JP3883219B2 - ビスクマリン系化合物、およびこれを用いた可視光感光性樹脂組成物 - Google Patents

ビスクマリン系化合物、およびこれを用いた可視光感光性樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP3883219B2
JP3883219B2 JP14860295A JP14860295A JP3883219B2 JP 3883219 B2 JP3883219 B2 JP 3883219B2 JP 14860295 A JP14860295 A JP 14860295A JP 14860295 A JP14860295 A JP 14860295A JP 3883219 B2 JP3883219 B2 JP 3883219B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
visible light
compound
groups
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP14860295A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08337582A (ja
Inventor
▲頼▼明 松▲崎▼
理穂子 今井
啓輔 詫摩
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP14860295A priority Critical patent/JP3883219B2/ja
Publication of JPH08337582A publication Critical patent/JPH08337582A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3883219B2 publication Critical patent/JP3883219B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/46Polymerisation initiated by wave energy or particle radiation
    • C08F2/48Polymerisation initiated by wave energy or particle radiation by ultraviolet or visible light
    • C08F2/50Polymerisation initiated by wave energy or particle radiation by ultraviolet or visible light with sensitising agents

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Pyrane Compounds (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な化合物であるビスクマリン系化合物、およびこれを光増感剤として含有する可視光領域の光線に対し高い感度を示す可視光感光性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光重合反応を用いた情報、あるいは画像記録の分野で、従来のフィルム原稿等を用いた紫外線による記録方法に代わり、コンピューターによって電子編集された原稿を、そのまま、高出力レーザーを用いて直接出力し、記録する方法が検討されている。この方法は、レーザーによる直接書き込みにより、記録、画像形成工程が、大幅に簡略化できるという利点をもつ。
現在、一般的に使用されている高出力で安定なレーザー光源は、可視領域にその出力波長を有するものが多い。具体的には、波長488nmおよび514.5nmに安定な発振線を持つアルゴンレーザー、あるいは第2高調波として532nmに輝線を持つYAGレーザー等が汎用されている。そのため、それらの波長に対して高感度な化合物が望まれているが、従来使用されてきた紫外線用の感光剤では、可視領域での感度が低いため使用できなかった。また、ピリリウム塩、またはチオピリリウム塩類等の添加で、可視部での感度の向上は可能ではあるが、その感光層の保存安定性が低く、使用するのが困難であった。
【0003】
可視領域に感光性を有する化合物として、7−ジエチルアミノ−3−ベンゾチアゾイルクマリン(慣用名;クマリン−6)、あるいはビス〔3−(7−ジエチルアミノクマリル)〕ケトン(慣用名;ケトクマリン)が知られているが、これらは、最大吸収波長が450nm前後にあるため、アルゴンレーザーの488nmよりは短波長であることから、感度が不十分である。また、特開平4−18088号公報に記載の4−置換−3−ベンゾチアゾイルクマリン化合物は、アルゴンレーザーの488nmには感光しうるものの、514.5nmあるいはYAGレーザーの第二高調波である532nmでは、吸収能が低く、感度向上の余地を残していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高出力で安定なレーザー光源であるアルゴンレーザーの488nm、514.5nmの発振線、あるいは、YAGレーザーの第2高調波である532nm等の可視光領域の長波長のレーザー光に対して高感度な光増感剤、及び感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記一般式(1)(化3)で表される新規ビスクマリン系化合物、該化合物を含有する光増感剤および可視光感光性樹脂組成物、さらに該組成物を基板上に有してなる可視光感光材料に関するものである。
【0006】
【化3】
Figure 0003883219
[式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、それぞれ同一または独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシカルボニルアルキル基を示し、互いに結合するか、骨格内のアミノ基の置換したベンゼン核と結合して環を形成してもよく、R5 、R6 は、それぞれ同一または独立に、水素原子、、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲノアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホン酸基を示し、R7 、R8 は、それぞれ同一または独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアルコキシカルボニル基、あるいは下記(1a)、(1b)、(1c)、(1d)(化4)で表される置換基を示す。
【0007】
【化4】
Figure 0003883219
