JP2020142262A - 連続鋳造用モールドパウダーの製造方法及び鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造用モールドパウダーの製造方法及び鋼の連続鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】モールドパウダーの成分を制約せず、溶融にも悪影響をもたらさない、新たなスラグリム対策を開示する。【解決手段】モールドパウダーの原料を、酸素含有雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、800℃以上且つ前記原料の融点未満の温度で、15分以上加熱する工程を備える、連続鋳造用モールドパウダーの製造方法とする。モールドパウダーの原料を800℃以上の温度で15分以上加熱することで、原料中の元素拡散による成分均一化の効果が得られる。成分均一化によってモールドパウダーが焼結する温度域が狭まり、結果として鋼の連続鋳造におけるスラグリムの生成を抑制することができる。また、モールドパウダーの原料を融点未満の温度(原料が完全には溶融しない温度域)で加熱することで、原料中の成分の揮発が抑えられ、組成ズレを抑制することができる。【選択図】図1

Description

本願は連続鋳造用モールドパウダーの製造方法等を開示する。
鋼の連続鋳造において、鋳型内の溶鋼表面を被覆するように連続鋳造用モールドパウダー(以下、単に「モールドパウダー」という場合がある)が供給される。鋳型内に供給されたモールドパウダーは、溶鋼からの加熱によって溶鋼表面に溶融層を形成し、溶融したモールドパウダーはメニスカス部から鋳型内壁に沿って凝固シェルとの間隙へ流入し、フィルムを形成する。
モールドパウダーは、鋼の連続鋳造において以下のような特性を具備することが要求される。第1に、溶鋼湯面上にてモールドパウダーが溶融して形成された溶融パウダー層およびその上の未溶融のモールドパウダー層が溶鋼湯面を被覆することにより、空気との接触を遮断することで、溶鋼の再酸化を防止し、保温する。第2に、溶融したモールドパウダーは、鋳型と凝固シェルとの間に流入して潤滑剤として働く必要があるため、モールドパウダーが常に適当量供給され、パウダーの消費速度に合わせて、適正量の溶融モールドパウダープール厚となる溶融速度を有している。第3に、溶融モールドパウダー層が溶鋼中を浮上してきた非金属介在物を吸収し、その物性(粘度、溶融温度、凝固温度など)の変化が小さいことが要求される。第4に、溶融したモールドパウダーが鋳型と凝固シェルとの間に流れ込み、均一なパウダーフィルムを形成して、パウダーフィルムが鋳型と凝固シェルとの間で潤滑作用を有するとともに、鋳造する鋼の特性によっては凝固シェルの緩冷却化特性が要求されることもある。第5に、溶融したモールドパウダーが適度な粘度、界面張力を持ち、溶融したモールドパウダーが溶鋼中へ巻き込まれないことが必要である。
連続鋳造プロセスにおいて溶鋼湯面近傍で発生、成長する、パウダー焼結体であるスラグリムは、鋳片表面に傷をつける、モールドパウダーの流入を阻害して潤滑不良を引き起こす、あるいはそれ自体が噛みこんでブレークアウトの原因となるなど様々な悪影響を及ぼす。スラグリム低減には、NaO等の低融点基材の低減、膨張黒鉛の使用などが有効である。しかし、NaOの低減はモールドパウダーの組成を制約するため、他の潤滑などの機能を阻害してしまう可能性がある。また、膨張黒鉛を過度に使用するとモールドパウダーの溶融が遅くなり、溶融し流入するモールドパウダーが不足してしまい潤滑不良や不均一凝固などを引き起こすことがある。ゆえに、成分を制約せず、溶融にも悪影響をもたらさないスラグリム対策が必要とされる。
特許文献1に開示されたプリメルトタイプのモールドパウダーは上記対策の一つである。プリメルトタイプのモールドパウダーは均一に溶融し易い。そのためモールドパウダーが焼結する温度域が狭まり、結果として焼結体であるスラグリムの生成を抑制することができるものと考えられる。
