JP2007290023A - 溶融金属容器用保温材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、カーボンのピックアップを起こすことなく、安定した保温性を有する溶融金属容器用保温材を提供することにある。
【解決手段】本発明の溶融金属容器用保温材は、中空状原料、発泡状原料及び低融点原料に耐火性原料をコーティングした原料が不在である溶融金属容器用保温材の原料配合物に、窒化金属化合物の少なくとも1種類以上を0.5質量%以上添加してなることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の溶融金属容器用保温材は、中空状原料、発泡状原料及び低融点原料に耐火性原料をコーティングした原料が不在である溶融金属容器用保温材の原料配合物に、窒化金属化合物の少なくとも1種類以上を0.5質量%以上添加してなることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、鋼の製造過程においる溶銑鍋、溶鋼鍋、RH等の製鉄用容器や連続鋳造用タンディッシュ等の溶融金属容器用保温材に関するものである。
これまでの溶銑鍋、溶鋼鍋、RH、タンディッシュ等の溶融金属容器は、そこでの溶融金属の滞留時間が長く、また、次工程への輸送時間もかかることから、予め溶融金属の温度低下分を考慮して、受け渡しの温度を設定していた。そのために、温度が低下して操業ロスを出すだけでなく、エネルギーロスも生じていた。その中で、特にタンディッシュでは保温効果と鋼中介在物を吸収させ溶鋼の清浄化を図る目的で各種保温材が開発されているが、それでも焼き籾などが溶鋼金属容器用保温材として代表的なものであった。しかしながら、溶銑鍋や溶鋼鍋、RH等の溶融金属容器では、製造過程で発生するスラグが存在するために、保温材としての役割を果たす材料の開発は困難であった。
一方、タンディッシュ用保温材は、どちらかと言えば、近年の溶鋼の清浄度合いを向上したり、熱間タンディッシュ操業の運用を容易にするために、タンディッシュスラグの排滓性を向上させることを目的としているものが大多数である。従って、保温効果を目的として、籾殻、焼き籾を使用しているのが現状である。
また、金属の精錬または鋳造時に使用する溶融金属用保温材として、特許文献1には、糖液と石灰乳の混合物に二酸化炭素ガスを飽充して糖液中の不純物を除去する炭酸飽充法により生成した副生炭酸カルシウムを原料とすることを特徴とする熔融金属用保温材(第1項);前記副生炭酸カルシウムに見掛比重を減少させるための添加剤を加えてなる熔融金属用保温材(第2項);前記添加剤がパーライト、真珠岩、珪藻土、バーミュキライト、黒曜石、木屑、籾殻、藁灰、焼籾、製紙スラッジ焼却灰、廃活性炭のいずれか又は混合物である熔融金属用保温材(第6項)が開示されている。
更に、溶融金属の温度低下を防止するための溶融金属用保温剤として、特許文献2には、酸化マグネシウム又は酸化マグネシウムを含む高融点物よりなる表面が滑らかな球状の耐火物中に、中空部を有し、且つ中空部と外周面間の殻部分に多数の発泡気孔を分布内蔵したことを特徴とする溶融金属用保温剤(第1項)が開示されている。また、特許文献2には、酸化マグネシウムと混合可能な粉体として窒化物が開示されている。
また、溶融金属表面からの熱の逸散や酸化を防止するための保温材として、特許文献3には、軽量気泡コンクリート廃材を粉砕・整粒して得られた粒度2.0〜9.5mmの顆粒集合物を基材とし、該顆粒集合物の粒子表面が高融点の酸化金属被膜で全面被覆されてなり、該酸化金属成分の保温剤中含有量が20〜60wt%であることを特徴とする溶融金属用保温剤(請求項1)が開示されている。
更に、容器に収容された金属溶湯の表面に浮べて金属溶湯を保温するための保温材として、特許文献4には、マグネシア、カルシア、焼成ドロマイトまたはそれらの混合物の、ほぼ球状で中空の焼結体からなる金属溶湯保温材(請求項1);発泡合成樹脂の粒を芯にし、その外側に炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、消石灰またはそれらの2種以上の混合物の粉末を付着させつつ造粒して二重球状体とし、その二重球状体を焼成して発泡合成樹脂の粒を消失させるとともに、マグネシア、カルシア、焼成ドロマイトまたはそれらの混合物の焼結体からなる中空球を形成することからなる金属溶湯保温材の製造方法(請求項2)が開示されている。
