JP2005320322A - 分画装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 タンパク質などの溶質を含む溶液から、異物の混入無く、簡便・迅速に目的の溶質を分離でき、MS分析を行うための試料を簡便・迅速に調製する装置を提供すること。
【解決手段】 生体成分を膜分離する濾過ユニットと、生体成分を吸着する吸着ユニットから選ばれる少なくとも一つのユニットに、該濾過ユニットの濾液または該吸着ユニットの素通り液を除水するための除水ユニットが連続的に設置されており、体液または生体成分含有液を濾過ユニットまたは吸着ユニットの上流から投入して送液することによって体液または生体成分を分画する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、体液または生体成分含有液から特定の成分を分離濃縮する分画装置に関する。
生物化学、薬学、細胞生物学、分子生物学の領域では、例えば、生体組織の抽出液の中から特定のタンパク質を分離・精製したり、細胞が産生した細胞培養液中のタンパク質を精製したり、細胞抽出液の中から遺伝子を分離するなど、混合物の中から目的の物質を分離する操作が行われてきた。このような操作に使われる手段は非特許文献1に開示されている。なかでもゲルクロマトグラフィーは最も汎用的で、分子量の違いを利用して分離するゲル濾過、荷電状態の違いを利用して分離するイオン交換クロマトグラフィー、リガンドに対する親和性の違いを利用して分離するアフィニティクロマトグラフィがある。また、近年は分子生物学の進歩により細胞やバクテリアに有用なタンパク質等を作らせる技術が発達し、特許文献1に示すように、中空糸膜を用いて培養上清などから目的タンパク質を分離・精製する技術が知られている。これらの分離技術においては、膜を設置したカラムまたはゲルを充填したカラムと、送液ポンプとをシリコンチューブなどで接続し、送液ポンプにより緩衝液などの移動相を搬送し、その流れの中に目的物質を含む原液を投入して膜またはカラム通過させることにより目的物質を分離する。
これらの技術において分離効率を最大に得るためには、移動相を搬送する速度を最低に制御する必要がある。高すぎると膜の目詰まりやゲルのつぶれが起こるため、搬送速度には上限があり、これらの操作に時間がかかる最大の原因となっている。回路が複雑な場合には組み立てにも時間を要し、複数の異なる試料を処理する場合には、分析間の汚染を避けるために洗浄操作が加わるため更に時間がかかる。また、試料が感染源を有する患者の体液などの場合には、感染源が回路に付着した場合に実験者の危険度が増す。
特許第3439503号公報 日本生化学会編,「新生化学実験講座(第1巻)タンパク質(1)分離・精製・性質」, 東京化学同人, 1990年
最近では特に上述の技術が病態関連物質を探索する研究に盛んに使われ、臨床現場から来る大量の検体を処理するために使われている。分析間の汚染を避けるために行われている洗浄操作を省き、回路に付着した感染源からの実験者への感染の危険度を減らし、更に実験室でも対応可能なコンパクトなシステムを創出することが解決すべき課題である。
したがって、本発明は、タンパク質などの溶質を含む溶液から、異物の混入無く、簡便・迅速に目的の溶質を分離でき、MS分析(質量分析装置(mass spectrometer)による分析)を行うための試料を簡便・迅速に調製する装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために検討を行った結果、アルブミン以上の分子量を有する成分を膜分離する濾過ユニットと、分子量500Da以上の少なくとも一つの成分を吸着する吸着ユニットと、更に該濾過ユニットの濾液または該吸着ユニットの素通り液を除水する除水ユニットを組み合わせることにより、体液または生体成分含有液から特定の成分が分離・濃縮できることを見出し、本発明に至った。
本発明の好ましい形態によれば、本発明は下記のように構成される。
「(1)体液または生体成分含有液から生体成分を分画する装置において、生体成分を膜分離する濾過ユニットと、生体成分を吸着する吸着ユニットから選ばれる少なくとも一つのユニットに、該濾過ユニットの濾液または該吸着ユニットの素通り液を除水するための除水ユニットが連続的に設置されており、体液または生体成分含有液を濾過ユニットまたは吸着ユニットの上流から投入して送液することによって生体成分を分画することを特徴とする分画装置。
(2)前記濾過ユニットが、血清アルブミン以上の分子量を有する成分とそれ以下の分子量を有する成分とを膜分離する濾過ユニットであることを特徴とする(1)記載の分画装置。
(3)前記吸着ユニットが、500Da以上の分子量を有する少なくとも一つの成分を吸着する吸着ユニットであることを特徴とする(1)記載の分画装置。
(4)細胞を含有しない体液、または細胞を含有しない生体成分含有液を前記濾過ユニットと前記吸着ユニットから選ばれる少なくとも一つのユニットに投入することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の分画装置。
(5)濾過ユニットの濾液が吸着ユニットに送液されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の分画装置。
(6)吸着ユニットの素通り液が濾過ユニットに送液されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の分画装置。
(7)濾過ユニットにおける濾過処理または吸着ユニットにおける吸着処理と除水ユニットにおける除水処理とが連続的かつ同時になされることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の分画装置。