(ここで、R11〜R15は水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルキル基、シクロアルキル基を示し、m、n、p、qはそれぞれ1〜5の整数を示す)
を示し、R9 、R10はそれぞれ同一または独立に、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアルコキシカルボニル基、あるいは前記(1a)、(1b)、(1c)、(1d)で表される置換基を示す。〕
【0008】
本発明の前記一般式(1)で表される化合物は、光増感剤として有用な新規なビスクマリン系化合物である。すなわち、ビス(3−クマリル)ケトン系化合物のカルボニル基と、例えばKnoevenagel反応を利用して活性メチレンを有した試剤とを反応させ、共役を延長させるか、あるいは電子吸引基の効果により極大吸収波長の長波長化や樹脂中への高溶解性、さらには高感度化を実現したものであり、光硬化樹脂(例えば、エチレン型不飽和結合を分子中に少なくとも1個以上有する光重合または光架橋可能な化合物)、および光重合開始剤を用いる光硬化に適用可能なきわめて有用な化合物である。更に従来の光増感剤は塗布方式の違いによって感度が大きく変動していたが、本発明の光増感剤は、いずれの方式においても安定した感度を示し、要望を十分満足させるものである。
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の前記一般式(1)で表される化合物において、R1 、R2 、R3 、R4 は水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシカルボニルアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。
具体的には、水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル基等のアルキル基;メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル、γ−メトキシプロピル、γ−エトキシプロピル基等のアルコキシアルキル基;アリル、2−ブテニル、2−ペンテニル基等のアルケニル基;ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシアルキル基;ベンジル、フェネチル基等のアラルキル基;フェニル、p−メチルフェニル、m−メチルフェニル、o−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル基等のアリール基;メトキシカルボニルメチル、メトキシカルボニルエチル、エトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルエチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基等が挙げられる。
また、R1 とR2 及び/またはR3 とR4 が互いに結合し、または骨格内のアミノ基が置換しているベンゼン核と結合して、次のような環(化5)を形成してもよい。
【0010】
【化5】
Figure 0003883219
(式中、R2 、R4 、R5 、R6 は一般式(1)と同じ意味を示し、R16〜R19は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0011】
また一般式(1)において、R5 、R6 は、それぞれ同一または独立に、水素原子、、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲノアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルコキシカルボニル基、スルホン酸基を示し、具体的には、水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、基等のアルキル基;メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチル、エトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基;クロロメチル、2−クロロエチル、ジクロロメチル、トリフルオロメチル基等のハロゲノアルキル基;水酸基;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ基等のアルコキシ基;メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、エトキシメトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、iso−プロポキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;スルホン酸基;塩素原子、フッ素原子、臭素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
【0012】
同様に一般式(1)において、R7 、R8 は、それぞれ同一または独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアルコキシカルボニル基、あるいは前記(1a)、(1b)、(1c)、(1d)で表される置換基を示す。
【0013】
具体的には水素原子;塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、iso−ブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ基等のアルコキシ基;シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ基等のシクロアルコキシ基;シアノ基;カルボキシ基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、iso−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、iso−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニルカルボニル、n−ヘプチルオキシカルボニル、n−オクチルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル基等のシクロアルコキシカルボニル基;
【0014】