また、製鋼分野における溶銑、溶鋼等の溶融した金属の表面温度の低下を防止するための保温材として、特許文献5には、耐熱性粉体と、該耐熱性粉体よりも見掛比重が小さい芯材とからなることを特徴とする溶融金属の保温材(請求項1);耐熱性粉体が、珪藻土、パーライト、天然多孔性物質、二酸化珪素、珪酸化合物、カルシウム化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物からなる群より選ばれたもの、又はそれらの混合物である請求項1〜6のいずれかに記載の保温材(請求項7)が開示されている。
更に、製鉄、製鋼分野における取鍋やタンディッシュ等の容器内の溶銑、溶鋼等のような溶融した金属の表面温度の低下あるいは酸化を防止するための保温材として、特許文献6には、石炭を乾留させた後のかす又はスラグを乾燥、粉砕して発泡整粒させてなる軽量の球状発泡体からなる低吸水性芯材と、該芯材の表面に単層若しくは多層に被覆してなる高融点の物質とからなることを特徴とする溶融金属の保温材(請求項1);請求項1における芯材と高融点の物質を混在させて球形状に形成してなることを特徴とする溶融金属の保温材(請求項2)が開示されている。
また、極低炭素鋼の多連続鋳造に適したタンディッシュ保温材として、特許文献7には、アルミニウムが10〜40重量%含有されたフェロアルミニウムを20〜60重量%、窒化アルミニウムを5〜20重量%、アルミナを30〜65重量%含み、100メッシュ以下のアルミニウム化合物微粉末を主剤とし、この主剤にアルミニウム箔細片、酸化剤、酸化促進剤が添加されていることを特徴とする鋳造用押湯保温剤(請求項1)が開示されている。
更に、特許文献8には、鉄鋼の連続鋳造工程で使用され、蛭石原石を熱膨張させて生成する粒状の保温材であって、20wt.%以上で30wt.%以下の酸化マグネシウムMgOと、35wt.%以上で42wt.%以下の酸化ケイ素SiO2と、10wt.%以上で20wt.%以下の酸化アルミニウムAl2O3と、3wt.%以上で4wt.%以下の結晶水H2Oとを主成分として含み、嵩比重が0.3未満であることを特徴とする鉄鋼連続鋳造用保温材(請求項1)が開示されている。
また、特許文献9には、鉄鋼の連続鋳造工程に用いるタンディッシュ内で使用される粒状の保温材であって、少なくとも全体の80wt.%を占める主成分として、酸化ケイ素SiO2、酸化アルミニウムAl2O3および酸化マグネシウムMgOを含み、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの重量比は2/1以下で1/1以上の範囲であり、酸化マグネシウムが含まれる範囲は主成分で20wt.%以上かつ45wt.%以下であることを特徴とするタンディッシュ保温材(請求項1)が開示されている。
しかしながら、籾殻、焼き籾等は比重が軽いため、投入時に飛散して多量の粉塵が発生し、作業環境上問題があった。また、年間を通した安定供給し難いという問題点もある。更に、焼き籾は、一度焼成しているために、カーボンを多量に含有しており、鋼中にカーボンが溶解してカーボンピックアップを生じ、低炭素鋼や極低炭素鋼のようなカーボン含有量の少ない鋼種には使用し難い。
また、従来の保温材では、籾殻、焼き籾以外に、中空状原料、発泡状原料または低融点原料を芯材として耐火性原料でコーティングした原料が保温性を担うものとして使用されているが、上述のような芯材を使用している原料は、構造上強度が低く、また、受熱によりガスを発生するものもあるため、使用中にコーティング層が崩れて粉化し、スラグや溶融金属(溶銑)中に取り込まれるなどの保温性の劣化を招き易い。