また、特許文献2に開示されているように、モールドパウダーの基材原料に、第二族金属炭酸塩とソーダ石灰ガラス粉とを所定量含ませることによって、鋳型内におけるスラグリムの過大な成長を防止することできるものと考えられる。
さらに、特許文献3に開示されているように、連続鋳造工程の全体の期間に亘って、溶解したモールドフラックスの温度を溶鋼の液相線温度よりも100℃〜300℃低い温度の範囲に維持することで、スラグリムが除去されモールドフラックスの消耗量を大幅に増大させて、鋳型と凝固シェルとの間の摩擦を低減することができるものと考えられる。
特開2003−170253号公報 特許第6394414号 特許第5039782号
特許文献1に開示されているようなプリメルトタイプのモールドパウダーを製造する場合、原料を完全に溶融させる際、一部の成分が揮発して組成ズレを起こす虞がある。また、耐火物容器の成分がプリメルト原料へと溶出する虞もある。さらに、プリメルトタイプのモールドパウダーを製造するにあたっては、コストの関係上、原料を数トン規模で溶融することが一般的である。そのようにして得られたモールドパウダーは、鋳造量として数万トン以上の大規模な連続鋳造に適用するのが通常であり、小ロットでの連続鋳造への適用は現実的でない。一方で、特許文献2に開示された技術については、モールドパウダー毎に組成の微調整が必要となり、手間がかかる。また、特許文献3に開示された技術については、連続鋳造工程の全体の期間に亘って、モールドパウダーを溶解させるための専用の設備が必要となり、コストや時間を要する。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、モールドパウダーの原料を、酸素含有雰囲気下又は不活性雰囲気下、800℃以上且つ前記原料の融点未満の温度で、15分以上加熱する工程を備える、連続鋳造用モールドパウダーの製造方法を開示する。
本開示の連続鋳造用モールドパウダーの製造方法においては、全モールドパウダーに占める前記加熱後の前記原料の割合を80質量%以上としてもよい。
本願は上記課題を解決するための手段の一つとして、上記本開示の製造方法により製造されたモールドパウダーを用いる、鋼の連続鋳造方法を開示する。
本開示の方法においては、モールドパウダーの原料を融点未満の温度(原料が完全には溶融しない温度域)で加熱する。これにより、原料中の成分の揮発が抑えられ、組成ズレを抑制することができる。また、本発明者の新たな知見によると、モールドパウダーの原料は、プリメルトのように原料全体を溶融させずとも、800℃以上の温度で15分以上加熱するだけで、原料中の元素拡散による成分均一化の効果が得られる。成分均一化によってモールドパウダーが焼結する温度域が狭まり、結果として焼結体であるスラグリムの生成を抑制することができる。
実施例及び比較例の結果を示す図である。
1.連続鋳造用モールドパウダーの製造方法
本開示の連続鋳造用モールドパウダーの製造方法は、モールドパウダーの原料を、酸素含有雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、800℃以上且つ前記原料の融点未満の温度で、15分以上加熱する工程を備えている。
1.1.モールドパウダーの原料
モールドパウダーの原料としては一般的な原料をいずれも採用可能である。目的とするモールドパウダーの化学組成に応じて、原料の種類や配合量を決定すればよい。原料の形状としては、原料全体を適切に加熱可能な形状であればよく、粉末状、顆粒状、塊状等、種々の形状を採用できる。以下、好ましい原料について説明する。
尚、本技術分野において、モールドパウダーの化学組成を表記する場合、モールドパウダー中に種々の化合物として存在しているCaを酸化物(CaO)に換算して表記するのが技術常識である。同様に、Si、Al、Mg、Li、Na、K、Mn、Zr、Ba等のモールドパウダーが溶融した状態で陽イオンとなり得る元素はすべて酸化物として取り扱う。一方、F、Cl等の陰イオンとなり得る元素は単体の元素として取り扱う(「第5版 鉄鋼便覧 第1巻 製銑・製鋼(一般社団法人日本鉄鋼協会)」の第418頁左欄第20〜27行目等を参照)。以下においても、この技術常識に則って説明するものとする。