(8)体液または生体成分含有液を投入するユニットと、その下流の濾過ユニットまたは吸着ユニットと除水ユニットと、さらに生体成分を回収するユニットとが回路を構成していることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の分画装置。
(9)前記回路内に体液または生体成分含有液を希釈・搬送するための移動相が充填されてなることを特徴とする(8)記載の分画装置。
(10)移動相が水または水溶液であることを特徴とする(9)記載の分画装置。
(11)水溶液がリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、蟻酸アンモニウム、アセトニトリル、塩化ナトリウム、塩化カリウムの少なくとの一つを含有することを特徴とする(10)記載の分画装置。
(12)除水ユニットの濾液が、体液または生体成分含有液を投入するユニットの上流に返送されることを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の分画装置。
(13)除水ユニット内の濃縮された生体成分を回収するユニットが設置されていることを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載の分画装置。
(14)除水ユニットの下流に生体成分を回収するユニットが設置されていることを特徴とする(13)記載の分画装置。
(15)回路が閉鎖回路であることを特徴とする(8)〜(14)のいずれかに記載の分画装置。
(16)回路内の容積が1L以下であることを特徴とする(8)〜(15)のいずれかに記載の分画装置。
(17)回路内の容積が500mL以下であることを特徴とする(8)〜(16)のいずれかに記載の分画装置。
(18)回路内の容積が100mL以下であることを特徴とする(8)〜(17)のいずれかに記載の分画装置。
(19)回路が、着脱可能なカートリッジに設置されていることを特徴とする(8)〜(18)のいずれかに記載の分画装置。
(20)体液または生体成分含有液がシリンジポンプで投入されることを特徴とする(1)〜(19)のいずれかに記載の分画装置。
(21)体液または生体成分含有液が送液ポンプで送液されることを特徴とする(1)〜(20)のいずれかに記載の分画装置。
(22)濾過ユニットに設置されている膜が中空糸膜であることを特徴とする(1)〜(21)のいずれかに記載の分画装置。
(23)限外濾過膜で除水することを特徴とする(1)〜(22)のいずれかに記載の分画装置。
(24)限外濾過膜が中空糸膜であることを特徴とする(23)記載の分画装置。
(25)少なくとも1つの中空糸膜モジュールが濾過ユニットに設置されていることを特徴とする(1)〜(24)のいずれかに記載の分画装置。
(26)少なくとも1つの中空糸膜モジュールが除水ユニットに設置されていることを特徴とする(1)〜(25)のいずれかに記載の分画装置。
(27)中空糸膜モジュールを含む回路が多段に設置されてなる(25)又は(26)記載の分画装置。
(28)前段の中空糸膜モジュールの濾液が、後段の中空糸膜モジュールの中空糸内に移送されることを特徴とする(27)記載の分画装置。
(29)前段の中空糸膜モジュールの濾液が、後段の、中空糸膜モジュールを含む循環回路に移送されることを特徴とする(27)又は(28)記載の分画装置。
(30)膜の素材が、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミドナイロン、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンの少なくとも一つから選ばれる(1)〜(29)のいずれかに記載の分画装置。
(31)膜の素材が、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミドナイロン、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンの少なくとも一つと、親水性ポリマーから成る(1)〜(29)のいずれかに記載の分画装置。
(32)親水性ポリマーがポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、およびこれらの共重合体の少なくとも一つから選ばれることを特徴とする(31)記載の分画装置。
(33)親水性ポリマーの割合が膜全体の15重量%以下であることを特徴とする(31)又は(32)記載の分画装置。
(34)抗体またはそのフラグメントで吸着する吸着ユニットであることを特徴とする(1)〜(33)のいずれかに記載の分画装置。
(35)抗体またはそのフラグメントがアルブミン、グロブリン、トランスフェリン、ハプトグロビン、α1−アンチトリプシン、アクチン、ミオシン、ケラチンの少なくともいずれか一つから選択されるタンパク質に対するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体またはそのフラグメントであることを特徴とする(34)記載の分画装置。」
体液または生体成分含有液から特定の成分を分離・濃縮するために必要な濾過ユニットと、吸着ユニットと、更に該濾過ユニットの濾液または該吸着ユニットの素通り液を除水する除水ユニットとが設置されてなる回路をカートリッジに収納することによって、回路を組み立てる手間が省け、分析毎にカートリッジを交換するだけで済み、分析間の汚染を避けるために行われている回路の洗浄操作が不要となる。回路に付着した感染源も回路に蓄積しないため実験者への感染の危険度が極端に減少する。更に実験室でも対応可能なコンパクトなシステムとなる。分析間の汚染を避けるために行われている洗浄操作を省き、回路に付着した感染源からの実験者への感染の危険度を減らし、更に実験室でも対応可能なコンパクトなシステムを創出する。
