JP4654551B2 - Ct装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、医療分野や工業分野の非破壊計測に用いられるCT装置に係り、特に、再構成画像を出力する際に発生する偽像を防止する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のX線CT装置として、図12示すように、被検体Mに向けてX線を照射するX線管41と、被検体Mを挟んでX線管41と対向配置されたフラットパネル形X線検出器42(以下、単に、「X線検出器42」という)とを備え、このX線管41とX線検出器42が同期して被検体Mの周りを矢印RA方向に回転するものがある。
【0003】
このX線CT装置に使用されるX線検出器42のサイズは、ガントリ開口Gの径が600mmであるのに対して17インチ正方のものが通常使用されている。そのため、被検体Mを透過してX線検出器42で検出するコーンビーム状のX線透過像は、被検体Mをガントリの中心部に載置したときに直径が240mm程度の大きさでなければならないようになっている。つまり、再構成視野の範囲が直径240mmで、この再構成視野Vに対応した広がりをもった透過X線がX線検出器42の全面で検出されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成を有する従来の装置には、次のような問題がある。
すなわち、従来のX線CT装置で再構成視野の範囲(径)が240mm(max)となる条件でもってCT撮像を実行し、X線検出器から得られた検出信号に基づく透過データでコンボリューション処理を実行して再構成画像を出力すると偽像が発生してしまうといった問題がある。
【0005】
例えば、図12に示すように、患者である被検体MについてCT撮像する場合、実際全身スキャンを実行する。このとき、被検体Mの胴体部分は略再構成視野Vに収まるものの、腕部分M1などが再構成視野Vからはみ出してしまう。
【0006】
このような状態でコンボリューション処理を実行する場合、X線検出器42の端部で検出された透過データには、再構成視野から外れて腕部分M1などの一部分を透過して得られる透過データを利用しなければデータ不足により偽像が発生してしまう。
【0007】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、再構成視野から外れる部分の不足しがちなデータを補充して再構成画像に偽像が発生しないCT装置を提供することを主たる目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、請求項1に記載の発明は、(a)天板に載置した被検体に向けて透過性を有する電磁波を末広がりビーム形状にして照射する照射手段と、(b)前記被検体を挟んで前記照射手段に対向配置され、被検体を透過した電磁波を検出する複数個の検出素子を備えた検出手段と、(c)前記電磁波が前記被検体の周りを走査するように、前記照射手段と前記検出手段とを前記被検体の周りに相対的に回転移動させる第1駆動手段とを備えたCT装置において、前記検出手段は、(d)再構成視野をカバーする広がりをもった電磁波を検出する主検出器と、(e)前記主検出器を外れて透過した電磁波を検出するサブ検出器とを備え、かつ前記サブ検出器は前記主検出器よりも前記照射手段側または前記照射手段から見て前記主検出器の背部に配置され、前記主検出器と前記サブ検出器の検出素子の密度はそれぞれ一定であり、前記サブ検出器の検出素子の密度が前記主検出器のそれよりも小さいことを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のCT装置において、(f)前記主検出器と前記サブ検出器との各検出素子が、2次元配列されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のCT装置において、(h)前記照射手段と前記検出手段とを被検体の周りに相対的に回転移動させる最中、照射手段から照射される電磁波の中心軸が撮影対象である関心領域の中心を通って、主検出器の検出面の中心点に入射するように、被検体の3次元の位置を予め調節する第2駆動手段を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のCT装置において、(i)前記照射手段と前記検出手段とを被検体の周りに相対的に回転移動させる最中、照射手段から照射される電磁波の中心軸が撮影対象である関心領域の中心を通って、主検出器の検出面の中心点に入射するように、主検出器を変位させる第3駆動手段を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、(j)前記照射手段と前記検出手段の組と、前記被検体とを相対的に移動させて、前記電磁波が前記被検体の周りを螺旋走査するように前記第1駆動手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