また、特許文献1に開示されている熔融金属用保温材は、炭酸カルシウムを原料とする溶融金属表面上に投入しても溶融しないタイプの保温材であり、炭酸カルシウムの分解生成物である酸化カルシウムの耐高温性(融点:2572℃)並びにもう一つの分解生成物である炭酸ガスの熱伝導度が空気よりも低いという特性を利用して保温性を向上させようとするものである。しかしながら、炭酸カルシウムから炭酸ガスへの分解温度は、825℃と低く、保温材を溶融金属へ投入すると、直ちに分解反応が開始されるため、たとえ、この反応機構を溶融金属表面上で溶融する(所謂、溶融スラグ層を形成する)タイプの保温材に適用しても、溶融スラグ層での炭酸ガスによる保温性向上効果は期待できない。
従って、本発明の目的は、カーボンのピックアップを起こすことなく、安定した保温性を有する溶融金属容器用保温材を提供することにある。
即ち、本発明の溶融金属容器用保温材は、中空状原料、発泡状原料及び低融点原料に耐火性原料をコーティングした原料が不在である溶融金属容器用保温材の原料配合物に、窒化金属化合物の少なくとも1種類以上を0.5質量%以上添加してなることを特徴とする。
また、本発明の溶融金属容器用保温材は、窒化金属化合物が、窒化硼素、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化マンガン、窒化ジルコニウム、窒化鉄、窒化珪素鉄及び窒化クロムからなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする。
更に、本発明の溶融金属容器用保温材は、窒化金属化合物の添加量が、0.5〜40質量%の範囲内であることを特徴とする。
また、本発明の溶融金属容器用保温材は、 溶融金属容器用保温材のCaO量/(原料中のSiO2量+窒化金属化合物から生成するSiO2量)比が、0.1〜3.9の範囲内にあることを特徴とする。
更に、本発明の溶融金属容器用保温材は、トータルカーボン量が、5質量%未満であることを特徴とする。
本発明によれば、カーボンのピックアップを起こすことなく、安定した保温性を有する溶融金属容器用保温材を提供できるという効果を奏するものである。
本発明者らは、種々の研究及び検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
溶融金属容器用保温材の原料配合物に対し、窒化金属化合物を添加することで、保温性の大幅な向上と、末期での保温性低下を防止できる。即ち、窒化金属化合物を添加することにより、溶融金属(溶鉄)からの熱を受けて、窒化金属化合物は、次のような反応を起す。以下、窒化金属化合物としてSi3N4を例にとって説明する:
Si3N4+3O2−−3SiO2+2N2(ガス)
この反応は、約500℃以上の温度範囲で開始される発熱反応であり、この反応熱は、溶融金属容器用保温材の保温性を向上させるために寄与する。更に、反応によって生成した窒素ガスによる断熱層は、溶融金属容器用保温材投入後に溶融金属容器用保温材が完全に溶融した後も、溶融スラグ層中で窒素ガスの発泡が継続することによって保温性を高め、温度低下を抑制する効果がある。つまり、本発明による溶融金属容器用保温材は、従来の保温材とは異なり溶融金属容器用保温材が溶融状態となっても断熱層中に気孔が継続的に生成するので、使用中に保温性が劣化することはなく、溶銑温度を維持することができる。
溶融金属容器用保温材の原料配合物に対し、窒化金属化合物を添加することで、保温性の大幅な向上と、末期での保温性低下を防止できる。即ち、窒化金属化合物を添加することにより、溶融金属(溶鉄)からの熱を受けて、窒化金属化合物は、次のような反応を起す。以下、窒化金属化合物としてSi3N4を例にとって説明する:
Si3N4+3O2−−3SiO2+2N2(ガス)
この反応は、約500℃以上の温度範囲で開始される発熱反応であり、この反応熱は、溶融金属容器用保温材の保温性を向上させるために寄与する。更に、反応によって生成した窒素ガスによる断熱層は、溶融金属容器用保温材投入後に溶融金属容器用保温材が完全に溶融した後も、溶融スラグ層中で窒素ガスの発泡が継続することによって保温性を高め、温度低下を抑制する効果がある。つまり、本発明による溶融金属容器用保温材は、従来の保温材とは異なり溶融金属容器用保温材が溶融状態となっても断熱層中に気孔が継続的に生成するので、使用中に保温性が劣化することはなく、溶銑温度を維持することができる。