したがって、本発明の装置を用いてタンパク質などの溶質を含む溶液から、異物の混入無く、簡便・迅速に目的の溶質を分離でき、MS分析を行うための試料を簡便・迅速に調製することができる。
本発明でいう分画とは溶液(体液または生体成分含有液)中の溶質を分離することであり、溶質が複数含まれている場合には、その全部または一部を分離することを指す。特に体液のMSによるプロテオーム分析の前処理の場合には、回収目的のタンパク質と廃棄目的のタンパク質を弁別することをいう。本発明の溶液は、タンパク質、核酸、糖、脂質、ビタミン、無機塩類等の生体成分含有液や、血液、血清、血漿、尿、リンパ液、脳精髄液等の体液や、体液を含む液体であればよく特に限定されないが、細胞を含有しないことが好ましい。
本発明の分画装置において、生体成分を分離する濾過ユニットと、少なくとも一つの生体成分を吸着する吸着ユニットから選ばれる少なくともいずれか1つのユニットを有し、更に該濾過ユニットの濾液または該吸着ユニットで吸着されなかった成分を含む素通り液を除水する除水ユニットを有することが必須である。プロテオーム解析においては、血清中に多量に存在する、アルブミン以上の分子量を有する蛋白質がMS分析を阻害するため、濾過ユニットはアルブミン以上の分子量を有する成分を膜分離する濾過ユニットであることが好ましい。吸着ユニットにおいては蛋白質を選択的に分離除去できるため吸着対象は特に分子量に依存せず、分子量500Da以上の少なくとも一つの成分を吸着する吸着ユニットであることが好ましい。
本発明の回路とは移動相の液体が搬送される流路のことである。体液または生体成分含有液が投入された後、濾過または吸着の分画処理と除水処理が行われて回収されるという一連の工程が円滑に行われるためには、体液または生体成分含有液を投入するユニットと、その下流の濾過ユニットまたは吸着ユニットと除水ユニットと、さらに生体成分を回収するユニットとが回路を構成していることが好ましい。具体的にはシリコン、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックチューブや金属製のパイプ等を使って各ユニットを接続すればよい。除水ユニットの濾液には回収したい成分は含まれていないため、その濾液を投入ユニットの上流に返送して移動相として再利用することもできる。返送して再利用することによって大量の移動相を使う必要が無くなり、回路全体のコンパクト化やコスト削減が可能になる。濾液を搬送する生体成分を分離する上においては開放系、すなわち回路のいずれかの場所が開放されており、そこから任意の時点で任意の量だけ自由に移動相・試料・回収液を投入・補充・回収できる系であっても良いし、閉鎖系、すなわち回路のいずれの場所も開放されていない系であっても良い。
本発明の分画装置において、体液または生体成分含有液(以下、「原液」という)は供給ユニットにおいて外部から投入されることが好ましい。原液を投入する方法は特に限定されるものではないが、注射器に採取した原液を手動あるいはシリンジポンプ等を用いて、回路内に設置された三方活栓あるいはゴムボタンを通してに投入する方法や、液の入ったバックに接続された送管を、回路内に設置された三方活栓に接続してローラーポンプで投入する方法は密閉性が高く、投入速度を制御できる点で好ましい。原液を投入する速度は、濾過ユニット、吸着ユニットと除水ユニットにおける抵抗と、膜や回路の耐圧性から規定される回路の循環流量から決定される。投入速度が速すぎると回路の圧が上昇し回路からのリークや膜の破損を引き起こす。また、遅すぎると原液の処理に長時間を要する。

原液を回路の外部から供給ユニットに投与する場合に、回路内で投与された原液の体積に等しい体積変化が起こる。この変化を吸収できる部分が無いと回路や膜に過剰な圧力がかかる可能性があるため、この変化を吸収する緩衝部を設置することが好ましい。T字コネクターを介して気密性良く回路に接続されたバックあるいはピストン付きシリンジ等の機構が好ましく用いられる。
外部から投入された原液はポンプにより濾過ユニットに送られる。濾過ユニットでは濾過により溶質の分子量に従って溶質が分離される。本発明において、分離する手段として膜が好ましく用いられ、膜は、平面フィルター、カートリッジ式フィルター等の平膜型分離膜(フィルター)、中空糸等の中空状分離膜(中空糸)のいずれも用いることができる。
フィルターや中空糸を固定化したモジュールを少なくとも1つ含む回路が濾過ユニットを構成する。濾過に使用される膜は、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミドナイロン、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より1種類以上選択される素材を含むフィルターあるいは中空糸を用いることにより一層効率的に目的とする溶質成分を分離することができる。中空糸にはポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、およびこれらの共重合体の少なくとも一つの親水性ポリマーが含まれていてもよい。親水性ポリマーを含む場合には、親水性ポリマーが多すぎると膜の強度が弱くなり良好な膜分離が行われないため、親水性ポリマーの割合が膜全体の15重量%以下であることことが好ましい。
