JP2673077B2 - 鋼の連続鋳造用鋳型添加剤及び連続鋳造方法 - Google Patents
鋼の連続鋳造用鋳型添加剤及び連続鋳造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼の連続鋳造において
鋳型内に散布して使用される鋼の連続鋳造用鋳型添加剤
及び該鋳型添加剤を使用する鋼の連続鋳造方法に関する
ものである。
鋳型内に散布して使用される鋼の連続鋳造用鋳型添加剤
及び該鋳型添加剤を使用する鋼の連続鋳造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造用鋳型添加剤(以下、パウ
ダーと略称する)はポルトランドセメント、黄燐スラ
グ、合成珪酸カルシウム、ウォラストナイトなどを主原
料とし、必要に応じてSiO2質原料を加え、ソーダ灰
や蛍石などのフラックス原料、溶融速度調整剤としての
炭素質原料を添加したものが一般的である。
ダーと略称する)はポルトランドセメント、黄燐スラ
グ、合成珪酸カルシウム、ウォラストナイトなどを主原
料とし、必要に応じてSiO2質原料を加え、ソーダ灰
や蛍石などのフラックス原料、溶融速度調整剤としての
炭素質原料を添加したものが一般的である。
【0003】パウダーは鋳型内へ注入された溶鋼表面上
へ添加され、種々の役割を果たしながら消費される。特
に、鋳型と凝固シェルの潤滑、溶鋼から浮上する介
在物の溶解及び吸収、溶鋼の保温などが主要な役割で
ある。とはパウダーの軟化点、粘度などを調整する
ことが必要であり、化学組成の選定が肝要である。ま
た、の溶鋼保温については主に炭素質原料によって調
整される溶融速度や嵩比重、拡がり性などの粉体特性が
重要とされている。
へ添加され、種々の役割を果たしながら消費される。特
に、鋳型と凝固シェルの潤滑、溶鋼から浮上する介
在物の溶解及び吸収、溶鋼の保温などが主要な役割で
ある。とはパウダーの軟化点、粘度などを調整する
ことが必要であり、化学組成の選定が肝要である。ま
た、の溶鋼保温については主に炭素質原料によって調
整される溶融速度や嵩比重、拡がり性などの粉体特性が
重要とされている。
【0004】我が国における連続鋳造技術の進展は目覚
ましく、粗鋼の95%以上が連続鋳造によって生産され
ている。更に、HCR(ホットチャージ)、HDR(ホッ
トダイレクトローリング)比率の向上、高速鋳造などが
積極的に進められている。従って、鋳片品質や操業安定
度に多大な影響を与えるパウダーに対する要求も一段と
厳しいものがあり、必要とされるパウダーも多種多様と
なっている。
ましく、粗鋼の95%以上が連続鋳造によって生産され
ている。更に、HCR(ホットチャージ)、HDR(ホッ
トダイレクトローリング)比率の向上、高速鋳造などが
積極的に進められている。従って、鋳片品質や操業安定
度に多大な影響を与えるパウダーに対する要求も一段と
厳しいものがあり、必要とされるパウダーも多種多様と
なっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】近年の高速鋳造化は著
しく、スラブ連鋳でも1.5〜3.0m/分の高速鋳造が
実施されている。このような条件下では周知の通り、よ
り低粘度パウダーが必要であり、従来のパウダーより多
量のフッ素を含有するパウダーが使用されている。その
結果、鋳型内で使用される浸漬ノズルの溶損速度が増大
するという問題が引き起こされている。浸漬ノズルはパ
ウダースラグと接触する部分が損傷し易いため、パウダ
ースラグに対する溶解度の低いZrO2を主成分とした
ZrO2−C(カーボン)系材料で補強されたものが一般
に使用されている。しかし、フッ素含有量の高いパウダ
ースラグに対しては必ずしも十分な耐用を示さないこと
