JP4337748B2 - 鋼の連続鋳造用モールドパウダー - Google Patents

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Description

本発明は、鋼の連続鋳造用モールドパウダーに関し、さらに詳しくは、鋳型内における焼結を防止し、炭酸塩の分解反応による攪拌を有効に作用させて発熱金属の燃焼を容易ならしめることにより、優れた保温性を発揮するモールドパウダーに関する。
連続鋳造においては、浸漬ノズルとモールドパウダーを用いたいわゆるパウダーキャスティングが広く普及している。パウダーキャスティングは、その発明によって鋼の連続鋳造の工業化が進んだとされるほど鋼の連続鋳造に最適の技術である。
しかし、パウダーキャスティング技術には、鋳型内溶鋼の熱バランスの調整に難しさがある。すなわち、鋳型内が溶鋼を冷却し、凝固させる場所であるにもかかわらず、鋳型内の湯面には熱供給が必要なのである。湯面への熱供給が滞ると、湯面の溶鋼が凝固し、非金属介在物や気泡の浮上による除去が阻害され、また、モールドパウダーの溶融および滓化が滞る。それらの結果、鋳片の品質や鋳造操業上のトラブルが引き起こされる。
上記のように、湯面への熱供給は重要であるにもかかわらず、熱供給は浸漬ノズルからの吐出流にのみ依存している。したがって、吐出する溶鋼温度の低下や浸漬ノズルの閉塞による溶鋼流動の変化といった操業条件の変動によって、湯面温度は低下しがちであり、それが様々なトラブルの原因となっている。
上記の観点から、モールドパウダーの有する多くの特性の中でも、保温性は最も重要な特性の一つであることが容易に理解される。従来から、モールドパウダーの保温性を向上させる方法には大別して下記の2つの方法がある。すなわち、
(1)嵩比重を低下させることにより空気断熱作用を高める。
(2)カーボンや金属などのように燃焼により発熱する原料を多量に配合する。
上記(1)に関する技術の開示例としては、下記に示すとおり、特許文献1、特許文献2、特許文献3などがあり、また、(2)に関する技術の開示例としては、特許文献3、特許文献4、特許文献5などがある。
前記特許文献1には、ビレットの連続鋳造において、鋳込み開始時には通常のパウダを使用し、鋳片が約10m鋳造された後に塩基度が1.0以上でかつ嵩比重が0.7以下であるパウダを用いて、ビレット鋳片に螺旋疵が発生しないようにするパウダの使用方法が開示されている。特許文献2には、パウダー中のB23濃度、1573Kにおける粘度、融点が規定され、(CaO+CaF2×0.718)/SiO2で定義される質量濃度比が0.9以上1.3未満、嵩密度が900kg/m3未満である連続鋳造用モールドパウダーが開示されている。また、特許文献3には、過包晶中炭素鋼の溶鋼を連続鋳造する際に、塩基度、凝固温度、1300℃における粘度が規定され、嵩比重が0.5〜0.9およびC含有量が2〜20質量%であるモールドパウダを用いる溶鋼の連続鋳造方法が開示されている。
さらに、特許文献4には、鋳造開始時に用いる連続鋳造用初期モールドパウダーであって、CaO、SiO2、Al23、Na2OおよびMgOを主成分とするプリメルト原料を60〜90質量%、金属発熱材としてCa−Si、Al−MgおよびCa−Al合金のうちの1種以上を5〜20質量%、および助燃材として酸化鉄を含有するモールドパウダーが開示されている。また、特許文献5には、金属アルミニウムもしくはアルミニウム合金、またはその両者を単独または合計で0.5質量%以上20質量%未満含有し、かつ、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種以上の金属の炭酸塩を単独または合計で1.0質量%以上30質量%未満含有する鋳型内の湯面の保温性に優れた鋼の連続鋳造用モールドパウダーが開示されている。
しかしながら、上記に開示されたモールドパウダーにおいては、焼結を防止するために鋳型内で嵩密度を低く維持し、保温性を確保するために必要な高融点または高軟化点の原料が優先的に配合されているとは必ずしもいえない。また、鋳型内におけるモールドパウダーの焼結を防止することにより炭酸塩の分解反応による攪拌を有効に作用させ、発熱金属を容易に燃焼させるとの配慮も充分にはなされていない。
特開平5−253655号公報(特許請求の範囲および段落[0005]〜[0007]) 特開平7−195162号公報(特許請求の範囲) 特開2004−98092号公報(特許請求の範囲および段落[0014]〜[0016]) 特開平10−34301号公報(特許請求の範囲および段落[0016]) 特許第2956495号公報(特許請求の範囲および段落[0008])