吸着ユニットでは、吸着により溶質の一部がリガンドとの親和性に従って分離される。デキストランやアガロースなどからなるゲル、シリカやポリエチレンやアパタイトやポリメチルメタクリレートなどからなる粒子、フィルターあるいは中空糸などの担体に、抗体やそのフラグメント、ポリエチレンイミン、アミノメチルピリジン、ポリフェノール、ブルー色素、2価金属イオン(Zn2+, Ni2+, Co2+, Cu2+等)および疎水性化合物(メチル基、ベンジル基、フェニル基、クロロメチル基、オクチル基、ラウリル基等)からなる群より1種類以上選択される物質(リガンド)を固定化することにより、担体に溶質への親和性を付与できる。リガンドを固定化したゲルや粒子を充填したカラムやフィルターや中空糸を固定化したモジュールを少なくとも1つ含む回路が吸着ユニットを構成する。MS分析用の試料の前処理に使用する場合には、アルブミンをはじめとする、MS分析に不要なタンパク質を吸着除去する機能を付与することができる。抗体やそのフラグメントを用いる場合には、血液中で多量に存在するアルブミン、グロブリン、トランスフェリン、ハプトグロビン、α1−アンチトリプシン、アクチン、ミオシン、ケラチンの少なくともいずれか一つから選択されるタンパク質に対するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体あるいはそのフラグメントを用いることが特に好ましく、これらのタンパク質を除去することによって、血液中の微量成分のMS分析の感度を上昇させることができる。抗体やそのフラグメントは、先述のように膜に固定化してもよいが、回路内の移動相に添加するだけでもよい。抗体やそのフラグメントはある程度の分子量を持ったタンパク質であるので、膜の孔径を制御することによってによって膜分離除去できる。
本発明では、処理液量あたりの表面積が大きく、操作上の圧損が少ないという理由で特に中空糸が好ましく用いられる。本発明の中空糸膜を備えた濾過器(中空糸膜モジュール)は、タンパク質関係では従来より人工腎臓(透析カラム)として多く利用されているが、いずれもアルブミン等のタンパク質を漏れさせないように保持され、クレアチニンや尿素などの低分子成分を漏出させて中空糸内腔側を流れる血液を浄化する目的で使用される。一方、本発明においては、中空糸内腔側から漏出する画分を分析のために収集する方法で用い、中空糸内腔側にはアルブミン等の高分子量成分を保持しながら、主に分子量5kDa以下のタンパク質成分を漏出させる方法を取る。このような、目的と手法で中空糸を分画装置として用いるのは、本発明で初めて達成された。アルブミンとはヒト、ウシ、その他哺乳動物及び鳥類由来のアルブミンのことをいう。分子量が大きいとは、主にアルブミン(分子量6〜7万)より高分子量のタンパク質のことをいう。アルブミンより高分子量で
あるか否かはSDS-PAGE(sodium dodecylsulphate - polyacrylamide gel electrophoresis:ドデシル硫酸ナトリウムを含むポリアクリルアミドゲル電気泳動)という方法により判別可能である。
本発明の装置の濾過ユニットにおいては、中空糸膜モジュールを備えた回路が分離手段として好ましく用いられ、外部から供給された原液はまずこのユニットに送られる。前述のとおり処理量が高く、圧力損失が小さいという理由で中空糸膜がより好ましく用いられる。膜の分子分画性能に関しては、回収したい溶質の分子量と除去したい溶質の分子量を考慮して、分子分画能(カットオフ値)を適宜選択できる。この回路に送液ポンプが設置されていることが好ましく、ポンプによってカラム内の中空糸の中を処理液が循環出来る構造になっている。分離効率を上げるために多段構成にした場合には、複数個の回路を横に配列して、前段の中空糸カラムの濾液出口と後段回路とを送管で連結し、処理液が多段のカラムに順次送られ分離が繰り返し行われる。本発明の装置においては、滞留なく送液し最大の分離効率を得るために、多段の回路のそれぞれに送液ポンプが設置されていることが好ましい。これらのポンプは別々の駆動で運転されても良いし、同一の駆動で同軸運
転されても良いが、滞留なく送液し最大の分離効率を得るために、同一の流量を維持するように運転されることが好ましい。
本発明の装置において、濾過ユニットの最後段の濾液または吸着ユニットの素通り液は除水ユニットへと送られる。ここでいう「除水」とは水溶液中から水を除去することを指す。膜の分子分画性能に関しては、生理的食塩水中でペプチドを通過させない程度の分子分画能(カットオフ値:0.01〜0.5kDa以下)を有する膜か限外ろ過膜を用いる。除水ユニットにおいては、中空糸膜モジュールを含む回路が分離手段として好ましく用いられ、濾液ユニットから来た送管はこの回路に接続される。前述のとおり処理量が高く、圧力損失が小さいという理由で中空糸膜がより好ましく用いられる。この回路に送液ポンプが設置されていることが好ましく、ポンプによってカラム内の中空糸の中を処理液が循環出来る構造になっている。このポンプは、分離ユニットのポンプと別々の駆動で運転されても良いし、同一の駆動で同軸運転されても良いが、滞留なく送液し最大の分離効率を得るために、同一の流量を維持するように運転されることが好ましい。除水に使用される膜として
は、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミドナイロン、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンからなる群より1種類以上選択される素材を含むフィルターあるいは中空糸を用いることにより一層効率的に目的とする溶質成分を分離することができる。中空糸にはポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、およびこれらの共重合体の少なくとも一つの親水性ポリマーが含まれていてもよい。親水性ポリマーを含む場合には、親水性ポリマーが多すぎると膜の強度が弱くなり良好な膜分離が行われないため、親水性ポリマーの割合が膜全体の15重量%以下であることことが好ましい。フィルターや中空糸を固定化したモジュールを少なくとも1つ含む回路が除水ユニットを構成する。