フェノキシカルボニル、p−メチルフェノキシカルボニル、m−メチルフェノキシカルボニル、o−メチルフェノキシカルボニル、2,4−ジメチルフェノキシカルボニル、2,6−ジメチルフェノキシカルボニル、2,4,6−トリメチルフェノキシカルボニル、4−フェニルフェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;プロペノキシカルボニル、2−ブテノキシカルボニル基等のアルケニルオキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル、メチルベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基;メトキシカルボニルメトキシカルボニル、エトキシカルボニルメトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニルメトキシカルボニル、iso−プロポキシカルボニルメトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルメトキシカルボニル、エチルカルボニルメトキシカルボニル基等のアルキルカルボニルアルコキシカルボニル基;ヒドロキシエチルカルボニル、ヒドロキシエトキシエチルカルボニル、ヒドロキシエトキシエトキシエチルカルボニル、エトキシエトキシエチルカルボニル基等のポリエーテルアルキルカルボニル基;ヒドロキシエトキシカルボニル、ヒドロキシエトキシエトキシカルボニル、ヒドロキシプロポキシプロポキシカルボニル、ヒドロキシエトキシエトキシエトキシカルボニル基等のポリエーテルカルボニル基;
【0015】
アミノカルボニル基;メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、n−ペンチルアミノカルボニル、n−ヘキシルアミノカルボニル、n−ヘプチルアミノカルボニル、n−オクチルアミノカルボニル基等のモノアルキルアミノカルボニル基;ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジプロピルアミノカルボニル、ジブチルアミノカルボニル、ジペンチルアミノカルボニル、ジヘキシルアミノカルボニル、ジヘプチルアミノカルボニル、ジオクチルアミノカルボニル基等のジアルキルアミノカルボニル基;ヒドロキシエチルアミノカルボニル、2−ヒドロキシプロピルアミノカルボニル、3−ヒドロキシプロピルアミノカルボニル基等のモノ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基;ジ(ヒドロキシエチル)アミノカルボニル、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミノカルボニル、ジ(3−ヒドロキシプロピル)アミノカルボニル基等のジ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基;ヒドロキシエトキシエチルアミノカルボニル、ヒドロキシプロポキシエルアミノカルボニル、ヒドロキシプロポキシプロピルアミノカルボニル基等のモノ(ヒドロキシアルコキシアルキル)アミノカルボニル基;
【0016】
ジ(ヒドロキシエトキシエチル)アミノカルボニル、ジ(ヒドロキシプロポキシエチル)アミノカルボニル、ジ(ヒドロキシプロポキシプロピル)アミノカルボニル基等のジ(ヒドロキシアルコキシアルキル)アミノカルボニル基;メトキシメチルアミノカルボニル、メトキシエチルアミノカルボニル、エトキシメチルアミノカルボニル、エトキシエチルアミノカルボニル、プロポキシエチルアミノカルボニル等のモノ(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基;ジ(メトキシメチル)アミノカルボニル、ジ(メトキシエチル)アミノカルボニル、ジ(エトキシメチル)アミノカルボニル、ジ(エトキシエチル)アミノカルボニル、ジ(プロポキシエチル)アミノカルボニル基等のジ(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基;シクロペンチルアミノカルボニル、シクロヘキシルアミノカルボニル基等のシクロアルキルアミノカルボニル基等が挙げられる。
【0017】
また一般式(1)において、R9 、R10はそれぞれ同一または独立に、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアルコキシカルボニル基、あるいは前記(1a)、(1b)、(1c)、(1d)で表される置換基を示す。
【0018】
具体的には、シアノ基;ニトロ基;カルボキシ基;メチルカルボニル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル等のアルキルカルボニル基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル基等のシクロアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル、p−メチルフェノキシカルボニル、m−メチルフェノキシカルボニル、o−メチルフェノキシカルボニル、2,4−ジメチルフェノキシカルボニル、2,6−ジメチルフェノキシカルボニル、2,4,6−トリメチルフェノキシカルボニル、4−フェニルフェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;プロペノキシカルボニル、2−ブテノキシカルボニル基等のアルケニルオキシカルボニル基;
【0019】
ベンジルオキシカルボニル、メチルベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基;メトキシカルボニルメトキシカルボニル、エトキシカルボニルメトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニルメトキシカルボニル、iso−プロポキシカルボニルメトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基;メチルカルボニルメトキシカルボニル、エチルカルボニルメトキシカルボニル基等のアルキルカルボニルアルコキシカルボニル基;ヒドロキシエチルカルボニル、ヒドロキシエトキシエチルカルボニル、ヒドロキシエトキシエトキシエチルカルボニル、エトキシエトキシエチルカルボニル基等のポリエーテルアルキルカルボニル基;ヒドロキシエトキシカルボニル、ヒドロキシエトキシエトキシカルボニル、ヒドロキシプロポキシプロポキシカルボニル、ヒドロキシエトキシエトキシエトキシカルボニル基等のポリエーテルカルボニル基;
【0020】