前述のとおり、従来のモールドパウダーには、焼結を防止し、その保温性を確保する上で下記の問題があった。すなわち、(a)鋳型内において、モールドパウダーの嵩密度を低く維持し、保温性を確保するための高融点または高軟化点原料の優先的配合が徹底してなされていないため、パウダーの焼結防止が充分でない。(b)鋳型内におけるモールドパウダーの焼結を充分に防止できないため、炭酸塩の分解反応による攪拌作用を活用した発熱金属の燃焼促進が図れない。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、鋳型内における焼結を防止し、炭酸塩の分解反応による攪拌を有効に作用させて、発熱金属を容易に燃焼させることにより優れた保温性を発揮するモールドパウダーを提供することにある。
本発明者は、上述の課題を解決するために、従来の問題点を踏まえて、モールドパウダーの焼結の防止および保温性の向上について研究開発を進め、下記の(a)および(b)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)モールドパウダーの配合原料として高融点または高軟化点の原料を優先的に配合し、凝固温度および粘度の適正化を図ることにより、鋳型内の高温下におけるパウダーの焼結を防止し、パウダーの嵩比重を低く維持して保温性を確保することができる。
(b)鋳型内でのモールドパウダーの焼結が防止できれば、炭酸塩の分解反応による溶鋼の攪拌作用を有効に利用し、メニスカスへの着熱効率の高いCa−SiやSiといった発熱金属を容易に燃焼させて、保温効果を一層高めることができる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(4)に示される鋼の連続鋳造用モールドパウダーにある。
(1)鋳型内の溶鋼表面に添加される連続鋳造用モールドパウダーであって、主原料としてポルトランドセメント、シリカ源として珪藻土または珪砂、およびフッ素源として蛍石を含有し、炭酸塩として炭酸ソーダ、炭酸リチウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムのうちの1種以上を合計で2〜35質量%、ならびに滓化速度調整用のカーボンを1〜7質量%含有し、前記規定原料が全配合原料の100質量%を占め、アルカリ金属酸化物を5質量%以下、およびフッ素とアルカリ金属酸化物を合計で1.5質量%以上含有し、凝固温度が1000〜1280℃であり、1300℃における粘度が0.04〜1.5Pa・sであることを特徴とする連続鋳造用モールドパウダー(以下、「第1発明」とも記す)。
(2)鋳型内の溶鋼表面に添加される連続鋳造用モールドパウダーであって、主原料としてポルトランドセメント、シリカ源として珪藻土または珪砂、およびフッ素源として蛍石を含有し、炭酸塩として炭酸ソーダ、炭酸リチウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムのうちの1種以上を合計で2〜35質量%、ならびに滓化速度調整用のカーボンを1〜7質量%含有し、かつ、組成調整用として、アルミナ粉、マグネシア粉、チタニア粉、ジルコニア粉およびジルコン粉のうちの1種以上を含有し、前記規定原料が全配合原料の100質量%を占め、アルカリ金属酸化物を5質量%以下、およびフッ素とアルカリ金属酸化物を合計で1.5質量%以上含有し、凝固温度が1000〜1280℃であり、1300℃における粘度が0.04〜1.5Pa・sであることを特徴とする連続鋳造用モールドパウダー(以下、「第2発明」とも記す)。
(3)鋳型内の溶鋼表面に添加される連続鋳造用モールドパウダーであって、粒子形態が粉末状であり、主原料としてポルトランドセメント、シリカ源として珪藻土または珪砂、およびフッ素源として蛍石を含有し、発熱金属原料としてCa−Si合金および/またはSiを合計で1〜7質量%、炭酸塩として炭酸ソーダ、炭酸リチウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムのうちの1種以上を合計で10〜35質量%、かつ、発熱金属含有量の5〜8倍(質量比)の炭酸塩を含有し、ならびに滓化速度調整用のカーボンを0.1〜5質量%含有し、前記規定原料が全配合原料の100質量%を占め、アルカリ金属酸化物を5質量%以下、およびフッ素とアルカリ金属酸化物を合計で1.5質量%以上含有し、不純物として以外には酸化鉄を含まず、凝固温度が1000〜1280℃であり、1300℃における粘度が0.04〜1.5Pa・sであることを特徴とする連続鋳造用モールドパウダー(以下、「第3発明」とも記す)。
(4)鋳型内の溶鋼表面に添加される連続鋳造用モールドパウダーであって、粒子形態が粉末状であり、主原料としてポルトランドセメント、シリカ源として珪藻土または珪砂、およびフッ素源として蛍石を含有し、発熱金属原料としてCa−Si合金および/またはSiを合計で1〜7質量%、炭酸塩として炭酸ソーダ、炭酸リチウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムのうちの1種以上を合計で10〜35質量%、かつ、発熱金属含有量の5〜8倍(質量比)の炭酸塩を含有し、ならびに滓化速度調整用のカーボンを0.1〜5質量%含有し、かつ、組成調整用として、アルミナ粉、マグネシア粉、チタニア粉、ジルコニア粉およびジルコン粉のうちの1種以上を含有し、前記規定原料が全配合原料の100質量%を占め、アルカリ金属酸化物を5質量%以下、およびフッ素とアルカリ金属酸化物を合計で1.5質量%以上含有し、不純物として以外には酸化鉄を含まず、凝固温度が1000〜1280℃であり、1300℃における粘度が0.04〜1.5Pa・sであることを特徴とする連続鋳造用モールドパウダー(以下、「第4発明」とも記す)。
