装置で得られた試料を適用できるMSは特に限定されないが、イオン化部分として、電子スプレーイオン化型、大気圧イオン化型、高速原子衝突型、四重極型、サイクロトロン共鳴型、磁気セクター型、マトリックス支援レーザー破壊イオン化型などが、イオン補足型、飛行時間型、フーリエ変換型などの質量分析部と適宜組み合わせて用いられる。この場合、MS/MS、MSなどのタンデムMSやFT-MSとして用いることもできる。タンデムMSの場合は、全てのタイプのMSが適用可能であるが、特にイオン捕捉型、四重極−飛行時間(Q-TOF)型、FT-MSなどの組合せで使用することが効率がよい。
本装置との組み合わせによる分析により、各種微量タンパク質成分の構造情報を集めることができるが、それらはペプチド・マスフィンガープリント(peptide-mass fingerprint: PMF)のみならず、各ペプチドの一次構造情報(アミノ酸配列)も含まれる。
次に第2の手段について説明する。
第2の手段においては、
1)タンパク質を吸着する抗体がない状態でヒトαミクログロブリンとヒトアルブミンとの透過比率(ヒトαミクログロブリン透過率/ヒトアルブミンの透過率)が1.5以上1000以下である膜分離システムと、
2)タンパク質を吸着する抗体が必須の成分であり、本発明の分離方法により得られる特定のタンパク質の濃度が、抗体がない状態での膜分離システムで得られる濃度の10%以下であることが必要である。ここでヒトαミクログロブリンは分子量3万以下のタンパク質、ヒトアルブミンは分子量6万以上のタンパク質を代表するタンパク質である。
例えば血清を検体として利用する場合には、アルブミンや免疫グロブリンなどのタンパク質が血清中に高濃度に存在するため、膜を用いてもこれらのタンパク質が完全には分離できず一部が膜から漏出する。また、検体中にはタンパク質が分解されて生じた分子量の低いフラグメントペプチドも存在し、このようなペプチドは膜では分離できず抗体によって除去することが望まれる。漏出したタンパク質やそのフラグメントペプチドは依然として、質量分析における微量成分の検出を阻害する。本発明の分離によって、漏出したタンパク量を10分の1以下に減らすことができ、質量分析の感度をより向上させ微量成分の検出を可能にすることができる。
第2の手段において、膜分離システムが使用される。分離に使用される膜としては、通常多孔性のものが使用され、平面フィルター、カートリッジ式フィルター等の平膜型分離膜(平膜)、中空糸等の中空状分離膜(中空糸膜)のいずれも用いることができる。一般に、中空糸は処理液量あたりの表面積が大きく、圧損も少ないため、最も効率よく用いることができる。また、平面フィルターは製膜が容易で安価に作成することができるという利点がある。膜素材としては、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より1種類以上選択される素材を例示することができる。この中でも近年透析器などに良く用いられているポリスルホンは分画特性が良好であるために好ましい素材である。
本発明に用いられる膜分離システムの分離性能は、抗体がない状態で、ヒトαミクログロブリンとヒトアルブミンとの透過比率(ヒトαミクログロブリン透過率/ヒトアルブミンの透過率)が1.5以上1000以下である。好ましい比率としては、2以上である。透過比率が1.5未満であるとは、膜孔径が非常に大きくどんな分子量のタンパク質でも透過すること、または膜孔径が非常に小さくどんな分子量のタンパク質でも透過できないことを意味し、この範囲では実質上、膜として機能しない。透過係数は高い程良いが、現実的に透過係数1000あれば十分である。
本発明での膜分離システムは、タンパク質を含む試料、特に血清などの血液由来試料から、目的とするタンパク質を分画するものである。特にヒトαミクログロブリンに代表される分子量3万以下のタンパクを分画する膜による分画工程を単独であるいは連結された多段で有するシステムのことである。
本発明の膜分画システムには特に中空糸膜モジュールを用いることが好ましい。中空糸はタンパク質関係では従来より人工腎臓(透析モジュール)として多く利用されているが、いずれもアルブミン等のタンパク質を漏れさせないように保持され、クレアチニンや尿素などの低分子成分を漏出させて中空糸内腔側を流れる血液を浄化する目的で使用される。一方、本発明においては、中空糸内腔側から漏出する画分を分析のために収集する方法で用い、中空糸内腔側にはアルブミン等の高分子量成分を保持しながら、主にαミクログロブリンに代表される分子量3万以下のタンパク質成分を漏出させる方法を取る。
本発明において抗体に吸着させたいタンパク質は、処理する検体中に少なくとも1μg/mL以上の高濃度で存在するタンパク質であり、例えば検体が血液、血清または血漿の場合には、血清アルブミン、免疫グロブリンG、免疫グロブリンA、免疫グロブリンM、トランスフェリン、ハプトグロビン、αアンチトリプシン、αマクログロブリン、αアシッドグリコプロテイン、フィブリノーゲン、補体C1q、補体C3、補体C4、補体C8、補体C9、補体因子B、アポリポプロテインA、アポリポプロテインB、Lp(a)、ケラチン、コラーゲンなどがあげられる。検体が細胞抽出液の場合には、ミオシン、アクチン、サイトケラチン、ケラチン、フィブロネクチンなどがあげられる。
使用される抗体は、モノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよい。また、FabやF(ab)’のような抗体フラグメントも含み、抗原認識部位を含んでいればどんな形態をしていても良い。
本発明における抗体は、膜分離システムの流路の途中または後方に内蔵されていれば、どのような形態で内蔵されていても良い。膜分離システムの流路中において、溶液に溶解または分散された形態で存在していても良いし、膜の内表面または/および外表面に固定化されていても良い。流路中に設けられた球状ビーズ、編み地、または不織布に固定化されていても良い。抗体が固定化された担体を充填したカラムを流路中に設けることもできる。
膜分離システムが分離膜を内蔵するカラムを多段直列に組み合わせたものである場合には、第一段目カラムの分離膜の原液側の表面または/および透過側の表面、第二段目のカラムの分離膜の原液側の表面または/および透過側の表面などに抗体を固定化できる。また、抗体が前段のカラムの膜と後段のカラムの膜の間にある流路の中の移動相に内蔵させることもでき、抗体が前段の膜と後段の膜との間流路に固定することもできる。
内蔵させる抗体の量は任意でよいが、膜分離システムで膜から漏出するタンパク質の量によって決めることができる。漏出するタンパク質の量は、処理する検体に含まれる高濃度タンパク質の含有量、タンパク質の膜に対する篩い係数および処理時間からおおよそ決まる。抗体の量が少なすぎるとタンパク質を吸着除去できず、逆に多すぎると、抗体が膜に固定化されている場合や抗体が膜の原液側にフリーで存在する場合には膜が目詰まりを起こすために良好な分離性能が得られない。
