JP4650452B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼の連続鋳造方法に関し、さらに詳しくは、溶鋼を汚染することなく発熱剤の金属を安定して燃焼させ、高い保温効果を発揮する鋳造スタート用モールドパウダーを用いた連続鋳造方法に関する。
連続鋳造においては、浸漬ノズルとモールドパウダーを用いたいわゆるパウダーキャスティングが広く普及している。パウダーキャスティングは、その発明によって鋼の連続鋳造の工業化が進んだとされるほど鋼の連続鋳造に最も適した方法である。
しかし、パウダーキャスティング技術には、鋳型内溶鋼の熱バランスの調整に難しさがある。すなわち、鋳型内が溶鋼を冷却し、凝固させる場所であるにもかかわらず、鋳型内の湯面(以下、「メニスカス」とも記す)には熱供給が必要であるという点である。メニスカスへの熱供給が滞ると、メニスカスの溶鋼が凝固し、非金属介在物や気泡の浮上除去が阻害され、また、モールドパウダーの滓化および溶融が滞る。それらの結果、鋳片品質や連続鋳造操業上のトラブルが引き起こされる。
上記のように、メニスカスへの熱供給は重要であるにもかかわらず、熱供給は浸漬ノズルからの吐出流に依存している。したがって、吐出する溶鋼の温度低下や浸漬ノズルの閉塞による溶鋼流動の変化といった操業条件の変動によって、メニスカスへの熱供給は不足しがちであり、それが様々なトラブルの原因となっている。特に鋳造のスタート時には、溶鋼温度や鋳造速度が低いことから湯面の温度が低下しがちであり、浸漬ノズルに地金が付着するなど操業上の困難が生じやすい。
上記の観点から、モールドパウダーの有する多くの特性の中でも、保温性は最も重要な特性のひとつである。特に鋳造スタート用モールドパウダーにおいてはその重要性は高い。従来から、モールドパウダーの保温性を高める方法には大別して下記の2つの方法がある。すなわち、
(1)嵩密度を低下させることにより、空気断熱作用を高める。
(2)カーボンや金属などのように燃焼により発熱する原料を多量に配合する。
上記(1)に関する技術の開示例としては、下記に示すとおり、特許文献1、特許文献2などがあり、また、(2)に関する技術の開示例としては、特許文献3、特許文献4などがある。
前記特許文献1には、主成分がCaO、SiO2およびCaF2であるパウダー中のB23濃度、1573Kにおける粘度および融点が規定され、(CaO+CaF2×0.718)/SiO2で定義される質量濃度比が0.9以上1.3未満、添加カーボン濃度が1.0mass%以上、嵩密度が900kg/m3未満である連続鋳造用モールドパウダーが開示されている。また、特許文献2には、過包晶中炭素鋼の溶鋼を連続鋳造する際に、塩基度、凝固温度、1300℃における粘度が規定され、嵩比重が0.5〜0.9およびC含有量が2〜20質量%であるモールドパウダーを用いる溶鋼の連続鋳造方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、SiO2、CaO、Al23を主成分とするパウダー基材に発熱材および助燃材を添加したモールドパウダーにおいて、助燃材として酸化ニッケルを用いる鋼の連続鋳造用モールドパウダーが開示されている。そして、特許文献4には、連続鋳造用初期モールドパウダーであって、CaO、SiO2、Al23、Na2OおよびMgOを主成分とするプリメルト原料を60〜90質量%、金属発熱材としてCa−Si、Al−MgおよびCa−Al合金のうちの1種以上を5〜20質量%、および助燃材として酸化鉄を含有するモールドパウダーが開示されている。
しかしながら、上記に開示されたモールドパウダーにおいては、嵩密度を低く保つことによる空気断熱作用が最適条件に維持され、また、保温性を確保するための高融点または高軟化点の原料が必ずしも優先的に配合されているとはいえない。Ca−Siなどの発熱金属の燃焼に際して助燃剤として用いられる酸化鉄や酸化マンガンなどの低級酸化物が完全には分解せずに溶鋼中に残留し、溶鋼を汚染するといった問題もある。さらに、炭酸塩の分解反応による攪拌作用を有効に発揮させるためのモールドパウダーの焼結の抑制などについても十分な配慮がなされていない。
特許第2985633号公報(特開平7−195162号公報)(特許請求の範囲、段落[0016]および[0017]) 特開2004−98092号公報(特許請求の範囲、段落[0015]および[0016]) 特開平8−52550号公報(特許請求の範囲、段落[0008]および[0009]) 特開平10−34301号公報(特許請求の範囲および段落[0016]) 特願2005−328998号
