JP4652516B2 - ピラン誘導体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は機能性有機化合物に関するものであり、とりわけ、光化学的重合、色素レーザー及び電界発光において有用な新規ピラン誘導体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報化時代に入って、光化学的重合が多種多様の分野で頻用されるようになり、今では、その用途は、合成樹脂の分野を越えて、塗料、印刷用刷版、印刷回路、集積回路などの情報記録や電子機器の分野にまでおよぶようになった。光化学的重合は、重合性化合物を光照射によって重合させる技術であって、大別すると、重合性化合物に直接光照射し、活性化させることによって重合を開始する光重合と、重合性化合物に光増感剤を共存せしめた状態で光照射し、光増感剤の成長活性種を生成させることによって重合性化合物を重合させる光増感重合とがある。いずれの光化学的重合も、重合の開始及び停止が励起光の点滅によって制御可能であり、また、励起光の強度や波長を選択することによって重合速度や重合度を容易に制御できる特徴がある。しかも、光化学的重合は、一般に、重合開始のエネルギーが低いために、低温でも重合が可能である。
【0003】
印刷用刷版やホログラフィーなどの情報記録の新展開に伴い、現在では、光化学的重合のこのような利点が買われて、アルゴンイオンレーザー、ヘリウム・ネオンレーザー、YAGレーザーの第二高調波などの可視光を照射することによって重合させることのできる光重合性組成物の需要が急速に高まりつつある。しかしながら、光重合性組成物に配合される通常の重合性化合物や重合開始剤は紫外線だけを吸収するので、斯かる組成物を可視光で重合させようとすると、光増感剤が不可欠の技術要素となる。したがって、情報記録や電子機器に用いられる光重合性組成物においては、重合性化合物とともに、光増感剤、重合開始剤、バインダー樹脂などが組合せて配合され、用途に応じて、これらを多種多様の材料のなかから選択することとなる。一般的には、先ず、光増感剤以外の材料を選択し、次いで、その選択された重合性化合物及び/又は重合開始剤を増感し得る光増感剤を試行錯誤的に選択する方法が採用される。
【0004】
光増感剤に望まれる特性としては、可視領域における分子吸光係数が大きいこと、諸種の重合性化合物や重合開始剤を増感し得ること、増感効率が高いこと、溶剤に対する溶解性と他の配合剤との相溶性に優れていること、そして、安定であることが挙げられる。代表的な光増感剤としては、例えば、特開昭54−151024号公報に開示されたメロシアニン色素、特開昭58−29803号公報に開示されたシアニン色素、特開昭59−56403号公報に開示されたスチルベン誘導体、特開昭63−23901号公報に開示されたクマリン誘導体、特開平6−329654号公報に開示されたピラン誘導体及び特開昭64−33104号公報に開示されたメチレンブルー誘導体などが挙げられるが、これらはいずれも一長一短があり、多種多様の材料からなる光重合性組成物にあって、前述のような諸特性を常に発揮し得るようなものは未だ見出されていない。
【0005】
光に対する感受性を有する有機化合物、とりわけ、発光能を有する有機化合物は、色素レーザーや電界発光の分野においても有用である。
【0006】
色素レーザーの分野においては、例えば、五十嵐香、『色材協会誌』、第70巻、第2号、102乃至111頁(1997年)に述べられているように、1960年代に色素レーザーの発振が報告されて以来、可視領域に発光能を有する化合物が精力的に探索されてきた。情報記録技術の発展に伴い、長波長域の光、とりわけ、可視領域に発光能を有する化合物の需要はますます高まりつつある。
【0007】
一方、情報表示の分野においては、電界発光素子(以下、「EL素子」と言う。)が次世代の表示素子として脚光を浴びている。現在、コンピューター端末機やテレビジョン受像機などの比較的大型の情報表示機器においては、主として、ブラウン管が用いられている。しかしながら、ブラウン管は体積、重量ともに大きく、動作電圧も高いので、民生用機器や携帯性を重視する小形の機器には適さない。小形機器には、もっと薄く、軽量の平板状であって、動作電圧が低く、消費電力の小さいものが必要とされている。現在では、液晶素子が動作電圧が低く、消費電力の比較的小さい点が買われて、多方面で頻用されている。しかしながら、液晶素子を用いる情報表示機器は、見る角度によってコントラストが変わるので、ある角度の範囲で読み取らないと明瞭な表示が得られないうえに、通常、バックライトを必要とするので、消費電力がそれほど小さくならないという問題がある。これらの問題を解決する表示素子として登場したのが有機電界発光素子、すなわち、有機EL素子である。
【0008】
有機EL素子は、通常、陽極と陰極との間に発光剤を含有する薄膜を介挿してなり、その陽極と陰極との間に直流電圧を印加して薄膜に正孔及び電子をそれぞれ注入し、それらを互いに再結合させることによって発光剤の励起状態を作出し、その励起状態が基底状態に戻るときに放出される蛍光や燐光などの発光を利用する発光素子である。有機EL素子は、適切なホスト発光剤を選択するとともに、そのホスト発光剤に組合せるゲスト発光剤(ドーパント)を変更することにより、発光の色調を適宜に変えることができる特徴がある。また、ホスト発光剤とゲスト発光剤の組合せによっては、発光の輝度と寿命を大幅に向上できる可能性がある。そもそも、有機EL素子は自ら発光する素子なので、これを用いる情報表示機器は視野角依存性がないうえに、バックライトが不要なので、消費電力を小さくできる利点があり、原理的に優れた発光素子であると言われている。
【0009】
これまで、緑色域で発光する有機EL素子においては、ゲスト発光剤の配合による発光効率の改善が報告されているけれども、赤色域の発光においては、未だ効果的なゲスト発光剤が見出されておらず、依然として、完全な赤色発光とは程遠く、発光寿命が短かく、耐久性においても信頼性においても不充分な状況にある。例えば、特開平10−6042号公報及び米国特許第4769292号明細書に開示された有機EL素子は、輝度が充分でないうえに、発光が完全な赤色ではなく、したがって、フルカラーを実現するうえでなお問題があると言わざるを得ない。
【0010】
さらに、有機EL素子を廉価に供給するには、単に、素子全体の構造を簡素化したり、製造の際の蒸着操作を容易ならしめるというだけではなく、ゲスト発光剤によるドーピングを本質的に必要としない発光剤を見出すことが肝要である。有機EL素子に用いる発光剤については、従来より諸種の提案がなされているけれども、上述のごとき諸要件を充足する化合物は未だ見出されていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
斯かる状況に鑑み、この発明の課題は、可視領域の光を吸収したり発光する有機化合物と、その有機化合物の光化学的重合、有機EL素子及び色素レーザーにおける諸用途を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決すべく、本発明者が鋭意研究し、検索した結果、4H−ピラン骨格を有する化合物に3−ホルミルクマリン骨格を有する化合物を反応させる工程を経由して得ることのできる特定のピラン誘導体は、可視領域に吸収極大を有し、可視光を実質的に吸収することから、光化学的重合において極めて有用であることを見出した。さらに、斯かる工程を経由して得ることのできるピラン誘導体は、可視領域に発光極大を有し、励起すると可視光を発光することから、色素レーザーや有機EL素子において極めて有用であることを見出した。
【0013】
とりわけ、この発明のピラン誘導体は、有機EL素子を構成する有機化合物、詳細には、有機EL素子の発光層を構成する材料として用いると、可視領域の光、詳細には、赤色域の光を高効率で発光することを確認した。この発明は新規なピラン誘導体の創製と、その産業上有用な諸特性の発見に基づくものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
この発明は、下記の一般式1又は一般式2のいずれかで表されるピラン誘導体に関するものである。
【0015】
【化15】
【0016】
【化16】
【0017】
一般式1及び一般式2において、R1乃至R4は、それぞれ独立に、直鎖状又は分岐を有するアルキル基若しくはアルケニル基か、あるいは、芳香族炭化水素基を表し、それらのアルキル基、アルケニル基及び芳香族炭化水素基は置換基を1又は複数有していてもよい。用途によるけれども、R1乃至R4がアルキル基である場合の鎖長としては、通常、炭素数20まで、望ましくは、炭素数1乃至18の範囲から選ばれ、個々のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基及びn−オクタデシル基などが挙げられる。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基及び1,3−ブタジエル基などが挙げられ、また、芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基などが好適である。これらのアルキル基、アルケニル基及び芳香族炭化水素基が有することある置換基としては、例えば、フルオロ基、クロル基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基、アルキルカルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アミノスルホニル基、ヒドロキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、フェニルメチル基、4−ブチルフェニルメチル基、4−ブトキシフェニルメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、2−カルボキシエチル基、2−ブトキシエチル基、2−(2−エトキシ)エトキシエチル基、3−スルホキシプロピル基、4−スルホキシブチル基、6−ブロモヘキシル基及びシクロアルキル基などが挙げられる。なお、R1及びR2、あるいは、R3及びR4は、それらが結合している窒素原子及びその窒素原子が結合しているベンゼン環をそれぞれ含んで五員環や六員環などの環状構造を形成していてもよい。