第2の手段では、本発明の分離方法を行うための装置も含んでいる。すなわち、ヒトαミクログロブリンと分子量6万以上のヒトアルブミンとの透過比率が1.5以上1000以下である膜分離装置、および膜分離装置の流路の途中または後方に、抗体を内蔵する抗体処理装置を有する生体成分分離装置である。
本発明の膜分離システムを用いて分離する方法において好ましい態様は以下のとおりである。 膜分離システムの機能は、試料から廃棄目的のアルブミンに代表される分子量6万以上のタンパク質と、回収目的であるαミクログロブリンに代表される分子量3万以下のタンパク質を膜を使って分離したいことである。本システムは、平面フィルターあるいは中空糸膜モジュールの膜に分子篩い効果を有する多孔性膜を用い、分離ふるいによる分子分画を行う。特に中空糸を用いることは分画膜表面積が極めて大きくなるため、有効である。
本発明で用いる膜の素材は特に限定しないが、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より1種類以上選択される高分子を含む素材が使用される。膜構造に関しては、均一構造に近いスポンジ構造を有するものや、緻密層と空隙率が高く膜強度を維持する支持層の二層構造からなるもののいずれも用いることができる。膜の表性質は分離するタンパク質の性質によって決まり、親水性であっても疎水性であっても良い。
親水性膜では、親水性の単量体と疎水性の単量体を共重合させたものや、親水性の高分子と疎水性の高分子をブレンド製膜したもの、あるいは疎水性の高分子からなる膜の表面に親水性ポリマーを結合、付着させたもの、疎水性の高分子からなる膜の表面を化学処理、プラズマ処理、放射線処理したものなどがあげられるが、親水化されていればその方法は特に限定されない。親水性成分は特に限定しないが、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミドなどの親水性高分子が好ましい。これらの親水性膜は必要とするタンパク質の吸着を抑え、無駄なく回収する効果がある。
さらには、ポリエチレンイミン、アミノメチルピリジン、ポリフェノール、ブルー色素、2価金属イオン(Zn2+, Ni2+, Co2+, Cu2+等)、疎水性化合物(メチル基、ベンジル基、フェニル基、クロロメチル基、オクチル基、ラウリル基等)などのうち、少なくともいずれかひとつ以上を固定化した素材を用いることもできる。
膜の分子分画性能に関しては、生理的食塩水中でアルブミンを50%以上通過させない程度の分子分画能(カットオフ値:30〜60kDa以下)のものが使用できる。
本発明の膜分離システムでは、上述したような低分子量のタンパク質を濾過する手段に付加して、濃縮工程のための手段を含むことができる。この手段では、平面フィルターあるいは中空糸膜モジュールの膜に分子篩い効果を有する多孔性膜を用い、分離ふるいによって濃縮を行う。サンプルが少量の場合には、遠心型のチューブに平面フィルターを貼り付けた濃縮デバイスを、大量のサンプルの場合には、中空糸を用いることが有効である。
望ましくは本工程では、平面フィルターあるいは中空糸モジュールの膜に分子篩い効果を有する多孔性膜を用い、分離ふるいによる濃縮を行う。サンプルが少量の場合には、遠心型のチューブに平面フィルターを貼り付けた濃縮デバイスを、大量のサンプルの場合には、中空糸を用いることが有効である。
上記目的で使用できる膜の素材は特に限定しないが、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より1種類以上選ばれる高分子を含む素材が使用される。膜構造に関しては、均一構造に近いスポンジ構造を有するものや、緻密層と空隙率が高く膜強度を維持する支持層の二層構造からなるもののいずれも用いることができる。
膜の分子分画性能に関しては、生理的食塩水中でペプチドを通過させない程度の分子分画能(カットオフ値:10〜1000以下)を有する膜か限外ろ過膜を用いることが好ましい。 上述した膜分離システムの途中または後部に特定のタンパク質を吸着する抗体が付与される場合において、抗体は膜分画工程の途中で処理されるか、又は膜分画工程で得られた液が接触する部位であれば特に特定しない。ビーズやゲルに固定化した抗体を回路の一部もしくは全体に充填して用いることが好ましく、例えば回路の一部に抗体を固定化したゲルを充填したカラムを設置する方法が一般的に行われる。また、平面フィルター、あるいは中空糸膜モジュールの膜に抗体を固定化させることも好ましい。
抗体を支持体に付与する方法としては、特に限定しないが、抗体の−NH2末端を用いて化学反応により基材に固定する方法、酸化糖を固定化する方法、プロテインAやプロテインG等のリガンドに固定化する方法が効率よく抗体を固定化する方法として使用できる。用いる抗体はポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でも限定されることなく使用できる。また抗体を構成するタンパク質は免疫グロブリン類が好ましく、さらに免疫グロブリンGが好ましい。
抗体を特に支持体に付着させ、その支持体とともにシステムに投入する場合、支持体の素材としてはは特に限定しないが、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より1種類以上選択される高分子を含むの素材が使用されるのが好ましい。膜構造に関しては、均一構造に近いスポンジ構造を有するものや、緻密層と空隙率が高く膜強度を維持する支持層の二層構造からなるもののいずれも用いることができる。
また素材形態としては、球状ビーズ、繊維等の形態、繊維を編地、不織布、ステープルを用いた平面状の形態、中空糸の形態などが挙げられ、それぞれに表面の凹凸が大きい多孔体形状であることが吸着表面積を増大させる効果のために好ましい。また、平膜や中空糸膜等の分離膜の形態であれば、分離と吸着を同時に達成できるため、特に好ましい。
抗体を膜に付着させて使用する場合、 膜基材自体の特性としては、非特異的タンパク質吸着を抑えるために親水性化されたものや、アルブミン等の高分子量タンパク質を選択的に吸着するために疎水性化されたものが、分画と吸着の各工程に応じて、適宜選択されて使用される。
親水性化された基材から成る膜では、親水性の単量体と疎水性の単量体を共重合させたものや、親水性の高分子と疎水性の高分子をブレンド製膜したもの、あるいは疎水性の高分子からなる膜の表面に親水性ポリマーを結合、付着させたもの、疎水性の高分子からなる膜の表面を化学処理、プラズマ処理、放射線処理したものなどがあげられる。親水性成分は特に限定しないが、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレートなどの親水性高分子が好ましい。疎水性膜では、疎水性成分を混入させたり、疎水性リガンドを膜表面に導入したものが用いられる。疎水性成分としてはメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の炭素−炭素二重結合を有する付加重合性化合物からなる重合体や、ポリスルホン、セルロースなどの重合体を例示することができるが、膜素材として用いることができるものであれば特に限定されるものではない。