前述のとおり、従来のモールドパウダーには、溶鋼を汚染することなく良好な保温性を発揮する上で下記の問題があった。すなわち、(a)鋳型内において、助燃剤の発熱金属として用いられる酸化鉄や酸化マンガンなどの低級酸化物が完全に還元されずに溶鋼中に残留するため、溶鋼が汚染される、および(b)モールドパウダーの焼結が十分に抑制できないため、嵩密度の低下による空気断熱作用、および炭酸塩の分解反応による攪拌作用を活用した十分な保温効果が発揮できない、などである。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、下記の(1)〜(3)を満足するモールドパウダー、およびそのモールドパウダーを用いた連続鋳造方法を提供することにある。すなわち、(1)パウダー中の助燃剤としての低級酸化物による溶鋼の汚染を防止しつつ、発熱剤の金属を安定して燃焼させる、(2)パウダーの焼結を抑制することにより、嵩密度を低く維持して空気断熱作用を高める、(3)炭酸塩の分解反応による攪拌を有効に作用させて優れた保温効果を発揮する、および(4)前記(1)〜(3)に記載の作用および効果を、特に鋳造開始時に十分に発揮できる、である。
また本発明は、本発明者らが先に特許文献5にて提案した発明を、鋳造スタート用モールドパウダーおよび連続鋳造方法として改良した発明でもある。
本発明者らは、上述の課題を解決するために、従来の問題点を踏まえてモールドパウダーによる溶鋼の汚染防止および保温性の向上について研究開発を進め、下記の(a)〜(c)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)カーボンに比べて燃焼温度が高く溶鋼湯面の保温効果が高いCa−Si合金や金属Siを酸化鉄や酸化マンガンといった低級酸化物を助燃剤(酸素源)に用いて燃焼させる場合に、硝酸ソーダ(NaNO3)の分解による酸素供給と炭酸塩の分解により発生するCOやCO2の攪拌作用とを併用することにより、低級酸化物が完全に還元され、溶鋼が汚染されることなく、Ca−Si合金または金属Siを安定して燃焼させることができる。
(b)炭酸塩の分解反応による攪拌を有効に作用させるには、モールドパウダーの粒子形状を粉末状とした上で、その焼結を抑制することが重要である。焼結を抑制するためには、バインダーとなる低融点のアルカリ金属フッ化物や氷晶石を含有しないことが好ましい。
(c)上記(a)または(b)の保温性の良好なモールドパウダーを、鋳造開始時に鋳型断面積に対して適量添加することは、鋳造開始時の操業の安定化や鋳片品質の向上に有効である。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(3)に示される鋼の連続鋳造用モールドパウダー、および(4)に示される鋼の連続鋳造方法にある。ただし、下記(1)〜(3)に示される連続鋳造用モールドパウダーは、本発明の参考としての発明である。
(1)CaOおよびSiO2を主成分とし、全Ca濃度をCaO含有率として、また全Si濃度をSiO2含有率として各質量%で換算するとき、該CaO含有率を該SiO2含有率で除した比であるCaO/SiO2の値が1.0〜1.9であり、質量%で、Al23含有率が2〜18%、Na2O、Li2OおよびFの合計含有率が2〜25%であり、炭酸塩が炭素換算含有率2.5〜7.0%で、硝酸ソーダが含有率5.1〜8.0%で、炭素が含有率0〜5%で、Ca-Si合金および/または金属Siが含有率7〜20%でそれぞれ配合され、酸化鉄濃度がFe23換算含有率で2.0%未満および酸化マンガン濃度がMnO換算含有率で3.0%未満であり、凝固温度が1050〜1250℃であり、そして1300℃における粘度が0.04〜1.5Pa・sであることを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドパウダー。(以下、「第1発明」とも記す)。
(2)質量%で、炭酸塩濃度の炭素換算含有率をA(%)、Ca-Si合金および/または金属Si含有率をM(%)、硝酸ソーダ含有率をN(%)とするとき、これらA、MおよびNが、下記の(1)式および(2)式により表される関係を満たすことを特徴とする前記(1)に記載の鋼の連続鋳造用モールドパウダー(以下、「第2発明」とも記す)。
0.1M<A<1.0M ・・・(1)
0.2M<N<1.2M ・・・(2)