本開示の製造方法により製造されるモールドパウダーは、例えば、CaO及びSiOが主成分となり得る。具体的には、これらの合計が全体の50質量%以上を占めることが好ましい。より好ましくは70質量%以上である。これらの合計が全体の50質量%以上を占めることで、モールドパウダーの凝固温度を適度な値に調整しやすく、また安価になる。CaOとSiOとの配合比については特に限定されるものではない。モールドパウダーにおいてCaOとなり得る原料としては、CaOそのもののほか、炭酸カルシウム(CaCO)、フッ化カルシウム(CaF)、珪灰石(CaSiO)等が挙げられる。モールドパウダーにおいてSiOとなり得る原料としては、SiOそのもののほか、Siと他の元素との複合酸化物等が挙げられる。
本開示の製造方法により製造されるモールドパウダーは、上記の主成分の他に、その他の成分が含まれていてもよい。例えば、モールドパウダーの溶融時の粘度等を調整するために、Al、MgO、NaO、LiO、ZrO、B、F等が含まれていてもよい。また、モールドパウダーの溶融制御のためにカーボン等が含まれていてもよい。モールドパウダーにおいてこれらの成分となり得る原料としては、各種単体、酸化物、複合酸化物、フッ化物等が挙げられる。
本開示の製造方法は、NaOを10質量%以上含むモールドパウダーを製造対象としてもよい。言い換えれば、モールドパウダーの原料は、NaOに換算して10質量%以上のNa分を含んでいてもよい。NaOの含有量の上限は特に限定されず、例えば、20質量%以下である。従来において、NaOを多量に含むモールドパウダーは、スラグリムが成長し易いものとされてきた。これに対し、本開示の製造方法によれば、NaOを多量に含むモールドパウダーを製造対象とした場合においても、連続鋳造時のスラグリムの成長を顕著に抑制可能なモールドパウダーを製造することができる。
本開示の製造方法においては、融点が1200℃以上であるモールドパウダーを製造対象としてもよい。融点の上限は特に限定されず、例えば、1450℃以下とすることができる。従来において、融点の高いモールドパウダーは、スラグリムが成長し易いものとされてきた。これに対し、本開示の製造方法によれば、このような高融点のモールドパウダーを製造対象とした場合においても、連続鋳造時のスラグリムの成長を顕著に抑制可能なモールドパウダーを製造することができる。
1.2.加熱雰囲気
本開示の製造方法においては、原料を加熱する際の雰囲気を酸素含有雰囲気又は不活性ガス雰囲気とする。すなわち、酸化物が安定して存在できる雰囲気にて加熱を行う。酸素含有雰囲気の具体例としては大気雰囲気や純酸素雰囲気が挙げられる。不活性ガス雰囲気としてはアルゴン雰囲気が挙げられる。コスト等を考慮すると、大気雰囲気が好ましい。
1.3.加熱温度
本開示の製造方法においては、原料を加熱する際の温度を800℃以上且つ原料の融点未満の温度とする。本発明者の新たな知見によれば、上記の原料を800℃以上に加熱することで、原料を完全に溶融させずとも、原料中の元素拡散を進行させることができる。また、上記の原料を融点未満の温度で加熱することで、揮発による組成ズレや耐火物容器から原料への不純物の溶出等を抑制することができる。上述したような、NaOを10質量%以上含むモールドパウダーを製造対象とする場合は、原料の加熱温度の上限を、例えば、900℃以下とすることができる。また、1200℃以上の融点を有するモールドパウダーを製造対象とする場合は、原料の加熱温度の上限を、例えば、1150℃以下とすることができる。
尚、上記の「融点」は、本技術分野において一般的な方法により特定することができる。例えば、3gの圧粉体試料をその温度で1分間保持した際に当該試料が流動性を持ちかつ均質になった温度を当該試料の融点とすることができる。
1.4.加熱時間