さらには、ポリエチレンイミン、アミノメチルピリジン、ポリフェノール、ブルー色素、2価金属イオン、疎水性芳香族化合物等のうち、少なくともいずれかひとつ以上を固定化した素材を用いることもできる。
本発明の生体成分の分離方法では、システム中に展開する液としては緩衝液が好ましく使用される。さらに、各種の薬剤を加えて、吸着あるいは分画性能を向上させることができる。具体的には、工程に用いる水溶液中に、界面活性剤、乳化剤、有機溶媒、アルコール、エチレングルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンイミン、アミノメチルピリジン、硫酸プロタミン、硫酸アンモニウム、ポリフェノール、ブルー色素、カオトロピック塩および疎水性化合物からなる群より1種類以上選択される物質を含むことを特徴とする。
たとえば、アルブミンの凝集を促進させる硫酸アンモニウム、ポリエチレングリコール、ポエチレンイミン、カオトロピック塩等を適宜加えることにより、高分子成分のタンパク質の凝集による巨大分子化を促進し、吸着の促進や分画膜からの漏出を抑制し、高分子成分を効率的にカットオフすることができる。一方、分画工程では、界面活性剤(両性界面活性剤や陰イオン性海面活性剤等)を適宜加えることにより、タンパク質間の相互作用を抑制し、分子量分画を効率的に行うことができる。
この工程で得られたろ過画分は次の濃縮工程に供される。吸着工程や再膜分離工程で溶液を十分に分離できる場合には、本工程は省略される。
本発明の生体成分の分離方法では複数の工程からなる場合工程をなすための各装置が流路で直結され、連続して稼動すると、簡便かつ自動的に連続運転できる。もちろん各工程を独立して稼動させてもよい。チューブにはポンプが装着され、ポンプにより送液されるが、小規模の場合にはシリンジによる送液、濃縮工程では遠心チューブ型装置による濃縮を行っても構わない。複数の工程を行う装置要素が流路で結ばれた複数の装置で行われてもよい。望ましくはαミクログロブリン分子量3万以下の分子量を有するタンパク質を濾過により効率よく得る中空糸膜モジュールと、特定のタンパク質を吸着する要素とタンパク質溶液を濃縮する工程を同時に行う第二の中空糸膜モジュールが水溶液流路で直結されているような態様も含まれる。
濃縮工程を導入することによって、より優れた効果を得ることができる。また、分離膜により低分子量のタンパク質を透過させ分画する工程を繰り返すことや、分離膜により分画する工程、吸着する工程の間に濃縮工程を挟み込むこと、吸着工程の後で再度分離膜によりタンパク質を透過させることもできる。
本発明の生体成分の分離方法は血液由来試料、特にヒトの血漿、血清等からの生体分子の分離に適する。上記の各フィルターならびに中空糸膜モジュールのサイズならびに還流液の流速は、試料の質と量に依存して適宜決められるが、いわゆる卓上サイズで分画処理を実施する場合、用いる検体の量として好ましいのは血漿では1〜400mL、より好ましくは5〜100mLで実施される。また、好ましい流速は0.1〜20mL/min、より好ましくは0.2〜10mL/minで行われる。
また、第2の手段の方法によれば膜分離システムは高速処理が可能であり、所要時間としては、1回の処理時間が1〜6時間以内で、検体のコンタミネーションおよびバイオハザードの防止の点から、一連のデバイスは一回使用とする装置を作製する事が可能である。電気泳動システムや液体クロマトグラフィーを用いる分析では、機器を再使用して用いるため、検体による汚染の危険性や再生した分析カラムによる再現性への影響などが問題となることがあり、操作の煩雑さも含めて必ずしも多数の検体の頻回処理には向いていない。
本発明の生体成分の分離方法によって得られる分析検体は、液体クロマトグラフ、電気泳動、MS等の各種のタンパク質分析に有用であるが、特に好ましくはMS、電気泳動を用いたプロテオーム解析に有用である。 本装置が直接あるいは間接的に連結できるMSは特に限定されないが、好ましくは、電子スプレーイオン化型、大気圧イオン化型、四重極(QQQ)型、磁気セクター型、飛行時間型、MS/MS、MSn、FT-MS型、イオン捕捉型およびこれらの組合せ型のものである。また、MS/MSまたはMSn(例えばMS3)のようなタンデムMSを含む。タンデムMSの場合は、全てのタイプのMSが適用可能であるが、特にイオン捕捉、四重極−飛行時間(Q-TOF)、FT-MS、および四重極およびイオン捕捉とのセクター機器の組合せを使用することが効率がよい。これにより、MS/MSおよび/またはMSn測定において生じるピークの選択的な検出が可能となる。
本装置との組み合わせによる分析により、各種微量タンパク質成分の構造情報を集めることができるが、それらはペプチド・マスフィンガープリント(peptide-mass fingerprint: PMF)のみならず、各ペプチドの一次構造情報(アミノ酸配列)も含まれる。
以下、第2の手段である生体成分の分離方法の一態様につき、図を用いながら説明する。
図3は、本発明の抗体成分吸着膜分離システムの概念図であり、膜分離要素、吸着要素、濃縮要素からなる。液の流れを矢印で示してある。血清などの材料の検体は三方バルブ15から第1の要素である膜分離モジュール19に注入され、チューブからなる溶液循環流路16の中を送液ポンプ17aによって送液され、循環される。この工程で生じた濾液は、透過液出口18から得られる。こ濾液出口18から得られた透過液は、送液ポンプ17bによって、内表面に抗体を固定した分離膜を内蔵する吸着モジュールに投入され、循環される。吸着モジュールに内蔵する分離膜を透過した透過液が濾液出口20から得られる。この透過液は、さらに送液ポンプ17cによって濃縮用膜が内蔵された濃縮モジュール23にて循環され、水および極めて低い分子量のタンパク質は膜を透過し、透過液出口から排出される。濃縮モジュール23およびその循環流路に残存している溶液を取り出すことにより所望の試料が得られる。
最後に第3の手段について説明する。
本発明は、複数の種類のタンパク質および水を含有する溶液を分離膜に接触させ、タンパク質の分子量の大きさによって分画する方法であって、分画における溶液が有機溶媒を含有することを特徴とするタンパク質の分画方法である。タンパク質は疎水性の相互作用により、他のタンパク質と結合するだけでなく、材料表面にも吸着する。溶液を有機溶剤を含有することにより、この疎水性相互作用を阻害し、高分子量のタンパク質を原液側に残し、低分子量のタンパク質を効率よく透過させることができる。