(3)粒子形態が粉末状であり、アルカリ金属フッ化物および氷晶石をいずれも含有しないことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の鋼の連続鋳造用モールドパウダー(以下、「第3発明」とも記す)。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の鋼の連続鋳造用モールドパウダーを、鋼の鋳造開始時に鋳型横断面積100cm2あたり0.1〜2kg添加し、鋳造開始時に添加した上記モールドパウダーの未溶融層が鋳型内湯面上に残留している間に、引き続いてCa−Si合金および金属Siのうち少なくとも一方の含有率が6%以下か、またはCa−Si合金および金属Siのいずれも含有しない定常鋳造用のモールドパウダーを添加することを特徴とする鋼の連続鋳造方法(以下、「第4発明」とも記す)。
本発明において、「CaOおよびSiO2を主成分とする」とは、滓化溶融後のCaOおよびSiO2の合計含有率が60質量%以上を占めることを意味する。
「全Ca濃度をCaO含有率として換算する」とは、Caを含む全ての原料(CaO、CaF2、CaCO3、Ca−Si合金など)中のCa濃度をCaO含有率に換算することを意味し、同様に、「全Si濃度をSiO2含有率換算する」とは、Siを含む全ての原料(SiO2、Ca−Si合金など)中のSi濃度をSiO2含有率に換算すること意味する。
「炭酸塩」とは、炭酸ソーダ(ソーダ灰)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、および炭酸ストロンチウムのうちから選ばれた1種以上を意味する。
また、「粒子形態が粉末状」とは、粒子形態が顆粒状および中空球状のいずれでもなく、粉末状であることを意味する。
さらに、「鋳造開始時」とは、浸漬ノズルを通して鋳型内への溶鋼の注入を開始した後、初回のモールドパウダーを添加し、鋳片の引抜を開始して、鋳型内の状況を確認した後、鋳造速度を定常速度に向けて上昇させるまでの、一連の非定常的な鋳造操業期間を指す。
なお、以下の説明において、成分組成に関する「%」の表記は「質量%」を意味し、「ppm」の表記は質量基準のppm(分率)を意味する。
本発明の連続鋳造用モールドパウダーは、CaO/SiO2の値、Al23含有率、Na2O、Li2OおよびFの合計含有率、ならびに炭酸塩中の換算炭素、硝酸ソーダ、炭素、Ca−Si合金および/または金属Si、酸化鉄および酸化マンガンの各含有率、ならびに凝固温度および粘度が適正範囲に調整されているので、パウダー中の低級酸化物による溶鋼の汚染を防止しつつ、発熱剤の金属を安定して燃焼させ、また、パウダーの焼結を抑制することにより、嵩密度を低く維持して空気断熱作用を高めるとともに、炭酸塩の分解反応による攪拌を有効に作用させ、優れた保温効果を発揮する。また、本発明のモールドパウダーを鋳造開始時に用いることにより、鋳造開始時の操業を安定化させ、鋳造初期から品質の安定した鋳片を製造することができる。
モールドパウダーは、一般に、3CaO・SiO2や2CaO・SiO2など、CaOとSiO2を主な成分とする主原料に、塩基度調整のための主としてSiO2からなるシリカ源、FやNaなどのアルカリ金属を多く含有するフラックス成分、炭酸塩、滓化調整用カーボンを加えて構成されている。また、助燃剤であるFe23やミルスケールなどの酸化鉄とともに、発熱金属としてCa−Si合金や金属Siを加える場合もある。以下、本発明の詳細について説明する。
(1)第1発明
前記のとおり、第1発明は、CaOおよびSiO2を主成分とし、CaO/SiO2の値が1.0〜1.9であり、質量%で、Al23含有率が2〜18%、Na2O、Li2OおよびFの合計含有率が2〜25%であり、炭酸塩が炭素換算含有率2.5〜7.0%で、硝酸ソーダが含有率5.1〜8.0%で、炭素が含有率0〜5%で、Ca-Si合金および/または金属Siが含有率7〜20%でそれぞれ配合され、酸化鉄濃度がFe23換算含有率で2.0%未満および酸化マンガン濃度がMnO換算含有率で3.0%未満であり、凝固温度が1050〜1250℃であり、そして1300℃における粘度が0.04〜1.5Pa・sであることを特徴とする鋼の連続鋳造用モールドパウダー。
第1発明の範囲を上記のとおり規定した理由、および好ましい範囲について、下記に説明する。
CaO/SiO2の範囲を1.0〜1.9としたのは、CaO/SiO2の値が1.0未満では、SiO2の活量が上昇し、SiO2による溶鋼の汚染の問題が生じるからであり、一方、CaO/SiO2の値が1.9を超えて高くなると、モールドパウダーの凝固温度が過度に上昇し、滓化が遅れるなどの問題を生じるからである。なお、CaO/SiO2の好ましい範囲は1.1〜1.8である。