〔作用〕
請求項1に記載の発明の作用は次のとおりである。
すなわち、再構成視野をカバーする広がりをもった電磁波を主検出器によって検出して得られる透過データでは不足しがちなデータが、サブ検出器によって検出される主検出器から外れる電磁波に基づいて補充される。つまり、再構成画像処理を実行する際、透過データの不足による偽像の発生が防止される。
【0015】
また、サブ検出器の検出素子の密度が、主検出器の密度よりも小さいので、検出されるデータの数が少なくなる、結果、演算処理の高速化が図れるとともに、検出器自体の構成の簡素化を図れ、安価に構成することができる。
【0016】
また、請求項2に記載の発明によれば、主検出器とサブ検出器の検出素子を2次元配列することによって、被検体の広い範囲の透過データが得られる。
【0018】
また、請求項3に記載の発明によれば、照射手段から照射される電磁波の中心軸が撮影対象である関心領域の中心を通って、主検出器の中心点に常に入射するように、予め被検体の3次元の位置が決定されるので、主検出器がカバーする広い関心領域の透過データが安定して収集される。
【0019】
また、請求項4に記載の発明によれば、照射手段と両検出器とを被検体の周りに同期して回転走査する最中、照射手段から照射される電磁波の中心軸が撮影対象である関心領域の中心を通って、主検出器の中心点に入射するように主検出器の回転移動が実行される。つまり、ガントリ開口に配置された被検体の偏心した関心領域の透過データが安定して主検出器で収集される。
【0020】
また、請求項5に記載の発明によれば、被検体の回転中心軸の周りに照射手段と両検出器の組と、被検体とを相対的に移動させて電磁波が被検体の周りに螺旋走査することによって、回転中心軸方向の広い領域での再構成画像が得られる。
【0021】
【発明の実施の形態】
<第1実施例>
以下、図面を参照してこの発明の一実施形態を説明する。
図1はこの発明のCT装置の一実施例として、X線CT装置を例に採って説明する。図1はこの実施例のX線CT装置の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
この実施例装置は、種々の情報および命令を入力する操作部10と、これら入力された情報および命令に基づいてX線撮影を制御する撮影制御部20と、この撮影制御部20により制御されながら撮像部40を動作させる回転駆動部30と、被検体Mの撮影対象である関心領域を撮影する撮像部40と、撮像部40のX線管のX線照射を制御する照射制御部50と、天板の移動を行なう天板駆動部60と、撮像部40の回転リングに傾きを持たせるガントリ傾斜駆動部70と、撮像部40から検出されたX線透過像のX線検出信号をデジタル信号に変換し、画像情報として収集するデータ収集部(DAS)80と、このデータ収集部80から出力されるデジタル信号に基づいて被検体の関心領域の画像再構成を行ない、再構成された画像情報を記憶するデータ処理部90と、このデータ処理部90に記憶された画像情報を出力表示するモニタ100とを備えている。
【0023】
以下、各部の構成および機能について具体的に説明する。
図2は、この実施例のX線CT装置におけるX線管41とX線検出器42(42A,42B)との一走査形態を示す概略平面図である。つまり、図2に示すように、被検体Mを挟んで、被検体Mの再構成視野Vのほぼ中心に設定される回転中心軸O周りに、X線管41とX線検出器42とを相対的に回転移動させ、被検体Mの周りにX線を一回転走査して撮影する。結果、被検体Mの体軸周り略1回転分の透過像を取得する。
【0024】
操作部10からは、被検体Mの再構成視野Vを撮影する前に、X線管41からX線検出器42までの距離や、X線管41およびX線検出器42を円形に回転移動させるその円形方向への移動ピッチや、被検体Mの位置などが予め設定入力される。なお、この操作部10としては、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置が用いられる。なお、X線管41は、この発明における照射手段に相当する。
【0025】
撮影制御部20には、操作部10、回転駆動部30、照射制御部50、天板駆動部60、ガントリ傾斜駆動部70、データ処理部90、およびモニタ100とが接続されている。そして、撮影制御部20は、操作部10より設定入力された各情報に基づいて、接続された各部のそれぞれを総括的に制御している。なお、各部の制御については後述する。