アミノカルボニル基;メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n−プロピルアミノカルボニル、n−ブチルアミノカルボニル、n−ペンチルアミノカルボニル、n−ヘキシルアミノカルボニル、n−ヘプチルアミノカルボニル、n−オクチルアミノカルボニル基等のモノアルキルアミノカルボニル基;ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジプロピルアミノカルボニル、ジブチルアミノカルボニル、ジペンチルアミノカルボニル、ジヘキシルアミノカルボニル、ジヘプチルアミノカルボニル、ジオクチルアミノカルボニル基等のジアルキルアミノカルボニル基;ヒドロキシエチルアミノカルボニル、2−ヒドロキシプロピルアミノカルボニル、3−ヒドロキシプロピルアミノカルボニル基等のモノ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基;ジ(ヒドロキシエチル)アミノカルボニル、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミノカルボニル、ジ(3−ヒドロキシプロピル)アミノカルボニル基等のジ(ヒドロキシアルキル)アミノカルボニル基;ヒドロキシエトキシエチルアミノカルボニル、ヒドロキシプロポキシエルアミノカルボニル、ヒドロキシプロポキシプロピルアミノカルボニル基等のモノ(ヒドロキシアルコキシアルキル)アミノカルボニル基;
【0021】
ジ(ヒドロキシエトキシエチル)アミノカルボニル、ジ(ヒドロキシプロポキシエチル)アミノカルボニル、ジ(ヒドロキシプロポキシプロピル)アミノカルボニル基等のジ(ヒドロキシアルコキシアルキル)アミノカルボニル基;メトキシメチルアミノカルボニル、メトキシエチルアミノカルボニル、エトキシメチルアミノカルボニル、エトキシエチルアミノカルボニル、プロポキシエチルアミノカルボニル等のモノ(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基;ジ(メトキシメチル)アミノカルボニル、ジ(メトキシエチル)アミノカルボニル、ジ(エトキシメチル)アミノカルボニル、ジ(エトキシエチル)アミノカルボニル、ジ(プロポキシエチル)アミノカルボニル基等のジ(アルコキシアルキル)アミノカルボニル基;シクロペンチルアミノカルボニル、シクロヘキシルアミノカルボニル基等のシクロアルキルアミノカルボニル基等が挙げられる。
【0022】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、例えば、下記に示した2つの反応経路で製造することができる。
一般式(1)において、左右対称なクマリル基を有するビスクマリン化合物、つまり、R1 =R3 、R2 =R4 、R5 =R6 、R7 =R8 である一般式(2)(化6)で表される化合物を製造する方法は次の通りである。即ち、一般式(3)(化6)で表される4−置換アミノサリチルアルデヒド類とアセトンジカルボン酸ジエチルを、例えば、メタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す)ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以下、DMIと略す)の様な極性溶媒中で、モル比2:1で混合したものに、10分の1程度の触媒量の弱塩基(例えば、ピペリジン、ピロリジン、ピリジン、アニリンの様なアミン類が好ましい)を加え、その混合物を0〜100℃、好ましくは、60〜80℃で1〜12時間反応させ、一般式(4)(化6)で表される化合物を製造する。この一般式(4)で表される化合物に、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサンあるいは酢酸等の溶媒中、例えばKnoevenagel反応等の常法を利用して、反応促進剤あるいは触媒(例えば、四塩化チタン、アンモニア、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、酢酸、無水酢酸、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム等が好ましい)及び、活性メチレンを有した一般式(5)(化6)で表される試剤を加え、その混合物を−10〜150℃、好ましくは、−5〜130℃で1〜12時間反応させ変換することによって一般式(2)でR7 が水素原子である一般式(6)(化6)の化合物が得られる。
【0023】
【化6】
Figure 0003883219
【0024】
また、一般式(1)において、左右非対称なクマリル基を有するビスクマリン化合物(1)を製造する方法は次の通りである。即ち、一般式(7)(化7)で表される4−置換アミノサリチルアルデヒド類とアセトンジカルボン酸ジエチルを、例えば、メタノール、エタノール、DMF、ジメチルスルホキシド、DMIの様な極性溶媒中で、モル比1:1で混合したものに、10分の1程度の触媒量の弱塩基(例えば、ピペリジン、ピロリジン、ピリジン、アニリンの様なアミン類が好ましい)を加え、その混合物を0〜100℃、好ましくは、60〜80℃で1〜5時間反応させ、一般式(8)(化7)で表される化合物を製造する。次いで、この一般式(8)で表される化合物と、一般式(3)で表される化合物とを、例えば、メタノール、エタノール、DMF、ジメチルスルホキシド、DMIの様な極性溶媒中で、モル比1:1で混合したものに、10分の1程度の触媒量の弱塩基(例えば、ピペリジン、ピロリジン、ピリジン、アニリンの様なアミン類が好ましい)を加え、その混合物を0〜100℃、好ましくは、60〜80℃で1〜12時間反応させ、一般式(9)(化7)で表される化合物を製造する。この一般式(9)で表される化合物に、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、あるいは酢酸等の溶媒中、例えばKnoevenagel反応等の常法を利用して、反応促進剤あるいは触媒(例えば、四塩化チタン、アンモニア、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、酢酸、無水酢酸、酢酸ナトリウム、酢酸アンモニウム等が好ましい)及び、活性メチレンを有した一般式(5)で表される試剤を加え、その混合物を−10〜150℃、好ましくは、−5〜130℃で1〜12時間反応させ変換することによって一般式(1)でR7 、R8 が水素原子である一般式(10)(化7)の化合物が得られる。
【0025】
【化7】
Figure 0003883219
【0026】
一般式(1)において、R7 及びR8 で表される置換基を導入するためには、例えば、シアノ化を行い、その後、異なった置換基に誘導していく方法等がある。例えば、シアノ化は、前記の方法で得られた化合物(6)を、「Dyes and Pigments 1巻、3〜15ページ(1980年)」記載のクマリン化合物のシアノ化法を参考に、DMF中でNaCNと反応させた後、臭素によって酸化する方法で行う。この方法により、モノシアノ体(11)(化8)もしくはジシアノ体(12)(化8)が得られる。
【0027】
【化8】
Figure 0003883219
【0028】