本発明の分離方法においては、有機溶媒が添加されていることが必須である。有機溶媒を添加することで、分離膜、チューブ等の回路や分画した溶液を回収する容器へタンパク質が吸着する現象を著しく抑制することができる。本発明における有機溶媒の濃度は1容量%以上20容量%未満が好ましく、3容量%以上19容量%未満がより好ましい。いっそう好ましくは、5容量%以上18容量%未満である。濃厚なタンパク質溶液を有機溶媒を添加した緩衝液で希釈する場合、緩衝液に過剰量の有機溶媒が混入すると、その影響でタンパク質溶液が凝集さらに、血清タンパク質のプロテオーム解析の前処理用途において本発明の分離方法で中空糸膜でタンパク質分画を行う場合、有機溶媒が過剰量混入するとタンパクが凝集することがあり、それらは濾過されないため、その結果分画処理液に含まれるタンパク質の数が激減する可能性がある。
したがって、タンパク質が凝集しない程度に有機溶媒を添加する必要があり、そうすることで中空糸膜、回路、回収容器等へタンパク質が吸着するのを抑制しつつ、タンパク質の回収率を格段に向上させることが可能となる。
本発明で用いられる有機溶媒としては、水系緩衝液に溶解可能である必要があり、例えばアセトニトリル、ピリジン等の含窒素化合物、1,4−ジオキサン、プロピレンオキシド等の環状エーテル化合物、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N’−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物、メタノール、エタノール、2−プロパノール等の一価アルコール類、2−メトキシエタノール(メチルセロソルブ)、2−エトキシエタノール(エチルセロゾルブ)などのセロソルブ類、2−アミノエタノール(モノエタノールアミン)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のエタノールアミン類、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類が利用できるが、このうち非アルコール系の有機溶媒を用いることがより好ましい。また、緩衝液中に含まれる有機溶媒は1種類でもよく、2種類以上でもよい。
本発明における有機溶媒の沸点は100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましい。いっそう好ましくは60℃以下である。沸点が低いほど、凍結乾燥やエバポレーターによる溶媒除去が容易であり、さらには溶媒除去時に低温で操作できればタンパク質の変性を最小限に抑えることができるため好ましい。
本発明においては緩衝液に水溶性有機溶媒を添加したものが最も好ましい。ここでいう緩衝液とは、緩衝作用、すなわちタンパク質溶液と混合したときに急激なpH変動を起こさない性質の溶液である。したがって、単なる水は緩衝作用を有さないため緩衝液とはいえない。本発明における緩衝液の組成は、炭酸塩緩衝液、炭酸水素塩緩衝液、リン酸塩緩衝液、酢酸塩緩衝液等が好適に用いられる。タンパク質を分画した後、質量分析で解析する場合、凍結乾燥機やエバポレーターを用いて溶媒成分を除去することにより、サンプルを濃縮する場合があることを考慮すると、本発明における緩衝液は、サンプル中に塩類が残留しない点から揮発性であることが好ましい。その条件を満たすものとしては、アンモニウム塩を用いて調製した緩衝液が挙げられ、その組成は例えば炭酸水素アンモニウム−炭酸アンモニウム、酢酸−酢酸アンモニウム、ギ酸−ギ酸アンモニウム等が挙げられる。例えば炭酸水素アンモニウム緩衝液を用いて分画し、得られたサンプルを凍結乾燥すると、アンモニウム塩はアンモニアと二酸化炭素、水となり揮発する。
本発明におけるタンパク質分画デバイス用緩衝液の塩濃度は特に限定されないが、1mM〜1Mが好ましく、10mM〜100mMがより好ましい。なお、本発明におけるタンパク質分画デバイス用緩衝液の水素イオン濃度(pH)は4.0〜8.0が好ましい。pHが4.0未満、あるいは8.0を超えると、タンパク質の変性作用が強くなるため好ましくない。
本発明の方法で分離膜が使用されるが、好ましくは中空糸膜が使用される。中空糸膜の素材は特に限定しないが、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレート等のポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より1種類以上選択される高分子を含む素材が使用される。膜構造に関しては、均一構造に近いスポンジ構造を有するものや、緻密層と空隙率が高く膜強度を維持する支持層の二層構造からなるもののいずれも用いることができる。膜の表性質は分離するタンパク質の性質によって決まり、親水性であっても疎水性であっても良い。
親水性膜では、親水性の単量体と疎水性の単量体を共重合させたものや、親水性の高分子と疎水性の高分子をブレンド製膜したもの、あるいは疎水性の高分子からなる膜の表面に親水性ポリマーを結合、付着させたもの、疎水性の高分子からなる膜の表面を化学処理、プラズマ処理、放射線処理したものなどがあげられるが、親水化されていればその方法は特に限定されない。親水性成分は特に限定しないが、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミドなどの親水性高分子が好ましい。これらの親水性膜は必要とするタンパク質の吸着を抑え、無駄なく回収する効果がある。
さらには、ポリエチレンイミン、アミノメチルピリジン、ポリフェノール、ブルー色素、2価金属イオン(Zn2+, Ni2+, Co2+, Cu2+等)、疎水性化合物(メチル基、ベンジル基、フェニル基、クロロメチル基、オクチル基、ラウリル基等)、抗体およびそのフラグメントなどのうち、少なくともいずれかひとつ以上を固定化した素材を用いることもできる。
膜の分子分画性能に関しては、生理的食塩水中でアルブミンを50%以上通過させない程度の分子分画能(カットオフ値:30〜60kDa以下)が通常用いられる。
本発明においては、上記の中空糸膜を充填したモジュールを用いることが好ましく、モジュールには分離される溶液が流入する入口および流出する出口と分離された溶液が流出する分離液流出口が備えられていることが好ましい。
ここでモジュールのハウジングに充填する膜は、充填した際に脱離が起きないこと、また充填物由来の溶出物がないようにすることが好ましい。
本発明の方法でタンパク質溶液を処理する場合、モジュールを多段組み合わせて使用することも好ましい。そうすることで、1本のモジュールで除去しきれなかった高分子量タンパク質を次の段のモジュールで除去することができ、分画処理後試料から得られる分析データーのS/N比を向上させることが可能となる。これらのモジュールは直列に接続されていてもよく、並列に接続されていてもよい。