本発明において、「主原料」とは、配合比率が30質量%以上あり、ライムシリケート系であるポルトランドセメントを指す。
また、「粒子形態が粉末状」とは、粒子形態が顆粒状または中空球状ではなく粉末状であることを意味する。
なお、以下の説明において、「%」表記は、「質量%」を意味する。
本発明のモールドパウダーは、配合する主原料およびシリカ源の種類、炭酸塩の種類と含有量、添加カーボンおよびアルカリ金属酸化物の含有量、フッ素およびアルカリ金属酸化物の合計含有量、ならびに凝固温度および粘度が適正範囲に調整されているので、鋳型内におけるモールドパウダーの焼結を防止し、炭酸塩の分解反応による攪拌を効果的に作用させて発熱金属の燃焼を容易ならしめ、優れた保温性を発揮する。したがって、本発明のモールドパウダーを用いれば、各種操業条件が変動した場合においても湯面温度の変動を防止し、安定した鋳造操業および鋳片品質の向上を実現できる。
モールドパウダーは、一般に、3CaO・SiO2や2CaO・SiO2などCaOとSiO2を主な成分とするライムシリケート系の主原料に、塩基度調整のためのシリカ源(主にSiO2から成る原料)、FあるいはNaなどのアルカリ金属を多く含有するフラックス成分、炭酸塩、滓化調整用カーボンを加えて構成されている。また、発熱金属としてCa−Si合金やSiを、助燃剤である酸化鉄(Fe23やミルスケール)や酸化マンガンとともに加える場合もある。
(A)第1発明〜第2発明
本発明者は、多様な原料の中から、融点あるいは軟化点が低く、バインダとなって焼結を進める原料を排除し、逆に、融点あるいは軟化点が高い原料を優先的に配合して、鋳型内におけるモールドパウダーの焼結を防止する配合を種々検討した。融点あるいは軟化点が高い原料のみを配合すると、溶融速度が極端に低下するおそれがあったが、フラックス成分であるフッ素とアルカリ金属酸化物の合計含有量を1.5%以上とすれば、実用上問題がないことを確認し、第1発明〜第2発明を成すに至った。
第1発明は、前記のとおり、鋳型内の溶鋼表面に添加される連続鋳造用モールドパウダーであって、主原料としてポルトランドセメント、シリカ源として珪藻土または珪砂、およびフッ素源として蛍石を含有し、炭酸塩として炭酸ソーダ、炭酸リチウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムのうちの1種以上を合計で2〜35%、ならびに滓化速度調整用のカーボンを1〜7%含有し、これら前記規定原料が全配合原料の100%を占め、さらに、アルカリ金属酸化物を5%以下、およびフッ素とアルカリ金属酸化物を合計で1.5%以上含有し、凝固温度が1000〜1280℃であり、1300℃における粘度が0.04〜1.5Pa・sであることを特徴とする連続鋳造用モールドパウダーである。
また、第2発明は、第1発明において、さらに、組成調整用として、アルミナ粉、マグネシア粉、チタニア粉、ジルコニア粉およびジルコン粉のうちの1種以上を含有する連続鋳造用モールドパウダーである。
以下に、第1発明〜第2発明の範囲を前記のとおり規定した理由および望ましい範囲について説明する。
1)主原料:
主原料にポルトランドセメントを用いるのは、これが3CaO・SiO2を主成分とし、他に主原料として用いられる2CaO・SiO2やプリメルト原料(高炉スラグ、または珪酸カルシウムにFを加えてプリメルトした後粉砕した原料など)に比べて軟化温度が高い原料だからである。そのうえ、安価で、安定して入手が可能であるという利点もある。
ここで、3CaO・SiO2と2CaO・SiO2とは、純物質の融点がそれぞれ2150℃および2130℃であって、ほぼ同じである。それにも拘わらず、3CaO・SiO2の軟化温度が高いのは、2CaO・SiO2は、その成分組成が少し高SiO2側に変化した場合に、固相線温度が約1460℃まで大きく低下するのに対し、3CaO・SiO2の場合には、多少成分組成が変動しても固相線温度が2000℃以上に維持されることに起因すると考えられる。
2)シリカ源:
シリカ源にはSiO2純度が高い、すなわち融点が高い珪藻土または珪砂を用いる。あるいは他にSiO2含有率が85%以上の鉱物などがあれば、それを用いても同等の効果が得られる。珪砂よりも珪藻土のほうが嵩比重が小さいので、保温性確保の面からは望ましいが、一方で、珪砂の方がSiO2含有率が高いので焼結し難いという利点があり、いずれを用いても大きな差異はない。
3)フッ素源:
フッ素源には、NaFや氷晶石、蛍石などがあるが、その中で融点が約1400℃と高い蛍石を用いる。