シアノ体(11)及び(12)のシアノ基は、50〜98%硫酸中で、70〜100℃に加熱して、加水分解すると、カルボキシ基に変換できる。さらに、このカルボキシ基を含む化合物を、アルコール類、アミン類、ハロゲン化アルキル類、各種トシレート類、またはフェノール類等と、塩素化剤で一旦酸クロライド体にした後に反応させるか、もしくは、酸触媒、脱水剤存在下、または無触媒で加熱する方法により、R7 、R8 にエステル類あるいはアミド類等が導入できる。また、一般式(10)についても、上記と同様な方法でシアノ化することができる。
さらに、一般式(1)において、R7 及びR8 で表される置換基に、上記以外の置換基を導入するためには、一般式(6)及び(10)において、例えば、臭素化等のハロゲン化を行い、その後、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ハロゲノアルキル基等の置換基に変換する方法を用いる。
なお、一般式(1)の製造法については、上記の如く、カルボニル基を置換基R9 及びR10に変換した後、置換基R7 及びR8 を導入する方法、あるいは、初めに、クマリン骨格に置換基R7 及びR8 を導入した後、最後に、カルボニル基を置換基R9 及びR10に変換する方法の何れを用いてもよい。
【0029】
7 及びR8 で表される置換基は、前記置換基の内、好ましくは、水素原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアルコキシカルボニル基、または前記(1a)、(1b)、(1c)、(1d)の置換基である。
9 及びR10で表される置換基は、前記置換基の内、好ましくは、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアルコキシカルボニル基、または前記(1a)、(1b)、(1c)、(1d)の置換基である。
5 及びR6 で表される置換基は、前記置換基の内、好ましくは、水素原子である。
1 〜R4 で表される置換基は、前記置換基の内、好ましくは、アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基であり、また、R1 とR2 3 とR4 が互いに結合し環を形成した前記の環である。
【0030】
本発明の化合物は、400〜700nmの可視光領域の光、特に、400〜600nmの光を吸収することにより励起され、光硬化性樹脂や、光重合開始剤と相互作用を有する化合物である。ここで言う「相互作用」には、励起された本発明の化合物から光硬化性樹脂または光重合開始剤へのエネルギー移動や電子移動が包含される。このことから、本発明の化合物は、光増感剤として、極めて有用な化合物である。
【0031】
本発明の化合物は単独で光増感剤として使用されるが、他の公知の光増感剤と混合して用いることもできる。公知の光増感剤としては一般に使用されている光増感剤であれば特に限定されないが、例えば、ケトクマリン、クマリン−6、特開平4−18088号公報に記載されたクマリン化合物等が挙げられる。他の光増感剤を混合して用いる際、本発明の化合物は、使用するレーザーの波長における可視光感光性樹脂組成物の吸光度が、0.1〜2.0、好ましくは、0.3〜1.5の範囲になるように配合され、その使用量は、全光増感剤に対して、30〜95重量%であり、好ましくは、70〜90重量%である。
【0032】
本発明の可視光感光性樹脂組成物は、本発明の化合物を光増感剤として用い、光硬化性樹脂、光重合開始剤等を混合して得られるものである。
本発明の可視光感光性樹脂組成物において、本発明の化合物の使用量は、その種類や相互作用すべき光硬化性樹脂および/または重合開始剤の種類によって異なり、厳密に規定することは困難であるが、一般的に言えば光硬化性樹脂成分100重量部当たり0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜5重量部の範囲内が適当である。本化合物の使用量が0.1重量部より少なすぎると、形成される被膜の感光性が低下するので好ましくなく、10重量部より多くなると、溶解性の点で、組成物中に均一な状態に保つことが困難なる傾向がみられる。
【0033】
本発明で用いる光硬化性樹脂としては、一般に使用されている光照射により架橋もしくは重合しうる感光性基を有する光硬化性樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、特開平3−223759号公報の第2頁右下欄第6行〜第6頁左下欄第16行目に記載の感光性基として(メタ)アクリロイル基を含むアニオン性光硬化性樹脂、感光性基としてシンナモイル基を含む光硬化性樹脂、感光性基としてアリル基を含む光感光性樹脂等が挙げられる。
【0034】
本発明で用いる光重合開始剤としては、一般に使用されている光重合開始剤であれば特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジル、キサントン、チオキサントン、アントラキノン等の芳香族カルボニル化合物;アセトフェノン、プロピオフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α,α’−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−1−シクロヘキシルアセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の有機過酸化物;ジフェニルヨードニウムブロマイド、ジフェニルヨードニウムクロライド等のジフェニルハロニウム塩;四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム、ヨードホルム等の有機ハロゲン化物;3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンベンズアントロン等の複素環式及び多環式化合物;2,2’−アゾ(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ化合物;鉄−アレン錯体(Iron-Arene Complex:ヨーロッパ特許152377号公報参照);チタノセン化合物(特開昭63−221110号公報参照);ビスイミダゾール系化合物;N−アリールグリシン系化合物;アクリジン系化合物;芳香族ケトン/芳香族アミンの組み合わせ等が挙げられる。
【0035】
上記の光重合開始剤の中でも、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレート、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、鉄−アレン錯体及びチタノセン化合物は、架橋もしくは重合に対して活性が高いため好ましい化合物である。
これらの光重合開始剤の使用量は、臨界的なものではなく、その種類等に応じて幅広い範囲で変えることができるが、一般には、前述した光硬化性樹脂固形分100重量部当たり、0.1〜25重量部、好ましくは、0.2〜10重量部の範囲内とすることができる。25重量部を越えて多量に用いると、得られる組成物の安定性が低下し好ましくない。