【0018】
また、一般式1及び一般式2において、R5及びR6は、それぞれ独立に、シアノ基、ハロゲン化アルキル基、あるいは、カルボキシ基若しくはカルボン酸から派生する、例えば、エステル基、アシル基、アミド基などの置換基、さらには、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子などのヘテロ原子を1又は複数含んでなる単環式若しくは多環式の複素環基を表す。斯かる複素環としては、例えば、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ナフトチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ナフトオキサゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ナフトイミダゾリル基及びトリアゾリル基などが挙げられ、これらの複素環基は、いずれも、例えば、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、カルボキシ基、スルホン酸基、有機酸エステル基、ニトロ基、シアノ基、さらには、トリフルオロアルキル基などのハロゲン化アルキル基の1又は複数を有していてもよい。
【0019】
さらに、一般式1及び一般式2において、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子か、あるいは、フルオロ基、クロル基、ブロモ基、ヨード基などのハロゲン基、シアノ基、炭素数6までのアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、カルボキシ基若しくはカルボン酸から派生する、例えば、アルコキシカルボニル基、アシル基、アミド基などの置換基を表し、そのアルキル基は直鎖状か、あるいは、環状構造、分岐若しくはハロゲン原子などによる置換基を有していてもよい。なお、一般式1及び一般式2において、R9乃至R11は、それぞれ独立に、水素原子か、あるいは、メチル基、エチル基、プロピル基などの低級アルキル基を表す。また、一般式1又は一般式2で表されるピラン誘導体において、構造上、シス/トランス異性体が存在する場合、この発明はそのいずれをも包含するものとする。
【0020】
一般式1及び一般式2で表されるピラン誘導体の具体例としては、例えば、化学式1乃至化学式55で表されるものが挙げられる。これらのピラン誘導体は、いずれも、可視領域に吸収極大を有し、可視光を実質的に吸収するので、重合性化合物を光化学的重合させるための光増感剤として極めて有用である。また、可視領域に発光極大を有し、励起すると可視光を発光するピラン誘導体は、色素レーザーにおけるレーザー作用物質、さらには、有機EL素子を構成する有機化合物、詳細には、有機EL素子の発光層を構成するホスト発光剤や、他のホスト発光剤にドープすることによってその発光効率や発光スペクトルを改善するためのゲスト発光剤として極めて有用である。
【0021】
【化17】
【0022】
【化18】
【0023】
【化19】
【0024】
【化20】
【0025】
【化21】
【0026】
【化22】
【0027】
【化23】
【0028】
【化24】
【0029】
【化25】
【0030】
【化26】
【0031】
【化27】
【0032】
【化28】
【0033】
【化29】
【0034】
【化30】
【0035】
【化31】
【0036】
【化32】
【0037】
【化33】
【0038】
【化34】
【0039】
【化35】
【0040】
【化36】
【0041】
【化37】
【0042】
【化38】
【0043】
【化39】
【0044】
【化40】
【0045】
【化41】
【0046】
【化42】
【0047】
【化43】
【0048】
【化44】
【0049】
【化45】
【0050】
【化46】
【0051】
【化47】
【0052】
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【0063】
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【0064】
【化60】
【0065】
【化61】
【0066】
【化62】
【0067】
【化63】
【0068】
【化64】
【0069】
【化65】
【0070】
【化66】
【0071】
【化67】
【0072】
【化68】
【0073】
【化69】
【0074】
【化70】
【0075】
【化71】
【0076】
この発明のピラン誘導体は種々の方法で調製することができる。経済性を重視するのであれば、一般式1で表されるピラン誘導体を調製する場合には、一般式1に対応するR1、R2、R5、R6、R10及びR11を有する一般式3で表される化合物に、一般式1に対応するR3、R4、R7及びR9を有する一般式4で表される化合物を適宜溶剤中、例えば、ピペリジン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、トリエチルアミンなどの塩基性化合物の存在下で反応させる工程を経由する方法が好適である。また、一般式2で表されるピラン誘導体を調製するには、一般式2に対応するR1、R2、R5、R6、R8及びR10を有する一般式5で表される化合物に、一般式2に対応するR3、R4、R7及びR9を有する一般式4で表される化合物を適宜溶剤中、例えば、ピペリジン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、トリエチルアミンなどの塩基性化合物の存在下で反応させる工程か、あるいは、一般式2に対応するR5及びR6を有する一般式6で表される化合物に、一般式2に対応するR3、R4、R7及びR9を有する一般式4で表される化合物と、一般式2に対応するR1、R2、R8及びR10を有する一般式7で表される化合物とを適宜溶剤中、上記と同様の塩基性化合物の存在下で反応させる工程を経由する方法が好適である。なお、一般式6で表される化合物を一般式4及び一般式7で表される化合物と反応させる方法において、一般式4及び一般式7で表される化合物として単一の化合物を用いるときには、4H−ピラン環における2位及び6位にそれぞれ同一の置換基が結合してなるこの発明のピラン誘導体が得られる。化学式1乃至化学式55で表されるピラン誘導体は、いずれも、これらの方法により調製することができる。
【0077】
【化72】
【0078】
【化73】
【0079】
【化74】
【0080】
【化75】
【0081】
【化76】
【0082】
斯くして得られるピラン誘導体は、用途によっては、反応混合物のまま用いられることもあるが、通常、使用に先立って、例えば、分液、傾斜、濾過、抽出、濃縮、薄層クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、蒸留、昇華、結晶化などの類縁化合物の精製に用いられる通常一般の方法により精製され、必要に応じて、これらの方法は組合せて適用される。光増感剤として用いる場合には、少なくとも、蒸留及び/又は結晶化させておくのがよく、また、レーザー発振装置におけるレーザー作用物質や有機EL素子における発光剤として用いる場合には、事前に、例えば、昇華などによってさらに精製しておくのが望ましい。
【0083】
前述のとおり、この発明のピラン誘導体は可視領域の光、とりわけ、長波長域の光を実質的に吸収し、諸種の重合性化合物や重合開始剤を増感する性質があるので、斯かる重合性化合物を紫外線より長波長の光、とりわけ、可視光を用いて光化学的重合させる際の光増感剤として極めて有用である。この発明による光増感剤は、通常、使用に際して、重合性化合物、重合開始剤、バインダー樹脂などとの組成物に調製される。ただし、ピラン誘導体の種類や光重合性組成物の最終用途によっては、重合開始剤及び/又はバインダー樹脂は省略されることがある。
【0084】
この発明による光増感剤を適用し得る重合性化合物としては、例えば、エチレン性二重結合などの重合可能な多重結合を分子内に少なくとも1個有するモノマー、オリゴマー、プレポリマー及びそれらの混合物が挙げられる。斯かる重合性化合物の具体例としては、例えば、エチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ポリエステルメタクリレート、ポリウレタンメタクリレート、エポキシメタクリレートなどが挙げられる。ただし、この発明による光重合性組成物に配合する重合性化合物は、決してこれらに限定されてはならず、この発明による光増感剤を用いて光化学的重合させ得るすべての重合性化合物が適用対象となる。
【0085】