4)炭酸塩:
炭酸塩の含有量は2〜35%とする。炭酸塩の種類は、炭酸ソーダ、炭酸リチウム、炭酸マグネシウムまたは炭酸カルシウムのいずれであっても構わないが、炭酸ソーダと炭酸リチウムは、分解してアルカリ金属酸化物となるので、後述するアルカリ金属酸化物の含有量の規定を満たす範囲内での含有に限られる。
炭酸塩の含有量が2%未満では、鋳型内におけるガス発生量が少なくなり、鋳型内におけるパウダーの広がり性やカーボンの均一燃焼性が低下する。また、ガス攪拌作用が低下するのでモールドパウダーが焼結しやすくなる。一方、炭酸塩含有量が35%を超えると、鋳型内でのガス発生量が過剰となり、粉塵発生量が増加する。また、炭酸塩の分解反応が吸熱反応であることから、保温性が悪化するというディメリットも生じる。
5)滓化速度調整用カーボン:
滓化速度調整用カーボンとしては、カーボンブラック、コークス粉、黒鉛、木炭、膨張性黒鉛などのうちから1種以上を1〜7%含有させる。中でも、膨張性黒鉛は焼結防止作用が高いので、1〜4%含有させることが望ましい。膨張性黒鉛とは、黒鉛中に酸を含浸したものであり、加熱により含浸した酸が気化し、数十倍〜数百倍に膨張する黒鉛である。
カーボン含有量が1%未満では、モールドパウダーの溶融および滓化が早く進みすぎ、また、7%を超えて高くなると、溶融および滓化速度が低下しすぎて、操業性が悪化する。カーボン含有量は、保温性向上の観点からは多い方が望ましいが、操業性に重要な影響を及ぼす溶融および滓化速度を適正範囲に調整することを優先して含有量を調整する。
6)アルミナ粉、マグネシア粉、チタニア粉、ジルコニア粉またはジルコン粉:
上記原料の他に、組成調整の必要に応じて、アルミナ原料を含有させるときにはアルミナ粉、マグネシア原料を含有させるときにはマグネシア粉、チタニア原料を含有させるときにはチタニア粉、ジルコニア原料を含有させるときにはジルコニア粉またはジルコニアとシリカの化合物であるジルコン粉を使用する。モールドパウダーの無用な融点低下を避ける観点から、これらの原料の純度は85%以上であることが望ましい。
アルミナはポルトランドセメントなど、他の原料にも不純分として含まれるので、アルミナ粉としては添加しない場合もあるが、モールドパウダーの物性を調整する上で、含有させる必要があるときは、フッ化アルミニウムなどの化合物よりも融点の高いアルミナ粉を用いるのが望ましい。
マグネシアは、モールドパウダーの物性を調整する上で含有させる必要のあるときは、前述の炭酸マグネシウムとして添加しても、マグネシア粉として添加してもよい。炭酸マグネシウムも分解すると高融点のマグネシアとなり、両者に実質的な融点の差異はないからである。
なお、アルミナとマグネシアの双方を含有させる必要がある時には、融点の高いアルミナ−マグネシア系のスピネル粉を用いてもよい。
上記に規定される原料が全配合原料の95%以上を占めるように配合することにより、モールドパウダー全体として焼結しにくい特性が維持できる。本発明では、上記に規定される原料が全配合原料の100%を占めるように配合する。
7)アルカリ金属酸化物:
アルカリ金属酸化物の合計含有量の適正範囲は5%以下である。アルカリ金属酸化物は、その含有量が5%を超えて高くなると、SiO2と反応して融点が800℃程度の低融点の液相を生成し、モールドパウダーの焼結を促進するからである。アルカリ金属酸化物は含有されないか、あるいは不可避的不純物のレベルで含有されていても構わない。
なお、第1発明〜第2発明において、アルカリ金属酸化物を他の原料の不可避的不純物のレベルを超えて含有させる場合には、全て炭酸塩として配合するのが望ましい。その理由は、下記のとおりである。すなわち、第1発明〜第2発明において規定した原料中では、アルカリ金属酸化物の原料の融点あるいは軟化温度が最も低く、モールドパウダーの焼結を引き起こしやすい。したがって、アルカリ金属酸化物は炭酸塩として配合し、分解反応時のガス攪拌効果を得て、焼結を抑制するのが効果的だからである。
8)フッ素とアルカリ金属酸化物の合計含有量:
フッ素とアルカリ金属酸化物の合計含有量は1.5%以上とする必要がある。その理由は、本発明のように高融点の原料を多く配合したモールドパウダーを溶融させるには、最低限のフッ素あるいはアルカリ金属酸化物の含有が必要であり、そのためには、1.5%以上の含有が必要だからである。
9)凝固温度および1300℃における粘度:
上述の規定にしたがって、原料を配合した上で、凝固温度を1000〜1280℃、1300℃における粘度を0.04〜1.5Pa・sに調整することによって、鋼の連続鋳造に適したモールドパウダーとすることができる。凝固温度が1000℃未満、または1300℃における粘度が0.04Pa・s未満の場合には、モールドと凝固シェルとの間へのモールドパウダーの流入量が過多となり、パウダーの溶融量が増加して多量の溶解熱が奪われること、および溶融層中の対流が活発化して溶融層を介しての放熱量が増加することにより、モールドパウダーの保温性が低下する。また、凝固温度が1280℃を超えて高くなるか、または1300℃における粘度が1.5Pa・sを超えて高くなると、モールドと凝固シェルとの間へ流入する溶融モールドパウダー量が不足し、潤滑性が悪化する。