が多い。従って、高速鋳造や多連鋳を安定に実施するた
めにはZrO2−C系材料を損傷しにくい低腐食性パウ
ダーの開発が必要である。
しく、スラブ連鋳でも1.5〜3.0m/分の高速鋳造が
実施されている。このような条件下では周知の通り、よ
り低粘度パウダーが必要であり、従来のパウダーより多
量のフッ素を含有するパウダーが使用されている。その
結果、鋳型内で使用される浸漬ノズルの溶損速度が増大
するという問題が引き起こされている。浸漬ノズルはパ
ウダースラグと接触する部分が損傷し易いため、パウダ
ースラグに対する溶解度の低いZrO2を主成分とした
ZrO2−C(カーボン)系材料で補強されたものが一般
に使用されている。しかし、フッ素含有量の高いパウダ
ースラグに対しては必ずしも十分な耐用を示さないこと
が多い。従って、高速鋳造や多連鋳を安定に実施するた
めにはZrO2−C系材料を損傷しにくい低腐食性パウ
ダーの開発が必要である。
【0006】また、最近、浸漬ノズル溶損低減を目的
に、ZrO2をパウダー中に含有させる方法も提案され
ているが、ZrO2はパウダースラグへの溶解度、溶解
速度が低いため、短時間では均一なスラグが得られず、
パウダーの本来の機能を果たし得ない。仮に、溶解した
としても粘度や結晶化温度を上昇させるため使用範囲が
限定されるという欠点を有する。また、ZrO2を含有
させたとしても多量のフッ素を含有させると溶損速度が
大きくなり期待する結果は得られない。
に、ZrO2をパウダー中に含有させる方法も提案され
ているが、ZrO2はパウダースラグへの溶解度、溶解
速度が低いため、短時間では均一なスラグが得られず、
パウダーの本来の機能を果たし得ない。仮に、溶解した
としても粘度や結晶化温度を上昇させるため使用範囲が
限定されるという欠点を有する。また、ZrO2を含有
させたとしても多量のフッ素を含有させると溶損速度が
大きくなり期待する結果は得られない。
【0007】従って、本発明の目的は、浸漬ノズルを損
傷することがないモールドパウダー及びそれを使用した
鋼の連続鋳造方法を提供することにある。
傷することがないモールドパウダー及びそれを使用した
鋼の連続鋳造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らはパウダース
ラグによる浸漬ノズルの溶損を防止するために種々検討
した結果、CaO/SiO2重量比、CaO/F重量比
を規制することにより浸漬ノズルのパウダーラインに使
用されているZrO2−C系材料の溶損速度を著しく低
減できることを見出した。
ラグによる浸漬ノズルの溶損を防止するために種々検討
した結果、CaO/SiO2重量比、CaO/F重量比
を規制することにより浸漬ノズルのパウダーラインに使
用されているZrO2−C系材料の溶損速度を著しく低
減できることを見出した。
【0009】即ち、CaO/SiO2重量比を1.1〜
1.8に、CaO/F重量比を9〜40に規制すること
により浸漬ノズルのパウダーラインの溶損速度が軽減で
き、浸漬ノズルの耐用を大幅に向上できることが判明し
た。
1.8に、CaO/F重量比を9〜40に規制すること
により浸漬ノズルのパウダーラインの溶損速度が軽減で
き、浸漬ノズルの耐用を大幅に向上できることが判明し
た。
【0010】また、パウダーラインに使用するZrO2
−C系材料の骨材に使用するZrO2原料としてはCa
Oを3〜30%添加したCaO−ZrO2系原料が好ま
しく、その配合量を30〜80%とすることによりZr
O2−C系材料の溶損速度は最も低くなる。更に、前記
したパウダーとZrO2−C系材料を少なくともパウダ
ーラインに配した浸漬ノズルを併用することにより浸漬
ノズルの耐用時間は大幅に伸び、安定した多連鋳、高速
鋳造が可能であることが判明した。