重合開始剤としては、例えば、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、3,3´,4,4´−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、エチルメチルケトン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルジオキシ)−3−ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ビス(ヒドロパーオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ブチル−4,4−ビス(t−ブチルジオキシ)バリレート、1,1−ビス(t−ブチルジオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの有機過酸化物、2,4,6−トリクロロメチル−s−トリアジンなどのハロゲン化炭化水素、さらには、ビスイミダゾール、ベンゾイルアルキルエーテル、鉄−アレン錯体、チタノセン化合物、N−フェニルグリシン、ジフェニルヨードニウム塩などの光化学的重合に用いられる通常の重合開始剤であればよく、必要に応じて、これらは組合せて用いられる。
【0086】
用途にもよるが、バインダー樹脂も光重合性組成物に通常用いられるものであればよく、個々のバインダー樹脂としては、例えば、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルカルバゾール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンオキサイド、ポリブチルメタクリレート、スチレン−マレイン酸エステル、ポリメチルメタクリレート−メタクリル酸、ポリ−N−ビニルピロリドン−グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
【0087】
この発明による光増感剤は、この発明のピラン誘導体を1種又は複数種含んでなり、この発明による光増感剤を用いて光重合性組成物を得るには、通常、この発明のピラン誘導体1重量部に対して、上記のごとき重合性化合物を1乃至1,000重量部、望ましくは、10乃至500重量部含有せしめ、さらに、必要に応じて、バインダー樹脂を1,000重量部まで、望ましくは、500重量部まで、さらには、重合開始剤を0.1乃至10重量部、望ましくは、0.5乃至5重量部含有せしめて光重合性組成物とする。また、それ以外に、必要に応じて、例えば、ハイドロキノン、ピロガロール、2,6−t−ブチル−p−クレゾールなどのキノン系又はフェノール系の熱重合禁止剤、フタル酸エステルやアジピン酸エステルを含む飽和又は不飽和カルボン酸エステルなどの可塑剤、着色剤、保存剤、安定剤、表面保護剤、平滑剤、塗布助剤などを適宜配合してもよい。
【0088】
この発明による光重合性組成物は、通常、適宜溶剤に溶解して溶液となし、これを適宜支持体上に塗布し、乾燥して用いられる。溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、石油ベンジン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、α−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化合物、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、フェノール、ベンジルアルコール、クレゾール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類及びフェノール類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエテール、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル類、アセトン、エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピオン酸エチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、燐酸トリエチルなどのエステル類、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチル燐酸トリアミドなどのアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、エチレンジアミン、ピリジン、ピペリジン、モルホリンなどのアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの硫黄化合物などが挙げられ、必要に応じて、これらは適宜混合して用いられる。
【0089】
支持体も汎用のものでよく、斯かる支持体としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、鉄などの金属又は合金シート、上質紙、アート紙、剥離紙などの紙、ガラス、セラミックなどの無機物シート、ポリエチレンフタレート、ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、ナイロン、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートなどのプラスチックシートが挙げられる。
【0090】
重合方法についても特に制限はなく、例えば、ラジカル重合、イオン重合、開環重合などの開始過程のみに光が関与する光開始重合であっても、成長過程に光が関与する光重付加重合であってもよい。その際の露出光源も、例えば、太陽光、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、アルゴンイオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、ヘリウム・ネオンレーザー、YAGレーザーの第二高調波などの波長400nm以上の可視光を含む汎用の光源を用いることができる。
【0091】
さて、この発明は、有機EL素子における当該ピラン誘導体の発光剤としての用途をも提供するものである。この発明によるピラン誘導体の多くは、波長600nm以上の可視領域、とりわけ、波長610乃至730nmの赤色域に蛍光極大などの発光極大を有するので、有機EL素子用発光剤として極めて有用である。
【0092】
この発明による有機EL素子用発光剤は、単層型及び積層型有機EL素子のいずれにも適用可能である。有機EL素子の動作は、本質的に、電子及び正孔を電極から注入する過程、電子及び正孔が固体中を移動する過程、電子及び正孔が再結合し、一重項又は三重項励起子を生成する過程、そして、その励起子が発光する過程からなり、これらの過程は単層型及び積層型EL素子のいずれにおいても本質的に異なることがない。しかしながら、単層型有機EL素子においては、発光剤の分子構造を変えることによってのみ上記4過程の特性を改良し得るのに対して、積層型有機EL素子においては、各過程において要求される機能を複数の材料に分担させるとともに、それぞれの材料に独立して最適化することができることから、一般的には、単層型に構成するより積層型に構成する方が所期の性能を達成し易い。
【0093】
そこで、この発明の有機EL素子につき、積層型有機EL素子を例に挙げて説明すると、積層型有機EL素子は、図1に見られるように、本質的に、正電圧を印加する陽極2と、負電圧を印加する陰極6と、正孔と電子を再結合させて発光を取り出す発光層4とからなり、必要に応じて、図2乃至図4に見られるように、さらに、陽極2から正孔を注入して輸送する正孔注入/輸送層3及び/又は陰極6から電子を注入して輸送する電子注入/輸送層5を設けてなる。図1乃至図4において、1は基板であり、通常、ソーダガラス、バリウムシリケートガラス、アルミノシリケートガラスなどのガラスか、あるいは、プラスチック、セラミックなどの汎用の基板材料が用いられる。望ましい基板材料は透明なガラス及びプラスチックであり、シリコンなどの不透明なセラミックは、透明な電極と組合せて用いられる。
【0094】
2は陽極であり、通常、真空蒸着、分子線蒸着、化学蒸着(CVD)、浸漬、スピンコーティング、バーコーティング、ロールコーティング、キャスティング、スパッタリングなどの方法により、基板1の一側に密着させて、電気的に低抵抗率であって、しかも、全可視領域に渡って光透過率の大きい金属又は電導性化合物を、陽極2における抵抗率が1kΩ/□になるように、厚さ10乃至1,000nm、望ましくは、50乃至500nmに製膜することによって形成される。斯かる電導材料としては、通常、金、白金、アルミニウム、ニッケルなどの金属、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫と酸化インジウムとの混合系(以下、「ITO」と略記する。)などの金属酸化物か、あるいは、アニリン、チオフェン、ピロールなどを反復単位とする電導性オリゴマー又はポリマーが用いられる。このうち、ITOは、低抵抗率のものが容易に得られるうえに、酸を用いてエッチングすることにより、微細パターンを容易に形成できる特徴がある。
【0095】
3は正孔注入/輸送層であり、通常、陽極2におけると同様の方法により、陽極2に密着させて、正孔注入/輸送層用材を厚さ1乃至1,000nmに製膜することによって形成される。正孔注入/輸送層用材としては、陽極2からの正孔注入と輸送を容易ならしめるべく、イオン化電位が小さく、かつ、例えば、104乃至106V/cmの電界下において、少なくとも10-6cm2/V・秒の正孔移動度を発揮するものが望ましい。個々の正孔注入/輸送層輸送層用材としては、有機EL素子において汎用される、例えば、芳香族第三級アミン、スチリルアミン、トリアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミン置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、さらには、いわゆる、「スターバースト型分子」などが挙げられ、必要に応じて、これらは組合せて用いられる。個々の正孔注入/輸送層用材としては、例えば、化学式56乃至化学式61で表されるビス[ジ(p−トリル)アミノフェニル]−1,1−シクロヘキサン、N,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(3−メチルフェニル)−1,1´−ビフェニル−4,4´−ジアミン、N,N´−ジフェニル−N,N´ビス(1−ナフチル)−1,1´−ビフェニル)−4,4´−ジアミンなどが挙げられる。