【0026】
回転駆動部30は、図2に示すように、被検体Mを挟んで対向配置されるX線管41とX線検出器42(42A,42B)を、被検体Mの再構成視野Vのほぼ中心に設定される回転中心軸O周りに、相対的に回転移動させながら走査させるものである。このとき、被検体Mに向けてX線管41から照射されるコーンビーム状のX線の中心軸が、関心領域の中心位置に合わされた再構成視野Vの中心Oを通り、X線検出器42の検出面の中心点Fに垂直に入射されるように、X線管41とX線検出器42とを対向させている。なお、回転駆動部30は、この発明における第1駆動手段に相当する。
【0027】
次に、この実施例装置の特徴的な構成を有する撮像部40について説明する。
撮像部40は、図1および図2に示すように、被検体Mに向けてコーンビーム状のX線を照射するX線管41と、被検体Mを透過したX線透過像を検出するX線検出器42(42A,42B)とが、天板Tに載置した被検体Mの周りに相対的に回転移動する構成となっている。また、撮像部40は、ガントリ43に備えられている。
【0028】
つまり、撮像部40は、X線管41とX線検出器42が固定されている回転リング44と、プーリ45aおよびベルト45bからなるリング回転機構45とが設けられており、回転駆動部30のコントロールにより、リング回転機構45が回転リング44を回すのに伴って、X線管41とX線検出器42(42a、42b)とが被検体Mの周りを相対的に回転移動する。なお、この回転移動は、この発明の制御手段に相当する撮影制御部20からの出力信号によって回転駆動部30の制御によって行なわれている。
【0029】
また、X線検出器42は、フラットパネル型X線検出器42A(以下、適宜「主検出器42A」という)と、この主検出器42Aの回転方向の前後にサブ検出器としての多チャンネル式X線検出器42B(以下、適宜「サブ検出器42B」という)とが一体形成された構成となっている。
【0030】
X線検出器42Aは、図示しないが多数の検出素子が縦横に配列されている2次元マトリックスのX線検出器であって、X線管41によるX線照射によって生じる被検体MのX線透過像を検出してX線検出信号としての電気信号に変換して出力するようになっている。この検出素子は、例えば、そのサイズが160μmの正方格子であり、その配列は横方向1024,縦方向1024の正方マトリックスとなるものなどが挙げられる。
【0031】
また、サブ検出器42Bは、図4に示すように、主検出器42Aから遠ざかる方向、つまり、矢印RAおよびRBで示すX線検出器42(42A、42B)の回転方向に向かうにつれて検出素子のサイズが大きくなるように構成されている。また、サブ検出器42Bは、図2に示すように、ガントリ開口Gに対応した広がりをもったX線を検出する大きさになっており、X線管41によるX線照射によって生じる被検体MのX線透過像を検出してX線検出信号としての電気信号に変換して出力するようになっている。
【0032】
つまり、このサブ検出器42Bで検出されるX線透過像の電気信号としての透過データは、この検出器42Bで検出された被検体Mの再構成画像を出力するための精度を要求するものではなく、主検出器42Aから出力する再構成画像用に利用する再構成視野Vの透過データを補完するために取得するものである。したがって、サブ検出器42Bからの透過データ数は、コンボリューション処理の際に補完処理でもって再構成視野Vの出力画像部分に偽像が発生しない程度のものであればよい。
【0033】
次に、サブ検出器42Bの検出素子の構成について具体的に説明する。
サブ検出器42Bにおける検出素子の配列・密度として、例えば検出素子サイズの調整が挙げられる。この場合の検出素子サイズの決定は、主検出器42Aからの距離とコンボリューション処理の関数値とに関係する。つまり、図6に示すように、コンボリューション関数値CVの変化量は、主検出器42Aからの距離rの3乗分の1に依存することとなる。すなわち、コンボリューション関数CVの変化量が一定となる距離ピッチは、逆に主検出器42Aからの距離rの3乗に比例することとなる。
【0034】
例えば、再構成視野の範囲(径)が240mmであり、この再構成視野をカバーする広がりをもったX線透過像を主検出器42Aの全面で検出する場合、図6に示すように、主検出器42Aから20mmの範囲(領域E0)は主検出器42Aと同じサイズ(160μm)の検出素子を2次元配列する。そして、この検出素子が配列された領域E0から順番に遠ざかる領域E1、E2、E3、E4・・・については、検出素子のサイズが1mm、8mm、27mm、64mm・・・となるように検出素子を配列することがきる。
【0035】