【0036】
次に、本発明の可視光感光性樹脂組成物の用途について説明する。
本発明の可視光感光性樹脂組成物は、一般に用いられている公知の感光性材料と同様に取り扱うことができる。即ち、本発明の化合物を含有する可視光感光性組成物を溶剤に溶解(着色剤に顔料を用いた場合は、顔料を微分散)させて、感光液(例えば、可視光感光材料用インキ等)を調製し、これを支持体上に、例えば、ローラー、コールコーター、スピンコーター等のごとき塗布装置を用いて塗布し、乾燥する方法により、これを可視光感光材料をして用いることができる。可視光感光材料用インキとして用いる際は、本発明の化合物を含有する可視光感光性組成物をインキ固形分濃度3〜40重量%、好ましくは、5〜30重量%の範囲になるように溶剤で希釈する。
【0037】
使用する溶剤としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素(クロロホルム、トリクロロエチレン、ジクロロメタン等)、アルコール(エチルアルコール、ベンジルアルコール等)、その他(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホンオキシム等)などが挙げられる。
また、支持体としては、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、鉄等の金属またはそれらを成分とした合金のシート又はこれらの金属で表面を処理したプリント基板、プラスチック、ガラス又はシリコーンウェハー、カーボンなどが挙げられる。
【0038】
また、本発明の可視光感光性樹脂組成物は、通常の電着塗装用感光性材料と同様に取り扱うことができ、電着塗装用の塗料として用いることもできる。その場合、最初に光硬化性樹脂を水分散化物とするか、又は水溶化物とする。
光硬化性樹脂の水分散化又は水溶化は、光硬化性樹脂中のカルボキシル基等のアニオン性基が導入されている場合には、アルカリ(中和剤)で中和するか、又は、アミノ基等のカチオン性基が導入されている場合には、酸(中和剤)で中和することによって行われる。その際に使用されるアルカリ中和剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン類;トリエチルアミン、ジエチルアミン、モノエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジイソブチルアミン等のアルキルアミン類;ジメチルアミノエタノール等のアルキルアルカノールアミン類;シクロヘキシルアミン等の脂環族アミン類;カセイソーダ、カセイカリ等のアルカリ金属水酸化物;アンモニアなどが挙げられる。また、酸中和剤としては、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、酪酸等のモノカルボン酸が挙げられる。これらの中和剤は単独でまたは混合して使用できる。中和剤の使用量は光硬化樹脂中に含まれるイオン性基1当量当たり、一般に、0.2〜1.0当量、特に0.3〜0.8当量の範囲が望ましい。
【0039】
水溶化または水分散化した樹脂成分の流動性をさらに向上させるために、必要により、上記光硬化性樹脂に親水性溶剤、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等を加えることができる。かかる親水性溶剤の使用量は、一般には、樹脂固形成分100重量部当り、300重量部まで、好ましくは100重量部までとすることができる。
また、被塗装物への塗着量を多くするため、上記光硬化性樹脂に対し、疎水性溶剤、例えば、トルエン、キシレン等の石油系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;2-エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類なども加えることができる。これらの疎水性溶剤の配合量は、樹脂固形成分100重量部当り、通常、200重量部まで、好ましくは100重量部以下とすることができる。
【0040】
電着塗料用の可視光感光性組成物の調製は、従来から公知の方法で行うことができる。例えば、前記の中和により水溶化された光硬化性樹脂、本発明の光増感剤、光重合開始剤、さらに必要に応じ、含窒素化合物、溶剤及びその他の成分をよく混合し、水を加えることにより調製することができる。
このようにして調整される組成物は、通常の方法で、さらに水で希釈し、例えば、pHが4〜9の範囲内、浴濃度(固形分濃度)3〜25重量%、好ましくは5〜15重量%の範囲内の電着塗料(または電着浴)とすることができる。
【0041】
上記のようにして調製された電着塗料は、次のようにして被塗物である導体表面に塗装することができる。即ち、まず、浴のpH及び浴濃度を上記の範囲に調製し、浴温度を15〜40℃、好適には、15〜30℃に管理する。次いで、このように管理された電着塗装浴に、塗装されるべき導体を電着塗料がアニオン型の場合には陽極として、また、カチオン型の場合には陰極として、浸漬、5〜200Vの直流電流を通電する。通電時間は、30秒〜5分が適当であり、得られる膜厚は乾燥膜厚で、一般に、0.5〜50μm、好適には、1〜15μmである。電着塗装後、電着浴から被塗物を引き上げ水洗した後、電着塗膜中に含まれる水分などを熱風等で乾燥、除去する。
導体としては、金属、カーボン、酸化錫等の導電性材料またはこれらを積層、メッキ等によりプラスチック、ガラス表面に固着させたものが使用できる。
【0042】
上記のごとくして導体表面に形成される可視光感光材料、及び電着塗装によって得られる可視光感光性電着塗膜は、画像に応じて、可視光で露光し、硬化させ、非露光部を現像処理によって除去することにより、画像を形成することができる。
露光のための光源としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等の各光源により得られる光源のうち、紫外線を紫外カットフィルターによりカットした可視領域の光線や、可視領域に発振線をもつ各種レーザー等が使用できる。高出力で安定なレーザー光源として、アルゴンレーザー、あるいはYAGレーザーの第2高調波が好ましい。
【0043】
現像処理は、非露光部膜がアニオン性の場合にはアルカリ水溶液を用いて、またカチオン性の場合にはpH5以下の酸水溶液を用いて洗い流すことにより行われる。アルカリ水溶液は、通常、カセイソーダ、炭酸ソーダ、カセイカリ、アンモニア水など塗膜中に有する遊離のカルボン酸と中和して水溶性を与えることのできるものが、また、酸水溶液は酢酸、ギ酸、乳酸などが使用可能である。
また、イオン性基をもたない光硬化性樹脂の場合の現像処理は、1,1,1−トリクロロエタン、トリクレン、メチルエチルケトン、塩化メチレン等の溶剤を使って、未露光部を溶解することによって行う。
【0044】