−C系材料の骨材に使用するZrO2原料としてはCa
Oを3〜30%添加したCaO−ZrO2系原料が好ま
しく、その配合量を30〜80%とすることによりZr
O2−C系材料の溶損速度は最も低くなる。更に、前記
したパウダーとZrO2−C系材料を少なくともパウダ
ーラインに配した浸漬ノズルを併用することにより浸漬
ノズルの耐用時間は大幅に伸び、安定した多連鋳、高速
鋳造が可能であることが判明した。
【0011】即ち、本発明に係るパウダーは、CaO、
Al2O3 、SiO2 及びCを主成分とし、且つSを実質
上含まないパウダーであって、CaO/SiO2重量比
が1.1〜1.8で、CaO/F重量比が9〜40である
ことを特徴とする。
Al2O3 、SiO2 及びCを主成分とし、且つSを実質
上含まないパウダーであって、CaO/SiO2重量比
が1.1〜1.8で、CaO/F重量比が9〜40である
ことを特徴とする。
【0012】更に、本発明に係る鋼の連続鋳造方法は、
CaO−ZrO2系原料を主骨材とするZrO2−C系材
料を少なくともパウダーラインに配した浸漬ノズルと上
記パウダーを併用することを特徴とする。
CaO−ZrO2系原料を主骨材とするZrO2−C系材
料を少なくともパウダーラインに配した浸漬ノズルと上
記パウダーを併用することを特徴とする。
【0013】
【作用】浸漬ノズルのパウダーラインに使用されるZr
O2−C系材料の骨材原料としてはCaO、MgO、Y2
O3などを添加した部分安定化あるいは安定化ZrO2が
使用されている。ZrO2−C系材料の実使用時におけ
る損傷は主にこれらZrO2原料粒子のパウダースラ
グへの溶解と、パウダースラグとの接触による脱安定
化に伴う粒子の崩壊、細粒化によって進むと考えられ
る。
O2−C系材料の骨材原料としてはCaO、MgO、Y2
O3などを添加した部分安定化あるいは安定化ZrO2が
使用されている。ZrO2−C系材料の実使用時におけ
る損傷は主にこれらZrO2原料粒子のパウダースラ
グへの溶解と、パウダースラグとの接触による脱安定
化に伴う粒子の崩壊、細粒化によって進むと考えられ
る。
【0014】しかし、ZrO2は基本的にCaO−Si
O2系スラグへの溶解度が非常に低く、ZrO2−C系材
料の損傷には大きく影響していないと考える。事実、実
機で使用された浸漬ノズルの損傷状態を観察すると、Z
rO2粒子の細粒化が顕著であり、溶解による損傷形態
は殆ど観察されない。即ち、ZrO2−C系材料のパウ
ダースラグによる損傷は骨材として使用されている部分
安定化あるいは安定化ZrO2原料の脱安定化に伴う細
粒化現象を抑制することにより軽減できると考えられ
る。
O2系スラグへの溶解度が非常に低く、ZrO2−C系材
料の損傷には大きく影響していないと考える。事実、実
機で使用された浸漬ノズルの損傷状態を観察すると、Z
rO2粒子の細粒化が顕著であり、溶解による損傷形態
は殆ど観察されない。即ち、ZrO2−C系材料のパウ
ダースラグによる損傷は骨材として使用されている部分
安定化あるいは安定化ZrO2原料の脱安定化に伴う細
粒化現象を抑制することにより軽減できると考えられ
る。
【0015】そこで、本発明者らは部分安定化、安定化
ZrO2の脱安定化に及ぼすパウダー成分の影響に着目
し、本発明を見出した。即ち、脱安定化現象はパウダー
スラグの 1)CaO/SiO2が低い場合(従って、SiO2が多
い)、 2)CaO/Fが低い場合、 に顕著であることが確認された。
ZrO2の脱安定化に及ぼすパウダー成分の影響に着目
し、本発明を見出した。即ち、脱安定化現象はパウダー
スラグの 1)CaO/SiO2が低い場合(従って、SiO2が多
い)、 2)CaO/Fが低い場合、 に顕著であることが確認された。
【0016】本発明者らの実験結果を図1〜3に示す。