なお、図6で領域E0の検出素子の密度およびサイズを主検出器42Aと同じに設定している理由は、コンボリューションプロファイルを作成して再構成画像を出力するとき、再構成視野Vの境界部分にあたる出力画像の精度を保つことが好ましいからである。
【0036】
なお、サブ検出器42Bの検出素子の配列・密度は、この形態に限定されるものではない。
【0037】
次に、照射制御部50は、高電圧発生器などを含み、撮像制御部により、管電圧・管電流などの設定照射条件に従ってX線管41から被検体Mにコーンビーム状のX線を照射する構成となっている。
【0038】
天板駆動部60は、図3に示すように、天板Tが被検体Mを載せたままガントリ開口G内で3次元の位置を調整するようになっている。つまり、天板駆動部60は、操作部10からの入力情報によって撮影制御部20から送出される命令信号に基づいて、被検体Mに向けてX線管41から照射されるコーンビーム状のX線の中心軸が、関心領域の中心位置に合わされた再構成視野Vの中心Oを通り、X線検出器42の検出面の中心点Fに垂直に入射されるように、ガントリ開口G内の所定の位置に予め被検体Mを移動させるものである。
【0039】
ガントリ傾斜駆動部70は、回転リング44に傾斜角度を持たせ、被検体Mに向けて照射するX線管41からのコーンビーム状のX線の照射角度を変更するようになっている。
【0040】
次に、データ収集部80は、両検出器42A、42Bで検出されたX線透過像の透過データをデジタル変換してデータ処理部90に送るようになっている。
【0041】
データ処理部90は、さらにコンボリューションプロファイル作成部91(以下、適宜「CVP作成部91」という)と、再構成処理部92、および画像記憶部93とを備えている。
【0042】
CVP作成部91は、データ収集部80から送られてきた主検出器42Aとサブ検出器42Bからの透過データに基づいて、再構成視野Vと一致する関心領域の画像を再構成するためのコンボリューションプロファイル(以下、適宜に「CVP」という)を作成するようになっている。なお、この作成方法については後述する。
【0043】
再構成処理部92は、CVP作成部91で得られたプロファイルに基づいて、画像を再構成するようになっている。
【0044】
画像記憶部93は、再構成処理部92で作成された再構成画像を逐次記憶するようになっている。なお、この記憶されている画像データは、オペレータの操作により、適時に読み出されモニタ100に表示されるようになっている。
【0045】
モニタ19は、撮像系がCT撮像モードで駆動された場合には、画面にX線CT画像が映し出され、透過撮像モードで駆動された場合には、X線透過画像が映し出され、さらに、入力手段である操作卓17やマウス18などをオペレータが操作することによって適宜に各種情報類の切り替え表示が可能になっている。
【0046】
次に、上述の実施例装置を用いて再構成視野Vの再構成画像を得るための手順について説明する。
オペレータは、操作部10を操作して、X線管41から照射したコーンビーム状のX線の中心軸が天板Tに載置した被検体Mの関心領域の中心位置に合わされた再構成視野Vの中心Oを通り、主検出器42Aの検出面の中心点Fで常に検出されるように天板Tの移動調整を行ない、CT撮影を実行する。
【0047】
このとき、図6aに示す主検出器42Aとサブ検出器42BとからなるX線検出器42から得られた透過データは、図6bに示すようになる。
つまり、主検出器42Aおよび主検出器42Aと同じ検出素子のサイズを有するサブ検出器42Bの部分からは、●印で示すように多数の詳細データが得られる。
【0048】
また、検出素子のサイズが大きくなるサブ検出器42Bの部分から得られる透過データは、○印で示すように●印で示したデータ数よりも少ないデータが得られることとなる。
【0049】
ここでサブ検出器42Bから得られた透過データが主検出器42Aの検出素子のサイズで得たデータ数と同じになるように、補完処理を行って補完データを求める。つまり、図6の△印で示す部分が補完データとして求まる。
【0050】
そして、補完処理した後の主検出器42Aとサブ検出器42Bとの透過データから、図6cに示すコンボリューション処理に使う関数を求める。
求まった関数から画像として再構成出力するため再構成視野VのCVPを作成する。つまり、図6dに示すCVPが作成される。
【0051】
CVP作成部91で上述の手順によって得られたCVPに基づいて、再構成処理部92で再構成視野Vの画像が再構成され、画像記憶部93に記憶される。
【0052】
上述のように、主検出器42Aの回転方向の前後にサブ検出器42Bを備えることによって、コンボリューション処理の際、従来の装置では再構成視野Vからはみ出て不足していた部分の透過データが補充される、結果、透過データ不足により発生する偽像を防止することができるとともに、従来装置よりも広い再構成視野の画像を実質得ることができる。