本発明の装置において、濾過ユニット、吸着ユニットおよび除水ユニットに設置されているポンプは前段回路の濾液を送液する送管と回路の合流部分と、濾過器の移動相流入側との間に設置されていることが好ましい。移動相の流出側に設置されていると、濾過器前後で有効な圧力差が得られず、更には前段の濾過器の濾液出口に過剰な圧力をかけることになるため、分離・濃縮効率が著しく落ちる。
本発明の装置において、除水ユニットにおいて除水された液は回収容器を有する回収ユニットで回収されることが望ましい。回収ユニットにおいては除水ユニットに接続する送管と回収容器および送液ポンプを備えていることが好ましい。更に閉鎖系であるためには、除水ユニットに2本の送管が接続していることが好ましく、そのうちの1本の送管を通して回収容器の中の空気が送液ポンプにより除水ユニットに送られ、もう1本の送管を通して除水ユニット内の濃縮液が回収容器に回収される。
本発明の装置において、供給ユニットと濾過ユニットまたは吸着ユニットとの間、濾過ユニット、除水ユニット、回収ユニットに設置される送液ポンプは、別々の駆動で運転されても良いし、同一の駆動で同軸運転されても良い。同軸で運転する場合には、膜の分離・濃縮効率に応じて、各部分の運転速度およびシーケンスを適宜選択できる。
本発明の装置において、除水ユニットの濾液は送管を通して再び供給ユニットに返送される。この部分の送液については、前述の、供給ユニットと濾過ユニットまたは吸着ユニットとの間に設置した送液ポンプで制御されることが好ましい。
本発明の装置において、回路の送管はそれぞれ単独でも装着しえるが、装着の利便性と安定性の確保のために、供給ユニット、濾過ユニットまたは吸着ユニット、除水ユニット、回収ユニットを閉鎖回路が収納箱と圧搾板を一体化したカートリッジを構成していることが好ましい。カートリッジは送液ポンプのローラー駆動部に着脱可能で、ディスポーザブルであることがより好ましい。供給ユニット、濾過ユニットまたは吸着ユニット、除水ユニット、回収ユニット内の送液ポンプを設置すべき送管の一部をカートリッジ内からカートリッジ外壁に露出させて、露出した送管をポンプロータによって圧搾するのが最も好ましい。このとき濾過ユニットまたは吸着ユニット・除水ユニットの各中空糸膜モジュールのポートの方向は圧搾板にチューブを取り付ける方向と一致させる。また圧搾板にはチューブを圧搾する以外の面にカラムと同数の溝が形成されており、この溝にチューブを埋めることによってチューブの位置がしっかりと固定出来る。各カラムの両端ポートに接続されたチューブは圧搾板を介して、サンプル処理液が循環出来るようになっている。圧搾の精度を維持するためにチューブは支持体(機側)のより近くに位置していることが好ましい。精度が狂うとチューブが押さえつけられなくなり定量送りができなくなる。カートリッジを本体に簡便かつ正確に装着させるために、圧搾板にガイド穴を備え、このガイド穴をポンプ駆動装置のガイド軸に貫通させることで容易に装着が行われる。続いて、圧搾板を固定させることによって複数本のチューブが蠕動ローラーポンプの回転ローラーと適正な距離を保持させ、ローラーポンプを作動させることによって、複数本の中空糸カラム処理液は順次送液される。予め、複数本のカラムを収納した収納箱と圧搾板とを一体化してチューブを配管接続したものを用意しておけば、ローラーポンプ部分への装着と脱着はより簡便に行うことができる。
本発明における移動相は水または水溶液が好ましい。水溶液は、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、蟻酸アンモニウム、アセトニトリル、塩化ナトリウム、塩化カリウムの少なくとの一つを含有する。特に原液が体液であり、溶質がタンパク質である場合には移動相にpH緩衝液を用いることが好ましい。さらに本装置により得られる試料をMS分析装置に適用する場合には、分析を阻害しない揮発性の物質から構成される緩衝液を用いることが好ましく、例えば炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、ギ酸アンモニウムが好ましく用いられる。移動相の水溶液には、界面活性剤、乳化剤、有機溶媒、アルコール、エチレングルコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンイミン、アミノメチルピリジン、硫酸プロタミン、硫酸アンモニウム、ポリフェノール、ブルー色素、カオトロピック塩および疎水性化合物からなる群より1種類以上選択される物質を含むことにより、高分子成分のタンパク質の凝集による巨大分子化を促進し、吸着の促進や分画膜からの漏出を抑制し、高分子成分を効率的にカットオフし最終的な分離性能を向上させることができる。界面活性剤(両性界面活性剤や陰イオン性海面活性剤等)はタンパク質間の相互作用を抑制する効果があり、分子分画を効率的に行うことができる。
上記のリガンドの選択ならびに水溶液溶質の選択は、目的とするタンパク質群の分離の程度を勘案しながら行うことができる。
本発明の分画装置における各ユニットを接続する送管は柔軟な弾性体から成っていることが好ましく、シリコーン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、フッ素樹脂、天然ゴム、合成ゴムが好ましく用いれるが目的の生体成分の吸着が少ないという点でシリコーン樹脂、フッ素樹脂が特に好ましい。
