JP2003053497A - 連続鋳造用フラックス - Google Patents

連続鋳造用フラックス

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JP2003053497A
JP2003053497A JP2001240999A JP2001240999A JP2003053497A JP 2003053497 A JP2003053497 A JP 2003053497A JP 2001240999 A JP2001240999 A JP 2001240999A JP 2001240999 A JP2001240999 A JP 2001240999A JP 2003053497 A JP2003053497 A JP 2003053497A
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flux
carbon
steel
melting rate
continuous casting
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JP2001240999A
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English (en)
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Yoshiaki Noguchi
良明 野口
Kunishiro Nagashima
司郎 長島州
Taizo Takahashi
泰造 高橋
Takanori Doi
崇徳 土井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Hirono Kagaku Kogyo KK
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Nippon Steel and Sumikin Welding Co Ltd
Hirono Kagaku Kogyo KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フラックスの溶融速度を精密にコントロール
する。カーボン添加量の低減を可能にする。 【解決手段】 フラックス材に、溶融速度調整材として
SiC粉末、粉末金属Si、細粒カーボン、粗粒カーボ
ンのうちの1種又は2種以上を、下式で示されるフラッ
クス溶融速度Cs(min)が4〜10分となるように
添加する。 Cs=26643×exp(0.1267×Pm) Pm=6.7743×SiC(P)+1.2686×S
i(M) +2.9706×C(f)+0.6777×C(g) +3.7737×P(k)−4.4126 ここで、SiC(P):SiC粉末の含有量(質量%) Si(M):粉末金属Siの含有量(質量%) C(f):細粒カーボンの含有量(質量%) C(g):粗粒カーボンの含有量(質量%) P(k):当該フラックスの嵩比重

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造に使
用されるフラックスに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、鋼の連続鋳造においては、図
1に示すように、ノズル1からモールド2内に溶鋼3が
注入され、これが凝固されつつ下方へ引き抜かれる。こ
のとき、ノズル1からモールド2内に注入された溶鋼3
上にフラックス4が散布される。このフラックス4は、
溶鋼3上の溶融スラグ5を覆い、その厚みなどを制御す
る。ちなみに、溶融スラグ5は、図2に示すように、溶
鋼3とモールド1の隙間に流れ込み、溶鋼3がモールド
1に直接接触するのを防ぎ、安定な鋳込みの継続に寄与
する。
【0003】鋼の連続鋳造に使用されるフラックスの特
性としては、粘度、融点、溶融速度が重要であり、鋼
種、鋳造条件によってこれらが調整されるが、とりわけ
溶融速度が重要であり、鋳造条件に適した溶融制御を行
うことが要求される。
【0004】フラックスの溶融速度が速く、溶融時間が
短いと、溶鋼上の溶融フラックスの層厚が時間の経過と
共に増大していき、保温性が損なわれる。その結果、鋳
込み時に鋳片に割れが発生したり、モールドと溶鋼の隙
間に多量のフラックスが流入して、鋳片が均一に冷却さ
れずにブレークアウトとうい現象が発生し、鋳込みを中
断させるだけでなく、溶鋼が鋳造機に流れ落ちて非常に
危険である。