上記の物性値の範囲内であっても、凝固収縮量が大きく、モールドと凝固シェルとの間隙が大きくなるなど、モールドパウダーの流入量が増加する条件下では、凝固温度あるいは粘度を上昇させてパウダーの流入を抑制し、逆に、凝固収縮量が小さく、モールドと凝固シェルとの間隙が小さくなるなど、モールドパウダーの流入量が減少する条件下では、凝固温度あるいは粘度を低下させて流入を促進することが望ましい。
ここで、「融点」とは、純物質の融点、あるいは化合物の場合には液相線温度を意味する。これに対して、混合物の場合には、単一温度により融点を規定することはできないので、軟化温度を指標とする。「軟化温度」とは、液相が生成し始め、試料が軟化を始める温度を意味し、化合物の場合には概ね固相線温度に該当し、混合物では概ね最も融点の低い原料の融点に該当する。
なお、第1発明〜第2発明のモールドパウダーの粒子形状は、粉末状、顆粒状あるいは中空球状のいずれであってもよいが、特に粉末状あるいは顆粒状の場合に本発明の焼結防止作用が顕著に発揮される。
(B)第3発明〜第4発明
本発明者は、前記第1発明〜第2発明により鋳型内でのモールドパウダーの焼結が防止できれば、炭酸塩の分解反応による攪拌が有効に作用し、メニスカスへの着熱効率が高いCa−SiやSiといった発熱金属を容易に燃焼させることができるとの着想を得て、第3発明〜第4発明を完成させた。
第3発明は、前記のとおり、粒子形態が粉末状であり、主原料としてポルトランドセメント、シリカ源として珪藻土または珪砂、およびフッ素源として蛍石を含有し、発熱金属原料としてCa−Si合金および/またはSiを合計で1〜7質量%、炭酸塩として炭酸ソーダ、炭酸リチウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムのうちの1種以上を合計で10〜35質量%、かつ、発熱金属含有量の5〜8倍(質量比)の炭酸塩を含有し、ならびに滓化速度調整用のカーボンを0.1〜5質量%含有し、前記規定原料が全配合原料の100質量%を占め、アルカリ金属酸化物を5質量%以下、およびフッ素とアルカリ金属酸化物を合計で1.5質量%以上含有し、不純物として以外には酸化鉄を含まず、凝固温度が1000〜1280℃であり、1300℃における粘度が0.04〜1.5Pa・sである連続鋳造用モールドパウダーである。
また、第4発明は、第3発明において、さらに、組成調整用として、アルミナ粉、マグネシア粉、チタニア粉、ジルコニア粉およびジルコン粉のうちの1種以上を含有する連続鋳造用モールドパウダーである
第3発明〜第4発明は、粒子形態が粉末状であり、第1発明〜第2発明の使用原料に加えて、燃焼金属原料として金属Siおよび/またはCa-Si合金を1〜7%含有し、炭酸塩を合計10〜35%含有することにおいて、第1発明〜第2発明と相違する。
1)Ca−Si合金および/またはSi
Ca−Si合金やSiは、同じく発熱原料であるカーボンに比較して、反応温度が高く溶鋼表面近傍で発熱することから、溶鋼への着熱効率が高い点に特徴がある。ところが、Ca−Si合金やSiは完全燃焼させることが難しいことから、低級酸化物である酸化鉄(例えばFe23あるいはミルスケールなど)を助燃剤として配合するのが一般的であった。しかしながら、助燃剤として用いられる低級酸化物は、溶鋼にも酸素を供給して溶鋼を汚染することがあり、清浄性が要求される鋼種に適用することは困難であった。
助燃剤を用いない方法として、より燃焼しやすい金属AlやMg、Ca−Al合金を用いる方法もあるが、これらは取り扱い上の危険を伴うとともに、燃焼、すなわち酸化時に主原料の一種であるSiO2を還元して化学組成を変化させるという問題があるので、好ましくない。本発明者は、第1発明〜第2発明の原料配合方法によってモールドパウダーの焼結を防止した上で、炭酸塩の配合量を増加して発生ガスによる攪拌を強化することにより、Ca−Si合金やSiの燃焼が促進されることを見出し、さらに研究を進めて、発熱金属としてのCa−Si合金および/またはSiの適正含有量が1〜7%であり、炭酸塩の適正含有量が10〜35%であることを突き止めて、第3発明〜第4発明をなすに至った。
発熱金属の含有量が1%未満では保温性の向上効果は小さい。また、その含有量が7%を超えて多い場合には、完全燃焼させることが難しくなる。発熱金属が完全燃焼しない場合には、下記の問題が発生する。すなわち、モールドパウダーの成分組成は、発熱金属が完全燃焼して酸化物となることを前提として、溶融後のモールドパウダー、すなわち溶融スラグの粘度や凝固温度などの物性値が目標範囲内に納まるように設計されている。したがって、発熱金属が完全燃焼しない場合には、溶融後のスラグ組成が設計値とは異なった組成となり、狙いどおりの潤滑性や鋳型内緩冷却作用が得られなくなる。また、未燃焼の金属が、溶融スラグの流動性を妨げてパウダーの潤滑性を悪化させたり、溶融スラグの凝固時に核となって、過度の結晶化を惹起するなどの問題を生じる。