主成分であるCaOおよびSiO2は、パウダーの滓化溶融後の合計含有率で60%以上を占める。また、CaOおよびSiO2の合計含有率の好ましい範囲は、85%以下である。その他は、パウダーの物性を調整するための成分または不純物であるAl23、MgO、SrO、TiO2、ZrO2、Fe23、MnO、Na2O、Li2O、F、B23、P25、Sなどの成分が占める。
Al23は、パウダーの凝固温度および粘度を調整するために含有させる。その含有率の範囲を2〜18%としたのは、Al23含有率が2%未満では、パウダーの凝固温度が上昇しすぎて凝固温度の調整が難しくなり、一方、その含有率が18%を超えて高くなると、溶融パウダーの粘度が上昇して粘度の調整が難しくなるからである。なお、Al23含有率の好ましい範囲は3〜15%である。
Na2O、Li2OおよびFもパウダーの凝固温度および粘度を調整するために含有させる。それらの合計含有率は2〜25%の範囲とした。これらの成分の合計含有率が2%未満では、パウダーの凝固温度が高くなりすぎるからである。一方、これらの成分の合計含有率が25%を超えて高くなると、パウダーの凝固温度が低下しすぎ、鋳型内のパウダーフィルムを介した熱流束が過大となり、鋳造鋼種によっては鋳片の割れ性欠陥が発生するからであり、また、浸漬ノズルの溶損も顕著となるからである。なお、Na2F、Li2OおよびFの合計含有率の好ましい範囲は5〜20%である。
炭酸塩の濃度は、炭素換算含有率で2.5〜7.0%の範囲とした。炭酸塩濃度が2.5%未満では、炭酸塩の分解反応に伴う攪拌作用が弱すぎて、Ca−Si合金あるいは金属Siの燃焼が滞るからであり、一方、炭酸塩の濃度が7.0%を超えて高くなると、炭酸塩の分解反応が過大となり、粉塵の増加や分解反応に伴う吸熱によりパウダーの保温性が悪化するからである。炭酸塩濃度の炭素換算含有率でのより好ましい範囲は、3.6〜6.5%である。
炭酸塩の濃度範囲が先願の特許文献5に記載の値に比べて高い理由は、鋳造スタート用パウダーであるが故に、Ca−Si合金または金属Siの添加量が多いことに対応させたからである。
硝酸ソーダの含有率を5.1〜8.0%としたのは、その含有率が5.1%未満では、Ca−Si合金などの燃焼が不完全になり、また、その含有率が8.0%を超えて高くなると、硝酸ソーダの分解に伴う酸素放出量が過剰となり、パウダーの溶融速度が高まりすぎるか、または過剰な酸素が溶鋼の汚染源となるおそれがあるからである。硝酸ソーダ含有率のより好ましい範囲は、5.3〜7.0%である。
硝酸ソーダの濃度範囲が先願の特許文献5に記載の値に比べて高いのは、鋳造スタート用パウダーであるが故に、Ca−Si合金あるいは金属Siの添加量が多いことに対応させたからである。
炭素含有率は0〜5%の範囲とした。ここでいう炭素含有率とは、炭酸塩の含有炭素分を除く、カーボンブラックやコークス粉あるいは黒鉛といった炭素質原料に含まれる炭素の含有率を示す。本発明のパウダーは、主として鋳造スタート用であることから、炭素質原料を含有せずに(すなわち、炭素含有率が0%であり)パウダーの滓化速度が速すぎても、大きな問題とはならないし、鋳造初期においてパウダーの溶融層を迅速に形成するには好ましい場合も少なくない。一方、その含有率が5%を超えて高くなると、鋳造スタート用パウダーとしては滓化が遅過ぎるので、溶融層を迅速に形成することが難しくなる。
Ca−Si合金および/または金属Siの含有率は7〜20%の範囲とした。これらの含有率が7%未満では、燃焼による発熱量が小さく、保温性の向上に十分な効果を発揮しないからであり、一方、含有率が20%を超えて高くなると、安定して完全燃焼させることが難しくなるからである。Ca−Si合金および/または金属Si含有率の好ましい範囲は8〜15%である。
Ca−Si合金および/または金属Si含有率範囲が特許文献5に記載の値に比べて高い理由は、鋳造スタート用パウダーであるが故に、高い保温性が要求されることに加え、鋳造スタート用のパウダーの場合には、燃焼の安定性はそれほど重要視する必要がないからである。
酸化鉄濃度は、Fe23換算含有率で2%未満とし、また、酸化マンガン濃度は、MnO換算含有率で3%未満とした。これらの低級酸化物の濃度が上記含有率を超えて高くなると、溶鋼を汚染するという悪影響が顕在化するからである。これらの低級酸化物は、不可避的不純分の範囲に止めることが好ましいことは言うまでもない。ただし、MnOに関しては、鋼中のMnがパウダー溶融層中へMnOとして移行することがあるので、その移行による濃度上昇範囲内で、かつ第1発明で規定する範囲内に納まるのであれば、添加により含有させても実質的な悪影響は生じない。