本発明の濃縮液を採取する回収容器は目的の生体成分の吸着の少ない材質から成ることが好ましく、ポリプロピレン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂が好ましく用いられる。その他にもポリスチレン、ガラスなどの用いられるが、目的の生体成分の吸着を抑制するために内表面に吸着を抑制するための処理が施してあるものが好ましい。吸着を抑制するための処理とは、例えば親水性化処理であり、プラズマ処理や、親水性ポリマーのコーティングや表面グラフトがこれに相当する。
本発明は生体成分、特にヒトの血漿、血清、尿、唾液、涙液、脳脊髄液、腹水、胸水、羊水、リンパ液等からの生体分子の分離に適する。上記の各フィルターならびに中空糸カラムのサイズならびに還流液の流速は、原料とする血漿や尿等の生体材料の質と量に依存して適宜決められるが、いわゆる卓上サイズで実施する場合、血漿では1〜400mL好ましくは5〜100mLで実施され、流速は1〜20mL/min好ましくは2〜10mL/minで行われる。
本発明の分画装置に設置される回路の回路内容積は、大きすぎると装置自体が大きくなり運搬することが難しい。卓上サイズで運転者が容易に運搬・操作することができるためには回路内容積が1L以下であることが好ましく、更には500mL以下、とりわけ100mL以下がもっとも好ましい。
このようにして得られた分析検体は、液体クロマトグラフ、電気泳動、MS等の各種のタンパク質分析に有用であるが、特に好ましくは電気泳動やMSを用いたプロテオーム解析に有用である。
本装置の後に直接あるいは間接的に適用できるMSは特に限定されないが、イオン化部分として、電子スプレーイオン化型、大気圧イオン化型、高速原子衝突型、四重極型、サイクロトロン共鳴型、磁気セクター型、マトリックス支援レーザー破壊イオン化型などが、イオン補足型、飛行時間型、フーリエ変換型などの質量分析部と適宜組み合わせて用いられる。この場合、MS/MS、MSなどのタンデムMSやFT-MSとして用いることもできる。タンデムMSの場合は、全てのタイプのMSが適用可能であるが、特にイオン捕捉型、四重極−飛行時間(Q-TOF)型、FT-MSなどの組合せで使用することが効率がよい。
本装置との組み合わせによる分析により、各種微量タンパク質成分の構造情報を集めることができるが、それらはペプチド・マスフィンガープリント(peptide-mass fingerprint: PMF)のみならず、各ペプチドの一次構造情報(アミノ酸配列)も含まれる。
以下、本発明の水溶液中タンパク質成分を分離する方法およびタンパク質分画装置の一態様例について図を用いながら説明するが、本発明はこれに規定されるものではない。
(実施例1)
図1、2、3は、本発明の分画装置の一例の図である。図1は分離ユニットが3段階の回路によって構成されていることを示す。ここで使用されている中空糸膜は、ポリスルホン95%、ポリビニルピロリドン5%とからなる。ゴムボタン2bに3方継手2aと継手2cを接続した。フレキシブルなチューブ3を用いて継手2cと中空糸膜カラム5aの下ノズル6aを多チャンネル式圧搾板8の曲面に這うようにして接続した。更に、3方継手2aをチューブ付きバック12を接続した。分離ユニットを構成する中空糸膜カラム5a、5b、5cと、除水ユニットを構成する中空糸膜カラム5dと多チャンネル式圧搾板8とを一体化し、各中空糸膜カラム5a、5b、5c、5dの上端に備えた上ノズル4a、4b、4c、4dにフレキシブルなチューブを接続し、多チャンネル式圧搾板8の曲面に這うようにして各々のチューブを設置し、下ノズル6a、6b、6c、6dに各々接続した。次に、中空糸膜カラム5aの胴体ノズル7aと中空糸膜カラム5bの下ノズル6bとを、中空糸膜カラム5bの胴体下ノズル7bと中空糸膜カラム5cの下ノズル6cとを、中空糸膜カラム5cの胴体下ノズル7cと中空糸膜カラム5dの下ノズル6dとを各々配管接続した。中空糸膜カラム5dの胴体下ノズル7dと3方継ぎ手2aとを配管接続した。更に中空糸膜カラム5dの下ノズル6dと回収容器キャップ11とを、中空糸膜カラム5dの上ノズル4dと回収容器キャップ11とを接続した。回収容器10の回収容器キャップ11を密閉した。上記に記した全ての中空糸膜カラム、ノズル、チューブ、継手、チューブ付きバック、回収容器、回収容器キャップは閉鎖回路を形成した。この閉鎖回路内には移動相である水系の緩衝液が充填された。
図2に示すように、上記回路を収納箱13に収納しカートリッジCとした。装置14には多チャンネル式回転ローラー9が装備され(図3)、カートリッジおよび多チャンネル式圧搾板8のガイド穴はガイド軸8a、8bを貫通し、ガイド軸8a、8bに押し込むことによって固定された。固定されたカートリッジCは回転ローラー9の側に平行移動し、回転ローラー9と圧搾板8と圧搾板8の曲面に設置された7本のチューブにより送液ポンプを形成した。
図3に示すように、多チャンネル式回転ローラー9の上部にはシリンジポンプSが取り付けられた。多チャンネル式回転ローラー9にはモーターが各々取り付けられた。
液の流れを矢印で示した。血清などの原液を封入したシリンジ1の針を供給ユニットのゴムボタン2bに刺した後、検体はシリンジポンプによって制御された速度で投入された。投与された原液は移動相と混じり合いながら、モーターによって駆動される回転ローラー9aによって搬送されながら分離ユニットの中空糸膜カラム5aに送液された。モーターによって駆動される回転ローラー9bによって中空糸膜カラム5aを循環する間に生成した濾液は胴体ノズル7aから出て、後段の中空糸膜カラム5bに回転ローラー9bによって搬送された。中空糸膜カラム5bの濾液は、更に後段の中空糸膜カラム5cに搬送された。このように原液の溶質は分離ユニットを形成中空糸膜カラム5a、5b、5cで分画された。中空糸膜カラム5cの濾液は、除水ユニットの中空糸膜カラム5dに搬送された。中空糸膜カラム5dを循環する間に生成した濾液は胴体ノズル7aから出て継手2aを介して供給ユニットに返送された。中空糸膜カラム5cの濾液は、除水ユニットの中空糸膜カラム5dに搬送された。分離ユニットと除水ユニットにおける液の循環と送液は回転ローラー9bによって行われた。指定された時間が経過した後、回転ローラー9a、9bは停止し、モーターによって駆動される回転ローラー9cが始動した。これにより回収容器10内にある空気が除水ユニット内の回路にある濃縮液を押し出し、濃縮液は下ノズル6dを通り回収容器10に回収された。なお、図3におけるGa、Gbはそれぞれ図1、図2における8a、8bと同じである。