本発明の方法で分画した後、前の工程で得られたタンパク質溶液を濃縮することも好ましい。このとき、膜を用いて濃縮しても良い。膜の分画分子量は、回収対象となるタンパク質の分子量に応じて選択することが好ましい。ここでいう分画分子量とは、濾過膜の性能を評価するために用いられる指標であり、その膜を用いて濾過を行ったときに、見かけの阻止率が0.9となる溶液中の溶質の分子量で表される。膜には孔径の分布があり、実際は分画分子量より大きな分子が通過できる場合が多いため、使用する膜の分画分子量は、回収対象となるタンパク質群の中で最も小さい分子量の1/2〜1/4であることが好ましい。膜の分画分子量が大きすぎると回収対象となるタンパク質が漏洩し、回収率が低下する原因となることがあり、逆に小さすぎると透過性能が低くなり圧力上昇や処理速度低下の原因となることがある。濃縮膜の形態は特に限定されないが、平膜と比べて孔径分布がシャープであり、濃縮効率が高いことから中空糸膜を用いるのが好ましい。
本発明の方法でタンパク質溶液を分画する場合、低温で処理することが好ましい。低温にすることによりタンパク質溶液中のプロテアーゼの活性が低下し高い効果が得られる。分画時の処理温度は、30℃未満、さらに0〜20℃が好ましく、またさらに2〜10℃がより好ましい。低温で処理することで、血清、血漿中に含まれるプロテアーゼの活性を抑制し、タンパク質の分解を防ぐことができるだけでなく、有機溶媒の揮発も極力抑えることができる。とりわけ本発明のように中空糸膜を用いて分画処理を行う場合には、有機溶媒が揮発して生じた気泡による膜分離性能への悪影響を防止したいことから、低温で処理することが好ましい。
まず第1の発明の実施例を示す。
(実施例A)(第1の発明)
図1、2は、本発明の分画装置を説明する図である。図1は分離部が3つのモジュールによって構成されていることを示す。
図1を参照されたい。供給部に相当するゴムボタン2bに対して3方継手2aと継手2cが接続されている。フレキシブルなチューブ3が継手2cと濾過部中空糸膜モジュール5aの下ノズル6aを多チャンネル式圧搾部材8の曲面に這うようにして接続されている。更に、3方継手2aにチューブ付きバック12が接続されている。圧搾部材各濾過部中空糸膜モジュール5a、5b、5cおよび濃縮部5dの各上端に備えた各上ノズル4a、4b、4c、4dにはフレキシブルなチューブが接続されている。これらのチューブは、多チャンネル式の圧搾部材8の曲面に這うようにして配設され下ノズル6a、6b、6c、6dに各々接続されている。分離部中空糸膜モジュール5aの胴体下ノズル7aと中空糸膜モジュール5bの下ノズル6bとの間に、また中空糸膜モジュール5bの胴体下ノズル7bと中空糸膜モジュール5cの下ノズル6cとの間に、また中空糸膜モジュール5cの胴体下ノズル7cと中空糸膜モジュール5dの下ノズル6dとの間に各々チューブが接続されている。中空糸膜モジュール5dの胴体下ノズル7dと3方継ぎ手2aとがチューブで接続されている。更に中空糸膜モジュール5dの下ノズル6dと回収容器10の上部にある回収容器キャップ11とがチューブで接続されている。、中空糸膜モジュール5dの上ノズル4dと回収容器キャップ11とも接続されている。上記に記した全ての中空糸膜モジュール、ノズル、チューブ、継手、チューブ付きバック、回収容器、回収容器キャップは閉鎖回路となっている。
分画にあたってはこの閉鎖回路内には移動相として水系の緩衝液が充填される。
上記回路をカートリッジに収納した。
図2は、本発明の分画装置の全体図であり、(A)は正面図、(B)は左側面図である。装置14には多チャンネル式の回転ローラー9が装備されている。、カートリッジ14に存在する圧搾部材8の側面に設けられたガイド穴に対し、装置本体側から配置されているガイド軸8a、8bを貫通しつつ、カートリッジ14を押し込むことによって装置に固定された。固定されたカートリッジ14は多チャンネル式回転ローラー9の側に平行移動し、多チャンネル式回転ローラー9およびローターと、圧搾部材8と、圧搾部材8の曲面に設置された7本のチューブとにより送液システムを形成した。
またシリンジ1が取り付けられた。多チャンネル式回転ローラー9のそれぞれの回転ローラーにはモーターからの駆動機構が各々取り付けられた。
図1にもどり説明する。液の流れを矢印で示してある。血清などの原液を封入したシリンジ1の針を供給部のゴムボタン2bに刺した後、検体はシリンジポンプによって予定の速度で投入された。投入後シリンジ1はゴムボタン2bからはずされた。投入された原液は移動相と混じり合いながら、モーターによって駆動される回転ローラー9aの回転によって搬送されながら分離部中空糸膜モジュール5aに送液された。モーターによって駆動される回転ローラー9bの回転によって中空糸膜モジュール5aを循環する間に生成した濾液は胴体下ノズル7aから出て、後段の分離部中空糸膜モジュール5bに回転ローラー9bの回転によって搬送された。分離部中空糸膜モジュール5bの濾液は、更に後段の分離部中空糸膜モジュール5cに搬送された。
このように原液の溶質は、分離部を構成する中空糸膜モジュール5a、5b、5cで分画された。中空糸膜モジュール7cからの濾液は、濃縮部中空糸膜モジュール7dに搬送された。中空糸膜モジュール7dを循環する間に生成した濾液は胴体ノズル7aから出て継手2aを介して供給部に返送された。中空糸膜モジュール7cの濾液は、濃縮部の中空糸膜7dに搬送された。分離部と濃縮部における液の循環と送液は回転ローラー9bによって行われた。指定された時間が経過した後、回転ローラー9a、9bは停止し、モーターによって駆動される回転ローラー9cが始動した。これにより回収容器10内にある空気が濃縮部内の回路にある濃縮液を押し出し、濃縮液は下ノズル6dを通り回収容器10に回収された。
次に第2の手段に関する参考例を説明する
参考例1)
ポリスルホン中空糸100本を束ね、中空糸の中空部を閉塞しないようにエポキシ系ポッティング剤で両末端をガラス管モジュールケースに固定し、ミニモジュールを作成した。該ミニモジュールは、内直径が約7mm、長さが約17cmであり、一般的な中空糸膜型透析器と同様に透析液ポートを2個有している。該ミニモジュールの中空糸およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。
その後、PBS(日水製薬社製ダルベッコPBS(−))水溶液を充填し、中空糸膜ミニモジュール(以降、「ミニモジュール1」と略す)を得た。ヒト血清(SIGMA社 H1388、 Lot 28H8550)を3000rpm15分の条件にて遠心処理を行い沈殿物を取り除いた後0.45μmのフィルター処理を行った。ミニモジュール1の透析液側の一方をキャップし、一方はシリコーンチューブをつなぎ、ロータリー型チューブポンプであるペリスターポンプに接続した。中空糸膜内側の液に対応するミニモジュール入口とミニモジュール出口とをシリコーンチューブでつなぎ、ペリスターポンプを用いて血清を含む液を循環できるようにした。4mLの血清を、循環流量5mL/min、濾過流量0.2mL/minの流速で20℃、4時間濾過を実施した。(本工程は、廃棄目的の高分子量のタンパクと回収目的のの低分子量のタンパクを分離する工程に相当する)。