また、各々の容器には、溶融金属自体のスラグも溶融金属表面上に存在する。そのスラグは、FeOを含有しており、そのFeOと窒化金属化合物との反応による効果もある:6FeO+Si3N4−−3SiO2+6F+2N2(ガス)
この反応も約500℃以上の温度範囲で開始される発熱反応であり、その発熱効果により保温性を向上させることができる。
この反応も約500℃以上の温度範囲で開始される発熱反応であり、その発熱効果により保温性を向上させることができる。
なお、窒化金属化合物は、金属がボロン、シリコン、アルミニウム、チタニウム、マンガン、ジルコニウム、鉄、クロム等である窒素化合物の群から選定でき、例えば窒化硼素、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化マンガン、窒化ジルコニウム、窒化鉄、窒化珪素鉄及び窒化クロムを挙げることができる。窒化金属化合物の添加量は、後述の原料配合物に、0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5〜40質量%、更に好ましくは1〜35質量%の範囲内の量で配合することができる。窒化金属化合物の配合量が0.5質量%未満であると、窒素ガスによる発泡効果が小さく、保温性の向上効果が発現しないために好ましくなく、また、40質量%を超えると、完全に窒化金属化合物が反応して溶解し難くなるために好ましくない。なお、窒化金属化合物は、2種類以上を組み合わせても良い。この場合には、合計量が0.5〜40質量%の範囲内とすることが好ましい。
溶融金属容器用保温材の原料配合物には、基材としては、ポルトランドセメント、石灰石、SiO2系原料等を使用することができる。ここで、SiO2系原料とは、珪石、ろう石等を意味する。基材の配合量は、60〜99.5質量%、好ましくは65〜90質量%の範囲内である。
また、溶融金属容器用保温材の原料配合物には、MgOを配合することもできる。MgOを配合する場合、その配合量は30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下である。MgOの配合量が30質量%を超えると、溶融スラグ層の凝固温度が向上し、溶融スラグ層の排滓性が劣化するために好ましくない。
更に、溶融金属容器用保温材の原料配合物には、Al2O3を適宜配合することができる。Al2O3を配合する場合、その配合量は60質量%以下が好ましく、より好ましくは50質量%以下である。Al2O3の配合量が60質量%を超えると、溶鉄中の介在物の吸収時間が遅延するために好ましくない。
また、溶融金属容器用保温材の原料配合物には、上記原料に加えて、Na2O、Li2Oのようなアルカリ金属酸化物をフラックス成分として適宜配合し、融点を調整することもできる。アルカリ金属酸化物を配合する場合、その合計量が20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは17質量%以下である。アルカリ金属酸化物の合計量が20質量%を超えると、内張り煉瓦の損傷が増加することがあるために好ましくない。
更に、溶融金属容器用保温材の原料配合物には、ZrO2、TiO2、BaO、SrOのような金属酸化物を配合することもできる。この場合、それらの合計量が20質量%未満であれば、発泡効果を損なうことがないので問題ない。
また、溶融金属容器用保温材の原料配合物には、カーボンを添加することもできる。カーボンを配合する場合、その配合量は5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下である。カーボンの配合量が5質量%を超えると、溶鉄中にカーボンピックアップが起こり、溶鋼の特性変化を引き起こすことがあるために好ましくない。なお、カーボンとしては、黒鉛、コークス粉等を使用することができる。
次に、本発明の溶融金属容器用保温材の化学組成について説明する。
本発明の溶融金属容器用保温材の化学組成は、それらが完全に反応、溶融した後の化学組成で成分を設計することが肝要である。