(実施例2)
実施例1の図1記載の分画装置(回路容積:20mL)を用いて血清の分画を行った。ヒト正常血清(SIGMA、No.H1388、lot.073K0445)を25mM炭酸水素ナトリウム水溶液(pH8.2)で4倍に希釈し、その4 mLを分画装置に0.2mL/分の速度でシリンジより投入した。濾過流量0.2 mL/分、中空糸膜カラムを循環させる循環流量5 mL/分、処理温度25℃の条件で2時間処理を行った後、回収容器に濃縮液1.8mLを得た。この回収液について、ヒト血清アルブミン(分子量:690,000)をAlbumin, Human, ELISA Quantitation Kit (BETHYL社)で、ヒトβ2ミクログロブリン(分子量:11,500)の濃度をグラザイムβ2-Microglobulin-EIA TEST(和光純薬)でそれぞれ測定した結果、回収液中の濃度はそれぞれ0.05 ug/mL、0.53 ug/mLであった。投入した血清中に含まれるアルブミンとβ2ミクログロブリンの総量に対する、回収液中に含まれるアルブミンとβ2ミクログロブリンの総量の割合を表す回収率は、それぞれ0.0004%、37.9%であり、2種類のタンパクを分画できた。
(実施例3)
実施例1の図1記載の分画装置(回路容積:20mL)の中空糸膜カラム5cを循環する循環回路の中に抗ヒト血清アルブミン抗体(SIGMA)を110ug添加して、血清の分画を行った。ヒト正常血清(SIGMA、No.H1388、lot.043K0497)をリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2)で4倍に希釈し、その4 mLを分画装置に0.2mL/分の速度でシリンジより投入した。濾過流量0.2 mL/分、中空糸膜カラムを循環させる循環流量5 mL/分、処理温度25℃の条件で2時間処理を行った後、回収容器に濃縮液1.5mLを得た。この回収液について、実施例2同様に、ヒト血清アルブミンとヒトβ2ミクログロブリン濃度をそれぞれ測定した結果、回収液中の濃度はそれぞれ1.7 ug/mL、0.4 ug/mLであった。投入した血清中に含まれるアルブミンとβ2ミクログロブリンの総量に対する、回収液中に含まれるアルブミンとβ2ミクログロブリンの総量の割合を表す回収率は、それぞれ0.0095%、20.8%であり、2種類のタンパクを分画できた。
供給ユニット、分離ユニット、供給ユニット、回収ユニットより成る送液回路、圧搾板、回転ローラーからなる送液ポンプシステムの一例であり、本発明の分画装置の機構を示す説明図である。 図1の回路を収納箱に収納してカートリッジとした様子を示す説明図である。 本発明の分画装置の一例を示す説明図である。
符号の説明
1 シリンジ
2 3方継ぎ手
2 ゴムボタン
2 継ぎ手
3 チューブ
4a 上ノズル
4b 上ノズル
4c 上ノズル
4d 上ノズル
5a 中空糸膜カラム
5b 中空糸膜カラム
5c 中空糸膜カラム
5d 中空糸膜カラム
6a 下ノズル
6b 下ノズル
6c 下ノズル
6d 下ノズル
7a 胴体下ノズル
7b 胴体下ノズル
7c 胴体下ノズル
7d 胴体下ノズル
8a ガイド軸
8b ガイド軸
9 多チャンネル式回転ローラー
9a 回転ローラー
9b 回転ローラー
9c 回転ローラー
10 回収容器
11 回収容器キャップ
12 チューブ付きバック
13 収納箱
14 分画装置

Claims (35)

  1. 体液または生体成分含有液から生体成分を分画する装置において、生体成分を膜分離する濾過ユニットと、生体成分を吸着する吸着ユニットから選ばれる少なくとも一つのユニットに、該濾過ユニットの濾液または該吸着ユニットの素通り液を除水するための除水ユニットが連続的に設置されており、体液または生体成分含有液を濾過ユニットまたは吸着ユニットの上流から投入して送液することによって生体成分を分画することを特徴とする分画装置。
  2. 前記濾過ユニットが、血清アルブミン以上の分子量を有する成分とそれ以下の分子量を有する成分とを膜分離する濾過ユニットであることを特徴とする請求項1記載の分画装置。
  3. 前記吸着ユニットが、500Da以上の分子量を有する少なくとも一つの成分を吸着する吸着ユニットであることを特徴とする請求項1記載の分画装置。
  4. 細胞を含有しない体液、または細胞を含有しない生体成分含有液を前記濾過ユニットと前記吸着ユニットから選ばれる少なくとも一つのユニットに投入することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分画装置。
  5. 濾過ユニットの濾液が吸着ユニットに送液されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分画装置。
  6. 吸着ユニットの素通り液が濾過ユニットに送液されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分画装置。
  7. 濾過ユニットにおける濾過処理または吸着ユニットにおける吸着処理と除水ユニットにおける除水処理とが連続的かつ同時になされることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の分画装置。