【0005】一方、フラックスの溶融速度が遅く、溶融
時間が長いと、溶鋼上の溶融スラグが極端に薄くなり、
溶鋼とモールドの隙間に溶融スラグの流れ込みが不足し
て、溶鋼が直接モールドに接触する。その結果、不均一
冷却となり、割れが発生したり、ブレークアウトが発生
する。
【0006】このように、フラックスの溶融速度の制御
による溶融時間の調整は、鋼の連続鋳造にとっては非常
に重要な技術である。
【0007】そして、このフラックスの溶融速度の制御
は、従来はフラックス材の成分の他に、溶融速度調整材
として添加する細粒カーボン、粗粒カーボンの添加量を
経験的に調整することで行ってきた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなフラックスへのカーボン添加による方法では、フラ
ックスの溶融速度の制御が試行錯誤的に行われるため、
溶融速度の精密なコントロールが困難であり、加えて以
下のような制約もある。
【0009】鋼種(特にC量が20ppm以下の鋼)に
よっては、フラックスから鋼へのC移行があり、できる
だけカーボン添加量を抑制することが要求される。具体
的にはカーボン添加量が1%以下に制限される。その結
果、フラックスの溶融が速くなり、溶鋼上の溶融スラグ
の層厚が増大し、溶融スラグが鋼とモールドの隙間に以
上に流れ込み、鋼の外皮が破れてブレークアウトが発生
し、鋳込みを中断せざるを得ない事態も発生する。
【0010】本発明の目的は、カーボン添加量が制限さ
れる場合も含め、溶融速度の過不足による諸問題を解決
できる連続鋳造用フラックスを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らはフラックスの溶融速度に及ぼす影響因
子について詳細に調査した。その結果、以下の事実が判
明した。
【0012】 フラックスの溶融速度は、溶融速度調
整材の含有量の他に、フラックスの嵩密度の影響を受
け、これらの因子から溶融速度の正確な推定が可能とな
る。 溶融速度調整材として従来より使用されているカー
ボンは、フラッスの溶融を抑制するが、カーボンより強
力にフラックスの溶融を抑制できる物質として、SiC
粉末及び粉末金属Siがあり、特にSiC粉末は細粒カ
ーボンの2倍の抑制効果を示す。 SiC粉末や粉末金属Siを使用すれば、カーボン
の使用量を控えても、フラックスの溶融速度を適正範囲
内に管理できる。 フラックスの適正な溶融速度は4〜10minであ
る。
【0013】本発明の連続鋳造用フラックスは、かかる
知見に基づいて開発されたものであり、鋼の連続鋳造に
使用するフラックス材に、溶融速度調整材として、平均
粒径が0.1〜150μmのSiC粉末、平均粒径が
3.5〜100μmの粉末金属Si、平均粒径が0.0
1〜0.03μmの細粒カーボン、平均粒径が2〜30
μmの粗粒カーボンのうちの1種又は2種以上を、下記
の数式1で示されるフラックス溶融速度Cs(min)
が4〜10minの範囲内になるように添加したもので
ある。
【0014】
【数1】 Cs=26643×exp(0.1267×Pm) Pm=6.7743×SiC(P)+1.2686×Si(M) +2.9706×C(f)+0.6777×C(g) +3.7737×P(k)−4.4126 ここで、SiC(P):SiC粉末の含有量(質量%) Si(M):粉末金属Siの含有量(質量%) C(f):細粒カーボンの含有量(質量%) C(g):粗粒カーボンの含有量(質量%) P(k):当該フラックスの嵩比重
【0015】好ましくは、前記溶融速度調整材として、
少なくとも、SiC粉末及び粉末金属Siの一方又は両
方を添加する。これにより、カーボン量を制限しても、
溶融速度を適正な4〜10minの範囲内に管理するこ
とができる。
【0016】前記フラックス材としては、質量%でSi
2 :20.0〜50.0%、Al 2 3 :0.4〜1
2.0%、MgO:0.1〜12.0%、Na2 O:
0.2〜15.0%、F:0.1〜17.0%、Ca
0:20.0〜60.0%を含有すると共に、Ca0/
SiO2 =0.5〜3.0を満足し、更にFeO:0.
5〜10.0%、B2 3 :5%以下、Ca−Si:1
0.0%以下、ZrO2 :5%以下、Li2 O:5%以
下のうちの1種又は2種以上を含有するものが好まし
い。ここで、Ca0とはCaF2 、CaCO3 をCa0
に換算し、本来含有されているCa0と合わせたもので
ある。またMgOとはMgCO3 をMg0に換算し、本
来含有されているMg0と合わせたものである。