本開示の製造方法においては、原料を加熱する際の時間(800℃以上融点未満の温度での加熱保持時間)を15分以上とする。本発明者の新たな知見によれば、原料を800℃以上の温度で加熱する場合、加熱時間を15分以上とすることで、原料を完全に溶融させずとも、原料中の元素拡散による成分均一化の効果が得られる。特に加熱時間を30分以上とすることで、その効果が一層大きくなる。加熱時間の上限は特に限定されるものではないが、コストを考慮すると、例えば、5時間以下とすることが好ましい。
1.5.補足
本開示の製造方法において、原料を加熱する際の昇温速度や降温速度は特に限定されるものではない。例えば、昇温時は昇温速度を5℃/分以上としてもよく、降温時は自然放冷により冷却してもよい。また、本開示の製造方法において、原料を加熱する際の圧力は特に限定されるものではない。例えば、大気圧程度とすることができる。また、本開示の製造方法において、モールドパウダーの原料を加熱するための手段としては、公知の加熱手段をいずれも採用可能である。例えば、一般的な加熱炉(電気炉等)を用いて原料を加熱すればよい。本開示の製造方法は、加熱手段の規模によって、大ロット生産にも小ロット生産にも対応可能である。
本開示の製造方法は、モールドパウダーの成分の調整を目的として、上記の加熱後の原料に加熱前の原料を混合する工程を備えていてもよい。この場合、加熱前の原料を多くし過ぎると、十分なスラグリムの抑制効果が得られない虞がある。この点、全モールドパウダーに占める加熱後の原料の割合を80質量%以上とするとよい。より好ましくは90質量%以上である。
また、連続鋳造を行うにあたって、本開示のモールドパウダーとともにその他のモールドパウダーを用いてもよい。すなわち、本開示の製造方法は、上記の加熱後の原料又は加熱後の原料と加熱前の原料との混合物に、その他のモールドパウダー又はその原料を混合する工程を備えていてもよい。この場合においても、スラグリムの成長をより顕著に抑制する観点から、全モールドパウダーに占める加熱後の原料の割合を80質量%以上とするとよい。より好ましくは90質量%以上である。
2.鋼の連続鋳造方法
本開示のモールドパウダーを使用することで、鋼の連続鋳造を行うことができる。鋼の連続鋳造時の鋳型へのモールドパウダーの供給条件等は、当業者にとって自明な事項であることから、ここでは説明を省略する。鋼種についても特に制限はなく、連続鋳造可能な鋼種のいずれも採用可能である。鋼種に応じてモールドパウダーの組成等を決定すればよい。鋼の連続鋳造において本開示のモールドパウダーを使用することで、スラグリムの成長を抑制しつつ、高品質な鋼片を高速に製造することができる。
種々のモールドパウダーを用いて鋼の連続鋳造を行い、スラグリムの成長の程度を確認した。具体的には、320mm幅×280mm厚の鋳型で100ton/ストランドの鋳造を行ったのち、終了後の鋳型からスラグリムを回収し、4辺それぞれの中央部における水平方向のスラグリム厚み(特許文献2の図1にいうtに相当)の平均値をもって評価した。以下に示す実施例において、「成分系1」では高炭素鋼(C=0.8%)を鋳造速度0.8m/minにて連続鋳造し、「成分系2」では亜包晶鋼(C=0.15%)を鋳造速度1m/minにて連続鋳造した。
1.成分系1
成分系1においては、NaOが10質量%以上含まれるようにモールドパウダーを設計した。
1.1.実施例1
下記表1に示す組成を有する原料を、大気雰囲気下、昇温速度5℃/minで室温から800℃まで昇温させ、50分間加熱保持した。加熱保持後、大気雰囲気下で自然放冷した。成分の調整を目的として、加熱後の原料と加熱前の原料(後述の比較例3に係るモールドパウダー)とを、質量比で、加熱後:加熱前=94.2:5.8となるように混合して、実施例1に係るモールドパウダーを得た。得られたモールドパウダーを用いて上記の評価を行った。評価結果を下記表1及び図1(A)に示す。
1.2.実施例2
加熱温度を900℃、加熱時間を20分とし、加熱後の原料と加熱前の原料との混合比を83.3:16.7としたこと以外は、実施例1と同様にしてモールドパウダーの製造及び評価を行った。評価結果を下記表1及び図1(A)に示す。