【0096】
【化77】
【0097】
【化78】
【0098】
【化79】
【0099】
【化80】
【0100】
【化81】
【0101】
【化82】
【0102】
4は発光層であり、通常、陽極2におけると同様の方法により、正孔注入/輸送層3に密着させて、この発明のピラン誘導体単独か、あるいは、この発明のピラン誘導体と適宜のホスト発光剤とを単層若しくは2層に分離して厚さ10乃至1,000nm、望ましくは、10乃至200nmに製膜することによって形成される。この発明のピラン誘導体は単独で用いても高い発光効率を発揮するけれども、ホスト発光剤に適量ドープすると、濃度消光が抑えられ、より高い発光効率が達成される。ホスト発光剤にドープするこの発明のピラン誘導体の量としては、ホスト発光剤の種類にもよるけれども、通常、0.1乃至30重量%、望ましくは、1乃至10重量%とする。この発明のピラン誘導体と組合せて用いるホスト発光剤としては、例えば、下記の一般式8乃至一般式13で表される化合物が挙げられる。
【0103】
【化83】
【0104】
【化84】
【0105】
【化85】
【0106】
【化86】
【0107】
【化87】
【0108】
【化88】
【0109】
一般式8において、R12乃至R14は、それぞれ独立に、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、それらの芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基は置換基を有していても、互いに結合し合って環状構造を形成していてもよい。
【0110】
一般式9において、R15乃至R18は、それぞれ独立に、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、それらの芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基は置換基を有していても、互いに結合し合って環状構造を形成していてもよい。なお、Yはアリーレン基を表し、そのアリーレン基は置換基を有していてもよい。
【0111】
一般式10において、R19乃至R24は、それぞれ独立に、水素原子か、あるいは、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アラルキル基、アリールオキシ基及びアルコキシカルボニル基から選ばれる置換基を表し、それらのアミノ基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アラルキル基、アリールオキシ基及びアルコキシカルボニル基は置換基を有していてもよい。また、L1はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基又はアラルキル基を表し、それらのアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基及びアラルキル基は置換基を有していてもよい。mは0乃至2から選ばれる整数であり、また、nは1乃至3から選ばれる整数である。Mは(n+m)価の金属イオンを表す。
【0112】
一般式11において、R25乃至R36は、それぞれ独立に、水素原子か、あるいは、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アラルキル基、アリールオキシ基及びアルコキシカルボニル基から選ばれる置換基を表し、それらのアミノ基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、アラルキル基、アリールオキシ基及びアルコキシカルボニル基は置換基を有していても、隣接する基同士が結合し合って環状構造を形成していてもよい。また、L2はアルキレン基、アルケニレン基又はシクロアルキレン基か、あるいは、2価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、それらのアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基は置換基を有していてもよい。lは0又は1から選ばれる整数であり、また、sは1又は2から選ばれる整数である。Mは(s+1)価の金属イオンを表す。
【0113】
一般式12において、R37乃至R40は、それぞれ独立に、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基又はアリールオキシ基を表し、それらのアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基及びアリルーオキシ基は置換基を有していても、互いに結合し合って環状構造を形成していてもよい。Yはアリーレン基を表し、そのアリーレン基は置換基を有していてもよい。
【0114】
一般式13において、R41乃至R46は、それぞれ独立に、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、それらの芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基は置換基を1又は複数有していても、置換基同士が互いに結合し合って環状構造を形成していてもよい。Zは3価の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、それらの芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基は置換基を1又は複数有していてもよい。
【0115】
一般式8乃至一般式13における置換基について説明すると、ハロゲン基としては、フルオロ基、クロル基、ブロモ基、ヨード基などが挙げられる。置換若しくは無置換のアミノ基としては、−NX1X2で表され、X1、X2として、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、4−スチリルフェニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4´−メチルビフェニルイル基、4''−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基などが挙げられる。
【0116】
置換若しくは無置換のアルキル基としては、直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基であって、置換基を1又は複数有することある、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基などが挙げられる。
【0117】
置換若しくは無置換のアルケニル基としては、直鎖状若しくは分岐を有するアルケニル基であって、置換基を1又は複数有することある、例えば、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1−メチルビニル基、スチリル基、2,2−ジフェニルビニル基、1,2−ジフェニルビニル基、1−メチルアリル基、1,1−ジメチルアリル基、2−メチルアリル基、1−フェニルアリル基、2−フェニルアリル基、3−フェニルアリル基、3,3−ジフェニルアリル基、1,2−ジメチルアリル基、1−フェニル−1−ブテニル基、3−フェニル−1−ブテニル基などが挙げられる。
【0118】
置換若しくは無置換のシクロアルキル基としては、分岐を有することあるシクロアルキル基であって、置換基を1又は複数有することある、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基などが挙げられる。
【0119】
置換若しくは無置換のアルコキシ基としては、−OYで表される基であって、Yとして、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基などを有するものが挙げられる。
【0120】
置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基の例としては、芳香族炭化水素の1価基又は多価基であって、置換基を1又は複数有することある、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4´−メチルビフェニルイル基、4''−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基などが挙げられる。
【0121】
置換若しくは無置換の芳香族複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子などのヘテロ原子を1又は複数含んでなる単環式若しくは多環式複素環化合物の1価基又は多価基であって、置換基を1又は複数有することある、例えば、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基などが挙げられる。
【0122】