時濾過により循環回路から減少した容量分はPBSを加えることにより、循環する液量は一定に保った。
一方、リガンド固定化用カップリングカラムであるHiTrap NHS-activated(アマシャムバイオサイエンス製)を準備し、抗体を付着させることなくカラムとなした。濾液を0.2mLアプライし、カラムを素通りさせた。
最初に投入した血清中のアルブミン濃度をHuman Albumin ELISA Quantitation Kit (BETHYL社製)にて測定した結果は27800μg/mLであり、4時間の濾過およびカラム通過で得た液中のアルブミン濃度はは61μg/mLであった。分画前の血清中のαミクログロブリン濃度をエスアールエル(株)に外注し測定した結果は8.9μg/mLであり、4時間で得た濾液中のαミクログロブリン濃度は0.45μg/mLであった。従って、αミクログロブリン透過比率/アルブミン透過比率 = 約23であり、1.5以上1000以下の範囲にあった。
参考例2)
リガンド固定化用カップリングカラムであるHiTrap NHS-activated(アマシャムバイオサイエンス製)に抗ヒトアルブミン抗体を固定化し、抗体カラムを作成した。使用した抗体の種類および量は表1のとおりであり、各抗ヒトアルブミン抗体を固定化して作成したカラムのNoは、各抗ヒトアルブミン抗体に附したNoをそのまま使用した。
この5種類の抗体カラムに参考例1にて得られた濾液を各0.2mLアプライし、カラムを素通りした溶液を素通り画分の試料とした。素通り画分のアルブミン量をHuman Albumin ELISA Quantitation Kit にて測定した。 結果を表2に示す。表2のカラム番号は、表1で使用した抗体の番号に対応する。
それぞれのカラムに吸着したアルブミンを0.1Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.7)にて溶出し、吸着画分とした。素通り画分、吸着画分を遠心分離型分離膜(ザルトリウス製vivaspin, 3000MWCO)を用いてそれぞれ0.2mLまで濃縮し試料とし、内、各5 μLをSDS-PAGEにて分析した。
分析結果を図4に示す。
図4は、参考例2で得られた各画分の電気泳動(SDS-PAGE)写真である。図4における各レーンは以下のとおりである。
レーン1 電気泳動用分子量マーカーであるレインボーマーカー(アマシャム製 RPN756)
レーン2 参考例1で得た濾液
レーン3 カラムNo.1素通り画分
レーン4 カラムNo.2素通り画分
レーン5 カラムNo.3素通り画分
レーン6 カラムNo.4素通り画分
レーン7 カラムNo.5素通り画分
レーン8 カラムNo.1吸着画分
レーン9 カラムNo.2吸着画分
レーン10 カラムNo.3吸着画分
レーン11 カラムNo.4吸着画分
レーン12 カラムNo.5吸着画分
レーン13 電気泳動用分子量マーカーであるMultiMark (インビドロジェン製 LC5725)
図4から、抗体カラム処理前のサンプルに多量に存在していたアルブミンが抗体カラム素通り画分からはほぼ消失していることが判る。したがって、素通り画分にはアルブミン抗体の存在によりタンパク質が10%以下となっており、さらにほとんどないことを確認した。
参考例3)
参考例1の操作で得られた濾液の半量を遠心分離型分離膜(ザルトリウス製vivaspin,3000MWCO)を用いて1mLにまで濃縮し、さらにカラム専用の緩衝液(アジレント製BufferA No.5185-5987)4mLを混合後、0.22μmの遠心フィルターにて濾過し、6種の抗体を組み合わせたアフニティーカラムMultiple Affinity Removal Column(アジレント製No.5185-5985)を用いて分離した。
サンプルアプライ後5mL以上BufferAを流して得た、カラムにアフィニティーの弱い成分を含む溶液を素通り画分とした。つぎに、カラムに吸着したタンパクをカラム専用の溶出用緩衝液(アジレント製BufferB No.5185-5988)にて溶出し、吸着画分とした。素通り画分、吸着画分を遠心分離型分離膜(ザルトリウス製vivaspin, 3000MWCO)を用いてそれぞれ1mLにまで濃縮し、内、各10μLをSDS-PAGEにて分析した。素通り画分から分離されたバンドと吸着画分から分離されたバンド位置には重なりはほとんど認められず、抗体の存在によりタンパク質が10%以下となっており、さらにほとんどないことを確認した。
(比較例1)
参考例1で用いたのと同一ロットのヒト血清(SIGMA社 H1388、 Lot 28H8550)40μLを参考例3で用いた抗体カラム専用緩衝液にて5倍に希釈し分離した。素通り画分、吸着画分を遠心分離型分離膜(ザルトリウス製vivaspin, 3000MWCO)を用いてそれぞれ1mLにまで濃縮し、内、各5 μLをSDS-PAGEにて分析した。分析の結果、抗体によってアルブミンをはじめいくつかのバンドが消失したが、高分子量物質から低分子量物質まで広範囲に渡りバンドが存在していた。
以下に第3の手段に関する参考例を説明する。
参考例4)
東レ株式会社製血液透析器(TS1.6ML)の両端の樹脂接着部分を切り、ポリスルホン製中空糸膜を得た。得られた中空糸膜の寸法は、内直径200μm、膜厚40μmであり、液が透過するところの断面を観察したところ非対称構造を有していた。この中空糸膜を100本束ね、中空糸膜の中空部を閉塞しないようにエポキシ系ポッティング剤で両末端をガラス管モジュールケースに固定し、ミニモジュールを作製した。ミニモジュールの直径は約7mm、長さは約17cmであり、一般的な中空糸膜型透析器同様に、中空糸内に液体を循環させるためのポート(循環ポート)と透析液ポートをそれぞれ2個有している。作製したミニモジュールの中空糸膜およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。
炭酸水素アンモニウム(シグマアルドリッチジャパン製)および炭酸アンモニウム(シグマ製)をそれぞれミリQ水に溶解させ、両者を混合してpHを8.0に合わせ、50mM炭酸水素アンモニウム緩衝液(pH8.0)(以下、単に緩衝液Aという。)を調製した。その溶液にアセトニトリル濃度が10%(v/v)となるようにアセトニトリル(シグマアルドリッチジャパン製、高速液体クロマトグラフィー用)を添加しよく混和し、本発明のタンパク質分画用緩衝液として用いた(以下、10%アセトニトリル添加緩衝液Aという。)。