図1はパウダーのフラックス成分を同一(Na2O=10
%、F=6%)とし、CaO/SiO2重量比(塩基度)だ
けを変化させたときのCaO添加部分安定化ZrO2原
料の安定化度の変化(1500℃/30分間加熱)、及び
CaO添加ZrO2−C系材料の溶損速度指数(1600
℃/3時間加熱)を示している。高塩基度パウダーほど
安定化度の変化が小さく溶損速度指数も低いことが判
る。なお、CaO添加ZrO2−C系材料は、CaO安
定化ZrO245重量%、バッデライト30重量%、黒
鉛20重量%、SiC5重量%よりなるものである。
図1はパウダーのフラックス成分を同一(Na2O=10
%、F=6%)とし、CaO/SiO2重量比(塩基度)だ
けを変化させたときのCaO添加部分安定化ZrO2原
料の安定化度の変化(1500℃/30分間加熱)、及び
CaO添加ZrO2−C系材料の溶損速度指数(1600
℃/3時間加熱)を示している。高塩基度パウダーほど
安定化度の変化が小さく溶損速度指数も低いことが判
る。なお、CaO添加ZrO2−C系材料は、CaO安
定化ZrO245重量%、バッデライト30重量%、黒
鉛20重量%、SiC5重量%よりなるものである。
【0017】図2はCaO、MgO、Y2O3により安定
化させたZrO2原料を骨材としたZrO2−C系材料の
実機における溶損速度を示している。表1にZrO2−
C系材料の配合、物性値及び溶損速度指数を示す。ま
た、パウダーとしては後述の実施例中の本発明品2を使
用した。
化させたZrO2原料を骨材としたZrO2−C系材料の
実機における溶損速度を示している。表1にZrO2−
C系材料の配合、物性値及び溶損速度指数を示す。ま
た、パウダーとしては後述の実施例中の本発明品2を使
用した。
【0018】
【表1】
【0019】表1及び図2から明らかなようにMgO安
定化ZrO2を使用したZrO2−C系材料のの溶損速度
が最も大きいことが分かる。また、溶損部分を観察する
と骨材であるZrO2原料粒子が著しく細粒化している
ことが判明した。一方、Y2O3粒子を添加したZrO2
を使用したZrO2−C系材料は最も溶損速度が低く、
ZrO2粒子の細粒化の程度もMgO添加品に比べ非常
に小さいことが確認できる。しかし、Y2O3添加ZrO
2は価格も非常に高く現実的には使用は難しい。従っ
て、ZrO2−C系材料の骨材としてはCaOを添加し
た安定化あるいは部分安定化ZrO2が最も好ましい。
即ち、パウダースラグに対する安定性(脱安定化挙動)と
価格の面からCaO添加による安定化あるいは部分安定
化ZrO2がZrO2−C系材料の骨材として最も好まし
い。
定化ZrO2を使用したZrO2−C系材料のの溶損速度
が最も大きいことが分かる。また、溶損部分を観察する
と骨材であるZrO2原料粒子が著しく細粒化している
ことが判明した。一方、Y2O3粒子を添加したZrO2
を使用したZrO2−C系材料は最も溶損速度が低く、
ZrO2粒子の細粒化の程度もMgO添加品に比べ非常
に小さいことが確認できる。しかし、Y2O3添加ZrO
2は価格も非常に高く現実的には使用は難しい。従っ
て、ZrO2−C系材料の骨材としてはCaOを添加し
た安定化あるいは部分安定化ZrO2が最も好ましい。
即ち、パウダースラグに対する安定性(脱安定化挙動)と
価格の面からCaO添加による安定化あるいは部分安定
化ZrO2がZrO2−C系材料の骨材として最も好まし
い。
【0020】図3はCaO/F重量比のZrO2−C系
材料の溶損に及ぼす影響を示している。図3から明らか
なようにCaO/F重量比が9を超えると溶損速度が著
しくなることが分かる。従来の組成範囲のパウダーでは
高フッ素になると一般に溶損速度が大きくなるが、本発
明のようにCaO/Fを大きくすることにより同一フッ