パウダーの凝固温度は1050〜1250℃の範囲とした。凝固温度が1050℃未満では、鋳型内のパウダーフィルムを介した熱流束が過大となり、鋳造鋼種によっては鋳片の割れ性欠陥が発生するからである。また、凝固温度が1250℃を超えて高くなると、鋳型内の潤滑性が悪化し、ブレークアウトなどのトラブルが発生しやすくなるからである。
1300℃における粘度は、0.04〜1.5Pa・sの範囲とした。鋳造スタート時には鋳造速度が低いこともあって、それほど高い潤滑性は要求されないものの、上記粘度が1.5Pa・sを超えて高くなると、鋳型内の潤滑性の悪化が顕在化するようになる。また、上記粘度が0.04Pa・s未満では、パウダーの溶融層内に対流が生じて溶鋼からの放熱量が増加し、その結果パウダーの保温性が悪化するからであり、また、現実には0.04Pa・s未満の粘度を得ることは難しいからである。
(2)第2発明
第2発明は、前記第1発明において、炭酸塩濃度の炭素換算含有率をA(%)、Ca−Si合金および/または金属Si含有率をM(%)、硝酸ソーダ含有率をN(%)とするとき、これらA、MおよびNが、前記(1)式および(2)式により表される関係を満たす鋼の連続鋳造用モールドパウダーである。
炭酸塩の炭素換算含有率(A)が、Ca−Si合金および/または金属Si含有率(M)に対して、前記(1)式により規定されるAの範囲以下であると、炭酸塩による攪拌作用が不足し、Ca−Si合金および/または金属Siの燃焼が不完全となりやすいので好ましくない。一方、炭酸塩の炭素換算含有率(A)が、Ca−Si合金および/または金属Si含有率(M)に対して、前記(1)式により規定されるAの範囲以上に高い場合には、炭酸塩による攪拌作用が過大となり、いたずらに多くの粉塵を発生し、また、分解反応に伴う吸熱により保温性が悪化するので、好ましくない。
なお、Ca−Si合金および/または金属Si含有率に対する炭酸塩の炭素換算含有率の割合が特許文献5に記載の範囲に比べて低い範囲にシフトしているが、鋳造スタート時には鋳型内確認作業に伴ってパウダー層が攪拌されるので、炭酸塩の割合が低くてもCa−Si合金または金属Siを燃焼させることができる。
硝酸ソーダ含有率(N)が、Ca−Si合金および/または金属Si含有率(M)に対して、前記(2)式により規定されるAの範囲以下であると、硝酸ソーダの分解反応に伴う酸素の放出量が不足し、Ca−Si合金および/または金属Siの燃焼が不完全となりやすいので、好ましくない。逆に、硝酸ソーダ含有率(N)が、Ca−Si合金および/または金属Si含有率(M)に対して、前記(2)式により規定されるAの範囲以上に高い場合には、硝酸ソーダの分解に伴う酸素放出量が過剰となり、パウダーの溶融速度が高くなりすぎるか、または多すぎる酸素が溶鋼の汚染源となるおそれがある。
(3)第3発明
第3発明は、第1発明または第2発明において、粒子形態が粉末状であり、アルカリ金属フッ化物および氷晶石をいずれも含有しない鋼の連続鋳造用モールドパウダーである。
第3発明において、アルカリ金属フッ化物および氷晶石を含有しないこととしたのは、これらのバインダーとなる低融点原料を排除することによって、パウダーの焼結が防止され、低嵩密度の維持および攪拌効果の有効活用により保温効果を高めることができるからである。さらに、パウダーの粒子形状を粉末状とすることによって、炭酸塩の分解反応による攪拌作用が強化され、Ca−Si合金および/または金属Siの燃焼が安定する。なお、ここでいう「焼結」とは、鋳型内のパウダー溶融層の上部において溶融途上のパウダーが凝集し固化する現象を意味する。
(4)第4発明
第4発明は、第1発明〜第3発明のいずれかの連続鋳造用モールドパウダーを、鋼の鋳造開始時に鋳型の横断面積100cm2あたり0.1〜2kg添加し、鋳造開始時に添加した上記モールドパウダーの未溶融層が鋳型内湯面上に残留している間に、引き続いてCa−Si合金および金属Siのうち少なくとも一方の含有率が6%以下か、またはCa−Si合金および金属Siのいずれも含有しない定常鋳造用のモールドパウダーを添加することを特徴とする鋼の連続鋳造方法である。
第4発明において、モールドパウダーを鋼の鋳造開始時に鋳型断面積100cm2あたり0.1〜2kgの範囲で添加する理由は、下記のとおりである。すなわち、添加量が(0.1kg/鋳型横断面100cm2)未満の場合には、鋳造スタート時の鋳型内湯面温度が低下し、操業トラブルや鋳片品質不良が生じやすいからである。また、(2kg/鋳型横断面100cm2)を超えるほど多くの添加は不要であるとともに、コスト上昇を招くので好ましくないからである。なお、添加量が多い場合にコストが上昇するのは、第1発明〜第3発明のいずれかのモールドパウダーに含まれるCa−Si合金や金属Siが他のモールドパウダー原料に比べて高価であるからである。