現像した後の塗膜は、水洗後、熱風等により乾燥が行われ、導体上に目的とする画像が形成される。また、必要に応じて、エッチングを施し、露出した導体部を除去した後、レジスト膜を除去し、プリント回路板の製造を行うこともできる。
本発明の可視光感光性樹脂組成物は、フォトレジストをはじめ、平板や凸版用製版材、オフセット印刷用PS板、情報記録材料、レリーフ像作製材料等幅広い用途への応用が可能である。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、これらは例示的なものであり、本発明は、これらに限定されるものではない。実施例中の部は重量部、%は重量%を示す。
実施例1
4−ジエチルアミノサリチルアルデヒド5.7部とアセトンジカルボン酸エチル2.5部に、ピペリジン0.2部を加え、エタノール溶媒中で、80℃で4時間反応させ、濾別後、結晶をよくエタノールで洗浄、乾燥して、ビス〔3−(7−ジエチルアミノクマリル)〕ケトン5.5部を得た。この化合物9.2部を、200部のクロロホルム中に溶解させ、そこへ四塩化チタン11.4部を室温で滴下し、そのまま1時間反応させたのち、マロンニトリル13.2部、ピリジン41部及びクロロホルム125部からなる溶液を室温で滴下した。70℃まで加熱した後、1時間攪拌し、反応を終了した。冷却した後、水500部を加え、無機物を分離し、クロロホルム層を抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。カラムクロマトグラフィーにより、このクロロホルム層を展開させて、精製を行い、下記(A)(化9)で表される化合物7.9部を得た。
【0046】
【化9】
Figure 0003883219
Figure 0003883219
【0047】
また、上記ビスクマリン誘導体(A)5部とポリビニルピロリドンをバインダーポリマーとして100部、ペンタエリスリトールトリアクリレート100部、光重合開始剤の3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン4部、メチルセルソルブ1000部を用いて感光液を調整し、積層銅板上にスピナーを用いて塗布した。
次いで、キセノンランプまたはアルゴンレーザーまたはYAGレーザーによって、上記の感光層に光照射したところ、すみやかに樹脂が硬化することが確認された。
【0048】
実施例2
実施例1で得られたビス〔3−(7−ジエチルアミノクマリル)〕ケトン12部を120部のDMF中に加え、そこへ30%NaCN水溶液4.3部を室温で滴下し、40℃で1時間反応させた後、臭素4.6部を10℃以下で滴下し、2時間攪拌した。この反応溶液を水200gへ排出して、結晶化させ、濾過し、水洗を十分に行い、乾燥して、下記化合物(B)(化10)8.2部を得た。
【0049】
【化10】
Figure 0003883219
上記化合物(B)4.9部、シアノ酢酸イソプロピル2.5部、及び酢酸アンモニウム1.5部を酢酸50部及びトルエン10部中に加え、110℃まで加熱し、5時間反応させた。室温まで冷却して、水100部へ排出して結晶化させ、濾過し、水洗を十分に行い、乾燥した後、カラムクロマトグラフィーにより分離精製を行い、下記の化合物(C)(化11)を4.3部得た。
【0050】
【化11】
Figure 0003883219
Figure 0003883219
【0051】
また、上記ビスクマリン誘導体(C)を用い、実施例1に示したのと同様の組成の感光液を調整して、感光層を形成し、キセノンランプまたはアルゴンレーザーまたはYAGレーザーによって、上記の感光層に光照射したところ、すみやかに樹脂が硬化することが確認された。
【0052】
実施例3〜11、13〜47
実施例1と同様にして、第1表(表1〜表9)に示す光増感剤を合成した。それらの吸収極大(λmax クロロホルム中)、元素分析値を示す。また、これらの光増感剤を実施例1に示し方法と同様な方法により感光液を調整して、感光層を形成し、キセノンランプまたはアルゴンレーザーまたはYAGレーザーによって、上記の感光層に光照射したところ、全ての光増感剤において、すみやかに樹脂が硬化することが確認された。
【0053】
【表1】
Figure 0003883219
【0054】
【表2】
Figure 0003883219
【0055】
【表3】
Figure 0003883219
【0056】
【表4】
Figure 0003883219
【0057】
【表5】
Figure 0003883219
【0058】
【表6】
Figure 0003883219
【0059】
【表7】
Figure 0003883219
【0060】
【表8】
Figure 0003883219
【0061】
【表9】
Figure 0003883219
【0062】
【発明の効果】
本発明のビスクマリン系化合物は、光増感剤として極めて有用性の高い化合物である。従来、光重合反応を用いた情報記録の分野で、コンピューターによって電子編集された原稿を、そのまま直接レーザーを用いて出力し記録する方式では、感光層の経時安定性が低く、また、感度が低く、溶解性、保存安定性等に問題があった。しかし、本発明のビスクマリン系化合物は、基本樹脂との相溶性がよく、かつ、汎用の塗布溶剤に溶解し、支持体上で均一で平滑な塗面を得ることができる。
【0063】
また、本発明のビスクマリン系化合物は、488nmおよび514.5nmに安定な発振線をもつアルゴンレーザーや第2高調波として532nmに輝線を持つYAGレーザー等の汎用可視レーザーに対して、非常に高い感度を有するため、本発明の光増感剤を用いて得られた感光材料は、このようなレーザーにより高速走査露光が可能である。また、高速走査露光により画像を形成した場合、極めて微細な高解像度の画像が得られる。

Claims (5)

  1. 一般式(1)(化1)で表されるビスクマリン系化合物。
    Figure 0003883219
    [式中、R1 、R2 、R3 、R4 は、それぞれ同一または独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシカルボニルアルキル基を示し、互いに結合するか、骨格内のアミノ基の置換したベンゼン核と結合して環を形成してもよく、R5 、R6 は、それぞれ同一または独立に、水素原子、、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロゲノアルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシアルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホン酸基を示し、R7 、R8 は、それぞれ同一または独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアルコキシカルボニル基、あるいは下記(1a)、(1b)、(1c)、(1d)(化2)で表される置換基を示す。