素量としてもZrO2原料の脱安定化現象を軽減でき、
ZrO2−C系材料の溶損速度を低減できることが判明
した。なお、溶損速度は実操業データより算出したもの
であり、ZrO2−C系材料は表1のDを使用した。
材料の溶損に及ぼす影響を示している。図3から明らか
なようにCaO/F重量比が9を超えると溶損速度が著
しくなることが分かる。従来の組成範囲のパウダーでは
高フッ素になると一般に溶損速度が大きくなるが、本発
明のようにCaO/Fを大きくすることにより同一フッ
素量としてもZrO2原料の脱安定化現象を軽減でき、
ZrO2−C系材料の溶損速度を低減できることが判明
した。なお、溶損速度は実操業データより算出したもの
であり、ZrO2−C系材料は表1のDを使用した。
【0021】ここで、各成分の添加量、構成比を規定す
る理由について述べる。CaO/SiO2重量比は1.1
〜1.8とする。本発明の場合、粘度低下に効果がある
フッ素量が少ないためCaO/SiO2重量比が1.1未
満では目的とする粘性が得られないのと、SiO2量が
多くなるためZrO2粒子の細粒化現象が顕著になる問
題がある。該重量比が1.8を超えると結晶化温度や溶
融温度が高くなり過ぎるためパウダーとして適当でな
い。また、安定化あるいは部分安定化ZrO2粒子(以
下、単にZrO2粒子と言う)の脱安定化に伴う細粒化は
CaO/Fが9未満になると顕著になるため、9以上、
好ましくは12以上が良い。しかし、該重量比が40を
超えるとパウダースラグの結晶化温度が著しく上昇し、
パウダー本来の役割である鋳型と凝固シェル間の潤滑に
問題を生ずるためCaO/F重量比は9〜40、好まし
くは12〜30の範囲内が好ましい。
る理由について述べる。CaO/SiO2重量比は1.1
〜1.8とする。本発明の場合、粘度低下に効果がある
フッ素量が少ないためCaO/SiO2重量比が1.1未
満では目的とする粘性が得られないのと、SiO2量が
多くなるためZrO2粒子の細粒化現象が顕著になる問
題がある。該重量比が1.8を超えると結晶化温度や溶
融温度が高くなり過ぎるためパウダーとして適当でな
い。また、安定化あるいは部分安定化ZrO2粒子(以
下、単にZrO2粒子と言う)の脱安定化に伴う細粒化は
CaO/Fが9未満になると顕著になるため、9以上、
好ましくは12以上が良い。しかし、該重量比が40を
超えるとパウダースラグの結晶化温度が著しく上昇し、
パウダー本来の役割である鋳型と凝固シェル間の潤滑に
問題を生ずるためCaO/F重量比は9〜40、好まし
くは12〜30の範囲内が好ましい。
【0022】パウダーに添加されている他成分について
は使用条件(鋳造条件)に応じて自由に選択、調整するこ
とが可能であり、本発明の効果を損なうものではない。
各種成分の最適添加量について以下に述べる。
は使用条件(鋳造条件)に応じて自由に選択、調整するこ
とが可能であり、本発明の効果を損なうものではない。
各種成分の最適添加量について以下に述べる。
【0023】主に溶融性調整剤として使用されるアルカ
リ金属の酸化物は、3重量%未満では十分な効果がな
く、20重量%を超えると溶融温度が低くなり過ぎるた
め添加量としては3〜20重量%が好ましい。Al2O3
は高濃度になるとパウダースラグ中に比較的高融点の2
CaO・Al2O3・SiO2を生成させ、潤滑性に問題
が起き易くなるため8重量%以下が良い。MgOは主に
軟化温度、溶融温度を調整するために添加するが、1重
量%未満では効果が小さく、10重量%を超えると結晶
化温度が高くなり過ぎるなどの問題があり、添加すると
しても1〜10重量%が好ましい。
リ金属の酸化物は、3重量%未満では十分な効果がな
く、20重量%を超えると溶融温度が低くなり過ぎるた