本発明の溶融金属容器用保温材の溶融性状と化学成分との説明を続ける。まず、溶融金属容器用保温材中のCaO/SiO2の質量比は、0.1〜3.9の範囲内が好ましく、より好ましくは0.2〜3.7の範囲内である。CaO/SiO2の質量比が0.1未満であると、SiO2量が過剰となり、溶融金属容器の内張り煉瓦に損傷を与えることがあるために好ましくない。逆に、CaO/SiO2の質量比が3.9を超えると、保温材の融点が著しく上昇し、溶融スラグ層を形成することができず、窒素ガスによる溶融スラグ層の発泡効果が得られないために好ましくない。ここで、窒化金属化合物としてSi3N4を使用する場合には、SiO2量は、原料として添加されるSiO2と、受熱後の窒化金属化合物の反応により生成するSiO2との合計量である。なお、受熱後のSiO2生成量は、窒化金属化合物の組成と添加量から求めることができる。
本発明の溶融金属容器用保温材の化学組成は、それらが完全に反応、溶融した後の化学組成で成分を設計することが肝要である。
本発明の溶融金属容器用保温材の溶融性状と化学成分との説明を続ける。まず、溶融金属容器用保温材中のCaO/SiO2の質量比は、0.1〜3.9の範囲内が好ましく、より好ましくは0.2〜3.7の範囲内である。CaO/SiO2の質量比が0.1未満であると、SiO2量が過剰となり、溶融金属容器の内張り煉瓦に損傷を与えることがあるために好ましくない。逆に、CaO/SiO2の質量比が3.9を超えると、保温材の融点が著しく上昇し、溶融スラグ層を形成することができず、窒素ガスによる溶融スラグ層の発泡効果が得られないために好ましくない。ここで、窒化金属化合物としてSi3N4を使用する場合には、SiO2量は、原料として添加されるSiO2と、受熱後の窒化金属化合物の反応により生成するSiO2との合計量である。なお、受熱後のSiO2生成量は、窒化金属化合物の組成と添加量から求めることができる。
本発明の溶融金属容器用保温材の溶融温度について説明する。本発明の溶融金属容器用保温材の溶融温度は、1000℃以上1400℃未満の範囲内にあることが好ましい。溶融温度が1000℃未満であると、内張り煉瓦の損傷が大きく、また、溶融金属容器用保温材の保温効果の持続力がなく好ましくない。また、溶融温度が1400℃以上となると、溶融スラグの排滓性が劣化するため好ましくない。
なお、本発明の溶融金属容器用保温材の溶融時の粘度は、上述の配合並びに組成となるように設計すると、1300℃で2ポイズ以上となる。
本発明の溶融金属容器用保温材は、粉末形状、顆粒形状のどちらであっても良い。粉末形状の場合、使用状況に応じて、粉体拡がり性を向上させるために、シリコーンオイルやステアリン酸塩等を使用することもできる。顆粒形状にする場合には、一般的な顆粒形状であれば何ら問題はない。従って、押出造粒、撹拌造粒による球状顆粒などとして本発明の溶融金属容器用保温材は使用することができる。なお、顆粒の場合、その粒度は20mm以下であることが好ましい。粒度が20mmを超えると、保温性が低下するために好ましくない。また、顆粒化する場合には、バインダーを使用することもでき、有機系バインダー、無機系バインダーを使用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明の溶融金属容器用保温材を更に説明する。
実施例
以下の表に示す配合割合にて、本発明品及び比較品の溶融金属容器用保温材を作製した。本発明品及び比較品の諸特性を表に併記する。
実施例
以下の表に示す配合割合にて、本発明品及び比較品の溶融金属容器用保温材を作製した。本発明品及び比較品の諸特性を表に併記する。
なお、比較品3は、炭酸リチウムを芯材として石灰石(20質量%)、SiO2原料(58質量%)、窒化アルミニウム(7質量%)よりなる混合物をコーティングしたものである。
化学組成は、本発明品または比較品の溶融金属容器用保温材を1600℃で溶融した後の化学組成を示す。
また、発泡性は、タンディッシュ内に本発明品または比較品の溶融金属容器用保温材を投入して目視観察し、発泡状態を評価したものである。ここで、○は、発泡が見られたことを、×は、発泡しなかったことをそれぞれ示す。