【0017】本発明の連続鋳造用フラックスは、極低炭
素鋼、(亜)包晶鋼、中炭素鋼、高炭素鋼、低合金鋼、
又はステンレス鋼の連続鋳造に適用可能である。
【0018】当該フラックスの嵩比重としては0.5〜
1.3が好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の連続鋳造用フラッ
クスにおける成分限定理由を説明する。
【0020】〔溶融速度調整材〕SiC粉末 SiCの分解温度は2220℃であり、フラックス原料
のうち最も高い分解温度を有している。このため、他の
フラックス原料が溶融しても、SiCは分解されないた
め、フラックス原料の表面に皮膜として残存し、隣り合
った原料との融着を抑制する効果が大きい。そのため、
少量の添加でもフラックスの溶融速度を抑制する効果が
大きく、細粒カーボンの約2倍の抑制効果を有してい
る。しかしながら、SiC粉末は高価であり、以下に示
す粉末金属Si、細粒カーボン、粗粒カーボンと適宜に
組み合わせることでフラックスの溶融速度を精密に制御
することが可能である。
【0021】SiCの平均粒径を0.1〜150μmと
したのは、0.1μm未満ではSiCが微粉すぎて溶融
速度を調整する効果が小さく、150μm超では溶融ス
ラグ中にSiCが残存し、フラックスの溶融を極端に遅
くし、溶融層厚を薄くして、鋳込みを不安定にする。よ
り効果的なSiCの平均粒径は10〜100μmであ
る。
【0022】粉末金属Si 金属Siは溶鋼上のフラックスが溶融する際に反応して
酸化物として生成され、スラグ中へSiO2 として取り
込まれていく。フラックスの溶融を抑制する効果は細粒
カーボンの約1/2程度である。
【0023】粉末金属Siの平均粒径を3.5〜100
μmとしたのは、3.5μm未満ではその効果が少な
く、100μm超では溶融スラグ中に金属Siが残存
し、溶融速度を遅くしすぎて、鋳込みが不安定になる。
より効果的なSiの平均粒径は10〜60μmである。
【0024】細粒カーボン 細粒カーボン(通常カーボンブラック)は、フラックス
の粒子表面にコーティングされ、溶鋼上に散布されたフ
ラックスが溶鋼の熱によって加熱溶融される際にカーボ
ン被膜となって、隣り合った原料同士の融着を抑制する
効果をもっている(図3参照)。カーボンブラックは、
粒径は小さいがそれぞれの粒子が連なった鎖状の構造
(ストラクチャー)を有している。この鎖状の構造が溶
融したフラックス原料の表面を覆い、隣り合った原料粒
子との結合を抑制する作用を奏するものと推測される。
【0025】細粒カーボンの添加量が多くなると、フラ
ックス原料の表面に付着するカーボン粉末が増加するた
め、溶融速度は遅くなる。これは、上記フラックスの嵩
比重とも関連性があり、嵩比重が小さいとフラックスの
比表面積が大きくなるため、同じ細粒カーボンの添加量
でもフラックス原料表面へのカーボン被膜の比率は小さ
くなる。このため、嵩比重が小さいフラックスほど溶融
速度が速くなる。
【0026】細粒カーボンの平均粒径を0.01〜0.
03μmとしたのは、通常市販されている細粒カーボン
(カーボンブラック)は平均粒径が0.01〜0.03
μmであり、これ以外のサイズは製造コストが高くな
る。また、これら各々のカーボン粒子がストラクチャー
を構成しており、これにより高温でのフラックスの溶融
速度をコントロールする作用を有している。
【0027】粗粒カーボン 粗粒カーボン(通常コークス粉末)は、フラックス原料
の表面に付着するのではなく、フラックス原料の隙間に
混在し、溶鋼上に散布されたフラックスが溶融する際に
溶融速度を抑制する働きを有している(図3参照)。粗
粒カーボンは、細粒カーボンほど緻密な構造ではないた
め、早く消耗されやすく、溶融を抑制する効果は細粒カ
ーボンの約1/4程度である。
【0028】粗粒カーボンの平均粒径を2〜30μmと
したのは、2μm未満では粒径が小さく、添加量に対す
る効果が大きくなり過ぎ、溶融速度の制御が困難であ
る。また30μm超ではその効果が小さい。
【0029】フラックスの嵩比重:0.5〜1.3 フラックスの溶融速度を左右する因子の一つがフラック
ス自身の嵩比重である。このため、この嵩密度が、溶融
速度を決定する数式1に反映される。フラックスの嵩比
重が小さいと、溶融速度は速くなる。0.5以下では、
溶融速度が速くなり溶鋼上の溶融スラグの厚みが連鋳時
間が経過するにつれ増大し、フラックス消費量が増加す
る。また、嵩比重が大きくなると、溶融速度は遅くなり
溶鋼上の溶融スラグが薄くなり、1.3を超えると極端