め添加量としては3〜20重量%が好ましい。Al2O3
は高濃度になるとパウダースラグ中に比較的高融点の2
CaO・Al2O3・SiO2を生成させ、潤滑性に問題
が起き易くなるため8重量%以下が良い。MgOは主に
軟化温度、溶融温度を調整するために添加するが、1重
量%未満では効果が小さく、10重量%を超えると結晶
化温度が高くなり過ぎるなどの問題があり、添加すると
しても1〜10重量%が好ましい。
【0024】その他のフラックス成分としてMnO、B
aO、B2O3、TiO2などが考えられるが、これらは
基本的にはZrO2−C系材料の耐用を低下させる成分
であり、パウダーの溶融特性を調整する目的で使用する
としても1〜5%程度が妥当である。
aO、B2O3、TiO2などが考えられるが、これらは
基本的にはZrO2−C系材料の耐用を低下させる成分
であり、パウダーの溶融特性を調整する目的で使用する
としても1〜5%程度が妥当である。
【0025】炭素質原料はパウダーの溶融速度調整のた
め添加するが、0.5重量%未満では効果がなく、8重
量%を超えると溶融速度が遅くなり過ぎるため0.5〜
8重量%が好ましい。
め添加するが、0.5重量%未満では効果がなく、8重
量%を超えると溶融速度が遅くなり過ぎるため0.5〜
8重量%が好ましい。
【0026】浸漬ノズルのパウダーラインに使用するZ
rO2−C系材料には、CaOを3〜30重量%添加し
たZrO2を骨材として使用することが好ましい。Ca
Oが3重量%未満では安定化率が低く、加熱、冷却時に
粒子の割れ、材料の崩壊現象が見られ好ましくない。ま
た、30重量%を超えるとZrO2本来の特徴が失わ
れ、パウダースラグへの溶解速度も極端に大きくなるた
めに好ましくない。また、ZrO2−C系材料への配合
比率は30重量%未満ではZrO2の特徴が生かし切れ
ず期待する耐用は得られない。逆に80重量%を超える
と相対的にカーボンの配合比率が低くなり過ぎるため使
用時の切損、パウダースラグの材料中への浸透が大きく
なるなどの問題が発生する。
rO2−C系材料には、CaOを3〜30重量%添加し
たZrO2を骨材として使用することが好ましい。Ca
Oが3重量%未満では安定化率が低く、加熱、冷却時に
粒子の割れ、材料の崩壊現象が見られ好ましくない。ま
た、30重量%を超えるとZrO2本来の特徴が失わ
れ、パウダースラグへの溶解速度も極端に大きくなるた
めに好ましくない。また、ZrO2−C系材料への配合
比率は30重量%未満ではZrO2の特徴が生かし切れ
ず期待する耐用は得られない。逆に80重量%を超える
と相対的にカーボンの配合比率が低くなり過ぎるため使
用時の切損、パウダースラグの材料中への浸透が大きく
なるなどの問題が発生する。
【0027】本発明によるパウダーは上述のような化学
組成になるように各原料を配合したのち、V型ミキサー
やナウタミキサーなどで均一に混合することにより得ら
れる(粉末パウダー)。また、原料混合物を加水混練し、
押出造粒機によって柱状体の顆粒を得たり、混合物をス
ラリー化したのち、スプレー造粒法により球状のパウダ
ーを得ることもできる。
組成になるように各原料を配合したのち、V型ミキサー
やナウタミキサーなどで均一に混合することにより得ら
れる(粉末パウダー)。また、原料混合物を加水混練し、
押出造粒機によって柱状体の顆粒を得たり、混合物をス
ラリー化したのち、スプレー造粒法により球状のパウダ
ーを得ることもできる。
【0028】本発明によるパウダーは以下に示すような
一般に使用されている原料で構成できる。 基材原料:ポルトランドセメント、黄リンスラグ、高炉
スラグ、ウォラストナイト、合成珪酸カルシウムなど SiO2原料:パーライト、フライアッシュ、ケイ砂、
ケイ石など Na2O、K2O、Li2O:炭酸塩、ガラス粉、フリッ