2)炭酸塩
炭酸塩の含有量は10〜35%とする。その含有量が10%未満では攪拌作用が弱くなり発熱金属の燃焼が不完全となりやすい。また、含有量が35%を超えて高くなると、鋳型内のガス発生量が過大となって操業環境を悪化させ、また、炭酸塩の分解時における吸熱反応が活発となって保温性も悪化させる。
炭酸塩としては前記したとおり、炭酸ソーダ、炭酸リチウム、炭酸マグネシウムまたは炭酸カルシウムのうちから1種以上を用いる。本発明者の行った試験によれば、発熱金属の燃焼状況の差異に及ぼす炭酸塩の種類による影響は、明確ではなかった。
発熱金属の含有量の増加にともなって炭酸塩の含有量も増加させることが必要である。同じく発明者の行った試験によれば、鋳造条件やモールドパウダーの嵩比重、カーボン配合量、発熱金属の種類、発熱金属粒子の大きさなどによって相違はあるものの、発熱金属含有量の5〜8倍程度の炭酸塩を含有させた場合に、発熱金属は容易に完全燃焼した。
3)滓化速度調整用カーボン:
滓化速度調整用カーボンとしては、カーボンブラック、コークス粉、黒鉛、木炭、膨張性黒鉛などのうちから1種以上を0.1〜5%含有させるのがよい。カーボン含有量の上下限値が第1発明〜第3発明に比して低いのは、酸素が発熱金属の燃焼に消費され、カーボンの燃焼速度が低下することに対応している。
カーボン含有量が0.1%未満では、モールドパウダーの溶融および滓化が早く進みすぎ、また、5%を超えて高くなると、溶融および滓化速度が低下しすぎて、操業性が悪化する。カーボン含有量は、保温性向上の観点からは多い方が望ましいが、操業性に重要な影響を及ぼす溶融および滓化速度を適正範囲に調整することを優先して含有量を調整する。
(試験方法)
本発明の連続鋳造用モールドパウダーの効果を確認するため、下記のとおり連続鋳造試験を行って、その結果を評価した。
試験には、容量35t(トン)のタンディッシュを備え、鋳型サイズが230mm×1250mmであって、鋳型内電磁攪拌装置を有しないスラブ連続鋳造装置を用いた。上向き10°の75mm角の吐出孔を有する内径75mmφの浸漬ノズルを、湯面から吐出孔上端までの距離が150〜200mmとなるよう浸漬し、浸漬ノズル内には0.5〜1.5L/minのArガスを吹き込みつつ、普通鋼(C:0.003〜0.20%、Si:0.01〜0.4%、Mn:0.3〜1.3%、P:0.008〜0.020%、S:0.003〜0.012%)を定常部の鋳造速度0.8〜1.6m/minで鋳造した。 試験条件および試験結果を表1および表2に示す。
Figure 0004337748
Figure 0004337748
表1および表2中の化学組成欄の各成分の値は、不純物扱いとしたFe23、および溶融スラグ中にはほとんど溶け込まないカーボンを除く成分組成の合計が100%となるように表記した。また、焼結性および保温性の評価は、それぞれ下記の方法にしたがって行った。
(評価方法)
1)焼結性の評価
前記条件で2時間以上鋳造した際の鋳型内におけるモールドパウダーの焼結の度合いを、下記の評価基準に基づいて評価した。すなわち、鋳型内において溶融層の上に焼結層がほとんど形成されない場合を評価A、溶融層の上に厚さ10mm以下の焼結層が形成される場合を評価B、そして、溶融層の上に厚さ10mmを超える焼結層が形成される場合を評価Cとした。
焼結層の厚さは、直径2mmのアルミニウム被覆鋼線を鋳型上からパウダー層を貫いて溶鋼中にまで差し込んだ際に、密度の高い焼結層において貫入抵抗が増大する深さと、アルミニウムの溶融する深さとの関係から求めた。ここで、アルミニウムが完全に溶融し、鋼線は溶融しない領域を溶融層の領域(厚さ)と定義した。評価Aとは、アルミニウム被覆鋼線を差し込む際に、焼結層において抵抗増大が不明瞭な場合をいう。
焼結性の評価がAあるいはBの場合には、操業および品質上の問題は生じないが、焼結性の評価がCの場合には、保温性の低下や滓化の不安定といった問題が顕在化する。むろん、焼結性評価は、BよりもAの方が良好であることは言うまでもない。焼結が進行した場合に滓化が不安定になる理由は、焼結層においては熱伝達係数が高いため、溶鋼から熱を受けて高温となり、原料の溶融が進行する一方、その軟化温度は低いため、未燃焼のカーボンが焼結層内部に取り込まれやすく、局部的な溶融不良(カーボン燃焼不良)を生じるからである。
2)保温性の評価
保温性の評価は、前記条件で2時間以上3時間未満の連続鋳造を行った後に、鋳造速度を0.5m/minまで低下させ、浸漬ノズルを湯面から吐出孔上端までの距離が150mmの深さとなるように浸漬し、タンディッシュ内溶鋼過熱度が(30±5)℃の条件で、3分間鋳造した際の、湯面での凝固(デッケル)の生成状況を、下記の基準により評価した。すなわち、湯面の凝固(デッケル)が全く生成しない場合を評価A、湯面の凝固(デッケル)が生成することがある場合を評価B、そして、明確な湯面の凝固(デッケル)が生成する場合を評価Cとした。