置換若しくは無置換のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、1−フェニルイソプロピル基、2−フェニルイソプロピル基、フェニル−t−ブチル基、α−ナフチルメチル基、1−α−ナフチルエチル基、2−α−ナフチルエチル基、1−α−ナフチルイソプロピル基、2−α−ナフチルイソプロピル基、β−ナフチルメチル基、1−β−ナフチルエチル基、2−β−ナフチルエチル基、1−β−ナフチルイソプロピル基、2−β−ナフチルイソプロピル基、1−ピロリルメチル基、2−(1−ピロリル)エチル基、p−メチルベンジル基、m−メチルベンジル基、o−メチルベンジル基、p−クロロベンジル基、m−クロロベンジル基、o−クロロベンジル基、p−ブロモベンジル基、m−ブロモベンジル基、o−ブロモベンジル基、p−ヨードベンジル基、m−ヨードベンジル基、o−ヨードベンジル基、p−ヒドロキシベンジル基、m−ヒドロキシベンジル基、o−ヒドロキシベンジル基、p−アミノベンジル基、m−アミノベンジル基、o−アミノベンジル基、p−ニトロベンジル基、m−ニトロベンジル基、o−ニトロベンジル基、p−シアノベンジル基、m−シアノベンジル基、o−シアノベンジル基、1−ヒドロキシ−2−フェニルイソプロピル基、1−クロロ−2−フェニルイソプロピル基などが挙げられる。
【0123】
置換若しくは無置換のアリールオキシ基としては、−OZで表され、Zとして、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ナフタセニル基、2−ナフタセニル基、9−ナフタセニル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、2−ビフェニルイル基、3−ビフェニルイル基、4−ビフェニルイル基、p−ターフェニル−4−イル基、p−ターフェニル−3−イル基、p−ターフェニル−2−イル基、m−ターフェニル−4−イル基、m−ターフェニル−3−イル基、m−ターフェニル−2−イル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、p−t−ブチルフェニル基、p−(2−フェニルプロピル)フェニル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−アントリル基、4´−メチルビフェニルイル基、4''−t−ブチル−p−ターフェニル−4−イル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基などを有するものが挙げられる。
【0124】
置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基としては、−COOYで表され、Yとして、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシイソブチル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,3−ジヒドロキシイソプロピル基、2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−クロロイソブチル基、1,2−ジクロロエチル基、1,3−ジクロロイソプロピル基、2,3−ジクロロ−t−ブチル基、1,2,3−トリクロロプロピル基、ブロモメチル基、1−ブロモエチル基、2−ブロモエチル基、2−ブロモイソブチル基、1,2−ジブロモエチル基、1,3−ジブロモイソプロピル基、2,3−ジブロモ−t−ブチル基、1,2,3−トリブロモプロピル基、ヨードメチル基、1−ヨードエチル基、2−ヨードエチル基、2−ヨードイソブチル基、1,2−ジヨードエチル基、1,3−ジヨードイソプロピル基、2,3−ジヨード−t−ブチル基、1,2,3−トリヨードプロピル基、アミノメチル基、1−アミノエチル基、2−アミノエチル基、2−アミノイソブチル基、1,2−ジアミノエチル基、1,3−ジアミノイソプロピル基、2,3−ジアミノ−t−ブチル基、1,2,3−トリアミノプロピル基、シアノメチル基、1−シアノエチル基、2−シアノエチル基、2−シアノイソブチル基、1,2−ジシアノエチル基、1,3−ジシアノイソプロピル基、2,3−ジシアノ−t−ブチル基、1,2,3−トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、1−ニトロエチル基、2−ニトロエチル基、2−ニトロイソブチル基、1,2−ジニトロエチル基、1,3−ジニトロイソプロピル基、2,3−ジニトロ−t−ブチル基、1,2,3−トリニトロプロピル基などを有するものが挙げられる。
【0125】
置換若しくは無置換のアリーレン基としては、例えば、置換若しくは無置換のベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、ピレン、ビフェニル、ターフェニルなどの芳香族炭化水素や縮合多環式炭化水素、さらには、置換若しくは無置換のカルバゾール、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、フラザン、チアンスレン、イソベンゾフラン、フェノキサジン、インドリジン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、β−カルバゾリン、フェナンスリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジンなどの複素環化合物又は縮合複素環化合物の2価基が挙げられる。
【0126】
3価の置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基としては、置換若しくは無置換のベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、ピレン、ビフェニル、ターフェニルなどの芳香族炭化水素又は縮合多環式炭化水素の3価基が挙げられる。3価の置換若しくは無置換の芳香族複素環基としては、置換若しくは無置換のカルバゾール、ピロール、チオフェン、フラン、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、フラザン、チアンスレン、イソベンゾフラン、フェノキサジン、インドリジン、インドール、イソインドール、1H−インダゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、β−カルバゾリン、フェナンスリジン、アクリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジンなどの複素環化合物又は縮合複素環化合物の3価基が挙げられる。
【0127】
置換若しくは無置換のアルキレン基としては、置換若しくは無置換のアルキレン基であって、置換基を1又は複数有することある、例えば、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、2−メチルプロパン、n−ペンタン、2−メチルブタン、2,2−ジメチルプロパン、n−ヘキサン、2−メチル−n−ペンタン、3−メチル−n−ペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタンなどのアルカンの2価基が挙げられる。置換若しくは無置換のアルケニレン基としては、置換若しくは無置換のアルケニレン基であって、置換基を1又は複数有する、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1,3−ブタジエン等のアルケンの2価基が挙げられる。置換若しくは無置換のシクロアルキレン基としては、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基であって、置換基を1又は複数有する、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどのシクロアルカンの2価基が挙げられる。
【0128】
これらの多価基が有する置換基としては、前述したハロゲン基、ヒドロキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族複素環基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基などが挙げられる。また、環状構造を形成する2価基の例としては、例えば、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ジフェニルメタン−2,2´−ジイル基、ジフェニルエタン−3,3´−ジイル基、ジフェニルプロパン−4,4´−ジイル基、1,3−ブタジエニル−1,4−エン基などが挙げられる。さらに、オキシム金属錯体を形成する金属としては、例えば、アルミニウム、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、セリウム、コバルト、銅、鉄、ガリウム、ゲルマニウム、水銀、インジウム、ランタン、マグネシウム、モリブデン、ニオブ、アンチモン、スカンジウム、スズ、タンタル、トリウム、チタニウム、ウラン、タングステン、ジルコニウム、バナジウム、亜鉛などが挙げられる。ちなみに、個々のホスト発光剤としては、例えば、化学式62乃至化学式92で表されるものが挙げられる。
【0129】
【化89】
【0130】
【化90】
【0131】
【化91】
【0132】
【化92】
【0133】
【化93】
【0134】
【化94】
【0135】
【化95】
【0136】
【化96】
【0137】
【化97】
【0138】
【化98】
【0139】
【化99】
【0140】
【化100】
【0141】
【化101】
【0142】
【化102】
【0143】
【化103】
【0144】
【化104】
【0145】
【化105】
【0146】
【化106】
【0147】
【化107】
【0148】
【化108】
【0149】
【化109】
【0150】
【化110】
【0151】
【化111】
【0152】
【化112】
【0153】
【化113】
【0154】
【化114】
【0155】
【化115】
【0156】
【化116】
【0157】
【化117】
【0158】
【化118】
【0159】
【化119】
【0160】