ト粉など MgO原料:炭酸塩、海水MgO粉、ドロマイト粉など 炭素質原料:コークス粉、りん状黒鉛、カーボンブラッ
クなど
一般に使用されている原料で構成できる。 基材原料:ポルトランドセメント、黄リンスラグ、高炉
スラグ、ウォラストナイト、合成珪酸カルシウムなど SiO2原料:パーライト、フライアッシュ、ケイ砂、
ケイ石など Na2O、K2O、Li2O:炭酸塩、ガラス粉、フリッ
ト粉など MgO原料:炭酸塩、海水MgO粉、ドロマイト粉など 炭素質原料:コークス粉、りん状黒鉛、カーボンブラッ
クなど
【0029】
実施例1 以下の表2に、従来品並びに本発明品のパウダーの原料
配合、化学成分、諸特性を記載する。
配合、化学成分、諸特性を記載する。
【0030】
【表2】
【0031】実施例2 パウダーとして本発明品3〜6、パウダーライン材質と
して表1に示すZrO2−C系材料D(ZrO276%、
C20%)を配設した浸漬ノズルを使用して操業した場
合の浸漬ノズルの耐用性を表2の浸漬ノズル溶損指数と
して示す。なお、浸漬ノズルは二孔タイプで、吐出口角
度は下向き25度、パウダーラインの肉厚は25mmの
ものを使用した。対象鋼種は主に低炭素Alキルド鋼、
連続鋳造機は垂直曲げ型スラブCC、連々数4〜7ヒー
ト、鋳造時間(30分/ヒート)の条件で操業した。ま
た、パウダーはスクリュウタイプの自動供給機を用いて
モールド内へ散布した。本実施例において、本発明品は
いずれも従来のパウダー1、2に比べ溶損量が半減し
た。その結果、鋳造中の溶断事故も皆無であった。ま
た、パウダースラグ中のZrO2量は1.0%未満で、多
くの場合0.5%以下であり、ZrO2によるスラグ特性
の変化も小さく、BO予知警報も皆無であった。
して表1に示すZrO2−C系材料D(ZrO276%、
C20%)を配設した浸漬ノズルを使用して操業した場
合の浸漬ノズルの耐用性を表2の浸漬ノズル溶損指数と
して示す。なお、浸漬ノズルは二孔タイプで、吐出口角
度は下向き25度、パウダーラインの肉厚は25mmの
ものを使用した。対象鋼種は主に低炭素Alキルド鋼、
連続鋳造機は垂直曲げ型スラブCC、連々数4〜7ヒー
ト、鋳造時間(30分/ヒート)の条件で操業した。ま
た、パウダーはスクリュウタイプの自動供給機を用いて
モールド内へ散布した。本実施例において、本発明品は
いずれも従来のパウダー1、2に比べ溶損量が半減し
た。その結果、鋳造中の溶断事故も皆無であった。ま
た、パウダースラグ中のZrO2量は1.0%未満で、多
くの場合0.5%以下であり、ZrO2によるスラグ特性
の変化も小さく、BO予知警報も皆無であった。
【0032】
【発明の効果】本発明によるパウダーは浸漬ノズルの少
なくともパウダーラインに配されたZrO2−C系材料
のパウダースラグによる溶損速度が低いため、 浸漬ノズルの耐用時間が伸び、多連鋳が可能; パウダースラグ中に溶解、懸濁するZrO2濃度が低
く、ブレークアウト頻度が低い、などの効果が得られ
る。
なくともパウダーラインに配されたZrO2−C系材料
のパウダースラグによる溶損速度が低いため、 浸漬ノズルの耐用時間が伸び、多連鋳が可能; パウダースラグ中に溶解、懸濁するZrO2濃度が低
く、ブレークアウト頻度が低い、などの効果が得られ
る。
【図1】パウダーのCaO/SiO2重量比のジルコニ
ア安定化率及びZrO2−C系材料の溶損速度に及ぼす
影響を示すグラフである。
ア安定化率及びZrO2−C系材料の溶損速度に及ぼす
影響を示すグラフである。
【図2】ZrO2の安定化剤の溶損速度に及ぼす影響を
示すグラフである。
示すグラフである。
【図3】パウダーのCaO/F重量比の溶損速度に及ぼ
す影響を示すグラフである。
す影響を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 CaO、Al2O3 、SiO2 及びCを主
成分とし、且つSを実質上含まない鋼の連続鋳造用鋳型
添加剤であって、CaO/SiO2重量比が1.1〜1.
8で、CaO/F重量比が9〜40であることを特徴と
する鋼の連続鋳造用鋳型添加剤。 - 【請求項2】 鋼の連続鋳造方法において、CaO−Z
rO2系原料を主骨材とするZrO2−C系材料を少なく
ともパウダーラインに配した浸漬ノズルと請求項1記載
の鋼の連続鋳造用鋳型添加剤を併用することを特徴とす
る鋼の連続鋳造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4066185A JP2673077B2 (ja) | 1992-03-24 | 1992-03-24 | 鋼の連続鋳造用鋳型添加剤及び連続鋳造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4066185A JP2673077B2 (ja) | 1992-03-24 | 1992-03-24 | 鋼の連続鋳造用鋳型添加剤及び連続鋳造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05269560A JPH05269560A (ja) | 1993-10-19 |
JP2673077B2 true JP2673077B2 (ja) | 1997-11-05 |
Family
ID=13308536
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4066185A Expired - Lifetime JP2673077B2 (ja) | 1992-03-24 | 1992-03-24 | 鋼の連続鋳造用鋳型添加剤及び連続鋳造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2673077B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3463567B2 (ja) * | 1997-08-26 | 2003-11-05 | 住友金属工業株式会社 | 連続鋳造用モールドパウダおよび連続鋳造方法 |
JP3722405B2 (ja) * | 1999-10-19 | 2005-11-30 | 品川白煉瓦株式会社 | 鋼の連続鋳造方法 |
JP4751283B2 (ja) * | 2006-02-01 | 2011-08-17 | 新日本製鐵株式会社 | 連続鋳造用パウダー及び鋼の連続鋳造方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5961557A (ja) * | 1982-09-30 | 1984-04-07 | Nippon Kokan Kk <Nkk> | 連続鋳造用鋳型添加剤向け珪酸カルシウム |
JPS6186052A (ja) * | 1984-10-02 | 1986-05-01 | Toshiba Ceramics Co Ltd | 連続鋳造用浸漬ノズル |
JPH0437453A (ja) * | 1990-05-31 | 1992-02-07 | Nippon Steel Corp | 広幅薄肉スラブ鋳造用ノズル |
-
1992
- 1992-03-24 JP JP4066185A patent/JP2673077B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05269560A (ja) | 1993-10-19 |
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