保温性の評価がAあるいはBの場合には、鋳造操業および鋳片品質上の問題は生じないが、保温性の評価がCの場合には、生成したデッケルが気泡や介在物の浮上を妨げ、品質上無視できない悪影響を生じる。また、湯面温度の低下がモールドパウダーの溶融および滓化を阻害し、潤滑性を悪化させて、ブレークアウトなどの操業トラブルを引き起こす。評価Aが評価Bに優るのは、焼結性評価の場合と同様である。
(試験結果)
試験番号A、B、CおよびHは、第1発明〜第2発明の発明例についての試験であり、試験番号EおよびGは、第3発明〜第4発明の発明例についての試験である。
試験番号AおよびBのモールドパウダーは、アルカリ金属酸化物の含有率が1.9%および2.0%と低く、さらに膨張性黒鉛を配合しているので、鋳型内における焼結が軽微であり、焼結性の評価は最高の評価Aを得た。また、保温性の評価についても評価Bと良好であった。試験番号Aのモールドパウダーは、フッ素とアルカリ金属酸化物の合計含有量が3.9%と低いが、第2発明で規定する含有量の範囲を満足しているので、原料の溶融および滓化は問題なく進行することが確認された。
試験番号Cのモールドパウダーは、アルカリ金属酸化物の含有量が4.3%とやや高く、膨張性黒鉛も配合されていないので、試験番号AおよびBのモールドパウダーに比べてやや劣るものの、良好な焼結性が得られ、その評価はBであった。また、保温性についても評価Bと良好であった。
試験番号Hは、組成調整用としてアルミナ粉、マグネシア粉、チタニア粉、ジルコニア粉およびジルコン粉のいずれをも配合しなかった第1発明についての試験であり、アルカリ金属酸化物の含有率が1.7%と低く、さらに膨張性黒鉛を配合しているので、鋳型内における焼結が軽微であった。その結果、焼結性評価はAであり、保温性評価はBと、良好な結果が得られた。
試験番号EおよびGは、さらに発熱金属としてCa−Si合金またはSiを3〜4%配合した第3発明〜第4発明についての試験である。いずれも保温性が向上し、最高の保温性評価Aを得た。特に、試験番号Eのモールドパウダーは、アルカリ金属酸化物の含有量を0.5%に抑えたので、焼結性評価についても最高のAを得て、連続鋳造操業および鋳片品質の両面で高い安定性を発揮した。
これらに対して、試験番号J、KおよびLは、本発明で規定する範囲の少なくとも一つを満足しない比較例についての試験である。
試験番号Jのモールドパウダーは、低融点の氷晶石を6%配合していること、およびアルカリ金属酸化物の合計含有量が16.2%と高いこと、ならびに主原料、シリカ源、炭酸塩および滓化速度調整用カーボンの合計含有量が全配合原料の94%と低いことから、鋳造時に明確な焼結層が形成され、焼結性の評価はCとなった。さらに、焼結層の形成が顕著であることに起因して保温性も悪化し、保温性評価はCと低く、操業および品質の両面で不安定なモールドパウダーであった。
試験番号Kのモールドパウダーは、主原料として軟化温度の低い合成珪酸カルシウムおよび高炉スラグを使用している。また、ポルトランドセメント、シリカ源、蛍石、炭酸塩および滓化速度調整用カーボンの合計含有量が全配合原料の76%と著しく低いことから、鋳造時に鋳型内での焼結層の形成が顕著であり、焼結性の評価はCであった。それに伴って保温性も悪化した。
試験番号Lのモールドパウダーは、従来タイプの発熱金属を配合したモールドパウダーであり、助燃剤である酸化鉄(Fe23)含有率が9%と高く、また、ポルトランドセメント、シリカ源、蛍石、炭酸塩および滓化速度調整用カーボンの合計含有量が91%と低い。試験番号Lでは、鋳造条件によっては、発熱金属であるCa−Si合金に還元されなかった低級酸化物の酸化鉄が溶融スラグ中に残留し、溶鋼を汚染するという問題が生じた。なお、試験番号Lのモールドパウダーは、他の原料配合については好ましい範囲にあることから、焼結性評価および保温性評価はともに評価Aが得られた。
なお、表1に示す試験番号A、B、C、E、GおよびHに用いられた全てのモールドパウダーは、凝固温度および粘度ともに本発明の範囲内にあり、表1に記載された鋼中C含有量の普通鋼に適した値を有している。したがって、モールドパウダーの焼結性または保温性に起因する諸特性を除けば、鋳造操業上および鋳片品質上の問題は生じなかった。
原料配合の具体的な事例として、試験番号Aの試験で用いたモールドパウダーの配合例を表3に示す。
Figure 0004337748
同表に示されるとおりの化学組成を有する各原料を、第2発明で規定される範囲内において原料配合することにより、試験番号Aのモールドパウダーを得ることができる。
さらに、表4には、前記表1および表2に掲げた高炉スラグおよび合成珪酸カルシウムの化学組成例を示す。
Figure 0004337748
高炉スラグは、高炉の操業条件により組成が変動することがあるので、表4に示したものは、その一例である。また、合成珪酸カルシウムは、任意の原料を混合したものをプリメルト(溶解後、凝固させ粉砕)したものであるから、原料配合によって幅広い組成のものが得られる。表4に示した化学組成は、その中の一例である。