以下の操作は4℃に設定された低温室にて行った。全長65cmの1本のシリコンチューブ(アズワン製、内径2mm、外径4mm)(シリコンチューブA)の2カ所にT字管を組み込み、第1のT字管の、シリコンチューブAに接続されていない開口部にはシリコンチューブ(シリコンチューブB)を介して圧力計を接続した。第2のT字管の、シリコンチューブAに接続されていない開口部にはシリコンチューブ(全長15cm、内径2mm、外径4mm)(シリコンチューブC)を介してシリンジを設置し、液体の注入口とした。シリンジには10%アセトニトリル添加緩衝液Aを充填し、シリンジをマイクロシリンジポンプ(KD Scientific製、以下、シリンジポンプと表記)に設置し、2つのT字管の間にあるシリコンチューブの途中にロータリー型マイクロチューブポンプ(東京理化器械(株)製、以下、送液ポンプと表記)を設置した。圧力計に接続したシリコンチューブB、およびシリンジに接続したシリコンチューブCを鉗子で止めてから、シリコンチューブAの一端を10%アセトニトリル添加緩衝液Aの入った容器につけ、送液ポンプを作動させてシリコンチューブA内を10%アセトニトリル添加緩衝液Aで満たし、流速を5mL/minに調整した。
ミニモジュールの循環ポートの一端を上記シリコンチューブAの一端と接続し、送液ポンプを作動させて10%アセトニトリル添加緩衝液Aを中空糸膜内側に送液し、中空部分の気泡を取り除いた。送液ポンプを停止させてから、もう片方のシリコンチューブAの端部をモジュールの端部と接続した。こうして、モジュール、シリンジ、圧力計が接続された循環回路が形成された。10%アセトニトリル添加緩衝液Aで4倍希釈したヒト血清(シグマ製)(以下、希釈血清Aと表記)4.5mLをシリンジ(テルモ(株)製)に取り、シリンジの先に翼付静注針(テルモ(株)製)を取り付けて、マイクロシリンジポンプにセットした。希釈血清Aを針の先まで充填し、気泡がないことを確認した後、回路上のシリコンチューブBを配置したT字管付近に設けた液体の注入口に該静注針の針先を刺して回路と接続し、タンパク質分画デバイスを完成した。
送液ポンプを作動させて5mL/minで循環回路に10%アセトニトリル添加緩衝液Aを循環させてから、シリンジポンプを作動させて0.2mL/minで希釈血清Aを押し出して分画処理を開始した。このとき、モジュールから濾過された処理液を50mLのポリプロピレン製遠沈管に回収した。20分後、4mLの希釈血清を押し出した時点でシリンジポンプを止め、すぐに10%アセトニトリル添加緩衝液Aを充填したシリンジを取り付けたシリンジポンプを0.2mL/minで作動させ、処理を続けた。分画開始から120分後、シリンジポンプ、送液ポンプをともに停止させた。このとき、膜を透過し、回収された回収液の容量は約24mLであった。回収液を凍結乾燥し、緩衝液Aに再溶解させた。この溶液のヒト血清アルブミン(HSA)、βミクログロブリン(βMG)、インターロイキン−8(IL−8)の各濃度を酵素免疫測定法(ELISA)で定量した。その結果、表3のとおり除去対象であるHSAの回収率は、希釈血清A中に含まれていた量の0.009%と非常に低かったのに対し、回収対象であるβMG、IL−8はそれぞれ51.2%、17.4%回収された。
参考例5)
緩衝液Aにアセトニトリル濃度が12.5%(v/v)となるようにアセトニトリル(シグマアルドリッチジャパン製、高速液体クロマトグラフィー用)を添加しよく混和後、脱気し、本発明のタンパク質分画デバイス用緩衝液として用いた(以下、12.5%アセトニトリル添加緩衝液A)。12.5%アセトニトリル添加緩衝液Aで4倍希釈したヒト血清(シグマ製)(以下、希釈血清Bと表記)4mLを参考例4と同様の方法によりモジュールで処理した。その結果、表3のとおり除去対象であるHSAの回収率は希釈血清B中に含まれていた量の0.012%と非常に低いのに対し、回収対象であるβMG、IL−8はそれぞれ52.3%、19.7%回収された。
参考例6)
緩衝液Aにアセトニトリル濃度が15%(v/v)となるようにアセトニトリル(シグマアルドリッチジャパン製、高速液体クロマトグラフィー用)を添加しよく混和後、脱気し、本発明のタンパク質分画デバイス用緩衝液として用いた(以下、15%アセトニトリル添加緩衝液Aという。)。15%アセトニトリル添加緩衝液Aで4倍希釈したヒト血清(シグマ製)(以下、希釈血清Cと表記)4mLを参考例4と同様の方法で処理した。その結果、表3のとおり除去対象であるHSAの回収率は希釈血清C中に含まれていた量の0.028%と非常に低いのに対し、回収対象であるβMG、IL−8はそれぞれ54.3%、24.3%回収された。
参考例7)
緩衝液Aにアセトニトリル濃度が17.5%(v/v)となるようにアセトニトリル(シグマアルドリッチジャパン製、高速液体クロマトグラフィー用)を添加しよく混和後、脱気し、本発明のタンパク質分画デバイス用緩衝液として用いた(以下、17.5%アセトニトリル添加緩衝液A)。17.5%アセトニトリル添加緩衝液Aで4倍希釈したヒト血清(シグマ製)4mL(以下、希釈血清Dと表記)を参考例4と同様の方法で処理した。その結果、表3のとおり除去対象であるHSAの回収率は希釈血清D中に含まれていた量の0.039%と低いのに対し、回収対象であるβMG、IL−8はそれぞれ55.9%、25.1%回収された。
参考例8)
緩衝液Aにアセトニトリル濃度が7.5%(v/v)となるようにアセトニトリル(シグマアルドリッチジャパン製、高速液体クロマトグラフィー用)を添加しよく混和後、脱気し、本発明のタンパク質分画デバイス用緩衝液として用いた(以下、7.5%アセトニトリル添加緩衝液A)。7.5%アセトニトリル添加緩衝液Aで4倍希釈したヒト血清(シグマ製)(以下、希釈血清Eと表記)4mLを参考例4と同様の方法で処理した。その結果、表3のとおり除去対象であるHSAの回収率は希釈血清E中に含まれていた量の0.008%と非常に低いのに対し、回収対象であるβMG、IL−8はそれぞれ41.9%、17.1%回収された。
参考例9)
緩衝液Aにアセトニトリル濃度が5.0%(v/v)となるようにアセトニトリル(シグマアルドリッチジャパン製、高速液体クロマトグラフィー用)を添加しよく混和後、脱気し、本発明のタンパク質分画デバイス用緩衝液として用いた(以下、5.0%アセトニトリル添加緩衝液A)。5.0%アセトニトリル添加緩衝液Aで4倍希釈したヒト血清(シグマ製)(以下、希釈血清Fと表記)4mLを参考例4と同様の方法で処理した。その結果、表3のとおり除去対象であるHSAの回収率は希釈血清F中に含まれていた量の0.007%と非常に低いのに対し、回収対象であるβMG、IL−8はそれぞれ34.1%、16.2%回収された。
参考例10)