【0053】
また、サブ検出器42Bの検出素子のサイズおよび密度を主検出器42Aのものよりも大きく(サイズ)、または小さく(密度)構成することができるので、構成を簡素化することができるとともに、安価にできる。
【0054】
<第2実施例>
この第2実施例のX線CT装置について図面を参照しながら説明する。
なお、第2実施例の装置では、先の第1実施例と異なる部分について説明し、共通する部分には同一符号を付すに留め説明を省略する。
【0055】
この実施例のX線CT装置は、図7に示すように、主検出器42Aと、この主検出器42Aの背部に主検出器42Aを覆うように主検出器42Aの回転方向に横長のサブ検出器42Bを備えている。
【0056】
主検出器42Aは、多数の検出素子が縦横に配列されている2次元マトリックスのフラットパネル型X線検出器であって、X線管41によるX線照射によって生じる被検体MのX線透過像を検出してX線検出信号としての電気信号に変換して出力するようになっている。検出素子の配列は、例えば、素子サイズが160μmで横方向1024,縦方向1024の正方マトリックスのものが挙げられる。
【0057】
また、主検出器42Aは、図8に示すように、スライド機構46を備えており、撮影制御部20から送出される信号に応じて主検出器駆動部33が制御されてガントリ43内に円周状に設けられたガイドレール47の上を移動するようになっている。つまり、主検出器42Aとサブ検出器42Bとは独立駆動するように構成されている。特に、主検出器42Aは、走査時にサブ検出器42Bの幅方向(回転移動方向)の範囲内で変位するように構成されている。
【0058】
すなわち、走査時に被検体Mに向けてX線管41から照射されるコーンビーム状のX線の中心軸が、図7に示すように、関心領域の中心位置に合わされた再構成視野Vの中心Oを通り、主検出器42Aの検出面の中心点Fに常に垂直に入射するように、サブ検出器42Bで覆われる範囲内の前後で主検出器42Aが変位する。このとき、X線管41とサブ検出器42Bとは同期をとり、対向しながら回転移動する。なお、主検出器駆動部33は、この発明の第3駆動手段に相当する。
【0059】
次に、サブ検出器42Bは、主検出器42Aと同様に多数の検出素子が縦横に配列されている2次元マトリックスの多チャンネル式X線検出器である。このサブ検出器42Bの検出素子の配列には、素子サイズが1.0〜64mmの範囲で正方または縦長のものが適時に選択されて使用される。
【0060】
サブ検出器42Bの大きさは、ガントリ開口Gに対応した広がりをもった透過X線を検出する程度のものが好ましい。
【0061】
次に、上述の実施例装置を用いて再構成視野Vの再構成画像を得るための手順について説明する上述の構成を有する実施例装置からは、図9に示すように、主検出器42Aで検出されたX線検出信号に透過データと、主検出器42AによってX線が遮蔽された部分(図9の斜線部分)を除くサブ検出器42Bで検出されたX線検出信号に基づく透過データとがデータ処理部90に入力される。この入力された透過データに基づいてCVP作成部91で再構成視野V用のCVPが作成されるようになっている。
【0062】
CVP作成後は、先の各実施例と同じ方法により再構成視野Vに一致した関心領域の再構成画像が再構成処理部92で作成され画像記憶部93に記憶される。
【0063】
<第3実施例>
この第3実施例のX線CT装置について図面を参照しながら説明する。
なお、第3実施例の装置では、先の第1実施例と異なる部分について説明し、共通する部分については同一符号を付すに留め説明を省略する。
【0064】
この実施例のX線CT装置は、図10に示すように、X線検出器42Aの回転方向に横長のサブ検出器42Bが主検出器42Aの前段に配備されている。
【0065】
このサブ検出器42Bは、内部にキセノンガス(Xe)が充填されているとともに、2次元マトリックス状に配列された電極を備えた電離箱によって構成されている。また、各電極間のピッチは、主検出器42Aの検出素子のピッチよりも広く、主検出器42Aの検出素子のサイズよりも大きなものとなっている。さらに、このサブ検出器42Bは、被検体Mを透過したX線のうち一部を検出し、残りのX線はそのまま透過させるようになっている。サブ検出器42BのX線の検出効率は、例えば、透過X線の1%以下となるものが挙げられる。
【0066】
なお、このサブ検出器42Bの大きさは、ガントリ開口Gに対応した広がりをもった透過X線を検出する程度のものが好ましい。
【0067】