さて、5は電子注入/輸送層であり、通常、陽極2におけると同様の方法により、発光層4に密着させて、電子親和力の大きい有機化合物であって、赤色域の光を吸収しない、例えば、発光層4におけると同様の化合物か、あるいは、ベンゾキノン、アントラキノン、フルオレノンなどの環状ケトン又はその誘導体、シラザン誘導体、さらには、アニリン、チオフェン、ピロールなどを反復単位とする電導性オリゴマー又はポリマーの1又は複数を厚さ10乃至500nmに製膜することによって形成される。複数の電子注入/輸送層用材を用いる場合には、その複数の電子注入/輸送層用材を均一に混合して1層に形成しても、混合することなく、電子注入/輸送層用材ごとに隣接する複数の層に形成してもよい。個々の電子注入/輸送層用材としては、例えば、化学式76、化学式78、化学式80、化学式81及び化学式93乃至化学式96で表されるものが挙げられる。
【0161】
【化120】
【0162】
【化121】
【0163】
【化122】
【0164】
【化123】
【0165】
【化124】
【0166】
【化125】
【0167】
【化126】
【0168】
【化127】
【0169】
6は陰極であり、通常、電子注入/輸送層5に密着させて、電子注入/輸送層5において用いられる化合物よりも仕事関数の低い(通常、6eV以下)、例えば、リチウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、リチウム、銀、銅、アルミニウム、インジウム、スカンジウムなどの金属若しくは金属酸化物又は電導性化合物を単独又は組合せて蒸着することによって形成する。陰極6の厚みについては特に制限がなく、電導性、製造コスト、素子自体の厚み、光透過率などを勘案しながら、通常、抵抗率が1kΩ/□以下になるように、10nm以上、望ましくは、50乃至500nmに設定される。なお、陰極3と、有機化合物を含有する電子注入/輸送層5との間に、密着性を高めるために、必要に応じて、例えば、芳香族ジアミン化合物、キナクリドン化合物、ナフタセン化合物、有機シリコン化合物、有機燐化合物などを含んでなる界面層を設けてもよい。
【0170】
このように、この発明の有機EL素子は、基板1上に、陽極2、陰極6、発光層4、さらに、必要に応じて、正孔注入/輸送層3及び電子注入/輸送層5をそれぞれ隣接する層と互いに密着させながら一体に形成することによって得ることができる。各層を形成するに当っては、有機化合物の酸化や分解、さらには、酸素や水分の吸着などを最少限に抑えるべく、高真空下、詳細には、10-5Torr以下で一貫作業するのが望ましい。また、発光層を形成するにあたっては、あらかじめ、ホスト発光剤とこの発明のピラン誘導体を所定の割合で混合しておくか、あるいは、真空蒸着における両者の加熱速度を互いに独立して制御することによって、発光層に蒸着させる両者の配合比を調節する。斯くして構築した有機EL素子は、使用環境における劣化を最少限に抑えるべく、素子の一部又は全体を、例えば、不活性ガス雰囲気下で封止ガラスや金属キャップにより封止するか、あるいは、紫外線硬化樹脂などによる保護層で覆うのが望ましい。
【0171】
この発明による有機EL素子の使用方法について説明すると、この発明の有機EL素子は、用途に応じて、比較的高電圧のパルス電圧を間欠的に印加するか、あるいは、比較的定電圧の非パルス性電圧(通常、3乃至50V)を連続的に印加して駆動する。この発明の有機EL素子は、陽極の電位が陰極の電位より高いときにのみ発光する。したがって、この発明の有機EL素子に印加する電圧は直流であっても交流であってもよく、印加する電圧の波形、周期も適宜のものとすればよい。交流を印加すると、この発明の有機EL素子は、原理上、印加する交流の波形及び周期に応じて輝度が増減したり点滅を繰返す。図2に示す有機EL素子の場合、陽極2と陰極6との間に電圧を印加すると、陽極2から注入された正孔が正孔注入/輸送層3を経て発光層4に、また、陰極6から注入された電子が電子注入/輸送層5を経て発光層4にそれぞれ到達する。その結果、発光層4において、正孔と電子の再結合が生じ、それにより生じた励起状態のピラン誘導体から目的とする赤色光が陽極2及び基板1を透過して放出されることとなる。この発明の有機EL素子は、組合せて用いるホスト発光剤とピラン誘導体の種類にもよるけれども、通常、波長600乃至670nm、望ましくは、620乃至660nmの赤色域に発光極大を有する。また、その発光は、xy色度図上において、通常、xが0.50乃至0.72の範囲に、また、yが0.20乃至0.36の範囲にある。
【0172】
この発明の有機EL素子は、赤色域における発光の色純度が良いうえに、発光効率及び耐久性に優れているので、発光体や、情報を視覚的に表示する情報表示機器において多種多様の用途を有する。この発明の有機EL素子を光源とする発光体は、消費電力が小さいうえに、軽量な平板状に構成することができるので、一般照明に加えて、例えば、液晶素子、複写装置、印字装置、電子写真装置、コンピューター及びその応用機器、工業制御器、電子計測機器、分析機器、計器一般、通信機器、医療用電子計測器、自動車、船舶、航空機、宇宙船などに搭載する機器、航空機の管制機器、インテリア、看板、標識などの省エネルギーにして省スペースな光源として有用である。この発明の有機EL素子を、例えば、コンピューター、テレビジョン、ビデオ、ゲーム、時計、電話機、カーナビゲーション、オシロスコープ、レーダー、ソナーなどの情報表示機器に用いる場合には、単独又は緑色域若しくは青色域で発光する有機EL素子と組合せつつ、必要に応じて、汎用の単純マトリックス方式やアクティブマトリックス方式を適用して駆動する。
【0173】
この発明のピラン誘導体を色素レーザーに用いるには、公知の色素系レーザー作用物質の場合と同様にして精製し、適宜溶剤に溶解し、必要に応じて、溶液のpHを適宜レベルに調製した後、レーザー発振装置における色素セル内に封入する。この発明のピラン誘導体は、公知のピラン化合物と比較して、可視領域において極めて広い波長域で増幅利得が得られるばかりか、耐光性が大きく、長期間用いても劣化し難い特徴がある。
【0174】
以下、この発明の実施の形態につき、実施例に基づき説明する。
【0175】
【実施例1】
〈ピラン誘導体〉
4−ジシアノメチレン−2−メチル−4H−ピラン骨格を有する化学式97で表される化合物1.0g及び3−ホルミルクマリン骨格を有する化学式98で表される化合物1.0gをN,N−ジメチルホルムアミド5mlに溶解し、ピペリジン0.5mlを加え、2時間加熱還流した後、反応物を室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。この結晶をN,N−ジメチルホルムアミドにより再結晶したところ、化学式2で表されるピラン誘導体の黒色結晶が0.7g得られた。
【0176】
【化128】
【0177】
【化129】
【0178】
常法にしたがって測定したところ、本例のピラン誘導体の融点は288乃至290℃であり、また、塩化メチレンに溶解して測定すると、波長491nm及び626nmにそれぞれ吸収極大及び蛍光極大を示した。また、重クロロホルム中で1H−核磁気共鳴スペクトル(以下、「1H−NMR」と略記する。)を測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.24(6H、t)、3.06(6H、s)、3.45(4H、q)及び6.3乃至7.7(14H、m)の位置にそれぞれピークが観察された。
【0179】
【実施例2】
〈ピラン誘導体〉
4−ジシアノメチレン−2−メチル−4H−ピラン骨格を有する化学式97で表される化合物1.2g及び3−ホルミルクマリン骨格を有する化学式99で表される化合物2.0gをN,N−ジメチルホルムアミド5mlに溶解し、ピペリジン0.5mlを加え、2時間加熱還流した後、反応物を室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。この結晶をN,N−ジメチルホルムアミドにより再結晶したところ、化学式5で表されるピラン誘導体の黒色結晶が0.8g得られた。
【0180】
【化130】
【0181】
常法にしたがって測定したところ、本例のピラン誘導体の融点は280乃至282℃であり、また、塩化メチレンに溶解して測定すると、波長503nm及び656nmにそれぞれ吸収極大及び蛍光極大を示した。また、重クロロホルム中で1H−NMR測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.32(6H、s)、1.57(6H、s)、1.80(4H、m)、3.06(6H、s)、3.34(4H、m)及び6.4乃至7.7(12H、m)の位置にそれぞれピークが観察された。
【0182】
【実施例3】
〈ピラン誘導体〉
4−ジシアノメチレン−2−メチル−4H−ピラン骨格を有する化学式100で表される化合物0.8g及び3−ホルミルクマリン骨格を有する化学式99で表される化合物1.1gをN,N−ジメチルホルムアミド5mlに溶解し、ピペリジン0.5mlを加え、2時間加熱還流した後、反応物を室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。この結晶をN,N−ジメチルホルムアミドにより再結晶したところ、化学式17で表されるピラン誘導体の赤黒色結晶が0.4g得られた。
【0183】
【化131】
【0184】
常法にしたがって測定したところ、本例のピラン誘導体の融点は195乃至197℃であり、また、塩化メチレンに溶解して測定すると、波長509nm及び662nmにそれぞれ吸収極大及び蛍光極大を示した。また、重クロロホルム中で1H−NMR測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が0.96(6H、t)、1.32(6H、s)、1.58(6H、s)、1.80(8H、m)、2.90(4H,m)、3.4(4H、m)及び6.3乃至7.7(12H、m)の位置にそれぞれピークが観察された。