更に、保温性は、本発明品または比較品の溶融金属容器用保温材をタンディッシュ内に投入してから1時間経過後の温度低下を観察したものである。ここで、○は、温度低下が20℃未満であることを、×は、温度低下が20℃以上であることをそれぞれ示す。
また、操業性は、本発明品または比較品使用時のスラグハンドリング、終了時の排滓性を評価したものである。ここで、○は、排滓可能であることを、×は、スラグが残留することをそれぞれ示す。
更に、内張り煉瓦損傷は、100チャージ使用した時の内張り煉瓦の損傷状態を評価したものである。ここで、○は、溶損なしを、×は、溶損ありをそれぞれ示す。
また、カーボンピックアップは、鋳片から試料を採取してカーボン増加量を測定したものである。ここで、○は、カーボンピックアップ10ppm未満を、×は、カーボンピックアップ10ppm以上をそれぞれ示す。
更に、介在物品質は、鋳片から試料を採取して介在物個数を測定したものである。ここで、○は、介在物なしを、×は、介在物ありをそれぞれ示す。
化学組成は、本発明品または比較品の溶融金属容器用保温材を1600℃で溶融した後の化学組成を示す。
また、発泡性は、タンディッシュ内に本発明品または比較品の溶融金属容器用保温材を投入して目視観察し、発泡状態を評価したものである。ここで、○は、発泡が見られたことを、×は、発泡しなかったことをそれぞれ示す。
更に、保温性は、本発明品または比較品の溶融金属容器用保温材をタンディッシュ内に投入してから1時間経過後の温度低下を観察したものである。ここで、○は、温度低下が20℃未満であることを、×は、温度低下が20℃以上であることをそれぞれ示す。
また、操業性は、本発明品または比較品使用時のスラグハンドリング、終了時の排滓性を評価したものである。ここで、○は、排滓可能であることを、×は、スラグが残留することをそれぞれ示す。
更に、内張り煉瓦損傷は、100チャージ使用した時の内張り煉瓦の損傷状態を評価したものである。ここで、○は、溶損なしを、×は、溶損ありをそれぞれ示す。
また、カーボンピックアップは、鋳片から試料を採取してカーボン増加量を測定したものである。ここで、○は、カーボンピックアップ10ppm未満を、×は、カーボンピックアップ10ppm以上をそれぞれ示す。
更に、介在物品質は、鋳片から試料を採取して介在物個数を測定したものである。ここで、○は、介在物なしを、×は、介在物ありをそれぞれ示す。
本発明の溶融金属容器用保温材は、鋼の製造過程においる溶銑鍋、溶鋼鍋、RH等の製鉄用容器や連続鋳造用タンディッシュ等の溶融金属容器用保温材として好適に使用することができる。
Claims (5)
- 溶融金属容器用保温材において、中空状原料、発泡状原料及び低融点原料に耐火性原料をコーティングした原料が不在である溶融金属容器用保温材の原料配合物に、窒化金属化合物の少なくとも1種類以上を0.5質量%以上添加してなることを特徴とする溶融金属容器用保温材。
- 窒化金属化合物は、窒化硼素、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化マンガン、窒化ジルコニウム、窒化鉄、窒化珪素鉄及び窒化クロムからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1記載の溶融金属容器用保温材。
- 窒化金属化合物の添加量が、0.5〜40質量%の範囲内である、請求項1または2記載の溶融金属容器用保温材。
- 溶融金属容器用保温材のCaO量/(原料中のSiO2量+窒化金属化合物から生成するSiO2量)比が、0.1〜3.9の範囲内にある、請求項1ないし3のいずれか1項記載の溶融金属容器用保温材。
- トータルカーボン量が、5質量%未満である、請求項1ないし4のいずれか1項記載の溶融金属容器用保温材。
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JP2010269322A (ja) * | 2009-05-20 | 2010-12-02 | Jfe Steel Corp | 溶融金属用保温材 |
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