また、第4発明において、鋳造開始時に添加したモールドパウダーの未溶融層が鋳型内湯面上に残留している間に、引き続いてCa−Si合金および金属Siのうち少なくとも一方の含有率が6%以下か、またはCa−Si合金および金属Siのいずれも含有しない定常鋳造用のモールドパウダーを添加するのは、以下の理由による。すなわち、鋳造開始時に添加された鋳造スタート用モールドパウダーは保温性に優れるが、鋳型内湯面上の未溶融層が失われると、湯面からの熱放射が増大して保温効果が損なわれる。したがって、未溶融層が残留している段階で、定常鋳造用のモールドパウダーを添加することが好ましいからである。定常鋳造用のモールドパウダーとしては、Ca−Si合金や金属Siを含有しないものでよいが、これらを含有する場合には含有率6%以下であることが燃焼の安定性を確保する観点から好ましい。
定常鋳造用のモールドパウダーを添加する時期は、鋳造スタート用モールドパウダーを添加した直後であってもよいが、鋳造スタート用モールドパウダーの量が(1/2)から(1/3)に減少する時期に定常鋳造用のモールドパウダーを添加し始めることが、保温性の維持およびパウダーの混合を抑制する2つの観点から好ましい。
本発明の連続鋳造用モールドパウダーの効果を確認するため、下記のとおりの連続鋳造試験を行って、その結果を評価した。
(試験方法)
試験には、容量30〜50トン(t)のタンディッシュを備え、鋳型サイズが直径310mmφ、または、厚さ270mm×幅1400mmの鋳型を有する連続鋳造装置を用いた。310mmφ鋳型での鋳造は、鋳型内溶鋼を電磁攪拌装置を用いて回転流動させつつ内径50mmφの単孔円筒状浸漬ノズルを通して溶鋼を供給した。単孔円筒状浸漬ノズルの下端すなわち孔出口から湯面までの距離は100〜200mmとし、浸漬ノズル内にはArガスなどの不活性ガスを吹き込まずに鋳造した。また、270mm×1400mm鋳型での鋳造は、鋳型内の電磁撹拌装置を用いずに、90mm角の吐出孔を有する内径90mmφの浸漬ノズルを、湯面から吐出孔上端までの距離が100〜200mmとなるよう浸漬し、浸漬ノズル内には0.5〜5NL/minのArガスを吹き込みつつ、溶鋼を供給した。
310mmφ鋳型により鋳造した鋼種は、成分組成がC:0.20〜0.28%、Si:0.10〜0.30%、Mn:1.1〜1.4%、S:0.003〜0.015%およびsol.Al:0.02〜0.06%のSi−Alキルドの中炭素普通鋼である。
また、270mm×1400mm鋳型により鋳造した鋼種は、成分組成がC:20〜30ppm、Si:0.01〜0.02%、Mn:0.2〜0.7%、S:0.002〜0.010%およびsol.Al:0.02〜0.05%のAlキルド極低炭素普通鋼である。
本発明例および比較例についての試験条件および試験結果を表1および表2に示した。
Figure 0004650452
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結果の評価は、下記のとおり、鋳造鋼種毎の鋳片品質の相対評価とした。すなわち、310mmφの鋳型により鋳造した中炭素鋼の鋳造試験については、表1中に示した中炭素鋼鋳造の比較例である試験番号Fの鋳造開始後1〜10mまでの鋳片を用いて製造した継目無鋼管の表面に現れた鋳片表層部の欠陥に起因すると考えられる疵の発生率を1.0(基準値)として相対評価した。同様に、270mm×1400mmの鋳型を用いて鋳造した極低炭素鋼の鋳造試験については、表2中に示された極低炭素鋼鋳造の比較例である試験番号Jの鋳造開始後1〜10mまでの鋳片を用いて製造した鋼板表面に現れた鋳片表層部の欠陥に起因すると考えられる疵の発生率を1.0(基準値)として相対評価を行った。
ここでいう鋳片表層部の欠陥とは、巻き込まれたパウダーや、気泡あるいは非金属介在物に起因する欠陥を指す。これらの継目無鋼管や鋼板表面の疵は、目視検査により発見され、要求される品質レベルに不適合であると判断されたものである。
(試験結果)
前記表1において、試験番号A〜試験番号Fは、310mmφの鋳型により鋳造した中炭素鋼の鋳造試験について示したものである。そのうち、試験番号Aおよび試験番号Bは、本発明の範囲を満たす本発明例についての試験であり、試験番号C〜試験番号Fは、本発明で規定する条件を満たさない比較例についての試験である。
本発明例のうちで、試験番号Aは、連続鋳造用モールドパウダーおよび鋳造条件が、第1発明〜第4発明で規定する全ての条件を満足する試験である。試験番号Aは、第1発明〜第4発明で規定する全条件を満たしているので、添加したCa−Si合金の燃焼による鋳型内湯面の優れた保温効果が十分に発揮され、また、溶鋼の汚染も僅かで、得られた継目無鋼管の品質成績は極めて良好であった。