1.3.実施例3
加熱後の原料と加熱前の原料との混合比を71.4:28.6としたこと以外は、実施例2と同様にしてモールドパウダーの製造及び評価を行った。評価結果を下記表1に示す。
1.4.比較例1
加熱温度を900℃、加熱時間を5分とし、加熱後の原料と加熱前の原料との混合比を81.5:18.5としたこと以外は、実施例1と同様にしてモールドパウダーの製造及び評価を行った。評価結果を下記表1及び図1(A)に示す。
1.5.比較例2
加熱温度を700℃、加熱時間を150分とし、加熱後の原料と加熱前の原料との混合比を92.3:7.7としたこと以外は、実施例1と同様にしてモールドパウダーの製造及び評価を行った。評価結果を下記表1及び図1(A)に示す。
1.6.比較例3
原料の加熱を行わず、当該原料そのものをモールドパウダーとして用いた。評価結果を下記表1及び図1(A)に示す。
表1及び図1(A)に示す結果から明らかなように、実施例1〜3に係るモールドパウダーを用いて鋼の連続鋳造を行った場合、スラグリムの成長を顕著に抑制することができた。特に実施例1及び2については、比較例3と比べて、スラグリムの厚みを約60%以下にまで大きく低減することができた。
尚、実施例3に示す結果から明らかなように、全モールドパウダーに占める加熱後の原料の割合を低減し過ぎると、十分なスラグリムの抑制効果が得られない虞がある。この点、全モールドパウダーに占める加熱後の原料の割合を、例えば、80質量%以上とすることが好ましい。
一方、比較例1に係るモールドパウダーを用いて鋼の連続鋳造を行った場合、スラグリムの成長をほとんど抑制することができなかった。比較例1においては、原料の加熱温度を900℃と高温としたものの、原料の加熱時間を5分と短くし過ぎたことから、原料中の元素拡散が十分に進行せず、成分均一化の効果が得られなかったものと考えられる。
また、比較例2に係るモールドパウダーを用いて鋼の連続鋳造を行った場合についても、スラグリムの成長をほとんど抑制することができなかった。比較例2においては、原料の加熱時間を150分と長時間としたものの、加熱温度を700℃と低くし過ぎたことから、原料中の元素拡散が進行せず、成分均一化の効果が得られなかったものと考えられる。
2.成分系2
成分系2においては、融点が1200℃以上となるようにモールドパウダーを設計した。
2.1.実施例4
下記表2に示す組成を有する原料を、大気雰囲気下、昇温速度5℃/minで室温から800℃まで昇温させ、80分間加熱保持した。加熱保持後、大気雰囲気下で自然放冷した。成分の調整を目的として、加熱後の原料と加熱前の原料(後述の比較例6に係るモールドパウダー)とを、質量比で、加熱後:加熱前=96.7:3.3となるように混合して、実施例3に係るモールドパウダーを得た。得られたモールドパウダーを用いて上記の評価を行った。評価結果を下記表2及び図1(B)に示す。
2.2.実施例5
加熱温度を1000℃、加熱時間を30分とし、加熱後の原料と加熱前の原料との混合比を98.3:1.7としたこと以外は、実施例4と同様にしてモールドパウダーの製造及び評価を行った。評価結果を下記表2及び図1(B)に示す。
2.3.実施例6
加熱温度を1150℃、加熱時間を40分とし、加熱後の原料と加熱前の原料との混合比を86.5:13.5としたこと以外は、実施例4と同様にしてモールドパウダーの製造及び評価を行った。評価結果を下記表2及び図1(B)に示す。
2.4.実施例7
加熱後の原料と加熱前の原料との混合比を73.5:26.5としたこと以外は、実施例5と同様にしてモールドパウダーの製造及び評価を行った。評価結果を下記表2に示す。
2.5.比較例4
加熱温度を1100℃、加熱時間を10分とし、加熱後の原料と加熱前の原料との混合比を87.7:12.3としたこと以外は、実施例4と同様にしてモールドパウダーの製造及び評価を行った。評価結果を下記表2及び図1(B)に示す。
2.6.比較例5