【0185】
【実施例4】
〈ピラン誘導体〉
4−ジシアノメチレン−2−メチル−4H−ピラン骨格を有する化学式101で表される化合物0.8g及び3−ホルミルクマリン骨格を有する化学式98で表される化合物1.2gをN,N−ジメチルホルムアミド7mlに溶解し、ピペリジン0.7mlを加え、2時間加熱還流した後、反応物を室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。この結晶をN,N−ジメチルホルムアミドにより再結晶したところ、化学式36で表されるピラン誘導体の黒色結晶が1.0g得られた。
【0186】
【化132】
【0187】
常法にしたがって測定したところ、本例のピラン誘導体の融点は329乃至331℃であり、また、塩化メチレンに溶解して測定すると、波長500nm及び618nmにそれぞれ吸収極大及び蛍光極大を示した。また、重クロロホルム中で1H−NMR測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.24(12H、t)、3.45(8H、q)及び6.5乃至7.7(14H、m)の位置にそれぞれピークが観察された。
【0188】
【実施例5】
〈ピラン誘導体〉
4−ジシアノメチレン−2−メチル−4H−ピラン骨格を有する化学式102で表される化合物1.0g及び3−ホルミルクマリン骨格を有する化学式99で表される化合物1.3gをN,N−ジメチルホルムアミド4mlに溶解し、ピペリジン0.4mlを加え、2時間加熱還流した後、室温まで冷却した。析出した結晶0.7gを濾取し、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて再結晶したところ、化学式24で表されるピラン誘導体の黒色結晶が0.5g得られた。
【0189】
【化133】
【0190】
常法にしたがって測定したところ、本例のピラン誘導体の融点は263乃至266℃であり、塩化メチレンに溶解して測定すると、波長519nm及び677nmにそれぞれ吸収極大及び蛍光極大を示した。また、重クロロホルム中で1H−NMR測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.32(6H、s)、1.54(6H、s)、1.7乃至2.0(8H、m)、2.8(4H、m)、3.3(8H、m)及び6.5乃至7.7(10H、m)の位置にそれぞれピークが観察された。
【0191】
【実施例6】
〈ピラン誘導体〉
4−ジシアノメチレン−2−メチル−4H−ピラン骨格を有する化学式103で表される化合物0.6g及び3−ホルミルクマリン骨格を有する化学式99で表される化合物0.5gをN,N−ジメチルホルムアミド3mlに溶解し、ピペリジン0.2mlを加え、2時間加熱還流した後、室温まで冷却した。析出した結晶1.2gを濾取し、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて再結晶したところ、化学式53で表されるピラン誘導体の黒緑色結晶が1.0g得られた。
【0192】
【化134】
【0193】
常法にしたがって測定したところ、本例のピラン誘導体の融点は177乃至180℃であり、塩化メチレンに溶解して測定すると、波長534nm及び679nmにそれぞれ吸収極大及び蛍光極大を示した。また、重クロロホルム中で1H−NMR測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が0.69(6H、t)、1.32(6H、s)、1.6(10H、m)、1.7乃至1.8(4H、m)、3.3乃至3.5(8H、m)及び6.5乃至8.5(16H、m)の位置にそれぞれピークが観察された。
【0194】
【実施例7】
〈ピラン誘導体〉
4−ジシアノメチレン−2−メチル−4H−ピラン骨格を有する化学式104で表される化合物1.0g及び3−ホルミルクマリン骨格を有する化学式99で表される化合物0.9gをN,N−ジメチルホルムアミド5mlに溶解し、ピペリジン0.3mlを加え、1時間加熱還流した後、室温まで冷却した。析出した結晶1.6gを濾取し、N,N−ジメチルホルムアミドを用いて再結晶したところ、化学式54で表されるピラン誘導体の緑黒色結晶が1.4g得られた。
【0195】
【化135】
【0196】
常法にしたがって測定したところ、本例のピラン誘導体の融点は249乃至252℃であり、塩化メチレンに溶解して測定すると、波長534nm及び725nmにそれぞれ吸収極大及び蛍光極大を示した。また、重クロロホルム中で1H−NMR測定したところ、化学シフトδ(ppm、TMS)が1.32(6H、s)、1.54(6H、s)、1.7乃至2.0(8H、m)、2.8(4H、m)、3.3(8H、m)及び6.3乃至7.7(14H、m)の位置にそれぞれピークが観察された。
【0197】
実施例1乃至実施例7のピラン誘導体の物性を表1に纏めた。表1において、吸収極大の波長は、塩化メチレンに溶解して測定したものであり、また、蛍光スペクトルは、塩化メチレン中、濃度10-7Mで測定したものである。なお、対照には、化学式97で表される公知のピラン化合物を用いた。
【0198】
【表1】
【0199】
表1の結果に見られるように、この発明のピラン誘導体においては、対照のピラン化合物と比較して、吸収極大が明らかに長波長側にシフトし、アルゴンイオンレーザーやYAGレーザーの第二高調波などの可視レーザーの発振波長により近いものとなっていた。すなわち、化学式2で表されるピラン誘導体の吸収極大波長はアルゴンイオンレーザーの発振波長(488nm)に、また、化学式5、化学式17、化学式24、化学式36、化学式53及び化学式54で表されるピラン誘導体の吸収極大波長はYAGレーザーの第二高調波の発振波長(532nm)にそれぞれ近接している。このことは、この発明のピラン誘導体が、可視光を用いて重合性化合物を重合させるための光増感剤として有用であることを物語っている。上記に示す条件下で蛍光測定したかぎりでは、化学式2で表されるピラン誘導体の蛍光は微弱であったが、表1におけるその余のピラン誘導体は顕著な発光能を有し、対照のピラン化合物と比較して、同等又は有意に強い蛍光が観察された。このことは、この発明のピラン誘導体が色素レーザーにおけるレーザー作用物質や、有機EL素子における発光剤として有用であることを物語っている。
【0200】
なお、この発明のピラン誘導体は、構造によって原料、反応条件に若干の違いはあるものの、化学式1乃至化学式55で表されるものも含めて、実施例1乃至実施例7に記載された方法か、あるいは、それらの方法に準じて容易に調製することができる。
【0201】
【実施例8】
〈光重合性組成物〉
常法にしたがって、エチルセロソルブ900重量部に光重合性モノマーとしてペンタエリスリトールアクリレート100重量部、バインダー樹脂としてアクリル酸−メタクリル酸共重合体100重量部、そして、重合開始剤として3,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン8重量部をそれぞれ配合し、さらに、光増感剤として実施例1乃至実施例4の方法により得た化学式2、化学式5、化学式17及び化学式36で表されるピラン誘導体のいずれかを2重量部加えて4種類の光重合性組成物を得た。
【0202】
常法にしたがって、これらの組成物を表面処理した砂目立てアルミ板に均一に塗布して感光層を形成せしめた後、酸素による重合阻害を防止すべく、感光層の表面にポリビニルアルコール層を形成した。この感光層にグレーススケールを密着させて150Wキセノンランプを設置し、シャープカットオフフィルター(東芝硝子株式会社製、商品名『Y47』及び『Y52』)、干渉フィルター(東芝硝子株式会社製、商品名『KL49』及び『KL54』)及び熱線カットフィルター(ホーヤ株式会社製、商品名『HA30』)を組合せて得た波長488nm(アルゴンイオンレーザーに相当)及び波長532nm(YAGレーザーの第二高調波に相当)の光を照射した。その後、常法にしたがって、アルカリ系現像液により現像した後、数1に示す数式にステップタブレットn段目における透過率Tn、露出時間t及び露出強度I0をそれぞれ代入し、光硬化したステップの段数から感度を計算した。併行して、この発明のピラン誘導体に代えて化学式104で表される公知のピラン化合物を用いる系を設け、これらを上記と同様に処置して対照とした。結果を表2に示す。
【0203】
【数1】
【0204】
【表2】
【0205】
表2の結果にみられるように、化学式2、化学式5、化学式17及び化学式36で表されるこの発明のピラン誘導体は、波長488nm及び532nmで測定すると、いずれの波長においても、化学式97で表される公知のピラン化合物を上回る感度を発揮した。とりわけ、化学式2及び化学式5で表されるこの発明のピラン誘導体は波長488nmにおいて、また、化学式2及び化学式17で表されるこの発明のピラン誘導体は波長532nmにおいて、それぞれ、化学式97で表される公知のピラン化合物の2倍以上の感度を発揮した。このことは、この発明のピラン誘導体が、光化学的重合において、重合性化合物及び重合開始剤の増感に有用であることを物語っている。
【0206】
【実施例9】
〈高純度ピラン誘導体〉
実施例1乃至実施例7の方法により得たこの発明のピラン誘導体を常法により昇華精製し、化学式2、化学式5、化学式17、化学式24、化学式36、化学式53及び化学式54で表されるさらに高純度のピラン誘導体を7種類得た。
【0207】
本例のピラン誘導体は、色素レーザーにおけるレーザー作用物質や、有機EL素子における発光剤として極めて有用である。
【0208】
【実施例10】
〈有機EL素子〉