  8. 体液または生体成分含有液を投入するユニットと、その下流の濾過ユニットまたは吸着ユニットと除水ユニットと、さらに生体成分を回収するユニットとが回路を構成していることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の分画装置。
  9. 前記回路内に体液または生体成分含有液を希釈・搬送するための移動相が充填されてなることを特徴とする請求項8記載の分画装置。
  10. 移動相が水または水溶液であることを特徴とする請求項9記載の分画装置。
  11. 水溶液がリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸水素アンモニウム、酢酸アンモニウム、蟻酸アンモニウム、アセトニトリル、塩化ナトリウム、塩化カリウムの少なくとの一つを含有することを特徴とする請求項10記載の分画装置。
  12. 除水ユニットの濾液が、体液または生体成分含有液を投入するユニットの上流に返送されることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の分画装置。
  13. 除水ユニット内の濃縮された生体成分を回収するユニットが設置されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の分画装置。
  14. 除水ユニットの下流に生体成分を回収するユニットが設置されていることを特徴とする請求項13記載の分画装置。
  15. 回路が閉鎖回路であることを特徴とする請求項8〜14のいずれかに記載の分画装置。
  16. 回路内の容積が1L以下であることを特徴とする請求項8〜15のいずれかに記載の分画装置。
  17. 回路内の容積が500mL以下であることを特徴とする請求項8〜16のいずれかに記載の分画装置。
  18. 回路内の容積が100mL以下であることを特徴とする請求項8〜17のいずれかに記載の分画装置。
  19. 回路が、着脱可能なカートリッジに設置されていることを特徴とする請求項8〜18のいずれかに記載の分画装置。
  20. 体液または生体成分含有液がシリンジポンプで投入されることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の分画装置。
  21. 体液または生体成分含有液が送液ポンプで送液されることを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の分画装置。
  22. 濾過ユニットに設置されている膜が中空糸膜であることを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の分画装置。
  23. 限外濾過膜で除水することを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の分画装置。
  24. 限外濾過膜が中空糸膜であることを特徴とする請求項23記載の分画装置。
  25. 少なくとも1つの中空糸膜モジュールが濾過ユニットに設置されていることを特徴とする請求項1〜24のいずれかに記載の分画装置。
  26. 少なくとも1つの中空糸膜モジュールが除水ユニットに設置されていることを特徴とする請求項1〜25のいずれかに記載の分画装置。
  27. 中空糸膜モジュールを含む回路が多段に設置されてなる請求項25又は26記載の分画装置。
  28. 前段の中空糸膜モジュールの濾液が、後段の中空糸膜モジュールの中空糸内に移送されることを特徴とする請求項27記載の分画装置。
  29. 前段の中空糸膜モジュールの濾液が、後段の、中空糸膜モジュールを含む循環回路に移送されることを特徴とする請求項27又は28記載の分画装置。
  30. 膜の素材が、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミドナイロン、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンの少なくとも一つから選ばれる請求項1〜29のいずれかに記載の分画装置。
  31. 膜の素材が、セルロース、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアミドナイロン、ポリ弗化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンおよびポリプロピレンの少なくとも一つと、親水性ポリマーから成る請求項1〜29のいずれかに記載の分画装置。
  32. 親水性ポリマーがポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、およびこれらの共重合体の少なくとも一つから選ばれることを特徴とする請求項31記載の分画装置。
  33. 親水性ポリマーの割合が膜全体の15重量%以下であることを特徴とする請求項31又は32記載の分画装置。
  34. 抗体またはそのフラグメントで吸着する吸着ユニットであることを特徴とする請求項1〜33のいずれかに記載の分画装置。
  35. 抗体またはそのフラグメントがアルブミン、グロブリン、トランスフェリン、ハプトグロビン、α1−アンチトリプシン、アクチン、ミオシン、ケラチンの少なくともいずれか一つから選択されるタンパク質に対するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体またはそのフラグメントであることを特徴とする請求項34記載の分画装置。
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