に薄くなって、未溶融フラックスが溶鋼表面にトラップ
されて、スラグが噛み込み、鋳片の欠陥として圧延時に
鋼板の表面に傷が発生する。従って、好適な嵩比重の範
囲として0.5から1.3を選択した。なお、嵩比重の
調整は、嵩比重の小さい原料(珪藻土、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム等)の配合量を調整することによ
って行うことが可能である。
【0030】数式1 SiC粉末の含有量、粉末金属Siの含有量、細粒カー
ボンの含有量、粗粒カーボンの含有量、当該フラックス
の嵩比重から、当該フラックスの溶融速度Cs(mi
n)が決定される。5つの因子と溶融速度Cs(mi
n)との関係を示すのが数式1である。数式1を使うこ
とにより、目的とする溶融速度をもつフラックスの設計
が可能である。また、溶融速度を変えずに、溶融速度調
整材の成分を広範囲に調整することができる。具体的に
はカーボンを控えた低速度のフラックス設計が可能とな
る。
【0031】溶融速度Cs(min)の適正値は、実験
的に4分から10分であることが分かっている。Csが
4分未満の場合、溶融層が厚くなり、鋳造時間が経過す
るにつれ、溶融層が次第に厚くなっていくため、溶鋼上
の溶融スラグが不安定になり、安定した操業ができな
い。また、Csが10分を超えると溶融スラグが薄くな
り、鋳片表面の欠陥が増加する。
【0032】〔フラックス材〕SiO2 :20.0〜50.0% フラックスの成分として不可欠の要素であり、溶融した
フラックスの物性をコントロールする作用を有してい
る。フラックス中のSiO2 はフラックスの融点および
粘性を左右する重要な因子である。SiO2 が多くなる
と、フラックスは酸性タイプとなり、溶融したフラック
スはガラス状となる。また、SiO2 が少なくなると、
溶融したフラックスは塩基性となり、固化する際に結晶
化しやすくなる。SiO2 は、塩基性成分であるCaO
との成分比で通常フラックスの塩基性を示す指標として
用いられている。
【0033】SiO2 が50%を超えると極端に酸性タ
イプとなり、溶鋼上で溶融されたフラックスの粘性が増
加し、鋼の連続鋳造時に溶鋼とモールドの間に流入しに
にくなり、鋳片表面の冷却速度が不均一になり、鋳片表
面が破砕して溶鋼が流れ落ちるいわゆるブレークアウト
や、鋳片表面に縦割れ、横割れが発生して連続鋳造が不
可能になり、鋳込みを中断する事態が発生する。
【0034】SiO2 が20%未満になると極端にフラ
ックスが塩基性になり、フラックスの融点が上がり、逆
に溶融スラグ粘性が低下して、鋳片とモールドの間にス
ラグの流れ込みが多くなり、鋳片の冷却が遅くなって、
鋼の凝固シェルの発生が遅れモールド下で溶鋼が流出す
るプレークアウトが発生しやすくなる。従ってフラック
ス中のSiO2 は20%から50%が適当である。
【0035】Al2 3 :0.4〜12.0% Al2 3 は粘性および融点を上昇させる作用を有して
いる。Al2 3 が12.0%を超えると溶融したスラ
グの粘性が高くなりすぎて、鋳片とモールド内へのスラ
グ流入が極端に悪くなり、鋳片の冷却が不均一となり、
縦割れが発生する。また、Al2 3 はフラックスに使
用する原料に不可避的に存在し、通常0.4%以上含ま
れる。従って下限を0.4%とした。
【0036】MgO:0.1〜12.0% MgOはフラックスの粘性を低下させ、融点を下げる作
用を有している。MgOが12.0%を超えると極端に
溶融したスラグの粘性が低くなり、溶鋼の表面変動によ
って溶湯下スラグの上部に存在する未溶融フラックスを
トラップして鋳片表面直下に未溶融スラグを噛み込み欠
陥が発生しやすい。また、MgOは使用する原料に微量
含有されており、下限を0.1%とした。
【0037】Na2 O:0.2〜15.0% Na2 Oはフラックスの融点を下げ、粘性を低下させる
作用を有している。Na2 Oが15%を超えるとノズル
の溶損が激しくなり、多連鋳が困難となる。また、溶融
スラグの粘性、融点が低くなり、溶鋼とモールド間への
スラグ流入が増加し、鋳片の冷却が不均一になり割れが
発生する。従って上限を15.0%とした。下限は原料
から不可避的に混入する場合があり、0.2%とした。
【0038】F:0.1〜17.0% Fはフラックスの粘性および融点を低下させる作用を有
している。Fが17.0%を超えると粘性、融点が低下
するだけでなく、ノズル溶損が激しくなり、多連鋳が困
難となる。また、溶融スラグの粘性、融点が低くなり、