本発明例のうちで、試験番号Bは、用いた連続鋳造用モールドパウダーおよび鋳造条件が、第1発明〜第3発明で規定する全ての条件を満足するものの、鋳型横断面積あたりのモールドパウダーの添加量が過大であった試験である。試験番号Bは、第1発明〜第3発明で規定する条件を満たしているので、添加したCa−Si合金の燃焼による鋳型内湯面の優れた保温効果が十分に発揮され、また、溶鋼の汚染も僅かであった。しかしながら、モールドパウダーの添加量が過大であったため、製造コストの上昇を招いた。得られた継目無鋼管の品質成績は試験番号Aと同様に極めて良好であった。
試験番号Cは、Ca−Si合金の添加量が3%と少ないので、鋳造スタート用のモールドパウダーとしては発熱作用に乏しく、前記の試験番号Aまたは試験番号Bに比較すると、湯面の保温効果が不足した試験である。また試験番号Cは、若干のフッ化ソーダを含有していることから、モールドパウダーの焼結が進みがちであり、炭酸塩の分解による攪拌が有効に作用しにくいという欠点も有する。ただし、試験番号Aまたは試験番号Bと同様に、不可避的不純物以外の酸化鉄を含有しないので、低級酸化物による溶鋼の汚染は軽微であった。試験番号Cのモールドパウダーを用いて得られた継目無鋼管の品質成績は、試験番号Aまたは試験番号Bに比べてやや劣った結果となった。
試験番号Dは、多くの酸化鉄を助燃剤として用いる従来型のCa−Si合金燃焼モールドパウダーを使用した試験である。酸化鉄は助燃剤としては有効であるので、試験番号Dにおける湯面の保温効果は十分なものであった。しかしながら、低級酸化物である酸化鉄が還元されずに溶融層中に残留して溶鋼を汚染する場合があり、得られた継目無鋼管の品質成績は、本発明例である試験番号Aや試験番号B、または添加した酸化鉄による溶鋼汚染の無い試験番号Cに対しても、やや劣る結果となった。
試験番号Eは、本発明で規定するCaO/SiO2の範囲および酸化鉄含有率の範囲は満足するものの、Ca−Si合金や金属Siといった発熱金属を含有しない通常のモールドパウダーを鋳造開始時から定常鋳造にかけて使用した試験である。試験番号Eにて使用したモールドパウダーは、試験番号A〜Dおよび試験番号Eにおいて定常鋳造用のモールドパウダーとしても用いられている。試験番号Eにおいては、鋳造スタート時の湯面の保温効果が不十分であったので、継目無鋼管の良好な品質成績は得られなかった。
試験番号Fは、本発明で規定するCaO/SiO2の値の範囲を満たさず、さらに、Ca−Si合金または金属Siといった発熱金属を含有しない通常のモールドパウダーを鋳造開始時から定常鋳造にかけて使用した試験である。試験番号Fでは、鋳造スタート用および鋳造定常部用として、ともに同じモールドパウダーを用いた。試験番号Fにて使用したモールドパウダーは、鋳造スタート時の湯面の保温効果が不十分であったことに加え、CaO/SiO2の値が低いのでSiO2による溶鋼の汚染が試験番号Eにて使用したモールドパウダーに比べて大きいことから、得られた継目無鋼管の品質成績は試験番号A〜試験番号Fの中では最も劣ったものとなった。
前記表2において、試験番号G〜試験番号Jは、270mm×1400mmの鋳型を用いた極低炭素鋼の鋳造試験について示したものである。そのうち、試験番号Gおよび試験番号Hは、本発明の範囲を満たす本発明例についての試験であり、試験番号Iおよび試験番号Jは、本発明で規定する条件を満たさない比較例についての試験である。
本発明例のうちで、試験番号Gは、連続鋳造用モールドパウダーおよび鋳造条件が、第1発明、第2発明および第4発明のいずれの発明で規定する条件も満足する鋳造試験である。試験番号Gにて使用したモールドパウダーは、第1発明および第2発明で規定した条件を満足しているので、添加したCa−Si合金は円滑に燃焼し、酸化鉄などの低級酸化物による溶鋼の汚染も小さい。しかしながら、第3発明で規定する条件を満たさず、フッ化ソーダを2%含有しているので、モールドパウダーの焼結が進みがちであり、炭酸塩の分解による攪拌が有効に作用しないことがあり、前記試験番号Aまたは試験番号Bにて使用したモールドパウダーに比較すると、Ca−Si合金の燃焼がやや不安定な傾向を示した。全体的には、鋳型内湯面の保温効果は十分に発揮され、得られた鋼板の品質成績は良好であった。