加熱温度を700℃、加熱時間を200分とし、加熱後の原料と加熱前の原料との混合比を86.3:13.7としたこと以外は、実施例4と同様にしてモールドパウダーの製造及び評価を行った。評価結果を下記表2及び図1(B)に示す。
2.7.比較例6
原料の加熱を行わず、当該原料そのものをモールドパウダーとして用いた。評価結果を下記表2及び図1(B)に示す。
表2及び図1(B)に示す結果から明らかなように、実施例4〜7に係るモールドパウダーを用いて鋼の連続鋳造を行った場合、スラグリムの成長を顕著に抑制することができた。特に実施例4〜6については、比較例6と比べて、スラグリムの厚みを約60%以下にまで大きく低減することができた。
尚、実施例7に示す結果から明らかなように、成分系1と同様に成分系2においても、全モールドパウダーに占める加熱後の原料の割合を低減し過ぎると、十分なスラグリムの抑制効果が得られない虞がある。この点、全モールドパウダーに占める加熱後の原料の割合を、例えば、80質量%以上とすることが好ましい。
一方、比較例4に係るモールドパウダーを用いて鋼の連続鋳造を行った場合、スラグリムの成長をほとんど抑制することができなかった。比較例4においては、原料の加熱温度を1100℃と高温としたものの、原料の加熱時間を10分と短くし過ぎたことから、原料中の元素拡散が十分に進行せず、成分均一化の効果が得られなかったものと考えられる。
また、比較例5に係るモールドパウダーを用いて鋼の連続鋳造を行った場合についても、スラグリムの成長をほとんど抑制することができなかった。比較例5においては、原料の加熱時間を200分と長時間としたものの、加熱温度を700℃と低くし過ぎたことから、原料中の元素拡散が進行せず、成分均一化の効果が得られなかったものと考えられる。
3.補足
上記の実施例では、モールドパウダーの成分の調整を目的として、モールドパウダーの一部に未加熱の原料を混合した例について説明した。しかしながら、本開示の技術はこれに限定されるものではない。モールドパウダーとして加熱後の原料のみを用いて鋼の連続鋳造を行ってもよい。
上記の実施例では、モールドパウダーの原料を大気雰囲気で加熱した例について説明した。しかしながら、本開示の技術はこれに限定されるものではない。酸化物として安定して存在可能な雰囲気であれば、どのような加熱雰囲気を採用したとしても同様の効果が得られる。例えば、酸素含有雰囲気のほか不活性ガス雰囲気を採用してもよい。
上記の実施例では、従来においてスラグリムの成長が生じ易いとされてきた成分系1(NaOを10質量%以上含むモールドパウダー)及び成分系2(融点が1200℃以上であるモールドパウダー)に関して、本開示の製造方法による効果を説明した。しかしながら、本開示の製造方法は、これ以外の組成を有するモールドパウダーを製造対象とした場合においても、一定の効果を発揮する。
4.まとめ
上記の実施例から、モールドパウダーの組成によらず、モールドパウダーの原料を、酸素含有雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、800℃以上且つ前記原料の融点未満の温度で、15分以上加熱することで、鋼の連続鋳造においてスラグリムの成長を顕著に抑制可能なモールドパウダーを製造することができるといえる。

Claims (3)

  1. モールドパウダーの原料を、酸素含有雰囲気下又は不活性ガス雰囲気下、800℃以上且つ前記原料の融点未満の温度で、15分以上加熱する工程を備える、
    連続鋳造用モールドパウダーの製造方法。
  2. 全モールドパウダーに占める前記加熱後の前記原料の割合を80質量%以上とする、
    請求項1に記載の連続鋳造用モールドパウダーの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法により製造されたモールドパウダーを用いる、
    鋼の連続鋳造方法。
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