本発明のモールドパウダーは、配合主原料およびシリカ源の種類、炭酸塩の種類および含有量、カーボンおよびアルカリ金属酸化物の含有量、フッ素およびアルカリ金属酸化物の合計含有量、ならびに凝固温度および粘度の適正化が図られているので、鋳型内におけるパウダーの焼結を防止し、炭酸塩の分解反応による攪拌を有効に作用させて発熱金属の燃焼を容易ならしめ、優れた保温性を発揮することができる。したがって、本発明のモールドパウダーは、湯面温度の変動を防止し、安定した鋳造操業および優れた鋳片品質を要求される鋼の連続鋳造分野において広範に適用できる。

Claims (4)

  1. 鋳型内の溶鋼表面に添加される連続鋳造用モールドパウダーであって、
    主原料としてポルトランドセメント、シリカ源として珪藻土または珪砂、およびフッ素源として蛍石を含有し、炭酸塩として炭酸ソーダ、炭酸リチウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムのうちの1種以上を合計で2〜35質量%、ならびに滓化速度調整用のカーボンを1〜7質量%含有し、
    前記規定原料が全配合原料の100質量%を占め、
    アルカリ金属酸化物を5質量%以下、およびフッ素とアルカリ金属酸化物を合計で1.5質量%以上含有し、
    凝固温度が1000〜1280℃であり、1300℃における粘度が0.04〜1.5Pa・sであることを特徴とする連続鋳造用モールドパウダー。
  2. 鋳型内の溶鋼表面に添加される連続鋳造用モールドパウダーであって、
    主原料としてポルトランドセメント、シリカ源として珪藻土または珪砂、およびフッ素源として蛍石を含有し、炭酸塩として炭酸ソーダ、炭酸リチウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムのうちの1種以上を合計で2〜35質量%、ならびに滓化速度調整用のカーボンを1〜7質量%含有し、かつ、組成調整用として、アルミナ粉、マグネシア粉、チタニア粉、ジルコニア粉およびジルコン粉のうちの1種以上を含有し、
    前記規定原料が全配合原料の100質量%を占め、
    アルカリ金属酸化物を5質量%以下、およびフッ素とアルカリ金属酸化物を合計で1.5質量%以上含有し、
    凝固温度が1000〜1280℃であり、1300℃における粘度が0.04〜1.5Pa・sであることを特徴とする連続鋳造用モールドパウダー。
  3. 鋳型内の溶鋼表面に添加される連続鋳造用モールドパウダーであって、
    粒子形態が粉末状であり、
    主原料としてポルトランドセメント、シリカ源として珪藻土または珪砂、およびフッ素源として蛍石を含有し、発熱金属原料としてCa−Si合金および/またはSiを合計で1〜7質量%、炭酸塩として炭酸ソーダ、炭酸リチウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムのうちの1種以上を合計で10〜35質量%、かつ、発熱金属含有量の5〜8倍(質量比)の炭酸塩を含有し、ならびに滓化速度調整用のカーボンを0.1〜5質量%含有し、
    前記規定原料が全配合原料の100質量%を占め、
    アルカリ金属酸化物を5質量%以下、およびフッ素とアルカリ金属酸化物を合計で1.5質量%以上含有し、不純物として以外には酸化鉄を含まず、
    凝固温度が1000〜1280℃であり、1300℃における粘度が0.04〜1.5Pa・sであることを特徴とする連続鋳造用モールドパウダー。
  4. 鋳型内の溶鋼表面に添加される連続鋳造用モールドパウダーであって、
    粒子形態が粉末状であり、
    主原料としてポルトランドセメント、シリカ源として珪藻土または珪砂、およびフッ素源として蛍石を含有し、発熱金属原料としてCa−Si合金および/またはSiを合計で1〜7質量%、炭酸塩として炭酸ソーダ、炭酸リチウム、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムのうちの1種以上を合計で10〜35質量%、かつ、発熱金属含有量の5〜8倍(質量比)の炭酸塩を含有し、ならびに滓化速度調整用のカーボンを0.1〜5質量%含有し、かつ、組成調整用として、アルミナ粉、マグネシア粉、チタニア粉、ジルコニア粉およびジルコン粉のうちの1種以上を含有し、
    前記規定原料が全配合原料の100質量%を占め、
    アルカリ金属酸化物を5質量%以下、およびフッ素とアルカリ金属酸化物を合計で1.5質量%以上含有し、不純物として以外には酸化鉄を含まず、
    凝固温度が1000〜1280℃であり、1300℃における粘度が0.04〜1.5Pa・sであることを特徴とする連続鋳造用モールドパウダー。
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