本発明例のうちで、試験番号Hは、試験番号Gにて使用した連続鋳造用モールドパウダーと同一のモールドパウダーを使用したが、鋳造スタート時の添加量が、第4発明で規定する添加量未満の少量しか添加しなかった試験である。したがって、第1発明および第2発明で規定する条件を満足する試験である。試験番号Hは、鋳型単位横断面積あたりの添加量が少な過ぎたために、Ca−Si合金の燃焼による鋳型内湯面の保温効果が不十分であり、得られた鋼板の品質成績は試験番号Gに比べるとやや劣ったものとなった。
試験番号Iは、多くの酸化鉄を助燃剤として用いる従来型のCa−Si合金燃焼モールドパウダーを使用した試験である。酸化鉄は助燃剤としては有効であるので、試験番号Iにおける湯面の保温効果は十分なものであった。しかしながら、低級酸化物である酸化鉄が還元されずに溶融層中に残留して溶鋼を汚染する場合があり、得られた鋼板の品質成績は、本発明例である試験番号Gに比較して、劣る結果となった。
試験番号Jは、本発明で規定するCaO/SiO2の値の範囲および酸化鉄含有率の範囲は満たすものの、Ca−Si合金や金属Siといった発熱金属を含有しない通常のモールドパウダーを鋳造開始時から定常鋳造にかけて添加した試験である。試験番号Jにて使用したモールドパウダーは、試験番号G〜試験番号Iにおいて定常鋳造用のモールドパウダーとしても用いられている。試験番号Jにおいては、鋳造スタート時の湯面の保温効果が不十分であったことから、鋼板の良好な品質成績は得られなかった。
本発明の連続鋳造用モールドパウダーは、CaO/SiO2の値、Al23含有率、Na2O、Li2OおよびFの合計含有率、ならびに炭酸塩中の換算炭素、硝酸ソーダ、炭素、Ca−Si合金および/または金属Si、酸化鉄および酸化マンガンの各含有率、ならびに凝固温度および粘度が適正範囲に調整されているので、パウダー中の低級酸化物による溶鋼の汚染を防止しつつ、発熱剤の金属を安定して燃焼させ、また、パウダーの焼結を抑制することにより、嵩密度を低く維持して空気断熱作用を高めるとともに、炭酸塩の分解反応による攪拌を有効に作用させ、鋳型内湯面の温度が低下しがちな鋳造スタート用のモールドパウダーとして優れた保温効果を発揮する。また、本発明のモールドパウダーを鋳造スタート時に適正量使用し、さらに適正なタイミングで定常鋳造用モールドパウダーを添加することによって、鋳片表層部のパウダー巻き込みや非金属介在物あるいはピンホールなどの欠陥を低減した良好な品質の鋳片を、適正なコストで製造することができる。
したがって、本発明のモールドパウダーおよび連続鋳造方法は、鋳型内湯面の保温効果が求められる鋳造スタート時において特に大きな効果を発揮できる技術である。

Claims (3)

  1. CaOおよびSiO2を主成分とし、全Ca濃度をCaO含有率として、また全Si濃度をSiO2含有率として各質量%で換算するとき、該CaO含有率を該SiO2含有率で除した比であるCaO/SiO2の値が1.0〜1.9であり、質量%で、Al23含有率が2〜18%、Na2O、Li2OおよびFの合計含有率が2〜25%であり、炭酸塩が炭素換算含有率2.5〜7.0%で、硝酸ソーダが含有率5.1〜8.0%で、炭素が含有率0〜5%で、Ca−Si合金および/または金属Siが含有率7〜20%でそれぞれ配合され、酸化鉄濃度がFe23換算含有率で2.0%未満および酸化マンガン濃度がMnO換算含有率で3.0%未満であり、凝固温度が1050〜1250℃であり、そして1300℃における粘度が0.04〜1.5Pa・sである連続鋳造用モールドパウダーを用いた鋼の連続鋳造方法であって、
    上記連続鋳造用モールドパウダーを、鋼の鋳造開始時に鋳型横断面積100cm 2 あたり0.1〜2kg添加し、鋳造開始時に添加した上記モールドパウダーの未溶融層が鋳型内湯面上に残留している間に、引き続いてCa−Si合金および金属Siのうち少なくとも一方の含有率が6%以下か、またはCa−Si合金および金属Siのいずれも含有しない定常鋳造用のモールドパウダーを添加することを特徴とする鋼の連続鋳造方法
  2. 上記連続鋳造用モールドパウダーは、質量%で、炭酸塩濃度の炭素換算含有率をA(%)、Ca−Si合金および/または金属Si含有率をM(%)、硝酸ソーダ含有率をN(%)とするとき、これらA、MおよびNが、下記の(1)式および(2)式により表される関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法
    0.1M<A<1.0M ・・・(1)
    0.2M<N<1.2M ・・・(2)
  3. 上記連続鋳造用モールドパウダーは、粒子形態が粉末状であり、アルカリ金属フッ化物および氷晶石をいずれも含有しないことを特徴とする請求項1または2に記載の鋼の連続鋳造方法
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