発光剤として化学式2で表されるこの発明のピラン誘導体を用い、図2に示すがごとき、陽極2、正孔注入/輸送層3、発光層4、電子注入/輸送層5及び陰極6がこの順序で積層してなる有機EL素子を作製した。すなわち、スパッタリングにより、ガラス基板1上にITOをシート抵抗が20Ω/□になるように製膜して陽極2とした。この陽極2上に化学式57で表されるN,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1´−ビフェニル]−4,4´−ジアミンを厚さ40nmになるまで真空蒸着することによって陽極2に密着する正孔注入/輸送層3を形成した後、化学式76及び化学式2で表される化合物を49:1の重量比で厚さ50nmになるまで共蒸着することによって正孔注入/輸送層3に密着する発光層4を形成した。さらに、その発光層4上に化学式76で表される化合物を厚さ20nmになるまで真空蒸着することによって発光層4に密着する電子注入/輸送層5を形成した。その後、電子注入/輸送層5上にマグネシウム及び銀を10:1の蒸着速度で厚さ150nmになるまで共蒸着することによって電子注入/輸送層5に密着する陰極を形成した。斯くして得られた有機EL素子の陽極2及び陰極6間に直流8Vを印加したところ、波長610nm付近に発光極大を有する発光強度492cd/m2の赤色発光が得られた。
【0209】
【実施例11】
〈有機EL素子〉
実施例10において、発光層4を形成するに当って、化学式2で表されるピラン誘導体に代えて化学式5で表されるピラン誘導体を用いた以外は実施例10におけると同様にして有機EL素子を作製した。斯くして得られた有機EL素子の陽極及び陰極間に直流8Vを印加したところ、波長620nm付近に発光極大を有する発光強度719cd/m2の赤色発光が得られた。
【0210】
【実施例12】
〈有機EL素子〉
実施例10において、発光層4を形成するに当って、化学式2で表されるピラン誘導体に代えて化学式26で表されるピラン誘導体を用いた以外は実施例10におけると同様にして有機EL素子を作製した。斯くして得られた有機EL素子の陽極及び陰極間に直流8Vを印加したところ、波長623nm付近に発光極大を有する発光強度848cd/m2の赤色発光が得られた。
【0211】
【実施例13】
〈有機EL素子〉
実施例10において、発光層4を形成するに当って、化学式2で表されるピラン誘導体に代えて化学式36で表されるピラン誘導体を用いた以外は実施例10におけると同様にして有機EL素子を作製した。斯くして得られた有機EL素子の陽極及び陰極間に直流8Vを印加したところ、発光強度885cd/m2の赤色発光が得られた。
【0212】
【実施例14】
〈有機EL素子〉
実施例10において、発光層4を形成するに当って、化学式2で表されるピラン誘導体に代えて化学式55で表されるピラン誘導体を用いた以外は実施例10におけると同様にして有機EL素子を作製した。斯くして得られた有機EL素子の陽極及び陰極間に直流8Vを印加したところ、発光強度1,010cd/m2の赤色発光が得られた。
【0213】
【実施例15】
〈有機EL素子〉
実施例10において、発光層4を形成するに当って、化学式2で表されるピラン誘導体に代えて化学式8で表されるピラン誘導体を用いた以外は実施例10におけると同様にして有機EL素子を作製した。斯くして得られた有機EL素子の陽極及び陰極間に直流8Vを印加したところ、発光強度622cd/m2の赤色発光が得られた。
【0214】
【実施例16】
〈有機EL素子〉
実施例10において、発光層4を形成するに当って、化学式58で表される化合物と化学式36で表されるピラン誘導体の共蒸着膜を用い、後者の濃度を5重量%にした以外は実施例10におけると同様にして有機EL素子を作製した。斯くして得られた有機EL素子の陽極及び陰極間に直流8Vを印加したところ、発光強度867cd/m2の赤色発光が得られた。
【0215】
【実施例17】
〈有機EL素子〉
実施例10において、発光層4を形成するに当って、化学式82で表される化合物と化学式55で表されるピラン誘導体の共蒸着膜を用い、後者の濃度を2重量%にした以外は実施例10におけると同様にして有機EL素子を作製した。斯くして得られた有機EL素子の陽極及び陰極間に直流8Vを印加したところ、発光強度1,218cd/m2の赤色発光が得られた。
【0216】
【実施例18】
〈有機EL素子〉
実施例10において、発光層4を形成するに当って、化学式87で表される化合物と化学式26で表されるピラン誘導体の共蒸着膜を用い、後者の濃度を2重量%にした以外は実施例10におけると同様にして有機EL素子を作製した。斯くして得られた有機EL素子の陽極及び陰極間に直流8Vを印加したところ、発光強度398cd/m2の赤色発光が得られた。
【0217】
【実施例19】
〈有機EL素子〉
実施例10において、発光層4を形成するに当って、化学式90で表される化合物と化学式55で表されるピラン誘導体の共蒸着膜を用い、後者の濃度を0.5重量%とした以外は実施例10におけると同様にして有機EL素子を作製した。斯くして得られた有機EL素子の陽極及び陰極間に直流8Vを印加したところ、発光強度975cd/m2の赤色発光が得られた。
【0218】
【実施例20】
〈有機EL素子〉
発光剤として化学式2で表されるこの発明のピラン誘導体を用い、図2に示すがごとき、陽極2、正孔注入/輸送層3、発光層4、電子注入/輸送層5及び陰極6がこの順序で積層してなる有機EL素子を作製した。すなわち、スパッタリングにより、ガラス基板1上にITOをシート抵抗が20Ω/□になるように製膜して陽極2とした。この陽極2上に化学式58で表されるN,N´−ジフェニル−N,N´−ビス(1−ナフチル)−[1,1´−ビフェニル]−4,4´−ジアミンを厚さ40nmになるまで真空蒸着することによって陽極2に密着する正孔輸送層3を形成した後、化学式73及び化学式2で表される化合物を99:1の重量比で厚さ50nmになるまで共蒸着することによって正孔注入/輸送層3に密着する発光層4を形成した。さらに、その発光層4上に化学式95で表される化合物を厚さ20nmになるまで真空蒸着することによって発光層4に密着する電子注入/輸送層5を形成した。その後、電子注入/輸送層5上にマグネシウム及び銀を10:1の蒸着速度で厚さ150nmになるまで共蒸着することによって電子注入/輸送層5に密着する陰極を形成した。斯くして得られた有機EL素子の陽極2及び陰極6間に直流8Vを印加したところ、発光強度451cd/m2の赤色発光が得られた。
【0219】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明は新規なピラン誘導体の創製と、その産業上有用な諸特性の発見に基づくものである。この発明のピラン誘導体は、可視領域に吸収極大を有し、可視光を実質的に吸収することから、光増感剤として極めて有用であり、例えば、重合開始剤の存在下又は非存在下において、光重合性化合物に太陽光、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、アルゴンイオンレーザー、クリプトンイオンレーザー、ヘリウム・カドミウムレーザー、ヘリウム・ネオンレーザー、YAGレーザーの第二高調波などの可視光を照射する光化学的重合をはじめとする多種多様の用途を有するものである。したがって、この発明のピラン誘導体は、可視光に対する光増感が不可欠の技術要素となる、例えば、レーザーファクシミリ、レーザープリンター、カラースキャナー、白黒スキャナー、写真植字、平板製版、グラビア製版、フレキソ製版、シルクスクリーン製版などにおける印刷用刷版、さらには、インキ、塗料、化学蒸着(CVD)、感光性樹脂、感光性フィルム、感光性コーティング剤、光修復接着剤、印刷基板用レジスト、集積回路用レジスト、デジタルカラープルーフ、ホログラフィー、光ディスク用基板、歯科治療用充填剤、金属凸版、金属板罫引き、金属母型、カラーテレビジョン用シャドーマスクなどの印刷、出版、電子、情報記録、化学、金属、自動車、造船及び医療を含む諸種の分野において極めて有利に用いることができる。
【0220】
さらに、この発明のピラン誘導体は、可視領域、とりわけ、赤色域において顕著な発光能を発揮するので、有機EL素子におけるホスト発光剤や、他のホスト発光剤に微量ドープすることによってその発光効率や発光スペクトルを改善するためのゲスト発光剤、さらには、色素レーザーにおけるレーザー作用物質として極めて有用である。とりわけ、この発明のピラン誘導体を含んでなる有機EL素子は、可視領域、詳細には、赤色域において色純度の良い発光を高効率で与える。これは、この発明のピラン誘導体が分子内に1又は2個のアミノ基を有しており、これらのアミノ基がガラス状態におけるアモルファス性を良好に維持するとともに、諸材料の凝集を効果的に抑制するからであると推定される。
【0221】
斯くも顕著な作用効果を奏するこの発明は、斯界に貢献すること誠に多大な意義のある発明であると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による有機EL素子の概略図である。
【図2】この発明による別の有機EL素子の概略図である。
【図3】この発明によるさらに別の有機EL素子の概略図である。
【図4】この発明によるさらに別の有機EL素子の概略図である。
【符合の説明】
1 基板
2 陽極
3 正孔注入/輸送層
4 発光層
5 電子注入/輸送層
6 陰極
Claims (9)
- 一般式1又は一般式2のいずれかで表されるピラン誘導体。
- 請求項1に記載のピラン誘導体を含んでなる光増感剤。
- 可視光に感度を有する請求項2に記載の光増感剤。
- 請求項1に記載のピラン誘導体を含んでなる光重合性組成物。
- 重合性化合物とともに、重合開始剤及び/又はバインダー樹脂を含んでなる請求項4に記載の光重合性組成物。
- 可視光を照射することによって重合させることのできる請求項4又は5に記載光重合性組成物。
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