    Figure 0003883219
    (ここで、R11〜R15は水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルコキシアルキル基、アルコキシアルキル基、シクロアルキル基を示し、m、n、p、qはそれぞれ1〜5の整数を示す)
    を示し、R9 、R10はそれぞれ同一または独立に、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルアルコキシカルボニル基、あるいは前記(1a)、(1b)、(1c)、(1d)で表される置換基を示す。〕
  2. 請求項1記載のビスクマリン系化合物を含有してなる光増感剤。
  3. 請求項2記載の光増感剤を含有してなる可視光感光性樹脂組成物。
  4. 請求項3記載の可視光感光性樹脂組成物と溶剤とを含有してなる可視光感光材料用インキ。
  5. 請求項3記載の可視光感光性樹脂組成物を基材上に有してなる可視光感光材料。
JP14860295A 1995-06-15 1995-06-15 ビスクマリン系化合物、およびこれを用いた可視光感光性樹脂組成物 Expired - Fee Related JP3883219B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14860295A JP3883219B2 (ja) 1995-06-15 1995-06-15 ビスクマリン系化合物、およびこれを用いた可視光感光性樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14860295A JP3883219B2 (ja) 1995-06-15 1995-06-15 ビスクマリン系化合物、およびこれを用いた可視光感光性樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08337582A JPH08337582A (ja) 1996-12-24
JP3883219B2 true JP3883219B2 (ja) 2007-02-21

Family

ID=15456446

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14860295A Expired - Fee Related JP3883219B2 (ja) 1995-06-15 1995-06-15 ビスクマリン系化合物、およびこれを用いた可視光感光性樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3883219B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001072683A (ja) * 1999-03-09 2001-03-21 Hayashibara Biochem Lab Inc 4−シアノクマリン誘導体
JP4652516B2 (ja) * 1999-03-09 2011-03-16 株式会社林原生物化学研究所 ピラン誘導体
WO2003020725A1 (fr) * 2001-08-31 2003-03-13 Kabushiki Kaisha Hayashibara Seibutsu Kagaku Kenkyujo Composes coumariniques
CN103497169A (zh) * 2013-09-27 2014-01-08 淮阴师范学院 3,3’-(苯基亚甲基)双(4-氨基-2h-苯并吡喃-2-酮)衍生物的合成方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08337582A (ja) 1996-12-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR940001555B1 (ko) 가시방사선 감광성 조성물
JP3883219B2 (ja) ビスクマリン系化合物、およびこれを用いた可視光感光性樹脂組成物
JPH09208574A (ja) ビスクマリン化合物およびその用途
JP2002169275A (ja) 光酸発生剤及びそれを用いた可視光感光性樹脂組成物
JPH09268185A (ja) クマリン化合物およびその用途
JPH09221486A (ja) クマリン系化合物、およびこれを用いた可視光感光性樹脂組成物
JPH09328482A (ja) クマリン化合物およびその用途
JP2930403B2 (ja) 感光性組成物
JP3739136B2 (ja) 可視光感光性樹脂組成物およびその用途
JPH09227547A (ja) 可視光感光性樹脂組成物およびその用途
JP3512243B2 (ja) ビス(3−クマリル)チオケトン化合物およびその用途
JPH10204085A (ja) クマリン化合物およびその用途
JP3570752B2 (ja) 4−置換カルボニルクマリン誘導体、およびこれを用いた可視光感光性組成物
JPH1017562A (ja) クマリン化合物およびその用途
JP3838695B2 (ja) クマリン化合物およびその用途
JPH11352686A (ja) 可視光硬化性樹脂組成物及びその用途
JP2000007715A (ja) 可視光硬化性樹脂組成物及びその用途
JPH1045741A (ja) クマリン化合物およびその用途
JP2000019729A (ja) 可視光硬化性樹脂組成物及びその用途
JP2000039716A (ja) ポジ型可視光感光性樹脂組成物及びその用途
JPH11322744A (ja) 光増感剤および該光増感剤を用いる可視光硬化性樹脂組成物およびその用途
JP3987628B2 (ja) 可視光硬化性樹脂組成物およびその用途
JP2000019730A (ja) 可視光硬化性樹脂組成物及びその用途
JP2000001509A (ja) 可視光硬化性樹脂組成物及びその用途
JP2000056450A (ja) ポジ型可視光感光性樹脂組成物及びその用途

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050524

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050524

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050725

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061114

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061114

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees