JP2018130750A - 連続鋳造用モールドパウダー及び溶融金属の連続鋳造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パウダー巻き込み防止による品質向上と潤滑性とを両立でき、且つ、連続鋳造時にパウダーの飛散を抑制して、パウダー溶融層の組成変動を抑制可能な連続鋳造用モールドパウダーを得る。
【解決手段】主成分としてCaO、SrO及びSiOを含有する(ここで、CaO、SrO及びSiOはそれぞれモールドパウダー中に含まれるCa、Sr及びSiを酸化物として換算したものである)連続鋳造用モールドパウダーであって、SrOを15質量%以上40質量%以下含有し、すべてのSrOのうちSrCOに由来するSrOが40モル%以上を占め、モル比率としての(CaO+SrO)/SiOで表される塩基度Aが1.3以上3.0以下であり、顆粒状であり、1300℃における粘度が0.05Pa・s以上0.5Pa・s以下となる、連続鋳造用モールドパウダーとする。
【選択図】なし

Description

本願は溶鋼等の溶融金属を連続鋳造する際に使用するモールドパウダーを開示する。
溶融金属の連続鋳造において、鋳型内の溶融金属表面を被覆するように連続鋳造用モールドパウダー(以下単に「モールドパウダー」という。)が供給される。鋳型内に供給されたモールドパウダーは、溶融金属からの加熱によって溶融金属表面に溶融層を形成し、溶融したモールドパウダーはメニスカス部から鋳型内壁に沿って凝固シェルとの間隙へ流入し、パウダーフィルムを形成する。
モールドパウダーは、溶融金属の連続鋳造において以下のような特性を具備することが要求される。第1に、溶鋼湯面上にてモールドパウダーが溶融して形成された溶融パウダー層およびその上の未溶融のモールドパウダー層が溶鋼湯面を被覆することにより、空気との接触を遮断することで、溶鋼の再酸化を防止し、保温する。第2に、溶融したモールドパウダーは、鋳型と凝固シェルとの間に流入して潤滑剤として働く必要があるため、モールドパウダーが常に適当量供給され、パウダーの消費速度に応じて、適正な溶融モールドパウダープール厚となる必要がある。第3に、溶融モールドパウダー層が溶鋼中を浮上してきた非金属介在物を吸収し、その物性(粘度、溶融温度、凝固温度など)の変化が小さいことが要求される。第4に、溶融したモールドパウダーが鋳型と凝固シェルとの間に流れ込み、均一なパウダーフィルムを形成して、パウダーフィルムが鋳型と凝固シェルの間で潤滑作用を有するとともに、鋳造する鋼の特性によっては凝固シェルの緩冷却化特性が要求されることもある。第5に、溶融したモールドパウダーが適度な粘度、界面張力を持ち、溶融したモールドパウダーが溶鋼中へ巻き込まれないことが必要である。
連続鋳造の操業時は、局所的な湯面変動や鋳型内に注入された溶鋼の注入流によって形成される溶鋼流動がモールドパウダーと溶鋼との界面を擾乱することによって、溶融したモールドパウダーが溶鋼中に巻き込まれる場合がある(パウダー巻き込み)。溶鋼中に巻き込まれた溶融パウダーの大部分は再浮上するが、その一部が凝固シェルに捕捉されて鋳片に残留する場合がある。鋳片の表層に残留したモールドパウダーは、製品表面のスリバー疵となる。また、鋳片の内部に残留したモールドパウダーは、プレス割れの発生原因となる。パウダー巻き込みは、主に鋳造速度を高速化した高速鋳造時に発生する。中・低速鋳造時でもブリキ材、自動車用鋼板等の品質要求が厳格な鋼材に対し、パウダー巻き込みが問題となることが多い。
モールドパウダーが溶鋼中に巻き込まれる現象を抑制するには、モールドパウダーが溶鋼湯面上で溶けて溶融パウダーとなった状態において、溶鋼と溶融パウダーとの間の界面の張力(界面張力)を高く保つことが有効である。CaOとSiOを主成分とする一般的なモールドパウダーの場合は、CaO/SiOで表される塩基度を高めることによって、溶鋼との界面張力を高めることができる。すなわち、溶鋼中に巻き込まれにくいモールドパウダーは、高塩基度であることが求められる(非特許文献1参照)。
一方、モールドパウダーの塩基度が高くなるとモールドパウダーは鋳型内壁と凝固シェルの間で結晶化が進行しやすくなる。鋳型内の潤滑は、溶鋼湯面上でモールドパウダーが溶融して生成したスラグが鋳型と鋳片との間隙に流れ込んで形成するフィルムが担っている。モールドパウダーが過度に結晶化すると液相が欠乏するため、鋳型内の潤滑性が損なわれる。特に、パウダー巻き込みが問題となるような高速鋳造を指向する場合、パウダーの潤滑特性の低下は、鋳造トラブルや鋳片欠陥を生成させる原因となるので好ましくない。そこで、モールドパウダーの高塩基度化によるパウダー巻き込み防止と潤滑性とを両立するためには、高塩基度のモールドパウダーの過度な結晶化を抑制することが重要である。
高塩基度のモールドパウダーの過度な結晶化を抑制するために、モールドパウダーにSrOを添加する、またはモールドパウダーの主成分であるCaOの一部をSrOに置き換えることが考えられる。例えば、特許文献1では、モールドパウダー中のCaの一部をSrで置き換えることで、カスピダイン(Cuspidine:3CaO・2SiO・CaF)の析出を抑制するとともに、モル比率としての(CaO+SrO)/SiOで示される塩基度を1.1〜3.5とすることにより、溶鋼と溶融パウダーとの間の界面張力を高め、パウダー巻き込みを抑制している。同文献の実施例では、鋳造速度1.6〜1.8m/minで連続鋳造を行い、良好な品質を実現している。
尚、特許文献2に開示されているように、モールドパウダー中に0.5〜10質量%と少量のSrOを含有させることで、溶融パウダーの凝固温度を調整する技術も知られている。
特開2016−19994号公報 特許第4460463号
鉄と鋼 Vol.93 (2007) No. 5 pp22 - 26
モールドパウダーの成分としてSrOを用いる場合、その原料としては主に炭酸ストロンチウム(SrCO)が用いられる。SrCOは、連続鋳造に適用された場合に熱分解により炭酸ガスを放出してSrOとなる。ここで、本発明者は、新たな課題として、SrCOから炭酸ガスが放出される際にモールドパウダーの粉塵が飛散し、パウダー溶融層の組成変動が起き易いことを知見した。特に、SrCOを多量に含ませた場合に飛散によるロスが大きくなって潤滑不良の原因となり易い。また、パウダーの粉塵が飛散することで、作業環境が汚染される虞もある。
以上に鑑み、本願では、パウダー巻き込み防止による品質向上と潤滑性とを両立でき、且つ、連続鋳造時にパウダーの飛散を抑制して、作業環境の汚染を防止するとともに、パウダー溶融層の組成変動を抑制可能な連続鋳造用モールドパウダーを開示する。
本願は、上記課題を解決するための手段の一つとして、
主成分としてCaO、SrO及びSiOを含有する(ここで、CaO、SrO及びSiOはそれぞれモールドパウダー中に含まれるCa、Sr及びSiを酸化物として換算したものである)連続鋳造用モールドパウダーであって、SrOを15質量%以上40質量%以下含有し、すべてのSrOのうちSrCOに由来するSrOが40モル%以上を占め、モル比率(CaO+SrO)/SiOで表される塩基度Aが1.3以上3.0以下であり、顆粒状であり、1300℃における粘度が0.05Pa・s以上0.5Pa・s以下となる、連続鋳造用モールドパウダー
を開示する。
「主成分としてCaO、SrO及びSiOを含有する」とは、連続鋳造用モールドパウダーにおいて、CaO、SrO及びSiOの合計の含有量が50質量%以上であることを意味する。好ましくは70質量%以上である。
「顆粒」とは、短径が0.3mm以上1.5mm以下の粒をいう。長径は特に限定されない。
さらに、本願は、上記課題を解決するための手段の一つとして、
上記本開示の連続鋳造用モールドパウダーを使用する溶融金属の連続鋳造方法
を開示する。
本開示の連続鋳造用モールドパウダーは顆粒状とされている。よって、モールドパウダー中に原料として多量のSrCOが含まれていたとしても、連続鋳造時にパウダーの飛散を抑えることができ、作業環境の汚染を防止することができるとともに、パウダー溶融層の組成変動を抑えることができる。さらに、パウダー溶融層の組成変動を抑えることで、塩基度Aの変動を抑えることができるとともに、カスピダインの析出を抑制する効果も保持できる。すなわち、モールドパウダーが溶融金属中に巻き込まれ難い特質と鋳型内の潤滑性とを両立することもできる。
1.連続鋳造用モールドパウダー
本開示の連続鋳造用モールドパウダーは、主成分としてCaO、SrO及びSiOを含有する連続鋳造用モールドパウダーであって、SrOを15質量%以上40質量%以下含有し、すべてのSrOのうちSrCOに由来するSrOが40モル%以上を占め、モル比率(CaO+SrO)/SiOで表される塩基度Aが1.3以上3.0以下であり、顆粒状であり、1300℃における粘度が0.05Pa・s以上0.5Pa・s以下となる。ここで、CaO、SrO及びSiOはそれぞれモールドパウダー中に含まれるCa、Sr及びSiを酸化物として換算したものである。
1.1.主成分
本開示の連続鋳造用モールドパウダーは、CaO、SrO及びSiOが主成分となる。具体的には、これらの合計が全体の50質量%以上を占める。好ましくは70質量%以上である。これらの合計が全体の50質量%以上を占めることで、凝固温度を適度な値に調整しやすく、また安価になる。
1.1.1.CaO
本開示の連続鋳造用モールドパウダーにおけるCaOの含有量は、上述の通り、主成分の一つを構成するとともに、後述の通り、所定の塩基度Aを達成できる含有量であれば、特に限定されるものではない。
本開示の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、酸化物換算でCaOとなり得る成分としては、CaOそのもののほか、炭酸カルシウム(CaCO)、フッ化カルシウム(CaF)、予備溶融基材(プリメルト)、珪灰石(CaSiO)等が挙げられる。尚、予備溶融基材(プリメルト)とは、通常、原料を溶融させた後で凝固させ、凝固後の原料を粉砕してなるものであり、CaO、SrO、SiO、Al、NaO、MgO、ZrO、B等から選ばれる少なくとも一つの酸化物を含む。
1.1.2.SrO
本開示の連続鋳造用モールドパウダーにおいては、SrOが15質量%以上40質量%以下を占めることが重要である。下限が好ましくは17質量%以上であり、上限が好ましくは35質量%以下である。SrOが15質量%以上であれば、モールドパウダーの塩基度を高めつつ、連続鋳造時に過度な結晶化を抑制することができる。一方、SrOが40質量%において結晶化を抑制する効果が飽和し、また40質量%以上ではモールドパウダーが高価になる。
本開示の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、酸化物換算でSrOとなり得る成分としては、炭酸ストロンチウム(SrCO)、フッ化ストロンチウム(SrF)、予備溶融基材(プリメルト)等が挙げられる。特に、本開示のモールドパウダーにおいては、すべてのSrOのうちSrCOに由来するSrOが40モル%以上を占めることが重要である。好ましくは、60モル%以上である。SrCOが少なすぎる場合、SrFや予備溶融基材等でSrO分を補う必要がある。しかしながら、SrFは吸湿性(潮解性)が高く、モールドパウダーの長期保存が困難となることから、モールドパウダーに多く配合するには適さない。また、予備溶融基材は予備用溶融処理が必要であることから高価であり、モールドパウダーに多く配合するには適さない。さらに、予備溶融基材はSrO分以外に他の酸化物が含まれている場合があり、モールドパウダーを適切な組成に調整し難い場合もある。この点、すべてのSrOのうちSrCO由来のSrOが40モル%以上であれば、SrFや予備溶融基材の量を低減しつつ、モールドパウダーの塩基度を高めることができ、連続鋳造の際、モールドパウダーの過度な結晶化を抑制することができる。また、SrCOの量を増大させることで、パウダー溶融層の攪拌が促進され、溶融層厚を増大させることもできる。さらに、本開示のモールドパウダーは顆粒状であることから、SrCOが多量に含まれていたとしても、連続鋳造時にパウダーの飛散を抑えることができ、パウダー溶融層の組成変動を抑えることができる。尚、すべてのSrOのうちSrCO由来のSrOのモル比の上限は特に限定されない。すべてのSrOのうちSrCOに由来するSrOが100モル%を占めていても、所望の効果を発揮できる。
1.1.3.SiO
本開示の連続鋳造用モールドパウダーにおけるSiOの含有量は、上述の通り、主成分の一つを構成するとともに、後述の通り、所定の塩基度Aを達成できる含有量であれば、特に限定されるものではない。
本開示の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、酸化物換算でSiOとなり得る成分としては、SiOそのもののほか、Siと他の元素との複合酸化物、予備溶融基材(プリメルト)等が挙げられる。
1.2.その他の成分
本開示の連続鋳造用モールドパウダーには、上記の主成分の他に、その他の成分が含まれていてもよい。例えば、酸化物で換算した場合に、Al、MgO、NaO、ZrO、Bが含まれていてもよい。また、Fが含まれていてもよい。さらに、後述の連続鋳造用モールドパウダーの製造方法の欄で詳細に説明するように、溶融制御のためにカーボンが含まれていてもよい。中でも、Al、F及びカーボンのうちの少なくとも1種が含まれていることが好ましい。
1.2.1.Al
本開示の連続鋳造用モールドパウダーにおけるAlの含有量は、10質量%以下とすることが好ましい。Alの含有量を10質量%以下とすることにより、モールドパウダーの1300℃における粘度を0.5Pa・s以下に保つことが容易となるためである。Alの含有量の下限値は特に限定されるものではないが、原料に含まれる不純物である0.3〜1質量%が実質的な下限値である。
本開示の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、酸化物換算でAlとなり得る成分としては、Alそのもののほか、Alと他の元素との複合酸化物、予備溶融基材(プリメルト)、NaAlF等が挙げられる。
1.2.2.F
本開示の連続鋳造用モールドパウダーにおけるFの含有量は10質量%以下とすることが好ましい。Fの含有量を10質量%以下とすることにより、モールドパウダーの粘度を0.05Pa・s以上に調整することが容易になるからである。またFの含有量は、好ましくは2質量%以上である。Fの含有量を2質量%以上とすることにより、モールドパウダーの粘度を0.5Pa・s以下に調整することが容易になるからである。
本開示の連続鋳造用モールドパウダーにおいて、Fとなり得る成分としては、SrF、CaF、NaF、NaAlF等が挙げられる。
1.2.3.MgO、NaO、ZrO、B
本開示の連続鋳造用モールドパウダーは、所望の効果を損なわない範囲で、MgO、NaO、ZrO、B等の成分が含まれていてもよい。これらの成分は主としてモールドパウダーの凝固温度や粘度といった物性を調整するために添加される。
1.3.塩基度
本開示の連続鋳造用モールドパウダーは、モル比率としての(CaO+SrO)/SiOで表される塩基度Aが1.3以上3.0以下であることが重要である。塩基度Aが1.3以上であることにより、溶融金属に巻き込まれ難いモールドパウダーとすることができる。また、塩基度が3.0以下であることにより、モールドパウダーの凝固温度を適切な温度とすることができる。
1.4.形状
本開示の連続鋳造用モールドパウダーは、顆粒状であることが重要である。「顆粒」とは、短径が0.3mm以上1.5mm以下の粒をいう。長径は特に限定されないが、好ましくは0.3mm以上5mm以下である。本開示の連続鋳造用モールドパウダーにおいては、例えば、粉末状の原料が集合して顆粒を構成する。顆粒の形状としては、俵状、丸粒、中空状等、種々の形状を採用できる。特に、中空状のものが好ましい。中空状とすることで、モールドパウダーの保温性が向上し、メニスカスにおける溶融金属の凝固に起因する操業トラブルを回避できるためである。
尚、本開示の連続鋳造用モールドパウダーは、短径がこの範囲外となる形状(本願にいう「顆粒状」の要件を満たさない形状)のモールドパウダーが混入していてもよい。この場合は、使用するモールドパウダー全体のうち、本開示の連続鋳造用モールドパウダーが95質量%以上を占めるようにすることが好ましい。
1.5.溶融粘度
本開示の連続鋳造用モールドパウダーは、1300℃における粘度が0.05Pa・s以上0.5Pa・s以下となることが重要である。1300℃における粘度が0.05Pa・s以上であれば、モールドパウダーが巻き込まれ難いという効果が奏され、0.5Pa・s以下であれば、鋳型内の潤滑性が確保されるという効果が奏される。このような粘度を達成するためには、上記したような各成分の含有量を調整すればよい。
2.連続鋳造用モールドパウダーの製造方法
本開示の連続鋳造用モールドパウダーは、顆粒状であることに一つの特徴を有する。顆粒状のモールドパウダーは、例えば、下記のようにして製造することができる。すなわち、酸化物で換算した場合にCaOとなり得るCa系原料、酸化物で換算した場合にSrOとなり得るSr系原料、酸化物で換算した場合にSiOとなり得るSi系原料、及び、任意のその他の成分を、上記の含有量及び塩基度を満たすような比率で混合するとともに、さらに、ここに必要であればカーボンを加えて混合して混合物を得て、得られた混合物を水で混練してスラリーにした後、当該スラリーを用いて顆粒状に成形することで、顆粒状のモールドパウダーが得られる。
この場合に使用されるカーボンの種類としては、例えば、粒子径が0.1μm未満の微粒カーボンや粒子径が0.1μm以上の粗粒カーボンが挙げられる。上述したように、本開示の連続鋳造用モールドパウダーでは、多量の炭酸塩(SrCO)を用いており、これにより、パウダー溶融層の攪拌が促進され、溶融層厚を増大させることができるが、溶融制御のためには、カーボンを多く配合することが好ましい。ただし、微粒カーボンを用いる場合、連続鋳造用モールドパウダーに含まれる微粒カーボンの量を2.5質量%以下とすることが好ましい。これにより、連続鋳造時のパウダーの飛散を一層抑制できる。パウダーの溶融制御のためにカーボンを多く配合する場合は、微粒カーボンではなく、粗粒カーボン等を用いるとよい。
3.溶融金属の連続鋳造方法
本開示の連続鋳造用モールドパウダーを使用することで、溶融金属の連続鋳造を行うことができる。連続鋳造時の鋳型へのモールドパウダーの供給条件等は、当業者にとって自明な事項であることから、ここでは説明を省略する。溶融金属の連続鋳造において本開示のモールドパウダーを使用することで、パウダー溶融層の組成変動を抑制でき、溶融金属へのパウダーの巻き込み等を防止でき、高い操業安定性でもって、高品質な鋳片を高速に製造することができる。
1.連続鋳造用モールドパウダーの作製
主成分としてCaO、SrO及びSiOを含有する連続鋳造用モールドパウダーを複数種類作製した。この場合において、(1)SrOを15質量%以上40質量%以下含有し、(2)すべてのSrOのうちSrCOに由来するSrOが40モル%以上を占め、(3)モル比率(CaO+SrO)/SiOで表される塩基度Aが1.3以上3.0以下であり、(4)顆粒状であり、(5)1300℃における粘度が0.05Pa・s以上0.5Pa・s以下となる、という5つの条件をすべて満たすものを実施例とし、これらのうち一つでも条件を満たさないものについて比較例とした。
尚、下記表1に示すように、連続鋳造用モールドパウダー中に含まれるCa、Si、Siは、すべて酸化物として換算される。例えば、CaOやCaF等に含まれるすべてのCaをCaOに換算し、SrCOやSrOやSrF等に含まれるすべてのSrをSrOに換算し、SiOやCaSiO等に含まれるすべてSiをSiOに換算して、それぞれの濃度(含有量)を特定する。その他の成分についても同様であり、例えば、NaFやNaCO等に含まれるすべてのNaをNaOに換算して濃度を特定する。一方、FはCaFやNaF等に含まれるすべてのFの合計の濃度でもって特定する。
尚、モールドパウダーの原料として予備溶融基材を用いた場合、当該予備溶融基材にモールドパウダーを構成する元素のすべてが含まれていてもよい。或いは、天然の鉱石を粉砕したものをモールドパウダーの原料とすることもできる。一例としては以下の通りである。
・ 酸化物で換算した場合にCaOとなるCa系原料:珪灰石、蛍石
・ 酸化物で換算した場合にSrOとなるSr系原料:炭酸ストロンチウム、弗化ストロンチウム
・ 酸化物で換算した場合にSiOとなるSi系原料:珪灰石、珪砂
・ モールドパウダーにおいてF分となるF系原料:弗化ストロンチウム、蛍石
上記の原料を下記表1の組成となるような比率で混合し、さらに、微粒カーボン(粒子径約0.03μm)および粗粒カーボン(粒子径約10μm)を、モールドパウダーとした場合に2〜4質量%となるような比率で混合して粉末状混合物とし、当該粉末状混合物を水で混練してスラリーとし、当該スラリーを成形することで、顆粒状(短径約0.5mm)のモールドパウダーを得た(実施例1〜6、比較例1〜3)。或いは、得られた粉末状混合物(粒子径150μm以下)をそのままモールドパウダーとした(比較例4〜11)。
下記表2に、実施例及び比較例に係るモールドパウダーの諸物性を示す。
2.連続鋳造用モールドパウダーの評価
2.1.連続鋳造条件
鋳造条件は、鋳造速度1.5m/min、鋳型サイズ250×1200mmとした。溶融金属としては溶鋼(鋼の成分値C=0.005%以下の極低炭素鋼)を用いた。
2.2.SrO減少量
鋳造開始後、溶鋼を50トン以上鋳造した後、又は、パウダー切り替え後、溶鋼を50トン鋳造した後で、鋳型の上側から溶融層を掬い取り、ガラス状の部分を分離し、連続鋳造後のモールドパウダーを得た。連続鋳造前のモールドパウダーと連続鋳造後のモールドパウダーとで、酸化物換算でのSrOの量をそれぞれ測定し、連続鋳造前と連続鋳造後とでSrO減少量を算出した。結果を下記表3に示す。
2.3.コイル表面疵
モールドパウダーを用いて連続鋳造して得られた鋳片をCGL(連続溶融亜鉛めっき板ライン:Continuous hot-dip galvanizing line)に適用した場合における、極低炭素鋼のパウダー系スリバー疵の有無を目視で確認した。鋼板20トン当たりのコイル表面疵の個数をカウントし、「1個/20t−鋼板」未満のものを表面品質良好(○)、「1個/20t−鋼板」以上のものを表面品質不良(×)として評価した。結果を下記表3に示す。
2.4.操業安定性
操業安定性については、モールドパウダーを用いて連続鋳造した場合に、「鋳型が焼き付いて凝固シェルが鋳型に拘束されたことを示す警報」(ブレークアウト警報)の有無で、評価した。具体的には、ブレークアウト警報が、連続鋳造100トンあたり1回未満のものを操業安定性良好(○)、1回以上のものを操業安定性不良(×)として評価した。結果を下記表3に示す。
表3に示す結果から明らかなように、実施例1〜6のモールドパウダーを使用することで、パウダー溶融層の組成変動を抑制でき、溶融金属へのパウダーの巻き込み等を防止でき、高い操業安定性でもって、高品質な鋳片を高速に製造することができることが分かる。一方、SrOが少ないか又は含まない比較例1〜3においては、操業安定性や表面品質が劣っていた。さらに、粉末状のモールドパウダーを用いた比較例4〜9においては、組成変動が大きく、溶鋼へのパウダーの巻き込みの防止やパウダー溶融層の結晶化の抑制が困難となる虞があった。さらに、多量のSrFを用いた比較例10、11のモールドパウダーは、SrFの吸湿性によって水分が多量に含まれることとなり、連続鋳造用モールドパウダーとして使用することができなかった。
本開示のモールドパウダーは、溶融金属の連続鋳造用のモールドパウダーとして利用可能である。

Claims (2)

  1. 主成分としてCaO、SrO及びSiOを含有する(ここで、CaO、SrO及びSiOはそれぞれモールドパウダー中に含まれるCa、Sr及びSiを酸化物として換算したものである)連続鋳造用モールドパウダーであって、
    SrOを15質量%以上40質量%以下含有し、
    すべてのSrOのうちSrCOに由来するSrOが40モル%以上を占め、
    モル比率(CaO+SrO)/SiOで表される塩基度Aが1.3以上3.0以下であり、
    顆粒状であり、
    1300℃における粘度が0.05Pa・s以上0.5Pa・s以下となる、
    連続鋳造用モールドパウダー。
  2. 請求項1に記載の連続鋳造用モールドパウダーを使用する溶融金属の連続鋳造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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