そして、主検出器42Aとサブ検出器42Bとは、X線管41から照射されるコーンビーム状のX線の中心軸が、関心領域の中心位置に合わされた再構成視野Vの中心Oを通り、X線が主検出器42Aの検出面の中心点Fに垂直に入射して検出されるように回転駆動部30によって、X線管41と一緒に回転移動する。なお、主検出器42Aとサブ検出器42Bの移動は、両検出器42A、42Bの位置を固定して回転移動させる構成であってもよいし、第2実施例のようにサブ検出器42Bの幅方向内で主検出器42Aが変位するような構成のものであってもよい。
【0068】
次に、上述の実施例装置を用いて再構成視野Vの再構成画像を得るための手順について説明する。
上述の構成を有する実施例装置から得られたX線検出信号に基づく透過データは、データ収集部80を介してデータ処理部90に入力される。この入力されたデータに基づいてCVP作成部91で再構成視野V用のCVPが作成される。
【0069】
CVPの作成は、例えば、サブ検出器42Bで検出された透過データのうち主検出器42Aで得られた透過データと重複する部分については使用せず、残りの部分の透過データと、主検出器42Aの透過データとを利用して行なう。なお、この実施例装置のCVP作成の方法は、この形態に限定されるものではない。
【0070】
CVP作成後は、先の各実施例と同じ方法により再構成視野Vの再構成画像が再構成処理部92で作成され、画像記憶部93に記憶される。
【0071】
この発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、以下のように変形実施することができる。
(1)上記各実施例装置では、X線が被検体Mの周りに走査するようにX線管41と両検出器42A、42Bとが、被検体Mの周りを回転移動していたが、この実施の形態に限定されるものではない。例えば、図11に示すように、検査対象物M1を載せた載置台が回転するような形態であってもよい。つまり、非破壊計測用として好適に利用することができる。
【0072】
(2)上記各実施例装置では、被検体Mの回転中心軸の周りにX線検出器41と両検出器42A、42Bを回転移動させていたが、この形態に限定されるものではなく、例えば、被検体Mの周りをX線が螺旋走査するようにX線管41と両検出器42A、42Bの組と、被検体Mとを相対的に回転移動させる構成のものであってもよい。
【0073】
なお、走査時は、X線管41から照射されるコーンビーム状のX線の中心軸が再構成視野Vの中心、つまり螺旋走査に伴って天板Tに載置された被検体Mが移動する方向に延伸した再構成視野の中心軸を通って、主検出器42Aの検出面の中心点に垂直に検出されるようになっている。
【0074】
(3)上記各実施例装置では、サブ検出器42Bの検出素子が隣接するように2次元配列していたが、この形態に限定されるものではなく、隣接せず所定の間隔で検出素子が1次元または2次元状(例えば、図4の42B部分を参照)に配列したものであってもよい。
【0075】
(4)上記各実施例装置では、X線管41から照射されるコーンビーム状のX線の中心軸が、関心領域の中心位置に合わされた再構成視野Vの中心Oを通り、主検出器42Aの検出面の中心点Fに垂直に検出されるように走査していが、この形態に限定されず、単純にガントリ43の中心を軸にX線管41と両検出器42A、42Bを被検体Mの周りに対向させて移動するような構成であってもよいし、再構成視野Vの中心Oと関心領域の中心の位置とが必ずしも合わされたものでなくてもよい。
【0076】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、サブ検出器を備えることによって、主検出器のみで検出した透過データを用いてコンボリューション処理を実行したときに発生するCVPの誤差を再構成視野から外れた領域の透過データを用いて修復することができる。すなわち、偽像の発生を防止することができるとともに、従来装置の再構成視野よりも広い範囲の再構成画像の出力を実現することができる。
【0077】
また、サブ検出器の検出素子の密度が、主検出器のものより小さいので、構成を簡素化することができるとともに、安価にできる。
【0078】
また、請求項2に記載の発明によれば、主検出器とサブ検出器の検出素子を2次元配列することによって、被検体の広い範囲の透過データを得ることができる。
【0080】
また、請求項3に記載の発明によれば、照射手段と両検出器とを被検体の周りに同期して回転走査する最中、照射手段から照射される電磁波の中心軸が撮影対象である関心領域の中心を通って、主検出器の中心点に常に入射するように予め被検体の3次元の位置を決定することによって、主検出器がカバーする関心領域の透過データを安定して収集することができ、偽像の発生を一層防止することができる。