溶鋼とモールド間へのスラグ流入が増加し、鋳片表面の
冷却が不均一になり割れが発生する。従って上限を1
7.0%とした。下限は原料から不可避的に混入する場
合があり、0.1%とした。
【0039】Ca0:20.0〜60.0% Ca0はCaF2 、CaCO3 等をCa0に換算したも
のである。Ca0はフラックスの主成分であり、Ca0
が増加すると塩基性成分となり、溶融スラグが凝固する
時に結晶化する。Ca0が60%を超えると粘性が低下
すると同時に凝固温度が高くなりすぎ、溶鋼上の溶融ス
ラグが未溶融フラックスを捕捉して、鋳片の表面にスラ
グがトラップされ、傷が発生する。また、Ca0が20
%未満になると粘性が高くなり、凝固温度が低下する。
そのため、溶鋼とモールドとの間にパウダーの流入が不
安定になり、鋳片表面の冷却が不均一になり、割れが発
生する。これらの理由から、上限を60%、下限を20
%とした。
【0040】Ca0/SiO2 =0.5〜3.0 SiO2 ,Ca0の項で述べたが、フラックスの物性は
上記記載の成分の比率によって決定されるが、特に重要
な要素はCa0/SiO2 比であり、通常フラックスの
塩基性を示す指標として多く用いられている。Ca0/
SiO2 比が3.0超では、極端に塩基性成分となり結
晶化して、特にモールドの壁付近にスラグベアが発生し
て、順次新しいフラックスの供給がなされず、モールド
と鋳片へのスラグ供給量が不足して溶鋼が直接モールド
に触れ、急速に冷却される部分と冷却が遅くなる部分が
発生し、不均一冷却となるため割れが発生する。また、
Ca0/SiO2 が0.5未満では塩基度が低くなり、
粘性が高くなり融点が低下する。この場合、スラグがモ
ールドと溶鋼との隙間に流入しにくくなり、ブレークア
ウトが発生する。従ってCa0/SiO2 比は0.5か
ら3.0が適当である。より好ましくは0.7から2.
5である。
【0041】FeO:0.5〜10.0% FeOはFe2 3 、Fe3 4 をFeOに換算したも
のである。このFeOは、不可避的に存在する場合もあ
るが、例えば発熱フラックスのように酸素供給源として
添加する場合もある。しかし、FeOが10%を超える
と粘性が低下し、悪影響を及ぼす。従って0.5%から
10.0%の範囲が適当である。
【0042】2 3 :5%以下2 3 は、フラックスの融点、粘性を低下させる作用
を有している。B2 3 が5%を超えると粘性、融点が
低下しすぎて悪影響を及ぼす。より具体的には、B2
3 の一部が溶鋼中へ拡散し、引き抜き中に鋳片が折れた
り、割れが発生する。
【0043】ZrO2 :5%以下 ZrO2 は、少量添加でフラックスの粘性を高くする作
用を有している。5%を超えると、粘性が高くなりすぎ
て悪影響を及ぼす。
【0044】Ca−Si Ca−Siは主として、フラックス中の酸素と結合して
発熱作用を与え、溶鋼の保温性を保つ働きとして利用さ
れる。しかしながら、Ca−Siが5%を超えると一部
溶残りが発生する。従って5%以下とした。
【0045】
【実施例】次に、本発明の実施例を示し、比較例と対比
することにより、本発明の効果を明らかにする。
【0046】所定成分のフラックス材に、溶融速度調整
材としてSiC粉末、粉末金属Si、細粒カーボン、粗
粒カーボンのうちの1種又は2種以上を添加して、表1
及び表2に示す59種類のフラックスを作製した。嵩比
重は珪藻土の配合量により調整した。フラックス材の成
分は、概ねSiO2 :35%、Al2 3 :4%、Mg
O:5%、Na2 O:8%、F:7%、Ca0:35
%、FeO:1.3%である。溶融速度調整材の平均粒
径は、SiC粉末が120μm、粉末金属Siが30μ
m、細粒カーボンが0.02μm、粗粒カーボンが10
μmである。
【0047】各フラックスにつき、数式1により溶融速
度Cs(min)を計算した。また、実際の溶融速度C
s(min)を次の方法により測定した。試料2gを磁
製ルツボに入れ、1300℃の電気炉内で加熱し、ルツ
ボ内のフラックスが完全に溶融するまでの時間を測定
し、溶融速度とした。
【0048】溶融速度調整材の添加量、フラックスの嵩
密度、溶融速度の計算値及び実測値を表1及び表2に示
す。また、溶融速度の計算値と実測値の関係を図4及び
図5に示す。図4における溶融速度計算値は回帰式で計
算した数値(Pm値)であり、図5における溶融速度計
算値は、より詳細に計算したCs値である。図4及び図
5からは、数式1により計算された溶融速度Cs(mi