緩衝液Aにアセトニトリル濃度が2.5%(v/v)となるようにアセトニトリル(シグマアルドリッチジャパン製、高速液体クロマトグラフィー用)を添加しよく混和後、脱気し、本発明のタンパク質分画デバイス用緩衝液として用いた(以下、2.5%アセトニトリル添加緩衝液A)。2.5%アセトニトリル添加緩衝液Aで4倍希釈したヒト血清(シグマ製)(以下、希釈血清Gと表記)4mLを参考例4と同様の方法で処理した。その結果、表3のとおり除去対象であるHSAの回収率は希釈血清G中に含まれていた量の0.004%と非常に低いのに対し、回収対象であるβMG、IL−8はそれぞれ20.5%、11.7%回収された。
参考例11)
50mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.0)(以下、緩衝液B)を調製し、アセトニトリル濃度が10%(v/v)となるようにアセトニトリル(シグマアルドリッチジャパン製、高速液体クロマトグラフィー用)を添加しよく混和後、脱気し、本発明のタンパク質分画デバイス用緩衝液として用いた(以下、アセトニトリル添加緩衝液B)。アセトニトリル添加緩衝液Bで4倍希釈したヒト血清(シグマ製)(以下、希釈血清Hと表記)4mLを参考例4と同様の方法で処理した。その結果、表3のとおり除去対象であるHSAの回収率は希釈血清H中に含まれていた量の0.035%と非常に低いのに対し、回収対象であるβMG、IL−8はそれぞれ9.4、13.2%回収された
参考例12)
緩衝液Aに濃度が10%(v/v)となるように1,4−ジオキサン(シグマアルドリッチジャパン製)を添加しよく混和した(以下、ジオキサン添加緩衝液A)。ジオキサン添加緩衝液Aで4倍希釈したヒト血清(シグマ製)(以下、希釈血清Iと表記)4mLを参考例4と同様の方法で処理した。その結果、表3のとおり除去対象であるHSAの回収率は希釈血清I中に含まれていた量の0.022%と非常に低いのに対し、回収対象であるβMG、IL−8はそれぞれ58.7%、20.5%回収された。
参考例13)
緩衝液Aに濃度が10%(v/v)となるようにアセトン(シグマアルドリッチジャパン製)を添加しよく混和した(以下、アセトン添加緩衝液A)。アセトン添加緩衝液Aで4倍希釈したヒト血清(シグマ製)(以下、希釈血清Jと表記)4mLを参考例4と同様の方法で処理した。その結果、表3のとおり除去対象であるHSAの回収率は希釈血清J中に含まれていた量の0.037%と非常に低いのに対し、回収対象であるβMG、IL−8はそれぞれ57.5%、21.2%回収された。
参考例14)
緩衝液Aに濃度が10%(v/v)となるようにエタノール(シグマアルドリッチジャパン製)を添加しよく混和した(以下、エタノール添加緩衝液A)。エタノール添加緩衝液Aで4倍希釈したヒト血清(シグマ製)(以下、希釈血清Kと表記)4mLを参考例4と同様の方法で処理した。その結果、表3のとおり除去対象であるHSAの回収率は希釈血清K中に含まれていた量の0.023%と非常に低いのに対し、回収対象であるβMG、IL−8はそれぞれ46.8%、18.9%回収された。
(比較参考例2)
緩衝液Aを回路内に充填し、緩衝液Aで4倍希釈したヒト血清(シグマ製)(以下、希釈血清Lと表記)4mLを0.2mL/minで回路内に注入して参考例4と同様にして分画処理した。その結果、表3のとおり除去対象であるHSAの回収率は希釈血清L中に含まれていた量に対して検出感度以下と非常に低かったが、回収対象であるβMG、IL−8もそれぞれ5.90%、検出感度以下であり、低回収率であった。
(比較参考例3)
緩衝液Bを回路内に充填し、緩衝液Bで4倍希釈したヒト血清(シグマ製)(以下、希釈血清Mと表記)4mLを0.2mL/minで回路内に注入して参考例4と同様にして分画処理した。その結果、表3のとおり除去対象であるHSAの回収率は希釈血清M中に含まれていた量に対して検出感度以下と非常に低かったが、回収対象であるβMG、IL−8もそれぞれ検出感度以下、1.83%であり、低回収率であった。
(比較参考例4)
緩衝液Aを回路内に充填し、緩衝液Aで4倍希釈したヒト血清(シグマ製)(以下、希釈血清Nと表記)4mLを0.2mL/minで回路内に注入して、処理中の温度を30℃に設定する以外は参考例4と同様にして分画処理した。その結果、処理中に気泡が発生し評価が不可能となった。
これら発明は、プロテオーム解析を行う際の試料の作成において非常に有用なものであり、医学、特にヒトの病気の発見に大いに利用可能である。

Claims (9)

  1. 原液中の溶質またはその一部を膜を用いて分離する分画装置であって、該分画装置が少なくとも、1)原液を投入するための供給部と、
    2)供給部から送られた原液中の溶質の一部を濾過する濾過部と、
    3)濾過部からの濾液を濃縮する濃縮部と、
    4)分画時に装置内に導入される移動相を送液するための送液ポンプと
    を備え、該濾過部、該濃縮部および、該濾過部と該濃縮部とを接続する流路がなす回路が閉鎖回路であり、該分画装置が更に
    5)濃縮部から得られる濃縮液を回収する回収部を備え
    供給部、濾過部、および供給部と濾過部とを接続する流路がなす回路、ならびに濃縮部、回収部および濃縮部と回収部とを接続する流路がなす回路がそれぞれ閉鎖回路であり、供給部と、濾過部と、濃縮部と、回収部と、前記各部分を接続する流路とからなる回路がカートリッジに組み込まれてなり、送液ポンプが、回転可能なローターとローターの外周に回転自在に設置されたローラーとを具備したローラー型チューブポンプであって、前記カートリッジの外壁の一部が回路の一部の流路を圧搾するための圧搾部材であることを特徴とする分画装置。
  2. 前記閉鎖した回路のトータルの内容積が50mL以下であることを特徴とする請求項に記載の分画装置。
  3. 濾過部および濃縮部それぞれに濾過器を用いたことを特徴とする請求項1または2に記載の分画装置。
  4. 濾過器が中空糸膜を内蔵したモジュールであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の分画装置。
  5. 供給部と濾過部との間の流路に原液を輸送するための送液ポンプを備えていることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の分画装置。
  6. 回収部は、濃縮液を採取する容器からなることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の分画装置。
  7. 前記回路のいずれかの位置に、原液を投入した際の体積変化を収容する緩衝部を有することを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の分画装置。
  8. 前記カートリッジを、ローラー型チューブポンプのローターに離接する方向に移動させて、送管を圧搾できるようにする移動機構を備えていることを特徴とする請求項1〜7いずれかに記載の分画装置。
  9. 原液が体液または生体成分含有液であることを特徴とする請求項1〜いずれかに記載の分画装置。
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