【0081】
また、請求項4に記載の発明によれば、照射手段と両検出器とを被検体の周りに同期して回転走査する最中、照射手段から照射される電磁波の中心軸が撮影対象である関心領域の中心を通って、主検出器の中心点に入射するように主検出器を変位させることによって、ガントリ開口に配置された被検体の偏心した関心領域の透過データを安定して収集することが可能となり、偽像の発生を一層防止することができる。
【0082】
また、請求項5に記載の発明によれば、螺旋走査を実行することによって、広い関心領域の再構成画像データを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のX線CT装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施例のX線CT装置の走査形態を示す概略平面図である。
【図3】天板の移動を示した模式図である。
【図4】サブ検出器の検出素子の配列を示した構成図である。
【図5】サブ検出器の検出素子のサイズを決めるための模式図である。
【図6】コンボリューションプロファイル(CVP)を作成するときの模式図であって、(a)プロファイル処理に使用する検出器の図、(b)両検出器で検出されたデータに基づきサブ検出器のデータを補完処理したときのデータ分布を示す図、(c)コンボリューション関数を示した図。(d)演算処理により求まったCVPを示す図である。
【図7】第2実施例のX線CT装置の走査形態を示す概略平面図である。
【図8】主検出器の移動を示した模式図である。
【図9】X線の検出状況を示した図である。
【図10】第3実施例の両検出器の配置およびX線の検出状況を示した図である。
【図11】変形例のX線CT装置の走査形態を示した斜視図である。
【図12】従来例のX線CT装置の要部構成を示した概略平面図である。
【符号の説明】
G … ガントリ開口
M … 被検体
T … 天板
V … 再構成視野
10 … 操作部
20 … 撮像制御部
30 … 回転駆動部
41 … X線管
42 … X線検出器
42A… 主検出器
42B… サブ検出器
70 … 天板駆動部
90 … データ処理部
91 … CVP作成部(コンボリューションプロファイル)
92 … 再構成処理部
93 … 画像記憶部
Claims (5)
- (a)天板に載置した被検体に向けて透過性を有する電磁波を末広がりビーム形状にして照射する照射手段と、(b)前記被検体を挟んで前記照射手段に対向配置され、被検体を透過した電磁波を検出する複数個の検出素子を備えた検出手段と、(c)前記電磁波が前記被検体の周りを走査するように、前記照射手段と前記検出手段とを前記被検体の周りに相対的に回転移動させる第1駆動手段とを備えたCT装置において、前記検出手段は、(d)再構成視野をカバーする広がりをもった電磁波を検出する主検出器と、(e)前記主検出器を外れて透過した電磁波を検出するサブ検出器とを備え、かつ前記サブ検出器は前記主検出器よりも前記照射手段側または前記照射手段から見て前記主検出器の背部に配置され、前記主検出器と前記サブ検出器の検出素子の密度はそれぞれ一定であり、前記サブ検出器の検出素子の密度が前記主検出器のそれよりも小さいことを特徴とするCT装置。
- 請求項1に記載のCT装置において、(f)前記主検出器と前記サブ検出器との各検出素子が、2次元配列されていることを特徴とするCT装置。
- 請求項1または請求項2に記載のCT装置において、(h)前記照射手段と前記検出手段とを被検体の周りに相対的に回転移動させる最中、照射手段から照射される電磁波の中心軸が撮影対象である関心領域の中心を通って、主検出器の検出面の中心点に入射するように、被検体の3次元の位置を予め調節する第2駆動手段を備えたことを特徴とするCT装置。
- 請求項1または請求項2に記載のCT装置において、(i)前記照射手段と前記検出手段とを被検体の周りに相対的に回転移動させる最中、照射手段から照射される電磁波の中心軸が撮影対象である関心領域の中心を通って、主検出器の検出面の中心点に入射するように、主検出器を変位させる第3駆動手段を備えたことを特徴とするCT装置。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のCT装置において、(j)前記照射手段と前記検出手段の組と、前記被検体とを相対的に移動させて、前記電磁波が前記被検体の周りを螺旋走査するように前記第1駆動手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とするCT装置。
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