n)が実測値に正確に対応することがわかる。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】各フラックスを極低炭素鋼、中・低炭素
鋼、高炭素鋼の連続鋳造に実際に使用した。鋳込み結果
を表1及び表2に示す。数式1により計算される溶融速
度Cs(min)が4〜10分の範囲内に管理されたフ
ラックスを使用することにより適正な鋳込みが実施され
た。また、SiC粉末、粉末金属Siを使用しない場
合、即ちカーボンのみを使用の場合、溶融速度Csを4
分以上にするには最小でも1.5%が必要になる。しか
るにSiC粉末、粉末金属Siの使用により、カーボン
添加量の低減が可能になり、1%以下に制限することも
可能となる。
【0052】
【発明の効果】以上に説明したとおり、本発明の連続鋳
造用フラックスは、これまで試行錯誤的に行われてきた
溶融速度のコントロール精度を飛躍的に向上させること
ができ、安定な鋳込みを可能にする。また、適正な溶融
速度を確保しつつ、カーボン量の低減を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋳込み状況の説明図である。
【図2】鋳込みにおけるフラックス及びスラグの挙動説
明図である。
【図3】フラックス中のカーボンの挙動説明図で、
(a)はフラックス投入直後、(b)はフラックスの溶
融過程を示す。
【図4】フラックス溶融速度の計算値と実測値の関係を
示すグラフである。
【図5】フラックス溶融速度の計算値と実測値の関係を
示すグラフである。
【符号の説明】
1 ノズル 2 モールド 3 溶鋼 4 フラックス 5 溶融スラグ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 良明 千葉県柏市新十余二7番地1 住金溶接工 業株式会社内 (72)発明者 長島州 司郎 千葉県柏市新十余二7番地1 住金溶接工 業株式会社内 (72)発明者 高橋 泰造 兵庫県三木市別所町小林244−1 広野化 学工業株式会社内 (72)発明者 土井 崇徳 兵庫県三木市別所町小林244−1 広野化 学工業株式会社内 Fターム(参考) 4E004 JA10 MB14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼の連続鋳造に使用するフラックス材
    に、溶融速度調整材として、平均粒径が0.1〜150
    μmのSiC粉末、平均粒径が3.5〜100μmの粉
    末金属Si、平均粒径が0.01〜0.03μmの細粒
    カーボン、平均粒径が2〜30μmの粗粒カーボンのう
    ちの1種又は2種以上を、下式で示されるフラックス溶
    融速度Cs(min)が4〜10minとなるように添
    加したことを特徴とする連続鋳造用フラックス。 Cs=26643×exp(0.1267×Pm) Pm=6.7743×SiC(P)+1.2686×Si(M) +2.9706×C(f)+0.6777×C(g) +3.7737×P(k)−4.4126 ここで、SiC(P):SiC粉末の含有量(質量%) Si(M):粉末金属Siの含有量(質量%) C(f):細粒カーボンの含有量(質量%) C(g):粗粒カーボンの含有量(質量%) P(k):当該フラックスの嵩比重
  2. 【請求項2】 前記溶融速度調整材として、少なくとも
    SiC粉末及び粉末金属Siの一方又は両方を添加した
    請求項1に記載の連続鋳造用フラックス。
  3. 【請求項3】 前記フラックス材として、質量%でSi
    2 :20.0〜50.0%、Al2 3 :0.4〜1
    2.0%、MgO:0.1〜12.0%、Na2 O:
    0.2〜15.0%、F:0.1〜17.0%、Ca
    0:20.0〜60.0%を含有すると共に、Ca0/
    SiO2 =0.5〜3.0を満足し、更にFeO:0.
    5〜10.0%、B2 3 :5%以下、Ca−Si:1
    0.0%以下、ZrO2 :5%以下、Li2 O:5%以
    下のうちの1種又は2種以上を含有する請求項1に記載
    の連続鋳造用フラックス。
  4. 【請求項4】 前記鋼が極低炭素鋼、(亜)包晶鋼、中
    炭素鋼、高炭素鋼、低合金鋼、又はステンレス鋼である
    請求項1に記載の連続鋳造用フラックス。
  5. 【請求項5】 嵩比重が0.5〜1.3である請求項1
    に記載の連続鋳造用フラックス。
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